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財政制度分科会(平成26年5月19日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成26年5月19日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成26年5月19日(月)15:00〜16:48
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

1.開会
2.とりまとめに向けた審議
3.閉会

配付資料 
○ 財政健全化に向けた基本的考え方(案)

出席者

分科会長 吉川 洋           山本大臣政務官
香川主計局長
福田次長
岡本次長
太田次長
小宮調査課長
井口給与共済課長
窪田法規課長
堀田官房参事官
江島主計企画官
堀内主計企画官
余島主計官
阪田主計官
有泉主計官
宇波主計官
青木主計官
井藤主計官
新川主計官
土谷主計官
高村主計官
小野主計官
中村主計官
分科会長代理     田近 栄治  
 委員

碓井 光明
倉重 篤郎
黒川 行治
竹中 ナミ
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基
鳥原 光憲

 臨時委員

板垣 信幸
遠藤 典子
老川 祥一
大宮 英明
葛西 敬之
小林 毅
佐藤 主光
末澤 豪謙
中空 麻奈
永易 克典
増田 寛也


午後 3時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 では、定刻になりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様にはご多用中のところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。

 本日は、報告書の取りまとめに向けて、お手元にお配りしております「財政健全化に向けた基本的考え方(案)」について審議していただきます。

 この報告書につきましては、これまで小林委員、田近委員、土居委員及び富田委員に議論していただき、素案を作成していただきました。委員の皆様方、大変ご多忙の中、ほんとうにありがとうございました。

 報告書の審議の進行ですが、全体を3つに分けて審議したいと思います。まず報告書の「総論」について、次に各論のうち「社会保障」について、最後に各論のうち「地方財政」、「公共事業」及び「文教」と分けて審議をお願いいたします。

 なお、本日ご欠席の岡本委員から意見書をご提出いただいており、皆様方のお手元に配付しております。後ほどでもごらんいただければと思います。

 では、「総論」についてご意見をいただきたいと思います。どなたからでもご自由にどうぞ。碓井委員。

〔 碓井委員 〕 10ページのところの「今後の予算編成における取組み」についての項目の中で、いつも気になっていたことですが、補正予算とプライマリーバランスのことをどう考えるかということ。ここに、前から議論が出ているのを踏まえて、(2)の第2段落で「補正予算や予期せぬ税収減などの影響によって--悪化する可能性があることを踏まえれば」、こう叙述していただいていることを大変高く評価したいと思うのですが、しかし、これが補正予算自体に対する警告といいますか、強いメッセージになっているのかどうかということが、読んでいてやや気になったところでございます。補正予算は、その性質上、やむを得ないから追加的な歳出を行うというものであることは重々承知なのですが、その点が気になりましたので発言させていただきました。

〔 吉川分科会長 〕 これは皆様方全てに共通するのですが、いよいよ取りまとめですので、もちろん感想のようなことでも結構です。それと同時に、ご意見がある場合、こういうふうに文章を変えたほうがいいのではないかと、要は修文のご提案があれば、こういうふうに修文したらどうですかという形でご発言いただけると大変助かりますが、碓井先生、今のご意見に補填があれば。

〔 碓井委員 〕 この段階でそのような準備はできておりませんので、大変申しわけありません。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。では、起草委員の方々にその点はノートしていただければと思います。

 それでは、田中委員、板垣委員。どうぞ、田中委員。

〔 田中委員 〕 はい、ありがとうございます。

 今のご意見は私も同じように感じました。補正予算においても規律が必要ということは以前からも申し上げていたところですが、それをこの文章の中にどう入れようかと私も代案を考えたのですけど、来年度の予算編成において同様というところに、「なお補正等々の規律も配慮しながら」というような文面を入れていただいて、PBのバランスを目指すというような文章にしていただくことができないかと思いました。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、板垣委員。

〔 板垣委員 〕 細かい点ですけれども、3ページ。16行目から始まるところです。「また、これまで恒常的に」と始まっていますけれども、そこで要因分析をして、原油等輸入の急増、それから海外移転の問題を言及されていますが、やはりここには、アベノミクスによる円安について、単語として入れておくべきではないだろうかという気がいたしました。入れようとすれば簡単に入ると思いますので、修文の案文はここでは言いません。

 それから、5ページ。28行目から始まる、「本推計では」から始まるところですけれども、29行目のところで「社会保障等において現行の法律・法律案に基づき実施される制度・施策のほか」、ここで点で切れているのですけれども、これは文章としてすっと来ないという感じです。むしろすっと行くのは、その次のページの6ページのところの6行目、「今後、現行の法律・法律案以外の施策を何ら行わず」、こういう趣旨でここの文章も書かれているわけですが、この文章だとつながらない。もしつなげるとするならば、「制度、施策のほかに何ら」、点を入れずに「に」を入れればつながるのだろうと思います。そこをお願いしたいということです。

 10ページ、24行目から25行目にかけて、その差額を歳出増や減税に充てることができるという考え方はとり得ないと、何かすごく持って回ったような感じがするので、「減税に充てることはあり得ない選択である」というぐらい強い調子のほうがいいのでは。今私が言った言葉が適切かどうかは別として、このぐらいの強い表現にしたほうがいいのではないかと思います。

 とりあえず以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 1つだけ、板垣委員の言及された3ページ、経常収支と円安の関係ですけれども、これはもちろん現状では、特に輸出数量が変わらないもとで円安が進んで、輸入代金、数量も増えて、それで経常収支赤字が膨らんでいるということですが、通常は円安が進むと輸出入数量が減って貿易収支はむしろ好転するということですから、ある意味では「円安にもかかわらず」と、そういう形になるのだろうと思います。その意味で、ここには、「によって」とか「何々だから」という要因が現状挙がっていると思うのですが、円安の場合には「にもかかわらず」と、そういうことだろうと思います。そこら辺、また起草委員の先生方、よろしくお願いいたします。

 それでは、鳥原委員、先にお願いいたします。

〔 鳥原委員 〕 10ページの板垣委員の言われたところで、「既存の内閣府試算よりも」云々、「その差額を歳出増や減税に充てるべきではない」という記述の部分ですが、名目成長率3%を超える高い成長が続く場合でも、2020年度プライマリーバランス黒字化がほど遠いという見通しになっている状況下で、目標を上回る収支改善の手を緩めてはならないことはもちろんです。しかし、一方で高い成長率の実現がプライマリーバランス黒字化の大前提であって、財政健全化と成長戦略の着実な実行を車の両輪としていくことが最も大事なことだと思います。ここは財政審の場なので難しいこととは承知しておりますが、成長戦略の1つとして法人税率の引下げの議論がありますので、減税に充てるべきでないという減税を最初から否定する書きぶりについてはもう少し工夫できないものでしょうか。そういう点で、板垣委員の言われたご意見に反対することになりますけれども、検討していただけないものかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、お待たせしました。葛西委員、お願いいたします。

〔 葛西委員 〕 既に吉川先生が言われたところですが、3ページのところ、アベノミクスによる円安が原因であるというよりは、原油の輸入が増えている原因のほうを書くべきであって、原発を停止したことによる原油輸入、それによって貿易収支が赤字になっている、それが経常収支に影響しているのだという意味で、「原発停止による原油輸入の急増」というふうに書くべきではないかと思います。

 それから、先ほどどなたかがおっしゃっていた10ページの補正予算のところですが、これは「安易な補正予算」ということを入れたらより実態に合うのではないかと。予期せぬ税収入の減だとか予期せぬ財政需要による補正予算ももちろんあるのですけれども、そうでない部分も結構あるのではないかという感じがいたしますので、「安易な」を入れたらわかりやすいのではないかと思いますが、扱いはお任せ申し上げます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。永易委員、どうぞ。

〔 永易委員 〕 どこに入れたらいいのかよくわからないのですけど、1ページの最後のほうかもしれませんが、「2015年度の国・地方PB赤字の半減目標を達成するとともに」というくだりがございます。この中にはほんとうは消費税率10%への引上げが入っているのでしょうが、やはり10月ぐらいには決定しようとしているわけですから、財政審としてはその文言は必須であるということです。それを前提としてとか、そういう流れで書き込むことはできないかという気がいたします。それは我々の議論の大前提だったと思います。入れるかどうかはご判断に任せますけれども、私自身としてはやはり入れてほしいという気がするということであります。

 もう一点、11ページだと思うのですけれども、1行目のところに、「具体的な取組みを早急に検討すべきである」というくだりがございます。全くこのとおりなのですけれども、今回の一連の議論の中で、欧米のいろんな例を勉強いたしました。それで、日本国では財政健全化を担保する制度とか仕組み、これがやはり弱いのではないかという印象を私自身非常に強く持ちました。そういうものを早急に検討すべきであるというような文言を入れていただくと、私が何回か出させていただいた実感に合うのではないかという気がいたします。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 ほかにどうぞ。中空委員。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。

 私自身はこういう会議に出させてもらうのが初めてだったので、正直このような長い文章になれていないのですが、これが出たときに、少し長くないかなという気は一瞬しました。ただ、読んでいて、ずっと財政健全化のことが書いてあるということで、私はおおむね大賛成と思っています。私も1点だけ、10ページの一番最後の行だけ、多少あっちでもこっちでもいけるような解釈に聞こえたので、私はどちらかというと板垣委員と一緒で、減税に充てるべきでないという強い口調で書いたほうがいいのかなと考えました。でも、おおむね財政健全化のことが書いてあることが好ましいと感じました。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 どうぞ、佐藤さん。

〔 佐藤委員 〕 長期推計についてですけれども、6ページのところで2060年度には600%になるというびっくりした数字が出てきて、それで、我が国の財政は持続不可能になるという結果になってしまう。ところが、これは、我々から見るとそうだなと思うのですけど、一般の人から見ると、なぜ600%で持続不可能になるのかということはぴんとこないかもしれない。大体600%などという数字は実際にはあり得ない、何らかの形で厳しい財政再建が迫られる事態になることを示唆し、よって我々の財政は持続不可能だと、そういう文言にしておかないと、単に600%だと、ああ、そうですかで終わってしまうかもしれないので、もともとこんな数字があること自体、今、将来的には厳しい財政再建が迫られるということを意味しているのだということを明言したほうがいいのかなと思います。

 それから、これは7ページ目のどこかに書くことなのかもしれません。感度分析されているので、こういう推計をやると、推計の手法にけちをつけて結論を完全に否定するというパターンがよく出てくるので、あくまでもこれは推計でありますので、いろいろな前提条件で推計されている。ただ、ここから出てくる示唆、つまり国民に対するメッセージは、いろいろな前提条件を変えれば数字は若干ぶれることはあるけれども、どういう前提条件を用いたとしても、やはり我々の財政は非常に厳しい、中長期的に見ればまさに財政持続性が問われるような事態になっている、そういうメッセージがこの長期推計から我々は読み取れるのだということを書かないと、テクニカルな議論に陥る可能性がありますので、そんな一文があればいいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 どうぞ、倉重委員。

〔 倉重委員 〕 少し印象批評的なことを数点言わせていただきます。

 私は新聞記者で、これを受け取ってどう原稿を書いて国民に今の状況をわかってもらおうかということを思案した場合、今回1つは長期推計。ここをどう強調するかと。なぜ今回長期推計をとるのに至ったのかというところがちゃんと書き込まれているのかどうか、全部きっちり読み切っていないのですけれども、そこまで追い詰められているということと、国際標準といいますか、各国並みにやっているということがどこかに出れば。修文までは至りません。

 では、比べてみて何がわかったのかというと、今おっしゃったような600%という恐ろしい数字が出てきたことであり、そのことが何を意味するのかというと、岡本さんのペーパーにもありますけれども、今回の現状認識として、過去と違った部分、プラスアルファとして出てくるのは、やはり双子の赤字化の懸念だと思います。経常収支が赤字になるかもしれないと。そうなると、国債のファイナンスが非常に危機的な状況になる可能性もあるという、岡本さんの意見書の、長期推計についての2番目のマーケット関係者からの非常にきつい見通しみたいなものは、もう少し強調されてもいいのではないかと感じました。

 それから、せっかく各国を見てきて、比較したわけです。見てきたところ、我々が比べて考えるべき対象国は、それぞれ財政健全化に非常に強い意識を持って、実績も出しているということがわかりました。ではなぜ日本ではそれがうまくいかないのかと、先ほどの方の指摘にもありましたけれども、そこの掘り込みがもう少しあってもいい。例えば、9ページの18行目からですね。「主要先進国による」云々というところで、最後のほうに行きまして、「我が国においては、政府はもちろん、国民の負託を受けた政治家が強い覚悟を示し、その必要性を国民に訴えることこそが重要である」と、まさにそのとおりだと思うのですけれども、しかし、これは過去に何度も似たようなことをしてきているのですね。一番はっきりしているのは1996年の財政健全化をしたときでありまして、結局それは大きな経済混乱によってすぐ先送りされたわけです。あのとき、先送りしなければどうなったかという議論も実はあると思っていて、そこまで言う必要はないのだけれども、過去にいろいろなことをやってきて、世界はそのまま進めたけど、日本はひっくり返してまたさらに悪化させていると、その経過を書き込まないと、多少強目であろうとも、いつまでたっても同じような文句を入れているのでは、なかなか世の中の人はわかってくれないと私は感じています。だから、「国民の負託を受けた政治家」というところが非常に重要だと思うのです。国民と政治家というところが。国民の意識と政治家の意識というところで、今回はもう少し強目の表現を示すことが妥当なのではないかと思います。

 それから、さっきもありましたが、やはり消費税率10%の話はどこかにのぞかせておいたほうがいいのではないかと、これから先のある話なので、それが読み取れるような箇所がどこかにあったほうがいいのではないかという気がいたします。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、大宮委員、老川委員。

〔 大宮委員 〕 おくれてきて申しわけありません。あまりきちっと読み込んでいないので、どこかに書いてあるのかもしれませんけど、国のバランスシートについて。フローの話があって、3ページの25行目くらいに「高い家計貯蓄率」とか「豊富な資金余剰」とあって、これがなかなか難しくなっていくかもしれないということは述べられているわけですけれども、国のバランスシートは後ほどの公共事業のところでも多分同じような問題があると思うのですが、国が持っている、ないしは地方自治体が持っている財産を含めてどんなことになっているのかということは非常に大事ではないかと思うので、どのように書いていただいたらいいのかよくわからないのですけれども、その辺のところが財政健全化をする工程において何らかの形で考慮される必要があるのではないかと思っていますので、ぜひご検討をお願いしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、老川委員。

〔 老川委員 〕 私は内容ではなくて、ごく技術的なワーディングの問題ですが、さきほど倉重委員がご指摘になった部分、9ページの20行目です。「それらを上回る規模の財政収支の改善が避けられない我が国においては」とあるのですが、「改善が避けられない」というところは、改善する努力が不可欠ということを言いたい部分だと思うのです。改善が避けられないと言うと、黙っていても改善に至ってしまうと、こういうふうに逆に読めてしまうと思うので、少し細かい点ですが、表現をお考えいただいて。

〔 吉川分科会長 〕 そうですね。「不可避」とかというのですかね。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

〔 碓井委員 〕 5ページのところですが、先ほどから消費税の話を入れたほうがいいのではないか、10%という単語を入れたほうがいいのではないかというご指摘があるのですけど、私もその辺について。5ページの30行目のところで、「法律・法律案に基づき実施される制度・施策」、この中にいわゆる10%は当然入っているのだろうなと思って私はこれを読んでいますけれども、それが隠れているような感じにも見えるので、やはりこういう表現が出るところ、もしくは1つの固まりをつくってもいいと思いますけれども、そこに10%を差し込んでおくということが流れとしてはスムーズかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

〔 大宮委員 〕 すみません、ちょっとよろしいですか。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 大宮委員 〕 先ほど文章が非常にたくさんあるというご指摘もあったような気がしますけれども、私も、多いのは結構だと思うのですが、わかりやすいメッセージ化をする必要があるという気がしています。実は最近、防衛大綱の改善、見直したものの資料を見たのですけど、少し単純化し過ぎているかなという感じもしますけど、絵だとか表だとかがわりあいさらさらと描かれていて、皆さんの理解を得るにはそういう集約版がいいと。新聞等で、先ほど倉重委員が発言されたようなことにお応えするにもいいかなという気がするのですが、どうでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。大変立派な文章で感銘いたしました。

 私の意見は、先ほど意見が出ましたけど、対GDP比600%、6ページの6行目ぐらいですけれども、それがなぜあり得ないか、あるいは我が国の財政は持続不可能になるのかということがわかりにくいのではないか、イメージが湧きにくいのではないかというご意見があったので、それに対する案を今考えたことです。企業金融において資金ショートが起こるというとき、一番クリティカルなのは利子支払いもできなくなるという状況になることです。そこで、例えば「利子の支払いもままならず、我が国の財政は持続不可能になる」とか、何かそういうようなことを書けばもう少しわかりやすいのかなと思ったので、考えてくださいということであります。

〔 吉川分科会長 〕 佐藤さん。

〔 佐藤委員 〕 すみません、もう一つ。8ページ目と9ページの話で、主要先進諸国の取組みを丁寧にまとめていただいたのですが、ここから学ぶことが9ページの5の上にある、国民の負託を受けた政治家が強い覚悟を示すことなのかと言われると、少し違うかなと思います。例えば8ページに書いてありますように、条約等、経済ガバナンス六法であろうと財政協定であろうと、それから、収支均衡基本法に定めるであるとか、カナダの場合はプログラム・レビューですし、アメリカの場合はペイ・アズ・ユー・ゴーですし、やはり財政赤字を生み出さない制度設計があるわけで、制度設計すること自体が政治家の意思だといえば、そうかもしれませんけど、狙いはそういう財政赤字をつくりにくい体制、財政規律が働きやすい制度、工夫をしたということがヨーロッパから学ぶことなのかなという気がいたしました。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。では、何か思い出したということがあれば、また先に進んだ後でも「総論のところで」と言っていただければいいわけですので、次に進みましょうか。

 次は各論に入ります。各論のうち、「社会保障」についてご意見をいただければと思います。今と同じようにどなたからでも、感想のようなことでも結構ですし、具体的な修文でも歓迎ですので、どなたからでもどうぞ。鳥原委員。

〔 鳥原委員 〕 17ページの一番下から、「診療報酬・介護報酬の抑制とあり方の体系的見直し」という項があります。この中で、診療報酬本体といいますか、薬価を除く医師の人件費等の技術サービス部分ですが、その本体の引下げに関する記載がないのはなぜなのかという感じがしました。診療報酬の改定指数はこれまでも賃金指数あるいは消費者物価指数を上回っていて、デフレ下においても上昇を続けてきております。薬価だけではなく、診療報酬本体のあり方についても記載が必要ではないかと思います。

 それから、もう一つは20ページの18行目ですが、「公費負担への過度な依存が、保険者自らが医療費の効率化に向けて積極的に関与する動機を希薄化させているという医療保険制度全体の構造的な問題点」という記載があります。これは少なくとも被用者保険については当たっていないのではないかと思います。協会けんぽや健保組合は、効率化に向けた相当の努力にもかかわらず、保険料収入の約5割を高齢者医療への拠出金に充てておりまして、8割の健保組合が高齢者医療を支えるために恒常的な赤字に陥っているのが現実です。保険者機能の発揮、強化というものはもちろんこれからも取り組むべき重要な課題でありますが、急速な高齢化による医療費急増の影響は、明らかに被用者保険の努力の限界を超えた問題であって、公費負担への過度な依存として片づけられるものではないのではないかと思います。超高齢化による深刻な影響はむしろ国家の責任として取り組むべきものであって、自助・共助・公助の考え方を踏まえて、現役世代に過度に依存した財政負担構造を改める一定の公費拡充はやむを得ないところだと思います。したがって、被用者保険が過度に公費負担に依存しているといった意味合いの記載については再考をお願いしたいと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、碓井委員。

〔 碓井委員 〕 13ページとか20ページ、それから21ページあたりで保険者機能のことに言及されております。ほとんどの方はよく理解なさっているようでありますが、私などは、さて保険者機能とは何ぞやと改めて考えさせられるのですが、それで、申し上げたいのは、建議というのは直接に国民に向けられたものではないと思うのですが、やはり国民にわかりやすくしたほうがよい。そういう意味では、保険者機能がどういうことを指しているのかをもう少しわかりやすく書いていただければと。全体を読んでいれば何となくにじみ出てわかるのではありますが。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。もう何人もの委員の方々が総論に関してもおっしゃいましたけれども、要するにわかりやすくということですね。メッセージを抽象的な言葉だけではなくて、必ずしも専門家でない人が読んでも腑に落ちるようなわかりやすい表現を使おうと、そういう努力が必要だと思います。

 佐藤委員、お願いいたします。

〔 佐藤委員 〕 今の保険者機能のところ、言葉の問題なのですが、「公費負担」という言葉はいつまで使っているのかなと思うのです。いっそのこと「税金」にする。後で「負担面で必要な改革」のところに保険料か公費かという話が出てくるのですけど、実際は保険料か税金かという話をしているはずです。税金といっても今日の税金とは限らないかもしれませんけど、公費負担という言い方が、何となく曖昧という感じがするので、いっそのこと税金と書いたらいかがですかという提案です。

 それから、保険者機能の発揮のところなのですけど、先ほどご指摘のあった「公費負担への過度な依存が、保険者自らが医療費の効率化に向けて積極的に関与する動機を希薄化」させると。モチベーションとしてはそうかもしれませんが、効率化に向けて一体何ができるのかということが逆に今の保険者には問われると思うのです。やはり権限があまりない。全くないわけではないのですけど、診療報酬も国が決めてしまうわけですし、果たして保険者が効率化に向けて積極的に関与できるような環境をどういう形で整備していったらいいのかということについては、情報のICT化とかいろいろとあると思うのですけれども、これは21ページのマル3の上のところで言及されていますが、もう少し踏み込んで、例えば診療報酬をある程度弾力化するとか、頑張れと言ったときに何ができるのだろうということについて、何かもう少し事例あるいは可能性を列挙してみるのは手かなと思います。実際、よく出ますが、広島県の呉市とか頑張っている例もあるわけですから、もう少し具体的な事例を掲げられたらいかがかなというのと、それから、24ページの「負担面で必要な改革」というところで、やはりこれも同じで、さきほどの、「保険料負担の公費負担への付替えになる公費負担割合の引上げは厳に慎む一方」云々と書いているのですが、これも多分税金の話をしていて、ただ、先ほどどなたかがおっしゃっていたと思うのですけれども、ここでいう社会保険料にも2つあって、実際、健康保険の半分は後期高齢者とか前期高齢者への支出金に使われているわけですから、これは保険料ではなく実は税金であるといってもいいような気がするのです。だから、ここでいう保険料は一体何のことなのかということ、ここでいう公費負担、税金とは何のことなのかと考えたときに、社会保険料が実質的には雇用税化しているということに関する認識がどこかにあってもいいのかなと思います。最後のはただの感想なので、修文にはなっていません。

〔 吉川分科会長 〕 公費か税金かということは、佐藤委員がちらっとおっしゃったように、税金といっても、今必ずしもきちっと税金でファイナンスできていないということで、将来の税金というような意味で、別の言い方で言えば財政赤字、赤字国債、そういうことがあるけれども、さてその上でどういう言葉を使うのか。確かに言葉だけとれば、公費という言葉と税金という言葉であれば、税金という言葉のほうが日常的にはよく使われている言葉だろうと思いますが、そこら辺を踏まえて起草委員の先生方から何か。富田委員。

〔 富田委員 〕 今のお話ですけれども、12ページの2行目に公費負担について括弧書きできっちりと示されているので、ここからお読みいただければと思うのですけれども、確かに後ろまでこのとおりの定義が通じるかどうかということはあるので、どこか途中でわかりやすくしたほうがいいのかもしれないですね。こういうことで明記はしてあるということです。

〔 吉川分科会長 〕 「べき」という。わかりました。定義はしてあるということです。

 竹中委員、お願いします。

〔 竹中委員 〕 21ページ、生活保護の上のところで、「ICT化の取組みを深化させることが期待される」となっているのですけれども、もうこのICT化の推進は必須な状況なので、「期待される」というより、もう少し強い言葉にされたほうがよいかなということと、それから、生活保護のモラルハザードとかいろいろ書かれているのですけれども、今や生活保護より最低賃金が下回っているというか、生活保護以下の生活をされている方が増えてしまっているような状況もありますので、そのことについてもやはり少し、どこへ入れるかはわからないですけど、言及されておいたほうがいいかと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 遠藤委員、お願いします。

〔 遠藤委員 〕 まず、おまとめいただきありがとうございます。25ページのところで発言させていただきたいと思います。少しばかり女性の雇用、就労促進に対するところの言及がさらりとしているかなという印象を持たざるを得ませんでした。例えば、130万円の壁のところで、基礎控除、給与控除、第3号被保険者について言及すれば多少詳細すぎて不適切かとご配慮されたのだと思ったのですが、24ページには第2号被保険者とかという文言が出てくるので、大事な問題であることもあり、少し言及していただけるほうがいいと思いました。

 また、同じパラグラフの中に短時間労働者の運用拡大の話が出てくるのですが、女性は短時間労働のために女性労働力の就労促進がされるのだというような印象を持ちかねないところもあると思われます。この第3号の問題とか配偶者控除の問題を気にしているのは普通に正規雇用で働いている女性たちでもあるということも認識しておくべきなのではないかと思いました。また世帯で見たときには、配偶者控除も女性就労促進を妨げているものであるとの見方についても少し言及があったほうがいいのかなと思いました。

 以上です。ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、末澤委員。

〔 末澤委員 〕 どうもありがとうございます。

 その後の子育て支援のところ、26ページに関してなのですけれども、初めの総論の2ページ等では、少子高齢化と人口減少が我が国の財政等にとっても将来的に極めて重要な課題だという記述がございまして、そのわりには子育てのところ、少子化のところが薄い。むしろ、「老齢人口に対する財政支出をもう少し少子化対策のほうに今後はシフトしていくべきだ」といった記述があってもいいのではないかと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 なるほど。ありがとうございました。

〔 竹中委員 〕 すみません、もう一点いいですか。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 竹中委員 〕 25ページのところです。上のほうなのですけど、このたびは障害者の就労ということも入れていただいて、大変ありがとうございます。ただ、ここで「女性の就業率や出生率の向上を図るとともに、障害者の就労支援を始めとした社会参加の支援に取り組んでいかねばならない」となっているのですが、これは「社会参加」ではなく「参画」だと思うのです。「支援」というより、やはりここでは「推進」という形で、「社会参画の推進に」としていただいたほうがいいかなと思いました。よろしくお願いします。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。では、「社会保障」についても何かご指摘があれば後でもまた戻っていただくことにして、とりあえず先に進みましょうか。

 それでは続いて、各論のうち、「地方財政」、「公共事業」及び「文教」、要するに残り全部ということですが、何かご意見あるいは修文等ございましたら、どなたからでもお願いします。では、田中委員、黒川委員。どうぞ。

〔 田中委員 〕 すみません、文教のほうに飛んでもよろしいでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 田中委員 〕 40ページからの国立大学改革について意見を言わせていただければと思います。まず40ページの、20行目にかけての文章なのですけれども、補助金全体は増えているけれどもランキングが上がらなくて、だから、運営費交付金を減らしたにもかかわらず、その制約によるものとする主張は受け入れがたいという文章があるのですけれども、これは、若干ロジックにすりかえがないかという気がしております。上段では、運営費交付金を減らしたけれども、補助金が増えていて総額は増えているのだと。にもかかわらずランキングが上がっていないということであれば、これは「運営費交付金に係る予算の制約」というよりは、補助金の規模の制約によるものの主張は受け入れがたいということで、上のほうでは補助金全体の話が増えているという話になっていて、下のところが運営費交付金の話になっていて、このロジックでは合わないのではないかと思われるのですが、いかがでしょうかということです。そうであれば、補助金を増やしているにもかかわらずランキングが上がらないということであれば、これは補助金全体の制約によるものとしての主張は受け入れがたいという文章に修文しないとつながらないのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。まず第一に、このパラグラフは、17行目から、長過ぎますね。「近年」から始まって、「原因であるとする主張もあるが」、要するに受け入れがたいと言っているのでしょうから、そこに「受け入れがたい。」を入れる。そして、その根拠、理由をその次に別の文章で丸の後に書くということですよね。

〔 田中委員 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 その場合に、運営費交付金は減っていても、全体としてのお金は増えている。

〔 田中委員 〕 増えているとにもかかわらず、ランキングは全然上がらない、低下している。

〔 吉川分科会長 〕 それでしたら、それで十分みたいですけど、お金が足りないからだめだというのは必ずしもリーズナブルでない。ということは全体のお金は増えていると。

〔 田中委員 〕 そうです。

〔 吉川分科会長 〕 全体のお金は増えているといえば、それでQ.E.D.という感じがしますけど。

〔 田中委員 〕 そうです。だから、運営費交付金の削減だけにターゲットを当ててこういう説明をするのは少し無理があるかなと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 はい。ここは文章も含めて、田中先生が言われたことを考えていただければと思いますが。よろしいですか。もう一つ。

〔 田中委員 〕 次もよろしいですか。

〔 吉川分科会長 〕 はい、どうぞ。

〔 田中委員 〕 修文の対案を考えてまいりました。41ページの25行目からです。まさにこれは大学の評価の話になっているのですが、「機能強化の方向性に対応した評価基準を設けて比較可能な外部評価を厳正に行う必要がある」と。要は相対評価をもっと入れなさいということをおっしゃっていると思うのですが、個人的にはそれは必要になってくるだろうと思っています。ただ、機能強化だけでほんとうにいいのかということで、大学の学問の分野別で見ますと、いわゆるランキング指標が全くきかない分野も、特に文系などはありますから、ここは「機能強化や学問分野別に対応した評価基準を設けて比較可能な外部評価を」と修文してはどうかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。

〔 田中委員 〕 すみません、3つ目よろしいでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 3つ目、どうぞ。

〔 田中委員 〕 最後、ポスドクについて、就職先を率先して見つけたところには運営費交付金を上げろという論は若干飛び過ぎているかなと思ったのは、やはり大学全体の運営におけるポスドクの問題は比重としては非常に小さいのです。それを運営費交付金のめりはりに反映させるのは少し飛んでいるような気がします。むしろ教育全体の問題にこれを引き伸ばせば、運営費交付金のめりはりということにつながるのだろうと思います。そこで考えたことは、42ページにありますけれども、ポスドクが滞留している学科については定員を抑制するという供給の適正化を図る必要があると。同時に、私はポスドクの問題はあわせてポスドクの質の問題があると思っていまして、例えば「学位の水準を厳格に点検し、水準の高い人材を確保、維持することも不可欠で、こうした取組みを率先して行う大学であれば」ということで、ポスドクの前提となっている学位の問題、STAP細胞の問題等々でも取り上げられましたけれども、そこの水準を維持する努力をする大学であれば運営費交付金にめりはりをつけてもいいのではないかという意味で、この一文を加えてはどうかと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。このポスドクは、大学のほうからすれば、大分前の国の方針、博士大拡充の文科省の問題がそもそもの問題という言い分があるのだろうと思いますが、この報告書の中でどういう表現がいいのか、今の田中委員のご意見を踏まえて、また起草委員の先生方に検討していただければと思います。

 黒川委員、どうぞ。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。私、2点ございます。

 1点は公共事業関係の36ページ、まとめのところでございます。そこの6行目、「また、新規投資についても、国際競争力強化や防災対策など」と書いてあるところに、具体的な事例が少ないとはいえ、「コンパクトシティ構想など」というような単語をここに入れるのはどうかという提案です。

 それから2番目は文教のところなのですが、具体的な案はなかなか思いつかないのですけれど、ほかのところは、例えば公共事業にしても30年先とか長期構想が示されている。総論のところも2060年とか、要するにここの財審でも議論があったように、長期の構想も考えた上で、差し当たって10年どうするか、先の10年あるいは来年どうするかというような発想が大事だという意見があったと思うのです。そこで、文教のところは長期の構想がなかなか出にくいのかもしれないのですけれども、国立大学のランキングを上げろとかではなくて、子供たちがどんどん少なくなっていく中で、小、中、高等学校及び大学教育の質と量に関する何か長期構想というようなものがないのかと思いました。無責任な意見ですが、以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 いやいや、問題提起ありがとうございました。

 では、老川委員、大宮委員、鳥原委員。

〔 老川委員 〕 ありがとうございます。私も文教の関係で申し上げたいことがあります。

 1つは最後に黒川委員がおっしゃったように、教育についての考え方です。これは予算なり数の問題だけに限られてしまっているので、もう少し、ほんとうにこれから先日本を担っていく若い世代をどうやって育てていくか、そのためにはこういうことが必要ではないかという理念的なものがあったほうがいいかなという感じがします。

 それから、具体的な点では、39ページで、「小中学校の規模の適正化」という言葉が出てきて、おそらくこれは12〜18学級、標準規模のことをいっていると思うのですが、適正化という言葉が具体的に何を意味しているのか。1つの学校における学級の数のことだけなのか。つまり、別の言葉で言うと、いわゆる1学級の定員の問題というのはかねがね言われていて、私は少人数教育が必ずしもいいということではなくて、現状程度の規模で十分だと思いますので、そこら辺の1学級の生徒数の規模なんかについても一言、現状程度を前提にというなら、そこら辺をきちっと書いたほうがいいのではないかという感じがします。

 それから、次のページの40ページの7、8行目から10行目ぐらいのところ、学校の統廃合に関して、これは子供の数が減少し、地域の人口も減っていく一方で、交通手段もかなり発達してきているわけですから、小規模校をそのまま残すというよりは統廃合が必要なことは当然のことだと思うのですが、一言触れたほうがいいと思うのは児童生徒の安全の問題です。つまり現実には、統廃合されると、子供たちが学校に通う距離なり、寂しい地域のところを歩いていくことになり、いろいろ犯罪、事故といったことは案外切実な問題として地域の人々には感じられているのではないかと思いますので、どこかで「児童生徒の安全の確保に十分配慮しながら進めていく」と、このようなことに言及しておいたほうがいいという気がしますので、ご検討いただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 では、大宮委員。

〔 大宮委員 〕 公共事業の35ページ、8行目とか17行目に、国とか地方公共団体の「維持管理・更新に係る費用の見通しを把握する」という言葉が両方とも書いてありますが、この中に含まれているとは思うのですけど、やはりデータについて、今どのようになっているのかという現状のデータすらないところがたくさんあると伺っていますので、これをしっかり記載して、その上でデータが整備されれば、実効性のあるインフラ長寿命化計画などの管理計画の策定、効率的な維持管理等々ができるのではないかと思います。特にJRさんも前言われていましたけど、予防整備といった新しい考え方も、データがあれば多分いろいろな形で考えが出てくるのではないかという気もしますので、ぜひこれを記述していただけたらと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、鳥原委員、葛西委員、佐藤委員。

〔 鳥原委員 〕 28ページの中ほどの「地方財政計画の歳出見積等の適正化」に関してですが、予算の適正な管理、執行のためには財務諸表の整備が不可欠なことから、総務省で去る4月30日に、地方公共団体において発生主義、複式簿記による帳簿類を導入するための統一基準を策定したところです。今後、各地方公共団体においては複式簿記による帳簿を使って収支を明確にするとともに、公共事業で整備した社会資本を含めた貸借対照表、B/Sを作成して管理を徹底していくべきでして、この点の記述が必要ではないかと思います。

 2点目は、34ページの公共事業の中で、15行目のところに新規投資についてはこれまで以上に厳選していくという記述があります。これはこのとおりだと思いますが、再三申し上げているところですけれども、東日本大震災において高速道路が既存国道等の代替道路となって救助・復旧活動に寄与した事例からも明らかなように、高速道路は平常時の機能のみならず災害時に重要なライフラインとなる、真に必要な社会資本の典型であると思います。新規投資の判断に際しては、費用便益分析による評価のみでなく、地域の活性化や地域の安全・安心の確保、国際競争力の強化などへの波及効果を十分に加味した判断を行うべきであると考えております。その点も含めて厳選を考えるべきではないかと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、葛西委員、佐藤委員。

〔 葛西委員 〕 34ページでございますが、文章の意味をお伺いしたいと思うのですけれども、15行目に、「新規投資については、国際競争力や防災対策など、これまで以上に厳選していく」べきであると書いてあります。これは、国際競争力とか防災対策ということを名目にして甘い投資がなされているので、これらについて厳しい目で見ていくという意味なのか、そうではなくて、こういうものに絞っていくべきだという意味なのか、どちらなのでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 では、起草委員。

〔 富田委員 〕 これまで以上に厳選するという意味でありますので、今おっしゃられたようないろんな名目で増えてきたという面を感触としては否定できないのではないかということが言外にございますので、ここにあることは厳選していくということであります。

〔 葛西委員 〕 厳選の対象に国際競争力とか防災対策などの名目で主張されているものを入れるべきだと理解すればよろしいのですか。「など」ですから、これは例示ですよね。この「など」は必要なものの例示なのか、甘くなっているものの例示なのか、どちらなのかということ。

〔 吉川分科会長 〕 ご質問の趣旨を踏まえると、要するに競争力強化や防災対策、これは確かに大切なのだけれども、おっしゃっているとおり、これが単なる名目になっていてはいけないと。だから、ほんとうにこういう正しい目的にしているかを厳しい目で見ていくと、そういうことなのでしょう。

〔 富田委員 〕 そういうことなのですけれども、文章ではここまでだと思います。

〔 碓井委員 〕 実は私もそれで質問しようと思っていたもので、ついでに言わせてもらいます。これは要するに、僕からすると、申しわけないですけど若干意味不明ということで、むしろないほうがいい。つまり、国際競争力の強化といったら何でもありですよね。あそこに道路が、港ができれば私も農業輸出できるみたいな話とか、何でもくっつくわけです。防災というなら、港に近いから堤防をつくってもらってしまえということになるので、プラスの意味でもマイナスの意味でも、僕はないほうがいいだろうなと。もし意味づけをするなら、もう少し書き込まないと難しいだろうということだと思います。

〔 富田委員 〕 はい。

〔 葛西委員 〕 もう一つよろしいでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 葛西委員 〕 38ページの14行目からでありますけれども、公立小中学校の教員採用の倍率が大量退職・大量採用を背景に大きく低下しているという現実が示されております。これは教員の質を向上する好機であり、採用を厳しく削減、抑制することにより質の向上を図るべきであると、むしろここで教員の採用はどんどん増えていますから、抑制するということを入れてしまったほうがいいのではないかという気がするのですけれども、これもご判断はお任せします。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、続いて佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 私も34ページの公共事業の(2)のところなのですけど、文章の流れについて。おそらく3つのステップだと思います。1つ目はまず、先ほどありましたように、資本ストックの現状で、固定資産台帳が整備されていない市町村があるとか、要するに今の社会資本の老朽化の現状がよくわかっていないという面もあるので、これを正しく把握して、それにどれくらいのコストがこれからかかるのかという将来見通しをしっかりと把握しましょうということが最初のステップにあります。でも全ての公共投資をそのまま更新するということはできないので、コンパクトシティ化を含めて、何らかの集約化であるとか、そういった抜本的な取組みが求められるということが第2段落。それから次に、国はこう、地方はこうという話だと思うのですが、このあたりはさっきから、「今後の維持管理・更新に要する費用の見通しを把握した上で」と2回出てきますし、文章が行ったり来たりしているかなという気がするので、もし3ステップということが本来の意図であれば、今言ったような順番でまとめられたらいかがでしょうかということ。それから(1)の総論ですけれども、「ただし、厳しい財政事情の下であっても、真に必要な社会資本は」云々と書いていますが、それは別に社会資本に限らず、財政事情が厳しくても真に必要な公共サービスは提供しなければいけないので、ここだけ公共事業に限って特出しをする特段の理由は何もないと思いますし、言いたいのはおそらく、そうはいっても、これまで積み重ねてきた社会資本ストックがあって、これから人口も高齢化するけれど、社会資本も高齢化していくと。したがって、人口が高齢化すればいや応なく社会保障給付費が増えるように、社会資本ストックが高齢化するのでいや応なく更新投資の費用がかかってくるということが言いたいのではないかと。ただ、そうはいってもその中でも厳選していかなければいけないという議論なのだと思うので、ここだけ特出しした議論をしているのはおかしいかなという気がしました。

 あと、文章なのですけど、(1)の総論と(4)のまとめなのですが、書いていることはほとんど変わらないような気がするので、おそらくどちらかが要らないかなという気がします。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 ほかにいかがですか。どうぞ、老川委員。

〔 老川委員 〕 公共事業の関係で35ページ、建設労働者の不足について触れておられて、これはかなり深刻な問題ではないかと思います。もちろん人口が減少し、特に少子高齢化ですから、黙っていても全体が縮小し、そういう中で建設のほうもどんどん減っていくということは、これは避けようがない話だと思うので、そういう意味では、一番下の「より効率的・効果的な施工技術の利用、開発に努めていく」、これも当然のことだと思うのですが、あわせて基幹的な要員、人材の養成、僕はこれがやはり僕は非常に大事なことだと思います。もちろん技術的にいろいろコンピューターを使って、人手だけに頼らない科学的なメンテの方法を開発していくことは必要なのですが、それだけに限ると、思いもかけないところで大事故が起きるということもあるのだろうと思います。特にこれから先は、新しい施設、インフラだけでなく、現在のインフラがかなり更新時期に来ていて、現にトンネルの屋根が落ちてしまうとか、こういうことが現実に起きているわけなので、一旦起きるとこれは大変なことになってしまいますので、やはりこういうことを大事に考えていこうというマインドを育てるためにも、人材の養成ということは一言触れておいたほうがいいのではないのかなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。これは公共事業のところの中で、財政審の報告書はどういう位置づけになるのですかね。

〔 老川委員 〕 そういう意味で、少し付言すると、教育のところが小中高の義務教育と、いきなり大学のテーマになってしまって、僕はやはり中間的な専門教育というか、こういうことについても触れておいたほうがバランスがとれるし、連動が出てくるのではないかという意識で申し上げております。

〔 吉川分科会長 〕 私は、建設労働者が不足していることは深刻な問題であるし、それに関連して老川委員がおっしゃったことに基本的にもちろん賛成なのですけれども、財政審の報告書、その中での公共事業との関連は若干間接的な感じもするのですけれども、早い話が、こういう問題があることは事実で、建設労働者が不足している。この問題が財政にどういう影響を与えるのかということは明らかでないですね。必ずしも自明ではないような気もしますが、この点、起草委員の先生方にもう一度考えていただくとして、黒川委員、佐藤委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。

 今の問題は、公共事業関係で私2年ぐらい委員をしていましたので、現場も見に行っていて、老川先生のおっしゃったことには全く同感です。そのとき感じたのが、建設現場の技能労働者というか、技術者、熟練の人たちが不足しているのです。だから、すぐには補充できない。しかも高齢化している。その問題は、先生がおっしゃったように、そういう専門的な技術者を養成する機関、要するに学校みたいなものも必要だろうし、それからあと社会的なイメージ、例えば夜中に地下鉄のトンネルの中を修復しているのですけれども、非常に暗いイメージで、世の中の若い人たちはほとんど知らないような世界なのだけど、そういうところで黙々と働いている人たちがいるわけです。この人たちは完全な技術者なのです。だから、会長もおっしゃったように、学校云々まで入れるかどうかなのですけれども、1つの案は「建設労働者」という言葉。労働者というと、あたかも単純労働者みたいな感じを受けるので、ここは労働者という言葉を例えば建設技能者とか、そのぐらいで解決できないか。そのぐらいだったら、ここの財政審でも許されるのではないかと思いついたということです。要するに、労働者という言葉を建設技術者とか技能者とか、熟練を要するとか、そういう言葉を入れることで何とかならないかと思った次第です。

〔 吉川分科会長 〕 関連してですね。どうぞ。

〔 老川委員 〕 私は必ずしも固執しませんのでご判断はお任せしますが、現実にこの労働者不足による人件費の高騰が、公共事業を落札できないとか、財政問題にも影響しているのではないのかなと私は考えています。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。では、むしろ今老川委員が言ってくださったようなことをもっと積極的に書き込んでおいたほうがいいわけですね。この報告書に一文でも、短い文章でも、公共事業財政に関してもこういう意味合いを持っているかくかくの問題があるということを1行加えていただくということだと思います。ありがとうございました。

 では、佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 短く3点ほどですけれども、さっきの公共事業にこだわりますが、総論とまとめのところに「PPP/PFIといった民間活力の導入により」と書いていますが、財政的な観点からすると、大事なのは、これは民間資金が活用できるので、その分だけ税金の投入が減らせるということだと思うので、ある意味、仮にこれから社会資本を新しく整備するに当たっても、必ずしも公費、税金に頼るだけではなく、そういう民間資金の活用、具体的にはPPPとかPFIとか、そういったものの活用も視野に入れるべきであるというように書けば財政的な意味を持つと思います。

 それから、少し意味がわからなかったので、33ページの地方財政ですけど、税収の偏在性、法人課税の税収に偏在があると、それはわかっているのですが、33ページの9行目ですけれども、「地方公共団体による課税自主権の発揮が十分でないことに加え」というのは、これはどういう意味かなと。その後の、財政力の弱い公共団体が結果的に交付税とかに依存するということはわかるのですが、課税自主権の発揮がどうしてここで出てきたのかということと、それから、最後に「国・地方の借金依存体質の改善にもつながる」と、これも少し議論にジャンプがあると思うのです。つまり、何が言いたいかというと、基本的には交付税とか赤字地方債、臨時財政対策債に対する拡大圧力になると。偏在性があるために、これを是正するということは結果的に交付税頼み、赤字地方債頼みになるので、これらの項目に拡大圧力がかかる。このことが借金の依存になるのだと、そういうニュアンスを持たせないとロジックにジャンプがあるかなという気がしました。

 あと、論文の添削みたいで申しわけないのですけど、文教のところとその他のところ、各項目ごとに書きぶり、文章のニュアンスが違うということがえらく気になっていて、例えば38ページ、39ページ、いわゆるドットでやっています。よくOECDとかIMFのレポートなんかでもドットでやりますが、かと思えば社会保障とかはむしろ流れる文章で書いているということ。それから、公共事業は文章がえらく短い。文章のつくり方に少し統一性がなく、読んでいると結構つらいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。具体的なご指摘を受けて、起草委員の先生方に対処していただくということだと思います。

 どうぞ。

〔 板垣委員 〕 先ほど35ページで建設労働者の不足についていろいろ議論があって、僕はそれを否定するものでもないのですけれども、これだけ無理やり公共事業をつけて、それはないよという感じはあるのですね。建設労働者の不足はあらかじめ予定されていたでしょうという思いが僕自身はあって、無理にくっつけたからこれが起きるのであって、さあどうしようと今さら悩んでどうするのだという感じがあるものですから、あまり積極的に書くのもどうかと個人的には思っております。

〔 老川委員 〕 すみません。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 老川委員 〕 そこは私は異論がありまして、前にどうだったと言ったって、なくなるわけではないですよね。現に利用しているわけですから、ここに書いてあるのはむしろ維持管理・更新のことを言っているので、僕はこれを非常に大事に考えたいと思っています。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。

〔 板垣委員 〕 維持管理は全く賛成なので、それはいいのですけれども、とにかく予算編成のプロセスの中で、無駄なものも何でもつけさせられたと言ったほうがいいのか知りませんけれども、財務省の方はそんなことはしないと思うのですが、そういうことがありますので、やはりそこそこの量しかさばけないのですね。それを優先順位をつけてやるべきだろうと僕は思っているということです。

〔 吉川分科会長 〕 先ほどの老川委員のご指摘で、要するにこの建設労働者の不足の問題というのが労賃上昇を通して公共事業財政にも影響を及ぼしてきていると。したがって、財審の報告書でもこういうことがあってもいいのではないかと、そういうお話でしたね。

〔 老川委員 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 ですから、そういう趣旨のことを(3)の頭かどこかにつけていただく、それでいいですか。

 黒川委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。

 そこのところなのですけど、そんなに多く事例はないのですが、1つ2つ。4月6日に三陸鉄道の北リアス線が開通した日、僕はちょっと乗りに行ってきたのです。それで、島越駅で待っていたら現場の人の話を聞くことができました。その後、宮古から気仙沼までバスで南下して気がついたのですが、、岩手県のほうは、更地にはなっているけれど、ほとんどトラックが動いていないのです。南のほう、陸前高田なんかは大規模な造成事業が始まっていますけれども、北のほうはほとんど動いていない。それはなぜかというと、今2人の先生がおっしゃった、労働者がほとんどいない。それで、賃金は何十%か上がってしまって、これは需要と供給の関係です。あの辺の市町村は、何かしようとしても、人もいないしコストも上がっているということでおくれているということなのだろうと思うのです。財政審としては、1年前に、急ぐ必要はないが、できる限り早くやりましょうという「できる限り」にニュアンスを持たせた。そこで、今でも同じ状況にあるので、両方の先生の顔を立てるわけではないのですけれども、技術者の不足と賃金の上昇の2つがあるということは我々として知っていなくてはいけない問題だと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。この際、「総論」あるいは「社会保障」に戻って何か思い出したというようなことがあれば、それも含めて。では、碓井委員、お願いします。

〔 碓井委員 〕 社会保障の項目の25ページあたりの記述で、これは年金の支給開始年齢のことを扱っているのですが、これが24ページの(3)「負担面で必要な改革」の項目の中に入っているのです。よく読み込まないとわからないのですが、何となくこの25ページの4行目からの段落は支給開始年齢のことに特化した叙述のようになっていて、もしそうであるとすれば、前のほうの13ページの年金の「給付面で必要な改革」のところに移しかえたほうがいいのではないかと思います。もし負担に連動しているというのであれば、それで維持してくださって結構ですが。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。検討させていただきます。

 増田委員、お願いいたします。

〔 増田委員 〕 先週は海外に行っていて、ここに来て読んでいるので、修文とかそういうことではなくて、読んだコメントだけさせていただきます。

 1つは地方財政のところなのですが、私もこれで結構ですけれども、一言だけ申し上げておきたいのは、私は昔総務大臣をやっていたのですが、今は全く民間の個人ですから、総務省は全体についていろいろ言うのでしょうけれども、私が大事なところを一言だけ申し上げておきたいのは、32ページの(4)のところで、自治体間の財政の税収の偏在があるわけですね。これで、国税による垂直的な財政調整が行われてきたけれども、それだけでは限界があって、それで自治体間の、地方公共団体間の税収偏在の方策までも取り入れないと難しくなってきたと、この認識は非常に重要なことであって、やはりここは大事にしておきたいなと思います。ですから、地方法人事業特別税を、4、5年前につくった際にもいろいろ議論がありましたけど、そういうものはやはりこれから大事にしていくべきではないか、そういう認識を1つ申し上げておきます。

 それからあと、少し戻って総論のほうなのですけど、大変立派にいろいろまとめていただいています。やはり今回重要なことは、5ページ以下から出ております、我が国の財政に関する長期推計です。今回これに初めて取り組んで、そして2024年以降どうなるかということを出した。これが今年大きく新しく取り組まれたことなので、文章として、これをごらんになった一般の国民の方がどれだけ危機感を認識していただけるかどうか、それに沿ったできるだけわかりやすい文章にする必要があると思うのですが、また建議を出された後、記者会見等いろいろな場があると思いますので、ぜひ、これは今までにない新しい要素だと思いますので、こういったことをきちんと申し上げて、やはり非常に危機感を持って対応していかないと大変だということを国民の皆様方に少しでも多く理解していただくことが重要ではないかと思います。

 それからあと、これはこの本文の中ではないのですが、どこか公共事業のところで多分引用されていたと思いますけれども、私は先々週、人口減少が地域的にどういうぐあいにこれから起きてくるかという試算で発表したのですが、自治体の数でいうと、3割ぐらいの自治体はほんとうに2040年ぐらいになると消滅の危機に瀕すると。地域的な、空間的なそのあたりのアンバランスというのですか。一方で、東京は介護も成り立たないぐらいの超高齢化社会で、日本全体の成長の源になかなかなり得ないというようなアンバランスが出てきてしまうのではないか。ですから、人口減少社会自体はもう避けられないので、それは冷静に受けとめなくてはいけないのですが、その先に出てくる、これだけは避けなければいけないと思うのは人口急減社会です。非常にひずみが多く出てくる人口急減社会はどうしたってこれから避けていかなければならない。それがここで書いてあるような公共事業ですとか、随所に書いている、コンパクトシティとか、集約化と多機能化してできるだけ使いやすくしていくとか、そういうことにつながってくると思うので、そういった危機意識の背景にある認識をできるだけうまく伝えられたらなと思っています。これは何も修文どうこうということではないのですが、例えばさっきの長期推計の記者会見のときなどに力点を置いて発表されるといいのではないかなと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもほんとうに貴重なご意見ありがとうございました。34ページですか。ご報告を引用させていただいて、脚注にあるわけですが、場合によってはもう少し、そちらの報告書のメッセージを本文に数行でも入れるということですかね。

〔 増田委員 〕 そうですね。特に人口減少社会も避けられないと思いますが、その先にある人口急減社会というのですか、非常にひずみが生まれて、地方は一遍に消滅しつつ、東京の介護の成り立たない超高齢社会を何とかしていかなくてはいけない。ですから、東京は実はもう少し人を散らすようなことを考えないと、ほんとうに国際金融センターになり得ないのではないかというような気もしますので、何かそういったことをうまく伝えていただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 はい。どうもありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

〔 土居委員 〕 ご意見をいただいて、ありがとうございました。老川委員と黒川委員から話が出ていたと思うのですけど、文教のところで、長期的な視野でというのでしょうか、子供の教育というところについてのご意見をいただいたところなのですが、ややもすると来年度の概算要求で焦点になりそうなところにフォーカスし過ぎている点もなきにしもあらずということなのですが、そうはいってもということで、来年度と限らないかもしれませんけれども、近々財政の話と関連しそうではないかと私自身が思っているところで、それは主計官に確認させていただきたいのですが、文部科学省が教育振興基本計画という5カ年計画を立てていて、一応それが長期的なといいましょうか、今、実施段階で計画を立てていると。それが2期目で平成25年から29年までということで現在その計画期間中ということなのですが、計画期間中といえども見直しが途中で入るという話も小耳に挟んだりするのですけれども、来年度予算にこだわりつつも、そこに必ずしもとらわれない範囲で、この教育振興基本計画ないしはそれに類する長期的な教育・文教政策の方針と、今回ご意見をいただいたような話とは何か関連づけられそうな話があったかどうかということを確認させていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、井藤主計官。

〔 井藤主計官 〕 教育基本計画については教育をいかに充実させるかという視点で書かれていますので、基本的にはいろんな施策を充実させるべきだという内容だと思います。それで、今回の財審のペーパーでは、基本的には、さまざまな問題への対応が必要だとしても、例えば37ページの19行、「教育現場が抱える様々な課題に有効に対処し教育の質を高めることは極めて重要な課題である」ということで、総論的にそういったことについて我々は否定していないと。ただし、そのやり方についてということなのですが、まず子供の数が減っている中で、それは受益者1人当たりの投資を拡大するという方向ではないのではないかと。ましてや、その上のほうですけれども、費用対効果がより低い施策に漫然と資金を投入するということであれば、財政面でもそれはカバーできないので、教育の質の向上は結果として実現できなくなると。それから、例えば教育効果をより高くしようとするのであれば、学校がより効率的なインフラとして今後も維持されなくてはいけないということもありますが、そういった点については、40ページの冒頭からなのですが、「人口が減少するなかで、どのように社会的インフラを維持していくかが切実な課題となる中で、総人口よりも高い割合で児童生徒数が減少していくことに鑑みれば、学校を教育効果の高い有効なインフラとしてどのように維持・機能させていくかは、その中でも試金石ともいえる課題であろう」とお書きいただいておりまして、そういう充実を求める声に対して財政面からは、そのためにも、より費用対効果の施策とか財源を生み出すような努力が必要だと、そういう精神でこの財審の報告というのはお書きいただいているという認識です。十分な答えになっているかどうかわかりませんけれども。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 田近委員。

〔 田近委員 〕 いろいろコメントをいただいて、各所の分量、スタイル、書きぶりをもう少し考えたほうがいいのではないかと。それもこちらで真摯に受けとめて、書き直せるところは書き直していきたいと思いますけれども、春の報告書の今回のポイントは、私もずっと議論に参加しながら、また今日の話を聞いて、やはり10ページの、長期推計も重要だし、EU諸国あるいはアメリカ、カナダの財政健全化の取組みも今回取り上げてきた。もう細かなことは全部省いて、10ページの下から3行目、24行目、「とりわけ、2015年度の国・地方PB赤字半減目標は単なる通過点に過ぎず、既存の内閣府試算よりも収支が改善する見通しとなった場合でも」、15年のゴールが達成できても、「その差額を歳出増や減税に充てるべきではない」と、これがこの報告書の心臓部分だと思います。したがって、直接的なインプリケーションとしては、もちろん法人税減税が経済活性化の重要なテーマとして議論されていますけれども、それも我々としては2015年の半減、そしてそれが半減した場合でも歳出増、減税に充てるべきではないということは、2020年の目標が達成できるという見通しがないからだということがこの報告書の最も重要な点の1つで、それがこの会議で我々全員の合意になっているということが重要なのだろうなと思って聞いていました。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ほかにいかがでしょうか。富田委員。

〔 富田委員 〕 ごめんなさい。今の点なのですが、文言で恐縮なのですけど、下から3行目のところで「通過点に過ぎず」と、先ほどの田近委員のところですね。私どもは前から2020年度のプライマリー収支黒字化は単なる一里塚だと。今回はそれを出発点だと上から5行目でしているので、15年度は「PB赤字半減目標」ではなく「半減に際して」くらいにしたほうが多分いいと思うのです。中身は今おっしゃったとおりなのですが、大事なことは、この点に加えてもう一つ、2020年度のプライマリー収支黒字化に向けて、それは目標であっても、明確な計画になっていないということをここで議論したと思うのです。つまり、計画というのは目標に対して具体的な手段が明確になっていることなのですけれども、それがないので、やはり今回それを求めていきたいということが一番大きな理由なのです。それがゆえに、そういうことがあるので、倉重委員が励まされながらもご指摘になられた、何で長期の推計なのかというのもそこにあるわけでして、15年、20年、そしてさらにその先どうなのだということを議論するために、全体の相場観と申しますか、国民負担がどういうふうになっていくのだろうということについての考えをここで示したのがメインでありますので、ぜひとも「通過点」というよりも「際して」ぐらいに、直させていただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ、小林委員。

〔 小林委員 〕 たくさんのご意見、どうもありがとうございました。またいろいろと検討していきたいと思います。

 それで、ここの場で出ていない話で、ぜひお伺いしておきたいと思ったのですが、2060年度の600%という長期推計で、これはおそらく長期推計を説明されたときの記者会見で、1京円とか、それから8,000兆円とかいうかなりすごい数字が出て、それがメディアで報道されるということがあったので、ここの分科会の中ではそういう数字は出なかったのですけれども、そこのもとになるデータを注意書きか何かで入れておいたほうがいいのかなと。あのときの長期推計で出た、報道されたときの数字はこの建議の中にはどこにも入っていないではないかと言われるよりはいいのかなということがありましたので、皆さんのご意見をお伺いしたいのですが。

〔 吉川分科会長 〕 今の点についてご意見のある方があれば。特によろしいですか。全体として3弾あるのですよね。15年度の半減、20年度の黒字化、それでも最終目標には至らない。それで今回、長期推計で債務残高対GDP比、これを安定させる、あるいは適当な、100%なら100%まである年までに下げていくというような3弾あるわけで、逆に言えば、最終目標から割り戻してくると、15年度の半減は相当重い、当然確実に通過しなくてはいけない、あるいは余裕を持って通過しなければいけない通過点なのだというのが多分財審の皆さん委員の方々がおっしゃったことだろうと思っていますが、田中委員、どうぞ。

〔 田中委員 〕 思いつきのような形なので、うまく入らなかったら、どうぞネグレクトしていただいていいのですけれども、この議論の最初で中期財政計画の議論になったときに、結構女性の委員を中心に2020年ぐらいまでとか直近の議論も必要ではないかという話があったと思うのですけれども、私は2020年というのは確かに一里塚にすぎないと思うのですが、特に2020年、オリンピックがあり、終わった年というのは、国民にとって大きな目標がなくなってしまうときであり、ポスト2020年というのが財政的にも、それから国民の精神的にも大きな意味を持つのではないかと思います。そこを何か1つ書き込む工夫ができないかと今思いました。ですから、一里塚にすぎないし、例えば2020年が終わった年というのはオリンピックの後であるけれども、その後の国民のモチベーションも含めてどういうふうに維持していくのか、というような。

〔 吉川分科会長 〕 具体的にはどういうことでしょうね。財政についていえば、債務残高対GDP比を下げていくということですけど、確かにそれはオリンピックほどかわいくない目標ということかもしれません。

〔 田中委員 〕 2020年というのが一里塚にすぎないというだけではなく、2020年を終えたときのインパクト、影響がすごく大きいような気がするのです。

〔 吉川分科会長 〕 また、もしお考えがあれば、事務局あるいは起草委員の方々にお伝えいただければと思います。

 土居委員。

〔 土居委員 〕 ちなみに私、今回の海外調査でイギリスも行かせていただいたのですが、ロンドン・オリンピックが終わったからといってイギリス国民が虚脱感にとらわれているわけではないという意味では、もちろんダイヤモンド・ジュビリーとか、王子が生まれるとか、いろいろな予期せぬイベントも含めてあったとは思うのですけれども、そんなにロンドン・オリンピックが終わったから虚脱感にとらわれているというわけではないので、ここでは財政審の建議の内容には入らないかもしれませんが、虚脱感に襲われないような2020年の持っていき方というのが今日本でできることなのかもしれないという個人的な意見です。

〔 田中委員 〕 フォローありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 いかがでしょうか。まだ少し時間はありますが、よろしいですか。

 それでは、まだ少し時間は余っておりますが、以上で本日の議論は終了とさせていただきます。本日はさまざまなご意見、具体的なご指摘等いただきました。これから、お願いですけれども、いよいよ次回が最終的な一応取りまとめということになっていきますので、ぜひとももしご意見、修文等ありましたら事務局のほうにご連絡いただければと思います。それを起草委員の先生方中心にもう一度議論していただいて最終的に取りまとめを行うと、その後は大臣に手交するということになっております。

 なお、本日の報告書(案)につきましては、大臣にお渡しする、手交するまでは非公表となっておりますので、大変恐縮ですが、くれぐれも取り扱いには注意していただくようお願い申し上げます。

 次回は5月27日、14時からこの会議室で開催いたします。

 では、閉会いたします。ありがとうございました。

午後 4時48分閉会

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