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財政制度分科会(平成25年11月6日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成25年11月6日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成25年11月6日(水)14:30〜17:18
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

1.開会

2.エネルギー・環境、中小企業について

3.農林水産について

4.ODAについて 

5.閉会

配付資料
○ 資料1      エネルギー・環境、中小企業関係資料
○ 資料2      農林水産関係
○ 資料3       ODA(政府開発援助)予算
(参考資料)     ODA(政府開発援助)予算    

出席者

分科会長 吉川 洋           愛知副大臣
葉梨大臣政務官
山本大臣政務官
香川主計局長
福田次長
太田次長
大鹿総務課長
小宮調査課長
山本司計課長
窪田法規課長
井口給与共済課長
堀田官房参事官
江島主計企画官
宇波主計官
有泉主計官
青木主計官
井藤主計官
新川主計官
土谷主計官
小野主計官
高村主計官
余島主計官
阪田主計官
分科会長代理     田近 栄治  
 委員

秋山 咲恵
井伊 雅子
井堀 利宏
倉重 篤郎
黒川 行治
古賀 伸明
竹中 ナミ
土居 丈朗
富田 俊基
鳥原 光憲

 臨時委員

板垣 信幸
老川 祥一
大宮 英明
葛西 敬之
小林 毅


午後2時30分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、定刻ですので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。

 皆様方には、ご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、事務局より「エネルギー・環境、中小企業」、「農林水産」及び「ODA」について説明をしていただくこととしております。

 なお、本日は、「エネルギー・環境、中小企業」の質疑応答が終わったところで休憩をとりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、岡本委員におかれましては、本日欠席のため、意見書をご提出いただいております。皆様のお手元にお配りしております。

 それでは、早速議事に移らせていただきます。

 まず、「エネルギー・環境、中小企業」について、宇波主計官よりご説明をお願いいたします。

〔 宇波主計官 〕 経済産業・環境、それから司法警察を担当しております宇波でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 資料に沿ってご説明申し上げますが、本日は1つがエネルギー・環境関係、それからもう一つが中小企業関係の論点についてご説明申し上げます。

 目次を見ていただいたとおりでございますが、まずエネルギー・環境からです。2ページが議論の順番でありますけれども、3ページおめくりをいただきまして、まず総論。このページはエネルギー基本計画と、それから温室効果ガス削減目標の政策上の関係を図示したものであります。中央のエネルギー起源COが我が国の温室効果ガスの9割を占めておりまして、またここの施策の部分がエネルギー基本計画の中核をなすという意味で、相互に関係しております。広範な論点が含まれますけれども、本日は予算面から見た論点を中心にご議論を頂戴できればと考えております。

 4ページにいきまして、今見ていただいた青いボックスと赤いボックスそれぞれの経緯と現在の立ち位置でありますが、まず左側、青色のエネルギー基本計画につきましては、民主党政権のもとで2030年までに原発稼働をゼロとするためにあらゆる政策資源を投入するということで、そのもとで省エネ、あるいは再生可能エネルギーの導入促進目標を含むエネルギー環境戦略が定められましたが、その後政権交代に伴いまして、これらをゼロベースで見直すこととしておりまして、原発の長期的なあり方を含めた新しいエネルギー基本計画につきましてはできるだけ早く、年内を目途に議論の取りまとめを予定しておりますが、策定することとしております。

 右側、赤色の方でありますけれども、温暖化ガスの削減目標につきましても、民主党政権下で、中期目標として90年比マイナス25%目標というのを公約しておりますが、こちらも政権交代に伴ってこれをゼロベースで見直すこととし、今月予定されておりますCOP19の会議までに新たな方針を示す方向で検討を進めております。

 5ページ、6ページを飛んでいただきまして7ページ。世界のCOの排出量に占める日本の割合で、左側がストック、右側がフローベースですが、いずれも日本の占める割合は4%程度と小さく、今後中国、あるいはその他の途上国の占める割合がさらに増加していくことが見込まれます。

 8ページにいっていただきまして、したがいまして、まず総論として、地球温暖化対策等の目標のあり方についてでありますけれども、今後これらを方向づける際には、まず1つとして省エネとか再生可能エネルギー導入拡大につきましては、市場原理の活用を基本に、現実的な目標を設定すべきではないか。それから2つ目に、各種の対策については、コストとのバランスを踏まえて、国民生活、企業活動に過度な負担をもたらさないように留意すべきではないか。3つ目として、対策は日本だけでなく、途上国を含めた国際的な取組みを促していくべきではないかといった点を掲げさせていただきました。

 9ページ、この目標を達成するに当たっての政策ツールのあり方としては、大きく分けて規制的な手法と補助金的な手法があるわけでございます。本年1月の財審の報告書におきまして、この補助金的な手法は非常にゆがみを生じさせることなどから、規制的手法を中心に位置づけるべきであるというご指摘をいただいております。今後ともこの考え方を踏まえて、政策を進めていく必要があると考えております。

 10ページと11ページは、規制的な手法の代表として2つ出しておりますけれども、10ページはトップランナー制度。本年はその対象をエンドユーザーの商品から、さらに窓や断熱材といった中間財へと拡大をしております。

 それから、11ページは地球温暖化対策税であります。23年度の税制改正において、3段階で引上げを行うこととされておりまして、下の表にあるような形で、3段階で増税を予定しております。26年度はその2段階目として800億円の増税。これが後ほどご説明するエネルギー特別会計の財源の増加になっているわけであります。本年の1月の報告書でもご指摘いただいたとおり、これは着実に行っていく必要があるというふうに考えております。

 次に、省エネルギー予算について12ページ以降であります。13ページをごらんいただきます。13ページは、エネルギー特別会計における省エネルギー関連予算の全体像であります。数字は、本書きが26年度の要求、括弧内が25年度の予算であります。ごらんいただいているように、大幅な増要求となっております。個々の予算のご説明は省きますが、予算は大きく3つに分類されまして、緑色のボックス、1つ目が産業部門、あるいは家庭・オフィスなどにおける省エネルギー機器などの導入に対する投資補助金。2つ目の類型が、そういった確立した省エネシステムを活用したビジネスモデルを構築することに対する補助金。3つ目は、海外展開に関する予算であります。

 個別の事業のご説明は割愛させていただきますが、14ページ、15ページにそれぞれの分類に従って論点を掲げさせていただきました。まず、省エネ設備等の導入促進については、ここは基本的に拡大していくマーケットであります。また、省エネを導入した事業者自身のコストの削減、利益の拡大にもつながるものでありますので、市場をゆがめることのないように、ターゲットを絞って適切な出口戦略と組み合わせて限定的に措置していくべきではないかと考えています。

 下段に例示したのは電気自動車のクリーンエネルギー自動車導入促進対策補助金、25年度予算300億でありますが、今年度その補助金の仕組みを変えて、出口を明らかにして市場価格の低下を促すように見直しをしております。

 それから、15ページに2つ目、エネルギーマネジメント分野の支援ですが、ここは本来的には民間事業者の創意工夫、あるいは市場原理に委ねるべき分野でありますので、実証事業という名のもとで、実質的に特定の事業者の特定のビジネスモデルを支援するような予算措置は厳に慎むべきではないか。3つ目の海外展開についても同様の問題意識で、環境整備、例えば二国間クレジットを制度として確立させ、運営させるといったものは政府の役割でありますが、事業展開自身は民主導で行うべきではないかという論点を掲げさせていただきました。

 16ページから、再生可能エネルギーの予算であります。17ページは、平成23年に報告をされました太陽光発電、あるいは風力発電などの再生可能エネルギーの発電コストに関する試算であります。それぞれ3本ぐらい複数の柱が立っていますが、一番右側が将来2030年におけるコストの見込みになります。このコスト計算のポイントは、1つは原発について、事故に伴う潜在リスク、周辺対策等のコストを織り込んでいる一方で、太陽光発電については、見ていただくように、一定のクリティカルマスを通過した後の量産効果を見込んで、大幅なコスト低減を見込んでおります。こうしたコスト比較なども背景として、冒頭ご説明しましたエネルギー環境戦略において、再生可能エネルギーについては2030年までに3倍にするという目標が設定をされています。この目標のあり方はゼロベースで見直すこととなっているわけですが、当面についても今後3年間は最大限加速させるという方針のもとで、再生可能エネルギーの導入に努めることとしております。

 他方、このコスト計算については、エネルギーセキュリティという要請が反映されていないのではないかという指摘のほか、これからご説明しますような太陽光、あるいは風力といった非常に不安定な電力を大量に導入した場合の系統安定化費用などが含まれていないために、言ってみればコストが過小評価されているのではないかといった論点がございます。

 そのことを頭に置いて、18ページを見ていただければと思いますが、再生可能エネルギー関連の予算の全体像であります。先ほどの資料と同じような仕立てにしていますけれども、大きく4つに分類されます。

 1つ目は、今申し上げた系統基盤の強化、安定化にかかわる予算であります。再生可能エネルギーは、風や太陽といった自然環境に影響されるので、発電量が非常に不安定であります。このために、大型の蓄電池や送電網の中で潮流がアンバランスになることへの対応、また、風力発電所の場所が、この下の地図にあるように、北海道の北西部などの場所にあって、そこから実際の電力供給先が大きく離れるために、送電網整備が必要になります。こういったことについて、実証事業という形で予算措置をしているものであります。本来的にはここは電力事業者の負担すべきものについて、ある程度実証性があるという整理のもとで予算措置をしているわけです。

 それから、2つ目と3つ目の分類は、環境アセスメントの基盤整備とか、技術開発の支援措置でありますが、もう一つ本日ご議論いただきたい点は、4つ目の固定価格買取制度、いわゆるFIT、フィード・イン・タリフの略称ですが、FITの予算であります。26年度も大幅な増要求となっております。

 この制度ですが、19ページに基本的な仕組みを図示いたしました。このFITは、再生可能エネルギー導入促進の1つの切り札として、24年度に導入されました。例えば、ご家庭で今、屋上に太陽光パネルを導入されますと、下の表の左から2番目にあるように、10キロワット未満というところですが、10年間電力会社が1キロワット/アワー当たり38円、これが25年度の価格ですけれども、買い取ることを約束するものであります。この買取価格については、導入者、つまり今の例で言えばご家庭に一定の利潤が保証されるように、この場合3.2%の利潤が保証されるように設定されています。このFITは当初3年間は集中導入期間ということで、利潤を上乗せして計算をしています。電力会社が払った費用ですが、これは当然ながら電力料金に転嫁をされて、賦課金という形で電力消費量に応じて家庭、企業に転嫁をされます。ただ、鉄鋼とか、あるいは化学などの大口の電力利用者につきましては8割を減免して、それを国費で補塡することになっておりまして、その予算額はごらんいただいた数字であります。

 20ページを見ていただくと、結局この固定価格で長期間の買取りを約束することになりますので、制度を導入した後、定常状態に至るまで、毎年度ごらんのように賦課金が累増して、これに伴って賦課金減免制度に伴う国費の補塡額も累増していくことが見込まれます。

FITはヨーロッパの幾つかの国で先行して導入をされていました。21ページはドイツの例でありますが、2000年にドイツはFITを導入いたしましたけれども、ちょうど20ページの図と同じようなことが現実に起こっていまして、賦課金の水準が累増して、国民経済に大きな負担となっております。導入当時のFITのサーチャージは、一般家庭でキロワット当たり0.2ユーロセントでしたが、13年後の2013年には5.3ユーロセントになっておりまして、今、一般家庭ですと電力料金が平均1万1,000円ぐらいに対して、乗っかっているFITのサーチャージが2,059円というふうに、かなりの割合を占めるようになっています。このことを踏まえて、メルケル政権では今、このFITの制度の見直しを議論しているところであります。

 以上、ご紹介したことを踏まえて、22と23ページに論点を掲げさせていただきました。まず22ページは再生可能エネルギーのコストについてですが、今申し上げたような系統安定化費用とか、あるいは固定価格買取制度の費用などをきちんと織り込んで、発電コストを見極めることが必要なのではないかという論点を掲げさせていただきました。

 それから23ページ、予算については、1つ目には、実証事業の名のもとに、特定の民間事業者への支援措置となって市場をゆがめないように、国の関与のあり方を限定すべきではないか。それから2つ目には、予算措置が総花的にならないように、重点化が必要。それから、経産省、環境省で類似の事業が行われているものについて重複排除・連携強化を徹底すべきという論点。それから3番目に、今ご紹介した固定価格買取制度については、制度見直しが法定化されていまして、新しいエネルギー基本計画を策定したとき、もしくは少なくとも3年ごとに見直すこととされていますので、近く見直し時期がきます。買取価格の適正化、あるいは大口利用者に対する減免制度の見直しは不可欠ではないかといった論点を掲げさせていただきました。

 次、24ページからは、エネルギー対策特別会計の全体像でありますが、これは25ページがエネルギー特別会計の全体像を示したものであります。勘定は大きく3つに区分経理をされます。左の青いところがエネルギー需給勘定でして、これは先ほど温暖化対策税のご紹介をしました石油石炭税を財源にして、省エネ、あるいは再生可能エネルギーの予算の事業、さらには資源開発などの上流対策、あるいは石油備蓄などの事業を行っております。

 それから、中央の電源開発促進勘定は、電力料金に賦課をされます電源開発促進税を財源として、原子力発電所の立地地域に対する立地交付金、その他原発の安全対策などを実施しております。

 いずれも特定財源でありますけれども、財政の硬直化を招くことのないように、法律上、税収をいったん一般会計で受けて、そこから必要な額を繰り入れることとされています。したがって、差額を一般会計に留保されることになります。そういうことができるということが、法律上規定されています。したがいまして、例えば、25年度につきましては、石油石炭税の税収6,500億円に対して、エネルギー需給勘定への繰り入れは5,190億円、一般会計留保が1,304億円となっております。

 この留保について、いろいろなご議論があるわけですが、それを見るときの留意点として、26ページに資料を用意しました。一般会計の留保は、24年度から25年度に向けても増加をしていますが、これは、必要額を措置した場合の税収との差額の結果として、一般会計留保が生じるわけであります。他方、一般会計とエネ特の関係で、補正予算とあわせて見ていただきますと、例えば25年度に先立つ24年度中の予備費、あるいは補正というものを緑色で記載しましたが、多額のエネルギー関係予算を一般会計から補正予算に措置をしております。したがいまして、これらとあわせ見れば、一般会計との関係で言えば、全体としてはむしろ持ち出しの状況になっています。温暖化対策税の増税が来年度、また2段階目が予定されていますので、そういったことを進める中で、こうした点についても、今後よりわかりやすくご説明をしていく必要があるのではないかと考えております。

 27ページは、今申し上げたエネルギー特会全体の予算の論点でありますけれども、全体像につきましては、特定財源として財政の硬直化を招くことのないように、財源ありきではなく、真に必要な施策に対する予算措置に抑制していくことが必要であると考えております。来年度は温暖化対策税の第2弾の引上げによる増収が見込まれます。その使途につきましては、引上げの趣旨にかんがみて、適切に省エネ・再生可能エネルギー関係予算の財源として活用していく必要がありますが、残余の繰入れの水準につきましては、財政健全化の道筋とも整合性をとりつつ、抑制していくことが必要ではないかといった論点を掲げさせていただきました。

 次に、原子力発電でありますが、29ページで、現在の原子力発電のあり方に関する政府のスタンスをお示ししています。再稼働につきましては、安全性が確認できたものは進めることとしておりますが、冒頭申し上げましたように、新増設のあり方も含めた将来的な原発比率については、今後のエネルギー基本計画の中で、現在のスタンスは、この上の総理答弁の最後に記載してございますが、「できる限り原発依存度を低減させていく方向」で検討することとなっております。

 30ページは現在の原子力発電所の現状であります。現在稼働している原発はゼロであります。14基、黄色く塗った原子炉につきまして、再稼働に向けた新規制基準への適合確認申請がなされておりまして、現在、原子力規制委員会で審査中でございます。

 予算の関係では31ページ、1つ論点として掲げさせていただきました。今後原発比率を低減させていく方向で検討することになっておりますが、具体的なエネルギー基本計画を策定していく中で、その方針に応じて、先ほど見ていただいた電促税を財源にしている勘定で行っている原発立地地域対策交付金のあり方についても見直しが必要であると考えております。現在は稼働していない原発についても、みなし交付金という形で交付金が交付をされています。また、上から5つ目のところ、右に白い※が打ってありますが、運転が終了したものについても一定額の交付金の措置がなされています。

 32ページからでありますが、原発関係の後半は、東京電力福島第一原発の事故に伴う諸課題について、国の関与の仕方について現状の整理をご説明したいと思います。諸課題は大きく2つの類型に分かれます。1つは黒線の上、事故があった1号機から4号機の廃炉、それから、汚染水対策。もう一つの類型が、事故の被災者への対応で、被災者の方々に対する賠償、それから汚染された土壌、家屋などの除染。それから、除染に伴って生じた除去土などを保管する中間貯蔵施設の整備といった事業がございます。除染の目途をつけることができれば、被災地の方々の帰還、あるいは移住を進めることができます。それによって、今度は福島の再生に向けた復興事業、一番下の左側へと移ることになります。

 この資料はそれぞれの課題における、国と東京電力の責任分担の考え方を総括したものでありますので、後ろの資料とあわせて全体像をご説明します。まず、廃炉については、原子炉等規制法に基づいて、事業者の責任とされております。東京電力のみならず、原子炉、原子力発電所を持っているすべての電力会社は、原子炉の運転期間を通じて廃炉に必要な費用を引き当てています。これが電力料金に転嫁をされているわけであります。ただし福島第一原発につきましては、事故によって2つの点が通常と違います。1つは、途中で運転を停止していますので、引当て不足になっているということと、それから、通常では想定できない難しい技術的課題を抱えていて、これに伴って超過費用が発生するという、この2点が問題であります。

 そこで国の対応といたしましては、まず前者につきましては、32ページの右上にあるように、追加的な引当金の必要に対応して、24年7月に国から1兆円の増資、資本投入をしております。それから、後者の技術難易度が高い課題については、高度な技術を必要として、その成果が公共財となる事業につきましては、国から財政支援を行うこととしております。24年度の補正で850億、25年の当初予算において87億の予算を措置して、ロボットの開発、あるいはモックアップ施設の整備などを進めております。

 また、特に汚染水問題については、国が全面に出るという考え方のもとで、33と34ページに資料を載せておりますけれども、9月の原子力災害対策本部において、包括的な政府の対応方針を定めております。この中で、今申し上げたような技術難易度が高い、公共財という整理のもとで、左側の原発の1号機から4号機までの上から見た図でありますけれども、青色の凍土方式の遮水壁、建屋の中に地下水を入れないための遮水壁の構築が、事業費で320億。それから、建屋に入った水を汲み上げてタンクに貯蔵しているわけですが、その貯蔵している水をできる限り浄化するための高性能な多核種除去設備の実現、新ALPSでありますが、これに150億。こういったものの事業費全体について国が予算措置をする方針を決定しております。汚染水問題については国民の関心も高く、その早期解決を図ることが重要でありますので、こうした考え方のもとで、国と事業者がよく連携をして、課題の解決に当たっていきたいと考えております。

 もう一つの類型である賠償と除染でありますが、35ページ。まず賠償でありますけれども、これは原子力賠償法に基づいて、東京電力がその責めに任ずることとされています。それから、除染、中間貯蔵施設の整備につきましては、国、あるいは市町村が事業主体になっておりますが、その費用につきましては、この下段にありますように、23年に議員立法によって成立いたしました除染特措法に基づきまして、東京電力に求償することとされております。したがいまして、もとの32ページに戻っていただきますと、賠償は直接東京電力が払い、またそれから、除染の費用については、いったんは復興特会から支出をいたしておりますけれども、その財源については、東電に求償することが法律上定められていることを踏まえて、いわゆる復興フレームの外と整理されて、国としては財源を確保していないわけであります。

 このように、法律上賠償と除染については、原因者負担、あるいは汚染者負担という原則に基づいて、東京電力に一義的な責任があるというふうにされているわけでありますが、他方、財政負担の最終的な帰着先につきましては、これが巨額にのぼることも踏まえて、東電1社ではなくて、すべての原子力事業者、すなわち原発を持たない沖縄電力を除く日本全体の電力料金によって、長期間にわたって分かち合うスキームを構築しています。

 36ページがそのスキームを図示したものでありますが、一番右、東京電力が払った賠償・除染の費用は、政府が発行した交付国債を財源として、原子力損害賠償支援機構が必要な資金を東京電力に資金交付します。したがいまして、これによって実質的に東京電力の資金繰り、あるいは財務諸表に影響がないような形で、手当をしております。こうやって国が立替払いをしているわけですが、立替払いした費用は、青い線の矢印を追っていっていただきますと、20年、30年といった長期間にわたって、すべての原子力事業者の負担金から分割返済をしていただくスキームになっております。金利は一般会計負担。したがって、名目元本を長期にわたって分割返済という形になっておりまして、仮にですが、例えば賠償金を5兆円と仮定をしますと、電力会社の年間負担は、25年で払うとすれば、年間2,000億円程度。このうち東京電力が負担するのは約半分程度になりますので、この仮定計算で言えば、東京電力の負担は年間1,000億円程度。東電管内の電力料金の収入は約6兆円弱でありますので、比率で言えば電力料金収入の2%弱を年間で負担する。これが、東京電力の最終的な負担であります。

 今申し上げましたようなスキームを踏まえて、37ページに福島第一原発に伴う諸課題の予算面の対応について論点を整理させていただきました。廃炉汚染水については、減災本部で決定したこの考え方に沿って、国と事業者が連携して早期の問題解決に取り組んでいくことが重要ではないか。賠償と除染については、今ご説明したように、現在のスキームが法律上確立しております。このもとで原因者負担の原則を守りつつ、オールジャパンの電力料金、国民負担で賄うということになっております。さまざまなご議論があるわけですが、財政当局といたしましては、これを安易に一般会計で負担して、将来世代につけ回しをすることとしたり、あるいは復興特会の財源にめり込んで対応することは、納税者の理解を得られないのではないか。また、こうした財源の持ち方という議論よりも、福島の再生を進めることが最も大事な課題であって、現在の除染計画を加速化させて、被災者の方々の帰還等に早く移行していくことが最も大事ではないかという論点を掲げさせていただきました。

 自民党でいろいろとご議論があって、復興加速化本部で、全体の原子力災害からの復興加速化に向けて、政府への提言を取りまとめたところと承知しておりますが、まだ政府に提出がないところですので、現在の政府のスタンスとしましては、今後これが提出されたときにはそれを受けとめて、対応を検討してまいりたいと考えております。ただ、既に相当広く報道されておりますので、復興加速化本部の議論を私どもが聞いている範囲でご紹介をいたしますと、廃炉と汚染水対策については、国と東電の責任分担を明確化すべきである。あるいは、政府の意思決定の系統をしっかりと整理すべきである。実施体制を明確化すべきであるといったご提言だと伺っております。

 それから、賠償については、現在のスキームを前提として、それを加速化する。総額の見通しをきちんと示せというようなお話。除染につきましては、現在の除染特措法に基づく現在の計画、実施されている除染については、今のスキームで加速化し、早期帰還の促進の観点から、インフラ復旧と整合的に実施するということが提言の中に入っていると承知しています。

 ただ、中間貯蔵施設については、費用負担も含めて国が万全を期すように検討することとされておりますが、その財源については復興財源を使わずに、エネルギー施策の中で、つまりエネルギー特別会計から追加的に、安定的財源を確保するように努めるといったことが盛り込まれておりますが、基本的なスタンスとしては、冒頭申し上げたようなことで、提言を受けて、今後の検討ということでございます。

 中小企業対策についてもご紹介をさせていただきたいと思います。26年度における中小企業対策費の要求・要望額は41ページに記載したとおりで、大くくりでは資金繰り対策が5割強、それから補助金・委託費が35%となっておりますが、今日は2点。

 まず、補助金の在り方について43ページ以降ですが、44ページを見ていただきますと、中小企業向け補助金は、補正予算で多額に積み増すことが多くなっておりますけれども、円グラフを見ていただくと、オレンジ色の3分の2の高率補助金が6割、それからピンク色の定額、すなわち事実上の10割補助となっている補助金が3割に達している状況にございます。

 論点としては47ページでございます。中小企業対策は、一方では経済対策との整合性を図りつつ、必要な支援を行う必要がありますので、来る補正予算の編成においても、設備投資を促進する観点から、大法人向けに効果のある法人減税と組み合わせて、予算面においては、むしろ中小企業に重点を置いた補助金等の支援策を講ずることとしています。他方、予算措置のあり方としては、第3段落に記載をいたしましたように、3分の2の高率補助金などについては範囲の限定化、あるいは差別化、多様化を図るべきではないかという論点。それから、委託費については、事実上の10割補助になっているものがありますので、その範囲の見直しなどが必要ではないかということも書かせていただきました。

 最後に中小企業信用保証の在り方ですが、49ページに信用補完制度の概要を記載しております。右側の矢印が、銀行融資が焦げついた際に、信用保証協会が代位弁済する信用保証制度。左側の矢印が、その代位弁済額の8割について、日本公庫が再保険を行う信用保険ですが、下にごらんいただいたように、日本公庫の保険収支につきましては、毎年度3,000億以上の赤字を抱えております。こういったことを背景に、信用補完制度につきましては、50ページに記載したとおり、出資金などの予算措置を、当初予算、それからはるかにそれを大きく上回る額を補正予算において行っているところであります。

 中小企業をめぐる状況を51ページから52、53、54とご紹介していますが、恐縮ですが飛ばさせていただきまして、55ページ。これまでも、信用補完制度の収支改善に向けて取り組んできました。基本的には国のリスク分担を見直しして、財政面、融資判断双方において民間金融機関の責任割合を引き上げることを中心に、改善を行っております。特に56ページ以降、責任共有制度は、19年からは100%保証を見直して、原則として2割は金融機関の責任にするという制度に切り替えておりますが、その後リーマンショック等々があって、100%保証という例外措置を拡大してきています。

 57ページがその中核をなすセーフティネット5号保証についてでありまして、リーマンショックを受けて対象業種を全業種に拡大した後、見直しを進めておりますが、本年10月時点で、右下にあるようなソフトランディング措置を継続しておりまして、642業種が今なお指定をされていて、これらについては一定の要件のもとで100%保証になっています。これが今でも3割近く承諾額を占めているということであります。59ページに論点として記載しましたが、これまでもいろいろ報告書でいただいていますが、2つ目の丸にあるように、100%保証だと民間金融機関は一切リスクを負いません。これではモラルハザードを生じかねませんので、これからの脱却は不可欠であって、セーフティネット5号保証制度につきましては、特にソフトランディング措置について、景況を踏まえて早急に見直しを検討すべきではないかと。あわせて金融機関による中小企業への経営支援については、きちんとその環境整備を進めていくべきではないかという論点を提示させていただきました。

 以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に対して、どなたからでもご意見、ご質問等お願いいたします。いかがでしょうか。古賀委員、お願いいたします。

〔 古賀委員 〕 ありがとうございます。エネルギー関係について2点、それから中小企業に対してのご意見を申し上げたいと思います。

 エネルギー関係の省エネでございますけれども、省エネの設備機器の導入は、エネルギーコスト削減を通じた企業の競争力の強化につながるわけでありまして、そのような観点からも、省エネの推進、省エネ技術・製品の普及促進、これを加速させるような支援策が要るのではないかということが1点でございます。

 2点目は、再生可能エネルギーについてでございます。固定価格買取制度については、制度の運用状況を注視しながら、最大限の政策効果と全体最適を確保するように、柔軟かつ機動的に見直しを行う必要があると思っております。ただ一方で、大変難しいことですけれども、これを発電コストのみの議論で済ますのではなくて、例えば地球温暖化対策、エネルギー自給率の向上、関連技術の蓄積、国際展開、さらに地域における雇用の創出、地域活性化、非常時のエネルギー確保等々、非常に派生する分野が多く、こういうことをどのように検討の中に含めていくのかということも、十分考える必要があり、中長期的視点からの検討も必要ではないかということが2点でございます。

 予算とは関係ないかもしれませんが、現在政府が取り組んでおりますデフレ脱却、経済の好循環の実現という観点からも、全企業数の90%以上を占めると言われる中小企業対策は極めて重要であり、各種の支援政策に対して優先的に予算を確保する必要があります。加えて、多くの中小・地場産業は、円安による原材料費の価格上昇により、経営がかなり悪化しているところもあり、原因を探ってみると、取引価格に適正に転嫁できていないということも多いのではないかと思います。来年の消費税の引上げの対応も含めて、公正な取引や取引価格に適正に転嫁するという政策が非常に重要であり、求められるのではないかということを申し上げ、ご意見とさせていただきたいと思います。以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、ほかにいかがでしょうか。大宮委員。

〔 大宮委員 〕 東日本大震災を契機に、我が国はエネルギー、環境政策をゼロから見直すというようなことをやられているわけですけれども、エネルギー環境政策は、エネルギーの安全保障、それから経済性、環境適合性、安全の観点というもののバランスを十分に考えて策定していく必要があると思います。

 それから2点目ですけれども、行き過ぎた円高は、今是正されつつあると認識していますし、経済連携、TPPや法人減税などの六重苦の一部には改善が見られますが、エネルギー問題は成長戦略の足かせになりかねないと懸念しています。石油石炭税については、化石燃料の消費増加もあって、税収が十分確保されてきているのではないかと思いますので、4月から予定されている地球温暖化対策税の引上げは行うべきではないと思います。

 石油石炭税は目的税でもありますので、税収が余る場合に税率を引き下げるということが筋ではないかと思います。納税者に説明を行ったとしても、一般会計に留保して、かなり説明をちゃんとしないとよくわからないようなことではいけないのではないかと思います。

 それから、3番目ですけれども、地球温暖化対策については、8ページ目でも指摘されていますように、途上国も含めた実効性のある国際的な枠組みをつくることが欠かせないと思いまして、環境問題に取り組む先進的な国の施策が、温暖化ガスの大量排出国を利することとなって、それらの国々が何のペナルティも受けていないという現状は大いに問題があると思います。以上、3点です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、田近委員。

〔 田近委員 〕 意見と質問なのですけれども、資料の32ページの福島第一原発事故に伴う諸課題への対応状況ということで、今日、読売新聞を見ていたら、さっき主計官も一部触れていらっしゃいましたけれども、「福島第一事故対応 国が前面 除染費一部負担」という見出しで、除染費用の一部を国が初めて負担するほか、廃炉や汚染水対策などにも国が積極的に関与する。これはそうかなと。その次、事故対応の全費用を東電に負担させる現在の方針を全面的に転換するということで、具体的には除染費用のうち、中間貯蔵施設の部分は国が負担するということも書いてあるんですけれども、私の質問と意見は、これは、金融機関の不良債権処理とものすごく似ていると。思い起こせば住専の問題も、取っかかりの農林系の救済と言われた6,000億円を国費で救うか救わないかという入り口で大問題になって、結果的には梶山静六氏とかが、武道館に10兆円を積めという話になって、資本注入していったと。

 ポイントは、とにかくこの問題は早く解決しなきゃいけない。東電の責任をきちんと問うと同時に、やる気も失わせてはいけないという問題をどう解くか。汚染水、廃炉のところは、高度な技術等々で一部国が負担する。問題は、賠償と除染のところなのですけれども、これはさっきの説明でいくと、仕組みとしては交付国債を国が発行して、原子力損害賠償支援機構を通じて東電に使わせると。そして、その交付国債は、長い時間をかけて東電を含む電力会社が返していくと。

 今、除染の問題が大きくなってくるときに、それも含めてどうするかということで、やはりこの財審の役割は、私はすごく大きいと思って。こういう問題に国がどういう形で、どこまでかかわるのかというルールというのかな。だから、まるで不良債権のときの入り口のような感じがして仕方がないんですけれども。

 ここでちびって小出しにして問題を広げてもいけない、さりとて国の負担はどうするかということで、私は1つは、もし賠償、除染でお金が足りなければ、交付国債を発行して、その返済に関しては、例えば期間を長くするとか、東電自身の責任を問いながら、やる気をそがない。何かそういう解決もあるのかなということで。したがって、ここの除染の部分に、直接国がお金を出さなきゃならないんだというのは、本則なのか、こういう事態の特別なものなのかという議論もしなきゃいけないということで、今後も考えて、この問題をどう処理していくかというのは、概念的に考えてものすごく重要な問題だと私は思います。

 したがって、財審としても、どこまで発信できるのか知りませんけれども、少なくとも考え方の整理はしないといけないのではないかなと思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ご意見でよろしいですか。

〔 田近委員 〕 では、意見ということで。むしろ財審の皆さんに、こういう考えはいかがなものかということで、投げさせていただきます。

〔 吉川分科会長 〕 問題提起。

〔 田近委員 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。

 では、鳥原委員、老川委員の順でお願いいたします。

〔 鳥原委員 〕 最初のエネルギー・環境に関してですが、エネルギー政策は我が国の成長戦略を支える基盤であって、まず当面の課題としては、安全が確認された原子力発電の再稼働によって、電力の安定供給と電気料金の上昇抑制を図ることが必要であり、中長期的にはエネルギー安全保障、コスト低減、環境対策等のバランスのとれた責任あるエネルギー政策を早期に構築する必要があると思います。

 こうした観点から3点述べたいと思います。1点目は、省エネルギー関連予算について。省エネルギーは引き続き推進し、さらに加速させていくことが極めて重要で、中でも省エネ投資に踏み切れない中小企業が活用できるような設備投資支援や専門家指導などが、優先度の高い施策だと考えます。

 2点目として、再生可能エネルギーについては、国民負担の抑制を図りながら、適切な導入を図っていくことが必要です。固定価格買取制度については、急激な国民負担上昇の懸念があって、早急に抜本的な見直しの検討に着手する必要があると思います。

 3点目は、原発事故の対応については、復興を加速して、被災者の生活を早急に再建するために、必要な措置を迅速に講じることが国の責務であって、国費の負担を否定すべきではないと思います。また、合理的な範囲での除染を行って、生活再建に費用を投じていくことも、復興を加速するための重要な検討課題であると考えます。

 次に中小企業について、2点申し上げます。第1は中小企業向け補助金等の論点に関してですが、中小企業向け補助金等は、我が国の経済と雇用を支える中小企業のチャレンジを後押しする大変重要な施策です。中小企業が厳しい環境に直面している中にあって、補助率を高めに設定することで、より多くの中小企業が補助事業に挑戦する意欲を高めているという事実があります。中小企業に打撃を与えかねない来春の消費税率の引上げや、安倍政権が目指す経済の好循環の確立に向けて、25年度補正予算及び26年度当初予算において、今後、より一層中小企業の意欲を高める施策の充実が必要であると考えます。

 第2は、持続可能な信用補完制度に向けた論点に関してですが、信用補完制度は中小企業の金融の円滑化に重要な役割を果たしてきています。本年3月の中小企業金融円滑化法の終了や、来春の消費税率引上げを背景に、今後ますます中小企業の資金繰りの安定化が求められている中にあって、中小企業への経営支援の強化はもとより、信用補完制度について引き続き万全な対策を講じることが必要だと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、老川委員、お願いいたします。

〔 老川委員 〕 ありがとうございます。私は福島第一原発の問題について意見を申し上げたいと思います。

 汚染水、あるいは廃炉、これはナショナルプロジェクトとして、国が一義的にやるべき性格のものであると思います。法律的には一義的には東電であって、国は足らざるところ、あるいは二次的な問題については金を出すという仕組みだというのは理屈はそのとおりですけれども、これだけ世界的にも問題になっているわけで、これはやっぱり国が主体としてやるべき話に、はっきりすべきじゃないかと思います。

 最近国が前面に出るということをおっしゃって、それは正しいと思うんですが、国民の目で見て、前面に出るって一体何をどうするのかというのがよくわからないのですね。お金の財政支援をこれだけ増やすとか、そういうようなことだとなかなか国が一生懸命やってくれるのだという印象がはっきり出てこない。やはり、これは国の本気になって取り組むべき課題であるというような体制に組み直さないとうまくないのではないかと思います。

 最近元総理が、原発ゼロということを主張されて話題になっていますが、私はむしろ推進論でありますけれども、それはそれとして、ゼロなのか推進なのかなんていう議論をしている暇はないと、今は。やはり汚染水をどうするのか。それから、将来減らすにせよやめるにせよ、あるいは続けるにせよ、現に動いている、あるいは現に止まっているにしても、その廃棄物をどう処理するのか。これは将来どうするか以前の問題で、今現にある問題。これを日本がこういう方法で制圧するということができれば、これは全世界にとって大変な朗報になるわけだし、日本一国だけでできないのであれば、外国の知恵もかりて、徹底的に取り組む必要があると思います。今日の読売新聞の報道、私が書いたのではないのでわかりませんが、読売新聞に載っているのだから多分事実だと思いますけれども、あのような提言になってくるのであれば、積極的に受けとめてやってもらいたいと思います。

 それからもう一つの問題は、除染がなかなか進まないことで、これは財政的な問題もあると思うのですが、1ミリシーベルトという極めて厳格過ぎる基準を設けてしまっているがために、いつまでたっても埒が明かないと。IAEAの国際的な基準からいったって、1ミリから20ミリまでは大丈夫だと、こういう話になっているわけですね。やはり国際標準というものを念頭に置いてやらないと、これはもう永遠にできないことになってしまうのではないかと思いますので、そういう意味の基準づくりを、国の責任ではっきり打ち出すべきではないかと思います。これは意見でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、板垣委員、秋山委員。

〔 板垣委員 〕 コストのところなのですが、主計官の説明の中では、原発はほとんどの費用を込み込みで計算していて、再生可能エネルギーはまだわからないところが含まれていない。だから、しっかりやるべきだと、こういう話でした。ただ、原発も隠れコストがたくさんあるわけで、今現在進行形で費用がどんどんかかっているという問題、先行きが何も読めない、その辺の見通しも踏まえていないということをきちんとコメントすべきだろうと思います。この場は公開される場なので。

 それともう一つは、原発の問題は、私は脱原発、あるいは推進、この財審ではどちらにも与しませんけれども、やはり原発事故は使用できない土地をつくってしまう。つまり、国土を失うという問題もあり、これはコストとして計算しようのない問題として浮上するわけです。今、1ミリシーベルトという基準を緩めるようなお話がありましたけれども、私の知識では、低線量被ばくというのは、まだ医学的には何も立証されていなくて、影響がないとも誰も言えないというように私は記憶しております。

 そういう中で、予算査定のための議論を我々はやっているわけですけれども、やはり国のエネルギー計画なり、どうやってスキームをつくるのかという議論が非常に遅れているので、我々はここで判断しにくい。そういった意味で、やはり政府に対して、早く抜本策をつくるべきということを、提言すべきではないかと思います。そうでないと、ここでいくら議論しても定まらないということだと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、秋山委員。

〔 秋山委員 〕 エネルギー、中小企業それぞれ幾つかコメントさせていただきたいのですけれども、エネルギー政策に関しましては、財政の観点からいきますと、政権交代があって政策の方向性が変わってきた中で、今大きな課題を幾つも抱えていると。決していいものではなくても、将来の計画を立てるに当たっての、見通しをつけていくということが、今一番大事なことではないかと思っております。そういった点では、今日副大臣、政務官もお越しになられておりますので、まず政治で、将来の見通しがつくような方向性を早くつけていただくような努力を一層お願いしたいと思います。

 そういう意味では2点ありまして、先ほど来、多くの方がコメントされておりますので、内容については同じくということで、固定買取制度のようなものについて、将来の大きな負担にならないような見直しを早目にするということが1点。それから2点目が、福島、東電の問題についても、これは結局これから将来起こり得る、発生し得る負担を、税金の形で負担するのが、電力料金の形で負担するのか、その色の違いでしかないということだと思います。ですので、色をつけることにこだわるよりは、全体をいかに早く収束させていくために、こういう線引きでいこうという部分にリーダーシップを発揮していただいて、スキーム、あるいは枠組みを決めて前に進むということがまず大事ではないかということを、皆さんと同じ意見ですけれども、繰り返し述べさせていただきたいと思います。

 それから、中小企業に関してですが、これは私も使わせていただく立場も踏まえてになるのですが、今アベノミクスとして取り組んでいる経済対策を何としてでも成功させて、特に中小企業の中で実感が感じられるようなところまでもっていくということが、今ほんとうに重要なことだというふうに思っています。

 この財政の観点でこれを見たときに、今までどちらかというと、例えば経済産業省さんとか中小企業庁さんなんかに行くと、金額がこれしかないと、金額が少な過ぎるという規模に着目した議論が比較的多かったように思うんですけれども、私は規模もさることながら、効果への着目というところに切りかえていく必要があるのではないかと思います。効果のはかり方はいろいろ難しい面はあるかもしれませんが、今日の論点整理の中にも出ておりました、モラルハザードを起こさないような、これは逆に言うとマイナス効果を生まないようなことを考えていく必要がある。つまり、中小企業の経営をよくしていこうという意欲をそぐことのないようなものでなければならないと思います。これは一歩間違うと補助金漬けにして、結局産業として力を落としてしまった農業と同じようなことが起きないようにしなければならないという懸念を持っております。

 では中小の、特に地方の中小の健全を支えるという意味では、やはり一番大きな役割を実質的に担っているのは金融機関ではないかなというふうに思っております。その金融機関のマイナスインセンティブをいかに減らしていくか。実質的に中小企業の経営を後押しして、寄り添って支えていくような形で金融機関が中小企業とこれからもつき合っていけるような形にするということが重要であると思います。そういった意味で、何を申し上げたいかというと、今の100%の保証制度というものについては、見直す余地が多くあるだろうということです。

 中小企業の論点につきましては、お手元の資料の41ページのグラフを見るのが一番わかりやすいかと思いますが、対策費の中で、先ほど規模の着目から効果の着目というふうに申し上げたんですが、一番比率の高いのが資金繰り支援のところですので、資金繰り支援については、金融機関へのマイナスのインセンティブをプラスのインセンティブに変えていく必要があるということです。

 それから、あともう一つの部分の補助金・委託費のところなんですが、これはなかなかいつもうまく言い難い部分があるんですけれども、補助金を、いただくのは非常にありがたいものではあるんですが、やる気のある中小企業からすると、一度使ってみると、実は二度と使いたくないなと思うような部分が結構ありまして、要はある目的に沿った補助金をいただくために必要な手続、事務作業を考えると、こんなに極めて形式的で、かつ実務から離れたような作業をいろいろ要求されるのであれば、こんなに一生懸命補助金もらう意味があるのだろうかというような部分がまだまだあるというのが現場の実感でございますので、こういったところは結局、事務コスト、あるいは事務委託先への委託費にまさにはね返ってきている部分だと思いますので、ここはほんとうに大いに改善できる部分であると思います。

 それから、こういうものにもどんどん中小企業に挑戦してもらう意欲を持ってもらいたいということであれば、入り口のハードルを下げて、使った結果、ちゃんと結果を出したところにはその後、金額が増える、あるいはもっと手続が簡便化されるというような形で、プラスのインセンティブをこれも仕組みで見直していく必要があるのではないかというふうに思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、葛西委員、黒川委員、田近委員の順番で。

〔 葛西委員 〕 エネルギーの問題、特に原子力の話ですが、老川委員の意見に、私は非常に賛成でございます。まずエネルギーについて言えば、コストの問題と需給能力の問題と、それから環境に対する負荷の問題ということを考えますと、原子力発電の利用というのは世界的な傾向でもありますし、この方向をきちんと踏まえるべきだと思います。

 それから、それを踏まえた上で、今日本でやっていることを見ると、戦力の逐次投入を続けているように思います。今何をやるべきかと言えば、一つは除染基準を見直すこと。もう一つは東京電力が料金を抑えるために賃金を切ったり、あるいは修繕費を繰り延べたりしておりますが、これは長期的に見ると、電力事業そのものを劣化させて、非常に大きなコストを後でもたらすことになりますから、やっぱりできるだけすべての問題をテーブルに乗せて、それをどう処理するかをきちんと議論すべきだと思います。

 先ほどどなたかおっしゃいましたけれども、これは税金で見るか、料金で見るかしかないわけでありますから、財政審でそういうことを言えるかどうかわかりませんが、ずるずると問題がわからないまま逐次投入、逐次後退すると、最後に一番大きなつけを払うようになる感じがいたしますので、その辺についての問題意識をどこかににじませていただけるといいんじゃないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 黒川委員、どうぞ。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。私は1点だけ、エネルギー問題で、特に再生可能エネルギーの問題についてお話しさせていただきます。

 本日は多くの委員から、固定価格買取制度に対して早急に見直すべきというご意見が出ましたけれども、私はどちらかというとそれらに反対の意見を、この辺で1つぐらいは出しておきたい。10年以上にわたって排出権取引等の研究会をずっとしてきて、再生可能エネルギーの普及がなかなか日本では進まなかった。これは先生方ご存じのとおりです。去年の研究会で、環境省、経済産業省の方々の話では、最後の切り札とは言いませんけれども、今までいろいろやってきたけれどもなかなか進まない。この辺で抜本的に思い切ったことをしようということで、固定価格買取制度にかなり期待をしているところなのです。

 それからまた、ご存じのように我が国は温暖化防止の既存の枠組みを離脱しました。この10年間にわたって、環境対策には商社とかいろいろな会社が関係し、各企業は、環境問題の部署で人を育ててきたのですけれども、そこの部署が弱まって、育てた人の行き場がないなんていうところもあるわけですね。

 そこでこの固定価格買取制度も、朝令暮改というのが一番よくなくて、企業は長期的にいろいろやってくれるという安心感がないと、また人を育てていけないわけなんです。固定価格買取制度も、本気でやっていいのかどうかという、そういう心配をもたらすのは問題ではないか。もちろん、金額の面とか、ロケーションの問題とか、あるいは我が国の企業の振興を期待していたのが蓋をあけたらコスト競争で期待とは異なるとか、いろいろ問題もあるかもしれませんけれども、方向としては、再生可能エネルギーを増やしていくというのは絶対間違っていないので、抜本的に見直すのではなくて、問題があるのだったら改善をしていくということで、もう少し長い目で見ていったほうがいいのではないか、このように思いました。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、田近委員、土居委員もそうですか。では、できれば簡潔にお願いします。

〔 田近委員 〕 2回目なので非常に簡潔に。先ほどの福島の第一の事故ですけれども、1点繰り返しであれですけれども、指摘したかったのは、やはり災害が起きたときの国の関わり方のルールを事前に定めるということは、僕は非常に重要だと思うんですよね。今日は議題に上がっていませんけれども、被災者生活再建の問題でも、国がどう関与するかというのがないままに、大きな災害があると国庫が出ていく。出ていって、それは払えるならいいけど、それがまたさらに大きな地震のときに、払えないときにどうするんだと。同じように、やはりこういう大きな事故を想定して、国がアクティビティとしてどう関与するのか、財源としてどう関与するのかというルールは、私はこの財審も含めてきちんと議論すべきだと。

 それから、お言葉に反するようですけれども、除染にかかった費用のお話は、東電が払うか、税金が払うか、これは大問題だと僕は思うんですよね。何十年にわたっても東電が責任があるということで、負担は長期にわたって平準化して払わせるときは、東電はずっとその起こした事故の責任を果たすと。その上乗せするものをいかにして経営合理化して下げていくかと、そういうことをずっと求めることができると思うんですよね。それが、東電にあげるお金はあげても税金と同じだといったら、そもそも財審の議論する機能自身が、私は不十分じゃないかと、そう思いました。

〔 吉川分科会長 〕 土居委員。

〔 土居委員 〕 今の田近委員の論点と同じ、32ページの論点ですけれども、そもそもの問題の発端になっているのは、今の仕組みの中で国が求償するんだけれども、東電がそれに応じていない部分があるということも1つの大きな引き金になっていると思うわけですけれども、その構図を私なりに考えますと、やはり除染がどういう形で行われているかということについての、ある種の不信感というのがあるのではないかと思います。つまり、除染はそこまでやるべきものなのかどうなのかということ、ないしは同じお金があるならば、もっと被災者のためになるようなものが別のところにあるにもかかわらず、除染という紐がついているから除染事業をやるというようなことになってはいないかどうなのかというところの検証も、これはきちんとやっていただかないと、幾らお金があっても足らないということになってしまうと思います。

 葛西委員がおっしゃったように、私も逐次投入をするようなやり方ではなくて、まさにこのスキームを新たにするということであるならば、打ち止め感といいましょうか、きちんとこのスキームであれば問題の解決ができるというような形の変更なり修正をした上で、国費といえども無尽蔵ではないということなので、被災者のためになるようなやり方で、必要な除染はきちんとやるし、どこまで放射線量を下げればいいかということについても、客観的な基準を設けてやるということをきちんとやるべきだと思います。

 そういう意味では、特に私も報道で報じられたものを見る限り、必ずしも地元の自治体の中には、明確な除染計画をあいまいにしたまま、除染事業をやっているなんていうようなことがかつてあったというような話もありますから、そういうところで、もし国がきちんとここでかかわるということであれば、もちろん国が直接やる場合はもちろん国がきちんと責任を果たすし、自治体に委ねる事業があるということであれば、そこの自治体が気を緩ませずに、きちんとその事業を遂行するというような形にしていくべきではないかと思います。

 あと最後、1点簡単に申し上げると、27ページのエネルギー需給勘定の予算に関してでありますけれども、そもそもいわゆる環境税と呼ばれている税金というのは、地球環境を害するという外部経済を内部化するために課税するということがそもそもの根源であって、それが紐つきで環境対策に用いるということだから、環境税というふうな名前がついているわけではないという基本に立ち返るべきことだと思います。もちろん今の法律で定められている石油石炭税の税収の使途というのは、それはそれとして国会の定めたものでありますからそれは重んじるとしても、環境税というものは、環境対策に用いるから環境税というのではなくて、環境に及ぼす外部経済を内部化するということが主目的であって、その使途をあらかじめ定めるというところに力点があるわけではないということは、忘れるべきではないと思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 何かございますか。

〔 秋山委員 〕 すみません、1点だけ論点の確認だけさせていただきたいと思います。固定価格買取制度のお話ですけれども、先ほど黒川委員からご指摘があった点で、おっしゃることは私も全く賛成なんですね。複数の委員の方からもご指摘があり、私自身も見直すべきと言っているポイント論点は、お手元資料の23ページのマル3のところに書かれている、こちらでよろしいかと思っているんですけれども、この制度そのものを否定しているということではなくて、新しい産業を生んでいくということでこういうスキームがスタートしたわけですけれども、やはり今、非常に問題だというふうに思っているのは、この買取価格がやはりちょっと高いのではないか。一体この買取価格はどういう根拠で決まったのかという、買取価格の適正かどうかというところがまず1点。

 それから、この減免措置その他の優遇措置について、スタートはこれでやったけれども、決して発射台、スタートがこれだったから、それを、既得権のような形でその後進めていくということではなくて、健全な経営努力の中で生まれた利潤から、例えば研究開発の投資だとか事業の投資をして、産業が育っていくというサイクルをつくっていくように改善していくべきだということが論点だと思っております。

〔 板垣委員 〕 すみません、よろしいですか、短く。

〔 吉川分科会長 〕 はい、ではどうぞ。

〔 板垣委員 〕 私も黒川委員の意見には大賛成です。ただ問題は、価格が適正であるかということが、今大問題になっているということだと思います。そうは言っても、再生可能エネルギーを加速させるためには、ある程度仕方がないという部分は、私はまだ当面あると思います。そして、今後は価格をどんどん下げていって、いわゆる東電から我々が電気代を買う金額に近づけていくという努力が必要なんだと思います。

 もう一つ参考までに言いますと、原子力予算というのは1953年から14兆円使っているわけですね。では、再生可能エネルギーや新エネルギーはどうかと言えば、サンシャインとかムーンライトとか、いわゆる旧通産省の再生可能エネルギーの事業というのは1兆円ちょっとぐらいしか使っていない。大変な違いなんですね。ですから、再生可能エネルギーへの支援についてはまだまだやるべきことなんだと私も思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、後半の議論もありますから、前半はこれまでとして、初めに申し上げたとおり休憩。どうですかね、5分くらいめどで、10分前くらいから始めるということでお願いできればと思います。

( 休  憩 )

〔 吉川分科会長 〕 そろそろ時間もありますから、始めましょうか、後半。よろしいでしょうか。

 それでは、後半の議論に移りたいと思います。後半は「農林水産」についての説明からです。高村主計官、お願いいたします。

〔 高村主計官 〕 農林水産関係担当の主計官の高村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 資料2と書いてある農林水産関係の資料に沿ってご説明を申し上げます。まず1ページめくっていただきますと目次がありまして、資料の構成でございますが、大きく分けて3つです。まず、農業の現状、総論について簡単にご説明申し上げます。その後農地の集積についてということで、今回は農地中間管理機構というものに焦点を当てて説明いたします。最後に、米の生産と経営所得安定対策という補助金について取り上げたいと思います。

 まず農業の現状ですが、2ページ目、農業生産の現状。右側を見ますと、品目別の産出額が載っています。日本の農業というと米というイメージが強いですけれども、多種多様な農業がそれぞれの地域で行われています。米の生産額は全体の2割ちょっとにすぎないということでございます。

 3ページ目の右側、農業構造の現状ですが、これは品目ごとに生産のどれぐらいの割合がどういう農家で生産されているかということです。主業、準主業、副業と書いてありますが、主業農家というのは、主に農業所得で生計を立てている農家、かつ65歳未満の働き手がいる農家ということですので、担い手と言うことができると思います。この緑の部分が大きいほど構造改革が進んでいて、体質が強い品目だと言えますけれども、これを見ると、やはり米について構造改革が遅れているというのがわかるかと思います。

 4ページ目をめくっていただきます。一言で農家と言っても一律ではないということです。今申した担い手という主業農家は36万戸ですので、全農家数の2割程度にすぎません。残り8割の農家が農業所得に依存している割合というのは、1割未満ですね。総所得に占める農業所得というのは、準主業農家も副業的農家も1割未満という状況でございます。

 5ページ目は、農業従事者の高齢化に関する資料です。農業従事者178万人いらっしゃいますけれども、46%が70歳以上と、非常にほかの産業に比べても特異な状況だと思いますが、今後こういう70歳以上の方々がいずれ農業を、近い将来やめていかれると想定されます。そういうときだからこそ構造改革を進めて、強い生産構造をつくっていかなくてはいけないということです。

 6ページ目、農林水産関係予算の推移です。25年度予算は2.3兆円、農業が1.7兆円、林野が2,900億、水産が1,800億という構成になっております。農業について1兆7,000億という水準ですが、10年前に比べると約3割弱減少しておりますが、非公共事業と公共事業に分けて見ますと、非公共事業は1兆4,000億円ぐらいの水準で、10年前と変わりません。公共事業が約9,000億だったのが2,700億と、約7割ぐらい落ちているという状況です。非公共事業の内訳で3つほど、農業者向けの助成金を取り上げていますけれども、これで大体1兆4,000億円のうちの6,000億円ぐらいを占めております。これは、いわゆる土地利用型の補助金でして、先ほどの産出額の割合からすると、予算に占める土地利用型農業の割合というのは非常に高いということが言えるかと思います。

 次に、農地の集積というテーマについてご説明申し上げます。8ページ目。これはなぜ農地の集積が重要な課題なのかということを示すための資料です。一言で申し上げると、農地を集積しないと、日本の農業の生産コストが高止まりするからということが言えるかと思います。0.5ヘクタール未満の一番上の生産コスト、10アール当たり稲作コストは22.6万円。15ヘクタール以上のところと比べると、生産コストは倍以上かかっております。これはよく見て見ますと、一定規模を超えるとコスト低減効果はだんだん薄くなっていきます。ただ、今の農家数の分布を見ますと、0.5ヘクタール未満のところに一番たくさん農家が分布しております。それを考えると、やはり規模集積による生産コストの低減の余地は、まだまだ大きいということが言えると思います。

 9ページ目に、現在の農地面積に占める担い手の利用面積の推移。平成22年のところを見ていただきますと、農地面積459万のうち、オレンジ色のところが担い手が利用しているところで、今の段階では約半分ぐらい。これを農地集積をさらに進めて、平成35年にはこの割合を5割程度から8割にもっていきたいというのが、農水省が目指している目標です。

 そして10ページ目を見ていただきますと、この農地集積のペースアップを実現するために、政府としては、これまでの既存の仕組みに変わる新しい制度をつくることとしております。具体的には、下線部にありますが、農地の中間的受け皿として、都道府県の段階に農地中間管理機構を整備し、活用すると。この法律が今の臨時国会にも出されておりますし、右側にありますように、26年度の要求額として管理予算額1,039億円という要求が出されております。

 この制度の狙いは、例えば先ほど見たように、高齢化している農家の方々が、もう自分は農業をやめる、けれども後継者がいないというような場合に、安心して農地を貸し出すことができる公的な受け皿をつくって、集約を図っていくということです。

 12ページ目に、その集約のイメージが載っています。左側の青いところ、例えばBさんという家族経営で大規模に経営している方。この方の農地は必ずしもまとまっていなくて、こういう飛び地になっている状況はあるわけです。そうすると効率のいい生産ができない。白い小規模農家のところで飛び地になっていたりするので、これをこの機構を使って、まず小規模農家のところを集めて、そしてなおかつ大規模農家のところは利用権をリシャッフルするような形にして、右側のように担い手ごとに集約化した農地利用ができるようにする。そういった狙いで、この機構をつくるということでございます。

 我々は、方向性はいいと思いますが、国費を新たに投入するに当たっては、注意すべき論点は多々あると思っております。13ページにその論点が書いてありますが、まず論点1として、農地の滞留を防ぐこと。農地を集めることが自己目的化してはいけないと思っております。受け手のニーズに合った農地を借り受けて、速やかに貸し付けを行うと。下手をするとこの機構にどんどん不良な農地が集まって、国費がどんどん垂れ流されるということも想定されますので、一定期間貸し付けられない場合には、賃貸借契約を解除できるような仕組みもきちんと盛り込んでいきたいと思っております。

 論点2は、農業への新規参入を促進すること。機構に集まった農地が、よそ者を排除するような形で、内輪だけで利用されることがあってはいけない。多様な担い手が入ってくれるように、農地制度の規制緩和も必要でしょうし、農地に関する情報の整備・公表も進めていく必要があります。

 論点3ですが、関係者に責任とコスト意識を求めること。この機構は県レベルに設置されて、県が運用主体になることが想定されております。ただ、今の農水省の要求では、かかるお金はすべて国が丸抱えするという仕組みになっていますので、これでは県が責任とコスト意識を持って効率的な運営をすることが期待できないだろうということで、我々としてはこの機構の運営に当たっては、適切な地方負担を求めていきたいと思っております。

 論点4、受益者負担を求めること。機構はこの集めた農地を大区画化するといった公共事業、土地改良事業を行うことも想定されておりますが、その場合には、きちんと受益者負担を求めていく必要があります。すべて機構が負担するというのであれば、出し手のモラルハザードが生じますので、受益者負担を求めていきたいと思います。

 論点5として、既存の政策との整合性を図ること。これは機構とは別に、農業者向けの補助金、後ほどこれは取り上げますが、経営所得安定対策という補助金がありますが、こういう農家一律に配っている補助金があれば、これは農地の集約化の阻害要因となり得るのではないかということです。こういった政策は直ちに見直しが必要です。それから、新たに機構という装置をつくりますので、これまでの補助金、これまで相対取引を前提とした出し手対策、受け手対策という措置が講じられており、実際この要求の中でも100億円ちょっとの要求がそれぞれありますので、こういう既存の補助金は、今回を機会に抜本的に見直しを図りたいと思っております。

 この補助金がどういうふうに農地的な影響を与えるかというのを、14、15ページで取り上げています。14ページは2005年に、当時補助金を担い手に重点化するという方針を打ち出しました。棒グラフは、土地集積のフローのレベルを示していますが、18年度にかけて農地集約が加速しております。やはり補助金を担い手に集約するということが、土地集約のインセンティブにもなっているのではないかということが伺えます。

 これと逆のことが起こったと思われるのが、この右側のほうです。2010年、農業者戸別所得補償といって、今申し上げたことの逆ですが、補助金を一律に広く配るという政策が導入されました。このときの新聞報道ですけれども、これまでせっかく貸していた農家の方々が、この補助金を得たいがために貸しはがしに動くという例が報じられています。ある意味で、農地集積に逆行するような動きがここで生じたことが伺えます。新たに機構という装置をつくっても、農業者向けの補助金を見直さないと、成果が出ないのではないかということがいえるかと思います。

 ということで、次に米の生産と、米にかかる補助金に焦点を当てていきたいと思います。18、19ページには米の全体需給、米政策の変遷が書いていますけれども、ここでのポイントは、米の需要は一貫して下落してきているということです。そして、米の需給の安定に国が一貫して関与してきています。平成7年までは食管法という時代で、このときは政府が米の全量管理をしておりましたので、左側にありますように、時に政府が過剰米を抱え込んで、多額の財政負担で過剰米処理するということもやってきております。平成7年に食糧法ということになりまして、政府の役割は全量管理をやめて、備蓄運営に特化するということになっていますけれども、それでも右下にあるように、需給調整の運用、生産調整の指導でありますとか、転作の助成といった施策は今でも続いております。

 20ページ目をあけていただきます。今年の予算編成で大きな改革の目玉としたいのが、この経営所得安定対策の見直しでございます。これは総額7,200億円という大きな補助金ですが、いろいろな補助金の集合体です。一番上が米に対する助成、米の直接支払交付金というものと、米価変動補塡交付金というものです。そして、その左側の下にあるのが水田活用の直接支払交付金ということで、これは水田で転作をした場合、麦とか大豆とか飼料作物、こういったものをつくったときに、主食用の米並みの所得を確保し得るように助成金を払うものです。これは古くから措置してきている助成金です。

 それから、左下が畑作物の直接支払交付金。麦、大豆、てん菜、でん粉原料用馬鈴薯、こういったものは輸入品が入ってきておりますので、日本で生産すると逆ざやになってしまうということで、そこの生産費と販売価格の差額を交付しています。

 そして、右側にある水田・畑作経営所得安定対策。これは一定の経営規模を有する担い手を対象に、米、麦、大豆、でん粉原料用馬鈴薯、こういったものを通算した収入が一定基準を下回った場合に、減収額の9割を補塡するものです。対象加入者はあらかじめ一定額の積立金を拠出する仕組みです。

 米に対する助成ですが、最初の米の直接支払交付金、10アール1.5万円、これは固定部分と言われますけれども、この問題点は後ほど説明します。次に、その下にある米価変動補塡交付金。これはお米の価格が標準的な販売価格、一定水準の価格を下回った場合に、その差額を10割補塡するものです。この右下の9割補塡とは違って、ここは10割補塡となっています。全額国費負担であり、農業者の拠出による積み立てはございません。ここは変動部分と言われていますが、やはり需要に応じて高く売れる米をつくって収入を確保しようという、そういう当たり前の努力を阻害する交付金ではないかと考えられます。深刻なモラルハザードを生んでいるということで、まさに農業の産業としての農業を弱体化させかねない、そういう副作用がある補助金だと思っております。そういった意味で、見直しの対象としたいと思います。

 上の10アール1.5万の米の直接支払交付金ですが、これは22ページをおあけいただきますと、ご承知のようにお米というのは高い関税で、日本のお米は守られています。下に生産コスト、国内価格、国境措置と並べておりますが、今、日本でお米を輸入して売ろうと思うと、右側にあるように、輸入価格99円に関税率1キロ341円が上乗せされますので、1キロ440円ぐらいになります。従って、日本の米は基本的には外国産と競争する必要がない。外国との競争による不利はお米にはないわけです。

 生産コストと比較してみますと、0.5ヘクタール未満のところは農家手取りを上回るコストになっておりますが、15ヘクタール以上のところで見ると、優に利潤を確保できる水準になっています。こういう零細規模であればコスト割れするということで、コスト補塡をすると、逆に規模拡大をしてコストを下げるという努力を阻害するのではないかと考えられます。

 さらに右側ですけれども、お米については、先ほども説明しましたように、転作にも助成している。この青い部分は、田圃の全体の面積です。ベージュ色は主食用にお米を作付けしている面積です。そうすると、上の出っ張っている青い部分というのは、転作をしているということになります。ここには右上にありますように、転作するとお米並みの所得は得られないことから、2,500億円もの助成金を払っております。それに加えて、お米をつくることにも、10アール1.5万円ということでお金を払っています。ある意味で米の供給力は過剰だということで生産にブレーキをかけながら、アクセルをふかすというような構造になっておりまして、予算の使い方として効率的なのかどうかという議論があります。

 24ページにもう少し細かく今の10アール1.5万円の補助金が、それぞれの農家の所得にどう効いているかということを描いております。オレンジ色は経営規模別に見た米の1俵当たりの生産コストです。そして赤い線が、1俵当たりの農家手取り。10アール1.5万円の交付金によって、この赤い線が緑のところに移るわけです。補塡したことによって、少し手取りが増えています。これを見れば、2ヘクタール未満のところで確かにコスト割れを一部補塡をしているということになりますが、この支援によって小規模農家は農地を手放さなくなって、農地を担い手に集積していくという構造改革の動きを阻害しているのではないかということがまず言えます。

 それから、大規模層を見ると、この部分はコストを上回る手取りが確保されています。そういった中で、なぜ利潤を上回る補助金を払う必要があるのかということで、必要性、合理性に欠ける。それに加えて副作用もあるということだと思います。

 25ページ目は、今の10アール1.5万円の補助金がどういうふうに交付されているか、その交付状況を示しております。上は農家戸数で見たもの、下が支払額で見たものですが、農家戸数で見ると、2ヘクタール未満の経営基盤の部分が88万戸ございまして、9割弱がこの部分に位置しています。そして、この部分の層に約615億円の補助金が交付されています。

 こうした一律の補助金を大きく見直すということになると、よく言われる議論は、小農を切り捨てるべきではないということです。確かにコスト割れしているのは小規模農家ですので、そこを切り捨てていいのかと。この26ページ目は、それぞれの規模別農家の所得の状況を取り上げたものですが、統計データを見てみる限りは、小規模農家の方々は、実は農業で生計を立てているという実態はありません。例えば、0.5ヘクタール未満の農家の方の経済状況を見ますと、農業所得はそもそも赤字です。10アール1.5万円の補助金というのは、せいぜい1戸当たり数万円をここに補塡をするという効果はあるかもしれませんが、もともとの生計は年金等収入や農外所得等で成り立っているわけですので、この数万円がなくなるからといって、決して切り捨てといった議論になるということではないのではないかと考えております。

 ということで、27ページ目に、今まで申し上げたような問題意識を論点としてまとめております。論点1、米については高い国境措置によって輸入品と競合しておらず、本来補助金で支えるべきではないのではないか。論点2、すべての販売農家に一律に1.5万円でコスト割れを補塡する米の直接支払交付金は、農地集約など生産コストの削減の取組みを阻害しているのではないか。論点3、生産者の拠出なく米価下落を100%補塡する米価変動補塡交付金は、売れる米をつくり収入を確保するという、産業としての農業に向けた経営努力を阻害しているのではないか。合理性もなく、副作用も大きいとすれば、やはりこの機会に根本から見直しを行う必要があると考えております。

 最後28、29はご参考ですが、産業競争力会議というものが、政府内に設立されて、そこでもこういう農政改革、農業改革の議論をしております。赤字にありますように、経営所得安定対策の見直しという論点が取り上げられておりまして、右側にありますように、10月に出された提出資料を見ますと、この2つの交付金については廃止という方向性が打ち出されております。

 最後に補足的な問題提起として、21ページにちょっと戻っていただければと思います。今申し上げたように、米の交付金は我々もきちっと抜本的な見直しをしたいと思っています。ここにあるように、「経営所得安定対策を適切に見直し、あわせて農林水産業の多面的機能の発揮の中で取組みを進め、新たな直接支払制度の創出の検討を行う」と。これは自民党の公約にもあって、こういう文章が政府の閣議決定として定められているわけですけれども、この新たな直接支払制度、これはまだよく制度の詳細が詰められておりません。多面的機能といったときは、これは通常農地が生み出す農業生産以外のプラスの効果。例えば、洪水を防止するとか、水源を涵養するとか、景観を維持するとか、そういう機能のことをいっているんですけれども、そういう機能に着目した何かしらの新たな支払制度が設けられます。我々が注意しなくちゃいけないと思っているのは、新たな直接支払制度が新たなばらまきになってはいけないということです。構造改革に逆行しないように、どういう形であれば納税者の理解が得られるのか、よく農水省と議論をしていきたいと思っておりますので、これも付加的な論点として提起させていただきます。

 以上で説明を終わります。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、ただいまのご説明に対して、土居委員からお願いします。

〔 土居委員 〕 ご説明ありがとうございました。今の主計官の説明から、農業政策の中でも1つの目的のために複数の政策手段が講じられていて、それが錯綜していて整理がつかず、かつ重複した形でお金も投じられているという側面が非常に色濃く出ているという印象を持ちまして、やはりそういうところはきちんと整理をして、なくすものはなくして、集中的にやるべきものはやるという形に変えていく必要が私はあると思います。

 TPPに関連しても、妥結した場合には、また対策というようなもので財政に依存してくる可能性があると思いますから、そういうところは厳しく対応していただきたいと思います。

 資料の27ページのところにもありますように、やはり米に対する直接支払は要らないと思います。それとともに、26ページに規模別の所得の状況ということで記されておりますけれども、やはり農業者年金も、これが結局、農業従事者の年金を基礎年金に上乗せする部分が制度としてあるんですけれども、この年金の仕組みを説明するときに、農林水産省は、これまた担い手をきちんと確保するためだと言い訳をしているということです。それでいて独立行政法人に対しては、運営費交付金も相当な金額が投じられているということですから、直接支払以外のところでも、さらに別の手段で、同じ目的にもかかわらず投じられていると。

 さらにその担い手という話でいうと、農地中間管理機構について説明がありましたけれども、農地中間管理機構が、まさに大規模化というのは、私はこれはいいと思いますけれども、担い手を育むためだということをいっていて、結局年金でもまた、国費を投じながらやり、大規模化の話でもまた国費を投じてやるという、非常に散漫な政策手段で、1つの目的と言いながら、いろいろなことをやり過ぎるということは厳に慎むべきではないかと思います。

 先ほど農地中間管理機構についてご説明がありましたけれども、地方や受益者負担をきちんと求めていくことは、明確にしていただきたいというふうに思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、井堀委員、それから小林委員の順に。

〔 井堀委員 〕 今、土居委員も触れた点ですけれども、TPP交渉が今後どういう形になるかはともかく、まとまるとなれば、当然農業に対する開放圧力というのは高まるはずで、そのときの対応を検討しておくことが、必要だと思うんです。

 例えば、27ページの論点1だと、現状は米については高い国境措置により輸入品と競合していないということなんです。将来、関税がゼロになるようなことがあれば、主要な農産物に関して、今よりも輸入品と競合する可能性は非常に高くなるわけです。そのときにどういった形で日本の農業の競争力を高めていくのかに関して、もちろんまだ仮定の話なんですけれども、シミュレーションをきちんと立てておかないと、前回のウルグアイラウンドのときのように、ばらまきで毎年1兆円を出して、結果としてむだに終わってしまった、そういう二の舞になりかねません。やはり日本の農業をこれからどういう形で競争力を高めていくかに関して、これは直近の話ですから、より具体的な、特にめりはりの効いた、ばらまきにならないような対応をお願いしたいと思います。以上です。

〔 小林委員 〕 今お話があったこととちょっと似ているのですけれども、これまで既に大規模化ですとか、それから若者の担い手を増やそうということも、かなり長年にわたって言われてきていたことだと思います。ところが、それが結局全然進んでいないというか、ますます悪化していっている状況になっているということだと思うのですが、TPP交渉も踏まえれば、これは今までの進まなかったものを進める、チャンスととらえなければいけないのだろうと思います。だから、これまでああだこうだいって結局できなかったことを、ここでできなかったらおそらくもう多分ずっとできないと思いますし、それから、農業はますます弱くなっていくんだろうと。補助金にしても、やる気のある農家の方は補助金が邪魔しているというようなことは、おっしゃっている人は非常に多いです。

 それで今の井堀委員もご指摘になって、私、すごく気になったんですが、この論点1の問題設定で、高い国境措置によって輸入品と競合していないから補助金で支えるべきではないという読み方をすると、国境措置が低くなって競合するんだったら補助金で支えてもいいと読めなくもないんですね。このあたりはどうお考えになっているのかなというのを、主計官にお聞きしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では最後の点、主計官からどうぞ。

〔 高村主計官 〕 TPPの話が幾つか出ておりますけれども、TPPは、現在まさに交渉中でありまして、我々何も予断をもっておらず、帰結について申し上げられるような立場にはございません。

 論点1の書き方ですが、例えば大豆は完全に自由化されておりまして、自給率は1割を切っているような状況です。そういう中で、今日本で大豆をつくろうと思うと、これは補助金、下駄と言っていますけれども、下駄で支えなければ生産が成り立ち得ないような構造になっています。そういったものとの比較において、米の現状というのはひど過ぎるんじゃないかという問題意識を伝えたいがために、こういう書き方をしております。

 今後の国境措置の変化に応じてどうするかというのは、またこれからの検討課題だと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 では、大宮委員、秋山委員。

〔 大宮委員 〕 最近農業従事者と産業界、例えばJAと経団連なんかでも連携をして委員会をつくったという話があったりしますけれども、さまざまな形でそういう活動が行われてきているというふうに認識しています。

 例えば、日本が準天頂衛星をこれから揚げて、GPSの精度をよくしようというような動きもありますし、これはコマツが鉱山開発用の機械も自動で全部動くようなものができているわけですから、このようなこと、要するにICTなどの先端技術を農業へ応用するというようなことを考えると、産業界が持っているたくさんの技術、ノウハウが、農業の競争力強化と成長産業化に非常に役に立つのではないかと期待しています。

 農地制度の規制改革とか農業法人の要件緩和というのは、資金やノウハウを要する企業の農業参入を促して、農業の競争力強化と成長産業化に資すると考えます。

 海外に目を転じますと、品種改良による気候条件に適した作物の開発とか、当社も実は農業機械もつくっているのですけれども、先進的な農業器具が海外でどんどん開発されていまして、設備もそうですし、今や若者じゃないと、ICTを使って自動化したようなものってできないような環境になっているようであります。日本の農業法人が見ても、大変先進的と思われる事例がたくさんあります。市場としても、したがって魅力的だということであります。

 したがいまして、TPPなどの経済連携を通じて、市場はもう開かれるという方向に向かっているわけですから、内向きの政策には限界があるということで、ぜひ今ここでいろいろ見直しをされるということについて、積極的に進めていただきたいというふうに思います。

〔 吉川分科会長 〕 秋山委員どうぞ。

〔 秋山委員 〕 産業競争力会議の農業の分科会のほうでも議論に加わっておりますので、そことの関連で幾つかコメントをさせていただきます。

 今、農業政策についてはほんとうに大きな潮目にきているということを、議論の中において実感しております。その背景は、やはりTPPだろうと思っております。ただ、少なくとも産業競争力会議のほうの議論では、TPPを前提、あるいはTPPの結論によってどう変わるのだということよりも、これがもし万が一なかったとしても、やらなければならない構造改革を進めていこうというのが基本のスタンスです。

 今日、こちらでお配りいただいた資料の中で論点整理されておりますものは、ほぼ農業分科会のほうで、民間からの提言に沿ったような内容になっておりますので、これをぜひ私自身も進めていきたいと思っております。

 その上でですけれども、お手元の資料の11ページの財政の観点からということで幾つか申し上げますと、お手元資料11ページで、まず農地の集約化。農業の生産性を上げていくために、まず第一ステップとしての農地の集約化、大規模化が必要だということで、新しくこういう仕組みがスタートすることになろうかと思います。予算要求の中で一番大きな金額のところが、11ページ下段の真ん中の農地中間管理機構の整備活用ということで、要はこれは小規模で、自分がやらなくてもほかの人に使っていただいていいかという人たちの農地を集めてきて、まとめて使うと言っている新しい担い手の方に貸し付けると。言ってみれば、仕入れてちょっと在庫を持って売ると。貸し出すという形になりますので、論点2も指摘されておりましたように、まず借りて貸すまでの間、賃借料が発生しますので、例えば耕作放棄地のような、どちらかというと借り手がつかないようなものをここでたくさん抱えるということがないようにということ。

 それからあとは、ここである程度基盤整備をしてから、そういう土地だったら、そういう条件だったらぜひ使いたいという魅力ある土地にするための整備の費用ということでこの金額だと思いますが、中間管理機構に関しては、ここの部分が一番コストがかかることになってきますので、これが先ほど13ページの論点1で滞留を防ぐというのは、ここでコストをかけ過ぎない。それから、論点2のところで、新しく大規模で使っていただくことを入れるということと、論点3、4のところで、コスト意識、受益者負担をしっかり求めていくということが非常に重要な論点になってくるということで、このスキームが走り出したときに、こういった観点で実績をしっかりチェックしていくということが非常に重要になろうかと思います。

 それから、あとは最後に主計官がコメントされました、21ページの新たな直接支払制度の創設という部分なんですけれども、これは実は競争力会議の議論の中でも、少なくとも民間議員の中からは全く出てこなかった。こういうものが必要だということについては全く出てきていない論点です。そういう意味では、先ほど来ご指摘があったように、ウルグアイラウンドの二の舞にならないのかという懸念を持っておりますので、これは競争力会議のほうでも、そして財政の面でも、今後非常に注視していくべき点であると私も思っております。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、老川委員。

〔 老川委員 〕 農地の大規模集約化、これはもう大賛成でありますし、それから一律1万5,000円の戸別補償、これはもともとある古い政策じゃなくて、2009年の衆院選に当たっての、当時野党だった民主党が打ち出したということが契機ですから、これは現実に大規模化を阻害しているということは明らかですので、これは廃止するという方向で大胆に見直しをしていただきたいと思います。

 その上で1つ伺いたいことは、今まで意欲のある農家が一生懸命独自にやろうと思っても、農協が陰におりといいますか、自分のところを通さないと、肥料、あるいは農業機械等のあっせんをしないというようなことで、農協のプレッシャーというものがかなり実際問題、阻害要因になってきたということがあると思うので、この点は中間管理機構なりが入って大規模化していく。それでまた株式会社ですか、多様な担い手という表現ですから、そういうものも含まれると思うんですが、そういうところが参入してくることによって、農協の規模は、おのずと弱体化していくと見ていいのか。あるいは、思ったほど参入者がなくて農地が滞留しちゃうような場合に、そこを農協が預かって、結局もとと同じになってしまうおそれはないのかどうか、ここら辺はどのように見たらいいのか、ご意見を教えていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、事務局から。

〔 高村主計官 〕 今の点は、今回新たに機構をつくるときに、1つのイシューになった点です。特に新たに農業に入っていこうとする立場からすると、こういう機構をつくっても、今おっしゃったように、農協が非常に根強く組織として地域に力を持っているようなところだと、結局そういう内輪の世界だけで、せっかく集めた農地も配分されてしまうのではないかという懸念が外から示されることがございます。ですから、今回機構をつくったときに、この機構が集めた農地を貸し出すときは、全部公募にかけることになっています。農業委員会という組織もよく指摘されますけれども、そういった既存の仕組みを通さずに、むしろ新たにオープンにして、誰もが入ってこられるような仕組みにして運営をしていくべきではないかと思います。そういう方向で制度設計がされつつありますので、この機構をつくることを機会に、もっと多様な担い手が入ってくれるようにしていきたいと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 ほかにいかがでしょうか。

 では、最後に私からも一言だけ発言させていただきたいと思いますが、主計官からご説明のあった論点は、いずれももっともだと考えていますが、大規模化がなぜ進まないかという1つのポイントとして、ご説明になかった問題点として、農地の転用の問題があると思います。つまり、とりわけ小規模の場合、いわゆる農地というのは農業に使う土地という以外に、転用が許された場合のキャピタルゲインのもととして、いわゆる宝くじ的な性格を持っているために、小規模農家が小規模な土地を手放さないという側面があると思います。

 したがって、大規模化を促すためには、やはり農地の転用規制を強める。可能であれば、転用によってキャピタルゲインが生じた場合には、これまで膨大な国費が農地として投入されていたわけですから、そのキャピタルゲインに対して重課すると。つまりは、農地はあくまでも農地であり、宝くじではないということを徹底した上で、ご指摘のあった政策を進める必要があるのではないかと考えております。

 よろしいでしょうか。農業に関する議論は、では以上としまして、時間もありますので、次に本日最後の議題ですが、「ODA」につきまして、有泉主計官よりご説明をお願いいたします。

〔 有泉主計官 〕 内閣・復興・外務・経済・協力担当の主計官の有泉でございます。本日は、ODA予算についてご説明いたします。

 資料のほうでございますが、資料の1ページをおめくりいただきまして、説明のポイントを4点。厳しい財政事情の下、より戦略的・効率的なODAの要請が高まっているという点。それから、ODAの重点化を進めていくべきという点。3点目は、円借款を一層活用していくべきという点。4点目は、ODA事業量の重視という点でございます。

 1ページ資料をおめくりいただきまして、財政事情とODAですが、日本の一般会計のODAにつきましては、ピーク時が1兆2,000億弱でございましたけれども、平成25年度までにはほぼ半減しているという状況でございます。引き続き抑制を図る必要があると考えております。

 下のグラフをごらんいただきますと、こちらのほうにはいわゆるDACの加盟国、これは基本的にはOECD加盟国とお考えいただければいいかと思いますが、これらの国について、財政収支と、それからODA事業量の対GNI比を並べたものでございます。横軸には財政収支対GDP。したがいまして、左側にいくほど財政収支の状況が悪いということでございますが、縦軸にはODA対GNI比を掲げております。上にいくほどODAを経済の規模と比して出しているということでございますが、これはプロットしてまいりますと、正の相関がございます。すなわち、各国とも財政事情に応じたODAの対応を行っておりまして、財政赤字の大きな国ほどODAを抑制しているということでございます。

 赤でプロットしているのがG7諸国でございますけれども、回帰分析いたしました線から見ますと、上に飛び出ておりますのはイギリスとフランスということで、ご案内のとおりこれら2カ国につきましては、旧宗主国としての責任の関係で、通常の経済規模と比して多くの援助を行っているということですけれども、そのほかのG7の各国を見ていただきますと、いずれもその線よりは下になっているということでございますので、厳しい財政事情の中でODAを抑制しているということかと思います。したがいまして、厳しい財政事情の中では、より戦略的・効率的なODAの実施が求められているというように考えております。

 3ページをちょっとおめくりいただきまして、財政収支が大きく悪化した国々はODAを削減しているということでございます。グラフをごらんいただきますと、これはいわゆるPIIGS諸国を並べたものでございます。2007年と2012年の状況を比較しておりまして、赤が財政収支対GDPでございます。2007年から2012年の間に、これらの諸国については、ご案内のとおり財政状況が急速に悪化しております。その中で、基本的にはODAについては削減してきているという状況であります。

 同じところに並べることには若干の躊躇はあったのですけれども、一番右側、参考までに日本の状況でございますけれども、日本については2007年から2012年まで財政収支、大幅に悪化しておりますが、ODAについてはそこそこ維持しているというような見方もできるかと思います。日本の状況をご参考までにあわせて示させていただいております。

 4ページでございますが、ODAの重点化ということで、戦略的・効率的なODA実施の観点から二国間(バイ)、多国間(マルチ)のODAについて見ておりますが、それぞれメリットと留意点がございます。二国間のODAについてのメリットは、やはり顔が見えるODAということで、日本の日の丸援助というような面もございますし、自国の政策目的に沿って迅速に行うことができる。あるいは、自国の企業がこういった援助の中で裨益することができるという点がメリットかと思いますが、他方で留意点としては、世界的な規模の問題、紛争や環境問題などについては、国際機関と連携していったほうがいいという面もございます。

 他方で多国間のマルチのODAでございますが、国際機関としての中立性・公平性、あるいは紛争地域などにおける実行力、あるいは国際的なネットワークというのが国際機関の強みではありますけれども、他方で拠出する国から見ますと、自国の政策の優先順位が必ずしも反映されるとは限りませんし、国際機関といっても、後ほどご説明しますように玉石混淆の面がありますので、当該機関の力量が支援の有効性、あるいは効率性の鍵となります。

 資料5ページをごらんいただきますと、バイのODAにつきましては、財審でも過去においてご議論いただいていることもございますけれども、より効果的な事業を実施すべきではないか、あるいは、評価の客観性を向上すべきではないかというような指摘を踏まえまして、一定のPDCAのサイクルを現在実施しているところでございますが、さらなる改善に努める必要があるかと思っております。

 この点、資料の上のところでございますように、会計検査院からは、例えばコンサルタントによる横領事件、あるいは供与した設備が十分に使用されていないというような指摘などがなされているところでございますし、直近の行政事業レビューにおきましても、無償資金協力の評価のあり方に関しては、可能な限り数値目標など、客観性の向上ですとか、一層積極的な情報発信などを通じて、信頼性向上の方策を検討して、抜本的な改善を図るべきだというような指摘が行われているところでございます。

 外務省の取組みですけれども、事前の方針策定などにつきましては、国別の援助方針の策定、これは毎年四、五十カ国行っております。それから、開発協力適正会議ということで、これは言論界、経済界、学識経験者の方に入っていただいて、主要な案件について議論していただくとか、あるいはJICAにおきましては、プロジェクト型の無償資金協力について数値目標を設定していくとか、こういうような取組みを行っております。

 他方で事後評価につきましては、最近の動きとしましては、JICAのほうでございますけれども、個別プロジェクト、これは2億円以上ということですが、4段階評価を導入しているということで、かつ10億円以上の案件につきましては、第三者評価を入れるというような仕組みを入れてきております。

 次に、6ページを見ていただきたいんですが、一方でマルチについてなんですが、国際機関への拠出金などについては、我が国においては残念ながら具体的なPDCAサイクルが存在しません。この点について、今日は若干イギリスの取組みについて、まずご紹介させていただきたいと思っております。

 左側の枠で囲んでありますのが、英国国際開発省のマルチ支援報告書でありますけれども、これは2011年に英国が、自国が拠出する国際機関について、まず、自分たちの開発目的へどの程度国際機関の活動が貢献しているのかという視点で見るというのが1つ。それからもう一つは、その国際機関、先ほど玉石混淆と申し上げましたけれども、要は例えばコストパフォーマンス、コスト意識がどの程度徹底しているのか。マネジメント能力ですとか、金融の管理能力、それから透明性などを定量的に評価しております。

 また、評価に当たりましては、国際開発省は被支援国、国際機関、NGOなどに対して調査を実施しております。このレポートは、原文で見ますと230ページぐらいある非常に網羅的なレポートでございまして、各国際機関一つ一つについての分析もあわせて行っているところでございます。

 その分析の結果が右でございますけれども、横軸に英国の開発目的への貢献度、縦軸に組織の強靱性をプロットしておりまして、最高点はいずれも4点ということになっております。右の上のほうにいくほどよいと。したがいまして、黄色、緑、オレンジ、赤の順番で評価が行われているというふうに考えていただければと思います。

 イギリスの特徴でございますが、左側に戻っていただきまして、こうした評価を行った結果ですけれども、評価の低かった国際機関については、コアの基金の拠出を停止するといった措置もとっておりますし、当然のことながら、そういう評価にしたがって、めりはりもそれぞれの機関についてはつけているという状況でございます。また、これは2011年に評価しておりますので、今現在英国の国際開発省では、2011年の評価のアップデートもあわせて行っているところであります。

 7ページをごらんいただきまして、今、イギリスのお話をさせていただきましたが、実は主要国の中では、こうしたマルチの国際機関の活動を評価するという動きが、近年特に強まっているところであります。ここでご紹介させていただきたいのはMOPANというものですけれども、左の箱を見ていただきますと、MOPANにおきましては米国、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、韓国など17カ国が参画しております。日本は残念ながら、今のところ参加しておりません。MOPANは2003年に活動を開始しておりまして、毎年複数の国際機関について、先ほど申し上げた英国の例に似てはいるのですけれども、同様のポイントにつきまして評価をすると、こういう枠組みであります。

 また、その活動の特徴としましては、右側でございますけれども、例えば2013年には4機関について評価をするということを決めているわけですが、それぞれのリード国というのを決めておりまして、これは参画している国の中から幾つかの国が責任をもってその機関を評価すると。評価に当たりましては、文書によるやりとりのみならず、きちんと直接会って、インタビューをして評価するというような取組みを行っているところであります。

 次に、8ページをごらんいただきますが、今のようなマルチの取組みが国際的に見られる中で、我が国の国際機関への拠出金はどうなっているかということなのですけれども、その配分は硬直的と言わざるを得ないと思います。この下に箱が幾つかございますけれども、これは国連のコアグループと申しまして、国連の総会に直轄するような国際機関でございますけれども、これに対する日本の拠出額を示したものであります。平成20年度と平成25年度を比較しておりますが、ほとんど順位は変わらないということでございます。

 また、上の4つの機関、変わらない機関について、下の表でございますけれども、日本の拠出順位、あるいは拠出率を見てもほとんど変わらないということでございますので、やはりまずは外交上、どういった政策目的を日本としてプライオタイズしていくのか、何を優先的にやっていくべきなのかということをきちっと明確にしながら、その目的に、その国際機関の活動はどの程度貢献しているのか、あるいはその国際機関の活動が真に信ずるに足るべきものなのか、そういったところも踏まえながら、不断に優先順位を見直ししていく必要があると思いますし、抑制を図っていく必要があろうかと思っております。

 なお、9ページ目をごらんいただきますと、我が国のODAの中長期的な二国間、多国間のシェアでございます。1980年代から5年平均でとっておりますけれども、大きな流れとしては、バイ(二国間)により重点化してきているという傾向が出てございますので、こうした方向を進めていくべきだろうと考えております。

 次に10ページをごらんいただきまして、円借款の活用についてですが、円借款も二国間のODAの大変重要なツールでございまして、厳しい財政事情のもとではこれを積極的に活用していく必要があろうかと思っております。下に円借款の事業規模を示しておりますが、近年、これは過去の円借款の回収金を活用しながら、事業規模を伸ばしてきているという状況でございます。

 また、右側には円借款の供与しているセクターを示しておりますが、日本の円借款につきましては発電所、道路、鉄道などのインフラを中心に重点的に行っているということがごらんいただけるかと思います。

 11ページでございますけれども、この円借款の制度について、今年の春に改善を行っております。改善の方向性は2つございます。1つは、所得水準の高い国、援助の分類で申し上げますと中進国、あるいは中進国を超える国について、対象国などの拡大を図っております。中進国を超える国、例えばマレーシアなどについても、日本として戦略的意義が認められる場合に供与を可能としておりますし、中進国、これは例としてタイなどが挙げられますが、に対する支援分野に広域インフラ、あるいは農業を追加しているということで、所得水準の高い国に供与することができるようにしているというのが1点でございます。

 もう1点は、逆に所得水準の低い国についても円借款を供与するようにしておりまして、具体的には金利の引下げを行っております。いわゆる重点分野に対して適用される金利については、最低0.01%での供与が可能となっておりますし、その重点分野には、日本が得意とします防災、あるいは保健・医療をつけ加えているということでございます。

 右側に、点線で日本再興戦略の抜粋をつけておりますけれども、この中でもこうした円借款の戦略的活用のための改善策についての、各施策を推進していくということが明記されているところであります。

 12ページでございますが、今申し上げましたような改善が、どのように具体的に活用されるのかということでございます。まず1つはアジア向けということで、所得水準の比較的高い国に対して、戦略的な円借款の供与が可能になっております。ご案内のようにアジアにおいて、日本として外交的な意味で指導的な役割を果たしていくということは極めて重要な課題になっておりますので、そうした中で、円借款を有効に活用していければというのが1つでございます。実際アジア向けの円借款は、左の円グラフにございますように、今の時点でも9割弱を占めているという状況でございます。

 また、もう一つはアフリカ向けでございまして、アフリカの成長に伴いまして、無償資金協力にかえて投資を支えるような譲許的な、すなわち金利を0.01%下げておりますので、そういった譲許的な円借款の役割が増していく方向だろうと考えております。

 真ん中の部分の棒グラフでございますが、サブサハラのGNIは、実はこの10年に倍以上になっております。1人当たりGNIが500ドルから、既に1,500ドルに迫ろうということになっておりますので、相当サブサハラの所得水準は上がってきています。こうした中で、アフリカ向けの円借款の役割も当然増えていくと思っております。今現在、アフリカに対する無償資金協力は600億ぐらいでございますけれども、これが円借款に振りかわっていく、こうした流れを推し進めていくということが必要だと思っております。

 右側、点線の中に入っておりますけれども、TICAD V、今年の6月にアフリカ開発会議が横浜で開催されておりますけれども、その中でも総理から、アフリカの成長を支援し、ODAを約1.4兆円、5年間で供与していくということをご発言されていらっしゃいます。

 最後に13ページ、14ページでございますが、ODA事業量の重視ということでございます。被支援国の観点から見ますと、最初に申し上げました一般会計ODAではなくて、被支援国が、どの程度裨益するのかという意味でのODAの事業量が極めて重要であります。

 左側をごらんいただきますと、平成25年度の一般会計当初予算は5,500億程度でございますけれども、こうしたものが補正予算、あるいは国際開発金融機関への出資ということで、右側のODAの事業量になるということであります。他方で注目していただきたいのはこの円借款の部分でございまして、これは円借款についての出資金を多少入れながら、財投の資金、それから過去の円借款の回収金などをうまく活用しながら援助国に供与していくということで、ODAの事業量で見ましても、約半分を円借款が占めていると。

 そういった意味では、少ない財政資金で効率的に外交を行っていくということでずっと近年行っておりますので、こうしたことを引き続き進めていく必要があると思います。全体の中で申しましても、最後のページでございますけれども、14ページをお開きいただきまして、国際的な比較ではODA事業量を基本的に用いているわけですけれども、国際比較においては、貸し付けが含まれるようなODA事業量を用いることが一般的でございます。

 2012年の日本のグロスのODA事業量は世界第2位となっていまして、その経済的な地位ですとか、国際的な地位にふさわしい事業量を確保しているということでございますので、こういったものを引き続き厳しい財政事情の中ではしっかり重視してやっていきたいと、このように考えております。

 私のほうからは以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、早速ただいまのODAにつきまして、委員の皆様方からご意見、ご質問をお願いいたします。大宮委員。

〔 大宮委員 〕 ODA予算は、ピークからほぼ半減というご説明がありましたが、厳しい財政状況を踏まえると、金額ベースでの伸びはこれから難しいだろうということはよく理解できます。したがって、選択と集中、競争力のある分野への重点化などによって、我が国のプレゼンスを効果的に示す必要があると考えます。

 中進国の成長維持と、周辺の脆弱国の安定は、日本の国際貢献上非常に大きな柱になると思います。特に東南アジアのインフラ整備における日本の貢献というのは、非常に甚大だったのではないかと思います。今日のアジアの成長の基礎となったと思っています。裨益国の発展を支えると同時に、我が国は人口減少でインフラ投資が減って、新しい製品を開発したり、それを提供する力が量的にだんだん弱まると思っています。これらをODA案件等を通じて、我が国産業界が新しい製品を開発して提供することによって、最終的に国内インフラの維持・改善にフィードバックされるというようなメリットもあると思います。それとともに、雇用や設備投資の形で果実を国内に還元できるという意味でも、大変重要だと思います。10ページで指摘されているように、バイのODAに重点化を今しているということでありますので、その方向性で非常によいのではないかと思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 老川委員、お願いします。

〔 老川委員 〕 ありがとうございます。ODAについては、今おっしゃったように、金をそんなに増やせない、効率化していかなければならない、こういう状況であることはそのとおりだと思うのですが、そうであればなおのこと、日本のODAがどのように効果を上げているかをしっかり検証していく必要があると思います。ご説明にもありましたけれども、現地に行って評価する、こういうことをちゃんとやっていると思うのですが、主として今までは、何か不正がないかどうかとか、そういう点の調査に重点があったような印象を持っていまして、もちろんそれはそれで大事なのですが。実際に日本が提供してつくった施設なり何なりが、ほんとうにうまく使われているかどうか。

 時々耳にするのは、例えば診療所をつくったけれども、お医者さんがいなくなってしまって、実際にはもう機能していないとか、あるいはせっかく設備をつくったけれども、部品が壊れちゃって、それが直せないものだからそのままになっているとか、こういう話を時々耳にしますので、やはりメンテナンスを含めた、あるいは人的な要因も含めたフォローアップということが、よりこれから必要になってくるのではないのかなと。それがやっぱり顔の見えないとか見えるとか、こういうことにつながっていくのではないかと思いますので、ここをひとつ注意する必要があると思います。

 それからもう1点、今日紹介された国際比較は、DAC加盟国間の比較でありますが、最近顕著なのが中国ですね。これが東南アジアのみならず、アフリカのほうにもものすごく進出して、ODAというのかどうかわかりませんけれども、いろいろな施設をつくって、中国がつくったものだから、ほかの国には使わせないとか、こういう排他的な施設の運用の仕方をしているとか、いろいろな問題が生じていると思うのですが。そういう中国の活動というものについて、もう少し日本側も、これは財政というよりはむしろ外交の問題だと思うんですが、気を配って注意して、日本がそういうものに圧倒されないようにやっていく必要があると。

 そういう意味でも、さっき申し上げたような、現地にどれだけ溶け込んで活用されているかという点の検証が、なおのこと必要ではないかと思いますので、意見として申し上げておきます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、古賀委員、黒川委員。

〔 古賀委員 〕 ありがとうございます。対GNI比0.17という数字は、財政収支を考えますと健闘している数字だと私も思います。この資料の中で、ODAの重点化を、幾つかの例をとって提起をされているのですけれども、例えば英国の国際開発省のマルチ収支報告書であるとか、MOPANであるとか、これは日本としても、MOPAN等々に参加をすべきと言っているのかどうか、それが1つ質問でございます。あるいは、日本独自の評価項目、評価システムをつくるべきと言っているのかどうか、質問でございます。

 もし仮にMOPANとかに参加をするとすれば、やはりその評価の基準が日本のODAの目的に合致するのかどうかを、極めて詳細に精査をしなければならないと思いますし、この評価の結果そのものを自動的に資金拠出の増減に直結させるというのも、少し考える必要があるとは思うのですけれども、そのあたりについてのご見解をいただければありがたいと思います。以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、事務局。

〔 有泉主計官 〕 今の古賀委員のお話との関連で申し上げますと、私自身はいきなりマルチについて、例えば日本が独自のものさしをつくってしっかりやっていくというのはなかなか難しいのではないかと思っていますので、そういった意味では、国際的な知見をまずきちんと活用していくということが重要だと思っております。したがいまして、最初のご質問にお答えするとすれば、やはりこういったMOPANに参加していくということが必要ではないかと思いますし、事務的にはそういったことを外務省を含めて話していくということだろうと思っております。

 また2点目のご質問との関係で申しますと、やはり逆にそれでは、MOPANでやっているようなことを、そのものさしだけで我が国として盲目的に、日本の拠出もそれで考えるんだという話では決してないと思っていまして、あくまでもそれはものさしとして参考にしながら、我が国の国益に沿ったような形での拠出を考えていくと、こういうことだろうと思っております。

〔 吉川分科会長 〕 黒川委員、続いて井堀委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。カンボジアに行ったときにすごく感じたことなのですけれども、義務教育がほとんど徹底されていない。もちろん第1番目には、小学校の校舎がまだまだカンボジアでは不足しているということもあるのですけれども、教える人たちが、例のカンボジアの紛争の後、ある程度の教養レベルの人たちがかなり殺されてしまって、識字率が非常に低くなった。教える人がいなくなっているという現状を見て胸がきゅーんとなって、これは結局、お金を出して建物を建てただけではなくて、長く人も育てていかなくてはいけないと感じた次第です。

 そこで手短に言えば、お金だけではなくて、長期的視点から人を育てるということがまず第1点。第2点は、我が国はこれから、今でもそうですけれども、先輩方が大量に退職をして、大変能力のある方々がたくさんいる。テレビとか新聞等でも報道されるように、そういう方々が現地に行って、いろいろな技術指導をすることで、人的な関係が大変効果を持つということが言われています。そういう我々の先輩方が現地に行くのに当たっての支援、これにどれぐらいお金をかけているのかを調べていただいて、重点的にお金をつけていくのはどうかと。こういうことでODAの効果がすごく上がるのではないかなと、直感的ですけれども感じたので、その辺の資金の動き、人的資源の活用、援助する仕組み、そういうようなところを教えていただければと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 ご質問です。主計官。

〔 有泉主計官 〕 今のご指摘は、全くそのとおりでございまして、やはりバイの援助をする際には、無償資金で例えばインフラを提供するとか、そういうことだけではなくて、やはり人と人とのつながりと申しますか、人を育てていくというのは極めて重要な要素だと思っております。実際外務省の予算で見ますと、いわゆる無償資金協力として行っているもののほかに、JICAを通じた技術協力に非常に力を入れているところでございます。予算で申しますと、約1,469億が平成25年度の外務省の予算の中での技術協力でございます。これはどうしても事柄の性質上、さまざまな形態がございますし、ミクロで見ますと非常に額の小さいものもございます。

 先ほどお話が出た中で申し上げますと、単純な話から申しますと、ODAの中では、例えば日本語を教えていこうといった語学のようなものから、例えばインフラ工事の施工の仕方ですとか、あるいは教育の現場での先生をどうやって教えていくか、そういったものも含めてさまざまなものがございます。もちろんそういったものの中で、先ほどご指摘にもありましたように、まさに高齢化社会を我が国も迎えておりますので、その中で引退されている方もあわせてどのようにうまく活用していくかという視点も持ちながら、今申し上げたような技術協力を進めていくということが重要だと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 では、井堀委員。

〔 井堀委員 〕 厳しい財政事情の中で、戦略的にODAを実施していくというのは非常に重要だと思うのです。そのときに1つ気になるのは、戦略的という言葉が具体的に何を意味するのかということです。戦略的ということは、ある意味では日本のそのときの国際的な環境の中で、今までのODAをゼロベースで見直すということを意味すると思うのです。そうすると息の長いODA、ある国のあるプロジェクトにコミットするということと、戦略的にODAをするということは必ずしも両立しない面もあると思います。そのあたり、戦略的をどういうぐあいに位置づけたらいいのか。

 それから12ページで、それとの関係で若干気になるのは、アジアで所得水準の高い国に円借款を供与するのは戦略的だということなのですが、ただこれは昔からアジアは、ある意味で戦略的に重要なわけで、変化していないので、ここであえて戦略的という言葉を使う必要があるのか。それからタイやマレーシアにも幅広く供与することが可能になったということは、逆に言うとその見直しをしないと、タイやマレーシアに供与するのが不可能なので、供与の基準を変えたのか。今までタイやマレーシアも当然援助していたと思うんですが、それを援助を続けることの正当性の理由として、戦略的という言葉であえて所得水準の比較的高い国に対する供与を可能にするという、そういう道筋をつけたのか。

 逆に言うと、今までタイやマレーシアに援助していたものを、その援助がある意味で既得権化していて、それがそのままつながっていくことを戦略的という言葉で正当化するという、そういう見方もできなくもない。この戦略的という言葉の意味をどういう形で考えておられるのかというのを、これは非常に抽象的で難しいんですけれども、できれば教えていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 お願いします。

〔 有泉主計官 〕 今おっしゃられた戦略的ということは、ある種言ってみれば、井堀先生がおっしゃったように、どうしてもその時々の外交状況に応じてやるという面はあるのは、多分事実だと思います。他方で、ではそれは息の長いものとどういう関係になるのかという面はあろうかと思います。ただ、おそらく援助の中で考えなくてはならないのは、地理的な各所における状況というのは十分踏まえてやる必要があると思います。

 そのときの使うべきツールとしては、大きく分けますと円借と、それから無償と、技術協力がありますので、そこはある種の使い分けが必要で、息の長いものについては、インフラについてはある程度、長期にコミットするということなので、それがベースとしてずっとあるということを頭に置きながら、その上で、さらに技術協力的なところをどこまでやるかとか、あるいは若干重複はあるかもしれませんけれども、無償のようなもので、災害のような状況があれば戦略的に、今の時点であの国はこういった災害があって非常に大変なので、無償でどんと援助をしていったらどうかとか、そういうように考えていくということなのだろうと思いますが、定性的に何が戦略的で、何が戦略的でないかというのは、なかなか難しいと思いますが、若干自分のイメージだけで恐縮なんですけれども、そのようなことではないかと思っているというのが1点でございます。

 それから、ご質問の中で、アジアということで申し上げると、若干2番目と3番目のご質問に一緒に答えるような形になるかと思うのですが、基本的には、例えばマレーシアのような中進国を超えるような国には、基本的には円借款は供与していないのが現状であります。また、タイのような中進国についても、供与については、それはやはり相当経済発展を進めてきておりますので、当然JBIC、あるいは民間金融機関も含めた商業ベースに乗るものとの見極めがより重要になってくるかと思います。

 ただ今回の円借款制度の改善によって、一種言ってみれば中進国を超える国について、結構道を開いたという面もあるかと思いますし、それより下のところについても、重点分野としてこういうものであればということを明示しておりますので、そういった分野については積極的な供与を促すということもあるかと思っております。どこまで答えになっているかわかりませんけれども、今までなかなか供与しにくいというところについて、供与できるようになったというのは事実かと思っております。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。そろそろもう時間ですが、最後に富田委員。

〔 富田委員 〕 今日は円借款の活用ということでお話をいただきました。この円借款、10ページに出ているのですけれども、これまでローンで貸したものが返ってきております。私は日本の援助というのは、やはり自助努力を支援するという観点で、円借款が果たしてきた役割は非常に大きい。我が国の援助の理念として、自助努力の支援ということは1つの大きな流れだと思います。

 そういう援助の方向が明確なんですが、先ほど議論がありました農業予算とか中小企業予算は、ほんとうに果たして自助努力の支援という、外国に対して援助の理念として掲げているものに対して、国内の政策は果たしてそういう方向にあるのかどうかということを、改めてこの対外援助のお話をお聞きするにつれて、より一層国内のことを考えねばならないと思いました。感想でございます。

〔 吉川分科会長 〕 確かにおっしゃるとおりです。

 どうでしょう、予定された時刻になりました。よろしければ、今日の議論はこれまでとさせていただければと思います。

 なお、10月7日以来、総論・各論の審議をしておりますが、各回において、時間の関係や日程の都合でご意見を開陳されなかった方もおありかと思います。そのため、次回は11月15日9時30分から、中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室で開催し、取りまとめに向けた論点整理ということでご意見、ご質問の時間をとりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、前回私にご一任いただきました建議の取りまとめに向けた案文作成委員につきましては、前回お願いしました小林委員、田近委員、土居委員及び富田委員にお願いすることとなりました。4名の委員の皆様方には、お忙しいことと存じますが、よろしくお願い申し上げます。

 本日の会議の内容の公表につきましては、いつもどおりですが私にご一任いただき、会議後の記者会見でご紹介させていただくことにさせていただきます。大変恐縮ですが、会議の個々の発言につきまして、皆様方から報道関係者等に対してお話をすることのないよう、ご注意いただければと思います。

 それでは、これにて閉会といたします。

午後5時18分閉会

財務省の政策