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財政制度分科会(平成25年11月15日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成25年11月15日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成25年11月15日(金)9:33〜11:53
共用1208会議室(合同庁舎4号館12階)

1.開会

2.とりまとめに向けた論点整理

3.閉会    

出席者

分科会長  吉川 洋            古川副大臣
山本大臣政務官
香川主計局長
福田次長
岡本次長
太田次長
大鹿総務課長
小宮調査課長
井口給与共済課長
堀田官房参事官
江島主計企画官
堀内主計企画官
宇波主計官
有泉主計官
青木主計官
井藤主計官
新川主計官
土谷主計官
小野主計官
高村主計官
中村主計官
余島主計官
阪田主計官
 委員

井堀 利宏
碓井 光明
岡本 圀衞
黒川 行治
竹中 ナミ
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基
鳥原 光憲

 臨時委員

赤井 伸郎
板垣 信幸
老川 祥一
葛西 敬之
小林 毅


午前9時33分開会

〔 吉川分科会長 〕 おはようございます。定刻を過ぎましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方には、早朝よりご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、これまでの審議を踏まえまして、「とりまとめに向けた論点整理」ということで議論を行うこととしております。

 なお、大宮委員におかれましては、本日欠席のため、意見書をご提出いただいており、皆様方のお手元にお配りしてあります。

 それでは、早速、議事に移らせていただきます。

 審議に当たっては、まずは事務局より主な論点や今までの主なご意見について説明いただいた上で、委員の皆様方からご意見を頂戴したいと考えております。

 また、全体を4つに分けて審議し、途中で休憩をとりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず「財政総論」及び「防衛」について審議を行いますので、事務局より説明をお願いいたします。

〔 小宮調査課長 〕 調査課長でございます。

 それでは、私のほうから主な論点や今までの主なご意見についてご説明申し上げたいと思います。

 まず、財政総論でございます。

 主な論点といたしましては、中期財政計画では、PB赤字半減に向けまして収支改善の額だけ示されておりますけれども、2020年度の黒字化に向けた具体的な財政収支の改善額というのは示されていないところでございます。また、内閣府の試算においても20年度の黒字化は達成できない姿となってございます。したがいまして、今後、まず2015年のPB赤字半減はあくまで中間的な指標にすぎないことをよく認識した上で、20年度までの具体的な改善目標を示すとともに、試算においてそれを明示していく必要があるのではないかという点が1点ございます。

 それから、26年度予算につきましてでございますが、可能な限り歳出削減を行っていく必要がございます。PB改善に向けまして各年度4兆円ずつの収支改善を目標、目安としておりますけれども、26年度におきましては、この現状、毎年補正予算が編成されている状況等も踏まえまして、4兆円を超える収支改善を図っていく必要があるのではないかという点がございます。

 また、社保・税一体改革につきましては、消費税率の引上げを確認されたところでございますけれども、26年度予算におきましては、この増収分は社会保障の安定化と充実に充てるとともに、増収分の流用批判というものを招くことがないように、聖域を設けずに歳出削減に努める必要があるということでございます。また、社保経費につきましても、この一体改革の趣旨を踏まえ、合理化・効率化に努める必要があるということでございます。

 これに関連いたしまして、お手元に第1回の総論のときにご説明を申し上げましたA4の横紙、「2015年度までの歳出・歳入面の見通し」という資料を机上に置かせていただいております。改めまして確認させていただきたいと存じますけれども、一番上のPB対象経費でございますが、これは今年度、平成25年度が70.4兆円でございますが、来年度、26年度につきましては、内閣府試算では72兆円の高さが想定されているわけでございます。他方、来年度につきましては、消費税率の引上げが決定されておりますことから、まず消費税率引上げ分が充てられる費用として0.6兆円の歳出の増が見込まれているほか、その他の考慮するべき課題として、社会保障の自然増が1兆円、さらに社保4経費以外の消費税率引上げに伴う経費増、これが0.3兆円ございまして、26年度に目標とすべきPB対象経費の歳出の高さにしていくためには、前年同額をベースとした既存経費に、社保自然増1兆円、そして4経費以外の経費増0.3兆円を合わせたものから、さらに0.3兆円以上見直しを図っていかないと、72兆円から、消費税率引上げ分が充てられる費用0.6兆円を除いた71.4兆円に届かないという状況になっているところでございます。ちなみに、概算要求時点では、26年度の要求・要望額といたしましては74兆円となっており、消費税率引上げ分が充てられる費用0.6兆円と、それから4経費以外の経費増分0.3兆を合わせると、実質的には、75兆円程度になっております。したがいまして、要求・要望段階から考えますと、3兆円ほどの見直し、合理化を査定していかなければいけないという状況になっていることを付言させていただきます。

 5兆円の経済対策につきましては、いずれにいたしましても十分な検証をしていきながら、消費税負担を国民に求める一方で減税を実施するということについても丁寧な説明が必要ではないかという点がございます。

 主な意見でございます。

 消費税率引上げに当たって実施することを決定した5兆円規模の補正予算が、財政収支に与える影響について検証が必要である。中期財政計画にも影響が出てくるのではないかというご意見。

 毎年補正予算を編成している現状では、財政計画を策定する際には、当初予算だけではなく、補正予算の編成も前提とするべき。少なくとも25年度に補正予算を編成し、26年度にも消費税率引上げに伴い補正予算を編成する可能性があることを踏まえれば、25年度、26年度の当初予算段階では余裕を持った財政収支改善の姿を描く必要があるというご意見。

 消費税率引上げに伴い国民に負担を求める一方で、政府が歳出の効率化についてどれだけ努力したのかという姿勢を見せる必要があり、歳出削減に最大限取り組むべきというご意見。

 他の歳出分野が緩むことになれば、消費税増収分を流用したという批判にさらされ、財政運営に対する国民の信頼を失う。経済対策についても何のための消費税率引上げかという意見も多いので、歳出の見直し努力は必須であるというご意見を頂戴してございます。

 また、防衛につきましてでございますが、主な論点といたしましては、統合運用の視点に立った冷戦型装備の縮減などの資源の効率的活用、外交政策などとの適切な連携といった視点も踏まえつつ、近年厳しさを増す安全保障環境への対応のための防衛力整備をどのように図っていくかという論点。

 調達改革、人事制度改革の推進など、同じ防衛力整備に必要なコストの縮減のための方策を図る必要があるのではないかという論点がございます。

 主なご意見といたしましては、中期防衛力整備計画の経費総額や来年度予算の防衛関係費の水準を考えるに当たっては、これまでの我が国における防衛関係費の動向を参考としていくというご意見。

 今後の防衛力整備については、陸・海・空の枠にとらわれず、統合運用の視点から自衛隊の能力評価を行い、これに基づいて、厳しい財政事情も踏まえ、優先順位づけを行って真に実効性ある防衛力整備を行うことが重要であるというご意見。

 調達改革、人事制度改革については、これまでの当審議会において強くその必要性を提言してきたところであり、真摯に取り組むことが重要であるというご意見。

 基地対策予算についても、非効率な配分がなされていないかなど、不断の検証が必要であるというご意見等を頂戴してございます。

 私のほうからは以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、早速、議論に移ります。どなたからでもご意見、ご質問お願いいたします。岡本委員。

〔 岡本委員 〕 財政総論について、書き込みに当たっての要望、意見を3点述べたいと思います。

 1つ目は、来年度予算と消費税の関係について、きちんと報告書に書き込んでいただきたいということです。まず、消費税率を8%に引き上げたというこの結論に対しては、英断であるということで、これは報告書に書き込んでいただきたいということ。次に、主な意見の2つ目にもありましたけれども、一体改革は消費税率を10%に上げて初めてワークするものであるから、8%の引上げは10%の前哨戦にすぎないと。そのことを国民に理解、納得してもらうためにも、この10%引上げは絶対に必要だということを書き込む必要があると思います。今、巷では8%で終わりだろうとか、10%は難しいだろうと、こういうふうなお話がありますけれども、それを防ぐためにも、これを書く必要がある。それからもう一つは、このように大きな負担を国民に強いるということを踏まえて、来年度予算においては政府も、歳出のほうでは身を削るというようなことを進める努力を見せないといけない、そういう強い決意をこの総論の中でぜひ書いてほしいということが1点です。

 2点目は、歳出削減の意識が希薄化していると思います。つまり、法人税が結構増えてきた、あるいは消費税が増えたということで、何とかなるのではないかというムードが非常に高いような気がいたします。そういう中で経済政策パッケージが組まれたり、景気の腰折れ懸念があるからということでどんどん歳出が増えていくということを私は大変危惧しております。やはり財政の再建というのは、経済の成長による税収増と、それから税制改正による税収増と、それから歳出の削減と、この3つを三位一体といいますか、全部図ることができて初めて成り立ちます。そうした中、経済成長とか歳入拡大のほうはまあまあやったんだけれども、歳出削減のほうは全然手がつけられていないということになると大問題であります。我々のメインテーマである歳出削減の意識が希薄化しているということを憂慮しておりますので、その点を書き込んでほしいと。先ほどもお話がありましたけれども、3兆円の削減は絶対にやっていくということが必要だと思います。

 それから3点目は、やはり私も去年からこの委員になって思うのですけれども、当初予算と補正予算の関係は非常におかしいと思っています。当初予算というのは何のためにあるのか、何となくプライマリーバランスの帳尻を合わせるという感じがしておりまして、その後、打ち出の小槌のように補正予算で積まれていくことになるわけですので、何とかこれを全体で見ていく必要がある。少なくとも補正予算についても多くの意見を述べていくことが必要ではないか。これは多くの委員の方も言っておられますけれども、私もそのように思っております。

 この3点について、ぜひよろしくお願いします。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。碓井委員。

〔 碓井委員 〕 今のご発言の中に当初予算と補正予算の関係のお話がございましたので、その点について私も述べさせていただきたい。補正予算が見込まれて、それで使ってしまうという趣旨のニュアンスのご発言が紹介されましたが、これは何となく肯定してしまうような気がして仕方ない。つまり、税収見積もりが当初よりも増えて、必要な経費に充てる余裕ができたら、それは補正予算をやってもいいんですが、何となく、最初から前提にしているように聞こえるので、そこをちょっと気をつけていただけたらと。

〔 吉川分科会長 〕 田中委員。

〔 田中委員 〕 今の2人の委員の先生方の言葉を追従するような形になるんですけれども、2点ございます。

 1点目は、補正について私も全く同様に思うのですが、これから文章化していきますが、その文言の中に、補正予算も財政規律の対象になることは言うまでもないというような具体的な言葉を明記してはどうかと。

 それから、歳出を削減する努力に関してもそうなのですが、ここをもっと具体的に説明することができないかと。1つは具体的な削減目標の金額を入れることもあるでしょうし、何度か私はここの場でも申し上げているのですが、シーリングを設けるなどの具体策をここに盛り込んで、歳出努力をしているという抽象論で終わらせないような工夫が必要ではないかということであります。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。老川委員、赤井委員。

〔 老川委員 〕 総論、内容は特に異論があるわけではないのですが、ワーディングの面で1つ強調していただきたいと思う点は社会保障です。今度の予算編成は、まさに消費税率を8%にアップするという画期的な段階での予算編成になりますので、増収分がほかの目的に利用されることがあってはならない、そのとおりで、そのために歳出削減を一生懸命やってくれ、これもそのとおりですが、それによって消費税の引上げ、つまり国民の負担分が、社会保障の充実に充当されたということが実感できるような形の予算編成にすべきだということをもうちょっと強調していただくとありがたいと。そういうことによって歳出削減へのプレッシャーも一段と強化できるのではないかと思いますので、意見を申し上げます。

〔 吉川分科会長 〕 では、赤井委員。

〔 赤井委員 〕 私の意見もほぼ皆様と同じなのですけれども、今年は、来年消費税が引き上げられて、まさに財政健全化に向かってしっかりと歩み出す年でもありますから、今まで以上に財政健全化についての文言は厳しく書くということで、例えば中期財政計画も含めた、財政健全化に向けた目標も、通常はコミットとか向かっていくということが書かれるのですけれども、もしそれが守られないときにはどのようなことになるのか、そのリスクというか、そのときの問題も大きいという意味で、そこの部分をしっかりと書いていただくとともに、歳出削減もそれに向かってしっかりとやっていただくという部分を今まで以上により強く書いていただければと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 井堀委員。

〔 井堀委員 〕 私も同じような意見です。やはり今回、消費税率引上げというのが主要な大きなテーマですから、5%から8%に上がることがどのくらい財政再建に寄与するのかと。片方で5兆円の経済対策をやるので、単純に考えれば増収分はそのまま経済対策に消えてしまうのではないかという国民の当然の関心というか、危惧もあると思うのです。消費税率を引き上げるということと、それから経済対策をやるということの両面で、結果として財政再建をどういった形でできていて、あるいは今後どの程度足りないのかと、そのあたりの数量的な見通しを書いていただきたい。

 それからもう一つ、補正予算に関してです。今回も自然増収分ですね。当初予算で想定した以上に景気がよくなって、追加の国債発行をしなくても財源があるから、その分で補正しますということなのです。ただ、税収が当初以上に見込まれれば、全て補正に使うということには必ずしもならない。第一の政策目標というのが財政再建だとすれば、当然それは国債の残高を減らす方向に使うというのが一番の目的です。それとの兼ね合いで、景気対策のために補正を使うときに、国債を追加発行しないから使っていいという形には必ずしもならないので、そのあたりも厳しく書いていただければと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 いかがでしょうか。総論、それから防衛あわせての議論ですが。特段のご意見はないということでしょうか。総論については、委員の皆様方の間で基本的にはコンセンサスがあるということだと思います。

 それでは、先の議論がありますから、続きまして、「社会保障」及び「公共事業」について、事務局より説明をお願いいたします。

〔 小宮調査課長 〕 では、引き続きまして、まず社会保障でございます。

 主な論点でございますけれども、医療費については、8月の概算要求の段階から、既にいわゆる自然増として、企業や家計の負担増が計上される形になっております。これは診療報酬の改定以前に、まず、この負担増の妥当性の検証が必要なのではないかという論点がございます。ちなみに、概算要求におけます医療費の自然増は、国費ベースでは3,500億円でございますけれども、これを医療費ベースに換算いたしますと、1兆3,500億円になります。また内訳は、保険料6,500億円、患者負担1,800億円、税金5,100億円等になってございます。

 それから、診療報酬の薬価部分についてでございますけれども、これも概算要求時点では、便宜上、改定前の薬価に基づいて予算要求がなされてございます。直近、23年度では、市場実勢価格は薬価を1.3%程度下回っておりまして、これを前提とすれば、要求時点での自然増は5,500億円ものいわゆる過大計上になっている状況がございます。この是正はまだ不可欠ではないかという論点がございます。また、薬価改定は、要求額の当然の時点修正であり、これをもって何らかの財源が捻出されたと観念して、ほかに流用するようなことはあり得ないのではないかという論点がございます。

 後発医薬品の使用促進につきましては、第一次安倍政権時に閣議決定された目標も達成されていない状況でございまして、主要先進国と比較いたしましても最低水準でございます。このような状況を踏まえれば、後発品へのシフトの進んでいない先発品の価格を大幅に引き下げるべきではないかという論点。

 また、薬価の効率化といたしまして、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の見直しや市販品類似薬を公的医療保険の対象から除外することも検討すべきではないかという論点。

 診療報酬改定につきましては、薬価部分の過大要求の下方修正の金額を医療費増額に対する割合に置きかえた薬価改定率と、診療報酬本体部分の改定率を差し引きする、いわゆるネット改定率に注目する向きもございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、薬価部分のマイナス改定は過大要求の時点修正にすぎないということから、診療報酬本体とのあり方とは切り分けて考えるべきではないかという論点。

 また、本体部分につきましては、この過大要求を修正したとしても、本体の自然増には何ら影響はないわけでございまして、医療の高度化等として、高齢者数の増加を上回る水準の手当てがなされている点に着目していくべきではないかという論点。

 また、病院の勤務医等の給与も増加傾向にありますけれども、他の産業の企業収益や家計の可処分所得のマイナス要因となる診療報酬本体の引上げを行うことは、マクロ経済政策全体として見た場合に整合性を欠くものとなってしまうのではないかという論点。

 消費税増収分を活用した医療の充実としての医療提供体制改革については、地域ごと、そしてどのような病床を提供するかの数のコントロールが不可欠でございますけれども、一律のものでは対応が困難ではないかという論点。また、提供体制の改革の手段として、まずは医療法改正による病床の適切な区分の設定などによる実効的な規制の手法を講じることが不可欠ではないかという論点がございます。

 それから、医療・介護の伸び率でございますけれども、これが財源調達のベースとなる名目GDPの伸び率を上回っているという現状を踏まえて、社会保障の公費負担の総額の伸びが経済の伸びから大きく乖離しないような全体の制度設計を目指すべきという論点。

 70歳から74歳の医療費自己負担の見直しにつきましては早期に結論を得るということになってございますけれども、来年4月から見直すべきではないかという論点。

 特養ホームの施設の内部留保額が明らかでない現状におきまして、財務諸表の公開などが必要ではないかという論点。

 また、社会保障関係の各種基金については、その必要性、そして計上のあり方を徹底的に見直していく必要があるという論点。

 雇用関係予算については、リーマンショック後の対応の見直しや、国庫負担の引下げを含む雇用保険財政のあり方の見直しが必要という論点等がございます。

 頂戴いたしております主な意見でございますけれども、医療費適正化計画について、適正化の効果は7,000億円とされていたが、何らの検証も行われていない点は問題である。各年度においても、確実に効果が見込める取組みを行うことが重要というご意見。

 診療報酬本体の改定については、今回の社会保障改革により、医療についても被保険者等に負担を求めている部分もある。こういった中で、さらなる患者負担や保険料負担につながる診療報酬本体の引上げは、影響も大きく国民の理解も得られないのではないかというご意見。

 これまでも診療報酬本体の改定指数は、賃金や物価の指数を上回っており、デフレ下においても上昇してきている。こうした実態にも鑑みると、今回、診療報酬本体をプラスに改定する必要はないのではないかというご意見。

 医療費を増やすことが医療の充実ではない、という点を明らかにすべきというご意見。

 医療提供体制の効率化は不可避だが、これを理由に診療報酬を増やすことには反対。まずは7対1入院基本料を引き下げ、その範囲内で、13対1や15対1を上げるといったことをやる程度ではないかというご意見。

 医療提供体制について、診療報酬の上限がない、いわゆる出来高払いになっている限り医療費の抑制は望めない。診療報酬制度の抜本的な見直しが必要というご意見。

 ジェネリック薬品について、諸外国に比べ使用率が低いとの数字があったが、ジェネリック薬品がスタンダードで、そうでない薬がオプションというくらいの発想の転換が必要であるというご意見。

 高齢化で社会保障給付が増えること自体は理解できるが、高齢者に応分の負担をしてもらうという観点では、公的年金等控除の見直しが必要ではないかというご意見。

 来年早々にも年金の財政検証が行われる。実際に検証を行うのは厚労省だが、財審として「最低限これはやってくれ」というメッセージを出すべきではないかというご意見。

 これらを頂戴してございます。

 続きまして、公共事業でございます。

 主な論点といたしましては、今後の人口減少を踏まえれば、重点化していく必要があるという論点。

 また、既存ストックについても、人口減少を見据え、更新時にはスペックの合理化を行うなどの見直しを行うべきではないか。また、この費用の見通し等を明らかにした上で、将来世代の負担能力も勘案し、残すべき社会資本の選別に向けた検討を開始すべきではないかという論点。

 地方部におきましては、さらに大幅な人口減少が見込まれる中、コンパクトシティ化を進めるなど、地域の将来を見越した取組みを進めるべきではないかという論点。

 公共施設の多くは、地方公共団体が管理しておりますけれども、地方公共団体の積極的な取組みを慫慂していくため、防災・安全交付金の配分のめりはりづけを通じた財源面でのインセンティブづけや、研修の実施等、技術的な支援も強化するべきではないかという論点。

 また、建設や維持管理に際しては、最新の技術的知見やITの活用などにより、費用の縮減を図っていく必要があるのではないかという論点。

 料金収入等の得られる事業については、民間の知恵と工夫が発揮されることにより効率化される余地が大きいことから、PPP/PFIといった民間活力の積極的な導入を検討し、公的負担の縮減を図るべきではないかという論点。

 主要先進国の中で最悪の財政状況にある中で、平均より依然として高い政府部門の投資水準は、どうあるべきかという論点。

 建設に従事する労働者、技術者の不足傾向が全国的に見られることから、円滑な予算執行を図るという観点で適切な規模への見直しも必要なのではないかという論点がございます。

 頂戴いたしております主なご意見としましては、来年度以降の公共事業関係費について、人口減少や生産性向上により少なくとも年間マイナス1.5%の公共事業予算の効率化についてはきちんとやっていただきたい。国土強靱化に名をかりた増額が起きないようにしてほしいというご意見。

 公共事業関係費について、毎年マイナス1.5%が可能という話があったが、自公政権ではマイナス3%ということでやってきており、これまでと同じくマイナス3%ぐらいできるのではないかというご意見。

 建設業の人手不足に関連して、将来、日本で人口が減少していくことを見込めば、今人手不足だからといって若い人を回すというのは必ずしも合理的ではないのではないかというご意見。

 社会資本の維持管理について、市町村に対する技術的支援の強化をする必要がある。また、市町村におけるインフラ管理について、情報の共有が重要であるというご意見。

 高速道路については、受益者が明確である以上、受益者負担であるべきというご意見。

 高速道路の割引については、まずは現行の割引制度が物流の円滑化にどのような効果をもたらしたのかということを検証すべきではないかというご意見。

 コンパクトシティについて、2025年には高齢化比率が30%になることを踏まえると、これからの10年がコンパクトシティを推進するに当たっての最後のチャンスではないかというご意見。

 病院や学校を含めた今後のまちづくりに際しては、個々の省庁の縦割りではなく、国として総合的に関与していかなければならないというご意見を頂戴しております。

 以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 「社会保障」につきまして、重要な論点である診療報酬改定について追加でご説明していただきます。新川主計官より説明をお願いいたします。

〔 新川主計官 〕 恐れ入ります。今、小宮から説明したことに論点は尽きておりますけれども、先週新しいデータが出ましたので、ご紹介させていただきます。

 診療報酬改定の意味について、診療報酬改定は、いわば公共料金の見直しでございます。上げたり下げたりということの意味合いですが、上げますと医療機関の収入が増え、下げますと医療機関の収入が減るということでありますが、これはすなわち、そのまま、上がった場合は企業あるいは家計の収益、所得の減、下がった場合はこれを増やすという方向に働きます。今のマクロ政策では、企業や家計の所得を増やしていくということが最重要課題となっているということでございます。

 それで、この医療機関の収入の増減に関係いたしまして、医療経済実態調査という定期的に医療機関の経営状況について調べている調査がございまして、それが先週発表になってございます。後でご説明いたしますように、増収増益傾向は顕著でございますので、薬価の引下げは当然のこととして、診療報酬本体もマイナス改定を行うべきというデータが示唆されてございます。

 医療機関の1施設当たりの収益、それから損益率というか、利益率をあらわしてございます。一般病院あるいは一般診療所、いずれも医業収益をみますと、24年度は前年度に比べて増収しており、個人で経営されている診療所についても同じく増収でございます。それから、損益率もみますと、数字の上の利益はもちろん増えておりますけど、利益率でみましても改善傾向は顕著ということでございます。

 それから、医療機関にお勤めになっていらっしゃる従業員の給与について、一般病院の医療法人の病院長あるいは医師、これらにつきましても報酬の改善傾向は顕著ということでございます。

 以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、早速、「社会保障」及び「公共事業」について、皆様方からご意見、ご質問をいただきたいと思います。では、老川委員、岡本委員の順にお願いします。

〔 老川委員 〕 今ご説明がありましたように、病院のお医者さんの給料が全体としては増えてきているということはそのとおりかもしれないんですが、マクロ的にはそう言えても、現実には、例えば病院の勤務医の多忙さ、労働密度と、一方ではビル診療所のように夜勤もないし救急治療もない、こういうお医者さんといろいろあって、一概には言えないということもあると思います。問題は、お医者さんが大都会と地方とで比べると偏在しているとか、大病院に軽度の治療の患者さんも集中するとか、そういった問題が背景にあるわけなので、やはり家庭医とか、かかりつけ医と中核病院なり大病院、そういった連携によって、うまく全体のバランスがとれるような体制にするということをあわせてやらないと、全体としての給料の金額だけで比較しても、今現実に起きている、片方では医師の過剰、片方では医師の不足といった問題は解消されないと思いますので、そこら辺の医療体制全体、供給体制全体の見直しとあわせてやっていく必要があるということをどこかで指摘しておいていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。医療の場合、ご指摘のようなさまざまな問題があって、いわゆる医療の供給体制の改革が不可欠だというのは我々全て認識しているのだろうと思います。特定のビタミンが不足しているという問題があったときに、それに対する対処は食事をたくさんとるということでは必ずしもない。やはり医療の中での配分の見直しとか、そういうことが、老川委員ご指摘の問題を解決するために重要なのではないかと思いますが。

〔 老川委員 〕 おっしゃるとおりです。

〔 吉川分科会長 〕 続けて、では岡本委員、よろしくお願いいたします。

〔 岡本委員 〕 同じく診療報酬改定問題について、私、常々思うのですけれども、日本の国家的課題に少子高齢化があるわけですが、その中で少子化についての対策で、待機児童とかにいろいろな手当てをするというのは、政策的、戦略的にも、やむを得ない、正しいことかと思います。一方で高齢化のほうの問題について、よく言われる「自然増」という言葉なのですけれども、自然増だから予算が増えるのは当たり前というような発想自体が、企業では考えられないわけで、自然増というものがあるとすると、これをどうするかということをやっていかないと企業はつぶれてしまうということですので、まずこの自然増というところを何とか削減するというところに取り組まないといけない。その上に診療報酬の改定で上乗せするということですから、自然増の問題と、その上での診療報酬の改定についてどう考えるかといえば、診療報酬の改定はなかなか難しいのではないかと私は思います。

 新川主計官のお話にもありましたけれども、病院の黒字化率が8割ぐらいあるといういろいろなデータを見たり、さまざまな状況を考え、あるいは平均給与を見てもということなのですけれども、いろいろな中でやりくりしながら、これを抑えていく努力が非常に重要でないかと思います。

 それから、よく言われる過疎地域の問題とか、医療機関が希薄な地域だとか、あるいは勤務医の中でも厳しい人がいるということはありますけれども、そういった問題が診療報酬という一番の大ベースのところで、だから手当てをしなければならないというのは、私はちょっと本末転倒な感じがするわけでして、そういうところに対しては補助金をきっちり積んでいくといった個別の対応が必要なのではないかと思います。

 それから、企業に関する問題なのですけれども、やはり自然増だけで1兆3,500億というのは膨大な額でありまして、ここでは国の負担が大変だということを言っているわけですけれども、これは国も地方も企業も、それから国民も大変なわけでありまして、特に企業においては今、社会保険料が毎年上がっていっていると。企業の収益がどうであろうと上がっていっているという実態の中で、診療報酬を上げるということになれば、健保組合の運営も大変なことになりますし、健保組合の経営が破綻すれば、医療制度そのものの破綻ということにもつながるわけなので、医療制度を何とか維持していくためにも、診療報酬を当然のように引き上げるというのはいかがなものかと、私はこのように思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、板垣委員、土居委員の順に。板垣委員。

〔 板垣委員 〕 老川委員と岡本委員のお考えと私も全く同じ意見であります。それに加えて、ジェネリック薬品の問題なのですが、これの使用を拡大することによる財政への効果が非常に大きいので、やはりきちんと今回も書き込んでいただきたい。

 それからもう1点、生活保護の問題でジェネリックの議論があって、そのとき、そこだけに特定して使うことに私はこの場で反対したと思いますが、ただ、それをある程度認めるためには、全体で取り組んでいくということを前提にしていただきたいと申し上げた経緯があります。その意味もあって、やはり全国民によるジェネリックの使用拡大については力を入れて今回もきちんと書いていただきたいと思います。

 それから、社会保障の主な論点の中で説明がありましたけれども、概算要求の段階から過大計上でやってくるという、この辺のところを、もう少し要求者自体がきちんと精査して要求すべきであるという趣旨をどこかに潜り込ませていただきたいと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 土居委員。

〔 土居委員 〕 先ほど補正予算の話が出ましたけれども、実は社会保障でも70歳から74歳の医療費の自己負担について法定2割を1割に軽減しているということは、毎年度補正予算で手当てしているというやり方になっておりますから、国民会議ではこれを元に戻すという方向性を打ち出されて、今のところそういう流れになっていると思いますので、当然ながら、これを来年4月からやっていただくとともに、補正予算でそういう軽減措置を講じるというようなやり方は慎むと、そういうことが報告書でも書かれるといいのではないかと思います。

 今のは70歳から74歳の医療費自己負担の話ですけれども、あわせて介護保険でも一定以上所得者に対する利用者負担を1割から2割に上げるという議論が国民会議でもなされているということですので、これもあわせて財制審としてサポートするということはあってもいいのではないかと。もちろん来年度の予算としては、医療の診療報酬が改定年ですので、当然メインになってくるということではありますが、介護保険も、来年の通常国会で、介護保険制度の法改正を準備しているということでもありますので、介護報酬そのものは再来年に改定されるということではありますが、来年の制度改正があっての再来年の介護報酬ということですので、きちんと社会保障・税一体改革の流れに沿いながら、介護保険も改めるべきところは改めるべきだというようなところは、この場での議論が今回は少なかったように思いますので、介護保険についても意見を述べさせていただきたいと。

〔 吉川分科会長 〕 では、赤井委員、小林委員の順に。

〔 赤井委員 〕 よろしくお願いします。私のほうからは、社会保障に関して1点と、あまり公共事業の件は出ていないので、公共事業のほうに関して3点ほど述べたいと思います。

 社会保障のほうは私は日ごろあまり研究ができていないんですけれども、内閣府でやっている行政事業レビューのほうでも、今日ジェネリックの話が取り上げられて、ジェネリックに関して最近議論していますと、やはり後発品のシフトを厚労省は進めると言いながらも、医療の安定性といった点であまり積極的になっていない部分もあるので、引き下げるべきというところとともに、市場の状況をしっかりと踏まえて、どのように対処するべきなのかというところのプランづくりをするべきということをもう少し強く書いていただければと思います。厚労省のフォローというところをしっかりするべきだということです。

 それから、公共事業に関しては3点、1つはプランづくり、2つ目が財政との関連、3つ目が連携ということなのですけれども、1つ目が、残すべき社会資本の選別とかインフラの集約的な更新ということで、これはずっと言われてきているわけですけれども、なかなか進んでいないという経緯がありますので、具体的に期限を切って、いつまでにどのようにプランをつくっていくのか。それも単に一部のものではなくて、全てのインフラ、全ての自治体、あらゆるものに関してどのようにいつまでにつくっていくのかというところを決めるべきということを明確に書いていただければと思います。

 2つ目は、今言いましたようにインフラは、国だけではなくて、実際小さな自治体までたくさん持っておりますので、自治体の財政への影響というのが今後ますます大きくなっていきます。この意味では、地方財政を担当している部署とか、特に総務省とか国交省が連携して、インフラの財政への影響をしっかりと把握して、将来財政に影響が出てくるということを自治体にもわからせて、インフラの更新を的確に行わせるという点を明示していただければと思います。

 3番目は、連携ということで、今言いましたようにインフラというのは、省庁の縦割りではなく、国として総合的に関与していくということで、実際、今、インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議みたいなものがあって、国の間では情報共有が若干なされつつあるんですけれども、自治体との連携といいますか、国と自治体、総務省、財務省、国交省、そこに自治体も含めた形で、どのようにインフラへの更新投資を進めていくべきかというところの連携があまりまだなされていないように思いますので、その連携についても進めていくべきという点を書いていただければと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、小林委員。

〔 小林委員 〕 診療報酬改定に関してなのですけれども、今回は消費税の引上げと診療報酬の改定が同時に来るということで、非常に国民の関心も高まりやすい時期だと考えます。そう考えた場合に、診療報酬を改定すると、結局それは単純に国が出すというだけではなくて、保険料にはね返る。それは当然、企業にはね返る。患者の負担も増えるということで、消費税の増税とあわせますと、いろいろな意味での負担増が累増するという意味合いがある。これを国民に理解してもらうには、格好のチャンス、いい機会なのかなと思いますので、このあたりは報告でも、ある程度強調してもいいのではないかと考えております。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 井堀委員。

〔 井堀委員 〕 社会保障に関して、社会保障の充実、5,000億ということの意味なのです。これは今高齢者の人が医療費の主要な便益を受ける方々なので、そこに対する手当てという側面が非常に強くて、効率化というのは、そこのところに痛みを求めるという面がある。消費税を上げるときの基本的なスタンスというのは、中長期的視点で社会保障の持続可能性をきちんと実現することだと思います。そうすると、将来、団塊の世代が後期高齢者になってくるときの医療の持続可能性が非常に問題になってくる。その意味からいうと、社会保障の充実は必ずしも現時点での充実ではなくて、将来にわたっての充実が重要なわけです。その中にも中長期的視点で充実と機能強化の話を書き込んでいただきたいと思います。要するに、今、多少痛みがあっても、将来、社会保障、特に医療制度がきちんと持続可能であるためにどういうことが求められるのかと。中長期的な充実が重要だと思います。

 それから、公共事業です。ここで書いている論点は非常にもっともなのですけど、ただ今回の消費税引上げに関する経済対策でも見られるのは、公共事業のもう一つの側面です。景気対策として、そのときの需要を刺激するという目的があるわけです。実際にもそういう形で公共事業は使われてきておりますので、そこのところのメリット/デメリットと、それから中長期的に社会資本が整備されていく、その社会資本がどの程度、これからの将来にとって役に立つのかという、そのメリットのバランスに関してもう少し踏み込んだ議論があってもいい。ここで、社会資本整備に関しての議論はあるのですけど、景気対策としてのメリットあるいはデメリットをどういうぐあいに考えるのか。実際問題としては、社会資本というのはかなり公共事業、景気対策として使われている側面が非常に強いので、そことの兼ね合いで景気対策よりは社会資本整備の便益評価をきちんとやるのが重要だと、そういうスタンスを入れていただければと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、黒川委員、お願いいたします。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。公共事業関係で2つ。

 各委員からの意見のところに、情報の共有が重要とあります。ここに含まれているのかもしれませんけれども、予防的な維持とか修繕、更新、あるいは計画作成の前提となるデータベースの整備というのがまずもって大事だということをいつかお話ししたと思うので、そういう言葉を入れていただきたいと思います。情報の共有の前に、まずデータベースの作成からなのだということです。

 それから2番目は、東日本大震災に関連したところはどこになるのかわかりませんけれども、先週、現地に行ってきたのです。現地の一部の声かもしれませんけれども、ともかく拙速で物をつくらないでほしいというお話を聞きました。よく計画を立てて、国のほうもお金がないということはわかっている。使い残しがあるとか言われているけれども、それは地元のほうからすると、大切に使いたいという意識もあって、計画にしっかりと時間をかけてやりたいというところもあるので、拙速で使うことを地元のほうも望んでいないのではないかと思います。震災直後の基本的な生活に対しての支援は、不十分かもしれませんけれども、最低限は提供された。今、特に津波があったところは更地になっているわけですから、これからは第2番目のステージ、長期的な視点に立った新たなまちづくりという段階に入ったということで、今、私が発言したのはそういうことでございます。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 鳥原委員。

〔 鳥原委員 〕 公共事業に関して1点、前にも申し上げているところですが、真に必要な社会資本を整備するためには、費用便益分析による評価だけではなく、地域の活性化や地域の安全・安心の確保、国際競争力の強化などへの波及効果も加味した総合的な判断を行うべきであると思いますので、重ねて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ、老川委員。

〔 老川委員 〕 公共事業の主な意見で、建設業の人手不足に関連して、将来、日本で人口が減少していくことを見込めば、今人手不足だからといって若い人を回すというのは合理的ではないということがありました。私はこのことが何を意味しているのかよくわからないし、どちらかといえば反対です。つまり、あたかもこれから若い人が減っていくから建設業のような下等な職業に回す暇はないのだと、こういうふうに聞こえてしまうのです。しかし、建設業といっても、主な論点で、建設や維持管理に関して最新の技術的知見やITの活用なんかを通じて費用を縮減していくべきだということもありますように、最近の建設、土木、いずれも単につるはしを持って土をいじくり回すというんじゃなくて、かなり高度の知的レベルの労働力が必要とされているというのが僕は現実だと思います。そういうことを抜きにして、建設業のほうは高齢者だけでいいやと、こういうことになると、日本の建設業というのは一体どうなってしまうのか。日本の建設業のレベルの高さというのは、この間のトルコのボスポラス海峡のトンネル一つ見ても、世界的に極めて高いレベルにあって、どこの国もできないことをやっているわけです。そういうことを考えると、やはりこういう部分にも若い人材が入っていくということが僕は大事だと思います。それから、建設業なんか人手不足でもいいんだと、こうなると、現に今起きていることは何かといえば、人手不足で建設費が非常に高騰して、せっかく新しい建設への設備投資をしようと思っても、価格が非常に上がって実現しにくいと、こういうこともあるわけです。これは現実に直接的に景気にも影響が出てくるということで、ここが一体何を言いたいのかよくわからないし、そこら辺の実情とはかなりかけ離れた意見ではないのかと私には感じられます。

〔 吉川分科会長 〕 今、老川委員がおっしゃったことは、多分かなりの委員の方が共有されているのだろうと思います。

〔 土居委員 〕 よろしいですか。

〔 吉川分科会長 〕 土居委員、お願いいたします。土居委員、竹中委員の順で。

〔 土居委員 〕 今の発言を申し上げたのは私でございます。責任を持ってお答えしたいと思うのですが、私が想起したのは、1990年代にバブル崩壊直後に大幅な公共事業の拡大が行われたときに、地方都市など過疎部で建設業者にたくさん仕事ができたものですから、そのとき若い人たちをたくさん雇ったわけです。ところが、財政難もあって、結局、公共事業がその後大幅に縮減したことによって大変つらい思いをされた方がたくさん地方にいらっしゃるということを踏まえての発言でありまして、こういうことがまた繰り返されないようにすることが重要だという意味で、将来を見据えた地域の産業構造を考えながら、建設業は建設業として非常に崇高な仕事でありますから、地域でどういう産業構造の位置づけになるかということも考えあわせながら、バランスをとって各地で若い人を雇うべきではないかということを申し上げたかったわけで、確かにある地域では大きく建設業の需要があるものですから、それで、若い人が、今、需要があるということでもって建設業に従事し始めるということになると、20年後、30年後も引き続き大規模に公共事業があるかどうかわからないというようなことになってしまっては、これは90年代の二の舞になってしまうのではないかという思いで申し上げたということであります。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいでしょうか。そんなに大きな隔たりはないのだろうと私は思いました。建議には老川委員に指摘していただいたことを生かさせていただければと思います。

 竹中委員、お願いいたします。

〔 竹中委員 〕 皆さんがおっしゃったご意見とたくさん同じところがあるので、そんなに言うことはないんですけど、やはり板垣さんもおっしゃいましたし、私もずっと発言しているように、ジェネリックに関してはきっぱりと、ジェネリックを中心に据えてということを今回はぜひ書き込んでいただきたいということ。それから、診療報酬、医療費を上げたら医療がよくなるかのようなことは絶対間違いであって、それは文科省の予算の話のときに、先生を増やすと教育がよくなるというのは違うという話をしたのと同じような、あくまで提供側からの理論のような気がしますので、今回のご説明にもあるように、そうではないということを、医療費を負担する側のスタンスも明確にした上で、国民が理解できるような書き方できちっと説明していただきたいと思います。

 それから、公共事業は強靱化というもとで浮かれっぽいような感じもあるのですけれども、やはり東日本の復興もまだまだ進んでおらず、また全国的に南海トラフといった大きな災害も来るというようなことが言われている中で、やはり身を引き締めて、冷静な予算配分が重要だと思いますので、そういう書き方でまとめていただければと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。碓井委員、お願いいたします。

〔 碓井委員 〕 公共事業についてですけれども、工事に着手して、工事が進行中であるにもかかわらず、供用開始に至るまでに長期間を要しているものがたくさんあると思うのです。それこそ経済対策としてばらまくとか、あるいは過去においてはやや風呂敷を広げ過ぎたとか、いろいろな事情があるかと思いますが、やはり公共工事による社会資本も、便益が提供されて初めて意味があるわけですから、そこをなるべく短縮するような予算配分をお願いしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 葛西委員、お願いいたします。

〔 葛西委員 〕 論点の中にあったとおり、主要先進国の中でも公共事業のレベルが高いという事実をどう考えるべきかということですが、これはやはり公共事業の規模全体は抑えるべきだとはっきり書かれたほうがいいのではないかと思うのです。その中で何を選択し、どのような形で維持するかというように決めるべきであって、規模全体が膨らむというのは、今まで既にそういう兆候が強くあり過ぎたのではないかという気がします。

〔 吉川分科会長 〕 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 では、長丁場ですので、ここで10分程度休憩をとりたいと思います。約10分、自然な形で休憩をとらせていただくことにいたします。

( 休  憩 )

〔 吉川分科会長 〕 それでは、そろそろ後半を再開したいと思いますが、いかがでしょうか。ご着席いただいていますでしょうか。

 では、後半の議論を再開したいと思います。まず、「地方財政」及び「文教・科学技術」について、事務局よりご説明をお願いいたします。

〔 小宮調査課長 〕 地方財政でございます。

 主な論点といたしまして、歳出の抑制とともに、国の借金による交付税の上乗せ増額、いわゆる別枠加算でございますけれども、これは速やかに解消し、国・地方折半負担の原則に戻す必要があるという論点。

 また、その際、国・地方の財政の不均衡を解消しながら、地方歳出も抑制して、地方の財政健全化を目指す必要があるという論点。

 現行の地方法人特別税・譲与税は、20年に税源の偏在是正の観点から創設されたところでありますけれども、これは偏在性の小さい地方税体系が構築されるまでの間の措置であることを踏まえ、税制の抜本的な改革にあわせて抜本的に見直しを行うとともに、地方消費税の充実とあわせ地方法人課税のあり方を見直すことで税源の偏在を是正する方策を講ずることとされているという点。

 地方税収の増加が、これが不交付団体に集中すると、不交付団体の財源超過額が積み上がる一方、地方税収の増加が財政力の弱い自治体の大幅な財源不足を補填している国・地方の借金の抑制に効果的につながらないという論点。

 そして、地方税収の国・地方の税収に占める割合が高いもとで、経済成長による地方税収増を全国に再配分しつつ、国・地方を通じた財政健全化を図る観点からも、地方団体間の財政力格差の是正機能を抜本的に強化する必要があるという論点。

 地方消費税の充実分は財源超過額のある交付税の不交付団体にも配分されるという点。この結果、不交付団体の財源超過額が積み増され、自治体間の財政格差をむしろ拡大させてしまうという問題、論点がございます。

 主なご意見といたしましては、国の財政は悪化しているが、地方は健全化しつつあるというのは間違いない。健全化の背景としては、リーマンショック後の手厚い支援と、ガバナンスの強化が挙げられる。地方一般財源総額の平時モードへの回帰が必要というご意見。

 国が赤字国債を発行して渡した資金で、地方が積立金に貯金しているのが問題の本質。地方の歳出を精査していくことが必要というご意見。

 リーマンショック後の危機対応として設けられた地方交付税の別枠加算は、直ちに廃止すべき。いわゆる別枠加算について、なぜ設立時に終期を設定しなかったのか。異例な制度を設けるときには必ず、あらかじめ期限を定めて措置するべきというご意見。

 財政力が豊かな東京都で患者の負担を無料にした結果、受診率が上がると、全国民の負担、国費の投入が増えるということを踏まえ、財政の格差是正の問題を考える必要があるというご意見。

 財政力格差の話については、地域活性化の観点からも考える必要があるというご意見。

 地方交付税の総額抑制については、何年までにどれだけ抑制するというルールを決めて実行することが重要というご意見。

 地方交付税については、各地方公共団体が改革するインセンティブをビルトインする必要があるというご意見を頂戴いたしております。

 それから、文教・科学技術でございます。

 主な論点といたしまして、まず、義務教育国庫負担金でございますけれども、教職員の定数につきまして、受益者当たりの予算額が大幅に増加している施策は例外的でございまして、まずこの政策効果を厳しく問う必要があるという論点。

 また、平成25年度全国学力学習状況調査等の結果からも、少人数教育を進めることは効率的な教育支出とは言えないのではないかという論点。

 義務教育予算の約9割が教職員の給与に充てられているという著しい偏りは是正すべきではないかという論点。単に量的な拡大ではなくて、質的な向上に努めるべきという論点。

 それから、教職員給与が一般地方公務員よりも優遇されている分を縮減することをさきの2006年基本方針では決定しておりますけれども、いまだ未調整の部分がございまして、早急に予算に反映すべきではないかという論点。

 国立大学改革につきましては、大学改革の着実な推進、運営費交付金の配分について総額ではなくめりはりの重視、自己収入確保に向けての取組みが必要であるという論点。

 奨学金事業につきましては、比較的所得の低い階層の世帯に対しても、無利子奨学金ではなく有利子奨学金が貸与されているケースが存在する一方、高所得世帯に対しても無利子奨学金が貸与されているという状況があり、これを改善する必要があるという論点。

 また、この改善のため、家計基準の見直しや運用の改善が必要ではないかという論点等がございます。

 それから、科学技術につきましては、科学技術振興費は、平成に入り3倍に増加しており、これは社会保障関係費を上回る伸びになっている。一方、論文の引用度等は、主要国と比べて低い水準で推移している。また、不正使用も後を絶たない状況であることを踏まえ、質の向上を図り、より高い成果を社会に還元する必要があるという論点。

 大型プロジェクトについては、一度開始すると多額の後年度負担が生じる傾向にあるので、立ち上げに当たっては必要性・妥当性の精査が必要であるという論点。

 オリンピック・パラリンピックについては、施設等の整備については、大会後の社会を見据えた長期的な視点に基づき、必要にして十分なものとする必要があるという論点でございます。

 主なご意見といたしましては、教育の成果については、科学的な指標に基づいて政策の効果を評価するということが重要であるというご意見。

 義務教育に関連して、学校の中だけで教員に全てを解決させることは不可能な時代になっている。教員の数を増やせばよいという考え方は古い。教育の仕組み自体を考え直す時期にきているのではないかというご意見。

 教員の数だけにこだわる日本の改革はあまり実効性がないという国際機関PISAの指摘に同感。教育の質を考えていかなければならないというご意見。

 子供の数が少なくなっている中で教員数削減はやむを得ないと思う。教師の本来業務以外の報告書作成等が、教師側の精神的、肉体的負担になっているため、教師を増やしてほしいということになるのではないか。これまでも文科省はこの点を改善すべきと当審議会で議論してきているというご意見。

 義務教育について、子供の数が30%減っている以上、教員の数も30%減らしてもよいのではないかというご意見。

 障害者教育においても、教員の数を増やすこと、すなわち教育の質がよくなるということにはなっていないというご意見。

 担任外教員を使えば少人数学級を実現できるというのは事実。教育委員会が少人数学級よりも特別支援学級や、外国人指導など他のことを優先しているというのが実態というご意見。

 豊後高田市の取組みについては、教師の資格を持っているか持っていないかにかかわらず生徒を支えることはできるということを象徴しているというご意見。

 大学について、グローバル人材を育てるためには、外国人の教員採用を拡大するべきだと思う。年俸制等も考えて、大学教員の給与の自由度を高めていくことができないかというご意見。

 大学改革について、来年度予算編成の焦点の一つは奨学金事業、無利子奨学金増額であるが、これは、授業料を工夫するなど、大学改革とセットで考えるべき。めりはりのきいた授業料の取り方を考えるべきというご意見。

 来年度の概算要求の中には無利子奨学金の大幅要求があったが、経済的に困難がある人を社会的にサポートするというのは、本来有利子の奨学金でやるべきというご意見。

 オリンピック・パラリンピックは、経済・社会の活性化に資するので、国を挙げて取り組む必要がある一方、施設等の整備に当たっては、大会後の社会を見据え、社会的インフラとして適切なものかという長期的な視点が必要というご意見も頂戴いたしております。

 以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、早速、議論に入りたいと思います。田中先生、ご意見ありますか。

〔 田中委員 〕 早めに退室させていただくものですから、発言の機会を優先していただきまして、ありがとうございます。

 1つ、文教につきましては、私は、自分の意見も反映させていただきましてありがたく思っているんですが、大学改革に関しては若干抽象的なところがあり、この改革をこのまま進めという話なのですけれども、これについても高等教育政策の効果というものをきちんと検証すべきだというところ、政策効果についても義務教育と同様に掲げていただければと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。赤井委員、お願いします。

〔 赤井委員 〕 地方財政に関して1点と、文教に関して2点、最近研究していて感じることで、まだ挙げられていない部分を少し述べたいと思います。

 主な意見の1つ目に、私が言ったことをベースに挙げていただいていて、あらゆる指標を見ると、国がどんどん悪化している中で、地方財政というのは健全化していると。国の手厚い保障と、あと夕張ショック以降、財政健全化をすごく意識するようになったということがあって、それは事実として踏まえた上で、国が今まで上乗せしてきた部分はきちっと減らしていくということで、それは強く書いていただいたらいいのですが、その一方で、財政健全化に行き過ぎているという面もあるのと、あと、ここは交付税なのでなかなか難しいのですが、財政健全化してすごくよくなると減らされるということで、財政健全化を頑張ったところが減らされるみたいなことにならないように、そこのところを少し注意しながら、努力したところにはその成果が残るという形のインセンティブも考慮した上で厳しく必要額を見積もっていくというところを少し意識して書いていただければと思います。

 文教のほうで、義務教育に関して2点ほど、挙げられていない部分なのですが、少人数学級に関して既に議論もなされているのですけれども、あまり効果が明確には見えてこないということで、文科省の中でも少人数学級がほんとうにいいのかという議論が今少し出てきているようですので、少人数学級にこだわるのではなくて、多面的に効率的・効果的な義務教育のあり方というのをしっかりと議論して、何が必要なのかというのを議論すべきという形で書いていただければと思います。

 もう一つは、挙げられていない点としては小規模校の統合です。これはずっと言われながらも、なかなか住民がいて踏み出せないという部分があって進んでいないのですけれども、やはり財政的なコストはものすごくかかっていますので、そこのところをもっと積極的に計画を立てて推進していくべきということも書いていただければと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。鳥原委員、お願いいたします。

〔 鳥原委員 〕 地方財政に関して申し上げたいと思います。先般、総務省の地方法人税のあり方検討会の報告書におきまして、法人住民税の法人税割を地方交付税の原資とする案が示されておりますが、これには反対です。安定した地方財源の確立には偏在性の是正が必要でありますが、法人住民税は地域社会の費用負担の性格を持つ税であって、地方交付税の財源にはふさわしくありませんし、地方分権の流れにも逆行していると思います。偏在性の是正に向けては、産業振興や地域振興、そして歳出削減等の行革努力が反映されるような地方交付税の見直しが必要であると思います。

 また、地方法人特別税は消費税引上げ時までの暫定措置でありますので、これを撤廃して、法人実効税率の引下げにつなげるべきだと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。岡本委員、お願いします。

〔 岡本委員 〕 地方財政についてなのですけれども、10月28日の財審のときに意見書を提出しておりますけれども、改めて発言したいと思います。私は財政の大口の予算は何かといえば社会保障と地方財政だと。特に一般会計歳出の約2割を占める地方財政のほうを何とかしないといけないと強く思っております。そういった中で、今回、地方消費税が引き上げられます。これはトータルで10%に引き上げられるときに、地方の税収はどうかというと、3兆円程度増えるということになると思うのですけれども、これがどのように使われるか。基本的にこれは社会保障の財源に使われるべきでありますし、そうであればそのお金が本来行くはずであるわけです。したがって、これが地方においてお金が増えたということで地方の歳出規模を増やすだけに使われるのであれば、これは本末転倒なわけでありますから、どうしてもここに杭を打っていく必要があると思います。ぜひこの増えた分は地方交付税交付金のほうで減らしていくということに全力を挙げる必要がありますし、またこの厳しい状況の中では、減額の努力、あるいは歳出特別枠とか別枠加算の廃止を含めて、財政規律をきっちり立てていかなければならないのだと、このように記述してほしいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。井堀委員。

〔 井堀委員 〕 地方財政です。地方といってもいろいろな地方があるわけで、財政力のあるところ、ないところ、いろいろあって、そこで格差是正という観点から地方交付税等で国が面倒を見ているわけです。地方分権の観点からすると、やはり地方交付税の役割を縮小していって、不交付団体の数を増やすことをもう少し政策目標として進めていくほうがいいのではないかと思います。主な論点のところで、不交付団体の税収の増加のデメリットが挙げられましたけれども、不交付団体自体は自分たちの税収で基本的にその地域の財源の需要を賄っているわけですから、不交付団体の数をより増やすような、そういう政策的な対応も必要です。要するに不交付団体になったほうがメリットが大きいという形にしないと、結果として交付税で全て面倒を見るということからなかなか脱却できないのではないかという気がします。

 それから、文教・科学技術の件です。奨学金のこの話はなかなか悩ましいところもあるのですけれども、基本的に大学生の奨学金に関しては、義務教育あるいは高校レベルと違って、就職した後で、高等教育ですから、教育を受けた対価というのは個人が回収できるのが筋です。その意味では、きちんと利子分も含めて回収するというスタンスがやはり大前提になって、幾ら所得が低いからといって、無利子あるいは貸与の学生を増やすのはあまり望ましくない。むしろ、そういう形で支援するのであれば、親の所得水準ではなくて、本人の学業成績でやるほうがよりインセンティブとしてはいいのではないかと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。葛西委員。

〔 葛西委員 〕 科学技術のところで、科学技術振興費、3倍になっているけれども、あまり効果が顕著に出ていないということが挙げられておりまして、質の向上を図り、より高い成果を還元するようにということになっていますが、これだと何をやっていいかよくわからないのだと思います。科学技術というのは、おそらくボトムアップで研究等が行われていることが多いのではないでしょうか。ボトムアップでやらなくてはいけない部分もあるのですが、やはりトップダウンで目標を明確にして、しかるべき人間にそれを担わせるという形をとることが効果を上げるためには必要なのではないかと思います。その意味で、内閣などの国家戦略を決めるところでトップダウン型のプロジェクトを決めて、それを科学技術の振興費の中で推進していくというようなことが必要だと思います。今回の予算の方針で書くのはなかなか難しいのかもしれませんけれども、より長期の視点で見ると、その種の論点を取り入れないと、お金を幾ら入れても砂漠に水をまいたようになってしまうのではないかと思いますので、ご考慮いただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、次に進みましょうか。

 次は、「エネルギー・環境、中小企業」、これが1つですね。それから、「農林水産」及び「ODA」について、事務局より説明をお願いします。

〔 小宮調査課長 〕 まずは、エネルギー・環境でございます。

 主な論点といたしまして、今後のエネルギー・環境対策の検討の際には、市場原理の活用を基本に、現実的な目標を設定すべきという論点。

 省エネルギー・再生可能エネルギー関係予算は、市場原理をゆがめないようにする等の観点から、ターゲットを絞り、適切な出口戦略を組み合わせるなどの見直しを図るべきではないかという論点。

 固定価格買取制度を持続可能なものとするため、買い取り価格の適正化や電力多消費産業の減免措置についての見直しも不可欠ではないかという論点。

 エネルギー対策特会の歳出水準は、石油石炭税収を基準とするのではなく、歳出の効率化・合理化を図り、真に必要な金額に抑制すべきという論点。また、同税収は、補正予算などを含む財政全体で見れば適切に活用されていることも、わかりやすく説明すべきという論点。

 原子力発電については、今後、政府・電力各社・立地自治体の対応方針が明確化されていく過程で、電源立地を支援するという交付金本来の趣旨に合わないものが温存されないよう、電源立地交付金制度のあり方を議論すべきではないかという論点。

 福島第一原発の汚染水対策及び廃炉は、国と事業者が連携して早期の問題解決に取り組むことが重要であり、対策の内容や対応の状況を丁寧に説明していくことが不可欠。特に賠償・除染等は、安易に一般会計や復興特会の負担で対応すれば納税者の理解は得られないことから、現行の支援スキームを適切に活用していくことを基本としつつ、福島の再生に向けた取組みを推進していくことが重要ではないかという論点がございます。

 主な意見でございます。

 エネルギー・環境政策の見直しの際には、従来からの論点である経済性・安定性を十分に考える必要があるというご意見。

 省エネルギー対策は、企業の競争力強化に資する面もあるというご意見。

 固定価格買取制度については、国民への急激な負担が懸念されるため、柔軟かつ機動的に見直す必要があるというご意見。また、将来への大きな負担とならないよう、買取価格や減免措置について、早めの見直しをお願いしたいというご意見。

 固定価格買取制度の見直しは性急なものとせず、長い目で見て改善を行っていくべきというご意見。

 地球温暖化対策税の引上げが予定されているが、税収は十分に確保されているのではないかというご意見。

 地球温暖化対策税は、環境対策の財源にすることではなく、外部経済への対応が本来の趣旨ではないかというご意見。

 福島原発事故への対応について合理的な範囲の国費投入が必要ではないかというご意見。

 また、税金か電力料金かという議論をしても意味がない。収束を加速化するための線引きを早く決めるべきというご意見。

 責任論として、税金か電力料金かという議論は重要である。長期間、東電の責任と経営合理化を求めていくことが重要というご意見。

 汚染水対策・廃炉は、国が主体となって、外国の知恵も借りて、ナショナルプロジェクトとして取り組むべきというご意見。

 賠償・除染の負担について、交付国債の返済期間を長くとって、東電のやる気をそがないようにすることも考えられるというご意見。

 除染については、合理的な範囲で行っていくことが必要。線量基準の見直しが必要。打ち止め感があるようにする必要があり、国費を投入するとしても無尽蔵ということではないというご意見を頂戴しております。

 続きまして、中小企業でございます。

 主な論点といたしまして、中小企業政策は、政府全体の経済政策との整合性を踏まえて、必要な支援が行われているかという視点が不可欠であるという論点。

 また、中小企業に対する高率の補助金等の交付は、強力な支援となる一方で、中小企業者の補助依存、それから健全な市場ダイナミズムをゆがませることなどが懸念されることから、その必要性・妥当性を精査して取組みを進めていくべきという論点。

 信用補完制度については、中長期的に持続可能な制度運営を確保するため、民間金融機関等の目利き力・ノウハウを積極的に活用しつつ、中小企業者への経営支援・再生支援の強化を通じて制度全体への負荷を軽減するための対策が必要であるという論点。

 モラルハザードを生じさせかねない100%保証からの脱却は不可欠と考えられ、特に、セーフティーネット5号保証制度における特例措置については、早期に見直しを検討すべきではないかという論点。

 中小企業への経営支援等については、過度に予算措置に依存することなく、金融機関が、信用保証付貸付に係る経営計画の策定支援及びフォローアップ、保険事故率の低減方策等に取り組みやすい環境の整備を、関係省庁が連携して進めていくべきという論点がございます。

 また、頂戴している主な意見といたしましては、安倍政権が目指す経済の好循環に向けて、中小企業の意欲を高める施策を充実させるべきというご意見。

 中小企業施策は、補助金等の交付の規模だけではなく中小企業にもたらす効果に着目した施策を打ち出すことが重要であるというご意見。

 中小企業金融円滑化法の終了や消費税率引上げを控え、信用補完制度を含めた中小企業の資金繰り支援に万全の態勢を整えることが必要であるというご意見。

 地域の中小企業の健全な経営を支えるためには、金融機関による中小企業に寄り添い後押しをするような対応を促進する必要がある。金融機関へのモラルハザード防止、中小企業支援のインセンティブ付与の観点から、信用保証の100%保証は見直しが必要というご意見を頂戴しております。

 続きまして、農林水産でございます。

 主な論点といたしまして、農地中間管理機構については以下の5点の論点について検討する必要があるのではないかと。まず、農地の滞留を防ぐこと。2番目として、農業への新規参入を促進すること。また3番目として、関係者に責任とコスト意識を求めること。4つ目として、受益者負担を求めること。そして5つ目として、既存の政策との整合性を図ること。これらが論点でございます。

 また、経営所得安定対策でございますけれども、これにつきましては、米は高い国境措置により輸入品との競合をしていないため補助金で支えるべきではないということ。米の直接支払交付金が農地集約・生産コストの削減の取組みを阻害しているのではないかということ。そして、米価変動補填交付金は経営努力を阻害しているのではないかということなどについて検討する必要があるという点でございます。

 頂戴している主な意見といたしましては、農地の集約化・大規模化が必要。

 農地制度の規制改革や農業の構造改革については、この機会にぜひ積極的に見直しを進めていく必要があるというご意見。

 大規模化や担い手の確保については長年言われてきたが、これまでも進んできておらず、むしろ悪化している面もある。TPP交渉も進展しており、今、改革に取り組むべきというご意見。

 農業政策の中で、1つの目的のために複数の異なる方向の政策が打たれているという印象を持った。きちんと整理して、廃止するものは廃止し、集中的に支援をしていく必要があるというご意見。

 米については、本来、補助金で支えるべきものではなく、米に対する補助金は不要だと思うというご意見。

 米の直接支払交付金については、廃止する方向で大胆に見直しをしていただきたいというご意見。

 多面的機能に係る直接支払制度の創設については、ウルグアイラウンド対策の二の舞にならないよう、今後注視すべきというご意見。

 ITなどの先端技術を農業に利用すると競争力強化に役に立つのではないか。海外にも先進的な事例が多くあるというご意見。

 農地中間管理機構については、借り手がつかないような農地は借り入れず、地方負担と受益者負担はきちんと求めるべきというご意見。

 今まで意欲のある農家がいても、農協のプレッシャーが参入の阻害要因となっていたと思われるが、農地中間管理機構が公平・中立な立場で大規模化を進めていくことで、農業への新規参入を加速させていくべきというご意見。

 大規模化が進まない理由の一つとしては、農地の転用期待の問題があり、転用規制を強める等の対策が必要であるというご意見を頂戴しております。

 最後、ODAでございます。

 主な論点といたしましては、厳しい財政事情のもと、より戦略的・効率的なODAの実施が求められ、一般会計ODAについては、引き続き抑制を図る必要があるという論点。

 また、戦略的・効率的な実施の観点からは、マルチのODAについての政策評価を確立する必要がある。我が国の国際機関への拠出金等は、その配分も硬直的になっておりまして、政策目的の優先度を明確にしつつ、その目的への寄与度、国際機関の組織の強靱性等も踏まえて、不断に優先順位を見直して、抑制を図っていく必要があるという論点。

また、その際、被支援国との関係を戦略的に構築することに一層資するバイのODAへさらに重点化していく必要があるという論点がございます。

 また、バイのODAについては、制度改善を踏まえ、円借款を積極的に活用し、無償資金協力を一部代替することにより、財政支出を抑制していく必要があるという論点がございます。

 また、ODAの事業量を全体としてより重視していく必要があるという論点。

被支援国の観点からは、一般会計ODAではなく、円借款等も含み、裨益の程度を示すグロスのODA事業量が重要となっているという論点がございます。

 主なご意見といたしましては、一般会計ODAは、ピークから半減しているが、厳しい財政事情に鑑みれば、理解できるものであり、今後も選択と集中を行っていく必要。近年はバイのODAを重視しているとのことだが、その方向でよいというご意見。

 ODA対GNI(国民所得)比で0.17%という日本の数字は、財政収支を考えれば、むしろ健闘しているのではないかというご意見。

 ODAについては、どのような効果が上がっているかを検証する必要。日本が提供した施設がうまく使われているのかどうか、メンテナンスや人的貢献の観点を含めたフォローアップが必要であるというご意見。

 マルチのODAの政策評価は必要であるが、仮に、国際機関の活動評価ネットワークに参画する場合、その評価項目が日本のODAの目的に合致しているのかを精査する必要があるのではないかというご意見。

 ODAについては、途上国において人を育てることに重点を置くべき。日本ではこれから退職者が大量に出てくるので、そうした方々の知見等も途上国の支援に生かせるのではないかというご意見。

 日本の円借款は、借款という性格上、返済を要するため、被支援国の自助努力を促すという意味でも非常に意味を持っているというご意見を頂戴しております。

 以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、議論に移りますが、先ほど田中委員がご所用で早退されました。田中委員からODAにつきましてご意見を書面で頂戴しております。手書きのA4・1枚紙ですが、皆様方のお手元に配付させていただいていると思います。こうしたご意見をいただいていますので、建議の起草の際には当然反映させていただきますし、また皆様方にもお読みいただければと思います。

 では、議論に移りたいと思います。葛西委員、お願いいたします。

〔 葛西委員 〕 私も途中で退席しますので、1点だけ申し上げたいと思うのですが、エネルギー問題なのですけれども、原子力をどうするかという話については、ここでは直接触れるのをなるべく避けているように見えます。それも仕方がないと思うのですが、ただ片方で化石燃料の輸入経費が増大しているという事実もあり、それによって日本経済の体力に影響が及んでいますが、それは財政の基盤が揺らぐということを意味するのだという認識はどこかで出しておかれたほうがいいのではないかと思います。

 また、それともう一つ、それの別の系統で言うと、化石燃料の輸入経費増等を電力料金に転嫁するのを抑えている結果として、東京電力の人材の劣化、設備の荒廃化が進むおそれがありまして、そちらのほうにもやはり財政問題として大きな影響を及ぼしてくる可能性があるという2点は、一番本質的な問題なので、どこかで認識としては出しておかれたほうがよろしいのではないかという感じがいたします。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。ほかにいかがでしょうか。岡本委員、お願いいたします。

〔 岡本委員 〕 やはり同じ問題なのですけれども、東電の関係で2点申し述べたいと思います。

 主な意見の最後にきっちり挙げられたわけですけれども、線量基準の見直しが必要ということと、打ち止め感があるようにする必要があると、これはまさにそのとおりで、国が前面に出るということは非常にいいことなんですけど、前面に出て何をするのかというときにぜひやってほしいのは、この線量基準の見直しと打ち止め感だと思います。これは今後財政を考えていく上でポイントとなるわけですし、線量基準が今の代でも2ミリシーベルト浴びていると。それにプラスオンの1ミリシーベルトということでほんとうにやっていけるのかと。これはIAEAなどの話では1から20ミリシーベルトということはありますけれども、もし20ミリシーベルトまでにするのであれば、住民の帰還はかなり進むわけですし、また除染の費用も圧倒的に下がるということにもなるわけですから、このミリシーベルトの問題というのは、巷ではいろいろな形で言われていますけれども、ほんとうにどこまでが安全なのかということをきっちりと政府でも基準を立てて、そして国民に啓蒙していくと。こういう中で、大口の予算の問題というものは減らすことができると思いますので、被曝線量の基準の見直し、これはぜひやってほしいということだと思います。

 それからもう一つは、今の予算でどちらが持つべきかとか、あるいは電力料金かどうかということで、なるべく国費のほうに来ないようにという話があるのですけれども、結局のところ、今は全く中途の状況でして、打ち止め感がないと思います。ですから、打ち止め感というか、最終的にどうなるのかというのは、もうかなりの年数たっているわけですし、今の時点で、除染費用ではこうであるとか、そのほかいろいろな問題についてどのくらいかかる、廃炉でどうかかるということで、それをどういうふうに持っていくかという大口が決まって、あるいはそのような打ち止め感を出すということで、国民も安心しますし、対策もとれるのではないかと思いますので、ぜひその辺について取り組んでほしいし、ここにも書いていただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。ご意見をいただきました。おっしゃっているご趣旨は理解できたと思います。我々は財審ですので、基準そのものの妥当性は、これは岡本委員もご理解されているとおり、基本的には医学の問題ということだと思いますので、我々財審としてどのような表現ができるのか、どのようなことが書けるのか、いずれにしてもご意見そのものは理解できたと思いますので、我々、起草する際に議論させていただきます。もう一度、さまざまなご意見をいただくことになると思います。ありがとうございました。

 では、井堀委員、板垣委員、お願いいたします。

〔 井堀委員 〕 エネルギーについて、1つは地球温暖化対策税の件なのです。地球温暖化というのは日本だけでは対応できない。民主党政権のときにかなり大胆なCO削減目標を出したわけですけれども、ご存じのように、日本だけがCOを削減しても地球温暖化にはほとんど効果がなくて、要するに中国、インド、それからアメリカを巻き込まないと仕方がない話です。そうしますと、日本が地球温暖化対策税という形で、これは外部経済への対応というのが本来筋なのですけれども、地球温暖化に関しては、全世界的に対応しないと、日本だけで外部経済への対応なんかできない。その意味からいいますと、地球温暖化対策税というのは、地球全体への政策の効果を考えて最適な税率を決めるのではなくて、まだきちんと歳出削減努力をしていない中国、インド、アメリカを巻き込むための交渉の戦略として使うべきだと思います。そう考えると、あまり税収を確保するとか税率を上げるという話は、今の日本の状況から見ると、ふさわしくないのではないかというのが1点です。

 それからもう一つ、福島の原発に関して、税金か電気料金かということで、主な意見では相反する2つの意見が出ていて、一つの意見というのはどちらでも同じだということと、もう一つはその区別は重要だと、両方の意見をお出しになっている。ここに関しては、一定の財源を確保するという観点からいえば、電力料金というのは広く国民が電力を利用する場合に負担するので、それも課税だと考えることもできるわけです。問題は電力という一つの経済行為に対して集中的に課税するのか、税金の場合は広く全ての経済行為、あるいは所得税ないし消費税にすれば広い課税ベースが起きるわけです。広い課税ベースで課税するのか、特定の業種から出てくる経済取引に集中的に課税するのかという形で考えると、当然、電気料金で全て賄うよりは、税金で広く薄く取るほうが経済活動に与える効果、ダメージは少なくて済む。その意味では税金か電気料金かという区別は非常に重要で、本来であれば税金で国がきちんと取るほうが望ましいと思います。ただ問題は、そうすると東京電力が直接負担しない形になりますので、結果として財源の負担感が少なくなる分だけ安易に投入される可能性がある。そこをきちんと別途チェックする必要があると思う。当然の責任、あるいは経営合理化を進めていくことは当然必要だと思うのですが、それが担保されれば、やはり国費の投入という形で、より積極的に福島原発事故への対応の財源を求めたほうが、結果として国民経済にとってもプラスになるのではないかと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 板垣委員。

〔 板垣委員 〕 岡本委員と葛西委員の意見に対して言おうと思ったところ、会長のほうからご指摘がありまして、そこは重複するのですが、もう一度繰り返しますと、線量基準の見直しが必要というのは、前回も申し上げましたけれども、要するに低線量被曝というのはまだ証明されていないのです。そういう中で財審が深い議論もなく、この言葉を入れるということ自体が私は問題だと思っています。むしろ合理的な範囲内で行っていくことが必要というところまでは私も理解します。それから、除染は、その地域の住民感情からいって、安易に終わらせてはならないとやはり思います。ただ、その際には合理的な範囲でやっていくというような表現にとどめるべきだと思います。

 それと、エネルギー政策を政府がとにかく決められないという状況の中で、エネルギー予算をどう考えるかというのは財審としても非常に悩ましい状況だと思います。ただ、この間申し上げましたけれども、とにかくエネルギー政策を中長期的にわたってどうするかということがほんとうにわかるような政策を年内にきちっと決めてほしいと。それを受けてきちんとした予算づけをするという形を財審として求めていくということは必要かと思います。おそらくこの答申の前にエネルギー政策が決まることはないはずですから、我々からもそれを求めていくということが重要だと思います。

 それから、最後に1点、最終処分場の問題をどうするのか。つまり、原発を仮に全部とめたとしても、既に使用済み核燃料があって、いずれそれはどこかで処分しなければいけないわけです。そのためのきちんとした基礎研究、それからどういうシステムをもってやっていくかというところに、文教の予算とも絡むとは思うのですが、その辺の手当てもきちんとやっていくべきだろうと思います。基本はエネルギー政策をどうするか。それによって、文教分野、それからエネルギー予算分野でどういう予算立てをしていくかということをやはり考えるべきだと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、老川委員、赤井委員。岡本委員、今、関連してのご発言でしょうか。

〔 岡本委員 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 では、どうぞ、岡本委員。

〔 岡本委員 〕 板垣委員のお話はよくわかるんです。私はただ安易に上げろと言っているわけでもないですし、政府が前面に出るというときに、やはりこの問題について真っ向から取り組んでくれということ。それから、全く根拠レスでということではなくて、今、世の中で見て、これは証明されていないというのはわかるのだけれども、例えばIAEAなどではこれから20ミリシーベルトまでの間で決めるという余地があるとか、これだけをまた頼りにするというわけではないのですけれども、国民の理解が及ぶ中で、この問題については1ミリシーベルトのままでおしまいということではないのではないかということを私は申し述べているわけでございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、続けて老川委員、赤井委員、土居委員の順でお願いいたします。

〔 老川委員 〕 別のことを言う前に、今、線量の話が出ましたので私も申し上げたいのですが、証明されていないということからすると、もうゼロしかないと、こうなってしまうので、科学的な研究によって、IAEAなりで、これこれの幅の中ということが一応基準として出ているわけですね。1ミリというのは、その中の一番極端に低いところだけを言っているわけなので、それがあたかも一番高い限度であるかのように今理解されてしまって、それで1ミリ以下でなきゃだめなんだと、こうなると除染の費用というのはエンドレスにかかってくるわけです。これはこれでやはり合理的ではなかろうと、こういうことがあるわけで、そういう意味で、今回、線量の見直しということはやはり必要だと思います。

 それから、申し上げたかったことは、さっき井堀委員もおっしゃったけど、電力料金か税金かという問題について両論が挙げられている。それからもう一つ、固定買取制度についても、早めの見直しが必要だという意見と、急ぐ必要はないと、こういうご意見が並んでいて、やはり意見書として出す以上はどちらかにウエートを置いたほうがいいのではないかと思います。そのうちの私は、税金か電力料金かということについて言えば、実態に比例して電力料金がぐんぐん上げられるようになれば、それはそれでも同じじゃないかという理屈が出ると思うのですが、現実にはやはり電力料金にコストをそのまま反映させるということにはなっていないわけで、電力料金のアップというのは抑制的になっていると。そうなると、どうしたって国費でやるしかないと、こういうふうになるわけなので、あまり東電の責任ということだけを強調して、どっちが払うにしたって同じだと、こういう議論だけでは、現実に起きていること、つまり、いつまでたっても除染が進まない。東電に責任があることは、これは間違いないにしても、東電に任せておいたのではどうにもならないと。この2年半、どんどん事態は悪化している。こういうところで、やはり国が前面に出てやるということが必要だということに政府も含めて大方なってきているわけなので、そこのところは税金を投入して、国が前面に出てやるんだということを前提とした方向での意見にしたほうがいいのではないかと私は思います。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。では、赤井委員。

〔 赤井委員 〕 今少し意見が出たエネルギーにおける固定価格買取制度について、これは主な意見のところで、早目に見直すべきという話と、長い目で見ていくという2つ、両方とも出ているのですけれども、私もこの分野は十分自分で研究しているわけではないのですが、一般感覚からいって、再生エネルギーはイメージはいいのですけれども、導入すると日本が変わって、世界の温暖化の問題も解決されるというイメージがあるわりには、今導入されている太陽光、風力、地熱のうち、安定性があるのは地熱ぐらいで、太陽光、風力というのは太陽と風がないと電気を起こせないわけですから、安定性がないということで、逆に従来どおりの電力の供給のシステムも必要ということですし、これとともにほんとうに重要なのは、バッテリーを強化して安定性のないような電力を安定化させていくということが重要で、固定価格買取制度において、CO削減も含めてどのぐらい成果が上がっているのか。その一方で、コストは今後、まさに消費税増税もありますし、国民負担が増える中でコストも増えていくわけですから、そういうところをしっかりと明確に、何がいいかというのは難しいと思うのですが、明確に国民にコストと、あとベネフィット、そこを見せるということをまずもっと努力していくべきというところを書くのがいいのではないかと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、土居委員、鳥原委員、お願いいたします。

〔 土居委員 〕 農林水産のところで、主な意見で出されていることについては基本的に私は異存ありませんが、つけ加えまして、今ちょうど農業、特に稲作に対する補助金の見直しが進められようとしているいい機会ですので、この機会にぜひ意欲のある農家が、やりがいを感じる、成果が上がる、そういう形の補助金の制度に変えていただきたいと思っています。特に、米価変動補填交付金は、米価を結局は補助金で支えるという形になっていて、米価のつき方に対しても大きなゆがみを与えるものでありますので、単に意欲のある農家のやる気をそぐということ以上に、もっと問題が大きいと思います。米価の市場実勢をゆがめてしまうという意味では、これはきちんと廃止するということにすべきではないかと思います。さらに、全体的なトーンとしては、稲作農家を補助金で支えるということ自体の問題もさることながら、農作物の価格形成に対しても補助金でゆがみを与えることがないようにするということはもう一つ重要な視点として挙げられるのではないかと思います。さらに、減反政策を廃止するというようなことが報道されていますが、ほんとうにそういうことにつながるものなのかどうなのかというところはきちんと精査していただきたいと。隠れた形で、やはり実情、減反している農家に補助金めいたものが渡っているというような形にならないように注意深く精査する必要があるのではないかと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。鳥原委員、お願いします。

〔 鳥原委員 〕 1つはエネルギーに関してですが、先ほど板垣委員が言われたエネルギー政策を早急に確立すべきだという話に関して、私も全く同感です。本来ならば数値目標のあるエネルギー基本計画を定めることが、エネルギー関係予算の道筋をはっきりとつけるために必要なことだと思います。しかしながら、現状でなかなか数量計画には至らないという問題を抱えている中ですので、数値目標のあるエネルギー基本計画ができないとしても、無資源国の日本が将来最適なエネルギーバランスとして目指していくべき方向を示す政策を早くまとめるべきだと思います。

 続けて、中小企業に関して前回も申し上げましたが、中小企業向け補助金等は中小企業のチャレンジを後押しする大変重要な施策でありまして、補助率を高めに設定することで、厳しい環境に直面している中小企業が新たな取組みに対する挑戦意欲を高めているという点にぜひ配慮いただきたいと思いますので、重ねて申し上げておきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。黒川委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。では、エネルギー・環境問題の固定価格買取制度について2案出ているわけですけれども、固定価格買取制度の効果について、まだ、懸念だけがあって、効果がないというような話にもなっていないと思います。この制度については、前回も言いましたように、関係する省庁としてはかなり期待しているところがあるので、もう少し見守る段階ではないのだろうかと、こういうふうに思っているわけです。ですから、2つあるとしたら、私は後のほうにどちらかというと重心があるという感覚です。

〔 吉川分科会長 〕 いいですか。では、板垣委員、赤井委員。

〔 板垣委員 〕 この間申し上げましたけれども、実験が始まったばかりなんです。これは10年見ないとわからないのです。それを、負担が増えるだとか、権利だけとってまだつくっていない人がいるだとか、いろいろ言うわけだけど、原子力予算だって、この間申し上げたように、ものすごい年数をかけてここまで来ているわけです。つまり、原発をゼロということを言っているのではなくて、新しい試みというのはそういうものだということだと思います。

 それから、固定価格買取制度というのは、これはいわゆる事業者としてやる場合と、一般家庭が屋根に載っける場合と、これを混同する方が非常に多いと思うのです。一般家庭の部分というのは、もうほとんどコマーシャルベースでどんどん進み始めています。もちろん補助金もあるけれども、猛烈な勢いで今進んでいます。そういうところに何かブレーキをかけるような表現は私はいけないと思います。

〔 吉川分科会長 〕 赤井委員。

〔 赤井委員 〕 今、応援組が2つ出たので言いにくいのですけれども、もちろん価値があるものはどんどん進めたらいいと思うんですが、確かに長期見ないとわからないと思うのですけれども、長期先どのようになるのかというのを随時、やはり透明性を出していくというか、どういう可能性があるのか、コスト面とベネフィット面と、進んでいくにつれて、1年目2年目どういうことが起きているのか、そこをやはり国民に透明性を持って示しながら進めていくべきだと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ほかにいかがでしょうか。富田さん、ファイナルワードで。

〔 富田委員 〕 今日もご意見がたくさん出たんですけれども、基本的にこれまでの議論の繰り返しみたいな気がしたのです。私は、来年度の予算というのは非常に厳しい中で、最初、岡本委員もおっしゃられましたけれども、結局、物価を上げようという中なんですね。そういう中で我々は効率化をやはりここでやらなきゃいけないというのが基本なんです。しかも、マーケットも警告することをやめてしまっているのが現在、異次元の金融緩和の中でですね。だから、我々しか多分、長期的な観点よりこの国の行く末をきっちりと見守るところはないというぐらいの気持ちで建議をつくることが一番基本にあるべきだと思うのです。私は論点の最初のところで、2015年のPB赤字半減は黒字化に向けた中間的な指標に過ぎず、とあって、もちろん2020年に黒字化することが大事だという文の中にあるんですけれども、これはやはり、ここで僕は頭がとまっちゃって、「過ぎず」というのは、えらく軽視する言い方なわけです。もちろん軽視するために言っているわけじゃないこともわかるのだけれども、基本的にはやはりここは、「過ぎず」と言えば、その確実な達成を踏まえとか、そういうのがないと、2020年だけやればいいんだということで、当座無理かもしれないというようなことまでにじみ出ているような感じを受けてしまう。だから、消費税の引上げもできたので、世論としても財政の収支改善するのが当たり前だというムードもある中で、何かちょっといろいろな意味で安易になってしまっているような気がするのです。だから、今日も皆さんご指摘のとおり、やはり厳しく健全化を進めるスタンスがにじみ出るようなものにしないと、ここしかないというか、マーケットはあまり当分は反応しないかもしれない。そういう中で、やはり全体をきっちりとやり、また補正予算があるかもしれないという可能性を踏まえて、4兆円ずつ減らせばいいんだということで来年度の予算とか再来年度の予算を組んでも、2015年には半減ができないかもわからないということも、そういう感じを私は持っています。すみません、ずっと黙っていましたけど。

〔 吉川分科会長 〕 いやいや、どうもありがとうございました。そこで期待されているのが、富田委員の健筆というわけですので、よろしくお願いいたします。

 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。大体予定した時刻でございますので、それでは、以上で本日の議題は終了とさせていただきます。本日さまざまなご意見をいただいたわけですが、まず第一に、これ以上のご提言がある場合には、ぜひとも奮って事務局にご連絡いただきたいと思います。今もうこうした段階ですので、例えば具体的な修文といいますか、修文というよりは起草に近いわけですが、こういう部分についてはこういう表現を盛り込むべきだというような文章での提言とか、具体的にメールでいろいろご提言いただければ、起草委員会のほうでそれを適宜議論の上、反映させていただければと思います。

 皆様方からいただいたご意見を踏まえまして、また今後ともメール等で近々いただく場合には、そうしたご意見も取り入れながら、今後、起草検討委員の方々が建議案を作成いたしますので、次回はその建議案をお諮りしたいと思います。

 次回は、11月20日15時から財務省庁舎4階の第三特別会議室で開催いたします。次回はまた財務省のほうの会議室ですので、お間違えのないようお願いしたいと思います。

 それでは、本日の会議はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

午前11時53分閉会

財務省の政策