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財政制度分科会(平成26年3月10日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成26年3月10日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成26年3月10日(月)10:00〜12:06
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

1.開会

2.事務局説明
・「財政健全化目標の達成に向けて」

3.有識者・委員ヒアリング
・「超高齢日本における政府財政の課題と長期展望」
 -鈴木 準 (株)大和総研 調査提言企画室長
・「最近の金融市場の状況と財政の持続可能性」
 -末澤 豪謙 委員

4.閉会

配付資料
○ 資料1    財政健全化目標の達成に向けて
○ 資料2    超高齢日本における政府財政の課題と長期展望
○ 資料3    最近の金融市場の状況と財政の持続可能性

出席者

分科会長 吉川 洋            

山本大臣政務官
福田次長
岡本次長
太田次長
大鹿総務課長
小宮調査課長
井口給与共済課長
山本司計課長
窪田法規課長
堀田官房参事官
江島主計企画官
堀内主計企画官
宇波主計官
阪田主計官
有泉主計官
青木主計官
井藤主計官
新川主計官
土谷主計官
高村主計官
小野主計官
中村主計官

分科会長代理     田近 栄治  
 委員

井伊 雅子
碓井 光明
岡本 圀衞
倉重 篤郎
黒川 行治
古賀 伸明
角   和夫
竹中 ナミ
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基

 臨時委員

板垣 信幸
遠藤 典子
老川 祥一
大宮 英明
小林 毅
佐藤 主光
末澤 豪謙
十河 ひろ美
中空 麻奈
永易 克典
増田 寛也


午前10時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 では、定刻になりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方にはご多用中のところ、ご出席いただきましてありがとうございます。

 本日は、毎年春に行う審議の第1回でございますので、まず初めに、山本政務官よりご挨拶をいただきたいと存じます。カメラが入りますので、少しお待ちください。

(報道カメラ入室)

〔 山本大臣政務官 〕 おはようございます。本日の財政制度等審議会財政制度分科会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げる次第でございます。

 昨年の秋に当審議会よりいただきました建議に基づきまして編成されました平成26年度予算案に関しましては、先月28日に衆議院で可決され、現在、参議院で審議中でございます。今般の春の審議会におきましては、日本の長期の経済社会の構造を見据えつつ、2020年度のプライマリーバランスの黒字化に向けた道筋につきまして検討を進めていただくものと伺っております。

 審議会といたしましても、どうかこれまで以上に幅広い見地からご議論いただくために、本日より新たに8名の方々に委員に就任いただいたと承知をしている次第でございます。高い見地からの活発なご議論をよろしくお願い申し上げます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。それでは、報道の方、退室をお願いいたします。

(報道カメラ退室)

〔 吉川分科会長 〕 ただいま政務官のお話にもありましたが、本日の分科会より、新たに8名の委員の方々に議論に加わっていただくことになりました。まずは、私から新たに委員にご就任いただいた方々のお名前をご紹介申し上げ、それぞれ一言ご挨拶をいただければと思います。

 五十音順ですが、東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員、遠藤典子委員、お願いいたします。

〔 遠藤委員 〕 遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 一橋大学国際・公共政策大学院教授、佐藤主光委員。

〔 佐藤委員 〕 佐藤です。

〔 吉川分科会長 〕 SMBC日興証券株式会社金融経済調査部部長、末澤豪謙委員。

〔 末澤委員 〕 末澤です。よろしくお願い申し上げます。

〔 吉川分科会長 〕 株式会社ハースト婦人画報社ヴァンサンカン&リシェス編集部編集長、十河ひろ美委員。

〔 十河委員 〕 十河でございます。よろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 BNPパリバ証券株式会社投資調査本部長、中空麻奈委員。

〔 中空委員 〕 中空です。どうぞよろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 株式会社三菱東京UFJ銀行取締役会長、永易克典委員。

〔 永易委員 〕 永易でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 東京大学公共政策大学院客員教授、増田寛也委員。

〔 増田委員 〕 増田でございます。どうぞよろしくお願いします。

〔 吉川分科会長 〕 なお、ユニ・チャーム株式会社代表取締役社長執行役員、高原豪久委員は、本日ご所用でご欠席でございます。

 また、本日は参議院予算委員会陪席のため、香川主計局長はやむを得ず欠席されております。

 本日は、まず事務局説明を行い、その後、有識者ヒアリングといたしまして、鈴木準株式会社大和総研調査提言企画室長よりお話を伺います。休憩を挟んだ後、新たに委員に就任いただいた末澤豪謙委員よりお話を伺います。

 それでは、まず事務局よりご説明をお願いいたします。

〔 堀内主計企画官 〕 主計企画官をしております堀内でございます。私のほうからは、お手元にございます資料1「財政健全化目標の達成に向けて」につきまして、ご説明をさせていただきます。

 1ページおめくりいただきますと、我が国の財政健全化目標ということで、これまで我が国が財政健全化にコミットしている内容でございます。既にご承知の方も多いかと思いますが、まず2014年度(平成26年度)、2015年度(平成27年度)の2年間の国の一般会計の予算につきましては、基礎的財政収支につきまして、少なくとも各年度4兆円程度改善するということが、昨年の中期財政計画で定められたところでございます。これに従いまして、初年度の予算であります26年度の当初予算は、現在参議院で審議中でございますが、4兆円を上回るプライマリーバランス5.2兆円の改善という姿のものとなってございます。この取組みを2年間行いまして、2015年度(平成27年度)につきましては、国・地方のPBの赤字の対GDP比を2010年度比で半減するという目標になってございます。その後、2020年度(平成32年度)につきましては、国・地方のPBを黒字化する。その後は、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すということになってございます。

 この中期財政計画の内容につきましては、2ページでございますが、昨年9月に行いましたG20サミットにおきまして報告し、国際的にもコミットしているところでございます。

 1ページおめくりいただきまして、3ページでございます。我が国財政の主要先進国との比較でございます。左側、債務残高の国際比較でございますが、近年の財政赤字の積み重ねによりまして、我が国の債務残高対GDP比、赤線は増加の一途でございます。一番左端は、1997年、前回消費税率の引上げが行われた年でございますが、そのころをごらんいただきますと、我が国は100%程度の債務残高。これに対しまして、上にドットで書いてありますイタリアは130%程度でございました。その後、2014年、足元を見ていただきますと、我が国は230%程度。これに対しまして、イタリアが150%程度、あとは100%を上回るところ、あるいは、ドイツなどは80%ぐらいの水準ということになってございます。

 こうした背景にございます大きな要因の一つが、少子高齢化の進展でございます。右側をごらんいただきますと、65歳以上の対総人口比でございますけれども、1990年代前半までは、主要先進国と比べても、我が国の高齢化比率は最低の水準でございました。少子高齢化が急速に進みまして、今では我が国の高齢化比率は主要先進国中トップの水準でございます。今後もこの傾向は続く見込みでございます。

 4ページをごらんいただきますと、まず上の四角で囲ってございます目標の内容、フロー目標、あるいは、ストック目標と書いてございますが、これは2010年、トロントサミットにおきまして、主要先進国でコミットしました財政健全化の目標でございます。2008年のリーマン・ショック以降、主要先進国では、経済成長、雇用の下支えのために景気対策を講じた結果、財政が悪化しておりましたが、こうした中で、景気回復が確実となった際に例外的な対策をもとに戻すということで、主要先進国でコミットしたものでございます。日本以外の先進国と比較していただきますと、例えばフロー目標については、対象の年が、日本以外の国が2013年であるのに対して、日本は2015年度までと。あるいは、対象となる健全化の目標も、主要先進国が財政赤字であるのに対しまして、日本は基礎的財政収支の赤字の半減ということで、日本のほうが達成年限及びその対象等で他の先進国に比べて緩い目標となってございます。これにつきましては、我が国は90年代から累次の財政出動、あるいは、急速な高齢化に伴う社会保障費の増加といったような、他の国と比べまして極めて規模の大きな構造的な財政赤字を抱えていたということから、比較的緩い目標が例外的に認められたものでございます。

 その後どうなったかでございますが、下のほうをごらんいただきますと、財政収支の対GDP比ということで、日本の場合、先ほど申し上げましたように、基礎的財政収支が目標の対象なものですから、それを財政収支に置き換えて計算しています。具体的には、右下に書いてございますが、2020年度のPBの黒字化目標を達成できた場合に、財政収支がどうなるかということで、仮定の計算をいたしまして、その場合の道筋を赤線のドットで書いてございます。諸外国に比べまして、比較的このペースも緩やかな傾きになっているかと思います。なお、ドイツにつきましては、既に2012年の時点で財政収支の改善目標を達成済みとなってございます。

 こうした我が国の財政、過去からの歩みを少し詳しくご説明させていただきたいと思います。5ページをごらんいただきますと、左側、一般会計における歳出・歳入の状況でございます。よく我々のほうからは「ワニ口」ということで説明させていただいておりますが、歳出が税収を上回って、上あごに当たります赤線、歳出が拡大する一方で、下あごに当たります青線、税収が下に下がるということで、ワニの口が開いていくというような状況にあるということでございます。あごが最も閉じていた時代、1990年代の前半、1990年を見ていただきますと、税収が60.1兆円、それに対しまして、歳出は69.3兆円でございました。その後、だんだん開いていきますが、消費税率の引上げがあった1997年をごらんいただきますと、税収が53.9兆円、これに対しまして歳出が78.5兆円ということで、ギャップは広がっていましたが、公債発行額は18.5兆円にとどまっておりました。その後、公債発行額、30兆円台から40兆円台が毎年続きました結果、平成26年度予算では、消費税率の引上げもありまして、税収は何とか50兆円台を回復いたしましたが、依然としてワニ口は開いたままの状況でございます。この要因には、景気の低迷対応のための経済対策の実施、少子高齢化の進展等の結果、歳出が増大する一方で、税収につきましても、バブル経済の崩壊による税収減、あるいは、景気対策としての法人税や所得税の制度的な減税、さらに税源移譲等もありまして、減少しております。

 この結果でございますが、右側、債務残高の累増ということで、97年をごらんいただきますと、公債残高は258兆円でございました。2014年をごらんいただきますと、780兆円になる見込みということで、この17年で520兆円強増加するということになってございます。

 こうした要因を少し分析したものが6ページでございます。6ページの左側、一般会計の歳出・歳入の比較というところ、まず歳出をごらんいただきますと、97年当時、社会保障は15.4兆円でございました。これが2014年には、30兆円の大台に拡大するということになってございます。また、国債費をごらんいただきますと、15.9兆円が23.3兆円ということで、債務残高の累増等に伴いまして国債費も増加してございます。一方で、公共事業、防衛、文教・科学振興と書いてございますが、31.7兆円が26.0兆円ということで、社会保障が増大する一方で、こうしたほかの政策的経費は下がっているということになってございます。

 一方の歳入でございますけれども、税収は53.9兆円がございました。これが2014年、50兆円ということになってございます。先ほど申し上げましたように、いろいろな制度的な減税等もやっておりますので、単純な比較は難しいですが、2014年は消費税率の引上げ分約4.5兆円を見込んでおりますので、そうしたことをプラスしてようやく50兆円になったという規模でございます。一方、特例公債をごらんいただきますと、97年は8.5兆円でしたが、足元35兆円を超えるということになってございます。

 右側にございます年齢別の人口構成の変化にございますように、我が国の人口構造の変化が大きな要因になってございます。97年も既に高齢化は進んでございましたが、高齢化率は15.7%で、この赤線で示されたいわゆる団塊の世代、あるいは、黄色の第2次ベビーブームが、まだ生産年齢人口のほうにございました。14年をごらんいただきますと、高齢化率26.1%ということで、団塊の世代、この赤線が全て65歳を超えるという水準になってございます。

 7ページ以降、少し将来の姿を、懸念すべき事項ということでまとめてございます。

 1つ目、今申し上げました人口構成の変化、一段と少子高齢化が進んでいくというものでございます。97年と比べても高齢化の進展が著しいですけれども、2020年、さらに高齢化は進みまして、団塊の世代は70歳を超えるということでございます。こうしたことから、労働者人口比率を見てみますと、64歳ぐらいまで60%ぐらいということで、下のグラフ、全体の割合で見ましても、全世代の労働力人口比率と同等の水準でございますが、これが70歳を超えるとなると20%強に大きく低下するということで、2020年、このままの状況でございますと、労働市場は収縮していくと。これに伴いまして、経済成長の制約要因となる一方で、年金・医療費の増加等にもつながるということが見込まれます。

 8ページ、考慮すべき事項のマル2ということで、日本の一般政府債務と家計金融資産の推移ということでございます。前回、調査課長のほうからも簡単にご説明させていただきましたけれども、我が国の家計の金融総資産、グロスで1,600兆円ぐらい、ここから住宅ローン等の金融負債を除くと、純資産は1,200兆円程度でございます。一方で、一般政府の総債務が年々増加してきておりまして、足元で1,100兆円程度、特にリーマン・ショック後は国債発行額が増大したことにより、そのペースが速まってきてございます。今後の見通しにつきましては、確たることは言えないものの、仮にこの趨勢が続くと仮定すれば、いずれは家計の金融純資産の規模に一般政府の総債務が追いつくということも考えられることから、国内における国債の償還などについて、今後の焦点となり得るかと思ってございます。

 もう1ページおめくりいただきまして、9ページでございます。考慮すべき事項マル3ということで、経常収支の推移でございます。経常収支につきまして、その黒字幅は縮小傾向にございます。昨年、2013年の経常収支は3.3兆円ということで、前年度から1.5兆円の減となってございます。この背景には、大震災の影響により燃料等の輸入が増大したというようなこともございまして、貿易収支が2011年に赤字に転じたということがあるかと思います。今後の経常収支の見通しについて確たることは言えないものの、今後もこうした状況は注視していく必要があるかと思います。

 また、右側でございますけれども、部門別資金過不足の推移ということで、一般政府の赤字を家計、非金融法人企業、海外によってファイナンスしていく必要がございます。今後、海外からの資金のファイナンスをしてもらうウェイトが高まっていくこととなれば、我が国の国債市場はホームカントリーバイアスがなくなり、今まで以上にシビアに見られかねないということかと思います。

 こうした状況を踏まえまして、2020年に向けてということで、10ページ、11ページは、前回私のほうからご説明させていただきました後年度影響試算、中長期試算を、もう少し歳出の規模について場合分けをしたものでございます。

 10ページでございますが、後年度影響試算、財務省のほうで出しているものでございます。前回国会に提出しました後年度影響試算をご説明させていただいたときの数値は、例えば、経済成長を3.0%とした左側の表でございますと、歳出自然体というケース、1つ飛んで、歳出伸率1.5%、この2つのケースについての試算を後年度影響試算ということで発表させていただいたものでございます。右側の経済成長1.5%の場合も、同様に、歳出自然体という欄と、1つ飛んで、歳出伸率0.75%という欄が発表したものでございます。この歳出の伸率につきまして、複数のケースをもう一度試算しまして、歳出の規模に対する感応度分析というようなことを今回させていただいております。

 具体的には、歳出伸率2.0%、歳出伸率1.0%というのが、経済成長3.0%ケースで増やしたものでございます。歳出伸率の下に括弧書きで、年平均の伸びを書いてございます。注3でございますけれども、年平均何兆円の伸びと書いてございますのは、27年度以降32年度までの5年間の伸びを、いわゆる社会保障4経費の増、あるいは、公経済負担増と、消費税率の引上げに伴いまして増えてくる分、それらを除いた部分での平均ということで計算してございます。経済成長3.0%ケースの一番下、歳出伸率1.0%ケースをごらんいただきますと、年平均0.4兆円の伸びとございますが、今後、いわゆる社会保障の自然増が毎年1兆円ぐらい見込まれる中で、むしろ年平均0.4兆円ぐらいの伸びということで、非常に厳しい姿で考えましても、一番右下をごらんいただきますと、4.6兆円の赤字が一般会計で残るという姿になってございます。このとき機械的に計算しますと、GDPは603兆円というふうになってございますので、対GDP比1%弱の赤字が残るということになります。

 同じようなことを、中長期試算をベースにやったものが、11ページでございます。先ほどの財務省の後年度影響試算は国の一般会計でございましたが、11ページは、内閣府が行っております中長期試算ベースに行ったものでございまして、国・地方のプライマリーバランスも示されております。左側の「経済再生ケース」、これはアベノミクスが順調に発現した場合ということで、今後10年間の名目成長率が3%強で推移するというようなものでございます。右側の「参考ケース」は、それよりも経済の回復が緩やかなケースということで、1%ぐらい名目成長率が落ちるというようなケースでございます。一番上のコラム、私たちのほうで歳出自然体というふうに名付けましたが、これが、内閣府が発表したものでございます。これにつきまして、やはり一般会計の歳出の伸率を2.0%、1.5%、1.0%、経済再生ケースで想定したものがその表でございますけれども、一般会計の姿をそういうふうに置きまして、他方で、国・地方のプライマリーバランスにつきましては、一般会計のPB以外の地方のPB、あるいは、国の一般会計以外のものを、中長期試算で示された数字を足し上げて計算してございます。

 経済再生ケースでごらんいただきますと、内閣府の試算では、名目GDPが2020年で616.8兆円の規模でございます。歳出自然体の▲11.9兆円というのがGDP比▲1.9%ということで、前回も申し上げましたが、2020年度の国・地方のプライマリーバランスのためには、更なる収支改善努力が必要という結果でございましたが、歳出伸率1.0%というふうに抑えたとしても、一番右下でございますが、▲6.1兆円ということで、やはり名目GDP比で見ますと、1%程度の赤字が残るということになります。

 参考ケースのほうですと、税収のほうがそれほど伸びませんので、プライマリーバランスの赤字はさらに拡大していくという姿でございます。

 12ページ、13ページは参考ということになってございますが、この後、大和総研の鈴木室長のほうから、50年ぐらいの超長期の姿についてのご説明をいただくことになっておりますが、それにつきまして、例えば、EUではどういうような取組みをしているかということで示させていただいております。

 欧州委員会におきましては、2006年以降、3年に1度、加盟国それぞれにつきまして、高齢化要因等の人口動態の見通しを踏まえまして長期的な財政の持続可能性について分析を発表してございます。直近のものですと、2012年に「Fiscal Sustainability Report」というものを公表してございます。

 財政制度等審議会におきましても、2007年10月に、当時の最新のEUの分析でございました2006年のレポートを踏まえまして、起草検討委員会より、日本の財政の持続可能性について分析していただいたことがございます。

 欧州委員会の2012年のレポートにおきましては、欧州委員会の用語でございますが、「S1」「S2」という指標を2つ示してございます。

 「S1」の指標でございますけれども、これにつきましては、2030年度において一般政府の債務残高対GDP比、マーストリヒト条約によります60%とするために必要な収支改善幅というものを示してございます。各国につきまして、その数値が左下の「S1」指標の国際比較というものになります。

 もう一つ、「S2」指標というものがございます。これにつきましては、特定の年限に区切ることなく、将来にわたって一般政府の債務残高対GDP比を安定させるために必要な収支改善幅ということで示したものでございます。右下の「S2」指標の国際比較というものでございます。

 最後の白丸でございますけれども、この「S1」指標というものにつきまして、欧州委員会では、2015〜2020年、6年間に段階的に収支改善を行うということで、一度に必要な収支改善幅を達成するのではなく、複数年かけてでございますので、それに伴い追加的に発生する「遅延コスト」というようなものも併せて示されているところでございます。

 先ほど申し上げましたように、日本では、財政制度等審議会で2007年にやっていただきましたが、似たようなことを日本について分析した論文がございます。最後、13ページでございますが、上田氏による「動学的コントロール下の財政政策」というものでございます。これも直近の2012年ではなく、この論文が書かれた当時の2009年の欧州の手法に従って日本の分析をしたものでございます。「S1」指標は、2060年ということで、先ほどのEUの2012年のものと比べて、年限が30年遅いですが、そこにおける対GDP比60%を達成するための水準というものを試算してございます。

 具体的には、黄色で囲ってあるところが、その結果でございます。なお、この分析につきましては、いわゆる部分均衡モデルということで、一定の経済の前提等を置いた上での計算になってございますので、経済成長を変えた場合、人口の動向を変えた場合、あるいは金利水準を変えた場合、いわゆる収入を変えた場合ということで、感応度分析のようなものも併せて示されているところでございます。

 私のほうからは以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、次に、「超高齢日本における政府財政の課題と長期展望」といたしまして、鈴木準大和総研調査提言企画室長からご説明をお願いいたします。

〔 鈴木大和総研調査提言企画室長 〕 大和総研の鈴木でございます。本日はお招きをいただきまして、大変ありがとうございます。早速ご報告を、資料2に基づきましてさせていただきます。

 まず1ページ目でございます。私どもで昨年、今後30年ぐらいを展望した経済予測を発表させていただきました。その中で、1ページ目左上でございますが、基礎的財政収支の長期予測ということで、2020年度時点で対GDP比4%ぐらいの赤字が残るという見込みでございます。右下の図にございますように、今後、年金は、デフレから脱却していけばマクロ経済スライドが働いていくと思いますが、医療・介護が非常に増えていくという状況になります。この裏側で当然公費も増えていくということで、左上に戻っていただきますと、2020年代半ばぐらいに屈折点がございまして、基礎的財政収支赤字が構造的に拡大していく可能性があるだろうと見込んでおります。先ほど部分均衡というお話ございましたが、これはマクロモデルを使った、経済とのリパーカッションを考えたものでございます。

 その背景について、次のページにお進みいただきたいと思います。先ほども高齢化の人口動態の話がございましたが、団塊世代の方々が2010年代半ばに65歳以上人口入りをされまして、今度、2020年代半ばになりますと後期高齢者に入ってきます。左上の図は、65歳以上人口を生産年齢人口で割ったもの、あるいは、75歳以上人口を生産年齢人口で割ったものの前年差を見て、高齢化のスピードと称しておりますけれども、まずそういうことが起きます。それから、2030年代になってきますと、第2次ベビーブーム世代がどんどん高齢化してくるということで、日本は2030年代以降、非常に厳しい高齢化に直面していきます。こういうことが背景にあるものですから、先ほどごらんいただいたような、2020年代半ばに大きな構造変化が起き得るということでございます。

 それから、右に図表が2つございますのは、少子化の見通し、出生率の見通しが楽観的だというお話はよく巷間でございますが、死亡率も、実は予想が外れているといいますか、これは喜ばしいことでございますけれども、想定以上に寿命が延びています。65歳時平均余命をごらんいただきますと、基礎年金を導入した1985年当時と比べまして、今後さらに延びていく見込みになっていますので、非常に注意をしていくべきことかなと思います。以上のような意味で、厳しい高齢化を維持できるような構造を2020年ごろにつくっていくということは非常に重要ではないかと思います。

 次のページでございます。先ほど家計金融資産と政府債務がいずれクロスするかもしれないというお話がございました。私、財政問題は、政府の債務とそれ以外の、主に民間部門の政府に対する債権の両建てでの膨張、これが財政問題だと思います。ただ、これまでの経済構造を前提にしますと、今、企業部門は大幅な貯蓄超過、先ほどISバランスの資金過不足の図がございましたけれども、企業は大幅な資金余剰という状況です。それが続くだろうということを含む私どもの予測の左の図で、上は一般政府ベース、下は中央・地方ベースで、グロス・グロス、あるいはネット・ネットで家計金融資産と政府債務を比較していただきますと、2020年代にクロスをするということが見込まれるということでございます。私どもの長期の予測では、経常収支の赤字化は2030年代にならないと起きないのではないかと思っておりますので、ネットのストックベースで海外から資金調達しているという状況までは見込んでおりません。ただ、それにしましても、政府債務が家計の資産を超えるということは、結局、別の部門が国債を保有していることになります。例えば、事業会社が国債を持つということですと、これは生産性を上げているということではなくて、政府に対する債権を持つということになってしまう。それから、銀行が持つということですと、信用力が政府よりも低い民間から預金を受け入れて、より信用の高い国債を持つということですので、サステイナブルではございません。あるいは、中央銀行が持つということですと、これは通貨の価値の問題になってくるかもしれない。ということで、モデルの中では解けてしまうわけですけれども、2020年代半ばごろにクリティカルな状況が現実には生じるかもしれないということを、踏まえていくべきだろうと考えている次第でございます。

 次のページでございます。もう少し手前に見通しを引き寄せてみますと、中期経済予測というものを別途、私ども大和総研で出しておりますが、2020年ごろのプライマリーバランスの赤字の幅は、やはり2%ぐらい残ってしまうだろうというふうに見ております。右の上の表は成長率見通しの違いを示しています。内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」には先ほどもご説明があったように、経済再生ケースと参考ケースがあるわけでございますが、私どもはその真ん中ぐらいのマクロの見通しを持っておりまして、やはりそれですと2〜3%ぐらいの赤字が2020年ごろに残ってしまうということかと思います。そういう意味では、まず2012年の一体改革で決まった、社会保障に関する重点化・効率化、あるいは、消費税率の引上げを含めた税制改革、これを着実に行っていく必要があるとともに、一体何をやれば2020年度の均衡に持っていけるのか考えなければならないということだと思います。

 こちらの皆様には釈迦に説法でございますが、過去の財政健全化のことを右下の表にまとめてみました。財政構造改革法に関する1997年、1998年ごろの動き、それから、2006年の骨太の方針。私は過去2度ぐらい非常に大きな取組みと実績があったと思います。そこでのさまざまな教訓を私たちは得ているわけでございますので、経験から教訓を抽出して、より実効的なルールというものをつくっていくべきだと思います。それから、先ほど日本の財政健全化目標は比較的緩いというお話がありましたけれども、日本はリーマン・ショックで目標を10年先延ばししてしまいました。骨太2006のときには、2011年度のPB黒字化を目指していたということは、意外にもう世の中で忘れ去られてしまっておりまして、そういう意味では、改革のモメンタムを取り戻す必要があろうかと思います。

 次のページでございます。左側は財務省の資料から転載をさせていただきましたけれども、2017年度にいわゆるすき間は19.3兆円残るという見通しでございますので、単純に計算すると、2017年度ごろの消費税収は税率1%で2.8兆円と見込まれておりますので6.9%、消費税率にして7%分ぐらいの何かしらの調整が必要な状況です。それから、右側が私どもの中期の予測で、仮に消費税だけで調整をするとどれぐらい税率引き上げが必要かを試算してみますと、社会保障以外の歳出増もございますし、増税をすれば当然景気が悪くなるという、そういう影響も全部考えますと、8%ポイントぐらいの消費税率引上げが必要になります。しかも、これは当然2020年度で一度目標を達成すればいいという問題では全くなくて、その後もどんどん高齢化が進むということで、その後も財政を維持できる構造をつくらなければいけません。単に、消費税率を8%ポイント上げただけでは、その後のPB黒字を維持できないということが起きてくるということだろうと思います。

 次のページでございます。今、2020年度ごろに超高齢社会を維持できる財政構造をつくらなければいけないということを申し上げました。では、具体的に収支を改善する条件を考えてみようということで、6ページの左側は、2011年に行われました内閣府の研究会での報告書からの抜粋でございます。この研究会には私も関わらせていただきました。結論を申し上げると、デフレ脱却をして、アベノミクスを中長期的な発展をつなげていく、これは本当に重要なことですが、それで財政がどれだけ改善するかということを考えてみますと、あまり大きな期待はできません。式が細かくて恐縮でございますが、成長率に関係するのは歳出の弾性値、歳入の弾性値がどれぐらいなのかということであります。これが左側の箱の中にある式の最後の部分の第1項、ここにgという成長率が絡んでおります。あるいは、aという歳入の弾性値、あるいは、bという歳出の弾性値が絡んでいます。名目成長率が上昇する場合、収支が改善する条件が下に書いてございますように、歳入の弾性値がかなり大きければいいかもしれない。それから、歳出の弾性値掛ける歳出と歳入の比率、この掛け算が小さければいいということでございます。ただ、今、歳出と歳入の比率は、国の一般会計で申し上げれば、約2でございますから、仮に歳出の弾性値を1としますと、2を上回るような歳入の弾性値を見込めるかというと、6頁の右側の箱に私が書かせていただきましたように、弾力性というのはいろんな要因でかなり落ちてきていると思います。歳入の弾性値は、どちらかというと今後もさらに落ちていく方向ではないかと思っておりますので、収支改善の条件を、経済成長という観点からはなかなか満たしにくいと考えられます。プラスcXという左側の式の最後の項が高齢化要因ということでございまして、これは経済成長とは関係なく増えていく部分でございます。やはり、この部分をどういうふうにしていくかということが、財政にとっては重要ではないかという認識でございます。

 さらに、次のページをごらんいただきますと、今申し上げたことをまとめたのが左側の表でございます。デフレ脱却をして緩やかなインフレの世界に持っていきたいということは当然でございますけれども、インフレになりますと、インフレ連動の歳出が増えていくということなので、物価上昇で収支が改善をするということはなかなか見込みにくい。それから、実質成長は、景気対策的な歳出が減るとか、あるいは、いろんな意味でプラスのことが起きてきますので、収支改善の条件としてはプラスです。ただ、どれぐらい成長できるかというのは別の問題でございます。ということで、リフレーション的な発想では財政の問題は解決ができない。あくまでも社会保障支出を中心とする構造的な、経済成長とは関係のない部分の歳出をどういうふうにしていくかということが重要ではないかと思います。

 それから、経済成長の本質は生産性の上昇と実質賃金の上昇だと思いますので、経済成長すれば公務員賃金も増えますし、あるいは、人件費という意味で医療・介護の部分の支出も増えます。実質成長自体も、実は歳出を増やすファクターであると思います。

 以上のフレームワークを踏まえまして、次のページで試算をやっております。長期の試算でございますけれども、これはマクロモデルではなくて、どちらかというとやや機械的な計算をやっております。社会保障とプライマリーバランスの関係を直接的に理解しやすく、インプリケーションを得やすい、そういう目的の試算で、制度上のルールをあまり細かく描くということはせずに計算しております。ポイントは、一番上に書きましたように、賃金でデフレートした高齢者向け給付水準ですが、ここでは手短に所得代替率と呼ばせていただきます。あるいは、高齢者と現役層との格差と言ってもいいかもしれません。これがなぜ重要かというと、社会保障に関する国民負担を賃金に対して求めて、それを高齢者に分配する賦課方式だからであります。もちろん、若干積立金等を活用している部分はございますが、基本的に賦課方式であるという点が重要だと思います。

 左上の2012年度をごらんいただきますと、65歳以上1人当たり社会保障給付、ここでの計算では257万円でございます。一方、生産年齢人口1人当たり家計所得、これは雇用者報酬と自営業の所得である混合所得の合計を生産年齢人口で割ったものでございますが、321万円。生産年齢人口には働いていない方も含まれておりますが、このベースで所得代替率を求めると、80.1%。この水準自体にはあまり重要な意味はありませんし、これが高すぎる、低すぎるという議論は本質的ではありませんが、ここでの計算では80.1%になるということです。この所得代替率を仮に維持した場合、2040年度、すぐ下でございますが、約30年たってどうかということで、80.1%を維持したまま、仮に2%成長でやっていきますと、621万円の給付と、現役の所得は775万円というバランスになります。そのときに、中央・地方政府のプライマリーバランスはGDP比で7.4%の赤字でございます。ここで保険料率は大きく引き上げられております。2012年度では22.5%の保険料率を38.8%まで高めて、社会保障に対する公費負担割合を一定とした場合、GDP比7.4%のPB赤字になります。注3で書いておりますが、仮に保険料率を22.5%のままとしますと、このPB赤字は16.3%に拡大いたします。保険料と税のバランスをどうするかというのは別の議論ですが、このときにPB均衡に持っていこうとしますと、国民負担率としては65%ぐらいになるという試算結果でございます。

 一方、2012年度の80.1%を3割削減して、56.1%にする場合が右側でございます。これは賃金対比の給付水準を落とすということでございます。先に申し上げておきますと、名目2%成長を実質1%と物価1%と考えますと、実は物価で測った実質水準が落ちているという姿ではございません。あくまでも賃金対比で落としているということでございます。これで計算しますと、1人当たりの65歳以上給付は435万円となりまして、PB赤字が7.4%ではなくて4.5%になり、保険料と合わせた国民負担率(NI比)は、現在40%ぐらいのものが53.5%までの上昇にとどまります。ここで何を申し上げたいかといいますと、賃金対比での給付水準をどうコントロールするかによって、最終的に必要となる国民負担増が変わってくるということでございます。

 次のページにお進みください。ここで定義している所得代替率をどれぐらい落とすかによって、プライマリーバランスがどれだけ違ってくるかというのが左上の図です。それから、左下が、それぞれのケースでPB均衡の実現を国民負担増で行うということを考えた場合に、国民負担率がどうなるかを示したものです。今の代替率を一定にした場合というのは一番上で、70%を超えてくるということですので、日本の自由主義、あるいは資本主義という国家像に照らして、高すぎるのではないかと思います。グリーンの線で示した3割削減のケースですと、60%をやや下回るところに何とか抑えられるということになります。

 それから、各ケースの公債残高が右側でございますが、PB赤字が大きくなれば、やはり公債残高は大きくなります。それから、成長率と金利の格差が大きなファクターになってまいりますので、ここでは成長率・金利格差を1%と置いて試算しますと、こんな姿になってしまうというのが右上の図でございます。右下の図が、金利・成長率格差がより大きい2%、3%の場合は、債務残高がこのようになってしまうということで、金利が上がってしまえば破綻するという状況だろうと思います。

 次のページにお進みいただきまして、ご覧いただいた長期試算は、名目2%成長が前提ですけれども、それが悲観的なのか楽観的なのか、ご意見はさまざまだと思いますが、10ページの左側の表は、成長率を変えた場合にどれぐらい違うかという計算をしたものです。例えば、2%成長を4%成長にすれば、2060年度時点のプライマリーバランス赤字が9.0%から8.5%に縮小するということでありますし、逆に、成長率が2%ではなくて0%にとどまってしまった場合は、9.0%が9.4%に拡大します。もう明らかな話でございますが、賃金対比の給付水準の重要性を議論しておりまして、成長率の違いの影響は大きくありません。もちろん、成長率が高まることによって、直接税は弾力性が高い分だけ指数的に税収が増えていきます。その効果はもちろん試算に入っているわけでございますが、基本的には、成長率は国民全体が豊かになるか国民全体が相対的に貧しくなるかという話でございまして、問題は所得の配分の仕方といいますか、代替率の置き方になってこようかと思います。

 それから、右側の表が、人口の見通しを変えた場合です。ここまでご覧いただいた試算では出生中位・死亡中位を前提としておりますが、仮に出生高位・死亡高位、これは1.6ぐらいの合計特殊出生率が前提になりますが、これで計算してみますと、改善幅は成長率よりは少し大きいイメージにはなります。とはいえ、なかなか人口動態を多少変えただけでは問題が解決するということにもならないだろうと思います。むしろ、死亡率が予想以上に低下していくことも考えなければいけないかもしれません。

 それから、ご参考として、出生率が人口置換水準まで回復した場合もお示ししております。これは2018年度に期間合計特殊出生率が2.07に上昇した場合の計算です。この場合、さすがにそれなりの効果はございますが、それでも2060年度で5.5%のPB赤字ということでございます。そういう意味では、やはり政策的に代替率をどうコントロールするかが重要であろうと思います。

 それから11ページ、冒頭で申し上げたマクロモデルでの試算に最後は立ち返らせていただきます。マクロモデルの中では、例えば、保険料率を今の年金のルール通り18.3%まで上げていくとか、あるいは、年金のマクロ経済スライドをやっていくとか、そういったルールも全部入れて、経済とのリパーカッションも考慮して計算しております。ベースシナリオというのは、先ほど一番冒頭にごらんいただいた、基礎的財政収支赤字が2020年代半ばに屈折して、赤字を構造的に拡大させていく現状維持ケースです。これに対しまして、改革シナリオと超改革シナリオを設定してみました。改革シナリオというのは、中身はいろいろ選択肢がございますけれども、賃金でデフレートした、今日、私が所得代替率と申し上げているものを、結果的に今よりも約15%下げていく内容の改革を行うケースです。それから、超改革というのは、改革シナリオの延長線上という意味ではなく、それとは異次元のシナリオです。政府が全面的に年金としてお金を配る、あるいは、医療や介護という現物を配る、こういうことから脱却をして、そこはナショナルミニマムに縮小させていく。一方、民間部門が政府からの給付が抑制される部分を補うような新しいいろんなサービスを提供していく、そういう世界を考えているのが超改革シナリオです。結果的に政府が直接担う給付の部分は、所得代替率で申し上げて25%下げる。一方で、政府は、番号制度の運用とか、民間がさまざまな新しいサービスを提供するためのサポート側に回るという、こういう考え方でございます。

 歳入改革では、消費税率を2020年代に10ポイントぐらい上げまして、2030年代初頭の日本の消費税率は20%。2030年代前半にさらに5ポイント上げて、2030年代後半以降は25%というふうに考えております。これは、それ以上は消費税率を上げるべきではないという意味でもございますけれども、これは改革シナリオ、超改革シナリオ、同じでございます。

 経済政策のほうで、さまざま成長戦略を官民挙げて打っていくことで、全要素生産性のトレンドの伸びが、改革シナリオではベースシナリオの1.25倍、超改革シナリオでは1.5倍と考えています。2007年の第1次安倍政権は、生産性上昇率を1.5倍にすることを成長戦略に掲げました。その目標は全要素生産性ではなくて、マンアワーベースの生産性だったと思いますが、いずれにしましても、生産性の上昇率を高めていくということでございます。

 こうしたシナリオを描きますと、実質経済成長率はどうかということで、右側でございます。給付削減と負担増をやっていきますので、やはりこれは経済にマイナスの影響がございます。何か将来が展望できるようになれば明るくなるという議論がありますが、そういうことではないといいますか、そういうことを定量的に言うことはなかなか難しいと思います。では、負担増と給付削減をやると、どのぐらい経済にマイナスの影響を与えるかを見てみますと、成長率が毎年0.2%ポイントぐらい平均で低下しています。成長率の犠牲が毎年0.2%で30年続くというのは、大きなコストだと私は思います。ただ、それだけのコストを、努力をして払っていくことによって、左下、あるいは、右下にございますように、プライマリーバランスの構造的な赤字の状況が変わってまいります。破綻を回避するところまでいけるのが改革シナリオ、さらにPBを構造的に黒字化するというのが超改革シナリオということで、債務残高GDP比も落としていけるということだと思います。

 12ページが、仮に金利が上がった場合のマクロモデルによるシミュレーションをお示ししております。これは2025年ごろに、いわゆる財政プレミアムが2%台前半分ぐらい長期金利に上乗せして発生してしまうシミュレーションを行ったものでございまして、やはり金利が上がってしまうと本当に大変なことが起きます。実際はこういう計算は意味がないといいますか、財政収支がGDP比20%の赤字ということになりますと、実際は5%という金利ではない世界だと思いますので、現実にはもっと厳しいことが起こるでしょう。

 最後に、むすびとしまして、私なりの今後の注目点ということで5つぐらい書かせていただきました。

 消費税率10%への引上げということは、すでに法律が施行されていて決まっているわけでございます。もちろん附則の18条がございますので、経済財政状況の激変があれば別でございますが、よほどのことがない限り、これは着実に実施していく必要があると思います。

 それから、他方で、今回の8%への引き上げに際しては、5.5兆円の補正プラス1兆円の減税が措置されました。ただ、駆け込み需要はいわばそのまま放置をしておいて、その反動減だけを調整するということを続けるということになりますと、今後消費税率を上げていく中で、増税をしながら歳出を増やすということになってしまい、これは収支としてどうなっていくのだろうという問題意識がございます。それから、中期財政計画には、歳出を減らして歳入を増やす、あるいは、ペイアズユーゴーのことが書かれておりますけれども、もっと具体的・実効的なルールが必要になっていると思います。

 3番目に、消費税に対する人々の関心の強さを梃子にすると言うと、言葉は適切ではないかもしれませんが、消費税増税の国民的理解を得るためにも、給付の重点化と効率化が必要だと思います。消費税は国民的関心が非常に強い税でございます。給付をどれぐらい今後増やしていくか、あるいは減らしていくかという、受益と負担のバランスを比較考量した議論をしていくことができるプラットフォームが一体改革でできたようにも思いますので、より次元の高い議論の可能性に期待したいということです。それによって、ゴールとなる給付のレベル、あるいは負担のレベルも違ってくるということだと思います。

 それから、4番目は、今、低所得者対策というのは、年金生活者支援給付金が決まったことをはじめ、保険料を公費で減免するとか、保険料の総報酬制を入れていくとか、さまざまな議論がございます。低所得者対策の財源のために消費税率を上げるということでございますが、それはそれで、簡素な給付措置ですとか、給付付き税額控除、軽減税率など、さまざまな議論があって、2015年ごろに一体我々はどういう負担と受益の構造になっているのかというのが見えにくくなっています。そういったところを整理していく必要もあるだろうと思います。

 最後に、より長期的な視点からの改革に着手すべきということで、2020年度の目標は絶対守るべき目標なわけですが、チャレンジはむしろその先にあるということでございますので、目の前で、やらなければいけないことがたくさんあるわけでございますが、その先で何をやるのかということの準備を始めることが必要な局面であるとも思います。

 以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの鈴木室長の説明、先ほどの事務局の説明、財政、社会保障、さらに人口高齢化、デモグラフィーの説明があったわけですが、どなたからでもご意見、ご質問をお願いいたします。できましたら、この名札を立てていただきますと助かります。

 では、土居委員。

〔 土居委員 〕 ご説明、どうもありがとうございました。

 今、これから中長期的な財政運営をどう考えるかというところが、非常に重要な時期になっているのではないかと私は思っております。まず鈴木さんのご説明のコメントを1つと、それから、事務局のご説明に関しての私のコメント、2つ申し上げたいと思います。

 まず長期シミュレーション、私も100年ぐらいの長いスパンでの論文を書いたことがありまして、そのときに、やはり通常の財政運営では、21世紀の半ばごろになると、もうほとんど財政状況としては信じられないような状況になっていると。例えば、鈴木さんの資料の9ページの公債等残高GDP比をごらんいただくと、2040年ごろとかを見ると、もう400%という、ちょっと信じられないような対GDP比になっていて、本当に対GDP比が400%になっていって、名目成長率が2%で、名目金利が3%で済むのかという、これは機械的にやっていらっしゃるので、シミュレーション上はモデルが回るわけですけれども、そういうようなことが実際起こっているということ。ただ、そうは言っても、すぐ左上のプライマリーバランスを見ると、--もちろん、これはどのシナリオを取るか次第ですけれども、例えば、所得代替率3割減というと、対GDP比でマイナス5%ぐらいと。マイナス5%という数字だと、単純に消費税で換算すると、10%税率を上げればマイナス5%をカバーできるという程度なので、それほどプライマリーバランスの赤字として、もう絶望的に赤字が解消できないという規模ではないけれども、この赤字を20年間、30年間ずっとたれ流し続けると、政府債務がこれほど大きくなるという、こういうような関係だというふうに見てとれると思います。

 ちなみに、私が社会保障でいろいろ分析したところ、少なくとも政府が今、社会保障・税一体改革で、2025年までにこういうふうな医療・介護の連携をやりたいと、それがもし実現すると、恐らく鈴木さんの試算で言うところの、所得代替率3割減と5割減の間ぐらいのところまでは社会保障給付は抑制できる--もし政府の言うとおりに実現できればですけれども。そういうことなので、それほど悲観的に見る必要もないけれども、かといって、財政赤字をどう削減していくかということは非常に重要だなと思いました。

 それで、事務局の資料なのですけれども、事務局の資料で、最後の12ページ、13ページのところで、やはり私が思うのは、中長期的な財政運営を考える上でも、ある程度指標となる数字を示しながら、それを政策決定のところで意識していただいて、それを踏まえながらの翌年度の予算編成という、そういう政策プロセスへの働きかけは必要ではないかなと思うわけです。要は、長い目で見たらこれぐらい財政収支を改善しなければいけませんということを数字で示しておくと。もちろん、いきなり来年から収支改善が直ちにできるわけではないけれども、それぐらいの収支改善が必要だということを量的に示すということとともに、それから、もう一つは、遅延コストといいましょうか、もしその収支改善の努力を怠って先送りしてしまった場合には、更なる収支改善が求められて、それは大変な負担になるということを国民にも広く理解していただくという意味では、この欧州委員会の「Fiscal Sustainability Report」というのは非常に重要な意味を持ち、我々もそれに学ぶところは大きいのかなと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 富田委員 〕 事務局、そして、鈴木室長、ご説明ありがとうございました。

 鈴木さんからのお話は、2020年より先に大きな我々に対する挑戦があるのではないかというような話と、それから、団塊の世代の高齢化だけではなしに、その子供たち、第2ベビーブーマーズたちの高齢化ということも視野に入れようということでありました。

 高齢化は、我が国だけではなしに、ヨーロッパにおいても深刻な問題として捉えられておりまして、今日事務局からご説明ありましたように、欧州委員会、いわば欧州各国の連邦政府のような委員会なわけですけれども、そこで共通の前提でもって、高齢化とか、それから、少子化も含めてなのですけれども、あるいは、医療コストの算定の仕方とか、同じ共通の前提で、加盟28カ国についての財政事情を長期にわたって推計しようということがやられております。そういう意味で、我々、鈴木さんも立派な分析をされ、また、事務局もご提示あったんですけれども、こうした他の国々と共通の前提でもって、同じような、ゆがみのない--完全にないかどうかは別ですけれども--鏡とかレンズでもって現状を将来に投影することによって、我が国財政の状況について共通の前提を持とうではないかというふうに思うのです。

 そこで、提案なのですけれど、これまでも財政審で、今ご説明ありました欧州委員会のモデルを断片的にアドホックに扱ってきたのですけれども、できれば事務局で絶えずフォローできるような、ルーチンとしてフォローできるような体制をお願いしたいと思うのです。それは、改革が遅れた場合にどうなるかということも提示できますし、また、あるいは中期財政計画自体も評価することができるという、欧州委員会が持っている役割といったものを見ながら、欧州各国と共通の前提でモデルをつくって、この場で事務局よりご説明がいただけるということがいいのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、佐藤委員、お願いいたします。

〔 佐藤委員 〕 ありがとうございます。

 質問1つとコメント2つですけれども、1つ目は、鈴木さんのシミュレーションに関するコメントなのですが、先ほど土居委員のほうからも指摘がありましたように、例えば、11ページのところで、改革を行うと、いろいろと、どうしても増税であるとか、歳出のカットとか、いわゆるデフレ的な政策を行うので成長率が下がるというのは、ある意味直感的ではあるんですが、ただ、逆に、このベースシナリオで、こんなに赤字を垂れ流しておいて、果たして1.5%とか、1.0%とかの成長率を本当に維持できるのかというのは、多分、金利にどのようにこれらの赤字が反映されるかというところのモデルの設定次第かなという気がするので、これは、金利がどういう扱いになっていたのですかというのが、まず素朴な質問です。

 それから、コメントの1つですけれども、これも鈴木さんのほうの指摘にあったとおりなのですが、最初の1ページ目を見させていただきますと、今後の問題は、年金もさることながら、やはり医療・介護だろうと。ということになってくると、我々としては、要するに、年金問題もさることながら、医療・介護をどういうふうに--こちらは現物給付ですけど--抑制していくのかという議論にやっぱり踏み込みざるを得ないのかなと思います。それは、抜本的な改革案にもありましたように、恐らくは、ナショナルミニマム云々と言っていますけど、具体的な言葉で落とせば、公的医療保険の範囲の問題であるとか、介護で公的にカバーするべき範囲の問題をどう見直すかというところに全てはかかってくるのかなというような気がしました。

 それから、最後、これも素朴なコメントになるのですが、我々はある意味矛盾した宿題を解かなければいけないというか、課題に直面していて、一方では成長を維持しなければならない、高い成長を実現しなければならない、他方では財政を健全化しなければいけない。これらを両立させるのは、これまでの経験上は難しいものだと思いますので、単に量的に歳出をどれくらいカットするか、量的にどれくらい歳入を増やすかということだけではなくて、質的に、例えば、歳出をどう効率化するか、私は、今、PFI委員もやっていますが、民間資金をどういうふうにして公共事業であるとか、公共サービスの提供に生かしていくか。それから、税制的に考えれば、どうやって、消費税含めてですけれども、税制の中立性を重視しつつ効率化を図っていくのかという、この量と質両面をにらみながらの財政再建策を考えていかなければいけないのかなと思いました。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 鈴木室長、コメントがありましたら。1つだけご質問。

〔 鈴木大和総研調査提言企画室長 〕 佐藤先生からのご質問でございますが、私どものベースシナリオというのは、今、日本は成長できないのではないかという議論がある中で、いい意味でオーソドックスにどれぐらい成長できるのかということを考えてみたいということで、マンアワー生産性1%台後半を維持できるとした場合に、これぐらい成長できるという見通しになっています。ただし、このとき財政は、国・地方の債務残高、今1,100兆円ぐらいでしょうか。これが2040年度末で2,700兆円になっておりまして、債務残高GDP比280%になっております。いわば赤字をたれ流しても財政破綻は起きないという前提になっています。金利は内生化されているのですが、今後30年ならしてCPIは年率1.5%ぐらいの見通しでございまして、そうすると、金融政策は引き締めるということではなくて、緩和的な状況が続くことになるということもあって、モデルの解としては、長期金利は3%ぐらいまでしか上がっていかないという、こういう予測になっております。そこで、シミュレーションのほうで仮に5%に上がった場合は破綻してしまうという、こういう姿をお示ししているということでございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、古賀委員、増田委員の順でお願いします。

〔 古賀委員 〕 古賀でございます。ありがとうございました。

 鈴木室長から貴重なお話をお聞かせ願いまして、大変ありがとうございました。2つ、少し分野が違うかもわかりませんけど、ご見解があればぜひお聞かせを願いたいということがあります。

 1つは、諸外国で、今、独立財政機関の設置についての議論がされているとお聞きしております。現に2012年には、OECDが、この「独立財政機関に関する原則」(案)を公表しています。そういう意味で、この独立財政機関というものに対して、室長は、どのような所見を持っておられるかということが1点でございます。

 それと、2点目は、国会における決算委員会です。この国会における決算委員会というものを、より効率的に政策実現のために活用することはできないのかという、これもまた古くて新しい課題かと思いますけれども、それについて、機能の拡充等々をすれば、そのような活用ができるのかどうか。この2点について、ご見解、ご所見があればお伺いしたいと思います。

 以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、室長、簡潔に申し上げてください。

〔 鈴木大和総研調査提言企画室長 〕 大変不勉強で、その独立財政機関というものがどういうものか存じ上げないのですが、今、2つ目でおっしゃった決算委員会を含めて、日本の財政健全化を考えていく上で、重要な論点だと思います。例えば、来年度の予算のプライマリーバランスは、一般会計ベースで、中期財政計画に書いてある4兆円を上回る5兆円を超える改善をされたということでございますが、近年、補正予算の規模が大きくなってきています。当然、政府の目標というのは、最終的には決算ベースでプライマリーバランスを黒字化させていくということだと思いますので、今、経済財政諮問会議があり、それから、国会には決算委員会があり、それから、財務省も予算執行調査ですとか、総務省もさまざまな政策評価をされていて、あちこちで事後評価をされているわけですので、全体としてPDCAサイクルを回していくということについて、もう少し工夫があればと思います。現状ですと、補正予算が非常に大きくて、決算ベースで一体どうなのだろうというところが1つ大きな疑問でございますので、そういったところでうまいやり方をもう少し検討していただくというのは必要ではないかと思います。

 お答えになっているかわかりませんが。

〔 吉川分科会長 〕 古賀委員の2点目につきまして、山本政務官から一言。

〔 山本大臣政務官 〕 今のところは重要な部分でございまして、決算というのは、参議院が従来から大変重視しておりまして、やはり予算が具体的にどのように使われていったのかということを、決算の場で議論して、次の予算に反映していくということをしっかりやることがやはり大事であると思います。今、その決算も、審議が若干遅れているという状況はございますけれども、やはり大変大事な部分だろうと思っております。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、増田委員。

〔 増田委員 〕 プレゼン、ありがとうございました。

 私は今回からこの審議会に加入しましたので、長期展望の話が本日なされたので、コメントであります。私の問題意識だけ、せっかくの機会ですので申し上げておきたいと思います。

 超高齢日本における財政の課題と長期展望ということでしたのですが、その超高齢化の先に起こってくるのが、急激な人口減少問題、人口減少社会だと思います。この人口減少のマクロの数字というのは、これまでも社会保障・人口問題研究所から発表されていますが、それが日本国内の地理的空間でどういうふうに生じてくるのかということをきちんと踏まえた上で、財政政策なり財政出動していくということが非常に重要ではないかと。

 別のところで私が分析したところ、特に2040年あたりから顕著になってくると思うのですが、人口減少については、成熟国家はどこもそうですが、出生率が低下してくるということによって起こる、これはヨーロッパ各国共通でありますが、それと同時に、日本だけの特異なというか、特徴ある現象だと思いますが、三大圏、特に東京への一極集中という人口移動がもたらすものが、東京に若い人たちが、これまでも、そして、これからも出てくることが考えられますが、東京で合計特殊出生率が多分上がらないということによって、日本だけさらに人口減少が加速されていくのではないかと、こういうふうに思うわけです。

 私の試算によると、少しこれでもまだ甘いのかなと思っていますが、2040年から少し先には、500を超える市町村が消滅するのではないかと。市町村数で言えば、1,700幾つかある市町村のうち、約3割が消滅するのではないかということが予測されております。詳しくは別のところに書いてありますが。そういった中で経済成長と財政健全化を両立させていかなければならないと思いますが、そうしますと、これまでよく、公共事業などが景気対策ということで、財政出動が行われてきたのですが、そもそもそういったことがもう財政的には難しいと思いますが、仮に、例えば、国土強靱化等によって公共事業を実施するといっても、そういうこと自体が、人口分布からいって意味をなさないのではないかということも長期的には考えながら、これからの財政の中身をよく考えていく必要がある。

 すなわち、端的に言うと、財政の歳出の中身を大きく転換をしていく必要があるのではないか。先ほど質という話がありましたが、地理的空間のこれからの将来を十分に踏まえた上で、歳出の質的な転換をしていく。そして、国土政策の上からも、どういう国土構造がいいのか、一極集中だけは避けたいと思うのですが、しかし、どういう極をそれぞれつくって国土を考えていくのか。こういう大きなビジョンを踏まえた上での議論が必要になってくるのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 田近委員、お願いします。

〔 田近委員 〕 田近です。

 鈴木さんの説明、非常にわかりやすくて、これからこの財審の会議をしていく上で大変参考になると思いました。

 私の理解する限り、お考えは、普通だったら現役の人たちの家計所得に対して、高齢者、65歳以上の人たちの社会保障給付、年金・医療・介護の費用の割合をうまくコントロールしていかないと、財政は大変ですよと。そして、超改革シナリオといいますか、今申し上げた現役の人たちの給与に対して、高齢者の給付を思い切って下げるということで、何とか息がつけるのではないかと。それができたとして。そして、最後に、議論をまとめられて、消費税に対する関心の強さを梃子とした社会保障給付の重点化と効率化ということをおっしゃったと思うのですけれども、財審の出張で、先週ドイツに行かせていただいて、イタリアも行ったのですけれども、そのときの印象と、今日鈴木さんのお話しされたこととかぶせていきたいのですけれども。

 ドイツは、先ほど財務省の資料にもあったように、もう既に連邦政府の財政は黒字になっていると。そして、地方のほうを2020年ぐらいまでに、どうゼロにして、最終的には債務残高対GDP比を8割以下に落としていくということをもう既に議論しているのですけれども、それはそれとして。鈴木さんの報告との関連で、私が考えていること、そして、財審との関係で重要だと思うのは、財審の場というのは、社会保障給付の重点・効率化ですけれども、やはり社会保障に国がどうやってお金を出すのかと、地方がお金をどう出すのか。つまり、国・地方が社会保障にどう関与するのかというあり方が、その根底にあると思うのですよね。

 そして、ドイツの例を申し上げたのは、ドイツでは、年金は、おもしろいことに、多少景気がよくなって、母親年金を拡張するだとか、40年働いてきた人は年金の支給開始年齢を早くしてあげるとか、思わぬ議論が飛び火して、盛り上がっていると言うとおかしいのですけれども、もう口をあけると年金のことばっかり言っていたのですけれども。言いかえると、こういうことだと思うのです。医療・介護に関しては、財政的リスクはない、あるいは、コントロールされていると。介護に関して申し上げると、介護保険に関して、連邦政府から、あるいは国からの公費は1ユーロも出ていないと。医療に関しては、彼らは保険になじむ・なじまないという議論をしていて、例えば、子供に関しては払ってあげようと。あるいは、子供を育てている期間に関しては保険料をまけてあげようと。そういう形で公費は出していますけれども、日本のように出していない。

 鈴木さんの議論に対する私の考えというか、給付を効率化・適正化するのは当然だとしても、同時に、国・地方が社会保障に対してどう関与するのかという仕方を、きちんと今年も、あるいは、今年こそ議論していくべきなのかなと。いきなり代替率を下げればいい、給付を下げればいいというのは、それは給付のコントロールですけれども、ここで本来やるべきことは、その背後で国がどう関与していくかと。そういう意味では、どの国がいいとか、そういうわけで言っているわけではないのですけれども、ドイツでは、年金を除く医療・介護では公費の部分は、彼らの中ではもうコントロールされているというのは、1つの考え方としておもしろかったとは思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、碓井委員、お願いします。

〔 碓井委員 〕 私、法律学を専攻しておりますので、今日のテーマである財政健全化、政府財政のシミュレーションのようなことを読み解く能力は持っていないのですが、先ほど増田委員のご発言などにも関連して、今までの財政運営の面で、公共事業費と特例公債、その関係をどう見てきたのかということについて、これはむしろ政務官、あるいは財務省の方に伺うべきことだと思いますが。

 私は法律学の面から、財政法4条というのは大変結構な条文だと考えてきたのですが、考えてみると、特例公債であれば、それは法律によらなければならないということで、民主主義の観点からいきますと、現在は毎年度方式ですから、国会の場で法律案として審議されるわけですね。ところが、公共事業債になりますと、これは予算だけで可能だと。ですから、予算のほうが成立が容易にできる仕組み、今回も衆議院を通過しましたが。そういう仕組みの中で、それぞれ省庁が要求していったものを受けとめるときに、どうも公共事業費のほうがどうしても甘くなっていたのではないか、そういう気がしてならないのです。今は公共事業費が圧縮されていますから、そういう議論をしてもほとんど響かないように思いますが、これから歳入が少しでも増えると、景気対策との関係で、公共事業費の獲得というのは、また出てくるわけですね。そういう点、財務省、あるいは政務官、どういうふうに評価していらっしゃるか、ご感想をいただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 簡潔に事務局から。

〔 福田次長 〕 まず事実関係を先に申し上げますと、ご指摘のとおり、建設公債は財政法で、毎年度予算で発行することが認められるということになります。特例公債法は、昭和50年度以降、毎年法律を出してお願いして成立してきたわけですけれども、実は一昨年の秋に、2015年度までプライマリーバランスの赤字を減らすという目標があるものですから、いずれにせよ2015年度までは特例公債を出さざるを得ないので、この4年間に限って特例公債を発行する授権はすでにいただいております。したがって、来年度の予算で言えば、特例公債と建設公債は、いずれも予算だけで発行許可を得られるという事態になっております。

 それから、特にご議論のようなことは、平成2年度から平成5年度、バブル期の後半には、特例公債から脱却した時期がありまして、特にその時期は特例公債の再発に追い込まれないようにという政治的な意識もあったものですから、建設公債の対象であれば気楽に財務省も応じているのではないかというような議論はありましたが、近年、公債発行額は、毎年、特例公債を含め、非常に巨額なものですから、私どもの意識としては、その2つに差異を設けて判断しているというようなことは全くないように感じております。

〔 吉川分科会長 〕 では、田中委員、簡潔にお願いします。

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。

 2点ございます。私は財政に関しては全くの素人なのですけれども、大変わかりやすい説明をいただいたかと思います。

 その中で気になったことが、2011年、それから、説明でも2015年、あるいは2020年の約束というのがありましたけれども、これがなし崩し的に反故にされている状態でありまして、これは有権者、納税者に対するある種の裏切りだと思うのですが、これを一体誰がどのように責任を取るのかということが、責任の所在がよく見えないというのが1点でございます。

 それから、2点目は、これは別の観点でありますが、中長期の視点でシミュレーションしていただいていますけれども、2020年というのが黒字化の目標の年なのですが、偶然にもオリンピックの年です。オリンピックの後というのは、財政的に、非常に経済的にダメージが大きいというのが経験的に学ばれておりまして、そう考えると、40年、50年という話もありますけれども、2020年ぐらいまでの期間で、もっと前倒しで議論しないと間に合わないのではないかというのが、これは私の直感的な懸念であります。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、もう一つプレゼンテーションもしていただきますので、この議論は一応以上とさせていただければと思います。

 なお、先ほど富田委員からご提案いただきましたけれども、EUの経験等に学びながら、長期の財政見通しの試算をやるべきだと。この点については、事務局とも相談して検討させていただきます。

 では、ここで短い休憩を取らせていただいて、半頃から後半スタートということにさせていただきます。

( 休  憩 )

〔 吉川分科会長 〕 それでは、時間もありますので、そろそろ後半を始めたいと思います。

 「最近の金融市場の状況と財政の持続可能性」につきまして、新しく委員にご就任いただきました末澤委員からご説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

〔 末澤委員 〕 どうも、末澤です。今回から新しく当審議会に参加させていただくことになりました。よろしくお願いします。

 私のほうから、最近の金融市場の状況と財政の持続可能性につきましてご説明させていただきます。この資料でございますが、2月25日の衆議院予算委員会の中央公聴会で使用した資料とほぼ同一でございますので、よろしくお願いします。

 まず1ページ目でございますが、これは2008年以降のGDPと日米株価・金利の推移をお出ししています。左の上のグラフをごらんいただいても、リーマン・ショックのときに大幅マイナス成長となりましたが、ここもとはプラス成長が続いていると。実は、上に4四半期連続と書いておりますが、今日朝、改定値の発表がございまして、昨年10−12月につきましては、実質成長率、年率で0.7に下方修正になりましたが、5四半期連続の成長に変わりました。ですから、一昨年の10−12もプラスになりましたので、5四半期、1年3カ月プラスということでございます。

 右側が日経平均と長期金利の推移でございます。下のほうが、アメリカの株価と長期金利でございまして、アメリカの株価、こちらは極めて堅調な状況が続いております。先週末も、雇用統計が市場予想を上回ったこともありまして、S&P500指数は過去最高値を更新している。日経平均、こちらもここ1年超、堅調だったのですが、年明け、やや調整が続いております。

 なぜ年明け後、やや調整局面になっているのかということで、こちら、2ページ目にお出ししていますが、この年明け以降は、日本株のみならず、新興国の株式も調整は続いているのですが、この背景には、やはりアメリカの量的緩和、こちらは昨年12月のFOMCで縮小が決定したと。実際、1月から縮小がスタートしております。毎月、昨年12月までは850億ドル、国債とMBS、これは住宅ローン担保債券、こちらを買っていたのが、今は650億ドルまで減ってきていると。今後も減っていくということになります。ただ、これは、もうアメリカのFRBのバランスシートが縮小しているように見えるのですが、実は、これは、伸び率が鈍化しているということでございまして、足元の縮小ペースでいきますと、今年の10月にゼロになって、年末から来年年明けに縮小が開始するという、そういう意味では、やや思惑先行の動きも年明けにはあったということですね。

 アメリカの経済指標、今回はアメリカの東部のみならず、南部・中西部、こちらを歴史的な大寒波が襲ったこともありまして、昨年12月、今年の1・2月の雇用・住宅関連統計が全体に悪化しました。ただ、先週末出ました2月分は市場予想を上回りまして、やはり寒波の影響はあったのですが、それ以外のところが強めでしたこともありまして、このあたりは安心要因と。また、この大寒波の結果、アメリカの債務上限撤廃期限延長法、こちらが急遽2月15日に成立しました。これはなぜかというと、2月13日にワシントンを大寒波が襲って、実は今年になってから4日ほど、ガバメントシャットダウンというのがワシントンで起きているのですね。これは予算が通らないのではなくて、寒波の影響で。その影響で、財政問題は来年の3月以降まで先送りされましたが、こういったところで、アメリカ自身は、むしろ株高寄りになっていると。

 一方、中国の経済指標が悪化しております。これは、やはり新指導部による構造改革の影響が大きいのですが、影の銀行問題、理財商品、こちらの問題だとか、欧州も緊縮財政が続いておりますので、輸出先である欧州の低成長が響いていると。また、アメリカ経済も、昨年末からやや下振れていると。ただ、やはり中国の経済が今後内需主導型に転換していくというのは、これは中国のみならず、世界経済にとっても重要な課題ではあります。

 最後に、こういったこともありまして、新興国で最近、通貨と株価が下落する結果が起きておりまして、特に深刻なのが、経常収支・財政収支がともに赤字の国で大きな問題になっていると。これは、先般G20でも議論されましたが、先進国の金融緩和が永続するわけではないので、ある程度は新興国の構造改革も必要ということかと思います。

 3ページでございますが、実際、新興国の通貨がどういった状況になっているかということで、ここでは中国人民元、ロシアルーブル、韓国ウオン、ブラジルレアル、インドルピー、インドネシアルピア、トルコリラ、こちらの7通貨を出しております。これは対円レートですので、上に行きますと円安、下に行くと円高になります。これは昨年、2013年1月からの推移を出しておりますが、ちょうど昨年の5月ごろまでは、全ての通貨が円安になっていると。ただ、昨年の5月、ここからちょっと分かれてきます。ちょうど5月にバーナンキFRB議長、前の議長ですが、こちらが量的緩和の縮小を始めるぞと宣言しまして、その結果、売られる通貨と、引き続き買われる通貨とに分かれてきます。上のほうに推移しておりますのは、中国人民元と韓国ウオン。実は、ロシアのルーブルも途中までは強かったのですが、ここできて政情不安などの影響もあって、大きく売られています。一方、インドネシアやトルコ、こういった国々の通貨が相当売られたのは顕著でございまして、やはり株価を見ても、米国株価が過去最高値を更新している状況に比べると、新興国については、やや軟調な結果が続いています。

 こういった国々の経常収支・財政収支なのですが、こちらの5ページにお出ししております。先ほど申しましたように、やはり通貨が売られたブラジル、インド、インドネシア、トルコ、こういった国々は全て財政赤字、かつ経常収支も赤字となっております。特に昨年の5月ないし今年の1月に実際に量的緩和の縮小がスタートした後、通貨安が一段と顕著になっていると。一方、それほど通貨が売られていない中国、韓国、こちらはやはり経常黒字国ですね。ただ、ロシアは、かつて、ちょうど15年前はロシア危機ということが起こったのですが、過去10年間、大体原油高、天然ガスの価格が高かったことで、こちらは経常黒字が続いていました。ただ、量的緩和の縮小によって、そういったエネルギー商品が少し売られるのではないか、また、やはりウクライナ情勢、こういったことで、最近は通貨が売られ、株価もご覧いただいたようになっています。

 こうした中、ギリシャなのですけれども、一番下側の点線がギリシャです。ギリシャの経常収支をごらんいただくと、2007年、2008年、GDP比で15%程度の大幅赤字になったのですが、実は先般、2月になりますけれど、ギリシャ銀行、これは中銀ですが、昨年、2013年の経常収支が12億ユーロの黒字になったと発表したと。実はこれは、統計開始以来初めてということでございまして。ですから、新興国の問題がまた少し浮上している一方、いわゆる欧州財政問題については、最近相当収束してきていると。6ページのグラフは、これは長期金利の推移でございます。日本と米国、ドイツ、イタリア、イギリス、スペイン、フランスの長期金利の推移でございまして、このグラフをごらんいただくと、一番下にあるのが日本なのですが、2008年の初頭は、それ以外の国の金利はほとんど全て4%です。ただ、リーマン・ショックで少しアメリカとかイギリスの金利が下がり、その後、2009年にギリシャが財政赤字を隠していたということが発覚して、その後、2010年から、特にその影響を受けたスペインとかイタリア--オレンジ色がスペイン、黄色の点線がイタリアですが、こちらの金利が急騰すると。一方で、ドイツ、これがやはり安全資産としてユーロの中で買われるということで、ドイツとそういった国々のスプレッドが、もともとほぼゼロだったのが、6%とか、そういった水準まで拡大するということになってくる。

 ただ、最近は、ごらんいただくと、イタリア、スペインの金利もリーマン・ショック以前の水準に低下しておりまして、最近はそういった国々の経常収支の改善もあって、欧州問題は相当改善してきているということでございます。

 ちなみに、7ページ、ギリシャはどうなったかということで、2011年ごろですと、ギリシャの金利は2年物が250%といった、通常では考えられない水準に上昇しましたが、足元は10年物の金利も7%台ということで、相当低下してきているということでございます。やはりギリシャの場合、右上のグラフをごらんいただきますと、ギリシャの国債の残高が、ユーロの導入が決まった90年代の後半以降、累増しているわけですが、そのほとんど全てを海外投資家からファイナンスしていて、海外のウエートが10%から80%近くまで上昇するといった時代になっております。

 同様に、8ページ、イタリアでもやや似た現象は起きていまして、欧州財政問題がピークに達した2011年ごろというのは、この左の上のグラフなのですが、これは通常順ユーロなのですけれども、2年物の金利が極めて上昇と。これはデフォルトリスクが高まってきますと、いわゆる逆イールドになる、そういった状況の位置になっている。イタリアでも、ユーロの導入以降、ユーロの導入は、イタリアは1999年、ギリシャは2001年でございますけれども、それ以降、海外の資金が相当入ってきたこともあって、ファイナンスが楽だったのだけれども、それがちょっとショックが起きたときに逆流したというような状況になっております。

 一方、9ページ目でございますが、我が国の状況は、長期金利は極めて低位安定しております。このグラフを見ると、赤い折れ線が相当上下しているように見えるのですが、これは0.0%から2.5%ですから、先ほどごらんいただきましたように、欧州の金利と比べると、全然下のところで推移しておりまして、足元でも0.6%前後という、歴史的に見ても極めて低い水準に位置しております。

 その背景でございますけれども、私はやはりここ15年間、98年以降、長期金利が基本的に2%を安定的に割り込んでいる大きな要因の1つは、デフレ経済が続いてきたと。これは98年以降、本格化したわけですね。

 また、2つ目、ちょうどこの時期に国内では金融危機が起こりましたから、金融機関、事業法人、また個人も、極めてリスク回避指向が強まったと。デフレですから、よりそれがパフォーマンス的にはよかったわけです。

 3つ目は、日本では経常収支の黒字構造が継続し、結果的に対外純資産は世界一がずっと維持されております。

 また、4つ目、膨大な個人金融純資産、これが今1,200兆台ですね。グロスですと1,600兆ぐらいありますけれども。これが現預金だとか保険・年金に偏在していると、諸外国とちょっと変わった状況がありますね。

 また、5つ目、少子高齢化、こちらもやはり短中期的にはデフレ要因として機能してきたと思います。なぜかというと、少子高齢化が進みますと、供給が変わらない中で、需要が減退する。短中期的にはですね。

 また、6つ目、これは日本銀行による金融緩和。足元ですと、国債の実際の増加額、利付国債の増加額、私の試算ですと、大体125%程度。40兆しか出ないというところ、50兆買い上がっているという状況ですから、そういった金融緩和の影響が出てきている。

 また、最後、国債管理政策も進展したと。

 ただ、青字で書いてありますが、こういった状況が少し最近変わりつつあります。

 まず1番、デフレについては、これはもう政府が今デフレ脱却を至上命題としているわけですね。

 また、異次元緩和というのは、本来、金融機関、個人等のポートフォリオバランスを促すということです。

 また、経常収支の黒字構造も相当今変わってきております。先ほどありました、昨年、暦年で3兆円と。今朝も1月の経常収支が発表になりました。今回、統計の改定だとか、項目の改定もありましたので、右左は比べられませんが、季節調整前で1兆6,000億の赤字ですね。季節調整後でも6,000億という、いずれも過去最大規模の赤字となっておりまして、これが単に震災に伴う原発再稼働等の問題だけなのか、むしろ震災後の企業の多国籍化とか、少子高齢化、そういったものが寄与しているのか。このあたりは金融界でも今関心が高まっているところでございます。

 また、膨大な個人金融資産ですが、これは過去はデフレでしたからよかったですね。特に年金生活者なんかですと、過去は物価マイナス時には据え置かれたこともあります。今はマイナス時もスライドしますが。ただ、今後はマクロ経済スライドが基本的には導入されます。今後、場合によっては、マイナスでも導入するという議論もあるようですが、そうなってきますと、むしろインフレ時に割り負けという問題も出てくると。

 また、少子高齢化も、長期的には需要が残る一方、供給が減るという事態も想定されるわけで、少しこれから日本の国債市場のファンダメンタルが変化する局面に変わりつつあるというふうにも考えております。

 11ページの右下、先ほど、日本の金利が低いと。ドイツも最近金利が低いというお話をしましたが、一応国債の海外保有比率と金利の動向を比べますと、特に2年ほど前はもっとこれが顕著だったのですが、やはり基本的には正の相関にございます。ただ、ドイツに関して見ると、ユーロ圏でのたんす預金代わりということで、海外保有率がどんどん高まる一方、金利が下がるという、ちょっと変わった現象なのですが、やはり最終的には国力がこの金利水準には相当反映してきているというふうに認識できるのではないかと考えます。

 こうした中、問題になるのが、12ページ以降、これはやはり少子高齢化の問題ですね。足元では、我が国の膨大な個人金融資産、純資産ですと1,242兆円程度9月末ございます。こういったものが政府債務のファイナンスに極めてうまくいってといいますか、右側の日米欧の個人金融資産をごらんいただいても、日本の個人金融資産の相当部分が、実際的には、間接的にですが、現預金ないし年金・保険経由で国債市場に流入している。日本の国債金利が低下した大きな要因が、こういった個人金融資産の構造にあるのだろうと思います。

 ただ、次の次のページまでごらんいただくと、14ページ、これはもう先ほど事務局、また鈴木さんのほうからご説明ありましたので簡単に済ませますが、やはり今後、この人口ピラミッドが相当変わってくると。スウェーデン、米国、日本と下に置いていますが、米国とスウェーデンというのは、低負担・低福祉と高負担・高福祉の真反対の国としてよく比較されますが、実は人口ピラミッドはわりと似ていると。ですから、真ん中の中負担・中福祉でもある面可能ということだと思うのですが。

 15ページ、一方、我が国が過去なぜ低負担・中福祉だったのかと。これは財務省から統計をいただいているのですが、国民負担率で見ると、OECD加盟国では左のほうですね。一方、社会保障支出の対GDP比は真ん中。日本より負担率が低くて支出が高い国はないですから、もう極めて恵まれた状況に過去はあったと。低負担・中福祉という訳ですね。

 ただ、次のページ、16ページの左下、これはもうご説明は要らないと思いますが、過去の人口ボーナス、生産年齢人口が多いと。ちょうど1990年ごろですと、これはバブルのピークですね。このころは、子供も多いし、生産年齢人口も多いと。それが、足元は、子供が少ないせいで、逆に生産年齢人口のウエートが高まっていると。ただ、これが2020年代に入って、特に2025年、団塊世代が75歳に到達する年になりますと、前期高齢者のみならず、紫色の後期高齢者が一挙に増えるということで、先ほどありましたように、年金のみならず、医療・介護の負担が急増するというふうに想定されるわけでございます。

 足元では日本の国債金利が極めて低いのは、やはり日銀による国債買入れが相当効いています。17ページの右下のグラフをごらんいただきますと、これは直近の7−9月期、まだ10−12月の数字が再来週にならないと出ないのですけど、ごらんいただくと、一番上が合計額です。赤い合計額よりも中央銀行の買入れのほうが多いと。つまり、今、足元では、財務省が発行されている国債の残高が増える金額以上に、日本銀行が買い入れている。これは、今年度通年度で見ても、多分10兆円以上多い金額になると。ですから、需給がいいのは当然ですね。発行額の7割とよく知られているのですが、実はネットで見ると、125%超。4月から9月のタームで見ると、140%ぐらい買っています。特に4−6、7−9は集中して買っていて、10月以降少し買入れ額が減っておりますけれども、そういったところが大きいと。

 日米の国債保有状況を比べたものが、次のページのグラフです。日本の場合は、やはり海外投資家の保有比率が低いということが言われています。ここまで海外投資家はどういう状況だったかということで、右の下のグラフをごらんいただくと、実は今、海外投資家の国債の保有比率は8%程度です。ただ、実はこれは昨年、統計の改定があってわかったことなのですが、この8%のうち、利付国債、長期国債だけで見ると、4%にすぎないのですね。ですから、日本の場合は、1年以上の国債のファイナンスに関してみると、海外が持っているウェイトは4%、96%は国内で保有されていると。ですから、長期金利がそんなに急騰しない、上がりにくいのは、ある面、当然ですね。

 19ページ、これは日本とアメリカの資金循環--アメリカは、最近、財務勘定統計、欧州に合わせてフィナンシャルアカウントというふうに名前を変えたのですが、これは、ゆうちょ銀行とかかんぽ生命の数字を入れたり、アメリカの主に公的年金、OASDI等が保有している政府内保有分を入れて修正したものです。それでみると、日本の特徴は、預金取扱金融機関のウェイトがやはり多い。一方、アメリカは、このウェイトは極めて小さいと。日本は、TDBを入れています。一方で、日本では海外、投信のシェアが少ない一方、米国では海外及び投信の市中保有額が極めて多い。ここが大きな差なのですね。ただ、個人にしてみると、家計のシェアは、日本は今2%程度なんですが、米国もそんなには多くなく、6%ぐらい。政府内保有分を入れますとね。一方、公的部門、ゆうちょ、かんぽを入れますと、大体日本の公的部門の保有は46%、アメリカも47%ということで、ここは似ています。ですから、やはり日本と米国の違いは、日本は、金融機関、銀行が持っているのに対して、米国では海外のウェイトが大きいという、ここが大きな差になっています。

 22ページまで飛んでいただいて、株に関してみると、海外投資家がメインプレーヤーであるのはもう間違いないですね。バブル崩壊後、日本株の投資を続けているのは、左上の赤い折れ線、これは海外投資家のみです。昨年も、この右上をごらんいただくと、暦年ベースで見ると、海外投資家は日本株を15兆以上買い増しているということで、これは過去最大ですね。やはり日本株が急騰した大きな要因がここにある。ただ、海外投資家、年明け後は1月、2月、2カ月連続で売り越しになっていますね。1兆2,000億ほど売っていますから、海外投資家の状況も、足元少しスタンスが変わっているということでございます。

 こうした中、24ページでございますが、今後財政の持続可能性を高めるには、実は、昨年4月も同じようなお話をさせていただいていたのですが、国や企業が高齢化する中、やっぱりアンチ・エイジングが必要だと。前提として、国力を上げていかないと、なかなか財政の持続可能性は高まらないでしょうということで、次元の異なる成長戦略、次元の異なる人口政策、対外投資の運用利回り向上、これはやはり成熟国として、対外純資産、蓄えの利回りを上げていくと。ただ、一方で、やはり中長期的な財政再建プランを策定し、消費税率の引上げも、私は基本的には経済への負荷は相対的に小さいと考えまして、やはり人口的な問題、全世代で負担を分かち合うという面でも、必要だと思いますが。ただ、消費税率が今後20、30、40となれば、これはなかなかもたないのは事実ですので、やはり歳出改革も重要だということで、成長戦略と財政健全化は車の両輪であるというふうに繰り返しご説明させていただきたいと思いました。

 以上でございます。どうもご清聴ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 どうも詳細なご説明、ありがとうございました。

 実は、予定した時間はほぼ尽きてきているのですが、どなたでもご意見やご質問あれば。では、田中委員、簡潔にお願いします。

〔 田中委員 〕 大変わかりやすいご説明、ありがとうございました。

 1点、とても素朴な質問です。最後のご提言の中に、アンチ・エイジングが必要ということをおっしゃったのですが、これは、単純に考えると、社会保障の負担減ということがイメージされるのですが、そのほかに、年取っても働けということを意味しているのかどうか、その点についてお伺いできたらと思います。

〔 末澤委員 〕 おっしゃるとおり、これはよく美容とか健康の世界で使われますが、ある面、健康で長生きと。これが社会保障のコストの低減にもつながるし、皆さん個々人がやはり幸せで長く生きられるということだと思うのですね。ですから、そういう面では、健康で長生きすると。あえて言えば、お仕事がしたい方には、もっと長くしていっていただくと、こういうことでございます。寿命をどんどん長くしろという話ではないのですけれども、健康寿命を長くしようということでございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 全体としては、経済社会全体に関する比喩として用いられているわけですよね。

〔 末澤委員 〕 そうです。

〔 吉川分科会長 〕 ほかにいかがでしょうか。では、遠藤委員。

〔 遠藤委員 〕 ご説明、ありがとうございました。

 その中で、1点、震災後の空洞化が進んでいるということをおっしゃっておられたんですけれども、私も企業を20年ほど取材をする仕事をずっとしてまいったものですから、やはり空洞化というのは、安い労働力を求めて海外に転じていくというのは、もう構造的な問題であって、それはもう修正をすることはできないのではないかなと思っております。今期も、税収は、法人税率を下げたものの横ばいで、実際には法人税の税収も上がっているのですけれども、たとえ業績が回復したとしても、国内に残る税収の伸びというのはそうそう期待できるものではないと。配当収入があっても、それは大きく期待できるものではないなという印象を持ちました。

 財政全体のお話で1つお願いをしたいということがありまして、PBの改善という側面からの議論というのはもちろん必要だと思うのですが、世代間格差の是正という意味合いでの議論も大変重要な側面であると思っております。ですので、歳出・歳入の中で、いろいろと制限がある中で、資産に対する課税であるとか、ある所得以上の人に対しての年金給付に対する課税とか、そういった新しいツールについても議論を進めていただければなと考えております。

 もう一つ、先ほど前の説明の中にあった、消費税を梃子にしての財政改革の後押しという、いわゆる広報的な側面の問題なのですが、先ほど田中委員からのご指摘もあられたように、かなり長期のビジョンを検証するということは大事でありながら、長期の話になってくると、あまり実生活の中でシビアな問題として受け取れないという問題がありまして、2020年まで、オリンピックはあと6年なのに、ここまでに何をしなくてはならないかという議論になると、非常にリアリティもあるので、切迫感があると。そこのところを詳細に詰めていくというのも、広報的に非常に効果があるのではないかなというふうに考えました。

 以上です。ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。

 では、岡本委員、お願いします。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。

 この2ページに米量的緩和の縮小開始というのがあるのですが、これが金融市場の不安定化の要因であるというふうになっています。確かに、資金流出の懸念とか、いろいろありますから、それはわかるのですけれども、しかしながら、アメリカは、この出口戦略に、厳しい中、よく取り組み始めたなということで、財政の再建という意味から見れば、むしろこれは評価すべきことではないかと思うのですね。

 翻って、日本をみた場合、異次元緩和ということがあって、出口戦略はどうなるのかなということを思っています。2年や3年は、始めたのだから、しばらく黙っていろということなのですけれども。その後、また追加緩和だとなりますと、金融市場というのは、常に緩和することを評価するといいますか、世の中の人は、こういった緩和というものが、どちらかというといいことのように見えるわけですね。ところが、我々から見ると、この先、いつナイアガラの滝が来るかわからないと。そのような状況の中で、金融市場での読みとか評価の中には、財政における健全性の努力をしているという要素は入らないのかどうか。あるいは、アナリストとか、そういう方々は、こういうことをもう少しPRしたりして、それを総合的に判断の材料にするということはないのかどうかという、私はそういうことを思ったのですけれども。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 では、中空委員。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。

 私も今回から入れていただいて、マーケット参加者ということなので、今、マーケットの話が多かったので、お話を追加でさせていただきたいと思っています。

 7ページ、8ページ目に、ギリシャやイタリアの国債の解説があったと思うのですが、ギリシャ国債やイタリア国債は、確かに海外勢がたくさん持っているのですね。今、大分よくなってきた、改善してきたというのもあるのですが、実はギリシャとイタリアにはまだまだ大きな差がありまして、イタリアは、まともな投資家が戻ってきているのですが、ギリシャは、今まで仕方なく持たされた人がそのまま持っている形での海外勢の保有ということになっています。新しい新発債が、残高を見ていただくと、差がまだすごくあるということをごらんいただけると思うのですね。なので、ギリシャというのは、やはり悪くなりすぎて、戻りが非常に悪いです。そこはギリシャというのを、多分、日本と対比して考えたときに、あるいは、よくイタリア人にも、何でイタリアのほうが日本よりもよっぽどましな財政赤字対GDP比なのに、格付が全然違うのだ、日本のほうがいいのだという文句を言われますけれど、そういう意味でも、ギリシャ、イタリアとの差、保有残高や、持ち手の持ちたいか持ちたくないかということにもいろいろ違いがあるということは、1つ記憶しておくべきかなと思います。

 と言いますのも、日本の国債がなぜ安定しているかのご説明の中にもあったと思うのですが、結局、日本人がたくさん持っているからあまり売りに出ないというのは実際にあるのですね。では、日本人がたくさん持っているから幸せかというと、やはりそうではなくて、だんだん海外勢に持ってもらわなければという点もあると思うのです。でも、今なお私が海外投資家と会っているときも、日本国債を買う気なんてほとんどないですね。せいぜいあるのは、株も何%かウェイトだけは買おうかなと。しかも、第三の矢には期待していないけど、第一の矢と第二の矢が飛び続けるのだったら、今ぐらいは維持するでしょうというのが彼らの意見なので、そういう目線でいくと、日本国債の展望というのもあまりないのではないかなと思っています。

 そんな中で、日本国債を日銀がこれだけ持ってしまっていて、投資家がどれだけ迷惑しているかということや、投資家の置かれているマーケットが異常な事態になっているということを見ておかなければいけないのだと思うのです。遠い話、2030年、40年、50年の話ではなくて、もっと喫緊にと田中委員や遠藤委員が言ってくれましたが、マーケットはもっと早めに厳しいところに私たちは向かっているような気がしてならないという、いかに日本の国債の持たれ方が異常かということを、この表から受け取ってほしいなと思いました。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、黒川委員、最後にお願いいたします。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございました。大変参考になるご発表、ありがとうございました。

 私は1点なのですけれども、11ページの各国の国債保有残高の比較表の理解の1つとして、基軸通貨という問題と、それから、EUは経済的にはかなり一体化しているけれども、依然として国別に統計を取っているところを考えて、この表を見なくてはいけないのではないかなと思いました。米国の国債を海外がかなり買っているというのは、各国が、米国ドルが基軸通貨であることから、その余裕資金の運用のため買っているという理由もありますし、また、ドイツ、フランス、イタリア等の統計数値で海外といったときに、EU諸国以外なのかEU域内国同士で持っているのかどうかというところも、1つ見ておく必要があるのかなと思いました。

 以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、12時過ぎましたので、本日の議論は以上とさせていただきます。

 次回は、3月28日13時から、この会議室で開催したいと考えております。詳細な時間等につきましては、後ほど事務局より正式な案内を送らせてもらうことといたしますので、よろしくお願いいたします。

 なお、先ほど富田委員からご提案いただきました、EUに学んで長期の試算を、財政見通しをやろう、やるべきだということにつきましては、ご存じのとおり、財審では過去にやった例もありますので、そうしたことも踏まえまして、小委員会を設けまして、検討を進めていきたいと考えております。具体的な進め方につきましては、恐縮ですが、私にご一任いただきたいとこのように考えております。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 では、本日の会議の内容の公表につきましては、毎回そうなのですが、私にお任せいただき、会議後の記者会見で紹介させていただきたいと、このように考えております。会議の個々の発言につきましては、大変恐縮ですが、皆様方から報道関係者等に対してお話をすることのないようご注意をお願いできればと考えております。

 では、これで閉会といたします。どうもありがとうございました。

午後0時06分閉会

財務省の政策