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財政制度分科会(平成26年4月16日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成26年4月16日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成26年4月16日(水)10:00〜12:00
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

1.開会

2.海外調査報告

3.閉会

配付資料
○ 資料1     海外調査出張報告(概要)
○ 資料2     海外調査出張報告(英国)
○ 資料3     海外調査出張報告(EU)
○ 資料4      海外調査出張報告(フランス)    
○ 資料5     海外調査出張報告(スウェーデン)

出席者

分科会長 吉川 洋           山本大臣政務官
香川主計局長
福田次長
岡本次長
太田次長
大鹿総務課長
小宮調査課長
井口給与共済課長
窪田法規課長
堀田官房参事官
江島主計企画官
堀内主計企画官
余島主計官
阪田主計官
有泉主計官
宇波主計官
井藤主計官
新川主計官
土谷主計官
高村主計官
小野主計官
中村主計官
分科会長代理     田近 栄治  
 委員

井伊 雅子
碓井 光明
岡本 圀衞
古賀 伸明
角   和夫
竹中 ナミ
土居 丈朗 

 臨時委員

赤井 伸郎
板垣 信幸
遠藤 典子
老川 祥一
大宮 英明
葛西 敬之
小林 毅
末澤 豪謙
十河 ひろ美
中空 麻奈
永易 克典
増田 寛也


  午前10時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方にはご多用中のところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。

 本日は、先般、2月から3月にかけて実施しました海外調査のうち、「英国・EU」及び「フランス・スウェーデン」の概要について、調査された委員の方々から報告をしていただきます。

 早速、議事に移りたいと思います。

 まず、英国・EUについて土居委員よりご報告をお願いいたします。

〔 土居委員 〕 皆さん、おはようございます。英国とEUに調査に行ってまいりました土居でございます。お手元にある資料に沿いましてお話をさせていただきたいと思います。

 まず、これは全般にわたることなので、私が代表して申し上げるのもおこがましいのですが、資料1に今般海外調査に参った国々について一覧で載せておりまして、私は欧州マル2ということで2月の末にイギリスとベルギーに行ってまいりました。

 それで、調査項目としては、資料1の3ページをご覧いただきたいと思いますけれども、これはそれぞれの調査で共通した調査項目ということで、これからご報告するポイントになるところでございます。まず主要国の財政健全化策の現状ということで、これから私は特にイギリスについてご報告させていただきます。それから、我が国でも財政健全化の道筋を考える上で重要になってまいります社会保障制度の問題の状況を各国調査してまいったということであります。それから3つ目は、予算編成に係る制度、ないしは、それについて最近何か変革や改革が取り組まれてきたということであれば、それについてもご報告させていただくという形になっております。

 早速ですけれども、資料2に移りまして、イギリスについての内容をご報告させていただきたいと存じます。

 イギリスについては、ご承知のように2010年5月に総選挙がありまして現キャメロン政権が誕生したという経緯がございます。1ページ目の最近のイギリスの経済状況ですけれども、2008年に発生した経済・金融危機によって経済が落ち込み、さらには2012年にはユーロ圏の債務危機がありましたので、そこでも少し経済が悪化するという状況ではありましたが、ポンドは独立しておりますので、ユーロ圏とは独立した金融政策が講じられるところがあります。イングランド銀行がイギリスの金融政策をつかさどってポンドの価値に影響を与えているということですけれども、イギリスの経済状況及びこれからご紹介する財政健全化策の影響もあり、イギリスの10年物国債の金利は比較的低位安定しておりまして、特に2012年にユーロ圏の債務危機があったにもかかわらず、むしろ金利が低下しているということは、2010年からキャメロン政権になって取り組まれた財政健全化も影響していることが伺えると思います。

 2ページは、危機の後、イギリスの財政状況はどうなったかということですけれども、左側の財政赤字対GDP比の数字をご覧いただきますと、2010年5月に総選挙がありまして保守党・自由民主党連立政権に変わりましたけれども、それ以前に経済・金融危機があって税収が落ち込んだことと、その後の労働政権における歳出増加策によって財政収支が大きく悪化したと。その後、2010年5月のイギリスの総選挙では、特に保守党は労働党よりもさらに早期の財政健全化策を選挙で掲げて勝利しました。ただ、過半数を単独でとることができなかったので連立政権ということでありますけれども、そのときに掲げた労働党の公約は、2010年から早速赤字削減策を始めて、2015年度をめどに構造的経常財政赤字、後で詳しく申し上げますけれども、これの大半を削減する目標を示しながら政権についたということであります。その後、左側のグラフが示しておりますように財政収支は改善傾向であります。

 具体的にどのような財政健全化策を掲げたかということで、3ページでございます。イギリスではキャメロン政権において次のような財政健全化目標を掲げております。公的部門、これは単に国の主要な会計だけでなくて国の外郭組織も含めてということでありますけれども、この構造的経常財政赤字の対GDP比を5年の見通し期間で黒字化すると。ここで2つのキーワードがあるわけですけれども、「構造的」とは景気循環の影響を除去したという意味でありまして、景気が悪くなると当然税収が落ち込みますので、景気の影響で財政収支が変動するという要因は除去して、恒久的な政策でもって収支が改善するのか悪化するのかを捉えるというところがまず1つ。それから、もう一つは「経常」という言葉でありまして、これは公共投資とか、いわゆる将来にインフラ資産などを残すようなものではなくて、その年々で支出して使い切りになる経費ないしはその収入ということで、経常部門の収支ではかったところでの財政赤字ということで指標を置いております。これでまず目標としては5年間で黒字化するということですけれども、予算責任庁、その下にも根拠法が書かれてありますけれども、この世界では独立財政機関という言い方をして、政権内部の者とは多少距離を置いて、議会からも信任を受けて、与党だけのために財政の健全化の評価をするとか経済見通しを出すとかということではない、そのような組織をキャメロン政権ではつくったわけですけれども、予算責任庁が政権から一歩距離を置く形で見通しを示しておりまして、その見通しによりますと2017年度には黒字化の予定であると。1年間前倒しで目標が達成されるのが現状での見通しということになっております。

 それから、もう一つはストック面の目標ということで、公的部門の純債務残高対GDP比を2015年までに減少させるという目標を掲げました。これも2016年度以降減少予定という見通しが示されていて、少し言い方は悪いかもしれませんが、政権が、我田引水的に自分たちは成果を上げているという見通しより、もう少し一歩距離を置いたところで客観性を保って出した見通しとして示されているということです。

 予算責任庁には我々もヒアリングに行ってまいりましたけれども、財務大臣がそのトップを任命するのですが、議会で同意を得ることで成立すると。Office for Budget Responsibilityということで、略称のOBRとも呼ばれております。政権発足当初はまずこれをとりあえず設置するということだったのですが、3ページの一番下にありますように予算責任・会計検査法という法律で根拠づけられることになりまして、与野党の同意のもとにその任に当たることになっておりまして、与党だけのための組織ではなくて、今、労働党が野党ですけれども、野党もこれに対してオーソライズしているというような組織であります。

 4ページ目ですけれども、具体的に財政健全化目標をどのように達成していったかということであります。これはイギリスの予算制度、少し込み入った話になってしまいますけれども、省庁別歳出限度額、DELと呼んでおりますが、過去の政権にもこのような仕組みが取り入れられておりまして、その説明は下に書いてありますけれども、裁量的・政策的な経費について限度額を設けるということで、スペンディング・レビューと呼んでおりますけれども、複数年にわたって、中期を見通しながら、その省庁の支出の限度額を設定するという仕組みがもともとイギリスの財政制度にはありまして、それをキャメロン政権でも用いておりまして、それで歳出抑制を図っていくという形で取り組んでいるということであります。

 それから、もう一つはマル2でありますけれども、各年度の管理歳出、AMEといっておりますが、社会保障や利払費のようないわゆる義務的経費がこちらに計上されるということになっていまして、特に社会保障にまつわるところでは、welfare cap、一番下の行ですけれども、シーリングを2015年度以降に設けるということを掲げております。この中に含まれるものは、社会福祉支出と書いてありますけれども、児童手当、住宅手当、求職者手当という、どちらかというと現役世代向けの社会保障給付。高齢者向けは実はここには含まれておらず、年金はまた違う枠組みになっておりますけれども、ここではこれまでにも取り組まれていた枠組みを用いながら、ということですので、AMEの枠組みを使って、この分野に配慮しつつも抑制をきかせていくことに取り組んでいるということであります。

 5ページですけれども、今度は歳入面についてでありますが、これはお聞き及びの方もおられるかと思いますけれども、付加価値税率を引き上げることを政権発足直後に行いました。それからもう一つは、バンクレビーといっておりますけれども、銀行に対する課税を銀行負担金ということで、ヨーロッパ諸国で導入した国に歩調を合わせる形でイギリスも導入して、歳入増加策に取り組んだということであります。

 どちらかといいますと、労働党政権の最後の方で景気が悪くなったこともあって財政支出を顕著に増やしたことがありましたから、それを抑制することを強調してやって、さらに歳入も増加策を図っていくということで、5ページの一番上の丸のところにも書いてありますけれども、全体的な姿でいいますと、財政健全化のうちの8割が歳出削減でなし遂げられて、2割が歳入増加によってなし遂げられると、このようなバランスで財政健全化に取り組んだということになっております。

 6ページでありますけれども、社会保障に関連するところでは、先ほど申し上げたようにwelfare capに含まれていない部分もまだ社会保障の支出としてイギリスにはございます。これは6ページに書いてあるとおりでありますけれども、年金、医療であります。年金は日本と違って基本的には国庫負担は行っておらず、賦課方式の保険料収入によって運営されています。それから、医療もまた日本とは違っておりまして、この春の財審でヒアリングをしたときにも出てきたと思いますので、詳しいところはそちらに譲るといたしまして、医療は基本的には税財源で賄うという形の運営になっていて、6ページの左下の社会保障関係支出の推移をご覧いただきますと、年々増加傾向であるところは我が国とも似たところであります。

 この支出をどのようにコントロールするのかが1つ課題となっておりまして、7ページでありますけれども、歳出抑制については、まず年金については、先ほどご紹介したように、年金支出はAMEで管理されるのですけれどもwelfare capの対象外になっているということで、別の形での改善策が必要になってくるということで、イギリスでは2階建て年金を1階建てにするという形の統合をすることと、それから年金受給開始年齢を引き上げることを検討しているということであります。それから、医療については、先ほどの枠組みでいいますとDELのほうに含まれていて、イギリスの医療システムのことをNHSといいますけれども、NHSの病院と民間の病院との間の競争を通じて医療の質の向上と効率化を図る仕組みによって、できるだけ医療の支出が過度に増えないようにすることに取り組んでいるところであります。

 8ページはご参考までということで、議会と政府との間でどういう予算編成過程がスケジュールとして組まれているかというところのご紹介であります。

 もちろん財政健全化にまつわるイギリスの評価は、ネガティブなものとしては厳しい財政健全化策によって経済成長を落ち込ませているのではないかという見方もありますけれども、ユーロ圏諸国と大きく違うところはイングランド銀行が独自の金融施策を講じられるというところでありまして、これは今の日本とも似ているところでありますが、大胆な金融緩和策をイングランド銀行もとっておりまして、量的緩和策の拡大によって財政健全化を下支えしたということが9ページのところに、少し細かいグラフになっていますけれども、要は量的緩和策を積極的に行っていることによって財政健全化の経済に与えるネガティブな効果を和らげているというところはユーロ圏とは好対照であろうかと思います。そのような形になっていますので、先ほどご紹介したように比較的国債金利が低い状況が続いているというところであります。

 10ページに要約がありますけれども、財政健全化に政権としてもコミットしていて、さらに政権として掲げていた財政健全化目標をより早期に達成しようという意気込みがあるというところがあります。それから、財政・金融政策のパッケージで、財政健全化が比較的好意的に受けとめられる環境で着々と進めていると。さはさりながら、長期的なことを考えると、やはり構造改革といいましょうか、経済成長を促す政策もないと、短期的な財政・金融政策のかじ取りだけでは中長期的に財政健全化を継続して行うことができない側面があるというところで、成長を促すというところは重要だという話もロンドンでは伺えたところであります。

 これがイギリスについてのご報告ということでございます。

 それから、もう少しお時間をいただきまして、今度はユーロ圏の包括的なところのご紹介をさせていただきたいと思います。資料3でご説明いたします。今回の調査では、ベルギーで欧州委員会にも伺いまして、そこで伺った話を中心にお話しさせていただきたいと思います。最近、ユーロ圏では財政健全化に向けた新たな枠組みが着々と構築されておりまして、かつては、この後でご紹介する安定成長協定一本ということで、安定成長協定はもう15年以上たちますので世の中では有名になりましたけれども、それ以外の新たな枠組みで安定成長協定を補強するということがこの一、二年で行われましたので、その点を中心にご紹介させていただきたいと思います。

 1ページ目ですけれども、これはそのようなことになった背景です。ご承知のように2012年にユーロ圏の債務危機が起きて、財政健全化についての取組みをしっかり進めないといけないとなり、しかも、各国によって状況が異なっているので、財政がよりよい状況の国とかなり悪い国とが顕著に差があり、これをユーロ圏としてどのように財政状況をよくしていくことに取り組んでいくかが課題とされていたわけであります。

 2ページは少しおさらいですけれども、1997年にマーストリヒト基準として設けられた財政にまつわる判断基準であります。これはお聞き及びの方もおられると思いますけれども、財政赤字の対GDP比が3%という基準値を超えているかどうか、それからストック面でグロスの政府債務残高対GDP比が60%という基準値を超えているかどうかで判断して、これより悪い状況であった場合には以下の2つのような措置で対応することにすると、これがユーロ圏の国に課されたものであります。

 まず1つは、予防的な措置として、この基準値を超えている状況を過剰財政赤字と呼ぶわけですけれども、基準値を超えるような状況を予防するのが予防的措置でありまして、そのような状況にならないように各国は中期財政目標を設定するとか、中期財政目標を明らかに超えてしまうような状況の場合には当該加盟国に対してEUの財務大臣理事会が効果的な措置を講じるべく勧告をするということがこの安定成長協定で取り決められたわけであります。

 超えてしまった場合は、是正的措置ということで、その超過が例外的かつ一時的である場合や債務残高が十分に削減されて満足なペースで基準値に近づいている場合を除いては、加盟国は理事会の勧告に従って赤字を減らす措置をとらなければならない。従わない場合には罰金が科されると。

 このようなことが1997年に取り決められたのですが、実態としてはどうだったかというと、3ページでありまして、最初にドイツ、フランスの財政赤字対GDP比が3%を超えてしまうということがあったのですが、いろいろな言い訳をして、手続の適用を停止するということが起こったりしまして、安定成長協定はあるのだけれども罰金を科すところまではやっていないという状況で今日まで来たわけですが、2008年の経済・金融危機、それからその後の、ギリシャに端を発したユーロ圏の財政危機によって、安定成長協定一本では十分に信用できる財政健全化の取組みとは言えないのではないかということで、以下の3つのものが補強されることになりました。経済ガバナンス六法、財政協定、経済ガバナンス二法というこの3つの枠組みが近年新たに設けられたということであります。

 4ページでありますけれども、経済ガバナンス六法というのは、小難しい名前ではありますが、要は、そこの下に書いてありますように、先ほど申し上げた中期財政目標の進捗状況を確認する手法を追加して、必ずしも厳格に適用するということばかりではなくて、しかるべき説得的な理由があるならば除外要件を設けようということ。ただし、それはルーズに除外できるわけではないということで、それを明確にすることによって先ほど申し上げた予防的・是正的措置を強化するということをここでまずはっきりさせようということで設けられたのがこのガバナンス六法であります。

 特に、まず中期財政目標の進捗状況を確認する方法として、歳出の伸び率に関しての基準を設けると。単に財政赤字が3%を上回らないようにというだけの話ではなくて、新規の歳入措置とネットで見た歳出の伸びが中期的な潜在成長率を上回らないようにする、成長率を超えて歳出が膨張しないようにするところを基準とすることで、もう少し歳出を抑制してはどうか、ないしは、きちんと財源を確保しない限りそこまで増やさないようにということが、まず1つここに含まれているものであります。

 それからもう一つは、債務残高対GDP比が60%を超えても、超えていたから直ちに厳しい財政健全化をしなさいということになると、なかなかそれが着実に実行されないことになってはいかんということもありますので、少し細かい数字ですけれども、直近3年間平均で60%を超える部分の20分の1、要は20年間でそれだけ削減するというようなニュアンスと言ってもいいと思いますけれども、満足できるペースで削減することがきちんとコミットされているならば、60%を超えていても罰金を科すところまではしないことにしたわけであります。

 それから、もう一つはやはりきちんと懲罰を与えるというか、従わない場合にはしっかり責任をとってもらうという形で、今まではより甘い多数決で、特定多数決による反対がない限りは適用するという緩い規定だったのですけれども、より厳格に規定して、より制裁措置が講じられるようにするということになりまして、実はマルタが初めて適用されたという事例もありますけれども、そのような形で安定成長協定がより信頼できるものになるようにしたわけであります。

 それから、5ページは財政協定という3つのうちの1つのもので、これは各国の制度にユーロ圏としてコミットしている内容をより埋め込もうということであります。ユーロ圏として安定成長協定にコミットしているというだけでは、実際の財政運営は各国に政府があり議会があって実行されるものですから、各国の憲法などの法制度においてもこれを担保することを求める内容になっております。中期財政目標を各国憲法などで規定するということだとか、もし中期財政目標が守られないことになってはいけないので、独立した機関が監視する制度を各国で整えるということだとか、自動的に是正措置が講じられるように発動する制度を設けるというようなことがこの財政協定で示されまして、それに従って各国で制度を整えるという方向になっております。

 それから、6ページですけれども、ガバナンス二法というもう一つ別の枠組みですが、これはむしろオンゴーイングで予算案が各国の政治プロセスで決められていくときに欧州委員会がアドバイスというか、アドバイスよりもう少し強い立場ではありますけれども、よからぬ内容があった場合にはきちんと欧州委員会が意思表示をするという枠組みであります。

 7ページをご覧いただくと、その仕組みが図解されていましてイメージが湧きやすいかと思うのですけれども、右端の列に、加盟国がそれぞれの国において予算を作っていくという予算編成のプロセスがありまして、一番左側に欧州委員会があります。まず、4月に各国は財政健全化に向けた安定化・収斂プログラム、このようなペースで取り組んでいくということを決めて欧州委員会に提出する。それでよいかどうかを欧州委員会は評価する。その評価を受けて、これでよいということであれば最終的には欧州理事会で承認するということになります。そのプログラムを受けまして各国が予算案を策定し、まずは欧州委員会に提出いたします。つまり、各国の中で予算案を決めてしまってから欧州委員会が関わるのではなくて、まだ案の段階で欧州委員会の見解を伺うという形にしたわけであります。それで、欧州委員会はその予算案の内容を精査して、それに対する見解を公表する。それを受けて、改めることがあるなら改めて、その予算案をもって国内での政治プロセスで予算案を通すと。このような形で、もちろん主権は各国にあるのですけれども、欧州委員会が積極的に関わることを通じて、ユーロという単一通貨の価値が、財政政策が各自ばらばらになることによって損なわれないようにするという意味も含めて、欧州委員会が今までよりも積極的に各国の予算プロセスに関わるという仕組みを埋め込んだということであります。

 そのようなことで、私の印象で申しますと、ユーロ圏諸国の財政健全化の取組みは、いわゆる加盟国間のピアプレッシャーによって、お互いに健全化に向かってコミットし努力していこうというプロセスであります。設けられたばかりですので、これからどのような形で運営されていくかはもう少し見守らなければいけないところではありますけれども、我が国の財政健全化に向けてもコミットメントが非常に重要だということを痛感させられたということであります。

 私からの報告は以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。それでは早速、今の出張のご報告に関しまして、どなたからでもご意見、ご質問をお願いしたいと思います。恐縮ですが、ご発言の際にはいつものとおり名札を立てていただけると幸いです。いかがでしょうか。

 どうぞ、井伊さん。

〔 井伊委員 〕 ご報告ありがとうございます。

 2点質問があるのですけれども、まず、これは次の赤井先生のところとも関連するかもしれませんけれども、イギリスの資料、3ページのところに予算責任庁の役割ということで土居先生がご説明されて、私が聞き逃してしまったのかもしれないのですけれども、EUの条約で独立の財政機関を設置することになっていますので、それが各国でどのように機能しているかいないのかということを概要で構わないので教えていただけますか。

 あともう一つは、イギリスの中期財政計画で財政赤字が減る見通しということなのですが、成長戦略の一環として法人税の減税などの税制改革、増税も行っていると思うのですが、財政再建との両立ということで日本も見習うことがとても多いと思うのですが、どのようにして、財政再建と成長戦略の一環としての法人税減税を両立しているのか、こちらも概略で構わないので、難しいところだと思いますがお願いします。

〔 吉川分科会長 〕 お願いします。

〔 土居委員 〕 ありがとうございます。

 予算責任庁に関連するところでは、ベルギーとかほかの国でも設けられることになっているのですけれども、うまくいったりうまくいかなかったりというところはあるのかなと思います。と申しますのは、例えばイギリスのケースでも確かに独立しているということ、あと超党派の支持を受けて設置されたということではあるのですけれども、それを誰が担うのかというところです。今回、チョート長官とも面会させていただいて、実は彼は民間のシンクタンク、財政研究所というところのヘッドをやって、それで請われて今回長官になったということだとか、あと実はイギリスの場合はそんなに定員がなくて、予算責任庁の職員もそんなにたくさんいるわけではなくて、さらにそのうちかなりの人数が、財務省が今までそのような経済・財政見通しを立ててモデルをつくったりしていたので、そこから異動してきたり、ないしはそのモデルを使って独自に分析していたりということなので、独立ではあるのだけれども、マンパワーは、政府内外のこれまで経験のある人が担当しているというようなことがあって、兄弟と言ったら少し言い方が悪いかもしれませんけど、そのような側面もあったりするということです。

 ただ、私が1つ思ったのは、特に政権交代がある国々では、政権交代が起こると今までの目標がほごにされてしまうということがあったりすると、そこでまた一からやり直しになるとか、ないしは政争の具というのですか、前政権が立てていた予測は、あれは彼らが都合よくやっていただけだったというようなことにならないようにするためには、与野党の合意のもとにそのような機関をつくることの一定の役割は確かにあるのかなと。私がヒアリングしたところでは、イギリスではマニフェストを各政党が出しますけれども、それに関連するところで、労働党の政策についての試算も出してくれないかと頼まれれば出すということをこの予算責任庁はやっていると、そのようなこともあったりして、確かにそのような意味では超党派ということにはなっているのですが、日本でそのような必要性があるのかどうかとか、ないしは日本でそのような組織をつくるとしても、マンパワーはというと、かなりイギリスに近いのかなと。結局、そのようなことができる能力のある方は中央省庁にしかおられないので、独立という言葉はついているのですけれども、どこまで独立ということに意味を持たせるかというところはいろいろ議論があるかと。

 ユーロ圏では、あとハンガリーとかベルギーとか幾つかあるのですけど、予算責任庁で伺った話だと、やはり独立財政機関の予算が削減されたり構成員の任命を拒否されたりということもあったりして、運営には各国なかなかご苦労がおありのようではあります。

 それから、経済成長との関係ですけれども、法人減税の話については直接今回ヒアリングでは伺っていないので、今回の調査の中で法人税の減税がイギリスの成長や財政健全化にどのようなフィードバックがあったかというところまでは、まだイギリスの法人減税の効果を見きわめるには少し早過ぎるということもありますし、そこまでのところは言えないとは思うのですけど、ただ、今のところ短期的に拡張的な金融政策と財政健全化のパッケージがひどく経済を悪くするなどということにはならずに済んで、財政健全化も着々と進められているというようなところですけれども、もう少し将来を見渡したときには、やはりマクロ経済を、自力を高めることは必要になってくるという議論はロンドンではしてまいったということであります。

〔 吉川分科会長 〕 では、続いて板垣委員、碓井委員、老川委員の順でお願いいたします。

〔 板垣委員 〕 調査報告お疲れさまでした。2点質問があります。

 1つはEUの資料、4ページ、「安定成長協定の強化マル1」というところの下の「マル1中期財政目標の進捗状況の確認手法として、歳出の伸び率に関する基準を追加」ということがあるわけですけれども、その説明の中で「新規の歳入措置とのネットで見た歳出の伸びが、中期的な潜在GDPの伸び率」云々と書いてありますが、日本が今行っているアベノミクス政策は、これに照らし合わせようとすると全く違うことになるわけですけど、つまりこれは集団による統治なものですから、お互い牽制し合って独自のものをやりにくいということなのですが、一方で日本はそのような制約がないまま、少なくともこの基準からは完全に外れているというところについての見解をお聞きしたいと。それは財務省の方でも全く構いません。あるいは政府の方でも構いません。

 それともう一つ、資料2の6ページ、「財政健全化目標の達成に向けてマル3」の中で医療費について「基本的に税財源により賄われ」と書いてありますね。私の記憶では、たしかイギリスでは予算がなくなると病院にかかれないということがまま起きると聞いていますけれども、その辺はその後何か改善策をとっているのか、あるいはそのままずっと同じことをやっているのか、もしおわかりになりましたらお願いします。

〔 吉川分科会長 〕 お願いします。

〔 土居委員 〕 ご質問ありがとうございます。

 まず1点目ですけれども、これは全くの私の個人的な見解ということでありますが、当然、おっしゃったように、この基準よりも歳出が増えているという状況にはなっていると思いますから、客観的な基準でもって歳出の伸び率について説得的な抑制策や枠組みは何らかの形で今後我が国でも埋め込まれることを期待したいということではあります。ただ、中期財政計画で対GDP比で財政赤字を減らしていくと言っている以上、そのような形で歳出を抑制しない限り、対GDP比で財政赤字を減らしていく方向にならないという、目標の数値の分母と分子との対応関係からすると、おのずとこのような指標は、無味乾燥かもしれませんけれども、その指標の分母と分子をにらめばおのずと出てくる、そのような指標なのではないかとは思っております。どこまでオートマチックに予算プロセスでこのような仕組みが埋め込めるかというのは今後の議論によるところなのかと思います。

 それから、医療については特にNHSとかにはヒアリングには行かなかったので、そこまで詳しくなく、私の知る限りというところではありますけれども、労働党政権のときに少しそのあたりの改善は、いわゆるサッチャー改革以降で、かつてNHSが随分予算がなくてというような状況からは大分緩和されたという話は伺っております。

〔 吉川分科会長 〕 では、続けて碓井先生。

〔 碓井委員 〕 興味深いご報告ありがとうございました。

 1点だけ質問なのですけれども、英国では年金が独立の基金によって運営されているとのことでしたが、一般の財政運営としてはそれだけ安心ということになるのかもしれませんが、日本の場合は若い人たちを中心に、税源が組み込まれているにもかかわらず国民年金の保険料の納付率が低い。英国は賦課方式であるということですから、大変なことだと思うのですが、納付率の状況などについての情報はおありでしょうか。

〔 土居委員 〕 納付率については伺ってはおりません。ただ、先ほども申し上げたように、これは税であれ保険料であれ、基本的には公的部門全体での財政収支ないし政府債務について財政健全化に取り組もうということになっているので、日本とは年金の仕組みが違いますけれども、財政健全化をするための取組みの枠内には入っているということになります。未納については全く情報がないので何とも申し上げられないのですが、少なくとも年金財政の収支が悪化するということがあれば、当然その分だけ財政健全化目標はより達成されない方向に向かいますので、そのようなところは当然キャメロン政権としてもきちんと収支が成り立つような方向で年金制度を運営していくという仕組みにはなっていると思います。

〔 碓井委員 〕 どうもありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 では、老川委員。

〔 老川委員 〕 どうもありがとうございました。短い時間で非常に簡潔にわかりやすくご説明いただきまして、大変勉強になりました。

 ただ、仕組みや制度はよくわかったのですが、問題は現実にどのように運用されているのか、ちゃんと順調にいっているのかがよくわからなくて、例えば日本の場合ですと、何度も健全化目標を立てましたが、実際には政治の場あるいはいろいろな関係団体の要求ということでずるずる来てしまっているわけです。そのような意味で伺いたいことが2つありまして、1つはイギリスの場合に、板垣委員が医療費の問題について質問されましたが、税金でできるとなると、放っておくと、みんなただでかかれるということで、どんどん医療費の需要が増えてしまうのですが、それはどのようにして抑制されているのかということが1つです。

 それから、もう1つはEUの関係で、財政健全化のためのいろいろな仕組み、それを各国の憲法で規定してというお話なのですが、実際に憲法にどのように盛り込まれているのか。憲法改正は、日本の経験からすると大変なことだと思うのですが、そのあたりは一体どうなっているのか、この2点を教えていただきたいと。

〔 吉川分科会長 〕 お願いします。

〔 土居委員 〕 医療についてはおそらく井伊先生とかのほうがお詳しいと思います。この前ヒアリングした松田先生も少し言及されていて、どちらかというと全部社会主義的というか、パブリックで今までやろうとしていたイギリスが、もう少しプライベートも入れる方向に動いているという議論があったかと思います。どちらかというと包括払い的な、財源があって初めて医療が提供されると、そのようなところがイギリスの医療サービスの財源面から規定しているところではあると思いますから、そのような意味では、ある程度は出さなければいけないということはあるにしても、そのような意味でのプレッシャーは歳出増圧力という形でかかってくるということではありますけれども、最後の収支尻はやはり財政側から責任をとるといいましょうか。日本の場合は各保険者が最終的に、帳尻が合わなかったときには、単年度では赤字を出しながらも、次の年度に保険料を上げたりして帳尻を合わせるようなことをしたり、ないしは国民健康保険の場合は追加的に一般会計から繰り入れて穴埋めをしたりして、どちらかというと最初に収支が閉じていないといいましょうか、そのような状況が我が国ではあるわけですけれども、イギリスはむしろ最初に想定していた方向で収支を閉じるように医療全体を回そうという傾向がかねてからあるということなのだろうと思います。今回は直接ヒアリングで医療について詳しく聞いてきたわけではありませんでしたので、そこは一般論的な話になってしまいますが、そのようなところがあろうかと思います。

 それから、EUでは欧州委員会に行ってまいったものですから、各国の憲法がどうなっているかというところは各国のご報告にお任せしたいというところではあるのですけれども、少なくとも日本よりは憲法を変えやすい国がユーロ圏諸国には多いということではありますし、やはり憲法そのものでなくても条約を批准するという、まさに国家権力の発露といいましょうか、条約を批准してユーロ圏に加盟するということですので、それ相応の覚悟を持ってユーロ圏に加盟し、かつユーロ圏として決めた協定等については国家を挙げて全面的に支持するというところから、かなり強い法的コミットメントがあるのではないかと思います。

〔 老川委員 〕 ありがとうございました。

〔 碓井委員 〕 少し補足させていただいていいですか。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 碓井委員 〕 私、憲法学者ではないので情報も不正確ですが、老川委員のご質問についてですが、各国において、少なくともドイツはこの財政条項も含め繰り返し憲法改正をやっています。一方、スペインは憲法改正の仕組み自体で大議論を起こしているようですから、かたいやわらかいはまちまちだということです。

〔 老川委員 〕 ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 先ほどから話題になっているナショナル・ヘルス・サービス、イギリスのNHSについては、もちろん基本的には全て税でファイナンスという非常にユニークな制度ですけれども、私の記憶では、医療費全体のファイナンスということからすると、たしか16、17%はプライベートな保険も入っていて、ですから80数%はNHSなのですけれども、そのような保険が入っていて、パブリックなNHSと保険の補完関係が一応あると思うのですが、どういうのだったかは忘れてしまったのですけれども、井伊先生はひょっとしてご存じとか、そのようなことはありますか。

〔 井伊委員 〕 カナダの制度が基本的にイギリスの制度とアメリカの制度のハイブリッド型ということだったので、そのときにデータなどもお示ししたいと思うのですが、基本的に病院医療はイギリスの医療や健康問題の1割程度カバーしていて、9割ぐらいを診療所で診ています。病院に関しては差額ベッドみたいなものに関して民間保険があります。基本的には自己負担無料です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、中空委員、竹中委員、永易委員の順でよろしくお願いいたします。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。私も大変勉強になったのですが、差し出がましいことなのですけど、今、金融マーケットで言われていることで、多少つけ加えさせていただきたいと思います。

 実は私、1年間に4回ぐらいロンドンに行くのですけれども、NHSについては、やはり相変わらず大変評判は悪いです。NHSに行こうとしても、例えば普通に会社に行っている人は、朝行っても夜まで帰れないのが普通で、診てもらえないこともままありますので、基本的に会社員の人は自分で払って高い病院にかかるしかないのが現状です。私は制度があることは非常にいいことだと思うし、日本にもこのような、誰でも無料で行ける制度は必要だと思うのですけど、一方で、制度があっても使えていないという現実は見ておかなければいけないと思います。

 同じように、例えば財政再建しましょうねということで、大学の教育の部分の費用をカットしますとなったと思うのです。日本でも費用カットで学生たちが大暴動しているところはよく報道されましたけど、その後どうなったのかということはよくわからない状態ですので、言い方は変ですが、財政再建しようと思ったら、どこかにしわ寄せは行くので、結果としてしわ寄せはそういった人たちに行っているのかなという気がしないでもないです。

 加えて、イギリスに関しては景気は相対的によくなってきているのです。なぜいいかというと、ユーロ危機があったおかげで、まずユーロ危機の中でスペイン、イタリア、ポルトガル、アイルランド、ギリシャの金持ちは、皆さんも金持ちだったらどうするか考えていただきたいのですが、金持ちは必ずまずはスイスの銀行にお金を移し、それ以外の人たちはイギリスに投資するのです。実物投資です。結局、ユーロ危機のおかげで、皮肉なのですけど、イギリスにバブルが生じたという面があります。これがイギリスの景況感を上げた面もあって、そこはキャメロンは得したのだと思います。2015年にキャメロンはまた再選を目指していますので、またそのような違うことが起きてくるのではないかということが金融のほうから考えているさまざまなことです。

 一方、欧州の話は、コミットメントが大事だという土居先生のメッセージは私もすごくアグリーなのですが、逆に言うと、それしか欧州はなくて、ドイツがやはりひとり勝ちで、ドイツが何かしなければしようがないという状況から全然抜け出せていないと思います。ドイツがひとりで頑張ろうよというメッセージを出しても、ほかの国々は、間に合わないから、どうしようもないから、時間を延ばさなきゃということが現状で、それをやっているのが欧州なので、やはり欧州からは今はコミットメントが大事だというメッセージ以外に細かく学ぶことはあまりないような気がしています。

 翻って、土居先生にお聞きしたいのは、こういったイギリスとかの財政健全化の話を見てこられて、例えば公的部門の構造的経常財政赤字というものを日本でも目標にしたらどうかとか、あるいは省庁別の歳出限度額を設けたら非常に効率的であるとか、そのような具体的なものとして、これが日本にも取り入れやすいと思われたものがあったとしたら、そのプライオリティーとかをちょっと教えていただければと思います。

 以上、つけ加えと質問でした。

〔 吉川分科会長 〕 では、土居さん、質問に。

〔 土居委員 〕 中空委員がEUのことでご指摘になったところは象徴的に資料3の8ページにあります。それは話さなかったのですが、先ほどの手続がどういう適用状況になっているかということをご覧いただくと、やはりドイツ、あとイタリアもそうですけれども、早々と終えているのに対して、ほかの国は延長とかという感じになっているというのは、確かにそのような面はあるかと思います。

 それから、イギリスについてですけれども、行ったり来たりで恐縮ですが、資料2の4ページの歳出委員会というものがちょうど真ん中あたり、マル1の下のSR、スペンディング・レビューの歳出見直しの下で3つポツがありますけれども、その3つ目に歳出委員会というものがありまして、これは財務大臣が委員長で、財務省と歳出削減に合意した各大臣、だから合意しないと入れないのですけれども、合意した大臣が委員会に入って歳出限度額について議論して予算編成に向かっていくという、それぐらいトップダウン式に各省に歳出削減にコミットさせることになっているのはいかにもイギリス流の議院内閣制だと思うのですけれども、そこが今回キャメロン政権でも1つ特徴的なところかと思いまして、もし我が国でもそのようなことができるならば、財政健全化にはとてもいい仕組みになるのかなと個人的には思っております。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 竹中委員。

〔 竹中委員 〕 ご報告ありがとうございました。大変勉強になりました。

 1つ感想と1つ質問なのですけど、EUの資料の最初のページに財政支出の国別のグラフがあって、こんなに経済状況が違う国をどのように束ねてやっているのかなと思っていたのですけど、やはり困難なのだなということがよくわかりましたというのが感想です。

 それから、イギリスのほうなのですけれど、医療費に関するお話などが今出たのですが、いわゆる日本の生活保護に当たるような制度があるのかどうかと、日本も今、生活保護制度をいろいろな意味で健全化というか、運用みたいなのが問われているのですけれど、あるとしたらどのように運用されているのかを教えていただけたらと思います。

〔 吉川分科会長 〕 お願いします。

〔 土居委員 〕 あいにく今回のヒアリング対象に生活保護というか、福祉支出を扱っている役所には伺えなかったので、詳細は申し上げられないのですが、当然そのような仕組みはあるのですけれども、ただ、どちらかというと日本のようにどんどん受給者が増えているよりか、むしろ、イギリスは象徴的には階級社会ですし、あとは移民がいる関係で、そこに対しての支出をどのようにしていくかについては、日本ほど温かくないというと変ですが、比較的割り切りがはっきりしていて、保守党はあまりそのようなところに多くの支持者はいませんので、割り切って支出を抑制できます。それでも出さなくてはいけないものは出さなくてはいけないという感じなのですが。それに対して労働党はむしろそのような人たちにしっかりと手を差し伸べなければいけないと。これが典型的なイギリスの政治構造かと思います。

〔 吉川分科会長 〕 関連してですか。井伊先生。

〔 井伊委員 〕 先ほどの中空委員のことに一言だけ。日本の医療制度改革にとって非常に大切なことなので一言だけ申し上げたいのですけれど、医療制度の評価、特に海外の医療制度評価というものはとても難しいと思います。イギリスの制度は確かに海外の人には評判が悪い。特に日本人には評判が悪いのですけれども、自国民の9割以上は満足しているのです。私は海外の人が何と言おうとも、移民も含めて自己負担無料の医療制度を貫きながらも財政再建を達成しようとするコミットメントを持っている政府のあり方から非常に学ぶことが多いので、日本の医療制度改革にとっても非常に重要な議論になってくると思います。なので特に中空委員のように対外的にも発言力のある方には理解していただけたらと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、お待たせしました。永易委員。

〔 永易委員 〕 大変勉強になりました。ありがとうございました。

 質問が2つほどあるのですけれども、この財政の問題、特にグロス債務残高対GDP比はよく使われますけれども、ある時点では、グロスではなくてネットを使うべきであるという主張もあるのです。ただ、それがいいかどうかは別として、このような欧州の例などを見ますと、そのような議論はないのか。政府がどれだけ財政を使って、コミットしている範囲によりますよね。資産の部分もあるはずだから、そのような議論は欧州などではないのかということが1つの質問です。

 もう一つは、イギリスの年金、6ページでしたか。意外な印象を受けたのは、政府は出すことがなくて、剰余金の取り崩しで今賄っている。これは我々の感覚、現在の日本の感覚からいったらあり得ない。国の年金だけではなくて、厚生年金というのか、我々も大きい年金基金を持っておりますけど、こんなことは全く論外なのですが、それほど運用がうまくいったからその結果こうだとは思えないので、何かその辺、説明があればお聞きしたいということでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 お願いします。

〔 土居委員 〕 ご質問ありがとうございます。

 純債務かグロスの債務かというところですけれども、特に象徴的なのは年金積立金だと思います。年金積立金をネットアウトするのかどうなのかということなのですけれども、年金積立金は特に我が国のような仕組みだと、将来の年金給付に充てるのであって、それは借金の返済に回すということで積み立てられているわけではないと理解するならば、グロスの債務のほうに将来の年金給付債務のようなものはのっていないわけですから、それでネットアウトしていいのかということにはなろうかと思います。ですから、将来の財政負担の大きさを象徴的にあらわすのであれば、グロスの債務に年金給付債務のような発生主義的に捉えたようなものがのっていないということであるならば、うっかり間違えて年金積立金をネットアウトしてしまうと、過小に財政負担を評価してしまうことにはなろうと思います。

 イギリスは確かに純債務を使っていて、これはある意味で公的部門全体として捉えたときに、賦課方式だということで、日本ほど巨額の積立金を持っているわけではなくて、ネットアウトできてもたかが知れているということ。それから、日本ほど大きな財政投融資みたいな仕組みを持っているわけではないので、要は資産と負債両建てで公的部門が金融資産と負債を持っているわけではなかったりすると、ネットアウトするといっても、そんなにどっさりネットアウトするという意味の純債務になっているわけではないということがイギリスの場合はあろうかと思います。

 それから、ユーロ圏は、先ほどマーストリヒト基準で申しましたけれども、グロスの債務になっているということで、今回直接グロス、ネットの話をヒアリングで議論したわけではないのですが、私はかつてユーロ圏の方々と議論したことがあって、そのときの議論は、グロスの債務に年金給付債務のような、ひょっとしたら将来年金制度を改革すれば給付額も変わってくるかもしれないような不確実なものを債務としてのせるのはできないと。そうであれば、当然ながら、片方でもし年金側に積立金のようなものがあったとしても、本来は積立金と給付債務をネットアウトすることはいいとしても、片側のグロスの債務にのっていない負債があるのに、資産があるからといって、それをネットアウトするのはおかしいという議論はユーロ圏の方とさせていただいたことはあります。

 それから、年金については、今回年金の担当部局にヒアリングしたわけではないので、なぜ積立金を取り崩してということになっているのかは、私自身不勉強で今すぐにお答えするものを持ち合わせておりません。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいでしょうか。

 では、もう一人出張のご報告がありますので、続きまして、赤井委員、フランス・スウェーデンに出張していただいたご報告をお願いします。

〔 赤井委員 〕 赤井でございます。よろしくお願いいたします。

 資料1のほうでまとめられていますように、欧州マル1、フランス、スウェーデンの状況について調べてまいりました。調べた内容は先ほどの土居委員の報告とほぼ同じ内容で、統一されておりまして、最後のページにありますが、財政健全化の状況、社会保障制度の財源と、細かい制度のところまでは十分ではないかもしれませんが、財源とその推移、それから予算編成にかかわる部分に関して調べてまいりました。その結果をもとに報告させていただきますとともに、日本への示唆も少し考えてみたいと思います。

 それでは、フランスのほうからご報告させていただきます。

 まず1ページ目でございますが、フランスの経済状況についてまとめております。内容が英国のものとほぼパラレルな形になっておりますので、比べていただくと違いもわかるかと思います。フランスも以前に比べると競争力も衰退してきておりまして、低成長に陥っておりまして、2009年には世界的な金融危機によりGDP成長率が落ち込み、その後回復はしているのですが、依然成長率はほぼ厳しい状態に陥っているという状況でございます。経常収支に関しても、オランド大統領にかわりまして少し回復はあるわけですけれども、比較的厳しい状況でございます。

 2ページに行っていただきまして、これが財政の状況ということになります。金融危機以後、この青のライン、大きく歳入が落ち込みまして、その一方で景気刺激策などもとりましたので歳出は拡大し、その結果、右のグラフですが、債務残高が大幅に、2008、2009、2010年という形で拡大してきておりまして、英国に比べますと相対的に債務残高対GDP比は厳しい見通しで、今後も90%を超えて厳しい状況になっておりますが、今までに比べると伸びるスピードは少し減少してきておりまして、今、財政健全化に向けて努力しているという形になっている状況でございます。

 3ページ目に行っていただきまして、これがEUとの関係もあります財政健全化目標になります。フランスでは2つの健全化目標を立てておりまして、まず1つ目が、マーストリヒト基準でもある、2015年までに3%以内を達成するという欧州委員会や欧州閣僚理事会と合意した内容です。そして2つ目が、構造的財政収支対GDP比を2017年度までに黒字化するという目標でございます。その下にありますけれども、フランスの国内ルールとしては、複数年財政計画法を2年ごとに策定して、この健全化目標を規定するという形になっております。法的には担保されていないのですが、そこを目指すという形になっております。EUルールもマーストリヒト条約という形で、既に説明された内容になっております。この複数年財政計画法がどのぐらい憲法的に担保されているかというところですが、担保はされていないという状況で、実際それを守らなくてもということにはなるのですが、ヒアリングで聞いたところによると、やはり守らないと、まさにコミットメントの話になるのですが、信用の問題にもなりますので、できる限りそれは無視せずに健全化目標を達成していくことが大事だというようなことになっております。

 続きまして、4ページでございますが、財政健全化目標の達成に向けてということで、やはり債務残高対GDP比も大きく上がってきておりますので、健全化目標は大事だということで、2012年、2013年、2014年と、主に富裕層や大企業に対する増税を強化するという形で財政健全化がなされてきております。こちら、青い部分が歳入の増加で、赤い部分が歳出の削減ということで、主に富裕層向けに、例えば2013年ですと所得税の最高税率を引き上げるとか、あと歳出削減だと薬価の引下げ等で医療費の支出を抑えるということをしております。構造的財政収支の目標達成も視野に、オランド大統領は2015年から17年にかけてさらに500億ユーロ、対GDP比で2%になるわけですが、その削減をする旨を今年の1月に発表しており、財政健全化を重視しているという状況になっております。

 続きまして、社会保障関係のお話になりますが、5ページになります。これがフランスの一番の特徴になるかと思うのですが、フランスでは年金、医療、家族手当、労災という部分、4分野の社会保障については一般会計ではなくて社会保障会計という形で、単なる特別会計というよりは、独立した形で運営を行っております。その特徴としては、財源として、保険料もあるのですが、加えて社会保障目的税、CSGというものを導入しております。さらには、ほかにも目的税という形で、たばこ税とかアルコール税とか付加価値税の一定割合を入れることによって、社会保障で収支均衡まではいかないわけですが、それを目指すという形、透明性を出していくという形をとっているという点が特徴かと思います。ただ、これまで言ってまいりました財政健全化目標に関しては、一般政府ですので、一般会計も社会保障会計もあわせた部分において議論するというところは1つ注意点かと思います。

 続きまして、6ページにまいります。社会保障会計は年金、医療、家族手当、労災の4部門がメインになります。見ていただきますと、CSGとその他目的税で、年金には一部移転が入っておりますが、ほぼ社会保障での目的税に近いような形で財源を賄っておりまして、ここが、社会保障が拡大していくと収支均衡のためにそのような目的税を引き上げざるを得ないというところとか、CSGの負担が重いと社会保障費を増やすわけにはいかないというような形で収支均衡へのコミットとかを議論しやすいような形になっているのかと思います。財政健全化のためには年金の支給開始年齢の引上げや高所得者に対する家族手当の削減なども行いながら、ここの収支をできるだけ健全な形にするという取組みがなされているということでございます。

 続きまして、7ページ、これが予算編成の流れになります。これはそれほど日本と変わりはないのかと思うのですが、フランスの会計年度は日本と異なりまして1月から12月ということですので、年度初めの1月に予算作業を開始して、概算要求の作成を行って、12月に向けて予算を組んでいくということになります。予算編成方針が5月に出され、大臣折衝による交渉が行われるというところは日本と類似しています。それから、先ほど井伊委員からも発言がありましたように、財政高等評議会というものがEUの財政ルールの監視をする機関として設置されておりまして、また質問があれば細かい話もしたいと思いますけれども、先ほどの英国と同様に、政府の一部、ここでは会計検査院の附属機関という形になっておりまして、意見は述べますけれども、完全にそれに対応する根拠もないので、無視はしない程度にそれには配慮するというような形になっているのが現状かと思われます。

 続きまして、8ページでございます。こちらは予算編成の内容ということで、ここも1つ特徴かと思うのですが、フランスの予算は組織別・費目別ではなくて、ミッション−プログラムということで政策目的ごとに策定されています。コスト分析という形でそのプログラムにどのぐらいのコストがかかったのかということを計上し、それについて議論を行うということになります。これを予算組織法という法律に基づきまして行っていくということで、組織別・費目別予算と比べると理解しやすくて、細かいところは見えない部分があるかもしれないですが、理解しやすいという意味で透明性が高いということとか、経費や人件費などの総コストを見据えることができるということで比較的議論がしやすいという特徴があるのではないかと思いました。

 続きまして、PDCAサイクルのところですが、これもプラン、ドゥー、チェック、アクションという形で、2001年に法ができまして、2006年から全面施行されております。年次業績計画書をつくって業績報告を行うという形ですが、ここは各国同様だと思うのですが、そこで出た結果を完全に反映して予算が組まれるというよりかは、社会状況にも応じて政治的な意向が優先されることが現実かと思います。ただ、これは重要ですので、しっかりやっていくという意見がありました。

 続きまして、10ページにポイントをまとめておりますが、フランスに関しましては社会保障費の占める割合が比較的大きいということで、それを踏まえて社会保障分野に関しては保険料、CSGという特別な目的税、ほか一般目的税などもあわせながら安定的に財源を確保できるとともに、透明性がありますから、収支が均衡するように、支出が増えれば例えば年金支給開始年齢の引上げなどで収支均衡を行うということがなされているということです。このようなことで財政収支を悪化させない仕組みが構築されていることがフランスの現状かと思います。

 残り2ページのところには大体の一般会計規模、社会保障会計規模の中身と大枠について参考までに提示させていただいております。

 以上がフランスとなります。

 続きまして、スウェーデンに関しまして報告させていただきたいと思います。

 まず、1ページ目をおめくりいただきまして、スウェーデンでございますが、フランス、英国などと比べますと比較的良好な状況になっておりまして、経済成長も達成できておりますが、同じように2008年に発生した世界的な経済・金融危機により2009年は落ち込んでおります。その後2010年には高い成長率を達成しておりまして、ここに書いておりますが、人口1,000万ということですので、悪いときは悪くなるが、いいときはよくなるということで、健全化もしやすいという形になっております。

 それから、2ページ目が財政状況でございます。財政状況は、まず初めに左側のグラフの一般会計歳入・歳出を見ていただきますと、2009年は歳入が悪くなっているのですが、その後歳入は増え歳出は下がり、お互い交差しているということは、長期的に見ると健全な財政を達成できるということだと思います。後で少しお話ししますが、景気循環財政収支という特別な概念を持っておりまして、それが黄色ですけれども、そちらを見ていただくと、2011年以降少し悪くなっており、悪くなっている状況をどうするかという議論はあるのですが、全体で見れば比較的良好です。債務残高対GDP比も40%で安定しているということで、良好な状況が続いております。

 3ページ目でございますが、財政健全化目標、これも景気循環平均財政収支という概念を用いて1%の黒字とするものです。つまり、均衡に1%余裕を持たせるものです。あとはEUルールがありますが、この景気循環平均収支という概念が少し特殊なので簡単に説明しますと、いろいろな要素が入っておりまして、過去10年間の財政収支対GDP比とか、過去10年間の景気循環調整後の財政収支の平均とか、前後3年を含む7年間の財政収支平均、前後3年を含む7年間の景気循環収支平均、それから構造的財政収支、それぞれについて全体を見ながら1%の黒字を達成していくという、いろいろな要素を含みながら景気循環を考慮した上で安定しているのかどうかを図るという指標になっておりまして、これは独自ですけれども、小さい国ですから、景気状況によって、悪くなったりよくなったりすると。まさに初めのページにありましたように、がんと落ちて上に上がることもありますから、そのようなところも含めながら長期的に見て安定できるようにしていくことになります。逆に言うと、少し悪くなったときには景気刺激なども行い黒字にはとらわれない一方で、よくなってきたらしっかりと黒字を稼ぐと、そのような考え方に基づいている、ヒアリングでもそこは強調されていたので、その点が特徴かと思います。

 4ページ目のところに、健全化目標の達成に向けてということですが、現在少し悪くなっていたこともあって、景気刺激策とか雇用対策がとられてきたわけですけれども、悪いときには少し景気刺激をしようということなのですが、景気が回復してきたこともあり、そのときにはしっかりと黒字を稼ぐということで、そこの2段落目にあるように、今年からは歳出の削減等を行うということで、具体的には貯蓄年金所得控除の縮減とか、あとは、たばこ税、アルコール税、軽自動車税を引き上げるなどして景気刺激で少し赤字になった部分を取り戻そうとしているところが特徴かと思います。

 5ページに参りまして、ここはスウェーデンの社会保障制度の枠組みでございます。フランスは割と国でいろいろなことを行っていたのですが、スウェーデンは分権化という形で、国では年金、児童手当、そして県では医療関係、市では福祉、保育関係を行っており、役割分担がなされているということと、地方自治体では基本的に現物給付のサービスを行っているわけですが、特徴として均衡財政が義務づけられておりまして、3年以内に財政計画を策定して財政を均衡させるということが国のほうから地方に課されておりまして、地方は逆に、県や市には社会保障財源として地方所得税というものがございますので、支出が増えてくれば税で賄うか支出を下げるかという計画を立てて均衡財政に向けて努力しないといけないという状況で財政赤字を防ぐ仕組みがとられているということになります。

 6ページのところが社会保障と財政の関係でございます。ここは細かい話になりますが、基本的には確定拠出型であり、アンダーラインがあるように、最低保障年金については一般財源で賄うということです。医療に関しては、県の一般財源によって運営するとともに、診療報酬や薬価は存在せずに裁量性があるというところ、あとは均衡財政が義務づけられていることも特徴です。高齢者福祉、保育も同様に市の一般財源で行って、市が独自に行っていくことになります。そのかわり均衡財政が義務づけられるという状況になっております。

 続きまして、7ページでございます。こちらも会計年度の話になりますけれども、スウェーデンの会計年度も1月から12月、これはフランスと同じでございます。3年間のシーリングを定めるというところが特徴で、「3年前」と書かれた一番上のところで、3カ年予算フレームを定める財務原案を策定し閣議決定を行います。財務原案を作成して閣議決定が行われるまでは財務省の外に出ることはなくて、基本的には中で行われているということになります。その後にいろいろな議論がなされていくということになります。その後は同じような形だと思います。特徴として、経済分析庁というところと財政政策委員会というところが存在するわけですけれども、そこは米印の1番にありますように、まず経済分析庁は財務省の外局で、見通しを作成します。少し日本と違うかもしれませんが、別に財務省でも見通しを作成していて、違うときにはどう違うのだとか、そのような議論もしながら進めていくと。さらに、財政政策委員会とは2007年に財務省の外局として設立して、ここは分析・評価を行うところですが、細かい政策提言を行うというよりかは、このような方向がいいのではないか、また、このような方向は悪いのではないかという大まかな部分の議論を行っている状況でございます。ここには経済学者の方が入っておられて、逆に言うと、スウェーデンはノーベル賞の国でもありますので、学者への意識が高く、それなりの人が言ったことにはそれなりに配慮するという形で、そのようなメンバーで構成されておりまして、逆に言うと独立性があるということになるかと思います。

 8ページに参りまして、ここは予算編成の内容で、先ほど言いましたようにシーリングを決めていきます。シーリングの枠内で、省庁ごとではなくて27の歳出分野で議論を行うというところが特徴になっております。補正予算も含めてシーリングを超えることができない、これを厳守するということが特徴ということです。最後のところですが、政権交代が起こればシーリングは変更され得るが、そうでなければ、政権が勝手に変えることはできないということになっております。

 続きまして、9ページのところですが、プラン、ドゥー、チェック、アクションというところのPDCAサイクル、これもフランスとそれほど変わらないわけですけれども、基本的にスウェーデンの場合はエージェンシーがものすごく大きくて、政策を見ている本部のスタッフは数名という場合があって、エージェンシーの中できちっとPDCAが回っているのかどうか、ここでいうと執行機関の長官が予算執行権限、責任を有して、それをチェックしていくという形になっております。さらに、中央省庁が業務方法書を提示し、エージェンシーがアウトプットをコントロールしていくことになります。エージェンシーが年次報告書を作成・報告し、その後評価をしていくという形になっております。ヒアリングの際に、実際それが十分に活用されているのかという質問に対しては、これは各国同様ですが、それが完全に反映されているという現状まではなかなかいかないということでした。政治とか社会状況がございますので、いかないけれども、当然ながらそのようなことをやることは重要だということでございました。

 それから、10ページ、ポイントになりますが、3年後までのシーリングで、シーリングをきっちりと守ろうとされているのが重要です。このシーリングも、歳出が伸びないようにずっと歳出を下げるという形で行われておりますし、シーリングはこれまで破られたこともなく守られてきているという現状でございます。2009年の危機のときは少し歳出を上げるという形で、シーリングを緩めるということも行われましたが、その後はずっと減らしてきているということでございます。あとは、地方自治体で社会保障を担っているわけですが、そこでは均衡財政を義務づけて、国全体で収支が悪化しない仕組みがつくられているということでございます。

 11ページは全体の予算規模と内容という形で参考までに提示させていただきました。

 以上でございます。ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。では、早速質疑に移りたいと思います。角委員、古賀委員の順でお願いいたします。

〔 角委員 〕 ありがとうございました。

 フランスもスウェーデンもミッションごとの予算編成ということで、非常にPDCAサイクルも回しやすいし透明性も高いと思いますけれども、複数省庁にまたがる予算の行司役はどこがされるのかということ。2点目は、本日の議論とあまり関係ないとは思うのですけれども、6月の段階で法人税についてどこまで書き込まれるか、これはもちろんわからないわけですけれども、12月に向けて、いわゆる税収中立に向けてどれだけ政策が打てるかということに関して、税収中立を目指す中では当然繰欠と租特の話になろうかと思いますが、OECDの中で繰欠と租特について、日本の現状がどの程度の位置づけになるのかということを、今日でなくてもいいのですけど、教えていただければ非常にありがたいなと思います。

 それと3点目は、これはイギリスの医療についてですけれど、井伊先生には申しわけないですが、WHOの評価ではやはり日本の医療制度のほうがイギリスよりもすぐれているということで、世界一という評価を一応得ていると聞いているのですけれども、その理由としてはもちろん日本の健康年齢が高いということとか、イギリスはあまりにもアクセスが悪過ぎて非常に医者にかかりにくいというお話が先ほどありましたけれども、9割が満足しているというのは辛抱強いのではないかと思いますが、これは別にお答えいただくようなことではないのですけれども、以上です。

〔 吉川分科会長 〕 特に第1点目を中心に。

〔 赤井委員 〕 そうですね。2点目に関しては十分に調べ切れておりませんので、また可能な範囲で調べる機会等を行いたいと思いますし、3点目は井伊先生からまた話があると思います。1点目の全体調整に関しましては、予算編成の流れというところで、スウェーデンとフランスのそれぞれ7ページのところにありますけれども、やはり予算省とか財務省が全体をしっかり見るとともに、社会保障に関してはそのような透明的な会計をつくって、予算が拡大していかないような仕組みにしているというところが特徴で、それによって財政健全化がなされているのかと思います。よろしいでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 では、フランス、スウェーデンに関して古賀委員。

〔 古賀委員 〕 報告ありがとうございました。2点ご質問させていただきたいと思います。

 1点目は、フランスの報告書のポイントでもあるように、最大のポイントは一般会計と独立した社会保障会計を持っているということだと思います。先ほど報告の中でもおっしゃっていた部分がありますけれども、この手法のメリットとして財源の明確化や支出と収入のバランス調整などがあると思うのですけれども、デメリットについてはどう考えておられるかということ。2点目は、このような手法が日本で取り入れられるかどうか、これは個人的見解でも結構ですから、そのことについてお伺いしたいと思います。

 2点目は少し視点が違うのですけれども、やはり財政健全化ということになれば、政治のリーダーシップはもちろんのこと、国民の意識や理解、納得ということも片一方であると思うのです。そのような意味では、政治側からの、あるいは政府側からの国民に対するアプローチについて何か感じていたり、つかんでおられたりしたらお教えいただきたいと思います。

 以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、お願いします。

〔 赤井委員 〕 まず、フランスの社会保障会計の特徴で、ここでも述べましたように、やはり透明性が高いということと、保険料、CSG等で賄うということが明確化されておりますので、逆に言うと、支出が増えてくると保険料かCSGを引き上げなければいけないということで、ヒアリングのときは、負担感はかなり高いので、これ以上は無理だというような議論があったわけですが、そのような形で、支出が増えるときには必ず財源を得る、これが厳しい場合は支出を減らさないといけないというところを両方ともにらみながら議論しているところが特徴かと思いました。

 デメリットに関してはあまり考えてはいなかったのですが、日本との関係性でいうと、日本でも特別会計をとりながら見える形にはしているのですが、やはり一般会計の税金で賄うという部分で、あまり社会保障とのリンクがはっきりしない。十分リンクされながら消費税の議論もされたとは思うのですけれども、そこのところをもう少し国民にわかりやすく示して、国民にも社会保障財政収支というものも重要だということをわからせるという視点が日本には重要なのかなと思いました。

 あと、信頼に関しては、特にスウェーデンに関しまして、これは国民にきちっとヒアリングをしたわけではないのですが、全体として政府への信頼がものすごく厚くて、一時期赤字になってもすぐに黒字に戻してくれると、政府はしっかりと行っているというような信頼がまずつくられているということと、やはり経済分析庁とか財政政策委員会とか、そのようなある程度見識を持った人の意見には配慮してそれに従おうと、政府も国民もそのような意識を持っているというところが特徴で、やはりおっしゃるように信頼というものは重要なのかなと思いました。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 では大宮委員、岡本委員、お願いします。

〔 大宮委員 〕 ありがとうございます。

 1つは感想ですけれども、角委員が述べられていましたが、フランス、スウェーデンともミッションであるとか歳出分野ごと、社会保障と少し分けたりして収支を見ながらやっていくということは、一般の企業の経営とも類似していて非常にわかりやすいと思います。ぜひ日本でも取り入れられるといいという感じがしております。

 質問なのですけれども、先ほどグロスとネットの話が出てきましたが、先般も少しご質問したのですけど、バランスシートについて、今まで調査された各国ではそのようなものはあるのでしょうか。土居委員にもお聞きしたいのですけれども。

〔 吉川分科会長 〕 お願いします。

〔 赤井委員 〕 そこのところ、十分に調べてきておりません。もう少し調べてからご報告したいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 土居委員、もしあれば。

〔 土居委員 〕 イギリスはもう大分前から公会計を整えていまして、10年近く前です。当然、存在しています。発生主義的な発想も取り入れています。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。

 では、続いて岡本委員。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。

 赤井先生から2つ、補正予算という話と、それからPDCAの話が出ましたので、これについて思うことをお話ししたいと思いますけれども、私どもが日本で強く思いますのは、補正予算というものが膨大にあって、当初予算の裏で、結構自由になってしまうということがどうなのだろうかと。スウェーデンを見ていると、補正予算も含めてきちっとしているようなのですけれども、そのような意味では、フランスとイギリスも含めてですが、当初予算と補正予算の関係とか、あるいはそれに対する制約はどういうものがあるのかと。これは日本においても非常に重要なところですし、何か入れていければいいなと思いますので、これが1点です。

 それから、PDCAについては、日本では予算委員会がものすごく立っていて、決算委員会はほとんど何もしていないような感じがするのですけれども、アメリカのGAOとか、決算をもっと強化してやっていくべきではないかと。その点、このPDCAは必ずしもうまくいっていないというご説明もありましたけれども、やはり決算のほうできっちり見ながら次の予算にも反映していくというサイクルが重要だと思いますので、この辺において日本との比較でといいますか、日本に何か参考になる手だて、あるいは運営がないかということについてお話しいただければありがたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 お願いします。

〔 赤井委員 〕 まず、スウェーデンのほうの8ページにありますように、補正予算を含めてシーリングをつくっているというところが特徴的で、景気刺激策もとるわけですが、必ずその後には黒字化を達成しようと、単に歳出ばかりが膨らんでいくことのないようにというところをすごく強調されておりましたので、ここは学ぶべきことが多いのかと思います。

 PDCAサイクルに関しては、各国とも重要性を認めながらも最終的には政治には勝てないという部分もありますが、それぞれ業績報告書等を出すとか、スウェーデンの場合にはエージェンシーがありますので、エージェンシーにしっかりとした仕事をやってもらうという点も強調されておりましたので、そのような形が日本に役立つ面としてはあるのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、遠藤委員、碓井委員、板垣委員。

〔 遠藤委員 〕 ご調査、ご報告ありがとうございます。

 私のほうからはフランスについて1点質問させていただきます。問題意識は、古賀委員が先ほど1点目で指摘されました、フランスが行った社会保障会計の独立分離を、日本で踏襲できるかどうかということです。5ページの丸ポツの2個目に年々赤字額が減少しているということが示されているのですけれども、これは社会保障会計を独立させたことの効果だと考えてよいのかどうなのか。2000年の前後だったと思うのですけれども、一度フランスの社会保障制度について調べを行いましたときに、事業主から拠出金が入っていたり国も赤字を補填していたり、そうした一時的な援助があってCADESの状況が好転しているということがあったものですから、純粋に独立させたことによって会計の均衡がとれてきているのか、それともそのような補填によるものなのか、ご教授をいただけましたらと思います。よろしくお願いします。

〔 赤井委員 〕 フランスの5ページのところになるかと思うのですが、この社会保障債務返済金庫とは、社会保障会計が独立したときに既に赤字的なものも移換させて、これまでの社会保障でかかわった部分を何らかの形でまとめて、それを返済していくための金庫としてつくられておりまして、赤字が減ってきている背後には、上にありますCRDSという社会保障債務返済税というものを特別につくりまして、それで追加的に税金を集めてそこの部分を返済するという形になっているという理由があります。これは逆に見れば、そのようなものを返済するための税をきちっとつくって、将来世代に負担が残らないようにしているところが特徴かと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、碓井委員。

〔 碓井委員 〕 スウェーデンのことについてお尋ねします。エージェンシー制度が特徴をなしていると思いますが、日本でも独立行政法人があるわけですが、スウェーデンではこのエージェンシーに対する信頼度は高いと理解してよろしいでしょうか。

〔 赤井委員 〕 はい。もちろんお話を聞いていた限りにおいては高いということです。トップの人は選ばれているわけですが、その中でも一部はうまくいかなくて交代する人もいるということでした。信頼度をどうはかるかということもあると思うのですが、これだけ大きな規模で機能しているということは信頼されているということなのかと思います。

〔 碓井委員 〕 どうもありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 板垣委員。

〔 板垣委員 〕 ほかの委員の方から質問が出てしまったので若干ダブりますけれども、1つは資料5の8ページの予算編成の内容というところで、シーリングと予算の関係、これは補正予算も含め、先ほど話がありましたけれども、私もかねがねなぜこうできないのかということを考えているわけですが、1,000万人という人口の小ささの中で合意形成が得やすいというところはあるのかもしれませんけれども、赤井委員はなぜこれができているのだろうとお考えなのか、それから、山本大臣政務官になぜ日本ではできないのであろうかという政治的な側面からもしお話があればお話しいただきたい。

 それから、もう一点。資料4の6ページの中に4分野が書いてありますけれども、今日本で一番ホットな問題となっている介護、それから生活保護、この部分は一体どうなっているのであろうかということをもし情報がありましたらお願いしたいと思います。

 以上です。

〔 赤井委員 〕 政務官に日本のことは話していただくとすれば、私はスウェーデンに関しては、このようにきちっと守られているのは、国が小さいということもありますので、これも個人的な見解になりますが、一時期悪くなっても改善するのに、1,000万人ということもあり同意を得やすいということと、比較的それほど意見が分かれるような形ではないということで、もちろん政府への信頼が高いとか国民が将来性に対しての意識が高いという部分が関係しているのではないかと思います。

 あとは、生活保護等に関しては、フランスのほうですね。これは十分に調査ができておりませんので、もう少し調べてからお話ししたいと思うのですが、いいですかね。すみません。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。政務官から、ご指名です。

〔 山本大臣政務官 〕 先ほど岡本委員からもお話がございましたけれども、決算委員会で予算の内容を含めてしっかりチェックするということをやはり徹底すること。今も参議院のほうで約10回、これから進めていく形になりますけれども、補正も含めた反映をより徹底しないといけないというのは確かに言われるとおりだと思います。文化の違いは若干あるかもしれませんが、そのような意識で政治家ももっとやるべきだと思いますので、予算がどう使われているかということを補正も含めてトータルでやはり見ないといけないと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 先ほどからスウェーデン、ご報告でもリーマン・ショックのときのような非常のひどい不況のときには財政赤字を出す。経済が回復したら逆に黒字化し、財政健全化を進めるという、いわば教科書的な優等生的なケインズ政策ということかもしれませんが、実はこれはスウェーデンが生みの親なのです。スウェーデンという国は、国のサイズとしては比較的小さい国ですが、19世紀の終わりから経済大国なのですよね。1930年代の不況のときに、いわゆるケインズなきケインズ政策というものを生み出したのは、日本では高橋是清が有名ですけれども、スウェーデン自身、生みの親の国で、それが今に至るまで続いてきていると。国民の信頼とか人口が少ないとかいろいろなファクターがあると思いますが、そのようなことなのかなと思って伺っておりました。

 末澤委員、竹中委員、老川委員の順でしょうか。お願いいたします。お待たせしました。

〔 末澤委員 〕 どうも詳細なご報告ありがとうございました。フランスに関して2点ご質問させていただきたいと思います。

 1点は、最近、金融市場でも地政学的リスクというのが1つ話題になっているのですが、フランスの場合、最近ですとアフリカに派兵したり、昨年もシリアに武力行使を検討したりしているのですが、そういった国防、ディフェンスの予算はこの構造的財政収支に入っているのか別枠になっているのかということが1点。

 あともう一点は、6ページの社会保障の4分野のところに家族手当というものがございまして、保険料で65%とあるのですが、やはりフランスの場合は歳入面でも社会保障で特徴的な制度があって、いわゆるN分N乗方式ですね。少子化対策について相当成果を上げて、合計特殊出生率2を回復したのですが、フランス国内で少子化対策に対しての歳入・歳出両面での評価といいますか、最近どういう状況になっているのかお伺いしたいと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 お願いします。

〔 赤井委員 〕 まず国防ですね。最後のページに一般会計規模の資料があるわけですが、国防に関しては12.8%という形になっておりますが、もちろん全体に関して財政健全化というものは重要ですので、国防の動きとか中身まで十分把握できていないのですが、もちろん国防が増えてくる必要があれば、ほかを削って財政健全化するという議論になるのかと思います。

 少子化対策に関して、例えばN分N乗に関しましては、4ページのところですか、少し上限額を引き下げるなどしておりますし、特に6ページのところにありますように、家族手当に関しても、高所得者に対する家族手当を削減するなどしながら、できるだけ現役世代には将来に向けて、子供を増やすことも含めて、配慮がなされているように感じております。

 すみません、十分な答えになっていないと思うのですが。

〔 吉川分科会長 〕 では、老川委員、よろしくお願いします。

〔 老川委員 〕 私もフランスの社会保障特別会計のことについて伺いたいと思います。古賀委員がおっしゃったようにデメリットはどうなのだろうかということです。つまり、デメリットがなければ、例えば今回の消費税率の引上げにしても、社会保障を特別会計にして特別税としてやったほうがよほどはっきりするのではないかと私も個人的には考えたのですが、しかしデメリットもある可能性があるなと思います。一般的に特別会計、例えば道路特別会計とかいろいろありますが、その中でいろいろ完結させようと思うと、いろいろな人件費であるとか、もろもろの歳出部分をその会計で処理するとなると、わかりやすいけれども、逆にその中の配分がかなり関係者の間で恣意的に行われてしまう、あるいはそこに利権が発生するとか、そのような可能性も否定できないのではないかという問題がありまして、そこら辺は一体どうなっているのか。つまり、ここでの社会保障特別会計は給付に係る部分だけなのか、あるいはそれに絡む人件費とかも含めて処理されているのか、その辺が知りたいということでありまして、それともう一つ、日本の場合はおそらく財務省が一般会計を譲らないと思います。特別会計に任せるということは、その分、予算編成権にかかわってくるわけですから。それでももし構わないと財務省が考えておられるのだったら、ぜひそのことについてもご判断いただきたいと思いますが、まずは質問させていただきます。

〔 吉川分科会長 〕 まずは委員、いいですか。

〔 赤井委員 〕 制度というよりも個人的な意見になるのかもしれないですけれども、私は透明性が確保されるという意味はあるのかなと思います。日本で社会資本整備特別会計とか、いろいろ議論が起きていた背景は、見えにくいということとか、実際には全てを議論しているのだけれども、特別会計化してしまうと、財務省というよりかは所管官庁の中で回ってしまうみたいな、目的税として入れてしまうと、そのような部分があって見えにくいというところがデメリットになっていたと思うので、これも、現場がどうなっているかわからないのですが、問題があるとすれば、透明性が確保されずに、目的税のあり方とか使い道は社会保障の専門部署で全部やってしまうみたいなことになると、その部分がデメリットになるのではないか。逆に言うと、透明性を担保して議会で全てをチェックするという体制が整っていればメリットのほうが高いのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、事務局どうですか。

〔 福田次長 〕 お尋ねの社会保障給付に伴う事務費は、かつて日本で年金事務費に保険料が充当されているということを野党が批判した時期があるのですけれども、普通の国では社会保障給付に伴う事務費は一緒に経理するのが普通だと思います。この社会保障会計、今先生のご説明を伺っていたのですけれども、見ていると、一般会計から一定額が繰り入れされて特別会計内で保険料が経理されるという形だけを見ると、日本でも実は同じような形になっているのですけれども、資料を拝見していると、一般会計からの繰り入れは一定額と定められていて、責任を負うというスタイルになっているようでして、そうだとすると、そこに意義があるのかなと拝見しておりましたが、なお詳しく勉強させていただく価値があるかと思って伺っておりました。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 では、時間がだんだん押してきていますが、竹中委員、井伊委員、それから中空委員の順でお願いします。

〔 竹中委員 〕 どうもご報告ありがとうございました。

 スウェーデンのことで教えていただきたいのですけど、スウェーデン王国ということで、日本の皇室は象徴ということなのですが、常に天皇皇后両陛下が国民の安寧を心から祈って下さっているということで非常に敬愛を集めておられますけど、スウェーデンも王室の皆さんはものすごく国民から愛されていて、なおかつ福祉関係の人なんかに会うと、どの人の言葉からもシルビア王妃のお名前とかがどんどん出てくるのですね。それで、チャレンジドの新しい教育システムだとか認知症の方々に対する新しい施策だとかというときに非常に強く王室の皆さんがコミットされているという印象があるのですけれども、この予算の編成を見ると、ミッションの部分ではコミットされるけど、財政の部分では全くコミットされていないように見えるので、それは別枠で設けられているのか、それともこの部分においては日本と同じように政策や予算に関しては口出しはされないという仕組みなのかを教えていただければと思いました。王室そのものがコミットされている、関与されている部分があるのかないのか。

〔 赤井委員 〕 関与していないということです。

〔 吉川分科会長 〕 井伊委員。

〔 井伊委員 〕 私もフランスの社会保障会計のところで、老川委員のデメリットという話と関連するのですが、以前聞いた話では、保険になっているので、政府のコントロールが及びにくいので改革を行うという話を聞いていたのですが、それはフランスでもデメリットとして認識されているのかどうかということ。

 あともう一点は、さきほどの角委員に関連してなのですけど、私ももちろん日本の医療制度にはすぐれている点もたくさんあると思うのですが、持続可能でないことが最大の問題で、教科書的には保険料と税金で日本の医療制度はファイナンスされていますと私も説明するのですが、でも実際には保険料と税金と借金で賄われていますと説明するのが正しくて、それをどのように改革していくかということで私は英国から学ぶことが多いと思います。それは医療費を上げなくても質を高めるための研究がイギリスでは進んでいて、今回の調査の対象になったフランスやスウェーデン、あと私が行きましたカナダでも、医療制度改革において、イギリスで行われている研究や実践をとても参考にしていますので、表面的にはなかなか評価しにくいところもありますが、専門家の中では評価が高いということで、そのあたり、ぜひご理解いただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、初めの点について。

〔 赤井委員 〕 簡単ですが、やはり、社会保障の特別会計をつくることによって外部から見えなくなったり、ある専門家だけで議論してしまったりすると、そこはデメリットになると思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、中空委員。

〔 中空委員 〕 もう均衡財政の義務づけという話はかなり出たので私のほうからはやめておきますが、このようなことができればほんとにいいなと思いました。

 フランスに関してなのですが、これは質問というよりは意見なのですが、私はフランスの銀行にいますので申し上げたいのですが、資料の中には40から45に高所得者の人たちの所得税を上げますよと出ていたと思うのですが、もう少し高所得になってくると75%という税率もあったかと思います。結局、言い方は悪いですけど、財政再建をしようとするが余り、取れるところから取るという、易きに流れている面もあると思っています。そうすると結局、デメリットとして何が起こるかというと、もしかしたらたくさん稼げる、国際競争力を保てる人が外に出ていってしまうということもあり得るわけです。実際に俳優さんなんかは次々とロシアとかいろいろなところに亡命しているといいます。ですので、財政再建をやることは大変立派だし、そちらの方向に持っていくということはあるのですけど、やり方には若干無理はあるのではないかと考えています。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、時間になりましたので、本日の議論は以上とさせていただきます。

 次回は4月28日13時から、この会議室で開催し、海外調査報告第2回及び財政の長期推計について審議したいと考えております。

 いつもながらのことですが、本日の会議の内容の公表につきましては私にお任せいただき、会議後の記者会見でご紹介させていただくことにさせていただきます。会議の個々の発言につきまして皆様方から報道関係者等に対してお話しすることのないよう、大変恐縮ですが、お願い申し上げます。

 それでは、以上で閉会といたします。

午後12時00分閉会

財務省の政策