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財政制度分科会(平成26年5月27日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成26年5月27日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成26年5月27日(火)14:00〜15:44
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

1.開会
2.とりまとめに向けた審議
3.閉会

配付資料 
○ 財政健全化に向けた基本的考え方(案)

出席者

分科会長 吉川 洋           

葉梨大臣政務官
山本大臣政務官
香川主計局長
福田次長
岡本次長
太田次長
大鹿総務課長
小宮調査課長
井口給与共済課長
窪田法規課長
山本司計課長
堀田官房参事官
江島主計企画官
堀内主計企画官
余島主計官
阪田主計官
宇波主計官
青木主計官
井藤主計官
新川主計官
土谷主計官
小野主計官
中村主計官

分科会長代理     田近 栄治  
 委員

井堀 利宏 
碓井 光明
岡本 圀衞
倉重 篤郎
黒川 行治
古賀 伸明
角   和夫
竹中 ナミ
富田 俊基
鳥原 光憲

 臨時委員

板垣 信幸
遠藤 典子
大宮 英明
葛西 敬之
小林 毅
末澤 豪謙
十河 ひろ美
中空 麻奈
増田 寛也


 

午後 2時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 定刻になりましたので、ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様には御多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、報告書の取りまとめに向けて、お手元にお配りしております「財政健全化に向けた基本的考え方」(案)についてご審議いただきます。

 また、前回の審議において、報告書の内容をわかりやすくまとめた資料が必要ではないかと、こうしたご意見もいただきましたので、報告書の概要をあわせてお配りしております。

 それでは早速、議事に移りたいと思います。今回の報告書(案)につきましては、前回審議いただいた案に、皆様方からいただいたご意見を踏まえて、起草委員会で検討の上、修正を行っております。これをもとに取りまとめに向けた審議をお願いいたします。

 まず、事務局よりお手元の資料について、前回からの主な修正箇所等の説明をお願いいたします。

〔 小宮調査課長 〕 調査課長でございます。まず初めに、今お手元にお配りしております報告書の案文でございますけれども、昨日も起草検討委員会を行いまして本当に直前まで修文作業をしておりまして、皆様のお手元にお届けするのが非常に遅くなりましたことをまずもっておわび申し上げたいと思います。

 前回の分科会でいただいたご意見、それから、その後追加でいただいたご意見等も踏まえながら、起草検討委員会で修文作業をしていただいております。お手元の、右肩に「19日(月)分科会からの見え消し版」と赤字で囲ったものが本文でございます。また、それに対応する参考資料のほうもあわせて机上に置かせていただいております。

 それでは、早速でございますけれども、まず1ページ目をごらんいただきたいと思います。ご意見として、2015年度の赤字半減目標が達成見込みなのは消費税率の10%への引上げが前提となっているということをどこかに記載すべきというご意見を頂戴しております。これにつきましては、脚注をごらんいただきたいと思います。中長期試算の前提として、「社会保障・税一体改革関連法等を踏まえ、消費税率が2015年10月1日より10%に引き上げられること等を前提としている」という記述を追加してございます。

 続きまして、3ページ目をお開きいただきたいと思います。一番下の28行目あたりからでございますけれども、経常収支の要因分析について、アベノミクスにより円安であるにもかかわらず貿易収支が赤字になっていること等を記載すべきというご意見を頂戴してございます。これにつきまして、「大胆な金融政策等による円安にもかかわらず、輸出が伸びておらず、むしろ」という記述を追加してございます。

 続きまして、4ページの中ほど、15行目あたりからでございます。ご意見として、国債が暴落し金利が上昇することは企業、金融機関、国家財政にとって大きな痛手となることについての記載を盛り込めないかというご意見を頂戴しております。修文といたしまして、「政府の財政運営に対する市場の信認が失われ、国債金利が実体経済から乖離して急上昇する事態になれば、企業や家計の資金調達に悪影響を及ぼし、国債の主な保有主体である金融機関のバランスシートを毀損する。これによって、金融システムが不安定化し、経済や国民生活に多大な悪影響を与えかねない」との記述を追加してございます。

 続きまして、6ページ目をお開き願いたいと思います。下のほうの24行目のところでございます。前回の分科会で、債務残高対GDP比600%の部分につきまして、それがなぜ財政の持続不可能性につながるのかという説明をもう少しわかりやすくすべきではないかというご意見を頂戴してございます。修正といたしまして、600%という水準が「公債の利払いや償還が極めて困難な水準」であるという旨の記載を追加してございます。

 続きまして、右側の7ページの上のほうでございます。ここにつきましては、若干記述がわかりにくいところもございまして、フランスやイタリアの数値を本文に盛り込んでございます。

 続きまして、10ページをお開き願いたいと思います。真ん中の18行目あたりからでございますけれども、「財政収支の改善が避けられない」ではなくて、「財政を改善する努力が不可欠である」という表現に直したらどうかというご意見を頂戴してございます。これを踏まえまして、「これまで財政健全化目標が達成できなかった我が国においては、今後、主要先進国を上回る規模で財政収支を改善することが不可欠である」という文章に修文してございます。

 また、同じ10ページの22行目あたりからでございますけれども、今般の財政の長期推計について今後も定点観測をするということを記載できないかというご意見も頂戴してございます。修文といたしまして、「当審議会で行った長期推計を定期的に実施するべきである」との文章を追加してございます。

 続きまして、12ページをお開き願いたいと思います。3行目あたりからでございますけれども、補正予算に関する記述でございます。補正予算の編成が当たり前かのような記述となっているけれども、補正予算の規律に言及する必要があるというご意見を複数いただいてございます。ご指摘を踏まえまして、「その中で、当初予算同様、補正予算についても厳しく規律してくべきである」という1文を追加してございます。

 以上が総論部分でございます。

 続きまして、社会保障でございます。社会保障の記述に関しましては、まず全体的に分量がとても多く、かつ表現として少しわかりにくい部分も散見されましたので、起草委員の先生方とも調整をさせていただきまして、全体的に表現ぶり等も含めて修正を加えてございます。これから、その中でも主な修正をご紹介させていただきたいと思います。

 まず13ページの上のほう、6行目あたりからでございますけれども、公費負担という言葉がわかりにくい、例えば税金と言ったほうがわかりやすいのではないかというご意見も頂戴いたしました。これにつきましては、ご意見を踏まえまして、「「公費負担」は、本来税財源で賄われるべきであるが、現実には特例公債を通じて将来世代に負担を先送りし続けており」というように修文をしております。

 続きまして、14ページの下のほう、24行目あたりからでございます。高齢者に対する過度な優遇を問題視する点、これは共有できているので、保険料や患者負担を早急に見直す視点をもっと明確にしてはどうかというご意見を頂戴してございます。それを踏まえまして、「格差が大きい高齢者について一律に対応するのではなく、負担と公平の観点から患者負担・利用者負担の引上げに取り組む」との記述を追加してございます。

 続きまして、右の15ページのまず上のほう、3行目あたりからでございますけれども、いわゆる保険者機能とは何かということについてもう少しわかりやすく記載すべきというご意見を頂戴してございます。これを踏まえまして、「保険者が被保険者の代理人として給付の重点化・効率化に寄与するという保険者機能」と説明をつけ足してございます。

 続きまして、16ページから19ページにかけてでございます。ここは医療・介護サービスの提供体制改革についての記述でございますが、全般的にわかりやすくなるように整理したほうがいいとのご議論が起草委員会でもございまして、全体として文章をコンパクトにまとめたり、読んでいてわかるように修文を施しているところでございます。

 そして、21ページまで飛んでいただきたいと思います。14行目あたりからでございますけれども、未妥結減算という言葉は説明が必要ではないかというご議論もいただいておりまして、それについての説明を括弧書きで追記をしてございます。

 それから、22ページをお開きいただきたいと思います。これの下のほう、23行目あたりからでございますけれども、高齢者医療費の適正化に関して、被用者保険側は、医療費適正化に対する手段を持ちにくいのではなく持ち合わせていないのが実態であるとのご意見を頂戴してございます。これを踏まえまして、「高齢者に係る医療費の適正化に直接関与できる手段をほとんど持ち合わせていない」という文章に修正を行ってございます。

 それから、その下の27行目あたりからでございますけれども、急速な高齢化により被用者保険については相当の努力にもかかわらず恒常的に赤字になっているという実情があるため、記述の表現を少し修正できないかというご意見を頂戴してございます。これを踏まえまして、表現ぶりといたしましては、「公費負担への依存を高める余地がない我が国の社会保障制度において、公費にこれ以上その調整を委ねる訳にもいかない」という表現ぶりに修正を行ってございます。

 続きまして、25ページをお開き願いたいと思います。いわゆる貧困ビジネスについてでございますけれども、これも説明が必要ではないかというご議論が起草委員会でもございました。貧困ビジネスとは、「住宅とともに生活サービスを提供し、その対価として生活保護費を搾取する」ものである旨を追加してございます。

 続きまして、27ページをお開き願いたいと思います。負担面で必要な改革の部分でございますけれども、まず全体として文章が長いので、段落分けも含めてもう少し整理したほうがいいという議論に起草委員会でもなりました。そのため、小見出しをつける等、読みやすいように工夫をしてございます。

 それから、28ページにつきましては、「障害者の就労支援を始めとした社会参画の推進」と、いただいたご意見を踏まえた修文をしてございます。

 また、28ページの真ん中16行目あたりでございますけれども、この問題は年金受給と就労のバランスだけでなく、雇用政策など多面的な検討が必要というご意見を頂戴してございます。これを踏まえまして、「政策的な対応も含めた雇用面での取組み等についての検討とあわせて」という形に修文をしてございます。

 そして、右の29ページの女性の就労促進の部分でございます。女性の就労促進に対する記述があっさりとし過ぎていないか、まずは制度面について詳細に記載できないか、また、被保険者や配偶者控除についても言及できないかというご意見を頂戴してございます。これにつきましては、いわゆる103万円の壁、そして、130万円の壁などについての記述を少し充実するとともに、配偶者控除についても記載を追加するなどの修文を行ってございます。

 それから、29ページの下のほう、子育て支援でございますけれども、29ページから30ページにかけてでございます。総論部分では少子高齢化について触れているにもかかわらず、それと比較すると子育て支援に関する記述がやや薄いのではないかというご意見を頂戴いたしております。これを踏まえまして、子育て支援の部分の記述をやや充実させるとともに、説明がわかりやすくなるように整理をしてございます。

 以上が社会保障部分でございます。

 続きまして、地方財政でございます。

 まず、32ページをお開きいただければと思います。9行目あたりでございますけれども、ご意見といたしまして、この法人税のくだりの部分については、同じようなものが最後のまとめのところにも出てくるので、重複している、整理したほうがよいとのご議論が起草委員会のほうでもございました。それを踏まえまして、最後のほうの記述にうまく整理してまとめております。その分、この32ページの部分は削除という形で修正をさせていただいております。

 また、同じ32ページの中ほど、21行目以降でございますけれども、今後、各地方公共団体において複式簿記の帳簿を完成させ、公共事業による社会資本を含めたバランスシートを作成することになったため、そのことにも言及したほうがよいのではないかというご意見を頂戴しております。これを踏まえまして、「地方公共団体による単独事業の決算開示や貸借対照表などの財務書類を充実させていくことも重要」という1文を追加してございます。

 それから、飛びまして、37ページ、地方財政の最後のほうの部分でございます。先ほど申し上げましたとおり、冒頭にありました部分と整理しましてまとめて書いてございます。

 続きまして、公共事業でございます。まず38ページでございますけれども、これも(1)の総論部分と(4)のまとめの内容が重複しているというご意見を頂戴しております。これを踏まえまして、(1)のほうにつきましては、「社会経済構造の変化の下での社会資本整備」、それから、まとめの部分の(4)につきましては、「これからの社会資本整備のあり方」として再整理を施してございます。

 同じ38ページの8行目あたりからでございますけれども、今後多くの自治体が消滅の危機に瀕することになるといった背景について記述を充実してほしいというご意見を頂戴いたしております。これにつきまして、今月、人口減少問題検討分科会から公表されました人口減少に関する報告書の内容について、前回の案文では注釈のほうに記述をしてございましたけれども、本文にも関連する記述を追加してございます。

 それから、38ページの(2)既存の社会資本の維持管理・更新についての部分でございます。この(2)につきましては、まずは社会資本ストックの現状や更新コストなどの把握、次に、全てを更新するのではなく、コンパクトシティなどの集約化を図る、そして、3番目として、国や地方公共団体での具体的な取組みという、ロジックといいますか段階をしっかり文章として整理したほうがいいというご意見を頂戴いたしてございます。これを踏まえまして、(2)の部分についても整理を行ってございます。

 続きまして、40ページをお開き願いたいと思います。中ほどの17行目、(3)建設労働者の不足についての部分でございます。ご意見といたしまして、労働者不足は深刻であり、特に建設現場の技能労働者が不足している、かつ高齢化をしているということが問題である。こうしたことは現実に財政問題にも波及しているので、その趣旨を加えてもよいのではないかというご意見を頂戴してございます。これを踏まえまして、冒頭のところで、「現在、民間も含めた建設投資に際して、技能労働者の不足による建設コストの高騰が指摘されている。これは公共事業にとってもそのコストや円滑な執行の観点から注視すべき課題」との記述を追加してございます。

 公共事業の部分の最後でございますけれども、右側、41ページ、この中ほどからでございます。国際競争力強化や防災対策という部分、前回の案文ですと、その趣旨が少しわかりにくいというご意見を複数頂戴いたしました。これを踏まえまして、趣旨の明確化のために、「新規投資については、我が国にとって必要とされる国際競争力強化や防災対策であっても、費用対効果を厳しく見極め、厳選する必要がある」という記述に修正を行ってございます。

 続きまして、最後、文教でございます。まず、42ページでございます。ご意見といたしまして、文教、公共などのように、長期の構想が描きにくいのかもしれないが、財政との関係では少子化が進む中で今後の教育の長期構想が求められている、それを記述に生かせないかというご意見を頂戴してございます。これを踏まえまして、冒頭に、教育予算の今までの現状把握と今後の目指すべき方向性について記述を追加してございます。

 続きまして、44ページをお開き願いたいと思います。中ごろの11行目あたりでございますけれども、職員の質を向上させるためには採用を抑制すべきだという記述を追加してもよいのではないかというご意見を頂戴してございます。これを踏まえまして、「研修等を充実して教員の質向上に向けた取組みを進める一方、採用者の増加を防ぐ観点からも定数拡大は慎むべきである」と修文を行ってございます。

 続きまして、45ページでございます。上のほう、2行目あたりからでございますけれども、学校の規模の適正化という言葉が具体的に何を意味しているのかがわかりにくい、もう少し明確な記述にできないかというご意見を頂戴してございます。これを踏まえまして、「学級規模がこれ以上小さくならないよう維持しながら、小中学校の規模を適正化すること」と説明を補完してございます。

 そして、45ページでいいますと、下の20行目あたりをごらんいただきたいと思います。ご意見といたしまして、少子化が進むことで学校の統廃合が進むことは仕方ないけれども、児童の安全を確保しながら取り組むということを記載できないかとご意見を頂戴いたしております。これを踏まえまして、「子どもの安全の確保に十分配慮しながら」という文章を追加してございます。

 続きまして、46ページをお開き願いたいと思います。中ほど、13行目あたりからでございますけれども、運営交付金と大学の評価に関する記載でございます。少し論理の飛躍が見られるので、わかりやすくなるように修文すべきとご意見をいただいてございます。これを踏まえまして、説明がわかりやすくなるよう記述を整理したところでございます。

 主な修文につきまして、私のほうからは以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。今回の取りまとめに当たりましては、起草委員の4先生方に大変ご尽力いただきました。本日、土居委員はご欠席ですが、出席されている起草委員の方々で、もし今の事務局説明に補足する点があればご意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。田近先生、富田先生、小林先生、よろしいですか。

 では早速、議論に移りたいと思います。審議の進行ですが、前回同様、全体を3つに分けて審議を行いたいと考えております。まず報告書の総論について、その次に各論のうち、社会保障について、最後に各論のうち、地方財政、公共事業及び文教と3つに分けて審議をお願いいたします。

 では、総論について、早速ご意見いただければと思います。どなたからでもどうぞ。

 岡本委員、どうぞ。

〔 岡本委員 〕 前回欠席しましたけれども、4点ほどお願いしたところが全部この中に反映されておりまして、ありがとうございます。そして、この簡易版を見ましたけれども、本当により簡素に、皆さんに伝わるようにとまとめられたのが大変よかったと思います。

 全体を見ますと、ほとんどが率で記述されているのですけれども、金額のほうがはるかにわかりやすいというところがあると思うのです。具体的には11ページなのですけれども、21行目に「名目経済成長率が3%超の高い成長が続く場合ですら」、「ですら」とあるのですけれども、この3%がいかに大変かということがパーセンテージだとなかなかわからない。

 例えば2020年度でこれが幾らになるかというと、600兆円を超えるわけです。今、GDPは500兆円が20年間続いているわけですから、それが600兆円になるということは企業人から見るとこれはとんでもない数字だと、そこまでできるのかと。逆に言うと、内閣府の試算はこの600兆円を前提として、それでも2020年のPBは12兆円の赤字だということですので、例えば、「3%超の高い成長が続き、GDPが500兆円から600兆円を超えた場合ですら」と絶対額を入れて、少しでもわかる人がふえればいいなと思います。

 もちろん簡易版の中でもポイントのところに絶対額を入れる。例えば1京円という債務残高を見ると、これは計測も不可能なのですけれども、ものすごいという感じがするわけです。そういった意味で、GDPや、あるいはほかの項目もポイントになる数字は、シミュレーションではありますけれども、できるだけ絶対額を示してくれればありがたいなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 どうも具体的なご提案ありがとうございました。

 では、続けて、葛西委員、お願いいたします。

〔 葛西委員 〕 この間少しお話をしたポイントですが、3ページの下から次にかけて、「大胆な金融政策等による円安にもかかわらず」という書き方になっています。円安とは一体何が基準なのかがはっきりしませんし、大胆な金融政策、これは事実上アベノミクスという意味だと思うのですが、「にもかかわらず」ということでそれを否定するような書き方になっていますが、それは少し言い過ぎなのだろうと思います。

 私はこのように直したらいいかと思うのを読み上げます。原油等の「等」は、これは後にも「等」がありますので、ここの「等」の意味をはっきりさせておいたほうがいい。原油は例示ですから、「原油等化石燃料の輸入の急増や生産拠点の海外移転等により円高の修正効果はあるものの、貿易・サービス収支は赤字に転じている」と書けばいいのであって、輸入が伸び悩んだとか、大胆な金融政策とか、円安とか、定義不明な言葉を入れないほうがいいと思います。それで必要十分だと思います。

 それから、2番目に、6ページ、600%がどういうことを意味するかというところで「公債の利払いや償還が極めて困難な水準」と書いてあるのですが、そもそも600%にまでなるという可能性は低く、恐らくその途中で財政は崩壊するわけでありますから、この書き方だと危機感をあまり強く感じられない。今だっておかしくなることは十分あり得る水準ですし、600%はまさに空想上の数字ではないかという気がするのです。その点の危機感はこの文言からはあらわれていないので、ここを少し、もっとそのはるか手前で日本の国家財政は崩壊する可能性があるのだというようにお書きになったほうがいいのではないかなと思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、角委員。

〔 角委員 〕 私も全く同じことを言おうと思って挙げてしまいましたけれども、葛西委員がおっしゃったように、輸出が伸びておらずということは不正確でありまして、輸出はたしか約10%伸びていると思います。もちろん交易条件は悪化していますけれども、原油等の関係で輸入の伸びがそれを上回ったためにさらに経常収支ぎりぎりのところまで来るほど貿易収支が悪くなったということですので、輸出が伸びておらずという表現も、一部新聞にもこういう見出しが出たりしましたが、やはり輸出は約10%伸びたのだけれども、それを上回る輸入の伸びがあったということをご理解いただくような表現にしていただければありたがいと思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 ちなみに、輸出については数量ベースと円ベースがあるのかと思いますが。

 どうぞ、板垣委員。

〔 板垣委員 〕 お二人から今、意見を伺いましたけれども、貿易収支の悪化について円安がいろいろな意味で影響を与えていることは事実で、円安は政府が期待したほどの輸出拡大効果はなかったという認識は多くの方がお持ちなのではないでしょうか。輸出はもちろんふえていますけれども、これほどの円安の中で期待以上に伸びてはいないという認識は多くの方が持っていらっしゃるのではないでしょうか。もし必要であれば、財務省のほうから統計データ等で説明を受けたいと思っております。

 それともう1つは原油等の輸入ですけれども、数量的には確かに増加しているけれども、一方で国際的な原油価格等が高騰しているという部分もあります。そういうことも含めますと、やはりいろいろな意味で円安が影響しているだろうなという気がいたします。

〔 吉川分科会長 〕 いずれにしても今、何人かの委員の方々から、具体的にはページ3の一番下から4ページの頭にかけての記述、これはお読みいただけばわかるわけですが、この報告書にとっては、とにかく貿易収支ないしは経常収支の黒字が必ずしも続かない、貿易収支に至ってはもう赤字化している、経常収支の黒字のほうも黄色信号がついているというところなのですよね。それがなぜかということはとりあえずは私たちの報告書にとってはある意味では二義的なのですが、今、何人かの委員の方々から、今書いてあることは必ずしも賛成できないというご意見もありましたから、この点もまた起草委員の先生方とご相談させていただければ思っております。

〔 葛西委員 〕 少し一言。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 葛西委員 〕 今、板垣さんから話がありましたが、原油の価格、化石燃料の価格が高騰している原因は、日本で原発がとまった結果として追加の燃料の輸入をする必要があって、それが値段をつり上げているという効果があるのだと思います。ですから、円安だけの話に持っていくのはおかしいのでありまして、やはり量的に我々がたくさん買っている、足元を見られる、それで価格が上がるという悪循環をもたらしているのではないかという側面を見ないで済ませるわけにいきません。よって、この書き方では不十分だと思います。

〔 板垣委員 〕 よろしいですか。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 板垣委員 〕 葛西委員からご指摘がありましたけれども、葛西委員は常に原発停止の問題で上がっているのだとおっしゃっているけれども、そうではなくて、もっと日本経済の構造的な変化の中でこういう収支の問題が起きているという認識は、偏った意見を言っているのではなくて、非常に大きな話をしているつもりなのです。ですから、ここはむしろこんな単純な話ではなくて、もう少しきちんと原因分析をした文章を書き込むべきであって、私はこれでいいとは言っていません。ご了解ください。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。いいとおっしゃっている委員の方はどうやらいらっしゃらないということのようですから、ここの部分は起草委員の先生方を含めてもう一度練らせていただきます。ボトムラインは、要するに、貿易収支が赤字化している、経常収支の黒字も黄色信号がついている、このことが将来の財政の安定のために懸念される材料なのだと、これがとりあえずこの報告書で言いたいことですよね。

〔 葛西委員 〕 そうですね。極めて複雑な原因が絡み合ってそうなっているということを、たった1つの円安云々と言うのはおかしいと僕は言っているのですが、お任せします。

〔 吉川分科会長 〕 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ、田近委員。

〔 田近委員 〕 会長の指摘のとおり、これから考え直さなければいけない立場の者としての事実認識ですけれども、これからきちんとするとしても、「経済財政白書」でも、円安に伴って生じるだろうと当時想定したほど輸出は伸びてないという記述がたしかあったように思います。ですから、そういうことも踏まえてここをさらに考えてみたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 いかがでしょうか。

〔 角委員 〕 その「当初想定」という言葉を入れていただくだけでも私は賛成です。

〔 吉川分科会長 〕 皆様方それぞれ違うようですが、要は、この箇所は要修文ということですよね。少し書き直してみる必要があると。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

〔 中空委員 〕 普通に読んでいると、きれいな文章になり過ぎていてあまり見つけられませんでしたので、今回は国民としてまず読んでみました。そのときに、PBという言葉がたくさん出てきますが、国・地方PBと、一般政府PBと、普通のPBと3つ出てきます。多分同じことを言っているはずなのですが、おそらく国民の目から見て、違うのかなと思われてしまうと思うのです。統一するなら統一したほうがいいかなと。少なくともわりと目立つ表現なので、それをまず思いました。

 もう1つは、4ページ目にあるのですけれども、「国債についても市場や国債保有における海外投資家の割合が高まることにより」と書いてあって、海外投資家の割合が高まることが悪いことのように書いてある。言っている意味はわかります。多分こういう会議に出ている人はみんなわかっていて、金利が上がっているから海外投資家が持ってしまっているという話だったり、それがボラティリティーになるということはわかっているのですが、ただ一方で、多分財務省は海外の投資家の人にもたくさん持ってもらおうと思って、ロードショーもしておられると思うのですね。なので、一瞬、「あれ?」と金融マーケットにいれば思うかなと考えました。

 概要のほうも言ってもいいですか。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 中空委員 〕 これは金融の人の立場からです。けちをつけるようなことになりますけれども、もし金融にいる人たちがけちをつけるとしたらどういうポイントかなと思って読みました。

 この短いものですごくまとまっていていいということは確かです。確かなのですが、多分批判する人は、総花的ですねと言うと思うのです。そこは仕方がないと思うのですが、結果何が行われるかというと、財政再建の具体策としてどこに重点を置くのかということがメッセージとして伝わらないかなという気がしました。例えば金融のマーケットの人たちが待っているのは、どこで何をやりますよと。例えば年金で50%分の削減をしますよとかドーンと出てくると、それはすごくサプライズになると思うのですが、せっかく600%という数字が出て世の中が注目しているので、どこで減らしていくのかというポイントがあるとなおいいのではないかなと思いました。

 例えば2ページ目、社会保障のところをごらんいただくと、年金の分量がいかにも少ないのですよね。ここをみんな待っているはずなのに、医療・介護とか、生活保護とか、ページめくると地方財政とかかなりのボリュームが割かれているわりに、年金が少ないという印象を持つかなと考えます。

 別にマーケットの期待に全面的に応えましょうということはないのですが、将来的にどこで何を減らしたいかということを指し示していく必要があるかなということで、今回無理でも、次回こういうことをやるときには、そんなこと言っていた人がいたと思っていただくとありがたいかなと思います。

 欧州で財政再建、今度はできるのではないかとみんなが思ったのは、歳出で何%、歳入で何%という割合を示して財政削減していきますよということを指し示した後だと思うのです。ですので、そういうウエートづけというか、どこが大事だと思っているかということを入れたらいいかなと思いました。この概要をパッと見ると、これから医療は削っていきますねと何となく見えると私は感じました。ということで、金融の人がパッとこれを見たときにけちをつけるのだとしたら、今のポイントになるかなということでございます。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、ほかにいかがでしょうか。

 よろしいですか。では、また後で総論に戻っていただいても結構ですので、とりあえず先に進ませていただきます。次は、報告書各論の1、社会保障についてのご審議お願いいたします。どなたからでもどうぞ。

 古賀委員。

〔 古賀委員 〕 ありがとうございます。社会保障の項目で2点ご要望、ご意見申し上げます。1点目は27ページ、(3)負担面で必要な改革でございます。これはいつも我々の主張は取り入れていただけないので座長に一任しますけれども、15行目にある、「むしろ雇用保険に対する国庫負担の引下げ」という記載でございます。人の営みの非常に重要な柱である雇用に対して国がどれだけ関与するかということは極めて大きな課題であろうと思っています。政府、そして、労使が応分に負担をするということからすれば、この文言は削除すべきであると思います。

 続きまして、28ページ、マル2支え手の増加のところでございます。8行目になりますが、障害者の就労支援が盛り込まれたことは極めていいことだと思います。加えて、支え手の増加ということであれば、若者にも焦点も当てるべきではないかと思います。具体的に言えば、例えば、「ニートやひきこもりなど困難を抱える若者」という文言を挿入してはどうかと思います。以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうも具体的なご提案、ご指摘ありがとうございました。2点とも起草委員の先生方と議論させていただきます。

 続いて、大宮委員、遠藤委員、お願いいたします。

〔 大宮委員 〕 ありがとうございます。大変よくまとまっていて感心いたしました。

 1つは、27ページの13行目ぐらいですか、「これ以上の公費負担への依存を高める余地はなく」と書いてあるこのパラグラフです。実は3ページの頭のほう、2行目ですか、労働者人口の減少が加速するから雇用者報酬も減少することが見込まれている中でということになると思うのですけれども、今、保険料をとれるところからとるという感じが少ししております。

 それはどういうことから来ているかといいますと、厚生年金の保険料が今、24か25兆円ぐらいだと思います。それで、消費税率を上げることは非常にたくさんの方々が論議に論議を重ねて、また法人税をどうするかということも大変な精力を注いでいるのですが、厚生年金の保険料は毎年どんどん値上がりしていまして、経営者とか現役の世代は、税に比べて十分な議論がなされないままどんどんふえていっているのではないかなという感触を持っているのではないかと思うのです。そういう意味では、公費負担の部分はもちろん削っていくのは当然だと思うのですけれども、全体でうまくバランスをとりながらやっていくというような形で少し考えていただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。なお、保険料の部分については、実はマクロ経済スライドという大きなフレーム自体は世の中で議論をして一応制度としてはできているということだろうとは思うのですけれども、ご指摘踏まえてもう一度議論させていただきます。

〔 大宮委員 〕 多分これは、全体の制度の問題に帰着するのではないかという気がします。要するに、負担することと、それを支援することとのバランスをどのような形でやるのかということが、かかわっている人たち全体にとって適正だなと思われるような形で何か表現がされているといいかなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。ありがとうございます。

 では、遠藤委員、それから、鳥原委員。

〔 遠藤委員 〕 おまとめいただきましてありがとうございました。

 まず細かい点ですが、24ページ、25ページをまたぎますところの貧困ビジネスについて、ご解説を加えていただいたというご説明をいただいたのですが、実は24ページのほうに初出の貧困ビジネスがございますので、普通のルールでいけば、こちらにご説明を入れていただくほうがわかりやすいという点を指摘させてください。

 もう1点は、29ページの女性の就労促進のところで具体的な文言を入れていただいたのは大変ありがたいと思いました。ただ、1点、注釈のところに配偶者控除についての説明をいただいていて、これは130万円の壁に比べると103万円の壁は壁の高さがなだらかというか、急激に高くなるわけではないという説明がなされているのだと理解をしましたが、読みようによっては、配偶者控除についての壁は、特別控除によって調整されているという点で、若干ポジティブに受け取られてしまうのではないかという感想を持ちました。

 従いまして、配偶者控除についても、働く意欲を阻害しかねない仕組みの一つとして、ここで指摘していただくほうが少しわかりやすいのではないかとの印象を持ちました。ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 では、鳥原委員。

〔 鳥原委員 〕 27ページの15行目の「雇用保険に対する国庫負担の引下げも含め」という文についてです。これは、古賀委員が言われたことと同じですけれども、とりわけ雇用保険について、私も昨年この場で申し上げましたとおり、労使及び国の3者がみんなで支え合うセーフティーネットの役割を果たしてきているということから、一定の国庫負担を維持することは必要であると思います。その意味で、引下げという表現に関しては賛成しかねます。

 また、負担のあり方に関してですが、逓増する社会保険料が事業主への大きな負担となっているという現状を踏まえると、さらなる負担を求めることについては企業経営に及ぼす影響を十分に考慮することが必要であると思いますし、そのような認識も踏まえて考えていただきたいと思います。

 それから、ここに直接書かれてはないのですけれども、マイナンバー制度が28年度から導入されます。このマイナンバー制度導入の背景を考えて、社会保障分野での円滑な活用を通じた効率化の実現が急務であるという趣旨の一文をどこかに入れていただきたいと思います。以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうも具体的なご指摘ありがとうございました。

 では、続いて、竹中委員。

〔 竹中委員 〕 28ページの支え手の増加というところで項目を加えていただいてありがとうございます。そして、障害者の就労支援等のところも文言をきちっと修正をいただいて感謝いたします。

 先ほどニート、ひきこもりなどの若者を入れるというお話もありましたが、ここのところを、「女性の就業率や出生率の向上を図るとともに、多様な働き方を創出し」として、先ほどおっしゃったことを、「若者や障害者の就労支援をはじめとした」と入れていただくと、今の時代に合って、支え手をふやすことが単に雇用率のパーセンテージの上昇というだけでなく、さまざまな働き方を創るということについて、読んでくださった方がアイデアを出していただいたりできるのかなと思いましたので、よろしくお願いします。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 ほか、いかがですか。

 岡本委員。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。19ページの上から3行目でレセプトデータのことに触れておられるのですけれども、3月28日の松田先生の講演を聞いても、ここは非常に重要だなと思いました。社会保障の歳出カットについてはこれから社会保障制度改革推進会議等で議論されるのでしょうけれども、私はいろいろな種というものは出尽くしていると言ってはなんですけれども、すでにそれぞれあると思うのです。そういった中でレセプトデータ、医療データの総額管理を強く打ち出した。しかしかなりネックがあってなかなか物が進まないということを考えた場合、ここではこのような体制をきちっと整理して、その上で可視化するということなのですが、この文章だと何か流れの中の1つみたいに見えてしまうので、もう少し強調したような文章にならないかなと感じます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 ほかに、社会保障はいかがでしょうか。

 井堀委員。

〔 井堀委員 〕 細かいといえば細かい点ですが、30ページの最後の段落のところを読むと、消費税率の10%への引上げに関してかなり消極的な感じで書いているようです。もちろん意図はわかります。本来、消費税率を10%にちゃんと上げるべきだということが全体のトーンではなかったかと思うのですが、ここの書き方からすると、縮減せざるを得ない可能性も否定できないと、消費税増税に若干消極的過ぎる印象を受けます。言っていることの意味は全体の流れからするとわかるのですけれども、ここの25行目以下のところはもう少し工夫が必要ではないかと。若干考えていただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 今の井堀さんのご指摘は、具体的にはこのページの下から2行目の「可能性もない訳ではない」という文章ですよね。

〔 井堀委員 〕 はい、そこです。ここの書き方をもう少し工夫したほうがいいのではないか、あえてここはこう書く必要があるのかという気がします。

〔 角委員 〕 おかげさまで消費税率の改定が非常にスムーズにいっておりまして、百貨店の例で申し上げますと、4月の上旬、中旬は少し落ち込みましたけれども、下旬には、前年並みとは言いませんけれども、微減ぐらいまで来ました。ですから、いろいろな新聞にも出ていますけれども、いろいろな業界で個人消費については今回の消費税改定は非常にスムーズにいきましたし、今のいろいろな指数を見ましても、このまま行けば10%は確実に実行していただけるのではないかなという気がします。ですから、ここはあまりネガティブにそういう可能性があるとか書いていただかないほうがいいような気もしないではないです。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。

 竹中さんも、どうぞ。

〔 竹中委員 〕 同じ方向の意見ですけれども、総論の1ページのところの脚注で、「消費税率が2015年10月1日より10%に引き上げられること等を前提としている」ということで、今回の議論のまとめができているという意味からいうと、やはりその雰囲気と合わせたほうがいいのかなという感じはします。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。今、複数の委員の方々から基本的には同じご意見が出たと思います。

 中空さん。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。先ほども申し上げたのですが、やはり年金のところの分量がいささか少な過ぎないかと少し思います。今から水増しするのも難しいのだとは思うのですが、年金のことをさらっと行き過ぎている気がします。特に若い人たちから見ると、世代間の不公平をものすごく感じているところだと思うので、例えば受給開始年齢の引上げ等の言葉が入ってもいいかなと感じました。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 ほかに社保のところでいかがでしょうか。

 田近先生。

〔 田近委員 〕 何人かの方から27ページの15行目の「雇用保険に関する国庫負担の引下げも含め」というところでご意見がありました。まず第1に、この財審の建議は何年も出ていますけれども、今回総論のところに記載したように、日本の財政がますます厳しくなってきて、先ほど来の債務残高対GDP比が600%になるならないという議論はともかく、計算上はそうなると。そして、そのほか、2020年度の国・地方のプライマリーバランスの均衡を達成しても、なおかつ2060年度に債務残高対GDP比を100%にするにはGDP比8.2%の収支改善幅が必要だと。これが今回の財審の報告書の基調になるものだと思います。したがって、27ページで「これ以上公費負担の依存を高める余地はなく」と書いたわけです。

 雇用保険に関しては、基本的には雇用者と被雇用者の間で失業に対するリスクをシェアするという仕組みで、その大層は基幹的な労働者に対する保険であるわけです。それに対する国の関与は、基本的には、例えば大恐慌というものはないのでしょうけれども、リーマンショックを上回るようなショックで大失業が起きたと。そして、雇用保険の積立金も枯渇した、あるいは膨大な積み立て保険料の引上げが必要だと。そういうときには国が一定程度の関与をして、そのコストを時間をかけて負担をしていくという責任はあると思うのですけれども、通常の摩擦的な失業の段階で国が関与するということを行っている国は私の知っている限りどこもないと思います。

 そういうわけで、この点を今回強調するというよりは、我々の前段の了解事項である、公費負担への依存を高める余地はないということを考えれば、雇用保険も決して公費負担に関する聖域ではないと。したがって、「むしろ雇用保険に関する国庫負担の引下げを含め」というのは、私は財審のステートメントとしてふさわしいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 いかがでしょうか。今の点で既に鳥原委員と古賀委員は先ほどご自身のご意見をおっしゃったわけで、田近委員は前のお二人の委員の方のご意見とは180度逆のご意見ということだと思いますが、この点以外でも結構ですが。

 富田委員。

〔 富田委員 〕 中空委員より年金のことについて言及がありましたが、これはマクロ経済スライドが実施されるという前提で考えれば、試算の中にも示していますけれども、まさにアンダーコントロールなのです。これから先の選択肢といたしまして、支給開始年齢の問題についても28ページに詳しくお書きしているので、いろいろご心配いただきましたけれども、それはカバーできているものと思っています。

〔 吉川分科会長 〕 ほかにいかがでしょうか。

 鳥原委員。

〔 鳥原委員 〕 今の雇用保険の国庫負担引下げに関してですが、1つは、やはり労使と国の3者で支え合うセーフティーネットの形成という理念としての問題があります。あわせて、過去を見ますと、平成19年の雇用保険法改正で、雇用保険における国庫負担を4分の1、25%から現在の13.75%まで、ほぼ半分引き下げてきているわけです。国の負担を軽くしてその期間に労使双方が多く負担した結果、今日残高が大きく積み上がってきているという状況です。この残高もリーマンショックのようなことがあれば、それで足りないという状況にならないとも限らないということを含めて、現状の国の負担のレベルをさらに引き下げるところまで考えるのはいかがなものかと、そういう意味で申し上げました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。では、社会保障についても、それは総論も含めてですが、また何かありましたら戻っていただくことは結構なので、先に進みたいと思います。3つ目は、この報告書の各論のうち地方財政、公共事業及び文教でございます。要するに、終わりまでですが、またどなたからでもご意見いただければと。

 古賀委員、どうぞ。

〔 古賀委員 〕 ありがとうございます。地方財政で1件、文教で1件、ご要望を申し上げます。

 32ページの地方財政計画の歳出見積等の適正化の給与関係費についてでございます。確かにこの前資料が出まして、地方公務員の場合は、級別の職員配置にいびつがあるという提起がされました。少し調べてみたのですけれども、1つはここに書いてありますように都道府県ごとに非常にばらつきが大きいということと、地方自治体がこれまで独自の行政改革の中で職員数の削減を実施してきており、それが、ひずみの原因の1つではないかと思います。したがって、この実態を少し精査する必要があるのではないかということを考えております。

 したがいまして、具体的には33ページ6行目の「職員配置を前提に積算する方式に速やかに改める」ではなくて、「方式を検討する必要がある」と直すべきではないかと思います。加えまして、そういう実態を踏まえれば、32ページの下から2行目、「早急な是正が必要である」ということは要らないのではないかと考えております。

 続きまして、文教でございます。45ページ、学校規模の適正化についてでございます。「子どもの安全の確保に十分配慮しながら」等の文言を45ページの20行目に入れられておりますけれども、これはこれとして、この問題は、根っこでまちづくりとかコミュニティの問題と密接に関係しているのではないかという気がしてならないわけでございます。したがいまして、この検討の上にはいわゆるまちづくりとかコミュニティ、これらのことも検討しながら進めていくという表現をどこかに入れるべきではないかと思いますので、そのことをご提起申し上げておきたいと思います。以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 具体的なご指摘どうもありがとうございました。検討させていただきます。

 ほかにいかがでしょうか。

 碓井先生、どうぞ。

〔 碓井委員 〕 細かいことなのですが、33ページの27行目で、「単独事業で措置すべき事業が減少していることを踏まえ縮減を検討すべき」だと、この部分である意味結論を先取りして述べているのですが、次のページの4行目からでまた結論を述べていて、少し重複のような感じもしますのでご検討いただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、鳥原委員。

〔 鳥原委員 〕 32ページの22行目のところに、「貸借対照表などの財務書類を充実させていくことも重要である」と記述していただきました。財務書類の整備につきましては、発生主義、複式簿記という点が管理を徹底する上で必要であるため、これをさらに強調する意味で、「貸借対照表など発生主義、複式簿記による財務書類を充実させていく」とぜひ明記してほしいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。具体的なご指摘ありがとうございます。

 あとは、板垣委員、葛西委員ですか、その順でどうぞ。

〔 板垣委員 〕 公共事業のところの41ページ11行目ですが、ここのところは、「我が国にとって必要とされる」という言葉が入っていて、これは入っても入らなくても私はいいと思います。問題は、国際競争力強化というこの単語に具体性を持たせないと、要するに、何でも国際競争力強化に資するということで利用されかねないという懸念を前回言ったつもりなのです。防災対策ということであればそれなりの現実感を持ってこの単語を読むことはできると思うのですけれども、国際競争力ということは一体どういうイメージでここに入れたのか、むしろなくてもいいのではないかという気がしたのですけれども、そこを起草委員の方からお願いしたい。

〔 富田委員 〕 現在の内閣において、国際競争力強化ということはかなり重視されている領域であるわけです。この前もご議論ありましたように、これを名目にしてということのご指摘があったわけです。今回、費用対効果ということを言っているのは、まさに目的がいろいろなものであってもB/Cのマニュアルに従って厳選すると。その心は、目的とか波及効果とかいろいろ、全て共同のマニュアル、同じマニュアルで試算するわけですから、同じ事業であればその事業内で優先順位がつくと。例えば港湾事業であれば港湾の中で優先順位がつくという形で厳選していこうということを言っているわけです。それ以上でも以下でもなくて、それは厳選という姿勢についてB/Cで見ましょうということを言っております。

〔 板垣委員 〕 つまり、政府の打ち出しの言葉として国際競争力の強化というものが入っているので、それにコスト面も含めて、あるいは効果も含めて十分であればやっていくと、そういう趣旨ですね。

〔 富田委員 〕 趣旨は、目的が国際競争力強化であれ、それが例えば具体的に港湾事業であれば、港湾事業の評価マニュアルに従って評価するということを言っているわけです。ですから、板垣委員ご指摘の国際競争力強化とは何ぞやということについては、別にそういう名前がついていてもそれは問いませんという書き方なのです。

〔 板垣委員 〕 わかりました。趣旨はよくわかりました。ただ、政府の方針とはいえ、あまりに漠として伝わりにくいかなと危惧したのですが、違和感を持たない人が大勢であれば、こだわりません。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。

 では、葛西委員、お願いいたします。

〔 葛西委員 〕 44ページでございますが、教員の大量退職があって、採用で質が確保しにくくなっているというところなのですが、ここで「採用者数の増加を防ぐ観点から」とわりとやさしく書いているのですけれども、今子供の数も減っておりますから、それと合わせて教員配置の効率化を図る好機と捉えるべきであると考えるべきではないでしょうか。

 私は、国鉄で要員を削減し、大量退職のときに採用を全面停止しました。それは分割民営の仕組みが成功した一因です。財政改革の中でも、子供の数が減っているのに先生の数がふえるということではおかしいですから、子供の数が減っている、先生の質も確保できない、その時をとらえて数を減らして質を高めると論点を展開したらいいのではないかと思います。

 その観点からすると、「定数拡大は慎むべきである」というところで「につながる施策」を消してありますが、定数拡大はもちろん、それに将来つながるかもしれないものもやはり抑えてしまったほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 ご意見があればどなたからでも。検討させていただきます。

 角委員。

〔 角委員 〕 41ページのこれからの社会資本整備のあり方の段落で、国際競争力とか防災対策であっても費用対効果を見極めると非常に厳しく書いていただいていて非常にありがたいと思います。今月号のファイナンスで、神田課長が縦割りの死の谷を救ったという記事が出ていました。これからのコンパクトシティとか防災、あるいは農業の高齢化とか農業の国際競争力とか色々なことを考えたときに、いわゆる農地の活用といいますか、コンパクトシティをつくるにしても防災にしても、もちろんそれは農業の法人化ということが進まないと、例えば海外の労働力の力をかりないと日本の農業はこれから成り立っていかないとかという別の側面もあると思いますが、少なくとも社会資本整備を考えるときに、農地のあり方ということを、今回ここに書いてくださいという意味ではないのですけれども、やはり国交省だけではなくて、一体となって今後の社会資本についてご議論いただければありがたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 いかがでしょうか。

 それでは、以上で終わりまでカバーしたのですが、全体を通してさらに何かご意見ありましたら。先ほど既に言及もしていただいているわけですが、お手元に概要資料もありますので、これも含めてこの報告書全体について改めて何かご意見、ご感想等ありましたら、どうぞ。

 では、井堀委員、大宮委員の順で。

〔 井堀委員 〕 1つは細かい点なのです。先ほどの年金に関する富田委員のコメントの件で確認ですが、マクロスライド制が適用されれば大丈夫だという話は、多分長期推計の各内訳項目別対GDP比の推移という、長期推計資料の5ページの図を指しているのだと思います。これを見ると、公的年金の対GDP比は10%前後で安定しているから大丈夫だという話なのです。ただ、これは財政的に大丈夫という話であって、世代別に見て、世代間の公平性という観点で見て大丈夫かということはまた別の議論だと思うのです。財政的に大丈夫であったとしても、各世代別で見れば、賦課方式で、少子高齢化が進んでいる以上、やはり若い世代と高齢者との間の不公平というのは、マクロ的に大丈夫であっても、そう簡単には解消できないので、その点はマクロスライド制だけで対応できるものではないのではないと若干気になりましたので、コメントしておきます。

〔 田近委員 〕 その点いいですか。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 田近委員 〕 その点も議論して、井堀さんのおっしゃるとおりで、先ほど中空さんがご指摘された点について、年金のパートが少ないのではないかということは後で見直すとして、富田さんから説明があったように、我々としては年金の2004年改革が粛々と進められて、給付のカット、マクロ経済スライドが行われるならば財政的にサステーナブルだろうということで、背後にそういう前提というか了解があったので短くなっているということで、決してこれがほかと比べて行数が少ないから重要ではないという意味では全然ない。

 それはそうなのですけれども、井堀さんのご指摘の世代間・世代内の公平性ということでいえば、ここに書いてある、年金課税の見直し、公的年金等控除のあり方、それから、議論は散らばるのですけれども、もう1つは、保険料の負担に関する支えを能力負担別に切りかえていく、つまり、低所得者の人たちの負担を下げるというようなこと。それから、ここでは深くは議論していないのですけれども、支給開始年齢の話ということで、井堀さんの指摘のとおりで、こちらでも1回考えますけれども、ご指摘に対する対応が散らばっているということは否めないと思います。ただ、今言ったように、年金課税の話、それから、保険料の負担の話、支給年齢の話ということでそれなりに対応はしていたのかなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、大宮委員、お願いいたします。

〔 大宮委員 〕 ありがとうございます。今回の資料に関係ないのですけれども、私、バランスシート、バランスシートと何回も申し上げていて、実は勉強不足で、随分立派な国の連結のバランスシートもどうもあるようであります。ただ、これを見ていますと、まだ十二分に活用されていないのではないかなという感じがします。

 資産の中でも、負債とマッチングしていて、対応関係にあるのでその資産が有効に活用できないかもしれないとか、それから、有形固定資産等はそう簡単には現金化ができないというようなことが記述はされているのですけれども、今までの論議ですと、どちらかというと、国の資産を切り売りしてでも少しでもお金を現金化して、財政に少し助けになればというような考えが多いと思いますが、実は資産というのはいかに有効に活用できるかとか資産の価値をどうやって高めるかということも非常に大事でありますから、そういう視点での議論等が、財務諸表をもう少し活用するという視点でもって深まるといいのではないかなと思います。

 地方でもこれからバランスシートをつくるという計画が動いていると聞いていますので、それらをあわせて論議ができるといいなと思います。例えば縦割り行政になっている国有林の活用みたいなものも、木材の利用ということだけではなくて、観光とか、水資源とか、防災とか、いろいろ組み合わせると資産価値が上がるようなこともあるかもしれないという気がします。

 それから、外国債を活用ができるかどうかよくわかりませんけれども、為替対策用に持っているものをどこかに預けたままということも何となくもったいないという感じもしますので、その辺の視点が1つあるといいかなと思いました。

 それから、これは質問なのですけれども、今日NHKを聞いていたら、全国300を超す公共団体の公益法人がどうも幽霊法人になっていたりして実態がよくわからないと。その中に資産がどうも100億ぐらいあったとかという記事がありましたが、国の財務書類のポイントの中で連結の中に公益法人が入っているのですが、この辺はかなり前から把握されていたことなのでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 これは、財務省の事務方からもしクイックなコメントがあれば。

なければ、個別に後ほど事務局がご説明ということで対応とさせていただきます。

〔 田近委員 〕 連結は、国の特別会計と、独法の範囲までだと思います。公益法人までは入ってない。

〔 吉川分科会長 〕 では、中空委員、末澤委員、倉重委員の順で。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。富田委員は実は私の昔の上司でして、全然盾突く気はないのですが、年金のところにあることが大事なので。高齢者のところ、当然読んできているのですが、年齢を上げることにすごく気を遣っている表現だったのですね。それで本当に財政再建になるのかと少し思いまして、それで、年金のところが少ないのではないかと言ってしまいました。

 ただし、せっかくあるのであれば、もしよろしければ年金のページに、後段の高齢者のところに詳細がある旨の記述があると、ページが飛んでいても見やすいかなと思います。私みたいにこうやって聞けたらいいのですけれども、聞けない人がいて、「ないのだな」と思われたらそれまでになってしまう気がするので、もしよろしければそういった注書きみたいなものがあったらいいかなと考えました。

 44ページ目なのですけれども、私が不勉強だったらすみません、PDCAサイクルとは一般用語なのですかね。もしそうでないのであれば、ほかにもかなり注がついているので、注をつけるなりしたほうがいいかなと思いました。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、続けて、末澤委員。

〔 末澤委員 〕 2点お願いします。

 まずこちらの概要の総論のところなのですけれども、経済社会の構造変化のところの2番目で「家計金融資産の減少と経常収支の変化」とあります。これは少子高齢化の影響等で家計貯蓄率の低下に伴い、金融資産は減少傾向ということですね。これはまず、家計金融資産には2つありまして、グロスの話とネットの話があるので、どちらかというと家計金融資産負債差額とか純資産とかのほうがいいのかなと思いました。

 その次に、長期的な話を書いているのに、「最近の貿易収支赤字」と書いているので、ここの「最近の」というのはむしろ要らないのかなと思います。貿易収支の赤字に加え、所得収支の黒字減少などにより経常収支が赤字となればと。現状では貿易収支が赤字ですけれども、所得収支の高水準の黒字によって経常収支の黒字が確保されていますので、所得収支についても若干言及されたほうがいい。これは、多分、家計貯蓄率が低下すると所得収支もそんなにふえないことになると思います。

 2点目は、本文のほうの先ほどの23ページなのですが、私も年金の記述は大事だと思うのですが、一方で、厚生労働省からも、今後高齢化が進むとむしろ医療費のところの伸びが急拡大するという試算が出されています。それで、今、大企業の健康保健組合が、後期高齢者向けの負担を半分ぐらい出していまして、23ページの13行目に、「自らの加入者に係る医療費について効率化を実現すれば高齢者医療に係る支援金や納付金についても負担が軽減され」という記述がありますけれども、現実には現役世代と後期高齢者に相当断絶がありますので、本当にそうなのかなという気持ちが少しあります。そういう意味では医療費の効率化ということは高齢化のもとでは極めて重要だというところを打ち出していただいたほうがよろしいのかなと思いました。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 では、倉重委員。

〔 倉重委員 〕 この報告書、本当に皆さんの意見を入れて起草委員会の方がまとめていただいたことに深く感謝したいと思います。

 この報告書は新聞の発表に限らず、あらゆる機関に配られて参考資料になると思うのですけれども、今日このブリーフをいただいてどういう記事にするかということをさっきから私、一生懸命習性として読み込んだつもりですけれども、まずこれを全部読むまではなかなかいかないかもしれなくて、概要を見て、どこか見出しどころを探したいなということでやると思うのです。いつもと違うところは何なのだ、毎年同じことをやっているのではないかということで、新聞記者とは勝手なもので、そういう観点からまず見出しどころを見ます。

 しかし、今回はやはり経済社会の構造変化というところがこれまでと非常に違った部分だと思うのです。特に経常収支赤字の構造的な変化、それは構造化していくのではないかという部分のところでは、双子の赤字という指摘もあるし、先送りは許されないということになっています。

 それと、今回長期推計をしたということ、それから、諸外国との比較をされていますよね。諸外国と比較された結果、どのようにそれを評価するのかということについて、私は、諸外国はこれだけ真っ当にやっているのに、なぜ日本がこの20年かけてこんなにひどくなってしまったのかというところで、やはり財政健全化への考え方そのものが非常に中途半端というか、日本国家として、政治も国民も含めて、その辺に警鐘を鳴らすような見立てがあってもいいのではないかなという気がします。

 例えば総論の中に、長期推計の後あたりに丸1つで、諸外国と比べてみたけれども、日本の財政健全化のこれまでの過程とやってきたこと、現状は非常に劣位である、劣っているというようなことを言ってもいいような気が私はするのです。財政審でずっと皆さんと議論していて、ある意味では感情的な話になるのかもしれませんけれども、そういう部分が今回の場合は多少あってもいいのかなという印象を受けたのでこういう発言をしています。

 別に全面書き直しとかそういうわけではなくて、これは、財政審の中でどういうことを言いたいのかというプレゼンテーションにもなるかなとも思うのです。半端な言いざまで申しわけありませんけれども、諸外国との比較を総論の前に持ってきたらいかがかなと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 本文のほうでは10ページの14行目ぐらいからご指摘の国際比較とかがあって、頑張らないとだめですよというようなことも書き入れてありますね。小林委員、お願いします。

〔 小林委員 〕 今、会長に言っていただいたのですけれども、今、倉重委員がおっしゃったような思いは、10ページの14、15行目ぐらいから書いております。この赤の入っているあたりですけれども、「これまで財政健全化目標が達成できなかった我が国においては、国民の負託を受けた政治家が強い覚悟を示し」云々という。さらにその後に、「審議会で行った長期推計を定期的に実施するべき」だというようなところまで踏み込んでいますので、私もこれを概要の中に一丸つけてもいいのかなという気は少しいたしました。

 それと、今のお話の中で、新聞記者としてという意味でいうと、今のところもそうなのですが、やはり見出しとしては、あまりいい見出しではないかもしれませんけれども、PB黒字化が最終到達点ではなくて出発点であるということと、先送りは許されないという、この2つが見出しかなと、起草するときにはそういうような意識でおりました。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。概要のほうにもそれを加えたほうがいいではないかという倉重委員からの具体的なご指摘だったかと思いますので、そういう方向で対応させていただきたいと思います。

 増田委員、お待たせしました。どうぞお願いします。

〔 増田委員 〕 ありがとうございます。私もいろいろな発表資料をもらうと、まず概要のほうから見る癖がついているので、本文のほうではなくて概要のほうの意見で申しわけないのですが。

 1ページのところの「今後の予算編成における取組み」でどういうことを建議しているのかにやはり目が行くのですが、一番最初のところで、本文に確かにこう書いてあるのですが、「収支改善が可能なときにはできる限りの改善を進めるべき」が黒字で太くなってしまうといまいちだという感じがするのです。当たり前のことをやたら黒く書いてあって、それで、英語に訳したりすると何のことかという感じにもなってしまうので。

 むしろ本文の11ページの一番下から12ページに書いてある、「前年度と同様に「中期財政計画」を上回る規模で収支改善を図るべきである」のほうがやはり意味がある。それはこの概要の下の枠の4番目の丸のところに、「来年度予算編成においては、これらの取組みの初年度として、前年度同様に「中期財政計画」に沿って最大限努力」と書いてあるけれども、むしろ、要約としては中期財政計画を上回る規模で収支改善を図るべきというほうを黒くしておいたほうが意味があるのではないかなと思います。ですから、本文に先ほどのところも続けて書いてあるけれども、黒く書いて目を引かせるところあたりはもう少し改善していただいたほうがいいのではないかと読んでいて思いました。取り扱いは会長のほうにお任せします。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうも建設的なご意見ありがとうございました。

 碓井委員、どうぞ。

〔 碓井委員 〕 先ほど葛西委員が44ページの8行目以下のところでご意見述べられて、私なりに理解してみたのですが、これは、質の維持について述べた段落なのですね。ここでどう書くか、私が考えてみたのは、例えば9行目の「教育の質が懸念されている」の次に、「しかし、安易に定数充足のための大量採用を行うべきものではなく」、少し削りますが、「研修等を充実して教員の質向上に向けた取組みを進める一方」と言って、次の定数拡大とかそのような文章は入れない。

 むしろ、次の学校規模の適正化の項目など全体を通せば、長期的には抑制するということは大前提の報告になっていると思うのです。ですから、例えばマル3の一番最後、最後というと46ページの7行目、その次あたりで、「以上のような取組みを考えれば、教員の大量退職があるとしても」云々と、そこで結論として定数抑制のようなことをきちんと言うのが自然かなという気がいたしました。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 遠藤委員、お願いします。

〔 遠藤委員 〕 中空委員のご意見につながるところなのですけれども、本文の語尾を見ながら、このレポートのどこに一番力点がおかれているのかに着目いたしました。やはり年金のところで非常に高齢者に慮るような記述が多い一方、教員の人件費や医療費については、厳しい記述がなされています。

 たとえば14ページですと、「結論を得ることを期待したい」といった、議論を預けるような印象を持たせる語尾だったり、その隣の医療費のところでは、「断固実現を求める」や、20ページの「理解に苦しむ」など、厳しい語彙が出て参ります。また、29ページの年金支給年齢の開始については、「併せて丁寧に説明していくことが必要であろう」という表現で、政治的な背景も含めて非常に慮っている印象がいたしましたので、その点もつけ加えさせていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 やはり文章は怖いですね。もう一度ご指摘踏まえて精査したいと思います。ありがとうございました。

 十河委員、どうぞ。

〔 十河委員 〕 私は働く女性の立場でこちらを拝見させていただいているのですけれども、社会保障の中の先ほどの支え手の増加という部分、こちらをかなり加筆していただきまして、ロ)の女性の就労促進とか、ハ)の子育て支援を加えていただいたことは女性としては大変喜ばしいことだと思います。

 さらにつけ加えられるかどうかということは審議していただいたほうがよろしいかと思うのですけれども、今、遠藤委員がおっしゃったように、これだけ女性の社会進出を促進しようという政策の中で、やはり女性が加わったり考えたりできる内容がまだ少ないかなと正直感じております。

 例えば就労促進に関しましても、最初の1行に、「就労促進に当たっては、様々な観点からの取組みが必要と考えられる」の1行の後にすぐ、いわゆる130万円の壁を取り払うという形になりますと、やはり女性を無理して働く場に出すというように、多少ネガティブに捉えられがちかなとも思いますので、こういった130万円の壁を取り払うとともに女性の雇用の拡大を具体的に委員会としても考えているというような1文を加えるとか。

 あとは、今、このような財政難に遭っている最も大きな問題といたしまして、やはり超高齢化ということがあって、その一方に少子化という問題があると思います。そういう意味では、子育て支援ももちろん大切なのですが、やはり出生率を上げていくことが本当に喫緊の課題であることは皆さんもおわかりだと思うのです。そういった1文をこちらの委員会として入れられるのかどうか、これは私の判断はつきかねますけれども、女性がこれを読んだときに、やはり自分自身の問題として考えて、そして、国のために行動していくというようなポジティブな文言も少し加えていったらいかがかなと思いました。

 それと同様に、こちらの概要のほうも、給付面での改革という部分は、私、編集をしておりますので、先ほどの表記ということに関しましては、やはり太文字あるいは傍線というのは大変目につきます。一方で、いわゆる太文字でないところは流されがちなのですけれども、負担面の例えばマル2とかマル3の女性の就労促進とか子育ての支援とか、そこに括弧で「負担を子どもたちにつけ回さない」ということも書いてありますけれども、こういった部分も多少強調してもよろしいのではないかなと思いました。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうも貴重なご意見ありがとうございました。検討させていただきます。

 いかがでしょうか。

 富田委員、お願いします。

〔 富田委員 〕 6ページのところで葛西委員からご指摘いただきました600%のところなのですけれども、私も葛西委員おっしゃったように思っておりまして、600%と計算されるのはあくまで机の上の計算なのです。そこに至るまでに日本国債は市場の信認を失ってしまい、日本国債の金利は上昇するだろうと。したがって、公債の利払いや償還が極めて困難な状態に直面することが予想されるとか、そのように直させていただきたく思います。

〔 吉川分科会長 〕 いかがでしょう、ほかに。

 よろしいでしょうか。では、時間がまだ少し余っていますが、今回のこの報告書の本日の議論は一応これまでとさせていただきます。本当に貴重なご意見、具体的なご意見いただきまして、ありがとうございました。

 皆様からいただいたご意見を踏まえまして、大変恐縮ですが、最終的な修文等につきましては私にご一任いただけないかと思います。皆様方からいただいたご意見は、起草委員の方々中心にきちっと責任持って議論させていただきます。ただ、幾つかの論点については、本日の議論の中でも何人かの委員の方々の中で意見が分かれているものもあるわけですから、全ての委員の方々がおっしゃったとおりの最終案にするということはもう既に不可能ということになっています。しかし、いただいたご意見はきちっと議論させていただきます。

 その上で最終的な修文を行い、この報告書につきましては、今週の金曜日30日に私と起草委員の方々で皆様方を代表させていただきまして、大臣室へ伺い、麻生大臣へ手交、手渡しさせていただくこととしたいと考えております。なお、本日の報告書(案)につきましては、大臣に手交するまでは非公表となっておりますので、くれぐれもお取り扱いにはご注意くださいますようお願い申し上げます。

 なお、本日夕刻より開催される経済財政諮問会議におきまして、麻生大臣から、お手元にお配りしている報告書の概要を用いて、当審議会におけるこれまでの議論の主な論点についてご紹介していただくこととなっております。この横長の大きな、先ほどからご議論いただいている概要ですが、この概要は、今お話ししましたが、本日夕刻の諮問会議で議場配付のみ、会見やホームページでは本日は公開いたしません。30日以降、今週の金曜以降にこちらのホームページで世の中に公開していくことになります。

 大変僭越ですが、幾つかお願いをいたしました。こうしたことを含めまして、改めて一応皆様方にご承諾いただければと思います。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔 吉川分科会長 〕 では、本日どうもありがとうございました。

午後 3時44分閉会

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