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財政制度分科会(平成25年10月16日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成25年10月16日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成25年10月16日(水)14:00〜17:03
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

1.開会

2.防衛関係費について

3.有識者ヒアリング
「医療提供体制改革について」
―高橋 泰 国際医療福祉大学大学院教授

4.閉会

配付資料
○ 資料1      防衛関係費
 (参考資料)     防衛関係費
○ 資料2      社会保障マル1(社会保障・税一体改革関係)
○ 資料3      今後どのように日本の医療提供体制の再編を進めていくべきか    

出席者

分科会長 吉川 洋           


山本大臣政務官
香川主計局長
福田次長
岡本次長
太田次長
大鹿総務課長
山本司計課長
窪田法規課長
井口給与共済課長
小宮調査課長
堀田官房参事官
余島主計官
阪田主計官
有泉主計官
宇波主計官
青木主計官
井藤主計官
新川主計官
土谷主計官
高村主計官
中村主計官

 

分科会長代理     田近 栄治  
 委員

 

井伊 雅子
井堀 利宏
碓井 光明
岡本 圀衞
倉重 篤郎
竹中 ナミ
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基
鳥原 光憲
 

 

 臨時委員

板垣 信幸
老川 祥一
大宮 英明
葛西 敬之


午後2時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、定刻ですので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。

 皆様方におかれましては、ご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、前回ご公務で欠席されました山本政務官にご出席いただいております。まず山本政務官からご挨拶をお願いいたします。

〔 山本大臣政務官 〕 どうも、皆さん、こんにちは。今回、9月30日に財務大臣政務官という形で拝命いたしました公明党の山本博司でございます。本当に今日は貴重なお時間、大変ありがとうございます。

 いよいよ秋の陣の第2回目ということで、以前からずっと取り組んでいただいておりますことに心より感謝を申し上げる次第でございます。前回は総論という形でございまして、いよいよ今日から各論の社会保障と防衛という問題でございます。平成26年度予算、大変大事な予算でございまして、皆様方の貴重なご提言、ご意見、反映できるような形でしっかり取り組んでまいる決意でございます。昨日から臨時国会開会いたしまして、成長戦略の実行国会という形で、安倍政権のスタートをいたしました。是非ともよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 本日はありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、本日は、まず、事務局より、「防衛関係予算」について説明をしていただき、次に「社会保障予算」の第1回目として、事務局より簡単な説明の後、有識者ヒアリングとして、高橋泰国際医療福祉大学大学院教授よりお話を伺います。

 本日は3時間コースの長丁場ですので、「防衛関係予算」の質疑応答が終わったところで休憩を取りたいと、このように考えております。よろしくお願いいたします。なお、古賀委員におかれましては、本日欠席のため、「社会保障予算」の議題について、意見書をご提出いただいており、皆様方のお手元にお配りしております。

 それでは、議事に移ります。まず、「防衛関係予算」について、中村主計官より説明をお願いいたします。

〔 中村主計官 〕 防衛担当主計官の中村でございます。よろしくお願いいたします。それでは、座って説明させていただきます。

 お手元に「防衛関係費」という資料と、それの参考資料としての冊子と、2冊ございます。「防衛関係費」と書かれております冊子に基づきまして、ご説明を差し上げたいと思います。

 まず、1ページでございます。防衛関係費の詳細の説明に入ります前に、総論といたしまして、現在、安全保障の政策について行われている議論をご紹介させていただきたいと思います。

 官邸に設置されております「安全保障と防衛力に関する懇談会」におきましては、国の安全保障政策の基本方針となります国家安全保障戦略を検討しているというところでございます。この国家安全保障戦略といいますものは、1ページの点線で囲っております四角の中にございますように、外交・安全保障政策全般に関する戦略を取りまとめた包括的文書として諸外国で作成されているものでございます。このような文書で示された基本方針の下、国防戦略など各論の文書が作成されるということでございます。

 具体的な中身につきましては、各国によって差異はございますけれども、おおむね3点にまとめられるかと思っております。1つは、安全保障上の目標(国益)を掲げ、2つ目に、将来の一定期間にわたり直面する安全保障上の課題を特定・分析した上で、今後採るべき具体的方策、外交・防衛上の取組を中心にということでございますけれども、それを取りまとめているという文書でございます。

 上の箱のところに参りますけれども、我が国の安全保障をめぐる環境が一段と厳しさを増す中で、良好な国際関係を維持しつつ、豊かで平和な社会を発展させていくために、安全保障政策についてはより一層戦略的・体系的なものとしていく必要がございます。そうした必要性を踏まえて、政府が安全保障の基本方針として策定する戦略の中では、外交政策と防衛政策をより一体的に推進していくという方向でございまして、我が国の防衛力整備については、安全保障政策の中で重要な要素ではございますけれども、外交政策、日米安全保障体制、周辺国との安全保障対話などの政策と一体として行っていくものということだと考えております。

 ページをおめくりいただきまして、2ページをお願いいたします。今年は大綱・中期防と26年度の予算を併せて議論を進めていくということでございますけれども、この安全保障戦略と関連づけながら、そうした議論が進められていくということでございます。防衛の装備品につきましては、取得から運用体制の確立まで一朝一夕にはできません。5年、10年の単位で長い年月がかかってくるということでございますので、中長期的見通しに立って行うことが必要でございます。このため、52年度以降、防衛計画の大綱というものを定め、安全保障の基本方針、それから、防衛力の整備目標を示すとともに、60年度までは「GNP1%枠」の下で予算を編成し、61年度以降は5年間を対象とする中期防衛力整備計画(「中期防」)というものを策定し、それに基づいて、各年度の防衛力整備を実施するということになってきているわけでございます。

 この大綱・中期防は、いずれも安全保障会議、さらには閣議で決定されるというものでございますけれども、反対側の3ページをごらんいただきますと、今年、政権交代後、25年度の防衛関係費、防衛力整備を行うに当たりまして閣議決定がなされておりますが、上の箱のところに囲っておりますけれども、日米同盟を更に強化するとともに、現下の状況に即応して我が国の防衛態勢を強化していくという観点から、「22大綱」を見直して、25年中、今年中にその結論を得る。それから、民主党政権の下で策定されました「23中期防」については廃止し、大綱の見直しと併せて検討の上、必要な措置を講ずることとされており、これが大綱・中期防について年末までに検討していくという根拠になっているものでございます。

 4ページ、お願いいたします。ここから11ページまでにかけては、防衛関係費の構造、特質、さらには、26年度の防衛関係費の概算要求についてご説明を差し上げたいと思います。

 4ページは、一般会計歳出の中における防衛関係費の位置付けでございます。この円グラフは、ほかのところでも多分ご説明を差し上げているものでございますけれども、国債費、社会保障費、地方交付税という大きな歳出項目が7割強を占める中で、残りの25兆弱、率で言うと大体4分の1ぐらいでございますけれども、この92兆6,000億余りの予算の4分の1の中で、防衛関係費、それから、公共事業費、文教・科学振興費というのは、大体5兆円内外の大きな項目ということになっておりまして、この4分の1の予算の中に2割ぐらいを占める、そういう規模になっているわけでございます。

 反対側の5ページをごらんください。防衛関係費の構造としての特徴ということでございますが、防衛関係費を見る場合、伝統的に人件費と物件費に分け、その物件費の中から、過去の契約に基づいて既に支払いが決まっているという歳出化経費というものをくくり出しまして、あと残りの物件費という、この3分類によっております。上の人件・糧食費、歳出化経費というのは、人件費については、定員というものがなかなか大きく削減したり増やすというものが難しい。さらに、歳出化経費というのは、過去の契約に基づいて既に約束したものということでございますので、大半が大きく削減するというのはなかなか難しいというものになっているということでございます。単年度の可変範囲が小さいという特質を持っておりますので、各自衛隊の体制の見直し、あるいは、後ほど申し上げます調達改革でありますとか、人事制度改革というような、中長期的な改革への不断の取組が必要になってくるわけでございます。

 ページをおめくりいただきまして、6ページをお願いいたします。さらに、防衛関係費につきましては、当該年度の歳出だけを見ているというわけにはいかないという事情もございます。25年度のところ、青く染めておりますけれども、これは歳出予算が4兆7,538億円ということでございますけれども、装備品の調達には複数年度にまたがるものが多く、複数年度の契約を行って、当該年度のみならず後の年度にわたる歳出にコミットするということになるわけでございます。したがいまして、単年度の歳出のみならず、新規契約分の後年度負担についても注視することが必要ということでございます。

 具体的に申しますと、この青く染めてある部分以外に、もう既に契約が幾つも横に走っております。一番下の点線で囲ったところ、これが25年度に契約をするというもの、そういう額をお示ししておりますけれども、これに基づいて、26年度以降に1兆7,299億円という負担をするということを既に決めるということになっているわけでございます。

 これをもう少し装備品のライフサイクルコストに即してご説明したのが、反対側の7ページでございます。個々の装備品につきましては、左上の曲線を見ていただきたいと思いますけれども、開発・調達にかかるコスト、さらには維持・修理のコスト、そして、少したってきて陳腐化いたしますと、近代化、あるいは定期的に大きな修理をしなければいけないというコストもかかります。さらには、耐用年数が近づいてまいりますと、廃棄、あるいは、次の装備の調達のためのコストというものも必要になってくるということで、このような曲線、イメージとしては、こういうものになります。これを全体の防衛関係費を平準化するという観点から調達を行っていくというわけでございますが、右下にありますように、急激に防衛力の整備を図るということで、急激に何か調達を集中させて行うということになりますと、このコストの波というのが増幅されて、防衛関係費というものが急激に大きく増えたり減ったりするというようなことになるというわけでございます。

 ページをおめくりいただきまして、8ページをお願いいたします。防衛費の使途を見てみますと、この円グラフをごらんいただきますとおり、9割方、自衛隊の運用や防衛力整備に関係する経費でございますが、残りの1割強に、基地対策等の推進等に要する経費というものがございます。これも結構1割強で大きな部分を占めておるわけでございますが、反対側の9ページに、具体的な中身を書いております。

 この基地対策等の予算は、防衛施設の安定的な運用、自衛隊の基地・施設、あるいは、米軍の基地・施設について安定的な運用を図っていく観点から措置されてきているものでございます。例えば、表1をごらんいただきますと、基地周辺対策経費というのがございます。これは、例えば自衛隊、あるいは米軍の運用に伴いまして騒音が発生する、その騒音の対策のためということで、表2の一番上の項目として、各種防音事業というのがございます。これに加えまして、防衛施設の設置市町村全般に対する補助金でありますとか、飛行場・演習場など特定の施設が設置されている市町村に対する、使途が割と自由な交付金でありますとか、こうしたものを交付するという、幾つかの手段により重畳的に基地対策を講じてきているということでございます。これらについては、それぞれ役割分担があるということでございますけれども、役割分担が適切か、無駄は存在しないかなど、不断の検証が必要ということでございます。

 基地対策について、もう1点、表3のところをごらんいただきますと、SACO・米軍再編関連経費というのがございます。これは米軍の抑止力を維持しつつ、地元の負担軽減を図るために計上されてきている経費でございます。概算要求上は、前年度、25年度と同額を計上しておりますけれども、岩国飛行場への空母艦載機の移駐等、大きな増加要因が見込まれるということに留意すべきということでございます。

 次に、10ページ、11ページでございますが、26年度の概算要求の概要でございます。

 10ページの一番最初の表、これは歳出の額をお示ししたものでございます。防衛関係費全体として、26年度概算要求の欄をごらんいただきますと、一番上のところ、対前年度比1,390億円の増ということになっておりますが、その大半は、次の欄、人件費のところでございますけれども、これは給与特例法の期限到来を前提とした形で、人件費が増えるという前提で、これは政府全体としてこういう要求になっているわけでございます。まだ具体的な取扱いは決まっておりませんので、その帰趨により防衛関係費の高さも決まってくるということになります。

 それから、次に、新規後年度負担という2番目の表がございます。先ほど申しましたように、当該年度に契約をして、後の年度の歳出を約束するというものでございますけれども、これは25年度に比べまして、さまざまな新しい装備品を要求してきているということもあり、5,000億近い4,696億円の増、率に直して28.4%の増ということになってきております。後年度負担がこれだけ多いと、後の年度の予算の首が回らなくなるということにもなりかねませんので、ここについては防衛省ともしっかり議論していかなければならないと考えております。

 3番目に、自衛官の実員の要求もございます。これは三自衛隊とも、南西方面対処の必要性ということから要求してきているわけでございますけれども、既存の定員の有効活用などを図ることができないかといったことを含めて、議論していく必要があろうと考えております。

 反対側の11ページは、今回の概算要求を行うに当たりまして、防衛省の中で半年かけて行ってきた防衛力の在り方検討に関する中間報告でございます。この中に財政に関する記述もございます。3点ほど掲げさせていただいておりますけれども、1番目のポイントは、これまでの陸・海・空自衛隊の枠にとらわれず、統合運用の観点から自衛隊全体の機能・能力に着目して評価を行い、厳しい財政事情を踏まえ今後の防衛力整備の優先事項を明確化し、真に実効ある防衛力整備をしていくとされております。防衛省自身として、陸・海・空の縦割りではなく、統合運用を前提とした能力評価を行い、これを優先順位付けに使っていくのだということを明確にしているわけでございます。また、厳しい財政事情も踏まえる必要があるということも記述しているということでございます。

 それから、あとの2つの丸は、人事制度改革と調達改革ということでございますが、これは私どもも防衛省に対してずっと申し上げてきていることでありますけれども、防衛省としても、重要な課題だということで、取り上げているということでございます。

 さて、次、防衛関係予算に係る視点といたしまして、2点12ページにお示ししております。

 まず第1の視点は、防衛関係予算について、安全保障環境の変化、財政事情の悪化といった情勢の中で、これまでどのように推移してきているかということ。要するに、防衛関係費全体の水準についてどう考えるかという視点でございます。

 視点2というのは、同じ防衛関係予算の額であっても、これを効率的、有効に活用していくという必要があり、そのための課題としてどのようなものがあるか。この中で人事制度改革、あるいは調達改革という議論があるということでございます。

 具体的には、まず視点1、防衛費の水準というところからお話をさせていただきたいと思います。13ページをごらんください。防衛関係費の水準を考えていく場合、我が国周辺各国の国防予算の額というものにも留意していく必要があるわけでございます。この資料は、SIPRIという機関が出しております日本の周辺各国の国防予算、2012年の国防予算の額と、下の段には、2000年以降の累積の国防予算の額をお示ししたものでございます。

 我が国の隣国であります中国の数字を見てみますと、2012年は1,576億ドルに対して、日本は592億ドルということでございますけれども、中国は日本の3倍弱ぐらいの規模になっているということでございます。ただ、これは単年度ではなくて、2000年以降で見てみると、少し違った絵が見えてくる。中国の1万1,845億ドルに対して、日本は7,833億ドルということになるわけでございます。

 それから、もう一つ、中国の周辺には、陸続きでかなり大きな国防予算を持っている国というのがございます。ロシア、パキスタン、インドといった国というものがございます。一国一国でそういう対応関係を見るというのではなくて、やはり中国も周辺の国の動向も踏まえながら考えているということがあるのではないかということでございます。

 それから、3点目、日本は、日本独自でということではなく、やはり外交関係の中で、同盟関係を結んでいるアメリカでありますとか、オーストラリアでありますとか、そういった国と防衛をしていくということでございますので、そういたしますと、それらの国々の数字と合わせてみると、また違った絵も見えてくるということではないかと思います。

 なお、この数字、公表資料に基づいてやっているものでございますので、中国の国防費については、これよりほかにもあるのではないかというような指摘があるということも十分踏まえる必要があると思いますけれども、数字だけ並べてみるとこうしたさまざまな見方もできるということでございます。

 ページをおめくりいただきまして、14ページでございます。我が国の防衛関係費の水準を考えていく場合、同盟国であるアメリカの動向というのをどのように考えるかということでございます。アメリカでは、厳しい財政事情から、強制歳出削減措置により、国防費も削減される。14ページの一番上にございますが、9年間で5,000億ドルが削減されるということになっているということでございます。

 この強制歳出削減措置についても、もう少し詳しく見てまいりますと、1つは、この削減予定額というのは、経済成長等を踏まえた予算のベースラインからの削減ということでございますので、実際の削減後の額というのは青い棒グラフになります。そういたしますと、2014年度以降の数字というのは、名目額だけで見ると増えているということになっております。そういう見込みになっているということでございます。さらに、全体として名目額は必ずしも減るわけではないということであるのと同時に、アメリカの政権は、アジア太平洋地域におけるプレゼンスを強化するということを言っております。オバマ大統領は、明確にアジア太平洋地域における国防費は削減しないと言っておられるということもございます。このように、強制歳出削減措置があるということだけではなくて、その中身なり、アメリカの方針というのにもよく留意する必要があるのではないかということでございます。

 15ページは、ヨーロッパ諸国の数字を見たものでございますが、この資料にありますとおり、欧州債務危機等を背景として、軍事力の効率化の取組を進めていると、ヨーロッパ諸国でもそういった動きがあるということでございます。

 さて、16ページから4ページにわたりまして、これまでの我が国の防衛関係費の推移について見てみたいと思います。16ページは、冷戦終結期であり、一般会計税収の額が最高になった平成2年を基準にいたしまして、社会保障関係費、公共事業費、文教・科学振興費、地方交付税、さらに防衛関係費がどのように推移しているかというのを見た資料でございます。社会保障関係費は一本調子で伸びてきておりまして、公共事業関係費については、バブル崩壊後、一旦、景気対策という意味合いもあり増えたわけでございますけれども、その後大きく削減され、現在は平成2年の水準を下回るような状況になっているということでございます。というような状況の中で、防衛関係費については、比較的安定的に推移してきているということが見てとれるわけでございます。

 17ページは、これをもう少し平成6年度を基準にとって見たものでございますけれども、平成6年度は、特例公債の発行が再開されたという財政事情からすると、1つ区切りの年ということでございますけれども、これを見ても、社会保障と地方交付税が増えている一方で、文教と公共事業関係費は減っているという中で、防衛関係費については、ほぼ横ばいということになっております。この間、冷戦が終わるとか、あるいは、財政事情がひときわ悪くなるというような中で、防衛関係費については安定的に推移してきているということが言えるかと思います。

 ただ、年の取り方によって見えてくるところが違うのではないかということもございます。18ページは、今度はもう少し近くに基準をとってみまして、冷戦型の装備・要員について抜本的に見直すとされた16大綱以降の防衛関係費の推移を見ておりますと、これはSACOとか米軍再編関係経費、いわゆる防衛力の整備に直接関係がないであろうと言われるものを除いた経費で見てみますと、24年度まで減少してきているのではないかということが指摘されます。この期間において、確かに減少してきておりますけれども、対前年度減少割合の平均は0.55%ということになっておりまして、減少局面でも比較的変化率としては緩やかになってきているのではないかということでございます。これは計画的・着実な防衛力整備というものにも配意しているというものかと思います。

 19ページは、中期防衛力整備計画における経費総額の推移を示したものでございます。中期防は、61中期防から始まっておりますけれども、13中期防までは増加傾向にございましたけれども、近年の17中期防、23中期防は、13中期防をピークにして少し減少しているという傾向にあるということでございます。今後の水準を考えていく場合、財政的には、こうした過去の状況よりも厳しくなっているということをどう考えるかということが、財政当局としては気になるところでございます。

 さて、次は、水準の話から離れまして、中身の効率化ということが20ページ以降の問題でございます。まず20ページは、三自衛隊の歳出額・物件費比率の推移ということで、これは財審でも前にもお示ししたことがある資料かと思いますけれども、平成8年から見ても、あるいは、もう少しさかのぼって52年から見ても、陸・海・空の比率というものはあまり大きく変わっていないということが見てとれるわけでございます。

 一方で、21ページが、ロシアにおける陸上戦力の動きというものを見ておるわけでございますけれども、冷戦以降、ロシアは陸軍兵力は主要装備を大きく減少させているということがございます。

 また、次にページをめくっていただきますと、英国やドイツにおいても、冷戦型装備については着実に削減をしてきており、今後の中期的な見通しの中でも大幅な削減をするということを言ってきているということでございます。

 それから、23ページでございますけれども、各自衛隊において、固定翼、回転翼を含め、輸送用途を有する航空機というものは、多様なものを持っております。例えば、上の段はヘリコプターでございますが、陸上自衛隊のUH−1J、航空自衛隊のUH−60J、それから、陸上自衛隊のUH−60JAでございます。各自衛隊で輸送用途、あるいは多用途ということ、あるいは救難用ということでございますけれども、そうしたものを持っているということでございます。それから、下の段にありますCH−47、これも全く航空自衛隊と陸上自衛隊で分けてもっているわけでございますけれども、用途としては輸送ということで、同じものということでございます。それから、さらに、ここに今回防衛省が概算要求で、ティルトローター機、アメリカでもっておりますオスプレイのような航空機でございますけれども、こうしたものも輸送用途のために活用するために調達を検討するという経費を計上しております。

 まず自衛隊の中で統合運用ということをするということであれば、ばらばらに各自衛隊で調達したり、整備をしたりするということではなく、やはり同様の装備については、どう持つのが一番効率的なのかというのを考えていただくということが必要かと。さらに、新たなティルトローター機というようなものを入れる場合、既存の輸送用の航空機との関係というのをどのように整理するかということをきちんと考えて、お示ししていただくということが必要かと考えております。

 24ページでございます。こちらは人事制度改革、これも長らく財政当局として主張してきているところでございますけれども、反対側のまず25ページをごらんいただきたいと思いますけれども、冷戦期以降の自衛官の定員、現員の構成割合の変化ということでございますけれども、現員は、平成3年度と24年度を比べますと、1万5,740人ほど減っております。その中で幹部、准曹の人数が増えており、比率も増えているわけでございます。一方、グラフの下をごらんいただきますと、平均年齢が4歳近く上昇しているということになっております。

 24ページのほうに戻っていただきますと、現状、階級構成、あるいは年齢構成とも非常に上のほうに偏っているということになっております。背景としては、そこに3点ほど掲げておりますけれども、熟練・専門性の必要性でありますとか、採用環境、再就職環境が厳しくなってきたということも当然あろうかと思います。ただ、やはり自衛隊の部隊としての精強性ということは、若さも含めてしっかり考えていく必要がございますし、階級構成、年齢構成の在り方も、各自衛隊の任務の特性を踏まえて考えていく必要があり、そのために人事施策として、例えば、中途退職の在り方、退職自衛官の再任用をどうするか、あるいは、募集、再就職援護についてどのように強化していくかということをしっかり考えていく必要があり、今、防衛省とも相談しているところでございます。

 ページをおめくりいただきまして、27ページをお願いいたします。防衛装備品の調達改革の必要性ということでございます。防衛装備品の高性能化・複雑化に伴いまして、開発・製造コストが非常に大きくなり、装備品の取得単価を押し上げると、結局、予算というのはP掛けるQで決まってまいります。単価と数量でございます。そうすると、単価が上がれば、当然、数量が少なくならざるを得ない。数量が少なくなれば、当然、また単価のアップにはね返ってくるという悪循環を繰り返しているということでございます。図1にありますとおり、装備品の高価格化、例えば、74式戦車が10式戦車になりますと2.6倍になる。戦闘機も、F4からF35になると、名目だけで比較しても4.6倍になるということになっております。そういたしますと、調達数量も、当然のことながら、下に書いてありますとおり、減少するということになっているということです。また、調達にかかるコストだけではなく、維持・整備にかかるコストも、装備品の高度化とともに、かなりかかるようになってきております。図2では、青い部分が装備品の調達にかかる経費、黄色い部分が維持・整備にかかる経費でございますけれども、平成元年と平成24年を見ると、維持・整備経費のほうが逆転するというような状況になってきているということでございます。

 こうした状況から、調達、開発、さらには維持・整備の段階に至るまで、調達効率化についての施策を講じていかなければいけないというのは、当然防衛省も感じているところでございますが、おめくりいただきまして、28ページでございます。装備品の調達効率化に係る施策として、26年度の予算の要求に当たりましても、維持・整備方法の見直しや、装備品のまとめ買いといった取組をしておりますけれども、装備品の調達効率化に係る中長期的な検討の方向性というのを示していただいているところでございます。

 我々として、方向として齟齬があるというわけではございませんけれども、反対側の29ページに、さらなる問題提起として、1つは、装備品のライフサイクルコストの管理を徹底してやっていただくということ。この中には、ライフサイクルコストの管理の体制がまだ確立されていないものですから、それを早期に確立していただいて、できるだけ多くの装備品にそれを拡充していただくということ。さらには、開発品において、国内開発の場合によくあるわけでございますけれども、開発の途中でコストが非常に大きくかかると、見積を上回るということが往々にしてあるわけでございます。そういった場合に、プロジェクトを打ち切る、止めるというようなことも含めたことを義務付ける仕組みというのは設けられないか。実際、米国では、そういった仕組みがあるわけでございます。

 2番目が、開発・調達の在り方と国内防衛生産・技術基盤との関係ということでございますが、装備品の国内開発や国内調達を行う場合、往々にして装備品の価格は高くならざるを得ません。初度費も発生するということになります。一方で、生産や技術の基盤を維持・強化していくといったメリットもありますが、このようなメリットがコストにちゃんと見合ったものなのかという検討をやっていただくということが必要。ただ、国内でつくる部分を増やせばいいということではなくて、どういうメリットがあるのかというのを、コストとの関係でしっかり検討していただくということが必要ではないかということ。さらに、F−35Aの取得の経験を踏まえますと、今後の装備品の開発、取得というのは、やはり国際的に同盟国の間で協調してやっていくということが必要になっている。国際共同開発に積極的に参加していくべきではないかということ。

 さらに、3番目は、今年の予算執行調査で、飛行時間関連経費について調べましたところ、予算と執行の乖離があり、これを実態に合わせることで予算の効率的な使用ができるということが明らかになりましたので、ほかにもこういったことがないのかということを探す努力をすべきだということでございます。

 以上、ポイントとして、繰り返し申し上げれば、防衛関係費については、水準をどうするかという問題、さらに、同じ防衛関係費について、できるだけ効率的に使っていく上での課題とは何かという問題、この2つが論点になろうかと思います。

 以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの防衛関係費のご説明に対して、どなたからでも自由にご議論いただけたらと思います。

〔 葛西委員 〕 4つ質問を申し上げます。

 一番最初に、防衛というのは、国家安全保障戦略との関係の中で見ていくべきだということを1ページで言っておられるんですが、それを踏まえた上で、今、ますます努力をしなくてはいけないと思っているのか、そうではないのかというところをお聞きしたい、これが第1番目ですね。

 2番目は、これは13ページのところに周辺各国の脅威の表が出ております。各国がいろいろお金を使っているけれども、日本はそんなに少ないわけではありませんよという、さまざまな絵が見えてくるというご説明ですが、さまざまな絵というのは一体どういう意味で言われたのかと。楽観していいんですよというふうに言われたのかどうかということなんですね。

 例えば、日本の場合、この経費の中に人件費がものすごくたくさん入っていると思うんですが、そういう経費の中の内訳が全くはっきりしていないとすると、防衛力の水準の比較には全くならないような気もするんですが、その辺が、この表には出ていませんけれども、どこかできちんと分析されているのかどうか。あるいは、防衛費として計上されている枠の外に別の形で入っているというケースもありまして、これはちょっと説明の中で触れられましたが、どういうふうに見ていらっしゃるのかと。つまり、脅威は相対的に日本にとって厳しい方向に動いているのか、楽観できる方向に動いているのかというところについての方向性を、ご判断を聞かせていただきたいと。

 それから、3番目は、国内の予算の経緯を見て、ほかのものに比べれば減少は緩やかだということなんですが、この比較に何か意味があるのかと。防衛力というのは、脅威との対比において、十分であるか、不十分であるかが問題の焦点でありまして、国内において取り分がどのくらいあるかということに、ほとんど意味はないのではないかと。

 それから、4番目に、これは21ページですか、各国戦力を減らしておりますというのは、確かにそのとおりなんだろうと思うんですが、問題は、戦力は減らしてもすぐ増やせるような形で予備兵力を持っているとか、あるいは、予備の機材を持っているというような場合と、そうでない場合があるように思います。したがいまして、各国が減らした数値をこのような形で出したときに、予備兵力を全く持っていない日本、それから、そうでないロシア、単純な比較で、ある種のミスリーディングなインプレッションを与えるのは適切ではないのではないかと。4点、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 お願いします。

〔 中村主計官 〕 ありがとうございます。

 安全保障戦略について、葛西委員からご質問がございました。外交政策と防衛政策を一体的に推進していく努力というものをしっかりするべきだと。1ページの上の箱3つのところでございますけど、上の2つについては、これは安全保障と防衛力に関する懇談会の中であった議論というものをまとめたものでございます。ここで言っておられますのは、とかく安全保障政策について、今まで日本の場合、戦略的・体系的に外向きに発信しているということがなかったのではないかというご批判があったということから、これはまず外交政策と防衛政策を一体的なものとして外に示す努力というのをしっかりしていかなければいけないんだというご議論があったと承知しております。

 それから、13ページの、さまざまな絵が見えてくるのではないかという私の説明でございます。私が申し上げたかったのは、例えば、中国と日本とを比較した場合、単年度の予算で見るのか、あるいは、2000年度以降での水準で比較するのかというところで、3倍なのか、あるいは、2倍までいってないというのかということで、結構違った絵が見えてくる。これは、ただ、裏を返せば、中国が最近になってから急に防衛費などを増やしてきたというところがあるということなので、そこも当然のことながら、留意しなければいけないと思いますけれども、防衛力の整備というのは、今、急激にすぐできるというものではありません。ある程度何年かにわたってやっていくものだというふうに考えますと、ある程度の期間にわたった数字を比較してみるということにも意味があるのではないかというふうに考えた次第でございます。

 あと、もう一つは、幾つかの国の数字を足してみたりしたときに、どういうふうに見えるか。例えば、ここであえて色分けはしておりませんけれども、日本とアメリカとオーストラリアの数字を足してみて、それと中国と比較してみるというようなことをすると、一方的に日本の数字が少ないという印象とはまた違った絵が見えてくるのではないかということを申し上げたかったということでございます。

 あと、中身について、具体的に、人件費が日本の場合多いけれども、そういったところが見えないじゃないかというのは、ご指摘のとおりで、この数字だけが唯一頼りになるということを言うつもりはございませんけれども、ただ、SIPRIという、国際的な比較をしている機関がございますので、そういったところの数字として公表されているものを出して、我々、そういう機密にわたるような数字までなかなか手が届かないというところもありますので、そうした資料で比較してみるということが必要かと思って、お示ししたところでございます。

 一方で、中国、あるいは、我が国の安全保障環境についてどう見ているのかということについては、参考資料のほうに実は入れておりまして、これは防衛省からいただいた資料を私どもで使わせていただいているものでございますけれども、中国、あるいは北朝鮮、極東ロシアというように、活動が活発になっているということは、我々も防衛省から聞いて承知しているところでございます。

 それから、葛西委員からは、16ページからの表の中で、ほかの歳出と比較してどういう意味があるのかというご下問がございました。一番最初の4ページのところでもご説明差し上げましたが、予算の中で防衛費というのは、結局、かなり自由になる政策的経費、4分の1の中の2割という、極めて限られたものの中でございます。予算全体というものは、財政事情が非常に厳しい中での話ですので、結局、ほかの政策に使う予算とのバランス、あるいは教育、あるいは公共事業、あるいは社会保障といったものとのバランスの中で考えていくべきものということだと思います。そこで、防衛費について言いますと、過去においては削減幅が非常に大きかったような予算もある中で、防衛関係費の性質に応じて安定的に措置してきているということをご説明申し上げたかったということに尽きるかと思います。

 それから、21ページについてご指摘いただきました。予備兵力というものも踏まえるべきなのではないかというご指摘でございます。確かに、そういったものまで含めた形で書いているものではないという限界はあるかもしれません。このページとその次のページで申し上げたかったのは、要は、いわゆる冷戦型の装備というものについて、冷戦が終わるという安全保障環境の変化をもとに、削ってきているというものがあるわけでございまして、具体的に防衛予算の高さが決まった中で、どういった装備品を買っていくのかというものは、防衛省ともよく相談しながらやっていかなければいけない、あるいは、防衛省のほうが一番よくわかっているとは思っております。その中で、南西方面への対応が必要だから予算を増やしますということを言われるわけですけれども、南西方面の対処の必要性について、我々は、先ほど参考資料の1ページのほうでありましたとおり、それについて否定するつもりは全くございませんが、そういう方面に新たな予算が必要ということであれば、既存の予算の中で何か効率化できるところや、あるいは、振り向けるものがないかということも考えていただくべきではないかという一例として、外国では冷戦後にこういったこともやっていますよということをお示ししたということでございます。

 以上、過不足なくお答えしたつもりでございますが、よろしゅうございますでしょうか。

〔 葛西委員 〕 結構でございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、ほかに、いかがでしょうか。

 岡本委員、どうぞ。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。

 この資料の10ページに防衛関係費というのが表になっているわけですけれども、今の社会、あるいは政治情勢から見て、装備品とかが結構上がるのかなというような感じはして、また、それも一定やむを得ないのかなと思っていたんですけれども、これで見ると、新規後年度負担というところで、28.4%増というところは伸びがあり過ぎるから、これはしっかり議論していくということで、よくわかりました。

 ただ、トータル2.9%の増の中で、内訳は何なのかというのを見ると、人件・糧食費というのが5.3%ということで、これは、極めて高い。ご説明にありましたように、給与特例法の期限が到来し、また戻すということなんですけれども、これはトータルの公務員の人件費とのかかわりがあると思います。これは単に置いているだけなのでしょうか。一方で、今の安倍内閣からは、民間に対して、給料アップせよとかなり言われているわけで、実際に上げるかどうかというのは、なかなか難しいところはたくさんあるんですけれども、そういうことを言っている以上、消費を伸ばしていこうという考えがある中で、公務員については、やっぱり民間と同じように人件費も上げていこうよというような発想もあるのかなと。

 ただ、他方、消費税を上げるんだから国のほうも汗を流せよというふうな見方からすれば、人件費を下げるべきだということもあるかもしれません。いずれにしても、今、財政再建をやるということになれば、防衛のところでは、この辺の人件費や、ほかにもいろいろ項目はあるのかもしれませんけど、国家全体の消費のために上げようというのと、下げないといかんという、この辺のジレンマですね。これは防衛の主計官に対する質問というわけではないんですけれども、その辺を一体どういうふうに考えるのかということと、あと、昨年度、地方公務員については、かなり高いということで下げてきたわけですけれども、これをまたタイムラグをもって、1年たったらこれを上げるというふうな構造になるのかどうかということで、その辺の整理学というのを、これをどなたかに教えてもらえればありがたいなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 とりあえず主計官からお答えになりますか。

〔 岡本次長 〕 給与課を担当しております、次長の岡本でございます。今、岡本委員のお話、いわゆる今行われております公務員の給与の特例減額の扱い、これをどのように考えるかということにかかわる話だと思いますが、私のほうからお答えをさせていただきます。

 ご指摘いただきました給与特例減額は、2年間の措置として、前年度と今年度、復興財源に充てるということで行われておりまして、全体で7.8%の減額。これを決めたとき、前民主党政権のときでございますけれども、あわせて、いわゆる労働基本権、この扱いについても考え方を変えていくという法律をセットする中で議論が行われておりまして、そういった背景の中で、復興財源ということで行われたというものでございました。

 これが今年度で期限が来るわけでございますけれども、先般、給与関係閣僚会議が行われておりまして、給与、人件費を所管しております総務大臣のほうからは、今の政権は人勧尊重という考え方でやっている中で、検討していく必要があるということがございました。加えて、地方との関係をまたどうしていくのかという問題。こういったことも含めて、まず地方から給与について意見を伺うといったことが行われております。

 一方で、公務員全体の人件費の問題をどのように考えていくかということについては、当然、まだいろんな課題が残されているわけでありまして、例えば、今年の人事院勧告の中でも、やはり公務員の給与カーブが年齢に応じてずっと右肩上がりになっている、これが民間との比較の中でむしろ是正をしていくべきではないかという話。あと、今、地方の話とも絡むんですけれども、やはり地域地域の公務員の給料を見たときに、本当に各地域の水準を適正に反映しているものになっているのか。それをもう少しきめ細かに見ていって、適正にするべき点があるのではないのか。こういった点が、給与制度改革の論点として示されておりまして、これをきちんとやっていくべきだという議論が一方でされております。

 そういった形のトータルの中で、今後議論がされていくことになっております。まだ現時点では、この特例減額の扱いをどうするかということを政府として決めておりませんけれども、先般行われた給与関係閣僚会議の中ではそのような議論が行われておりまして、その後、予算編成の中で最終的に取扱いを検討していくという状況になっているところでございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。

 では、老川委員、田近委員。

〔 老川委員 〕 ちょっと細かい点ですが、29ページの装備品の予算と実態の乖離についてのところで、飛行時間関連経費に予算と執行の乖離がある。これは具体的にはどういうことなんでしょうか。例えば、多めに予算を取っちゃったけど、訓練飛行などがそれほどなくて予算を使わなかったのか、あるいは、最近はいろいろスクランブルが増えているとか、こういう環境の変化に伴って、予定していたものよりたくさんかかっちゃっているのか、事実関係はどうなのか教えていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 お願いします。

〔 中村主計官 〕 申しわけありません。参考資料の一番最後の17ページをごらんいただきたいと思います。

 25年度の予算執行調査で、飛行時間及び飛行時間関連経費についての調査をいたしました。航空自衛隊では、油の購入費や航空機の修理費といった、航空機の維持運営に必要な経費というものについて、操縦者1人当たり、あるいは、航空機1機当たりの1年間の飛行時間というのを積算上の根拠といたしまして、これを予算に計上しております。そして、この飛行時間を積算の基礎として、例えば、何時間飛んだ場合にはこういう修理をしますとか、何時間飛んだ場合にはこういう部品が必要になりますとか、そういう積算をして計上しております。これが航空自衛隊の予算の中の3割と、かなり大きな部分を占めております。

 これについて調べた結果、外的要因、今、老川委員からお話がございました、南西方面への対処という観点で必要になる航空機ということではなくて、日々の訓練を行っているというような航空機について調べた結果、実績の飛行時間が予算積算上の飛行時間を下回るというケースがあったと。一方で、実任務で飛んでいる飛行機の中には増えているものもありましたので、ここをうまく相殺することで、今度、要求上、前年比ではプラス・マイナスはあまりない形で、実際は飛行時間関連経費は要求上は前年よりも少ない額にすることができたということです。

 それから、もう1点は、飛行時間と連動すると説明されていた経費の中に、飛行時間と連動しなくて、飛行時間は飛んだけれども、実は整備の必要がなかったとか、そういったこともありましたので、そういう場合には、整備の間隔を見直したり、あるいは、飛行時間との関連性を切断して、別の積算でやったところ、効率化をすることができたということです。今までのやり方を踏襲するのではなくて、実態を踏まえた形で予算を組み直したところ、うまくいったという例でございます。

〔 老川委員 〕 わかりました。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。

 では、田近委員。

〔 田近委員 〕 来年度の予算に向けて、防衛費を財審でどう議論するかという課題みたいなことで質問なんですけれども、10ページを見ているんですけど、1つは、もちろん、最初に葛西さんがおっしゃったように、日本の国防の在り方、そこから議論をするというのもあると思いますけれども、来年度予算に向けて、基礎的財政収支にかかわる歳出の総額はコントロールしなければいけないと。防衛を膨らませちゃえば、どこかを切らなきゃいけないわけで、この議論の出発点としては、防衛関係費を伸ばさないという前提で議論するとして、先ほどあったように、そういう視点に最初からフォーカスを当てた形で議論すると、10ページで、まず25年度と26年度を比べて、防衛関係費が4兆7,500億から4兆8,900億に伸びていると。既に説明は一部ありましたけれども、それは例の人件費が東日本大震災の特会に繰入れた部分が戻ってくることで膨らむ。それを考えても、まだ500億円ぐらい膨らんでいるわけですよね。それの多くは、実は歳出化経費なんですけれども、最初の質問は、25年から26年の予算を比べたときに、どこを具体的に検討して伸び幅を下げようとしているのかが第1点。

 第2点は、実はさらに重要な、数的にはもっと大きな問題は、実は、中期防を見直したことで、その下の、新規後年度負担、中期防を見直したことで歳出化経費がもう膨らんじゃったと。今年は見えていないんだけれども、もう既に後年度負担として発生するものが、実は25年から26年に比べて、1兆6,000から2兆1,000に膨らんじゃったと。そうすると、ここで議論するべきことの1つは、平成26年度に中期防を見直すことで膨らんじゃった2.1兆円をきちんとここで見直すべきなのだと思いますけれども、その場合どうするんだということで、質問は2つ。1つは、上のほうのお話で、防衛関係費が全体で1,390億に伸びているけれども、人件費部分を除いても500億分ぐらいはどう考えるのか。それから、額的により大きいのは、既に発生してしまった後年度負担をどう考えるのかと。

 以上が質問ですけれども、あと補足として、いつまでも、どの資料も当年度予算というのでいいのかなと。やっぱり25年度、補正も組むので、補正の予算の姿も出してもらいたいし、あと、数字的にどのぐらいの変化があるかわからないんですけど、後のほうで伸び率をいろいろ議論されたときに、これ、当年度予算ベースなんですよね。だから、できれば補正を組んだ年度末の予算規模で見せてもらったほうがいいなと。

 最後の部分はコメントで、質問は前の2点です。

〔 吉川分科会長 〕 では、2点、主計官、お願いします。

〔 中村主計官 〕 まず1点目の、26年度の予算編成に当たって、どういったところにフォーカスを置いて、特に物件費が伸びている部分をどうするのかということでございました。

 まず物件費についての、ちょっと入り繰りがあるものですから、ちょっと触れさせていただきますと、物件費、全体として見ると、333億円の増となっております。その内訳を見ると、歳出化経費の増が637億。これは、結局、前年度以前に約束しているものというものが637億増えているということで、それ以外に一般物件費は305億円の減となっておりますが、今ほど田近先生からご指摘ありましたように、実は注2のところにございます、震災と復興特別会計の繰入れというものを全く落としておりますので、この689億円落ちた上で、さらに305億円、それがマイナス305というふうになっているということは、実質的には、物件費は、この差額分だけ増えているということでございます。歳出化経費が増えているという部分、さらに一般物件費の増ものみ込んでということになりますが、一番最初にご説明いたしましたとおり、人件費についてもそれなりに努力はさせていただきますが、歳出化経費はもう約束しているというものでございますので、なかなか難しいとすると、結局は、土俵として来るのは、概算要求の中の一般物件費10,189億円の中で、これをどうやっていくかということになろうかと思います。

 それから、新規後年度負担について、まことに田近先生おっしゃるとおりでございまして、私も一番懸念しておりますのは、26年度の概算要求で、それから、中期防につきましては、これから防衛省と議論してまいりますけれども、まさにその中で、この26年度の高さをどうするかということもセットで議論していくということになるわけでございますが、前年度に比べて後年度負担が5,000億近くも増えているというのは、過去にも例がございません。これだけ増やすということになりますと、当然のことながら、27年度以降の予算に非常に圧迫要因になるということでございますので、そこについては防衛省とともに、新たな装備品を買うということを前提にして、これだけ膨らんだ要求になっておるわけでございますけれど、そこについてはしっかり議論してまいりたいと考えております。

 それから、補正を含めた形でということでございますけれども、実際、本格的に補正を、正面装備品も含めてやり出したのは、24年度の補正が初めてということでございますけれども、過去も補正はやったことはございますので、補正も含めた数字というのも、また審議会の場にお示しするということにさせていただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、手を挙げられた順番で恐縮ですが、井堀委員、大宮委員、碓井委員、とりあえず3名の方、その順番でお願いいたします。

〔 井堀委員 〕 防衛費は抑止力というのが一番重要ですから、ちゃんと整備して、それが実際に使われないのが一番いいわけです。そうすると、結果としては、宝の持ち腐れが一番望ましいわけで、そうすると、当然、整備したけれども使わなくなった装備というものが出てくるわけです。日本の場合は、大きな戦争をしていませんから、そうなると思うんです。

 そこで、1つの質問は、例えば、輸送機なんかで新しいのを買うと、今までの輸送機は廃棄になるわけですけど、使えるようなものがその後再利用されているのかどうか。単にどういった形で処分して、それが財政的にお金を回収できるような形で処分できるようなものがあるのかどうか。あるとすれば、それがどのぐらいなのか。日本の場合、中古の武器をほかの国に輸出するのは難しいので、なかなか難しいと思うんですけど、ただ民間に転用できそうなものをどの程度再利用されているのかどうかというのが1つです。

 それから、後年度負担の件です。最近もたしか新しい戦闘機の、すごいステルス型ですか、性能のいいのを買って、かなり高額なお金が将来かかりそうだという話がたしか去年ぐらいに出たと思うんです。仮にある最新の兵器を契約したとして、当初の契約よりも後年度に費用が増加した場合に、その扱いは、後年度では自動的にそれは増えるのか、あるいは、その増えた分は防衛省全体の予算の中でやりくりする形で捻出するようになっているのか。要するに、一旦決まった兵器の導入にかかる後年度の予想外の費用の負担は、どういった形で対応されているのかというのをお伺いしたいと思います。

 それから、最後なんですけど、参考資料のところに出てきた、武器輸出三原則との絡みです。国際共同開発・生産を推進すると、コストの削減になる。これが武器輸出三原則の見直しも含めてという話なんです。仮にこういった形で、武器輸出三原則は見直しができて、国際共同開発・生産ができるとすれば、どの程度のコスト削減に寄与するのかという、数量的に何か現状の装備を想定して、仮に武器輸出三原則の見直しができたとして、国際共同開発ができるとすれば、どのくらいのコスト削減になるのかという、何らか情報があれば教えてください。

 以上3点です。

〔 吉川分科会長 〕 では、3点、主計官、お願いいたします。

〔 中村主計官 〕 1つは、使わない、あるいは、廃棄する装備品について、どれだけ活用できるかということですが、基本的には、例えば、航空機にしても、艦船にしても、耐用年数というのは、結局、本体が本当に使えるかどうか。例えば、航空機であれば、例えば翼が折れてしまわないかどうかという観点から、機体がもつかどうかという観点から耐用年数を定めますので、基本的には安全上の観点から、それはもう使えないということになるとお考えいただくのかなと思っております。そうすると、それはもうあとはスクラップとして売って、そのスクラップの代金が入ってくるということになるのだと思います。

 ただ、そこはある程度安全を見ているということもあるので、さらに活用の仕方がないのかというのは、本来は考えるべき課題なのかもしれませんが、そこで出てくるのが、恐らく武器輸出三原則との関係で、そのまま民生品として使っていただくということができれば、例えば、陸上自衛隊のトラックのようなものはそういうことができるかもしれませんが、戦闘機のようなものは、恐らく防衛機密の塊であるということもあり、なかなかそのまま売るということは難しいということなのかもしれないということでございます。ただ、歳入として確保できるものは、そうしたことで確保したほうがいいということは、それはその通りだと思われます。

 それから、まさに後年度負担との関係で、今、井堀先生がおっしゃったライフサイクルコストの管理ということに関係することだと思いますけれども、これまでは、予想外のものが出てきたから、そこで打ち切るというようなことというのはなかなかしておりませんで、それはかかるということになってしまえば、それはかかるということになる。あるいは、そこの部分はもしかすると調達量を減らすなり、ほかのものを減らすなりということで対応せざるを得ないと。予期できない費用というのも、いろいろなものがあると思いまして、例えば、開発の途上で技術的な問題からかかるという場合もありますし、それから、外国の装備品を買っていた場合に、外国でアップグレードしてしまったので、日本では必要ないんだけれども、くっついていかなければいけないというような場合もあるわけでございまして、そうすると、ひとくくりで予想できないものといっても、いろんな性質があるので、ケース・バイ・ケースで対応していくということになろうかと思います。

 それから、一番最後にいただいたのが一番難しい質問ですが、ここまで国際共同開発というふうに言うのであれば、そういう数字的な根拠もないといけないのではないかというご指摘かと思いますが、すいません、防衛省も我々も、そういった数字は今持ち合わせておりませんので、課題として考えたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、お待たせしました。大宮委員、お願いします。

〔 大宮委員 〕 2点ありまして、1つは、技術基盤という観点なんですが、これは防衛装備品のようなものというのは、非常に長期にわたって使われるもので、研究開発も非常に長くかかるという特徴を持っていますので、長期にわたっての育成という視点での、研究開発費はどのくらいかというのは、これはちょっと入っていませんけど、その辺の視点が非常に重要かなと思います。

 共同開発をするとどういうことになるのかというのは、いろいろな視点があると思いますけれども、防衛装備品を、国の防衛を支えるという非常に重要なものと考えるのであれば、部品の製作のみでは、多分、それができなくなるだろうと思うんですね。日本の場合は、大変部品のレベルの技術が高いものですから、海外から非常に注目されているのは、部品を供給するなり、武器の中に入れ込んでほしいというような部分に対しての期待が高いのではないかと思います。これをずっとやり続けると、最終の装備品をつくらないということになりかねないという懸念がありますので、共同開発によるコストの削減というのは、多分、効果がある程度あるんだろうと、大変あるんだろうというふうに思っていますけれども、こういうところも気をつけて、日本の防衛力がどこかで欠陥が出るようなことになってはいけないという視点が、技術的な基盤ということを支える上で大事ではないかと思います。

 それから、技術基盤のもう一つなんですけれども、米国でDARPAという機関がありまして、これは一般の基礎研究の先物は一般の研究機関がやるんですけれど、それから、防衛装備品そのものの開発は米軍がメーカーと一緒にやるということになっていますが、その間をブリッジする機関でありまして、これが非常に力があって、お金もたくさん出ているということで、例えば、インターネットもここから出てきたというような話もありますから、日本も、防衛省の中に技術研究本部がございますので、これと民間の企業との間の交流がもう少し盛んになると、日本全体の研究開発の機関の能力が上がるのではないかなと非常に強く思っていますので、日本の中では防衛装備品に関連するような技術と一般の研究との交流というのはなかなか難しいと考えておられる方はたくさんおられますので、その辺のところも何らかの形で破っていただけるような施策が出てくるといいかなと思います。

 それから、もう一つ、調達の効率化の関連で、システムの効率化ということをたくさんここに書いてございます。システム統合運用ですか。これは非常に望ましいことだと思っていまして、実は当社も、陸・海・空の3つの部門がいろいろなものをつくっているわけですけれども、今年の10月1日から集めて、防衛部門ということで同じ部門にしました。これは何を狙っているかというと、やはりシステムを統合化して、統合運用される国の自衛隊に対する装備品をいかにうまく開発するかというような視点でもってやったわけでありますけれども。これは自衛隊だけではなくて、例えば、今、南西のところでのいろいろな事案みたいなものがありますけれども、省庁間の連携みたいなものも、ぜひ予算の審議の中に、例えば、海上保安庁との連携をどうするのかというような視点で見ていただけると、何らかの形で削減がうまくできるようないいシステムができるのではないかなと思います。以上、大きく言って2点です。

〔 吉川分科会長 〕 2点は、これは質問というよりは、コメント、提案という形でよろしいでしょうか。

〔 大宮委員 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 では、ご指摘いただいたということで。

 続いて、碓井委員。

〔 碓井委員 〕 質問なんですが、防衛調達についてですけれども、防衛調達というのは、特殊性がある。各国とも、多分、常にどういうやり方がいいかという検討を重ねてきていると思います。それから、日本においても、しばしば不祥事も起きたりする。それで、お伺いしたいのは、これは主計官というよりは、むしろ法規課長さんがいいのかもしれませんけれども、そういう防衛調達の在り方について、防衛省と財務省とが、どのくらいのインターバルを置いてかわかりませんが、抜本的に検討しようと、そういう努力を積み重ねておられるものなのか、それとも、第一球を投げるのは防衛省だからといって、向こうにまずは任せているのか。予算査定のときの議論は別ですよ。その辺の実態をお尋ねしたいのです。

〔 吉川分科会長 〕 じゃ、これはご質問のご指名もあったんですが、主計官からよろしいですか。

〔 中村主計官 〕 実は、この議論をしているときに、防衛省の装備担当の課長さんと話しておるわけでございますが、毎年毎年の維持整備方法の見直しとか、装備品のまとめ買いとか、そういったことはきちんとやってくださいということでお願いしておりますし、それから、今、碓井先生からご指摘ありましたとおり、調達改革というと、今までどうしてもこれまで、会計検査院からこういう指摘がありましたので直しますという手続面でのという話だったんですが、先ほどご説明はちょっと飛ばしてしまいましたけれども、28ページの中で、防衛省のほうでまずご検討いただいて、こちらのほうに投げ返していただくということになるんだと思います。契約方式の改善・多様化という中で、例えば、原価積み上げ方式をどういうふうにしていくかでありますとか、複数年度、今、5年が限界ということになっていますけれども、それをどうするかとか、あるいは、ジョイントベンチャーみたいなことが可能かどうかというようなことを、まず防衛省のほうで企業の皆さんと一緒に考えた上で、どういったところがネックになっていて、ここを改善するとブレークスルーがあるみたいなところがあれば、それは一緒に考えていきましょうということを相談しているところでございます。

 年末までに何らかの形で1つ、こういう方向性みたいなのが出せればいいと、先方は言っていますけれども、そういう検討を見守っているというところでございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、また手を挙げられた順番で、富田委員、板垣委員の順で。

〔 富田委員 〕 2点でありますが、1点目は、冷戦が終焉して、それこそ物価が安定してからよりも長い期間たっているんですけれども、先ほど資料でお示しいただきましたけど、21ページ、22ページにあるように、ロシアやドイツのような陸続きで国境を接している国よりも、戦車・火砲の減り方が非常に少ないですね。今回の資料で、この21ページ、22ページは、非常に説得力のある資料だと私は見ているんですけれども、ずっと以前からこのことも財政審の建議でいろいろと提言したものなんですけれども、何でこれほど遅いのか。遅いか早いかというのは、いろいろ判断あるんでしょうけれども、これがやはり大きな、先ほど来の来年度の予算編成において、視点2として、防衛予算の効率化といったことで、北の大地から南西に直接移せるかどうかは別にいたしまして、そういうものがないと、なかなか高さの議論もしにくいのではないかというふうに思います。それが第1点です。

 第2点は、精強性という議論、今回も出てまいりましたけれども、この春の建議においても非常に力強く打ち出したつもりでいたんですけれども、その後どのようになったか、建議の後の経過報告を、非常に重要な点なので、お伺いしたい。

〔 吉川分科会長 〕 では、主計官、お願いいたします。

〔 中村主計官 〕 まず1点目でございますけれども、まず富田先生がおっしゃいましたような点を我々としても指摘したい、強く防衛省側にはずっと言ってきているところでございますけれども、戦車・火砲の推移ということについて申しますと、参考資料の3ページをごらんいただきたいと思います。これは防衛計画の大綱に定めております自衛隊の体制について示したものでございますけれども、07大綱から始めまして、これ、長年にわたってずっと言ってきている話でありますので、戦車とか火砲は陸上自衛隊の主要装備の中にございますけれども、07大綱で900、16大綱で600、22大綱で400というように、かなり水準自体を下げていくようにということには、防衛省との議論の間でもなってきているということで、今後は、大綱・中期のときに、ここのところについてはさらに主張していくべきだろうと考えているところでございます。それが1点目でございます。

 それから、人事制度改革について、これまでどういう経過があったのかということでございますけれども、財審からの建議をいただいてからも、引き続き防衛省側にはずっと言ってまいったわけでございますけれども、新たな体制になりましてからもずっと申し上げておりまして、実は今までは割とこのピラミッド型構造に直していくべきということ、そういう目標のことは言ってきたわけでございますけれども、あまり具体的な方策にわたっては、例えば、後方任用制度みたいなことはときどき申し上げてきていたというところはございますけれども、具体的な検討の方向性として、精強性というものについて、若さだけということではなくて、どう考えていくかでありますとか、階級構成、年齢構成も全ての自衛隊にわたってピラミッド構造が確保されなければいけないかというと、必ずしもそうではないのではないかと。例えば、陸上自衛隊でも、例えば普通科のように、人がまさに戦力ということになっている場合には、やはりそれは精強性の確保の観点からピラミッド型にしなければいけないかもしれませんが、パイロットや船乗りのように、ある程度時間をかけて育てていかなければいけないというような場合にも、全て厳然とピラミッドでなければいけないのかというような、そういった、各自衛隊の特質に応じたところについての議論もしておりますし、あとは、もう一つ、具体的に、今度はピラミッドで申しますと、高齢のところの方々に抜けていっていただいて、若い方を入れていくというのがまさに主眼なわけですけれども、中途退職の在り方についても、例えば定年制を下げるのか、あるいは勧奨退職にするのか、あるいは体力が落ちてきた、あるいは階級によっては、もう階級ごとに年齢というのが定められているわけでございますけれども、ほかにもそういう中途退職をいただくような手段はないのか、あるいは、再任用をどういうふうに活用していくのかということとともに、出ていっていただいた方に受け皿は何もないということにもできないので、今度は再就職援護についてどうやって強化していくかということ、これは恐らく防衛省だけではできない話かもしれませんので、そういったことに踏み込むにもどうしたらいいかというようなことも、防衛省の事務方とは相談しながら、一方的に彼らにやってくださいというよりも、私どもの課題でもあるというふうに考えながら、一緒に検討してきているということでございます。

 年末までに大綱・中期がまとまりますが、そのときには何らかのパッケージというか、形にしてお見せすることができればというふうに考えているところでございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、板垣委員。

〔 板垣委員 〕 1点だけ。アベノミクスで景気が少しよくなったのはいいんだけど、一方で、円安という流れが出ていて、例えば、防衛の場合、外国から輸入する製品が円安効果で値段が上がってしまう、負担が大きくなってしまう。後年度負担の部分も含めて、予期せぬ負担が出てくるんだろうと思いますね。今回の概算要求の中で、為替レートを一体どれぐらいに設定してこの金額を出しているのかということをちょっと教えていただけますか。

〔 吉川分科会長 〕 では、主計官、お願いいたします。

〔 中村主計官 〕 25年度の為替レート82円に対して、96円ということでございます。1円当たり大体20億ぐらいの影響があるということでございますので、板垣委員のおっしゃるとおりでございまして、円安になると、やはり防衛費は膨らむ方向に働くということでございます。それも含めたところで、全体をどうしていくかということになろうかと思います。

〔 板垣委員 〕 為替レートについては、先を見通すわけにいかないんですけど、その辺の部分も考えることも重要。海外から調達する部分が極めて大きいわけなのでコスト負担が増大する。自前で調達するということはなかなか難しいかもしれないけど、共同生産体制を敷いたり、あるいは、日本で使える民生品のものがあれば、増やしていくということはあってもいいのかなと思うんですけどね。

〔 吉川分科会長 〕 今のご質問と同じだと思うんですが、予算編成上の為替レート、想定レートというのはないんですか。翌年度の予算編成をする。

〔 中村主計官 〕 25年度は、各省共通で82円ということで見ておりますけれども、それは年のまさに、年度、予算編成が押し迫ってきたところで、それまでの為替レートを見ながら、その水準を定めるということになっております。各省庁でばらばらというわけにいきませんので、ということです。

〔 吉川分科会長 〕 それは昨年の話ですね。25年度の予算編成をしているときに、年末にかけて82円のレートを想定して、つまり、年が明けてから翌年度、すなわち今年度ですが、そのときに82円レートで想定して予算編成を行ったという、そういうご説明でよろしいわけですか。

〔 中村主計官 〕 そうでございます。

〔 吉川分科会長 〕 また同じような想定を、今後何がしかの想定レートを置いて翌年度の予算編成をしていくという、そういう理解ですね。

〔 中村主計官 〕 おっしゃるとおりでございます。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。どうもありがとうございました。

 では、土居委員。

〔 土居委員 〕 2点ほどコメントがございます。

 9ページの基地対策の予算なのですけれども、特にここで特定防衛施設周辺整備調整交付金については、近年使途が拡大されて、今まで使えないものがあったけれども、いろいろ使えるようになったということになりますと、今までと同じ金額を出すというよりも、少し減らしても満足度は高まるとか、そういうこともあるので、額ありきということではなくて、使途が拡大されているということを踏まえた上での予算編成、予算付けというのは必要だと思います。

 それから、1ページにうたわれているような安全保障の必要性、防衛力整備の考え方、こういうものが基地のある市町村にもっと浸透すれば、わざわざお金をお支払いしなくても、もう十分日本のために貢献しているんだというふうに住民の方も納得していただけるということは、当然やっていかなければならないことなのではないかと。これは実際やるのは防衛省なんだろうと思いますけれども。そうなると、決してこの基地対策が減額されるということだから、何か基地周辺の方々を冷遇しているというようなことではなくて、この基地があるということで国のためになっているということであれば、そして財政状況も鑑みれば、必ずしも以前どおりにお金がここに落ちるということでなくてもいいのではないか、そういう考え方というのも私はあるのではないかなと思いました。

 それから、2点目は、後年度負担の話でありまして、10ページにも概算要求がありますけれども、やはり後年度負担については、もちろん、防衛関係費全体でどういうふうにバランスをとっていくかということは必要なんでしょうけれども、過剰に来年度予算で後年度の負担が新規に増えるということにならないようにバランスをとっていただきたいと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 これはコメントということでよろしいですね。

 では、ほかに、いかがでしょうか。大体予定した時間に近づいてきていますが。よろしいですか。

 では、大体時間ですので、防衛関係の議論はここで終えたいと思います。はじめにお話ししたとおり、今日は長丁場ですので、ここで約10分休憩を取りまして、3時35分くらい、大体それくらいから再開したいと思います。よろしくお願いいたします。

( 休  憩 )

〔 吉川分科会長 〕 では、大体35分になりましたので、後半を再開したいと思います。

 後半は、社会保障予算の第1回目として、まず新川主計官から「社会保障・税一体改革」について説明をお願いいたします。その後、引き続き、今般の社会保障制度改革の要とも言うべき医療提供体制改革について、高橋泰国際医療福祉大学大学院教授よりプレゼンテーションをお願いいたします。

 では、主計官から。

〔 新川主計官 〕 厚生労働第一担当の新川でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、お手元の資料2をご参照いただきたいと存じます。資料2では、最近の社会保障・税一体改革関係について、最近の状況をご報告いたします。

 1枚おめくりいただきまして、1ページでございます。ご案内のとおり、10月1日に安倍総理が消費税の引上げをご決断されました。そのときに、それに伴う対応及び社会保障についても閣議決定がなされてございます。1ページ目は、その閣議決定の中の社会保障制度改革の部分の抜粋でございます。そこにございますように、本年8月に社会保障制度国民会議が報告をまとめました。それに基づきまして、「法政上の措置」の骨子というものを8月21日に閣議決定しております。第3パラグラフにございますように、政府といたしましては、その骨子に基づく法律案を速やかに策定、昨日、臨時国会に提出いたしました。その上でということですが、消費税増税に伴うこの財源を用いまして、基礎年金国庫負担2分の1の引上げの恒久化、あるいは、増収分を活用いたしまして、待機児童解消プランの推進、それから、国民健康保険等の低所得者保険料軽減拡充と、こうした対策を行っていくという閣議決定を行ったところでございます。

 次のページをあけていただきます。2ページ、3ページは、これまでの社会保障給付費の伸びを示すものでございます。2ページの部分につきましては、90年対比で申しますと、2013年は給付費は2.34倍ということでございます。この間、国民所得につきましては、ほぼ横ばいということでございますので、負担能力を国民所得ではかるといたしますと、もうかなり大きな負荷になっているということでございます。

 それから、3ページが、その給付費の財源的な内訳ということでございますが、今の社会保障制度の構造上、高齢化が進むに従って公費の負担割合が増えてくる、こういう構造にございます。さらに問題なのは、2013年、111兆円の社会保障給付費のうち、公費で賄えるものが41兆円、4割弱ございますが、この公費負担が、実は税財源で賄われる部分が全部ではなくて、赤字公債によって将来に先送りがされているというところが大きな問題でございます。

 次のページをあけていただきますが、今の現状を、例えば、消費税、今の予定で10%消費税収が満年度化いたします2017年に投影いたしますと、歳入たる消費税収、この社会保障財源としての消費税収は4%分、11.2兆円に対しまして、対象経費たる年金・医療・介護・少子化の4経費、これは37.8兆円、ギャップが26.6兆円、この部分がいわば社会保障財源たる消費税で賄われていない部分ということになります。今回の改革を織り込みますと、社会保障4経費の部分、消費税1%に相当します2.8兆円を社会保障充実に充てる、その他、年金国庫負担2分の1を恒久財源化する。こうしたことで、対象経費は44.5兆円に増加いたします。それから、税収のほうも、5%引上げ相当分、14.0兆円ということで増加いたしまして、その差額は19.3兆まで縮減してまいります。

 5ページ、6ページが、国民会議のメンバー及びこれまでの議論の経過でございますが、これを踏まえまして、7ページにございますように、昨日、いわゆる報道等ではプログラム法案と呼ばれていますが、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案を提出したところでございます。主な内容は2点でございますが、1つ目は、講ずべき社会保障制度改革、これをいわば工程表のようなものを法律に記していると。それから、社会保障の改革推進体制ということで、2つ目の黒四角でございますが、関係閣僚からなる制度改革推進本部、それから、有識者からなる制度改革推進会議を設置するという内容でございます。

 この講ずべき社会保障制度の改革の措置等につきましては、次のページ、8ページに工程表の形で少しまとめさせていただきましたが、ごらんいただきますように、消費税の10%税収が満年度化する29年度までに掲げられた改革を実施を完了すると。必要な法律案につきましては、赤い字でございますように、26年の通常国会、あるいは27年の通常国会、すなわち来年の通常国会、それから、その次の通常国会に必要な法律案の提出を政府に求めるものでございます。

 最後、10ページ、11ページをごらんいただきますが、社会保障の充実分、2017年度には1%、2.8兆円を充実に充てるということで、10ページの部分でございます。子ども・子育て、医療・介護、年金の4分野に、それぞれこういった内容になってございます。

 大きな特徴は、医療・介護のところをごらんいただきますと、右側に医療・介護保険制度の改革と。これは、どなたにどれだけ適正に負担していただいて、受益と負担の収支じり、帳じりを合わすかという改革でありますが、それと同じような重み、あるいは、それ以上の重みでもって、医療・介護サービスの提供体制改革ということ、医療・介護の本質的な見直し改革となると、やはり提供体制の見直しということになろうと思います。これに多くの項目を割いているというのが特徴であろうと思います。

 それから、ご参考までに、11ページは、この2017年度、2.8兆円に相当する社会保障の充実について、来年度、平成26年度において、現在厚生労働省あるいは内閣府において、要求側としてその配分を考えているというところで、2.8兆円の充実に相当する金額は0.5兆円。ごらんいただきますように、その過半、0.3兆円を子ども・子育て支援に充てまして、待機児童解消プラン等に用いると。医療・介護については、おのおの、こちらに書いてあるような項目について要求をしておるところでございますが、提供サービスの改革ということで申し上げますと、上から2つ目の欄、0.1兆円とございますので、病床の機能分化、あるいは在宅医療の推進、地域包括ケアシステムの構築、こういったものに1,000億円を投じたいと、こういう要求になってございます。ただ、その1,000億円を投ずる投じ方については、さまざま、より有効に使う使い方等あると思いますので、年末までの予算編成過程で大きな議論になってくるものと考えてございます。

 12ページ以降は参考資料でございますので、割愛させていただきます。

 事務局からは、以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、引き続いて、高橋泰教授、お願いいたします。

〔 高橋教授 〕 国際医療福祉大学、高橋と申します。

 今日は、皆さんのお手元にあります「今後どのように日本の医療提供体制の再編を進めていくべきか」というレポートについてお話をする予定なんですけれども、実は、この直前、日本医師会に行って、横倉先生と30分ほどお話をしてきました。これ、関係者に送っていいという許可をもらいましたので、横倉先生にも送ってありまして、もともとは日医がJMAPというデータベースをつくりまして、それをどう使うかという打合せで行ったんですけど、しっかり読み込んでくれまして、幾つかコメントをいただきました。それで、横倉先生から、「これ、医療界の雰囲気と少しずれてるよ」と言われて、どうしようかということを相談しまして、それで、2040年から逆算した医療提供体制の改革のあるべき姿というニュアンスで今日お話をさせていただきたいと思います。

 今日のお話の視点なんですけれども、私は日本中の医療圏を今飛び回っておりまして、それで、これぐらいの視点から日本の地域医療を見ているつもりであります。それで、これは東京と横浜なんですけれども、必ずマクロの中にはミクロがありまして、ずっとこれを落としていきますと、ちゃんと我が家が映っているわけなんですね。医療者の視点ってこういう感じでありまして、一人一人の患者さんの顔を見て、それで医療行為が見えるという形であります。ところが、ここまでおりてきて改革をしようと思っても、人間関係、借金、その他いろいろ見えすぎて、にっちもさっちもいかないと。ですから、今日の話というのは、これはもうちょっとだーっと上げて、医療者の視点ではなく、これぐらいの視点になりますと、人間関係も、それから、借金も見えなくて、あるべき姿が見えると、そういう気分で書いたものであるというふうにまず思っていただきたいと思います。

 私、2次医療圏データベースというのをつくりまして、日本中の医療圏を評価して、各地を回って、日本の医療体制をどうしようかということを考えているわけでありますけれども、自己紹介がわりに最近の動向を説明いたしますと、2012年10月に、日本中343医療圏あるんですけれども、これ、全部行くというふうに宣言をいたしまして、赤いところは行っていないところなんですね。それで、北海道から開始して、6月30日に浦河に行きまして北海道を制覇したり、こういう形で日々飛び回りまして、日本中の医療圏をいろいろ見て回っております。それから、先月は、こういう系統ツアーをして、但馬コウノトリ空港というところから出発をいたしまして、2日間でこれぐらいの病院を見てということでありまして、3月にこういうツアーを、それから、2月にこういうツアーをやるということ、それから、今週末は実は屋久島に行きまして、縄文杉を見つつ、屋久島の徳洲会病院を見ようと。それから、先週は、日本のチベットと言われています、うちの大学のすぐそばなんですけれども、南会津という医療圏に行きまして、ここは神奈川県と同じ広さのところに病院が1個しかないんですよ。そこの院長と1時間ほど話して、南会津で起きて、永田町一丁目一番地の憲政会館で水曜日に講演をしてきたという形で、そこは日本で一番医療密度が高くて、面積当たりの医者の数が、南会津の1万5,000倍。これだけ医者の密度が違います。日本もこれぐらい差があるということを日々感じながら生活をしております。

 それで、今日一番大事なのは、この1ページ目の要旨に書いてあります。この要旨のところを、後ろのほうで詳しく説明しているという構成になっております。

 まず「とことん型」と「まあまあ型」という形で日本の医療の違いを後で説明いたしますけど、「まあまあ型」というのが、これから重要になってくる。これは、実は亜急性という言葉が使いたかったんですけど、この間、国の委員会で一度消えましたので、じゃ、亜急性のかわりに「とことん」と「まあまあ」にしようということで、亜急性とはほぼイコールだと思って聞いていただければと思います。

 解決策を考える場合に、問題点として、日本の医療の地域差が大きいこと、それから、急性期の、特に高度のほうが非常に医療密度が低くて、環境的にプアで、これはしっかりやらないといけないと言いながら、人口が減少して高齢者が増えるので、「とことん型」の市場は小さくなって、「まあまあ型」が大きくなって、今の需給バランスがよくない。それが今後ますます拡大していくと、この3つに問題点をまとめて、解決策を考えるという形になっております。

 解決策としては、まず目標設定が大事だということが書いてありまして、国が亜急性の要素を入れた区分をつくって、それで全国一律の基準で基準病床数というのをつくり、その後に、地方が基準病床数と余りにもかけ離れて、見た瞬間に凍りついて動かないくらい離れているところがありますので、県独自の目標設定数という数値目標をつくって、それをもとに「地域医療ビジョン」をつくろうというのが、2番目の段階になります。

 3番目として、医療提供体制の改革を中心とした形で、「地域医療ビジョン」と現状の乖離を是正しようとする計画や取組に補助金をつけるというようなこととか、それから、地域差は非常に大きいですので、特にひどいところに関しては、例えば、医学部の新設とか、看護の新設とか、逆に増やすべきところもあるだろうと。それから、高度医療に関しましては、後でまた出てきますけれども、やるところを思い切り絞り込んでダウン・サイジングをしてやっていかないと、世界に取り残されるだろうというような話であります。

 4番目は、診療報酬改定によって「とことん型」から「まあまあ型」の誘導を図らないといけないけど、非常に大事なことは、まず医療制度改革で道筋をつけて、ある程度目途が立ってからこの方法を使うべきだと。こういうことを、これから残り20分ぐらいでお話をさせていただきたいということであります。

 今日のメニューは、全くこのとおりで、はじめに、それから、3つの問題、4つの解決策という順番でお話をさせていただきます。

 まず、はじめにでありますけれども、私の話というのは、人口問題から全て発しております。後期高齢者、実は1995年ぐらいから急増して、2010年でもう半分増えて、ここからあと後半戦なんですけれども、あと700万人ぐらい後期高齢者がおります(図1)。この人たちの対応をどうするかというのが当面の大きな問題であります。

 この要素と、もう一つ大きな要素といたしまして、我が国の人口の変動の、減少の話があります。我が国、明治維新のころ3,330万だったんですが、2005年に1億2,800万でピークになります(図2)。ここから恐ろしい勢いで減り続けるわけであります。この要素をもう少し細かく見ますと、2030年ぐらいまで後期高齢者が増えます。ですから、若い人が減っても後期高齢者が増えるので、減り方がマイルドで、これから見ても、20年ぐらいで1,000万ぐらいしか減りません。ところが、2030年から2050年、このときは後期高齢者は横ばいであります。若い人が減った分だけ減りまして、これは20年間で2,000万、年間100万人のペースでこの時期減ります。ここからあとは後期高齢者も減りまして、20年間で2,500万、年率で125万のペースで減っていくというのが人口推計であります。

 このように人口が減っていく我が国に対して、いかに医療、あるいは福祉の提供体制をもたせるのかというのが私の日々考えている課題であります。処方箋でありますけれども、基本戦略は、計画的な早期撤退ではないかと。パイが小さくなるのは仕方がないだろう。人口が半分になるわけです。一番大事なのは、パイは小さくなっても、国民一人一人の社会保障に対する取り分、満足度を保つようにするということが基本であると思います。そのときに計画的な撤退をしないと、一人一人の取り分は守ることができないだろうというのが基本的な戦略になろうかと思います。

 それで、優れたリーダーシップというのが非常に重要になりまして、いつも織田信長で説明するんですけれども、信長の最大のピンチというのが朝倉攻めのときでありまして、浅井長政が裏切ったと。そのとき信長はどうしたかというと、一目散に短期で京都に逃げ帰ったと。それで、その後、織田軍が一気呵成に北陸街道を逃げ帰って、無傷で終わったと。司馬遼太郎さんが、信長の天才性は、桶狭間のような少数奇襲をその後しなかったことと、そのときあっという間に逃げ出したことだというふうに言われて、全くそのとおりだと思います。

 今後、75歳以上が激増、64歳以下が2,100万減ると。その後も減り続けると。この現状を考えたときに、もたもたしていたら、2040年、どういう悲惨になるかというのは、かなりはっきり私には見えているつもりであります。今回の発表というのは、2040年のときのことを少しわかった人たちが、今の時代にこういうことをしておいてくれたら、随分状態がましになったのに何でやってくれなかったんだろうということをやるというのが基本スタンスになります。だから、かなり信長的な話で、現場からすると乖離している話に見えるかもしれません。

 ここから本当のはじめにが始まります。医療は、私の親友の永生病院安藤先生が、急性期医療には、治す医療の「とことん」と、癒す医療の「まあまあ」があることを提唱しておりまして、この「まあまあ」というのは非常にいい言葉だなと思いました。「まあまあ」の医療の基本は、かかりつけ医であります。ただし、悪くなったときに、これを抱えてくれる地域の医療機関、これは「まあまあ型」急性期であろうと。ここが連携している。これは、これから高齢化社会の一番基本になるのではないかと思います(図3)。医療内容は「まあまあ」であっても、地域との関係が保たれるような形で提供され、病気は完全に治さなくても、地域で生活を続けられるよう体も環境も整えてくれるような医療というのがこれから必要になります。このニーズが増えてくるわけであります。

 それから、もう一つ、この「まあまあ型」は、「とことん型」の医療機関からの患者を受け入れて、地域に返してあげるとか、そのリハビリをやるとか、それから、もう一つ大事なのが、看取りの医療であります。こういうようなもののニーズが今後増えていくだろうということであります。下のほうに「とことん型」医療のイメージ図が書いてあります(図4)。これは治癒を目的として、全くその行動形態、思考形態も違うので、これを同じところに混在させておくのはあんまりよろしくないなと。これはやっぱり分けるべきではないかな。それから、今後、下がニーズが減って、上が増えていくと。そうすると、ここを分けておかないと、何を増やして何を減らすという目標設定ができないというのが、非常に重要なポイントになるわけであります。

 これは人間の年齢とともにの比率なんですけれども、要介護の人というのは、若いときにはほとんどいないんですけれども、75歳を超えてから急激にこういうふうに増えてくるわけです。それで、外来中心で急性期中心なんですけれど、ここはさっき言った「まあまあ型」と生活支援型の医療の比率が非常に高まってくる。もちろん、75歳以上でも「とことん型」が必要だという人も当然いるけれども、比率がだんだん変わってきて、この赤い部分がどんどん大きくなっていくというのが、今回のこの提言書の基本にあるわけであります。

 今後、後期高齢者の増加に伴い、「まあまあ型」医療の需給は増えていくので、早急に「まあまあ型」の医療とはどのような医療かを議論し、「まあまあ型」の医療を誰が提供するかを考え、望ましい「まあまあ型」医療の提供体制をつくり上げる必要があるというのが、この発表の一番基本にあります。

 解決策を考える場合に、日本の医療提供体制の問題を3つ指摘したいと思います。

 1つ目は、医療の地域差が大きいという話であります。まず医療資源が地域によって大変差があります。これは総病床数、病院のベッド、これが青いところが多くて、黄色、赤が少ないということであります(図5)。ものすごくはっきりしておりまして、北海道・北部東北・北陸・中国・四国・九州に多く、関東・甲信越・東海に少ないという形になります。それから、看護師数も全く同じような分布でありまして、北海道・北部東北・北陸・中国・四国・九州に多く、関東・甲信越・東海に少ない(図6)。

 それから、介護施設でありますけど、これは若干違います(図7)。北海道は多いんですけど、実は日本で一番75歳以上の高齢者の収容能力が高いのは青森県なんですね。青森県を除く東北は低い。東京周辺は後で出しますけど、微妙なんですけれども、関東・甲信越、それから、大阪近辺が少なく、北陸・中国・四国・九州に多いという、これ、地域差が非常にあります。

 東京は真っ黒で、日本で最悪の場所であります。今、何でもっているかというと、実は、神奈川県が日本トップクラスなんですね。それから、千葉も多いという形で、実はこっちのほうが支えてくれているという部分があるんですけど、ここは後期高齢者が倍増します。そうすると、もうこっちは受け入れる余裕がないので、東京は死んじゃいそうだということは、ほかのところでよくお話しすることであります。このように医療福祉資源レベルは地域により大きく異なると。

 それから、今度は、人口の動態によって、医療のピークがいつ来るかという計算を地域ごとにやりました結果を示している図です(図8)。この黒いところは、2010年に医療需要のピークが来て、今後減り続けるところです。それから、濃い青色は、2015年にピークが来て、今後減り続けます。一方、赤いところは、2040年まで医療の需要は増え続けるだろうと。地域によって医療需要のピークはこんなに違うわけであります。ですから、一律の医療計画はあり得ない話でありまして、地域に応じて資源レベル、それから、需要の変化を考えてプランをつくる必要があるだろうということであります。

 このようなものを組み合わせて地域の医療、介護の余力というものを計算することができます。8月3日号の『東洋経済』で特集がありまして、私のつくったデータをもとに、6ページ、各地域の医療福祉のどこが安心かという、大都市の特集を組んでいただいたんですけれども、この図が最初に出てきてあります(図9)。余力のあるところが、例えば、旭川、室蘭、函館、秋田。関東圏はかなり絶望的なんですけど、1カ所、これは安房、亀田病院があるところです。40%人口が減って、医者がものすごくたくさんいて、亀田先生が何を考えているかというと、東京から10万人引っ張ってこようということをまじめに考えていて、安房10万人構想というのを打ち出しているわけであります。これは大変正しい考え方で、デベロッパーと組んで、1万数千戸のマンションをつくる計画をもう立てられているみたいで、実現したらいいなと思っております。

 北陸のほうは、佐久、松本、富山、金沢、福井まで余力があって、意外に大変なのが愛知県であります。豊田が1970年ぐらいに工業地帯を形成して、そのときに若かった団塊の世代が今一気に65歳、75歳を超えていくということになっていきまして、すぐ真っ黒になるエリアであります。日本で一番後期高齢者が増えるのが春日部なんですけど、第2位が豊田で、今後10年間で144%増える見込みであります。

 それから、関西は結構無風地帯でありまして、このように、中国、四国は非常に余裕があります。今、日本で一番多分医者がだぶついているのは、この出雲という都市でありまして、出雲、松江、米子、倉敷、岡山、呉、宇部、それから、四国の高松、坂出、松山、徳島、高知、それから、九州のほうの別府、北九州、長崎、佐世保、久留米、熊本、宮崎、鹿児島などはまだ余力がありそうだという感じで、地域差がこれだけあるわけであります。地域により、医療・介護の余力が大きく異なるということであります。

 続いて、「とことん型」医療現場の低密度のお話であります。医療の基本は、やっぱり「とことん型」の医療でありまして、最近やっぱり高度化・大規模化していると。日本は、1人当たりの病床は多いんですけど、医者・看護師がそんなに多いことはなくて、病床が多いので、ものすごく薄いんですね。第2の問題は、「とことん型」医療の密度が低いことで、こういったよい急性期医療が行えないというのが非常に大きな問題であります。アメリカというのは、日本の25倍の広さの国土があるんですけど、日本は今8,700ぐらいで、アメリカは5,000前後であります。面積は25倍ありますので、面積当たりの病院の数は40分の1なんですね。これは新川さんの資料にも出ていた、2007年の国際比較なんですけど、まず病床数が、日本は13.9、アメリカは3.1と非常に多いわけで、それで、お医者さんの数というのは、2.1で生の数も少ないんですね(表1)。アメリカは2.4、フランスは3.4あるわけです。病床100床当たりといいますと、アメリカは77.5、日本は14.9と、5倍以上の差があると。看護師も全く同様で、数はそこそこいるんですけど、病床当たりは少ないという形になります。

 これを絵にしますと、こんなに違うというのをお示しいたします(図10)。日本の100床のベッドとアメリカの100床のベッドに、お医者さんを今の数字で置きますと、日本はこれぐらいなんですけど、アメリカの病院ってこれだけ医者がいるわけです。それから、看護師がこれぐらいなんですが、アメリカへ行くと、こうなるんですね。皆さん、どっちの病院で心筋梗塞とか脳梗塞の治療をしたいですか。これだけに関しては、アメリカへ行きたいなって素直に思います。だから、本当に日本は病床数が多くて、アクセスがいいから、皆さん喜んでおられると思うんだけど、密度では決してそうじゃないということをぜひご理解いただきたいんですね。

 それで、平均在院日数は、薄いと長くならざるを得ないわけであります。患者さんから見ると、日本の病院というのは、お医者が1人と看護師1人で、アメリカの病院って、これぐらい、うようよスタッフがいるわけであります(図11)。それで、入院日数は、日本のほうはやっぱり3〜4倍ぐらいになるんですね。ここはなかなか理解してもらいにくいところなんですけれども、初期に濃厚に医療資源を投入したほうが絶対医療の成績はいいわけなんです。これは守らざるを得ないところ。これから急性期のニーズは減っていくわけなので、もうかなり絞り込んで濃度を上げるしかないわけなんですね。これがこれからの医療制度改革の1つの根幹になるだろうというところで、日本は「低密度長期型」、アメリカは「高密度短期型」なんですけど、これからの人口構成を考えても、「高密度短期型」にしていかないといけないだろうというのが2番目の問題であります。

 それから、3番目は、人口の変化に合っていないベッドの配置という話になります。繰り返しになりますけど、若い人が減って、年寄りは増えるというお話であります。それで、このつらい現実というのはやはり受け入れざるを得なくて、2040年ぐらいから、今の制度のことを考えていく必要があるだろうということであります。

 それで、今後の医療・介護の需要がどうなるかということを簡単に試算しております(図13)。これはどうしているかというと、65〜74歳、75歳以上が、それぞれ医療・介護をどれだけ使っているか。人口の変動で掛け合わせて、金額がどうなるかという非常にラフな計算なんですけれども、これをやりますと、介護のほうが伸びが高いんです。これはなぜかというと、介護は74歳以下はほとんど使わないので、74歳以下が減っても関係ないんです。ところが、医療は74歳以下にかなり使うので、その分、足を引っ張られて、この計算によると、介護は2030年に約50%増えるけど、医療は2025年ピークで11.1%になるだろうと。さらに、これを因数分解的に、75歳以上と0〜74歳に分けると、このような形になりまして、75歳以上は、今後6割増える。一方、0〜74歳は、2020年から急激に減ります。これはなぜかというと、2022、23、24年に団塊の世代が75歳になって、赤組になるからなんです。ここから急性期医療の需要というのはどうも減り続けるようであります。

 ということで、需要が減少する0〜74歳の医療の内容と、75歳以上の医療の内容は何かという話で、先ほどの「とことん」と「まあまあ」になるわけであります。0〜74歳というのは、手術をして一時悪いんですけれども、退院すると普通の生活に戻れることが多いわけでありますけど、75歳以上になると、元気がなくて、調整をしつつまあまあやるということが必要になってくるだろうと。それで、ついこの間まで、これは亜急性というのを医政局も保険局も押していて、大変いいコンセプトだと思っていたんですけれども、これがある意味、高齢者にぴったりの病棟、「まあまあ型」医療を提供するための病棟だったんですね(図14)。これが消えちゃったというのが、もう何より、大変なことだと今私思っております。

 日本の病院の現状というのは、この「とことん」と「まあまあ」というのを今後考えていくと、「とことん」は、こういう医療をするところは、どうも病床過剰になっていきそうだなと。亜急性、こういうような生活を守るほうは、今でも足りないんだけど、こちらはどんどん不足していきそうだなと。ということは、急性型の病院を「まあまあ型」、亜急性のほうに変えていくということが求められるというのが、大きな1つの課題になるということです(図15)。

 ここまでを踏まえて、解決策を考えていきたいと思います。4つの解決策という形になっておりますけれども、基本は、まず国が正しい目標を設定して、それをもとに県が独自の目標をつくって、計画をつくるというのが第一弾、第二弾になり、まず目標設定の話になります。国がまずやらないといけないというのは、恐らく地域ごとの病床整備の方向性をはっきり示すことなんですね。それで、病床数のコントロールを実効的な手法で担保することが不可欠であろうということであります。診療報酬による誘導では、病床の数を制限できないというのが非常に大切なポイントでありまして、地域医療ビジョンの中で、病床整備の数値目標をはっきり示すということが、多分一番大事なことではないかと思います。

 それで、2013年9月13日の社会保障審議会医療部会で、「高度急性期」、「急性期」、「回復期」、「慢性期」と、亜急性は消えちゃったんですね。これは大変大きな問題なんです。なぜかというと、「とことん」と「まあまあ型」をこれから調整していかないといけないわけです。「とことん型」は「高度急性期」と「急性期」に入って、「まあまあ型」も「急性期」に入っちゃうんですね。こうすると、「急性期」をさわっても、「まあまあ型」を減らしたり、「とことん型」を増やしたりが、うまくいかないわけなんですね。

 どうすればいいかをいろいろ考えたんですけど、こういう転換をさせるためには、一案として、この「急性期」を、「急性期ローマ数字1」と「急性期ローマ数字2」に分けようと。こうやりますと、「急性期ローマ数字1」を減らして、「急性期ローマ数字2」に変換するということも可能になるだろうと。名前は何でもいいんですけれども、「とことん型」を「まあまあ型」に転換するという道筋をつけるというためには、この枠をつくることが、多分一番大事だろうということであります。ということで、まずは「とことん型」、「まあまあ型」の基準病床数(医療機能別の基準病床数)を国がつくるということが、まず第一段階として絶対にはずせないポイントではないかなと思います。

 それから、病床の整備すべき方向性について、地域により目標が異なるということです。一例を示しますと、私は勝手に試算をしているんですけれども、神奈川県と鳥取県の試算なんですけど、鳥取の医療圏は、一般病床、亜急性病床、療養病床、全部過剰なんですね(図16-1)。横浜北部というのは、全ての病床が不足と(図16-2)。ここが全く違う。これを一律の診療報酬改定で調整するのはまず無理だろうということであります。

 このようなことも含めまして、病床をどう変えていくかということを地域ごとに考えるというのは無理なので、国が基準をつくって、それでフィードバックをする必要があるだろうということです。そのときに、国がとにかく取りまとめて、こういう必要な共通資料、それから、国の基準をつくる病床の方向性を示す(図17)。要は、この地域だったらこれだけだよねという基準を決めることが必要だろうと思います。

 これを受けて、県がどうするべきかと言いますと、この基準病床を示されるのも、例えば、鳥取で全国平均を示されている病院は結構ないんですよね。正直言って。それを見た瞬間、公って何もやらないというのが今までの医療計画だったというふうに私には見えます。だから、国のやつを参考にしながら、できそうな目標病床数の数値目標を県につくらせると。これは勝手に私のつくった言葉なんですけど、目標病床数というのを県に決めさせるというのがポイントではないかなということであります。要は、基準病床数というのは、目標病床数よりも多いところもないんですけど、多くて、現在よりも少ない、こういうところ、要は、何とか達成できそうな数値目標を自分でつくらせる。これが非常に重要ではないかなと思っております。これをつくって、さらに地域医療ビジョンをつくる。こういうふうな、まず進むべき方向をはっきりさせて、鳥取県を減らそうと、神奈川県はやっぱり増やさないといけないよねという、そういうような地域ごとの目標をはっきりさせるというのが第一段階になります。

 要は、これ、イメージでありますけれども、地域によって、それぞれ増やすべき、減らすべきものが違うんですね(図18)。トータルでは、国全体で言うと、亜急性というか「まあまあ」を増やして、それで「とことん」を減らすという形になるんですけど、各地域のものを合計すると国の合計に合致するようにする努力はやらないといけないかなと。ただし、絶対無理だと思います。でも、こういう方向性を示して、間違っても鳥取県に増床をさせてはいけないんだというようなことを、この医療計画の中ではっきり決めないと、診療報酬ではそれは絶対できませんので、そういうような方向性を示すことが大事ではないかなと思います。

 それから、今度は、そのプランを、どうやって実現するのかという話であります。注意点というか、私も医療経営を教える立場として、経営者の気持ちはよくわかるわけですけど、現場は理念ではなかなか動かなくて、診療報酬とかお金で動くというところはやっぱり外してはいけないと。とは言いながら、まずはあるべき姿に引っ張っていくというところから始まるのだろうと思います。手段として多分3つありまして、地域医療ビジョンと、それから、現状の是正に補助金をつけるという考え方と、それから、高度急性期病院の場合は、認定するときに思いっきり絞り込む条件をつけて認定をするということと、それから、地域偏在解消策を地域ごとに実施するという3つがあるのではないかと思います。

 まず1つ目、地域ビジョンの補助金のつけ方の考え方でありますけれども、基本は、このイラストに示していますように、地域に5つの病院があって、薄く医者が配置されていると(図19)。そうすると、24時間体制もとれないし、高度な医療もできないんですけれども、これがくっついて集約化すると、24時間の対応も可能になるし、高度な医療もできるようになる。こういうような取組にお金をつけるというイメージです。

 いつも私が例に出すのは、新潟県の魚沼医療圏であります(図20)。長岡のすぐ隣で、今は一部の救急患者やがん治療などの高度医療を長岡に頼っている医療圏であります。ここは十日町、魚沼と、小千谷総合と、県立小出病院とか、ゆきぐに大和とか、六日町病院とか、この黄色で書いてあるのは、『週刊ダイヤモンド』が病院100点満点で採点しているんだけど、60点を切ったちょっと中途半端な病院で、平たく言うと、中途半端な病院が集まっている医療圏なんですね(図21-1)。75を超えると、本当に地域の中核で頼れる病院という感じであります。昨年の12月、この地に呼ばれて、ここをどうすればいいかということを聞かれるだろうと思って、新幹線の中で考えまして、ここにトンネルができることはわかっておりましたので、じっと眺めて、このゆきぐに大和の辺りに75点の病院をつくって、サテライト化をする。それから、ここは長岡に近くて、ちょっと別の医療圏だから、2つくっつけて一つにしようというような案を考えたら、11月に行ったんですけど、12月にこの病院の起工式が始まると。それから、今年の4月にここがくっつくだろうと。9月まで延びましたけど、実際に合併の話がちゃんと発表されまして、こういう集約化が進むという形になりました(図21-2)。

 ここは補助金をつけなくてもちゃんと動いたんですけれども、こういうことをしないといけないなと考えている地域はたくさんあります。要は、全部減らせという医療圏は、もうとにかくやばいなと皆さん思っておりますので、あと一押しがあると、ここにありますように、これらの地域の病院は全てこのままでは将来お互い共倒れになる不安を抱いておりますので、このような状況下で国の補助金や優遇策が示されれば、これを契機として、ダウン・サイジングとか、統合とか、いい呼び水になってくれればいいなということであります。これは平成の大合併のときのように乗り遅れたらという雰囲気ができる工夫をして、こういうようなことを基本に病床を整備していくのが一番望ましい姿だろうと思います。

 それから、連携モデル、特に「まあまあ型」とかかりつけ医とか、こういうものを推進するところにお金をつけるとか、というようなことも望ましい形ですね。ここにありますような、こういうようなことが今後伸びるようなモデル事業というのをどんどんやっていって、広げていくということであります。

 それから、高度機能病院の絞り込みでありますけど、これはアベノミクスでも、最先端の医療の技術の確保ということをうたっておりますけど、これをやるにはどうしても医療密度を保つ必要があります。その場合、高機能病院の数を絞り込み、さらに、その病院においてダウン・サイジングを実施すると。要は、ここの真ん中のは急性期医療ですけど、これをダウン・サイジングしますと、密度は余るわけですよね。こういう考え方で、この高機能病院のダウン・サイジングを行うラストチャンスがもうじきやってきそうだと。ですから、例えば、看護師の数をフィックスにしておいて、病床数を7分の5に絞ることによって、5対1を実現するという考え方ですよね。あるいは、3.5対1を実施して、病床数を半分にするというような考え方で、そういうことをやるところに高機能病院の、ちゃんと診療報酬の裏付けをつけてやる。それから、患者さんをやみくもに入れたらいけないので、こういう患者を入院させろとか、それから、非常に貴重な資源になりますので、入院期間の縛りをつけるとか、こういうことが非常に重要になってくるわけであります。

 それから、このままダウン・サイジングを行わず高機能病床を野放しにすると何が起きるかというと、医療は需要をつくることができます。そうすると、若い人が減ってくるので、90歳のおじいさんにどんどんステントを入れるとか、腰の曲がったおばあさんを大規模な脊椎の手術をして真っすぐにしてあげるとか、そういうことが多分横行するだろうということが強く予想されるわけであります。ざっくり言うと、3割ぐらいは減らさないとだめだろうなというのが私の直感であります。これは計算の仕方によって全然違うんですけど、高機能病床を絞って、密度を上げるということを、まず1つぜひやらないといけないだろうと。

 それから、基本的には削減なんですけど、決定的に足りないところがありまして、そういうところは増強しないといけないんで、その最たるものは、医学部の話ではないかと思います。これはさすがに横倉先生も苦笑いをしておりましたけれども、私は、医学部はつくるべきだということを今まで3度講演を日本医師会でやっております。これはなぜかというと、東京、横浜地区というのは日本で一番医者が多い地域で、その周辺部というのは日本で一番医者が少ない地域なんですね(図22)。2.5倍ぐらい違います。それで、千葉とか埼玉に医学部ができると何が起きるかというと、周辺の開業医で大学病院で雇うことは絶対ありません。どこから医者が来るかというと、東京の大学病院、医学部から来るわけなんです。そうすると、日本の医師の偏在に一番効きます特効薬になるわけです。要は、千葉県とか埼玉県に医学部ができると、東京の13の医学部からポストを求めて医者が流れるという話なんです。神奈川は看護をものすごく薄くしているので、看護なんかももう少し神奈川で養成機関をつくらないといけないだろうということです。483万の埼玉県、それから、374万の千葉、ここは医学部はないんですけど、ここはやっぱり最低1個ずつはつくらないと、この地域は多分大変だなという地域だと思います。

 最後、診療報酬でありますけれども、基本は、今後行うべき医療提供体制では、国民からの理解を得て、現場の混乱を避けるためにも、まず地域医療ビジョンにより将来の医療提供体制の大枠を示した上で、次に、診療報酬により患者ニーズに応じた病床数の誘導を行う手順を行うことが大切だというのが、踏まえておかないといけないところ。「とことん型」よりも「まあまあ型」を選択したほうが収益率が高くなるような配分の見直しを行うというのが基本であります。これはさすがに難しいと思うので、一番効きますのは、入院基本料を、病床別の地域ごとの事情によって調整できるような形にする。これは実現不可能だと思うけど、これをやると間違いなく適正化ができるだろうと。これは信長クラスの提案になるので、私のほうもさすがに望ましいというような表現をしましたけど、これができれば後生すごく、この時代はよくこんなことをしたなと評価されるんじゃないかなと思うことであります。

 今後どのような病床区分が行われるか不明ですが、「まあまあ型」病床に相当する診療報酬が高ければ、かなりの数が「まあまあ型」のほうに転換していくことは間違いない。逆に、診療報酬点数が低ければ、ほとんどの病院、病棟の転換を実現してほしいことは明らかであると。病院は診療報酬に敏感に反応する。診療報酬が伴わないと動かない、動けないということを肝に銘じつつ、あるべき姿として、まず医療制度改革のほうから枠を示して、その後、こういう形で誘導をしていくということが必要であろうということで、私の発表を終わらせていただきます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。高橋先生、大変明快なプレゼンテーション、ありがとうございました。

 それでは、主計官、高橋先生のご説明に関して、ご意見、ご質問、何でも結構ですが、どなたからでも、いかがでしょうか。

〔 田中委員 〕 では、高橋先生のほうに質問させていただきます。委員の田中と申します。大変わかりやすい説明をありがとうございました。2点質問がございます。

 まず1番目は、「とことん」と「まあまあ」の関係なんですが、ここの線引きをどういう基準で行うのか。恐らく一番もめるのは、特に患者さん側でもめるのは、そのグレーゾーンのところじゃないかなと。そういう方たちをどう説得していくのかということが1点目です。

 2点目は、増強案であります。先生のご研究というのは、課題分析というよりは課題解決型のご研究なので、非常に啓発されたんですけれども、1つ合点がいかないのは、この増強案でありまして、医学部を他県に新設すれば医師がポストを求めて移動してくるだろう、ということです。そこで求めているポストというのは、高度医療ではないかと。そちらの方の研究のポストを求めているのではないかと思います。そうなると地域で求めている「まあまあ」の医療ニーズと合致しないのではないかと思います。また、看護師さんのほうは、看護学校がかなりの勢いで増えていますので、過剰ぎみであります。それならば、新たに公費を投入して看護学校をつくるよりは、むしろ資格を持っているけれども看護師さんとして働いていないとか、過剰分を何かの形で活用するほうが効率的なのではないだろうかということであります。

 以上です。

〔 高橋教授 〕 では、まず後ろのほうからお話をいたしますと、東京の周辺部というのは、今後ほとんどのところが10年足らずで後期高齢者が倍増するエリアなんですね。そのエリアと、ちょうど日本で一番人口当たりの少ないエリアがぴったり一致しているという現状があります。それで、なぜ今までもっていたかというと、基本的に、これまでは若くて有病率が低かったということと、それから、もう一つは、かなり多くの人が東京に勤務しているので、東京の病院を使っていたという事情があるわけなんです。それで、75歳を超えますと、もうとても東京へ行けないという状況になってきて、最近、地元志向が急激に起きてきて、とても回らなくなってきているんですね。ここは本当に特効薬を打ち込んでおかないと、急性期も相当足りないんです。ですから、そういう意味で言うと、基幹病院がすぐできちゃうというのは、場所を選ばないといけないですが、地域にとって非常に大きなプラスになるだろうということで、高度急性期も足りない地域であるということが、1つ目のお答えになります。

 それから、もう一つは、医学部の定員をやみくもに増やしたんですけど、例えば、具体的に名前を出したほうがわかりやすいと思うんですが、長崎とか出雲なんかで増やしてはだめなんですよ。医学部の定員を増やしてはいけないところを言えといったらすぐ言えますけれども、そこの定員全部集めると、医学部を3つ4つつくる定員はすぐできちゃうと。だから、私も医師会で言っていたのは、増やしてはいけないところの定員は平成19年レベルに戻して、それをかき集めて、足りないところに医学部の定員をつくりましょうという話をしています。

 看護も全く同じ話でありまして、要は、そういう人口的な配慮も全くなしに許認可をしているところが問題でありまして、学校のほうも少子化で大変で、生き残るために看護をつくって、そこにこういう配慮なしにやるというのがおかしいんで、ここはもう少し計画的に、人材をどう育成するかというプランがあって、もっと減らすべきところと増やすべきところをはっきりすべきではないかというのが、2番目の答えであります。

 それから、1つ目が、線引きですよね。これは当然混じります。やり方は、多分、そのときの基準のつくり方で、お手上げにやらざるを得ないだろうと思うんですよね。それで、あえて言うならば、残念ながら、年齢でたたかれて後期高齢者医療制度はつぶれましたけど、やっぱり要介護度じゃないかなと思うんですね。だから、要介護認定を使うということになった場合に、「まあまあ」が基本かな。

 それから、地域に関しても、「まあまあ」の急性期というのは、急性期を一応診れるんです。だから、あえてわかりやすい言い方をすると、ローテクアキュートなんですね。アキュートも診れないといけないという形なので、基本的には救急車はそっちに運ぶという形。だから、そこの認定基準というのをはっきりしておいて、担ぎ込めば、肺炎だとか、圧迫骨折とか、基本的な病気に関しては診れるというのが「まあまあ型」の話なんです。

 だから、そこも看板の立て方が非常に重要になる。当然マージがあります。ただし、大事なのは、「とことん」を取った場合は、やっぱり「とことん」的な患者をちゃんと担保して診ておかないと困るという形なので、入れるほうの問題もあるけど、診るほうに関してもある程度制限をかけないといけない。そこにトリアージ機能をどうするかという話、この話は当然出てくるんですけれども、その辺は、ここの定義の決め方によって決まる。これが本当に決まらなくて非常に問題なんですけど、そこは、さっき言ったような、今後増えるところと減らすべきところをはっきり分けて、そこの区分を決めて、それに従って目標数を決めてという形で進んでいくことが大事だろうと。その枠に合わせて、国民のほうも使い分けていく、それから、救急車も使い分けていくというような、そういうことが必要なのではないかなと思われます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、岡本委員、老川委員、井伊委員の順番でお願いします。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。

 新川主計官からご説明いただいた点ですけれども、7ページの、まさに今国会で議論となるプログラム法案に関してなんですが、この中の真ん中に書いてある医療制度の中の2行目の後ろのほうですけど、後期高齢者支援金の全面総報酬割ということが、次のページの工程表に書いてあるんですけれども、私はこの場で二度三度、これについての反対の意見を表明したんですけれども、やっぱり後期高齢者医療制度というものの、そのものの重点化とか、効率化とか、これは本来先に取り組むべきであって、それより前に取りやすいところから取るという、この支援金とか介護納付金への総報酬割には本当に反対であります。

 健保組合の企業にしてみたら、この保険料のアップというのは本当に増税と同じであって、また、法人税に比べても、社会保険料のほうがはるかに大きいという企業がものすごく多いと思うんですけれども。そういうことを考えると、既に始まっているわけですけれども、日本を一番働きやすい国にしようとか言っておきながら、企業が海外に流れていくということは、雇用問題にも影響があるというようなこと。それから、世代間の負担の問題から考えても、このような対応はどうかなと考えますので、総報酬割には、やはり私は断固反対します。

 それから、8ページの工程表を見ていましたら、上の方の医療サービス等の提供体制に、診療報酬に係る適切な対応の在り方とありますけれども、消費税が上がることによる一定の調整ということは、これは必要かもしれませんけれども、全体として財政再建と言っている中では、財務省もずっと取り組んでおられると思いますけれども、ここについての抑制はきっちりやっていただかないといけないと思います。

 それから、全編を通じて、よく自然増とか、高度化とかという表現があるんですけれども、その表現だと、何も問題がなくて、ただ流されていくような感じがするんですよね。やっぱりそれは自然増というよりも、コスト増といいますか、これはコストで黙っていてもかかるんだとか、高度化というと、特にお金もかからないでレベルが高くなるようなイメージがあるんですけれども、これ自体も本当に大きなコスト増ということなんだということを、国民の皆様にも理解してもらう必要があるのではないかと。

 前回説明をいただいたときに、日本の平均寿命は世界でナンバーワンだとか、あるいは、医療体制についても、いろんな面からカウントして世界ナンバーワンだということを考えると、そのような制度をつくってきた日本は立派だと思うけれども、そのような高い発射台にある中で、さらに充実というような表現で、この上にコストをかけていくと、コストとその効果が見合っているかどうかということもありますので、そういう点でこれは考えていかなければならないと思います。

〔 吉川分科会長 〕 おおむねご意見だったかとは思いますが、主計官、何かレスポンスがありますか。

〔 新川主計官 〕 2つ目の論点の、新たな財政支援の制度の創設、そういった点があって、診療報酬に係る適正な対応の在り方とあります。診療報酬に係る適正な対応の在り方というのは、今、高橋先生がおっしゃったような論点も踏まえて、多少法案でも書きぶりが変わっています。

 それから、自然増については、ぜひこの次のセッション、次回の財政審において、自然増とは何なのかということについて、よく掘り下げていただければと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 では、老川委員、どうぞ。

〔 老川委員 〕 高橋先生、ご説明ありがとうございました。

 高度医療を提供する大学病院とか専門病院、それと地域のかかりつけ医、これがうまく連携していくということは非常に望ましいことだと思っているんですが、現実には、かかりつけ医、あるいは家庭医、総合医とか、いろんな呼び方があるんでしょうが、日本医師会がみんな反対されるわけですね。それで、横倉さんなんかは、個人的には割と積極論だというふうに聞いているんですが、全体としてはとても医師会としての抵抗が強いということで、なかなかこれが現実に進まない。これをうまくそういう方向に転換させていくためには、どういうことをしたらうまくいくのか。財政上の措置なのか。この辺をどんなふうにお考えなのか伺いたいんですが。

〔 高橋教授 〕 1つ目は、今、厚生労働省も地道に続けていて、間違いなく効いてきているのは、ビル診的な形の診療だけというのはだんだん苦しくなっていて、在宅をやらないといけないかなという雰囲気が非常に増えてきて。在宅をやっている先生たちは、やっぱり、「まあまあ型」医療に非常に慣れてきていて、うまく看取るとか、そういう人たちが増えてきているなというのは、現場で話を聞いていて感じるところであります。

 だから、1つは、やはりどっちの方向に向かっているのかということをはっきり示すことだと思います。これは、医師会に関して言うと、かかりつけ医というのは、何といっても開業医団体の形が強くて、そこでちゃんと一人一人主治医というか、かかりつけ医がいて、そこで診れる形というのを前面に押し出して、そこは現実にあるから、ここの点に関しては、僕は基本的に医師会とそう食い違っていないんじゃないかなと思っております。

 連携に関して言うと、やはり急性期病院が余りにも広い範囲とか患者を診すぎて余裕がなさすぎるところがあって、なかなかその連携もうまくいっていない。だから、短期間にしてうまく吐き出さなくてはいけないということをどんどんやっていくうちに、紹介・逆紹介率とかという話が出てきて、今ものすごく進んできていますよね。ですから、現場へ行って実際の数値を聞かれたらいいと思うんですけど、今、大病院と言われるところに関しては、少なくとも外来の患者に関しては、どんどん返すというのが減って、思いのほか今進んできていることは間違いないです。僕は、これは今の厚生行政の成功と言っていいんじゃないかなと思っているんですけど、これは徐々にやっぱり長年かけて進んできているなという感じがするので、今の形を延長していけば、雰囲気ができていって、それに従って動いてきている人もそれなりにいるんじゃないかなと思います。

 だから、むしろ医療制度改革の中で、これからこう動くという枠がはっきりしてくると、お医者さんも何をやったら自分の食い扶持が保てるかということには非常に敏感ですので、その方向性を示してあげるということがやっぱり一番大事なんじゃないかなというふうに思います。

〔 吉川分科会長 〕 井伊委員。

〔 井伊委員 〕 高橋先生、どうもありがとうございます。3点質問があります。

 先生が何度も現場はお金で動くんだということをおっしゃっていて、とても説得的だと思うのですけど、私は、そもそも診療報酬が出来高払い制度であることがいろいろな問題の根源になっていると思うのですが、日本の医療保険制度は、医療機関にとって、地域の患者が健康であることに何のインセンティブもないわけですね。とにかく病人に来てもらわないと経営が成り立たない制度であると。ですから、高橋先生、本当に日本中の病院を訪ねていらっしゃるので、よくご存じだと思いますけれども、病院の経営者、事務長であったり、院長であったり、理事長であったりすると思いますけど、基本的に関心があるのは、昨年に比べて収入はどのぐらい増えたか。それは自治体病院のトップの方でもそうですね。ですから、医療費を削減しようなんていうインセンティブは全然なくて、とにかく去年に比べて手術の件数が減ったら増やせ、外来受診数を増やせ、検査を増やして収入を増やさなければいけないというのが、日本中の病院、診療所を含めて、医療機関の基本的な行動だと思うんです。ですから、こういう財政審などで本当に真剣に社会保障の自然増なりを議論しているわけですけれども、現場は過剰医療を奨励している、そういった仕組みなんだと思うんです。

 ですから、先生が要旨のマル3医療提供体制改革を基本とした解決策というところで、補助金をつける権限を都道府県に与える云々ということを言っていらっしゃいますが、その出来高払い制のところをどうにかしない限り、過剰医療を奨励する現場の仕組み、それは皆さん必死なわけですからね。ここにも経営者の方もいらっしゃいますけど、医療機関の経営者としては正しい姿勢なわけです。だから、そういう仕組みを考えない限り、公的な医療保険制度の持続可能性はないのではないかというのが1点目。

 2点目は、先ほど「まあまあ型」と「とことん型」とをどうやって分けていったらいいかということについて、私はDPCの制度を1日定額ではなくて、1入院定額、大体諸外国はどこでもそうですが、そうすることによって、本当に実力のある少数病院が急性期病院として残っていくので、高橋先生が思っていらっしゃるような「とことん型」と「まあまあ型」に自然に分かれていくのではないかなと思います。

 3番目に、先ほどの質問のお答えの中で、かかりつけ医と病院のネットワーク化というところで、やはりここも出来高払い制度のもとでは、病院と診療所は患者の取り合いになっていると思いますので、私は先生がおっしゃったような形で、診療所の役割、かかりつけ医の役割というのがうまく進んでいるとは思わないのです。ぜひ先生には、今日のお話は主に病院のデータですが、やはりそれは診療所のデータでもって示していただかないと、先ほどの質問に対するお答えは納得できないかなと思いました。

 以上、3点です。

〔 高橋教授 〕 まず1つ目は、外来の在総診とかという形で、丸めの方法があって、多分、次か次の改定で入るんじゃないかなと。その後、包括化に進んでいくんじゃないかなということが1つ目ですね。

 2つ目が、DPCの1入院包括の話なわけで、私も高度急性期病院に関しては、1入院包括にして、切り分けちゃったほうがいいんじゃないかなという気はしますけど、今日の大きな流れのときに、いろんなものを盛り込みすぎたらわけがわからなくなる。これでもかなり複雑な話なので、あえて外したところですけど。手段としては、井伊先生言われるように、1入院包括を高度急性期に取らせて、ほかと完全に隔離しちゃうということがありかなと思っておりますので、そこも基本的に賛成であります。

 それから、3番目が、連携のとり合いという話について、外来を絞るということと、入院に特化していくという形になると、これも各地を回っていろんな病院を見ると、思いのほかこれは結構進んでいて、外来を軽くしないと、どうも高機能病院で生き残れないなという形で、今、逆紹介率90%なんていう病院は結構出てきているので、これは先ほどの繰り返しになりますけど、厚生行政の成功例にも近いのではないかなと思うので、次の改定で、恐らく高機能側の外来を絞るという話が来ているので、そこの話が進んでいけば、結構解決できるんじゃないかなと思います。

 それから、連携の仕方はよくわからないので、さきほどの補助金の話ですけど、今後の「まあまあ型」とか、こういう連携がうまくいくことを育てる事業に対して財政的に支援をして、そういうものを広げていくというのは、将来に対する有効な投資ではないかなというふうに思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、鳥原委員、土居委員、田近委員、お願いいたします。

〔 鳥原委員 〕 高橋先生、全国くまなく歩かれて、現場に立脚した説得力のあるお話を伺わせていただきまして、ありがとうございました。

 医療提供体制の再構築には、お話にありましたように、中長期的な視点と、医療機関の偏在などの地域特性への配慮が欠かせないと思います。また、社会保障制度改革国民会議等でも議論されましたように、これを全国一律のルールである診療報酬のみで誘導するのも無理があると思います。こうした点を踏まえ、かつ、個々の病院への経済的な影響が大きいことを考慮しますと、診療報酬制度と補助金のような財政支援の手法を組み合わせて対応していくことを否定するものではありません。

 この補助金の財源については、消費税に求めるのではなく、診療報酬の加減にこれまで以上にメリハリをつけて、診療報酬全体をマイナスに向かわせることを原資にすべきではないかと考えます。そうした考えを基本に、医療機関の連携や総合診療医の養成などの医療機関の再編を促し、供給量の適正化を図る方向で大胆な診療報酬の見直しを行うとともに、一時的に経済的なマイナス影響が及ぶ病院に対して補助金でフォローしていくことが必要ではないかと思います。

 そういう点で、先ほどお話がありました再編の中で、補助金の原資は診療報酬を縮小することによって生み出し、そういうことで財政のバランスを保つ方法が必要だと思いますが、この点に関してはいかがですか。

〔 吉川分科会長 〕 高橋先生に伺いたいと思います。

〔 高橋教授 〕 私は財政の専門ではないので、国の懐がどうなっているかわからないので、違った立場からお話をいたしますと、日本の病院の今の利益率というのがもうマイナスなんですね。私、経営するときにいつも言うのは、いい病院が残るのではなくて、最後は財政的に強い病院が残るんだという話で、大学のほうでは、病院の経営をどう守るかという立場でお話をしております。

 ですから、今の話で言うと、日本の病院の平均の利益率が5%を超えているというなら、ありかなと思うんですけど、今の段階でそれをやると、倒れては困る病院が倒れそうだなという感じがするので、私の立場からすると、せっかく消費税が上がるので、消費税分をこっちのほうに使ってほしいなと。全体のことはわからないので、私の希望として、そういうふうにお話をいたします。

 それから、原資をどこから出すかという話なんですけど、日本の病床が圧倒的に多すぎることがいろんなことの元凶になっているわけです。それで、さっきの魚沼で示したような形で、幾つかの病院を統廃合したときに、3割ベッドを捨てるとかいうような形にして、ベッドが減ると、基本的にそこから出てくるので、私としては、病院はベッドをもっと絞り込んで、数が減っていって、単価が上がっても、掛け合わせたら元より少なくなると、そのような形で進んでいくのが一番望ましいのではないかなと思います。

 それから、もう一つ、今日全くお話はなかったんですけど、1週間前お話したのは、国民としてどう対処すべきかという話を、実は憲政会館でやっていました。そのときの基本的な話というのは、1人当たりの医療・福祉の消費量を3分の2に減らしても、やり方をうまくやると、実はクオリティ・オブ・デス、クオリティ・エンド・オブ・ライフはあんまり下がらないと。それで、基本的に1人の消費量が3分の2になって、質を下げずに1.5倍に増えると、掛け合わせたら1になるから、今のインフラでやれると。ただし、それをやっても東京あたりは無理だから、東京から余裕のあるところに移住をさせると、多分、今のインフラでやれるだろうという、この両面の話で、何とか今ぐらいのインフラを使って、もう少し上のは仕方ないんですけど、それほど増やさずに、質を落とさず、そこのときの要素の1つとして、病床数削減というのは間違いなく入ってくるんじゃないかと思います。

 ということで、私の立場からすると、診療報酬でそういうことをされたらつらいな、というのが私の立場でありまして、これを判断する知識は持っていないというのが私からの回答になります。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 では、土居さん。

〔 土居委員 〕 高橋先生、お話、どうもありがとうございました。

 私は財政学が専門なのですが、医療提供体制を再編しないといけないというのは、もちろん医療の需給の観点からはそうなのですけれども、できるだけ少ない国民の負担によって医療を支えるということにおいても非常に重要なことで、それは両立することなのだろうと思います。そこでご提言があって、非常に興味深く伺わせていただいたのですが、それでもなお残る疑問点を少しお伺いしたいと思います。

 まず1つは、診療報酬なのですが、私も先生ご指摘のとおり、お医者さんは診療報酬で動くということは全く同感なんですが、ならば、このご提言では最後のほうに出てきた、診療報酬での誘導も早期から併用してやってもいいのではないか。例えば、7対1の入院基本料は、そんなに手厚くつける必要ないということで、まず全国的にやってもいいのではないかとか、そういう診療報酬でできることについて、まずやれることもやりながら、補助金もということはどうかということが1点目です。

 2点目は、その補助金のお話なのですが、補助金は、都道府県で目標病床数、これを決めるということならば、私は、補助金は国の財源というよりかは、都道府県からお金を出さないと、勝手に県が決めて、その請求書だけが国に回ってくるという話では、医療提供体制の話がうまくいくのか。つまり、病床数削減が手ぬるい県にも国が補助金を出さなければいけないというのは、何か変だなと思うのですが。

 それはさておき、もう一つ私が気になっているのは、確かに、今の医療法上の権限では、都道府県が医療計画にかかわっているわけですけれども、先ほどの地図もありましたように、県をまたいだ、そう遠くない隣接した2次医療圏で過剰なところと少ないところとがあるという場合は、今の権限だと、知事からすれば、自分の県の中でしか差配できない。隣の県のことは、多少の協調はできるかもしれないけれども、権限がない。過少な2次医療圏を自分の県で抱えていながら、その隣接する隣の県の2次医療圏では過剰であるということならば、いつまでもその状態を放っておくというわけにはいかないにしても、短期、中期では、隣の医療圏のところに頼って、そこで解消するという方策というのも考えられるのではないかと思うんですが、その点はいかがなのでしょうか。

 あと、最後、1点だけ、簡単に。

〔 高橋教授 〕 先生、3つ聞くと、多分忘れてしまうので、ここで1つ目と2つ目をお答えします。

 まず1つ目に関しましては、私は強く意識しているのが、亜急性は、この間の医療審議会のほうでは消えたんですけど、実は診療報酬の中で枠が残っているわけです。これは、保険局医療課のほうで残っていると。そこを勝手に先行して、枠が決まらないうちに大きく動いてしまうとまずいなということをかなり意識したというのが、ここの書きぶりの本当のところであります。ですから、やはりこの枠がはっきりしてから、診療報酬が動くという、先行してという書き方にしたということでありまして、まず枠を決めるというのが本筋じゃないかなという意味であります。

 それから、2つ目、2次医療圏の話でありますけど、これは県が目標病床数を設定して、それを数値目標にして地域医療ビジョンをつくるというから、まさに先生のところを少し意識しているところでありまして、そこに合わないことを県が独自に設定できると、そうすると、どこどこの県のやつをうちはこれだけ受けているんだからって、その分を理屈をつけて増やすとか、逆に、ここの何%が向こうに流れているから、ここはこうするということが、一律ではなくて、県が自由に決めれるわけです。だから、この基準病床数から離れたところに対して、ある程度説明責任が発生するだろうと。そこのところで調整する枠があるのかなというのが、2つ目の2次医療圏の県またぎの話だと思います。

 これは、結構、地域によってはものすごく根深いんですけれども、考慮しないといけないところというのは、多分、10〜20の間ぐらいの地域でありますので、個別で対応できるんじゃないかなというのがもう1つであります。場所によっては本当にすごいんですけど。言われるとおりに。

〔 土居委員 〕 簡単に、最後に1つ。介護療養病床は、先生のこのお考えの中でどう位置づけられているのかどうかと。

〔 高橋教授 〕 これは、あんまりこういう場で言ったらどうかあれですけれども、エルタック研究会というのができまして、療養病床もある程度高齢者救急を診るべきだという形で、そういう多様性をエルタックというんです。亜急性というか、「まあまあ型」急性期のところにそれが入るか入らないか、今大変もめているところなんですけど、私は入ってもいいかなと思っていると。そこに入れないところは、ベッドは残すけど、急性期医療はやっていないから、そこは病院である必要はないのではないかなというのが私の持論でありまして、これは日慢協の武久会長なんかも常に言い続けているところであります。

 ですから、多分、2024年に高齢者の救急をやっていない療養病床に関しては、24年改革の段階で、病院の看板が施設の看板に変わるのではないかなというのが私の見解であります。これは全く私的な意見でありますし、ここに書くべきことではないかなとも思いますけれども、私はそういうふうに考えております。

〔 吉川分科会長 〕 では、田近委員、板垣委員、簡潔にお願いいたします。

〔 田近委員 〕 手短に。

 井伊さんや土居さんが指摘されたこととかぶる質問になるかもしれませんけれども、非常におもしろい、貴重な話を伺いながら、全体としての医療費がどうなるのかなということを考えていて、先生がおっしゃったように、ベッドが多いと、それを国・地方は計画して減らしていくというので、診療報酬の誘導だけではだめだとおっしゃったんですけど、その点は、お二方ご指摘のように、やっぱり診療報酬の今まで型の誘導ではなくて、包括払いの徹底をすれば、入院患者を抱えてやれる病院というのはもう限られてくるので、だから、単なる今までの診療報酬の在り方、中医協的なじゃなくて、そのそもそもの在り方、それから、保険者の機能を強化して、パフォーマンスの悪い診療機関に対しては改善を求めると、そういう面があるのかなと思います。

 だから質問は、トータルコストはどうなるんですかということと、第2の質問は、これをより聞きたかったんですけど、「まあまあ型」というのはイメージするのがものすごく難しいんですよね。だから、急性期病院はもっと特化しろ、我々もそう思うし、「まあまあ型」というのは、老健施設もあるし、今、療養病床までいっちゃいましたけど、それから、診療所もあると。そうすると、「まあまあ型」というのをどうイメージして、そして、そこの次には介護サービスもつくわけで、そこをもう少し踏み込んでいただくと、介護保険にもつながるので、さらに重要な話になるのかなと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 では、高橋先生、お願いいたします。

〔 高橋教授 〕 まず、上がりと下りという話がありまして、下りというのは、高機能病院から患者を受けられると。これはかなり不安定な患者もだんだん在院日数が短くなっているから、それを受ける能力があるということが1つ重要になってきます。それから、もう一つは、ハイテクは要らないけど、やっぱり急性期の患者を、救急入院を受け入れると。地元の要介護3のおじいさんが急に熱を出したと、それを受け入れる体制があるということが、「まあまあ型」のポイントになります。ということは、老健でそれができるかというと、医者が1人しかいなくて、夜救は絶対無理です。そういう意味で言うと、老健とは明らかに違うということになります。ただし、それが県立中央病院である必要があるかというと、全然ないわけでありますので、そういうようなレベルの病院を大切にするということを主張しているつもりであります。

 それから、トータルの予算に関しては、残念ながら、私はよくわかりませんけれども、抑えないといけないということで、一番ポイントは、国民が生き方を変えていくという部分が一番効くんだろうと思っているので、どちらかというと、そちらのほうで話をしていて、ここの積み上げはやっていないので、ちょっとお金のことはわかりません。

〔 吉川分科会長 〕 板垣委員。

〔 板垣委員 〕 医療施設で提供体制をきちっとやった上で、補助金と診療報酬を使い分けて、うまく誘導していくという考え方には、僕は賛成です。ただ、この中で1つ疑問に思ったのは、日本は低密度長期型であり、アメリカは高密度短期型であるということ。なぜ日本がこうなのかということは、つまり、病院から出た後、どこに行っていいかわからない、遠く離れたところに行かされるとかいった状況があるためではないかと思います。つまり、施設が不十分、だからこそ、こうした問題が起きているんだろうと思うんですよね。医療がちゃんとできていないのが原因で、患者さんがだらだらしているということではないのではないかと思います。つまり、おっしゃるような医療提供体制の改革をやった場合に、その行き場のない人が本当に増えないのかどうか、その辺はどう見ていらっしゃいますか。

〔 高橋教授 〕 これはかなり微妙な話なんですけど、北欧がなぜ寝たきりがいないのかという話に帰結する話であります。1991年から93年に、私、3回北欧に行って、10施設を回ったんですけど、胃ろうもないですし、寝たきりもほとんどいないわけであります。なぜか。そのレベルになったら、胃ろうの治療をほとんどしないからなんです。

 そのときに、フランスというか、ヨーロッパ中こうかというと、いや、ラテンの連中は違うよという話を聞きまして、フランスに2008年に行ったら、全く胃ろうはないわけなんです。おかしいじゃないかと調べたら、フランスが1990年から2000年代の初めで、胃ろうを全くやらない国になったんです。それで、この現象を非常におもしろく思いまして、2008年から6年続けて、毎年フランスに行って、それを追い続けています。

 2009年にこの事象を発見をいたしまして、今、フランスで胃ろうが国レベルでなくなったこと、日本でもなくなるだろうということを予言をして、ずっと言い続けていると、2011年ぐらいから、品川地区で結構胃ろうは要りませんという家族が増えてきて、今、品川近郊ではほとんどなくなりました。日本中で、もう胃ろうを拒否する人が急速に増えてきております。その辺の死生観とか選び方が、僕は日本はドラスティックに今変わっている最中だと思うと。これが、要は、行き場があるかないかを決める非常に大きな問題で、これを今のまま温存しておくと、先生言われるとおり、全然足りなくなって、それで、急性期病院がふん詰まりを起こす形になる。ただし、私の言葉で言うと、「寿命はおくる、病気は治す」、その寿命ということを、医療者も含め、国民も納得をして、ある段階であきらめるという北欧、あるいはヨーロッパ的な形で日本の医療需給が変わってくると、この話はがらっと変わると。だから、これは提供体制の話というよりも、国民の需給がどうなるかということ。

 最大の問題は何かというと、自分の死に方とか終末期の在り方を人に依存し過ぎていることなんです。依存するとろくなことはありませんで、依存されたほうは責任回避して、自分では絶対やってほしくないことをがんがんやらざるを得ない今の雰囲気があると。それを防ぐにはどうするかというと、自分から絶対やらないということを意思表示して、周りもそれを認めてあげるという体制をつくることが一番大事で、僕はむしろそちらの問題であろうと思うし、それは今着実に広がっているのではないかと。だから、今日はこの話をするつもりはなかったんですけど、非常にいいタイミングで質問をいただきましたので、この話ができるチャンスが出たんですけど、僕は、そちらのほうの問題で、そこをどう見るかによって、その答えはイエスにもノーにもなると思うし、僕はこれからかなり変わると思います。

 胃ろうに関して1つだけ数字をご紹介いたしますと、胃ろうを入れますと、論文で日本で1本だけ、胃ろうを入れてから亡くなるまでの期間を示したものがあり、ちょうど2年、733日ですけれども、今もっと延びまして、3年間平均でどうも生きるようであります。もう結構ですという形で、そのまま看取り型でいきますと、どうも平均、フランスも日本も10日であります。ということは、3年間1人の胃ろうの人が押さえていたベッドを、もう結構ですという形の自然死型になると、1カ月で3人、年間36人、3年間で100人の方が1つのベッドを使えることになりまして、回転が100倍になります。

 ですから、ここの問題が解消するかどうかということによって、日本の後ろのほうの需要がどんどん変わりまして、僕は変わるだろうというふうに今考えているけど、こういう制度をつくるときに、この変わることを前提にしてつくるのは非常にリスキーだと思っているので、それに国の制度が賭けろというつもりはないけど、私は変わるだろうというふうに思っているということであります。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 では、予定した時間が参りました。高橋先生、本当にお忙しいところ、どうもありがとうございました。本日の議論は以上とさせていただきます。

 本日は、山本政務官に最後までご出席いただきました。何かございましたら、一言お願いいたします。

〔 山本大臣政務官 〕 今日、約3時間という形で、本当に密度の濃い、委員の皆様、また、前半は防衛関係予算、そして、後半は社会保障という大変大事な分野でございまして、高橋先生の現場に基づいた医療のそうしたご提言も多数いただきました。今日、委員の皆様の意見も含めまして、しっかり受けとめさせていただく次第でございます。12月まで大変ご苦労をおかけ申し上げますけれども、よろしくお願い申し上げます。

 本日はありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 いつもと同じですが、本日の会議の内容の公表につきましては、私にご一任いただき、会議後の記者会見でご紹介させていただくことにさせていただきます。会議の個々の発言につきましては、皆様方から報道関係者等に対してお話をすることがないようにお願いしたいと思います。

 次回は10月21日午前9時半からこの会議室で開催し、社会保障の第2回目として、「平成26年度予算編成の課題」及び「公共事業」を取り上げたいと考えております。

 それでは、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

午後5時03分閉会

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