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財政制度分科会(平成25年5月14日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成25年5月14日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成25年5月14日(火)16:01〜19:08
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

1.開会
2.有識者からのヒアリング
・「欧州危機と財政規律強化の取り組み」
 池田琢磨 野村・インターナショナルplc シニアエコノミスト
3.各論
・地方財政について
・社会資本整備について
〜休憩〜
・防衛関係について
・文教関係について
4.閉会

配付資料
○ 資料1      欧州危機と財政規律強化の取り組み
○ 資料2      地方財政について
  (参考資料)   地方財政関係
○ 資料3      社会資本整備について
  (参考資料)   社会資本整備について
○ 資料4      防衛関係について
○ 資料5      文教関係資料
  (参考資料)   文教関係

分科会長  吉川 洋            山口副大臣
竹内大臣政務官
伊東大臣政務官
木下主計局長
中原次長
福田次長
岡本次長
可部総務課長
小宮調査課長
江島主計企画官
青木主計官
諏訪園主計官
角田主計官
吉井主計官

 

 

分科会長代理      田近 栄治  
 委員

井伊 雅子
井堀 利宏
碓井 光明
岡本 圀衞
倉重 篤郎
黒川 行治 
角   和夫
竹中 ナミ
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基
鳥原 光憲
早川 準一

 臨時委員

赤井 信郎
板垣 信幸
葛西 敬之
小林 毅
渡辺 捷昭


午後4時1分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、まだ何人かの委員の皆さんは見えてない方もいらっしゃるんですが、定刻ですので、時間も詰まっていますので始めたいと思います。ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様、ご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。

 本日は、まず有識者からのヒアリングといたしまして、池田琢磨野村・インターナショナルシニアエコノミストからお話を伺います。続きまして、各論といたしまして、地方財政、社会資本整備、防衛関係及び文教関係について説明していただき、それぞれ質疑を行いたいと考えております。

 なお、本日は3時間の長丁場ですので、各論のうち社会資本整備の質疑が終わったところで休憩をとりたいと思いますので、最後までよろしくお願いいたします。

 それでは最初に、「欧州危機と財政規律強化の取り組み」といたしまして、池田琢磨野村・インターナショナルシニアエコノミストからお願いいたします。よろしくお願いします。

〔 池田野村・インターナショナルplcシニアエコノミスト 〕 英国野村證券の池田でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 お手元の資料及びスクリーンに映っております資料に基づきまして、ご説明させていただきたいと思います。これは資料が、済みません、違うものが映っているのですが。

 失礼いたしました。今日はお手元のほうに実は私の資料を2種類ご用意しておりまして、今日の会議でご報告させていただきたいのは最初の薄いほうでございます。それで、今日は「欧州危機と財政規律強化の取り組み」ということでお話をさせていただきたいと思います。

 まず、今日は欧州危機、それから欧州の中で財政規律強化という話がどういう経緯で出てきたのか、そこからお話をさせていただきたいと思います。

 ここのスクリーンに今映させていただいておりますのが、欧州の長期金利、ドイツの国債利回りと、それから周辺国と呼ばれている国々の国債利回り、これの格差、スプレッドをとったものでございます。2008年のいわゆるリーマンショックを契機に起こりました欧州危機、これはさまざまな局面あるいは側面を持っております。現在、主に焦点が当たっておりますのは、このうちの財政危機としての側面でございます。こちらのグラフの中でもごらんいただけますように、2010年の5月、ギリシャ危機が勃発いたしました。次いで半年後の11月には今度はアイルランド、さらに11年の4月、今度はポルトガル、それぞれ国債利回りが大幅な上昇に見舞われまして、持続可能な条件ではもはや資金調達が不可能になってしまったと。結果といたしまして、他のユーロ圏諸国及びIMFからの財政支援を仰ぐに至ったということでございます。こういう危機を受けまして、欧州を取り巻く、特に投資という意味で、金融市場のほうではユーロ圏が分裂するのではないか、こういう懸念も高まりましたけれども、実は分裂に向かうのではなく、むしろ統合を進化、さらに進めていくと、こういう議論が今出てきているところでございます。

 ここのスクリーンに映しておりますのは、昨年の12月に出てまいりました、いわゆるファンロンパイレポート、欧州統合を今後どのような日程で進めていくのか、具体的にどのようなことを検討していくのかを示したものでございますけれども、こういったロードマップが発表されるように、具体的に欧州の統合を進めていこうという議論が出てきているところでございます。この中で銀行同盟といったような議論もなされておりますが、これと並んで重要な論点となっておりますのが財政規律の強化ということでございます。

 このように財政規律の強化という話が出てきているのですが、この議論の背景についてももう少しご説明してみたいと思います。

 財政規律の重要性といったことで申し上げますと、例えば欧州での安定成長協定というものがございますけれども、この中では物価の安定、それから強固な持続的な成長及び雇用創出の条件、これを強化する手段といたしまして財政規律の強化というものが位置づけられております。また、欧州危機を受けまして、財政規律の強化をこれまで以上に強化していこうと、こういう方向性が打ち出されているところでございます。

 さらに、欧州、特にユーロ圏、これは異なる17カ国の国々が1つの通貨、ユーロを使っております。こういう異なる国々が同じ通貨を使い続ける、これが経済的に見て合理的、最適である、このための条件と言われるものがございますが、いわゆる最適通貨圏の理論というものがございます。ここのところから考えてみますと、最適通貨圏であり得るための条件の1つといたしまして、労働力の移動あるいは財政統合が必要であると、このように通常指摘されております。しかしながら、財政統合といいますのは、平たい言葉で申し上げますと、ドイツの税金を例えばギリシャやスペインのために使うということでございますので、ここではいわゆる政治的な統合、ドイツ人とスペイン人あるいはギリシャ人との間には分け隔てがないといったような政治的な合意が必要になってまいります。

 政治統合されていない場合に、財政資金の移動というのは、心情的に見ましても容易には受け入れられないということになります。また将来、政治・財政統合を行っていく、こういうことに関してはともかく、財政統合を行う前に、各国のまずは競争力の是正をする。あるいは、財政規律を強化して、ちょっと変な例えですけれども、いわば身ぎれいになってから結婚しましょうと、こういうことが強調されているところでございます。

 仮に、変な例えかもしれませんが、結婚ということで考えてまいりますと、互いに結婚の意思を固めた2人、この場合は17カ国ということになりますが、それぞれにまずは身ぎれいになってから一緒になりましょうと。大きな借金を抱えているのであれば、結婚する前にその借金を整理してから、あるいは借金が返せるような競争力を身につけてから初めて結婚しましょうと、こういうことを考えているわけでございます。仮にそういった条件を満たす前に結婚してしまいますと、一方的に他方に資金を移転し続ける、これはお互いの関係が安定しない。あるいは、資金を出す側から見ますと、愛想が尽きてしまう。こういうことをまずは避けてからという議論が出てきているということでございます。

 以上、欧州で危機が起こった、そうした中で財政規律の強化というものがこれまで以上に重要なもの、強調されるところになってきたというところのご説明でございます。

 では次に、欧州の危機がなぜ起こってきたのかということを少しご説明してみたいと思います。これを私はイソップの「アリとキリギリス」の話、ここで例えてご説明をよくさせていただいているんですけれども、ごくかいつまんでご説明してみたいと思っております。

 欧州危機の背景というものを考えてまいりますと、過去20年間の間で起こりました大変大きな2つの変化、これを指摘することができると思っております。まず第一に、1989年、いわゆるベルリンの壁が崩れて以降、旧共産圏諸国がEU、欧州連合のほうに加盟してくると、結果といたしまして、人、物、金の移動が大幅に自由化された、こういうことが起こってまいりました。

 実は、ここのスクリーンに映しております地図をごらんいただきますとおわかりいただけますように、欧州と一口で申し上げましても、1人当たりの所得の水準は大変大きな格差がございます。大まかに申し上げれば、大変豊かな西欧、それから北欧諸国、それに対しまして、やや所得水準の劣る南欧諸国、そこからさらに貧しくなってまいります中東欧諸国、さらに東に向かって行けば、なお貧しい国になってくるということでございます。一部には、世界的な水準で見ましても貧困国と呼ぶべきような国も欧州の中に含まれているということでございます。

 このように所得の水準が大きく異なる、そこが1つのマーケットを形成いたしまして、人、物、金の動きというものが自由が保障されるということになりますと、当然のことといたしまして、ここに矢印が示してありますけれども、より所得水準の高い有利な雇用を求めまして、一般に考えてみますと、人が南から北へ、あるいは東から西へと、このように移動してきたということでございます。また逆に反対方向に、より安価な労働力を求めまして、資金は逆方向に動いてきたということになるわけでございます。このようにいたしまして、欧州全体で見ますと、今まであまり有効に活用されてこなかった安い労働力を使うことによりまして、欧州は成長のフロンティアを大きく拡大させてきたと、こんなふうに整理することができるかと思っております。

 また、第2の変化ということでお話しさせていただきたいと思いますが、欧州ではいわゆる統一通貨ユーロが導入された、これは大きな変化でございました。また、この統一通貨ユーロ導入に先立ちまして、諸国の間で経済的なファンダメンタルズの改善、例えば財政赤字の削減、インフレ率の低減といったようなことが目標とされまして、政策として実行されてきたということでございます。

 欧州におきまして、こういったファンダメンタルズの改善が起こりました結果といたしまして、統一通貨ユーロが導入される前から、ちょっとこちらのほうをごらんいただきたいと思いますが、これはドイツとその周りの国々との資金調達コストの格差を示しておりますけれども、この資金調達コストが大幅に下がってくる。つまり、従来は高い金利を払わなければ資金を調達できなかった国々が、最も欧州において信用力が高いドイツ並みの安い資金を調達することができるようになってきた、こういうことが起こったわけでございます。

 例えば昨今話題となっておりますギリシャでございますが、ギリシャの10年国債利回りは、ユーロ圏に参加する前はおよそ14%でございました。大変高い金利だと言っていいと思いますが、通貨統合参加後はわずか4%にまで下がるということであったわけでございます。

 このように、現在、ユーロ圏のいわゆる周辺国と呼ばれている国にとりまして、夢のような低廉なコストで潤沢に資金が利用可能になったと、こういったことが過去20年の間で起こったということでございます。

 その結果として起こったことなのですが、次のページをごらんいただきたいと思いますが、ここに示しておりますのは、ドイツの1人当たりGDP、これに対しまして他の欧州諸国の1人当たりGDPがどのように推移したのかをごらんいただくものでございます。基本的に全て右肩上がりの線になっていることがおわかりいただけるかと思います。つまり、ドイツのように大変豊かな国のように、急激に周りの国々の所得水準が押し上がっていった、キャッチアップしていったということがごらんいただけるかと思います。

 しかしながら、こうした急激な所得の拡大というのは、裏側で、低廉な資金調達コストを受けまして資金を海外から取り込む、こういう形で達成されたものでもありました。結果といたしまして、右のグラフにごらんいただけますように、ユーロ圏内におけます経常収支の不均衡が大きく拡大していった。つまり、今、周辺国と呼ばれている国々は経常収支の赤字が拡大していった。これが累積されたものが債務でございまして、現在の欧州債務危機の淵源をなすのは、こうしたメカニズムであったということでございます。

 さて、大きな2つの変化が起こったことによりまして、今日の問題の原因となります債務が累積していったということをここまでご説明させていただきましたが、経常収支の赤字が拡大することそれ自体は必ずしも悪いことだとは考えられません。なぜかといいますと、国にはいわば発展段階というものがあるわけでございまして、初期において十分な資本ストックの蓄積がない国が進んだ技術を導入する、こういったものは必要な段階と考えてよろしいかと思います。

 ここで問題となりますのは、したがいまして、経常収支の赤字が拡大していた、その結果として債務が積み上がったことそれ自体ではなく、この債務は最終的には返済しなければならない。返済するための手段としてどんなものが考えられるかといいますと、結局のところ、導入した技術によって競争力を高め、やがて将来的に経常黒字に転じていくという絵を描かなければならないということだと思われます。

 こちらの左側のグラフで示しておりますのは、経常収支の黒字が拡大したのか赤字が拡大したのか、あるいは単位労働コストという数字をとりまして、競争力が改善したのか悪化してしまったのか、これを示しております。現在問題を抱えている国、幾つか指摘されておりますけれども、例えばここでごらんいただきますと、ギリシャ、ポルトガル、あるいはアイルランド、それから最近困難が高まっていると言われておりますスペインやイタリア、こうした国々は全て、経常収支の赤字が拡大しただけではなく、競争力が大きく落ちてしまっていたと、こういうことがごらんいただけるかと思います。

 つまり、先ほど来、アリとキリギリスのお話ということでお話ししてまいりましたが、劇的に資金調達コストが低下した、この状態が10年間の長きにわたって続きました。これを非常に快適な夏だと考えますと、夏の間、本来は競争力を高めなければいけなかったのに、サボった結果として、いわば遊んでいた結果として、冬が来たときに困ってしまったキリギリスの国々と、そして、それに対しまして、その間も黙々と競争力を高め続けてきたドイツのような国は、いわばアリの国ということになろうかと思います。

 よく欧州の危機を解決するためにはドイツが金を出せばよいという議論がなされるのですけれども、ドイツの立場からいたしますと、夏の間遊んでいたキリギリスに対して、なぜ自国民の税金を投入してこうした困難な国々を救わなければならないのか、こういう議論が出てくるのは、ある意味で自然な話だとご理解いただけるかと思います。

 それからもう一つ、経常収支の赤字、それが累積した債務ということでお話し申し上げてきたのですが、これは1つの形態といたしまして、金融機関が大きく貸し出しを伸ばしてきたということを意味しております。それがあるから裏側で経常収支の赤字が拡大するということになるわけなんですけれども、実は2000年代の半ばまで起こっていたことというのは、一般にはアメリカのサブプライム問題のような貸し過ぎの問題が起こっていた、このように理解されますけれども、実はそのアメリカと比べましても、欧州の金融機関におけます貸し出しの増加、信用の拡大というのははるかに大きなものでございました。それから、経済規模に対する金融機関の規模ということで考えていただきましても、実は欧州の多くの国々はアメリカ以上のプレゼンスを持っていたということがおわかりいただけるかと思います。

 したがいまして、欧州危機は、最初の状況におきまして銀行危機、金融危機という形をとったわけでございます。結果、金融危機が後半に起こりましたので、この問題を解決するために、いわゆる公的資金の投入が正当化される。結果といたしまして、そこで初めて、この欧州危機が経常収支不均衡問題から金融危機へ、金融危機から今度は財政赤字の拡大、債務の拡大、そして今、財政危機というふうに問題が変わっていったということでございます。

 時々、欧州の危機は財政が放漫であったがゆえに起こった問題であると、こういうふうに説明がなされることがございますけれども、実は右の絵にごらんいただけますように、例えば典型例はアイルランドやスペインでございますが、今回のリーマンショックが起こる前は、ドイツは財政赤字でございましたけれども、スペインやアイルランドといった国々は財政黒字という状態でございました。しかしながら、金融危機が深刻化していく中で、それへの対処を進めていく中で大幅に財政が悪化していくと、こういうことが起こったということでございます。

 さて、先に話を進めさせていただきたいと思いますが、このように背景をご説明させていただいた上で、では具体的に欧州の財政規律の強化策がどんなふうに進んでいるのかというふうに話を進めさせていただきたいと思います。

 先ほども冒頭のところでお話しさせていただきましたように、欧州でももともと実は安定成長協定というものがございまして、そうした中では、財政赤字をGDPの3%以内に抑える、政府の債務という点で申し上げますと、GDPの60%以内に抑え込む、こういうことがもともと目標としてうたわれておりました。

 ところが、ここまでご説明してまいりましたように、結果としては、この状況を大きく上回るような財政状況の悪化が起こってしまったわけでございます。どうしてこういうことが起こってしまったのか。それに対して欧州はどのような対応をしようとしているのか。

 彼らは基本的にこういった財政状況の悪化が起こってしまった要因につきまして、1つは、これまで財政規律という目標はあったけれども、それがしばしば裁量的に運用されてしまった、このような理解に立っております。いわば、ここの部分は財政規律の緩みと考えられるわけでございます。これについては、実は実態に即してない面があるんだということを先ほど簡単にご説明させていただきました。

 もう一つございます。それは、経常収支の不均衡の拡大、あるいはその裏側で起こっておりました銀行の急激な信用の膨張、あるいはそれの結果として引き出されておりました住宅ブーム、こうした経済的な不均衡が長らく放置されていたのではないのか、こういうことも考えられるようになっているわけでございます。

 こうした反省に立ちまして打ち出されているもの、幾つか指摘することができるかと思いますけれども、まず従来からありました安定成長協定、財政の規律という点で考えてみますと、裁量的な余地を狭めようと、こういう話が議論として出てきているということでございます。具体的に申し上げますと、財政規律の基準から逸脱いたしますと、従来の裁量的な部分を排除するために自動的に制裁措置が発動されるようにするということ。それから、あるいはその際の制裁の決定も従来よりもより容易にできるようにすると、こういう工夫が盛り込まれております。

 そして、もう一つ大きな特徴といたしまして、各国が、先ほど申し上げましたようにユーロ圏は17カ国から成りますけれども、この17カ国がお互いに互いの予算をチェックし合うことによって規律を強化する、こういうことが盛り込まれております。さらに今年からは、17カ国は自国の中で予算案を議会で議決する前に、その予算案を欧州委員会に提出してチェックを受けなければならない、こういったことも盛り込まれてきているということでございます。

 そして、さらに申し上げれば、こうした仕組みをより強固な形にするために、各国のレベル--欧州というのは実は主権国家の連合体でございまして、EUというのは超国家ではない。主権国家の連合体でございますから、最終的な主権は各国にある。だから、各国のレベルで財政規律を強化するために、各国で法律をつくりましょうということも打ち出されてきているということでございます。

 それから、もう一つ出てきておりました、マクロ的な不均衡を放置してしまったために結果的に財政状況が悪化した、こういう認識に立ちまして打ち出されているものといたしまして、マクロ的な経済的な不均衡が生じていないかチェックしようと、こういう仕組みが盛り込まれております。そして、こうした大きな不均衡が認識された場合には、それを早期に是正する措置を入れる。このように、通常考えられる財政規律といった枠組みから大きく拡大したような形で取り組みがなされてきているというのが、近年の欧州における財政規律強化策の特徴と指摘することができるかと思います。

 さらに申し上げれば、今回の問題、欧州危機というものが金融危機の様相をとったということでございますので、もうちょっと広いコンテクストから考えてまいりますと、金融規制強化というものも同じ文脈の中で語ることができるのかと考えております。

 次のページに示しておりますのは、これは大変細かい字で書いてございますし、正直やや煩瑣な部分がございます。欧州で打ち出されているもの、メニュー的に申し上げますと、2-Packあるいは6-Pack、あるいはFiscal Compact、こうした言葉があるんですけれども、さまざまな形で財政規律強化策が打ち出されていると、その概要をまとめたものでございます。実はこの概要をご説明しようといたしましても、それぞれのものが互いに関連し合っておりまして、大変複雑な状況になっております。したがいまして、ここでは条文を追うというような形を避けさせていただきまして、その機能、目的に応じてやや分解して整理し直したものでご説明させていただきたいと思います。

 次のページ以降でございます。そこで出てきているのは、経済的な統治を入れようということでございます。大きく分けますと、2つの柱からそれは成っております。

 1つは、財政監視と呼ばれているものでございます。これは欧州委員会、EUにおけます行政を扱っている部分とお考えいただければよろしいかと思いますけれども、この欧州委員会がいわゆる構造的な財政収支に基づいて加盟各国の財政状況を評価する、これを毎年繰り返すことになります。

 この評価の結果といたしまして、財政不均衡のおそれがある、信号になぞらえますと黄色信号がつくということでございますが、こうした状況であると認定されますと、それに対応して予防的な措置がとられる仕組みになっております。その第1段階といたしましては、まず加盟各国にこうした不均衡があるおそれがあるから是正しなさいというような勧告という形をとります。そして、さらにその勧告の状況がうまく実施されていないということになってまいりますと、第2段階といたしまして、GDPの0.2%に当たる額を欧州全体に対しまして供託金という形で出さねばならない、デポジットするということになっております。つまり、財政規律の強化というものを、違反していますよと言うだけではなく、最終的には罰金をとりますよという形で実効性を担保しようとする仕組みが、ここに工夫が見られると考えることができると思います。

 それからもう一つ、今度は赤信号がついた場合。財政不均衡のおそれがあるのではなく、財政不均衡が起こっている。具体的に申し上げますと、一般政府部門の赤字がGDP比で見たときに3%を超えている、こういう状況が認定された場合には是正措置が発動されます。これも4段階に分かれておりますけれども、勧告から始まりまして、供託金を出す。それから、供託金の条件が、最初は無利子つきなんですけれども、課徴金を科すという形にまで変わっていくということでございます。さらに、是正措置がいつまでも継続的に実行されないということになりますと、相応の課徴金を取るというような形で、ここでも実効性の担保という仕組みが見られるように思います。

 さて、もう一つの柱でございますけれども、こちらはマクロ的な経済不均衡の監視ということでございます。先ほど申し上げましたように、欧州は財政規律ということで見ると、アイルランドやスペインは財政規律はきちんと守っていたということでございます。にもかかわらず、そうした国々は、危機が起こった結果といたしまして財政状況が大変悪化してしまった。であるとするならば、危機を引き起こすようなマクロ的な経済的な不均衡にあらかじめ対処しなければならない、こういう認識に欧州は立っているわけでございます。ここでも欧州委員会が国ごとにレポートを作成いたしまして、マクロ的な経済的不均衡なるものが生じているかどうかの判定をいたします。不均衡があると認定されますと、ここでも予防的な措置、ここでは加盟国への勧告という形をとります。そしてもう一つ、過剰なマクロ的な経済的不均衡があると認定されますと、ここで是正措置が発動されます。ここでも最終的には課徴金を取るという形で実効性を担保する仕組みが盛り込まれているところでございます。

 さて、ここまでお話ししてきたことを、今度はカレンダーベースで整理し直したのが次のページでございます。欧州には経済・財政政策協調を担保する仕組みといたしまして、欧州セメスターと呼ばれる仕組みが導入されております。これは毎年予算をつくっていくというサイクルの中で、ごめんなさい、これは順番からすると説明がしにくいんですけれども、毎年11月に欧州委員会が各国に対応するレポートを発表いたします。そのレポートの中で警告が発せられますと、そのレポートに基づきました政策ガイダンスというものが欧州理事会のほうで採択されるという形になります。欧州委員会がさらにそれらに対して、どのように是正措置をとるべきなのかという勧告を出していくということになります。この勧告を受けまして、最終的に各国政府が予算案を作成する。このように欧州委員会、それから欧州加盟各国の首脳から成ります欧州理事会、それから加盟各国のレベルそれぞれに応じまして予算案をもんでいくということが起こっていくわけでございます。そして、最終的なところで申し上げますと、例年、今年からなんですけれども、10月15日までに加盟各国は欧州委員会に予算案を提出しなければなりません。これが最終的に妥当なものだと考えられますと、そこで初めて各国の議会で予算を決定していくという形をとっているわけでございます。つまり、ここで考えてみますと、通常の主権国家がとる議会の予算編成権というものに対して、実は欧州委員会あるいは欧州という超国家体が介入すると、こういう超国家への脱皮の萌芽が見てとれるのかなと見ることができるかと思います。

 時間の関係もございますので、次の過剰な財政赤字是正措置につきましては、今、現時点で申し上げますと、これらの国々がその対象となっているんだということ、こんなふうにリストが上がってくるんだということを見てとっていただけたらよろしいかと思います。

 さて、先ほど申し上げました、欧州が従来の財政規律策から大きく踏み出した、視野、スコープを広げて問題に対処しようとしている工夫といたしまして、マクロ的な経済的不均衡への目配りというものを指摘させていただきました。このことについてご説明させていただきたいと思います。

 マクロ経済的不均衡と申し上げましても、どんなものがあるのか。欧州では主に10項目を挙げまして、ここからのずれがないかどうかをチェックすることになっております。具体的には、お手元の資料の17ページの左側の表のほうにまとめてあります。幾つか読み上げてまいりますと、例えば経常収支の不均衡が拡大している、これは問題である。あるいは輸出市場におけるシェアが落ち込んできている、これも問題である。あるいは、競争力という観点で見ますと、単位労働コスト、この動きにも注目が必要である。あるいは、先ほど銀行部門における急激な信用の膨張が今回の欧州危機のある意味で淵源、原因をつくったわけなんですけれども、その点からいたしますと、民間部門の借り入れフロー、企業や家計部門が急激に借り入れを増やしていないかどうか、こういうチェックをする。あるいは、住宅価格が大幅に上がっているというようなことが起こっていないだろうかと、こういう物事についても同時にチェックしていく。こういう仕組みになっているところでございます。

 そして、次に18ページのほうでございますけれども、そうした1つの仕組みといたしまして財政協定というものが発効されております。これは今年年初に発効したものでございますけれども、いわゆるFiscal Compactという言葉で打ち出されているものでございます。ここでは構造的な財政収支を参照値として用いまして財政状況のチェックをするということになっております。後ほど、構造的な財政収支というものがどういうものなのかということについて簡単にご報告させていただきたいと思います。先ほどもご説明させていただきましたように、ポイントといたしましては、各国レベルで財政規律を強化すべく法制化するというようなこと。あるいは、例外的な状況というものをより狭く定義する、裁量的な余地、財政の裁量措置を狭めるといったような工夫が盛り込まれているものということになります。

 さて、今出てまいりました構造的な財政収支につきまして簡単にご説明してみたいと思います。何でこんな概念が、従来の単純な財政赤字でなく構造的な財政収支というものが強調されるようになってきているのか、それをちょっと考えてみたいと思いますが、構造的な財政収支とは、いわゆる普通の財政収支から景気循環要因--景気が基本的に悪くなってまいりますと、例えば失業給付が増えてくる。あるいは歳入の面で申し上げますと、税収が減ってくる。つまり、景気が悪くなってまいりますと財政赤字は拡大しがちということになるわけですけれども、こうした景気変動による財政収支の変動については、これを取り除くという考え方でございます。

 そして、もう一つございますのは、1回限り、ないしは一時的な要因で財政収支が大きく動くことがある。これにつきましても、これを取り除いたベース、つまり基礎的な部分で財政の状況を見ていこうと、こういう考え方になるわけでございます。

 これは具体的にどんなことがあるのかということは、お手元の資料のほうに書いてございます。時間の関係がございますので、後でごらんいただければと思うのですけれども、基本的には景気の変動に対して財政規律が柔軟性をある程度担保する、柔軟性をある程度確保するというような仕組みの中で、構造的な財政収支というものを取り上げるに至っているということをお話しさせていただきたいと思います。

 さて、済みません、大分駆け足になってしまいましたけれども、最後に、こうした欧州での取り組みの日本への示唆というものをお話ししてみたいと思います。

 幾つかそれを指摘することができるかと思うのですけれども、欧州における財政規律の強化というものは、その目的がある程度明確化されているかと思います。例えば主権国家がその主権をプールして共同でそれを行使するという仕組みをEUはとっております。あるいはユーロ圏、それから単一の主権国家である日本、ここで考えてみますと基本的に仕組みが違うということでございます。主権国家連合体である欧州と、それから単一の主権国家である日本、ここにおける財政規律の強化というのは、制度設計する際にはその違いをきちんと理解しておく必要があるのかなと思っております。

 こうした中で欧州はルールに基づく財政規律の強化を打ち出してきたわけでございまして、この点につきましては、先ほど申し上げた違いにもかかわらず、日本に参考になる事例であると考えます。しかしながら、ルールに基づく財政規律を打ち出す際に、見ていただくところであれなんですけれども、まず財政規律の強化の目的を広く加盟国あるいは有権者の間で共有する努力がなされているのが欧州の取り組みの特徴かと思います。例えば日本の場合は、最大限持続的な成長の基盤とする、あるいは高齢化といった将来の環境変化に備えるというようなことで、財政規律の強化というものを広く国内あるいは有権者との間で共有するという取り組みがなされるべきではないかと思います。

 そしてさらに、目的の明確化がなされたとするならば、次に考えるべきなのは、その実効性をいかに担保するかという仕組みだと思います。欧州におきましては、しばしば過度な裁量的な財政運営がこれまでなされてきた、こうした反省が打ち出されまして、よりルールに基づく仕組みに変える試みがなされております。これは先ほどご報告させていただいたとおりでございます。そのために、均衡財政の法制化、それから国と国との間におけます相互監視、あるいは逸脱があった場合には具体的に是正措置を入れると、こういうことが行われているところでございます。これも我が国で財政規律の強化を考えた際に参考になる側面があるのではないかと思います。ただし、主権国家間で成り立つ予算相互の監視の仕組みといいますのは、我が国のように単一的な主権国家におきましては、残念ながらそのまま導入するわけにはまいりません。例えば三権分立の仕組みの中で、独立的な行政機関による、あるいは独立的な機関による監視といった仕組みに置きかえていかなければならないのかなと考えます。

 そしてもう一つ、3番目の示唆といたしまして、財政というものがあくまでも、さまざまありますマクロ経済変数の中の1つであるということ、ここについても配慮が必要だと考えます。すなわち、欧州におきましては、財政規律というものは、ある程度維持されていたわけでございます。にもかかわらず、域内の信用分、銀行による貸し出しが非常に早急になされた。結果として住宅ブームが起こった。競争力格差の背景といたしまして、経常収支の不均衡が実際には拡大していた。それに対しまして、欧州は残念ながら有効に事前に対応することができなかったということでございます。結果といたしまして金融危機、さらにそれに対応するための公的資金の投入、結果として大幅な財政状況の悪化を見たわけでございます。

 したがいまして、健全な財政を維持するという目的に立ちましても、マクロ経済的な不均衡というものに対しても実は配慮していかなければならない。これに必要に応じて是正措置をとっていかなければならない。マクロ経済政策の一環として財政規律の強化というものは位置づけられるべきではないのかと考えております。

 このようにお話ししてきたわけなんですけれども、同時に考えなければいけないこと、マクロ的な経済的な不均衡をどのように抑え込んでいくのか、あるいは、そういったことを考えていったときに1つ考慮しなければいけないのは、歴史を振り返ってきたときに、マクロ経済変数の安定化、例えば経常収支の均衡を目指したとしても、しばしば予期しない環境の変化、例えばそれは自然災害であるとか戦争といった局面のときもあるかと思います。あるいは大きな技術の変化、競争環境の変化といった大きなショックに対して、やはり財政というものは柔軟に対応できるものでなければならない、こういうところも同時に指摘すべき点かと思います。例えば、大幅な景気の後退、失業、あるいはそれらを背景といたしました政治的な不安定化、経済・社会に大きな悪影響を及ぼすような場合、こういったときには安定化を図るための重要な政策ツールといたしまして、やはり財政は位置づけるべきであると、このように私は考えます。すなわち、ルールに基づきつつも、例外的な状況に対しては、なお財政を活用し得る余地はある程度残すといったような工夫も同時に講じるべきであると、こんなふうに考えているところでございます。

 まとめさせていただきますと、まずは財政規律の強化というものに対して、目的の明確化を図る必要があるだろうと。

〔 吉川分科会長 〕 池田さん、済みません、討論の時間が一応5時までですので。

〔 池田野村・インターナショナルplcシニアエコノミスト 〕 恐れ入ります。重複を避けさせていただきます。これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。それでは、早速、ただいまのご説明に関連してご意見、ご質問等ありましたら、どなたからでもどうぞ。では、どうぞ。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。21ページの、今まさにお話のありました2つ目ですけれども、実効性をいかに担保するかという中の法制化です。経済界では今、財政健全化法を策定すべきであるということを主張しているわけですけれども、ヨーロッパにおいても各国レベルでの法制化をしているケースが結構既にあるわけですね。憲法でとか、法律でとか、あるいは憲章でとか。そういう国々においては、やはり法制化によって有効性が担保されていると。だから、日本においても財政健全化法は有効である。あるいは、いやいや、そんなにこれは機能していないから、なかなか難しいんだ。その辺、ヨーロッパの状況について、もう少し法制化問題について教えてもらえればと。

〔 池田野村・インターナショナルplcシニアエコノミスト 〕 簡単にお答えさせていただきたいと思いますが、先ほどご報告させていただきましたように、欧州には従来から安定成長協定というものがございまして、各国間の協定といたしまして財政規律の基準も設定されていたわけです。ところが、そういった基準があるにもかかわらず、実際にはそれを逸脱するということが起こってしまったわけです。そこで必要となってくるのが、法制化するだけ、ルールがあるだけではだめだ。ルール違反があった場合には何かそれを是正する仕組みが必要だということ。そして、ルール違反が起こったときに、それを矯正するために、例えば課徴金を科すといった形で実効性を担保、強化すると、こういう仕組みがなされているということだと思います。ですから、私は欧州の経験からいたしますと、法制化がなされているだけではだめだと。つまり、法律違反が認められただけでは是正にはつながり得ないということになるかと思っております。

〔 岡本委員 〕 済みません、ただ、今のはどっちかというとSGPの話であって、そうじゃなく、Fiscal Compactの中での各国レベルでのという話なんですけど、こちらもほとんど機能しないということですか。

〔 池田野村・インターナショナルplcシニアエコノミスト 〕 機能しないと言いたいわけではなくて、それを盛り込むところまでは重要だと思います。なぜかというと、今後何か財政規律の強化策が打ち出されるときの法的な根拠となり得るからでございます。したがって、法制化というのはそれはそれ自体に意義がある。しかしながら、例えば憲法違反だと裁判所で認定されたとしても、認定されただけで終わる可能性があるわけでございます。では具体的に何をすべきなのか。是正策をきちんと打ち出していく。あるいは、違反があった場合には罰金を取ると、こういうところまで踏み込む。別のレベルでの強化というものも同時に必要だということかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、ほかにいかがでしょうか。では、井堀委員、早川委員、お願いします。

〔 井堀委員 〕 欧州委員会の役割についてお聞きしたいのです。今日のお話でも各国の予算編成に関して欧州委員会がかなり勧告等、あるいは予算の監視と意見、いろいろな形でコミットしているということですが、欧州委員会というのは当然各国の代表が入っているわけですね。欧州委員会と各国との関係で、欧州委員会というのはあくまでもそれぞれの国の合意の上にできているとすると、欧州委員会自体の意思決定はそう簡単に行うのは難しいのではないかという気もするのです。欧州委員会というのはどういう形で機能していて、特に各国の利害が絡むような問題に関してどこまで欧州委員会がきちんと意思決定できるのかについてお伺いしたいと思います。

〔 池田野村・インターナショナルplcシニアエコノミスト 〕 欧州の仕組みというのは非常に理解が難しい点だと思っております。私自身が十二分に理解しているとは断言し切れません。しかしながら、欧州委員会は実は各国の代表から成っているのではなく、各国から出てくるスタッフから構成されているということでございます。したがって、欧州委員会は意思決定する力はありません。欧州委員会はあくまでも行政機関であり、提案をしたりする、そういうところでございます。ですから、例えば欧州委員会の委員長さんというのは、決して欧州の大統領ではないということなんです。そして、じゃ具体的に欧州で意思決定する者がどこなのかといいますと、今は共同決定方式といいまして、これまた複雑なんですけれども、1つには欧州理事会というものがございます。これは各国のヘッド・オブ・ステーツ、首脳たちから成ります。具体的に申し上げれば、例えばドイツからだとメルケル首相、フランスからだとオランド大統領、こういった方々から成る欧州理事会において具体的には決定されます。ですから、提案は欧州委員会からなされますが、それを採択する、決定するのは欧州理事会。そして、場合によりましては欧州議会というものが別途あるんですけれども、こことの合議の中で物事が決定されるという形をとります。ですから、実は利害調整の場は、実態に即して申し上げれば、各国首脳レベル、そして各国首脳を補佐している閣僚レベルでなされていると理解することができると思います。

〔 井堀委員 〕 ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 では、早川委員。

〔 早川委員 〕 無理なご注文であることは重々承知の上で伺うんですけど、21ページのことで、池田さんとしてもう一歩踏み込んで日本の財政について考えていただければということなんですが、1つは一番上に書いてある目的の明確化です。これについて国民の共通認識が必要だということですね。日本の場合はかなりばらつきがあろうかと思うんですけれども、共通認識づくりをどういうふうにしたらいいのかということです。それから、2つ目についてですが、実効性の担保。これについては、三権分立下で独立機関的な監視とおっしゃいましたが、もう一歩踏み込んでおっしゃっていただくと、例えばどういうことが考えられるのかということです。3つ目は、4項目書いてありますが、一番上と2番目と、それから今度3番目、4番目の、つまり言ってみれば、財政規律を守りながら柔軟性を保つというのは大変難しいことだと思うのですが、これを日本について具体的にどうしたらいいのか、ほんとうに何度も申し上げますが、無理なのは承知で、あえて伺えればと思うんですけど。

〔 吉川分科会長 〕 簡潔に。

〔 池田野村・インターナショナルplcシニアエコノミスト 〕 はい。まず1点目のご指摘につきましては、これは財政が仮に破綻するということは国民経済的にどんな悪影響があるのかということをやはり周知していく努力が必要かと思います。我々が抱えている、おそらく変えることが難しい環境の変化、例えば高齢化に対する対応であるとか、あるいは日本が経済成長が低迷してきたという現実を踏まえて、どんな対応をとっていかなければいけないのか、それを真摯に伝えていくことが必要なのかと思っております。そうした中で必要な施策を国民的な合意として打ち出していく、ちょっと月並みな言い方かもしれませんけれども、こうした努力はしなければならない。欧州では、先ほどもご報告させていただいたように、持続的な成長といったような、やや抽象的な言葉ではございますけれども、打ち出しているということでございます。

 2点目につきましては、これは、済みません、私はよくわかりませんけれども、例えば米国におきまして議会予算局というのがございます。CBOと呼ばれているところがございます。つまり、議会におけます予算を決める権利、あるいは政府が提案してくる予算案に対して、それを三権分立という仕組みの中で、相互チェックの仕組みの1つといたしまして、議会そのものに予算をチェックする、あるいは予算案、政策を立案できるようなシンクタンク的な機能を持たせていると。こういった仕組みも1つ考えていいのではないかと思います。つまり、済みません、これは全くの思いつきですけれども、国会の機能強化、その中で予算を調査する、あるいは検証すると、こうした仕組みを盛り込むのも1つの案かと思います。

 それから、3番目につきましては、これは正直申し上げると、多分永遠の課題なのかと思います。しかしながら、先ほど申し上げたようにルールに基づいたというところになれば、そこでしかるべき議論はなされるということだと思います。そして、そうしたルールが一旦できれば、結果に対しても責任をとる仕組みがある意味でできるのかと、こんなふうに考えます。最後は特に抽象的でございますけれども。

〔 吉川分科会長 〕 富田委員。

〔 富田委員 〕 ありがとうございました。質問なんですけれども、去年秋にOMTの導入とか銀行同盟をつくるとか、そういうので一通りできて、そして年末に、今日お話があったファンロンパイレポートが出たわけです。ファンロンパイレポートの財政規律の強化という点を非常に池田さんは強調なさったように思うんですけれども、私から見ていてやはり不思議だと思うのは、これまでも規律はあって、その規律をドイツ、フランスが逸脱していたと言うんですね、あの問題。今回、ドイツやフランスがちゃんとこの協定を守るかどうかといった点、テクニカルに考えますと、構造的な財政赤字をEU委員会が計測するということなんですけれども、これは翌年度というか、10月15日に提出するんですから、翌年の構造赤字を計算するわけですけれども、それがちゃんと客観性を持ったものができるのかどうかといった点と、それから、1回限りの措置というのは、これは今までもずっと財政赤字拡大の言いわけに使ってきたわけでして、同じものなんです。だから、ほんとうに強化されたという点はどの点にあるのかということをピンポイントでご説明いただきたいんです。と申しますのも、やはり去年を通じてausterity、緊縮政策に対する批判がかなり、特に池田さんはロンドンにおられるので、ロンドンの新聞なんかはそればかり強調しているんですけれども、そういうことを踏まえながら、なぜ今回、池田さんがおっしゃったような強化があって、具体的に強化した点というのはどれなのか、ピンポイントでご指導いただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、また簡潔によろしく。

〔 池田野村・インターナショナルplcシニアエコノミスト 〕 先ほどもこれ、やや重複する部分があろうかと思いますけれども、まさにドイツやフランスからすると、今、富田さんからご指摘があった点が痛い点なんだと思うんです。彼らは今やほかの国々、問題を起こした国に対して是正策を言っているわけでございますけれども、実は最初にそれを破ったのはあなた方じゃないかということに対しては痛い点になってくるわけでございます。であるがゆえに、今度は各国レベルで法制化して、どの国も逸脱できないようにしましょうと。これは確かに究極的なやり方ではないかもしれません。先ほども申し上げましたように、チェック・アンド・バランスが必要だということでございます。そうした中で欧州は課徴金を科すとか、課徴金を科すということにつきましても、従来は裁量的な部分が大きかった。ここにつきまして、より自動的になるようにすると、裁量が紛れ込む要素を少なくする仕組みをとったということでございます。

 そして、ややテクニカルな説明になりますが、先ほど課徴金を科す仕組みについて容易にしたと申し上げましたけれども、これはこういうことでございます。欧州におきまして代表的な意思決定の方法、欧州は利害の異なる多数の国々から成りますから、単純多数決はとれません。結果として、QMV、特定多数決方式をとります。これは欧州それぞれの国の経済規模、人口を加味して各国に票数を割り当てるわけです。これが仕組みによりまして、例えば3分の2あるいは過半数という形で欧州全体としての意思決定をするという仕組みをとります。

 従来は、あなた方の国に違反があります、結果、課徴金を科しますということに対して、多くの国が賛成しないと、そのことを発動できませんでした。つまり、原則的には、まず課徴金は科されない。そうした中で、例外的に多くの国が賛成した場合に課徴金を科すという形になっていたわけですが、これを変えました。特定多数決方式を変えまして、今度は逆に特定多数の国が反対しない限りは自動的に制裁金が科されますと、こういうふうに変えたわけでございます。ですから、これはドイツにもフランスにも等しく適用されるルールでございますので、ドイツやフランスといった国の逸脱もないということでございます。

 それから、構造的なという部分、それから一時的なという部分、恣意性が入るではないかというご指摘も、これは先ほど申し上げましたように、柔軟性というところとどうしても相矛盾する部分だと考えます。特に技術的な側面で申し上げましても、景気循環要因を取り除くと申し上げましたが、これは具体的に申し上げますと、資料のほうにも書いてございますけれども、潜在GDPを推計して、そこからのずれを加味して景気循環要因を取り除くという仕組みをとります。こういうふうに聞きますと、例えば生産関数を使うんです、Hodrick-Prescott filterを使うんですとご説明すると、よくわからない人からすると、何だか難しそうなえらいことを使っているから大丈夫なんだと思われるかもしれないけれども、実は、実際的にそれをやっている人間からしますと、いかようにでも数字が変えられてしまうというものなんです。正直に申し上げれば、そういうものだということでございます。そこで欧州はどういうふうにしているかといいますと、その仕組みにつきましてきちんと文書をつくって、誰でも検証可能なようにしましょう、なるべく恣意性を排除するようにしましょうと、こういうことになっているわけでございます。

 1回限りという点につきましても、やや詳しく書かせていただきましたが、19ページの資料の箱の中に書かせていただきましたけれども、これは実は、どのような要因が一時的な要因として取り除いていいのか、あるいは逆にいけないのかということにつきまして、かなり詳細な文書が出てきております。これもあくまでもガイドラインとしての文書でございまして、それが書かれたって意味がないじゃないかとご指摘になれば、それはそれ以上申し上げられることではないのですが、例えばそこで出てきているものといたしまして、携帯電話の周波数のライセンスを売却する、これはあくまでも一時的な歳入です。したがって、これを構造的な財政赤字から取り除くということはやってはいけませんと。例えばこういう具体例を出して、一時的な要因として取り除いてはいけないものをリストアップしている、こういう工夫をしているということでございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。よろしいでしょうか。他によろしいでしょうか。では、時間も限られていますので、このセッションはここまでということにしたいと思います。池田さん、どうもありがとうございました。(拍手)では、ここで池田さん、退席されます。

〔 池田野村・インターナショナルplcシニアエコノミスト 〕 ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございます。

 続きまして、各論に移りたいと思います。まず最初に、地方財政についての説明をお願いしたいと思います。なお、本日は盛りだくさんのテーマとなっておりますので、説明者は簡潔に、10分程度で説明をお願いいたします。1つのテーマにつきまして、説明及び質疑応答で25分から30分程度を考えておりますので、委員の皆様の質疑につきましても簡潔にしていただくようご協力をお願いいたします。

 また、古賀委員におかれましては、本日欠席のため、地方財政、社会資本整備及び文教関係それぞれの議題について意見書をご提出いただいており、皆様のお手元にお配りしております。それでは、地方財政につきましてお願いいたします。

〔 青木主計官 〕 地方財政を担当しております青木でございます。どうぞよろしくお願いします。座って、簡潔にご説明させていただきます。

 今回、地方財政ということで、まず最初でございます。1ページ目をごらんいただきますと、要は総額をどうやってこれから抑制していくかという話でございます。左下のグラフを見ますと、青いラインで、要は交付税の総額、こちらのほうは平成20年は15兆円ぐらいでしたが、ここ最近はリーマンショックによる景気低迷の影響などもありまして、いろいろな加算措置をやっております。その結果、17兆と2兆円ぐらい増えています。今年、25年度について言えば、人件費の削減とか税収の増加などありまして、若干4,000億ほどマイナスになっておりますが、これをどういうふうに正常な状態に戻していくのかということが課題かと思っています。その間、交付税が増えている間、右下のほうでございますが、地方団体の財政調整基金みたいな将来に備えた貯金が増えていると、こういう状況でございます。

 2ページ目は、そういう状況の中での基礎的財政収支の状況でございます。それから、借金の残高の状況、国・地方、こういう形で、国は地方に比べて非常に厳しい状況になってございます。

 3ページ目でございます。こちらのほうは一般財源の総額、これは要は地方税とそれから交付税、ざっくり言いますと、その2つが一般財源の主要なものなんですが、これを合わせたところでのいわゆる自主財源、これを安定的に確保していくことが地方団体の安定的な財政運営にとっても必要だということで、そういうご要望を毎年いただいているわけですが、これを最近は実質的に前年度と同水準を確保するというルールを設けさせていただいておりました。これはその裏には、逆に言うと、歳出自身を前年度と同水準ということで、安易に歳出を膨らませないという抑制効果が働いておるという見方もできるのではないかと考えます。

 続きまして4ページ目でございます。じゃ、どうやって地方の交付税をこれから総額抑制していくのかというところについて、個別の話でございますが、4ページ目の左下のほうに書いてあります、要は地方交付税というのは、標準的な歳出と歳入を見積もりまして、その差額、ギャップを交付税と、最後、赤字地方債で埋めるという形で基本的なスキームになっております。したがって、歳出をどうやって抑制していくのか、また歳入のほうで地方税、こういったものをどうやって確保、増やしていくのかというところが重要なのでございますが、ここでくくってあります歳出特別枠、これはまさにリーマンショックなどの景気後退に伴いまして、景気対策的にというか、地方を活性化ということで、こういうある意味実需に基づかない上乗せ措置が現在も続いております。その裏側には、歳出歳入ギャップを埋めるところで、交付税の法定率にさらに加えて国が全額加算する部分が1兆円、別枠加算というものがございます。こういったものをセットで、正常なものに戻していくということが課題なのではないかと考えます。

 5ページ目以降は各論でございます。前回もご説明させていただいていますが、地方の技能労務、専門職の方の給与水準が同種の民間の方に比べて高いというのが5ページ目。

 6ページ目は級別で、若干役所の世界の話なんですが、端的に申しますと、国の5級以上の職員の割合というのが27.8%。これは都道府県の各課の総括課長補佐、課でいうとナンバーツーです。それ以上の割合というのが大体4分の1ぐらいなんですが、これを団体ごとに見ていきますと、結構上に重たい組織になっておって、こういうところにもさらに高コストを是正する余地があるのではないかという話。

 それから、7ページ目でございます。地方団体がそれぞれ下水道とか病院とか地下鉄とか、いろいろな公営企業を運営されています。基本、これは独立採算でやっていただくというのが原則なのでございますが、公営企業繰出金ということで一般会計が赤字を補填している部分が結構多うございます。特に、左下を見ていただきますと、下水道でいいますと半分ぐらいが補填が使われているということで、これはオール地方を合わせますと3兆円ぐらいの赤字補填を毎年やっておると。こういうところも、ちゃんとコストを料金に乗っけて、きちんと料金を取っていただくとか、またはその裏側にあるコストをきちんと削減していくとか、そういったことで独立採算制をきちんと貫徹していけば、こういうところでの財政負担も減っていくのではないかというような問題提起でございます。

 それから、8ページ目は今度歳入のほうでございますが、もちろん地方税をどうやってこれから増やしていくのかということですが、まずは経済運営をしっかりやって税収を増やしていくということもございますし、こちらのほうに書かせていただいているのは、今回の抜本改革、消費税が5%引き上げられますが、そのうちの1.54%部分は地方の財源になることになっております。したがって、こういったものも地方の財政健全化というか、交付税と地方の借金の減にどうやってつなげていくかということが課題ではないかと思います。

 それから、9ページ目からは、今度ちょっとテーマが変わりまして、地方交付税の法定率についてでございます。法定率は、交付税の原資ということで、地方の財源になるということで、国税5税、所得税とか法人税とかそういったものの一定割合となっているわけでございますが、地方の歳出歳入ギャップが大きいということで、これを上げてくれれば地方の借金はそんなにしなくても済むということでご要望がよく出てまいります。ただ、こちらについてはなかなか国も先ほどご説明しましたように非常に厳しい財政状況でございますし、またそもそも、下の絵で描いてありますが、要は歳出の割合が国と地方で大体今、日本の場合、4対6でございます。歳入である税収のほうも地方交付税の法定率を含めますと大体4対6ということで、大体見合った形になっておると。結局、問題は、租税総額が右側にありますが、80兆のところ、歳出、使っている額が160兆ということで、ここに問題があるのであって、要はあまりお金のない者同士で取り合いをしてもしようがなくて、そこは相協力して歳出削減と歳入確保を頑張っていくということではないかと考えます。

 それから、10ページ目でございます。これは今のものと関連しますが、地方税の割合が国際的に見てどうなのかということでございます。縦軸が地方税の割合でございます。日本の場合、40%強ということで、国際的に見てもかなり高い水準にあるということでございます。それが1つこのグラフの意味するところなんですが、もう一つ、※印でも書いてあるんですけれども、スウェーデンとかドイツとか、こういう地方税の割合が高い国というのは、日本のような国が財政力の弱い、税収のない団体に一方的に財政移転をする垂直的な財政調整だけではなくて、まさに税収がたくさんある団体から税収のあまりない団体に横にスライドさせて財政調整する水平的な調整制度というのも結構入れておる国が多うございまして、やはり地方税の場合、どうしても税収に偏在がございますので、そうした水平的な調整制度というのも、こういう国では工夫がなされておると、そういう意味もございます。

 それと関連して、11ページ目以降に地方税の税収格差の問題を少し取り上げさせていただいております。この絵で見ますと、一番左が、地方税全体でいいますと、沖縄県が1人当たりの税収が18万円のところ、東京は45.7万円ということで、およそ2.5倍ということです。これだけ差がございます。個別税目ごとに見ると、こういう形になっておりますが、やはり一番大きいのは法人二税、法人事業税と法人住民税でございます。どうしても企業が経済活動しておるところに集中しますので、5.3倍ということで、最小の奈良2.7万円に比べて東京都は10.5万ということでございますが、こちらについては平成20年に地方法人特別税という制度が設けられておりまして、これはそもそも地方税だった事業税の一部を一旦国税にして、それを従業員数とか人口で配り直すという制度を設けております。それをすることによって、そこ自体は1.5倍の格差で、トータルとして3.9倍の格差になっております。こちらにつきましては、税制の抜本的な改革までの間の措置として平成20年に導入されております。今回、地方税は、例えば地方消費税の充実とかいろいろな形で抜本改革がなされておるんですが、それに合わせて、おそらく今後見直しの議論がなされるんですが、これ自体は税制の話ですので、しかるべき税制を議論する場でご議論いただくことになろうかと思いますが、ただ、交付税との関係で見ますと、やはり税収格差の偏在が非常に大きいと、結局多くの団体が交付税に依存してしまうと。要は地方の自立が図れないという意味で、やはりいろいろ問題もあろうかと思います。したがって、この審議会から、予算を見ているというこの立場から、何かこの議論の中に提供できる論点があるのではないかということで、これを取り上げさせていただいていますが、1つ、最後、そこに書いてありますが、結局、交付税というのは不交付団体と交付団体、要は交付税をもらっていない団体と交付税に非常に依存している団体との間での調整が難しいということと、もう一つは、これから税収がおそらく回復していくことが期待されるわけなんですが、税収が回復していくと、結局、さっき申し上げた法人二税というのは格差が、例えば税収回復も東京みたいなところは一気に税収は回復してきますけれども、田舎のほうはあまり回復しないということで、ますます広がっていってしまうと、そういう環境もありますので、そういう中でどういうふうにこの問題を考えていくのかということで、この問題を取り上げさせていただいております。

 12ページは地方法人特別税の概要。

 13ページ目以降は参考資料でございますが、今申し上げた、景気が回復して税収が伸びていくと格差がさらに広がっていくというのが、14ページ目の右側の絵で、ちょっとわかりにくいですけれども、ご説明したかったことでございます。

 最後に、17ページは課税自主権の問題、これは毎回ご説明させていただいています。

 それから、18ページは地方の自動車税とか自動車取得税といった車体課税について、おそらく今年の年末に見直しということになろうかと思いますが、そこで問題になってくるのは、地方財政の観点から見ると、やはり安定的な財源を確保した上でというところが重要なのかと。そうしませんと、結局、穴があいた分はまた国に補填してほしいみたいな話になってまいりますので、そこはその論点があるのではないかということで、この資料をつけさせていただいております。以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、以上の説明に関しまして、どなたからでも。では、赤井委員。

〔 赤井委員 〕 大阪大学の赤井でございます。ありがとうございます。地方財政をメーンに研究している者として、4点ほど簡単にコメントしたいと思います。地方財政はなかなか国全体の部分と各地方の部分で制度が複雑になっているんですけれども、まず全体面から1つ、あと個別の自治体というか、ミクロ面と言うんですけど、そちらのほうから3つほど述べたいと思います。

 まず、4ページ目のところで地財計画の話があるわけですけれども、地財計画というのは国がどこまで責任を見るかということになっているわけですが、精査は引き続き必要なんですけれども、ここに特別枠など政治的な部分に関しては、透明性の欠如とか説明責任がどうなっているのかというところが、やはり規律面でも問題があると思いますので、そうういうのはできるだけ避けていくほうがいいのではないかと思います。

 ミクロ面として1つ目、6ページのところに給与の話があるわけですけれども、国としては地財計画の中で国と同レベルの給与分を計算して地方に配るという計算方法になっていることは確かです。ただ、地方の中でも、給与をどのぐらい地方自治体が払うかというのは地方によって決められているわけですけれども、国全体としてほんとうにそれが望ましい形で使われているのかどうかというのは精査していくべきだと思いますので、こういう資料を今後も充実していくのがいいのではないかと思います。

 2つ目としては、7ページのところにあります公営企業の話ですけれども、公営企業とか、あとは地方が出資している第三セクターとか公社とか、そういうものに関しては、夕張の破綻以降、夕張がそういう出資団体によって問題が生じたということがありますので、その破綻以降、財政健全化法などでチェックは進んでいます。それとともに三セクの改革債とか病院の特例債とか、いろいろな形で改革を促すような仕組みができている一方で、借金の先延ばしというか、将来に延ばしているだけだという議論もありますので、そこの面も、改革を促す仕組みがちゃんと成功しているのかどうか、改革効果や債務返済の状況がどうなっているかを今後チェックしていくのが望ましいのではないかと思います。

 最後ですけれども、8ページ目のところ、限られた資金を有効活用していくためにも、地方消費税増税を踏まえ、地方法人特別税というのをどのように変えていくのかというところがやはり議論の中心になるかと思います。地方全体で税源偏在の問題をどのように是正していくのか、水平調整の観点、特に消費税増税後は東京にかなりの消費税が行くわけですから、そのときに東京問題と呼ばれますような偏在とか格差をどのように調整していくのか、それも国に頼らずに地方の中でどのように水平的に調整していくのかという観点での議論を今後深めていくのが重要ではないかと思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。では、田近委員、それから鳥原委員。

〔 田近委員 〕 今の赤井さんの指摘にもかぶるんですけれども、特に最初のところですけど、4ページに平成25年度地方財政計画というのがあって、地方交付税をどう考えるか、財源保障、つまり地方全体の歳出と歳入、歳出が歳入を上回った部分、そのギャップを補填するのが地方交付税となっている。そのあり方がいいか悪いかは置いておいて、私の意見は、そういう地方全体の歳出歳入のギャップを埋め合わせるものが地方交付税として、歳出特別枠は歳出の背丈を増やすものだし、あと特別加算は交付税の部分の国の赤字国債の部分を増やすものだと。したがって、これは見直すべきだというのは私は当然というか、先ほどの説明じゃないですけど、リーマンショックの一時的な対応としてやったものですから、それは改正すべきだというのはよくわかります。

 次に給与関係なんですけれども、今日ご指摘の点は、地方公務員の技能労働者の給与が民間よりも高いと。それから、ある職種、総括課長補佐以上が割合が高いと。私の質問は、だからこの財審はどうそれを受けるのか。赤井さんは、こういう情報を提供することはいいことだと。僕も全くそのとおりなんですけれども、ただこの結果、もし技能労働者を民間並みに、それからあと国の5級以上の職員割合に仮にしたら、歳出の給与関係経費がどのぐらい変わってきて、結果として交付税はこう変わると、それを地方に押しつけるわけじゃなくて、財審としてはそういう数字の情報が必要なんじゃないかと。それから先、給与をどう実際に決めるか、それと同時に交付税がどうなるかですけれども、それは地方の人と、それから政治過程で決めていくと。ただ、財審としては、赤井さんの話を僕流に続けさせていただければ、もう一歩情報があってもいいんじゃないかと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。鳥原委員。

〔 鳥原委員 〕 説明にもありましたように、また今のお話にもありましたけれども、地方交付税の総額につきましては、時々の経済情勢などいろいろ経緯はあるとしても、別枠加算、歳出特別枠など、国と地方の役割分担が不明確なまま交付税の増額調整が行われて財政を圧迫している現状は問題だと思います。そういう状況にあるだけに、各地方自治体においては、歳出面では給与関係経費、一般行政経費などの削減、また公営企業の収支改善など徹底した行財政改革を断行すべきで、歳入面では景気による税収変動や地域偏在性の大きい地方法人二税に過度に依存しない安定した地方財源の確保をさらに検討すべきだと思います。

 また、交付税につきましては、地方自治体が積極的に歳出削減、歳入確保に取り組むインセンティブが働くように、現行の行政改革インセンティブ算定がありますが、この見直しを行うとともに、行財政改革の成果を見える化することで、地域住民からのチェックが働く仕組みを構築する必要があると思います。

 さらに、今後、少子高齢化に伴う労働力人口の減少が収支両面から地方の財政基盤を弱体化させ、さらに財政力の格差が人口移動による労働力人口の減少を加速させる負の連鎖が強まる傾向にあります。こうした問題を解決するには、やはり地域の主体的な取り組みのもとで、地域のポテンシャルを生かした経済の活性化、地域再生が不可欠であり、そのための地域主権の改革を財政面からも一層促していく必要があると思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ほかにいかがでしょうか。はい。

〔 碓井委員 〕 明治大学の碓井でございます。地方財政という場合に、歳出の削減と歳入の確保、それが当然課題になるわけですが、歳入のほうについてちょっと申し上げたいことがあります。それは、ご承知のとおり、3月、最高裁判所で神奈川県の臨時特例企業税という法定外税について、それは無効の条例に基づくものであるからということで、神奈川県に対して一旦収納した税金の返還を命じた判決が出されています。私が述べますのは、その判決によって地方公共団体が自主的な課税についてシュリンクする可能性がある。それは望ましいことではないのであって、現在、特に事業に対する税金は、地方税法の上でも税率でも制限税率を強くかけている。それから事業税の要件も厳しい。しかし、地方団体が税負担を求めるとすれば、どうしても事業に対してかかっていく。そういうもとで自主的な財源の確保をどうするか。それから、現在の制度はそれにどういうネックになっているか。そういうことも含めて、やはり再検討が必要ではないかと思っています。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。では、渡辺委員。

〔 渡辺委員 〕 ありがとうございます。地方財政を考える上では、やはり地方がやるべきことと、国がやるべきことと、国と地方でやるべきことというのが多分一緒にやることというふうに分かれると思いますけれども、そういうことを少し明確にしながら、地方でやるべきことに関しては、さらにコスト意識をもっと持ったほうがいいと感じました。先ほど労務費とか公営企業の話が鳥原さんからもありましたけれども、そういう視点でしっかりと見ていって、見える化をしていきながら、やはりコスト意識を持って進めていくということをさらに進めていくべきではないか。また、見える化ということで言えば、先ほどもお話がありましたように、情報を提供することが大変重要であろうと思います。ちょっとご質問になるんですけれども、こういうことに関して、地方に対する中央のコントロール機能はどの程度あるのかということは、今後の進め方にとって大変重要ではないかと思います。

 それから2つ目が、先ほどこれも鳥原さんがおっしゃいましたけれども、地方法人二税の話であります。消費税が今回上がることによって、その偏在性あるいは格差が縮まるはずだと思います。確かに景気回復によって東京都の偏在性というものが出るかもしれませんけれども、同じように過度にあまり地方法人二税に偏るのは好ましくないのではないか。理屈上の問題でも、そういうことは少しおかしいのではないかという感じがいたします。

 最後に3点、車体課税の話がございましたけれども、自動車業界として主張していることは同じでございますので、これは税制改正のところでしっかりと議論させていただきたいと思います。以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。そうしますと、ご意見もありましたが、ご質問も1つあったかと思いますので、どなたでも、事務局からお願いできますか。

〔 青木主計官 〕 基本的には地方分権というか、地域のことは地域で、さらにそれを住民との関係で議会がチェックするとかそういう形になっているので、過度に国が地方のいろいろなやり方までコントロールすることは基本的にはないと思います。例えば今回の給与の問題でいっても、国並みの給与引き下げを要請するという形で、国からある意味お願いするというか、要請して、それに応じて各自治体ごとにみずから条例を策定して決めるということになろうかと思います。そこは住民のチェックが非常に大事なのかなという気はいたします。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 角委員。

〔 角委員 〕 基本的には、各地方が元気になることによって、それぞれ調整機能なしに元気になっていけばいいとは思うんですけれども、実際に大阪と東京の両方で仕事している方が子育てしますと、明らかに東京の学校のほうが恵まれているわけです、いろいろな意味で。ですから、先ほど赤井先生がおっしゃった、いわゆる水平調整が、国が関与せずに水平調整なんかが可能なのかどうかです。基本は、各地方がそれぞれの特色を出して元気になって、いわゆる税収も上がるような競争をすべきだとは思うんですけれども、現実問題、これだけ東京一極集中になってきますと、残念ながらそういう実態はあるわけですので、そこを何か水平調整できるのであれば、それも当然何かインセンティブとか、頑張っているところには厚くとか、それはいろいろ要るとは思うんですけれども、現実問題、やはりかなりの格差があるというのは事実だと思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ほかにいかがでしょうか。小林委員。

〔 小林委員 〕 今のに関連してなんですけど、水平調整の議論が今、実際どういう形になっているのかを教えていただきたいと。というのは、10ページの表を見ると、これはびっくりするんですけど、日本、スウェーデン、ドイツの歳出純計、それと税収の国と地方の割合というのは、ほとんどどちらも同じなんですね。にもかかわらず、ほかの国は水平調整という制度がきちんとできているのに、日本はどうも、どこまでできているのかよくわからない。これを放置しておくのは国際的にもあまり意味が、なかなか理解を得られないんじゃないかという気もするので、この議論がどういうふうになっているのか、ちょっと教えていただけたらありがたいんですけど。

〔 吉川分科会長 〕 では、これは主計官から、簡潔にお願いいたします。

〔 青木主計官 〕 完全に国が関与しない水平調整ということになりますと、各党いろいろなご意見が出ていることは出ていると思いますが、そこまで行ってない。ただ、全く国が関与しないわけではないんですが、例えばここで今ご紹介させていただいた地方法人特別税なんていうのは、一回国税になるわけなんですが、効果としては水平調整的な制度と同じような効果が生じているので、これはこれとして議論はあるんですけれども、おそらくそういう状況なのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 およそ時間ですが、よろしいでしょうか。

 では、盛りだくさんですので、続きまして、社会資本整備につきまして、また10分程度でご説明をお願いいたします。

〔 角田主計官 〕 担当主計官の角田と申します。よろしくお願いいたします。お手元の資料3、右上に資料3とございます、「社会資本整備について」という資料で簡単にご説明いたしたいと思います。

 まず、2ページをお開きください。こちらは今年の1月にお取りまとめいただきました答申でございますけれども、冒頭にございますところに全て尽きているように思います。(1)のところでございますが、社会資本ストックの大幅な拡大を指向していくことは困難でありまして、新規投資を抑制しつつ、既存ストックの有効活用への転換を一段と進めるべきである。今後の経済社会構造の大きな変化を想定し、50年後を念頭に置いた社会資本の質的転換が求められているのだということだと思います。以下、各論ということで幾つか取り上げたいと思います。

 まず、5ページでございます。国際競争力の強化に資する社会資本を整備していこうではないか。誰も異論のないところでございますけれども、ただ単にほかの国にこういうものがあるから自分の国も欲しいという発想ではなくて、どうやって国際競争力を高めていくかという、まずプランというかソフトがあって、それに必要な施策の中にハードがあるならばハードはそれはそれでやればよろしいと、そういうアプローチにすべきではないかということでございます。

 例を幾つか挙げております。例えば、国際コンテナ戦略港湾。確かに右下を見ますと日本は圧倒的に少ないのですけれども、そこを何のために大水深岸壁を整備するかといえば、それは欧州航路ですとか北米航路を何とか維持する、そのことによってコストアップを避けたいというところから入らなければいけませんので、荷物が戦略港湾に集約化されていくという別の事業も一緒になって展開しませんと、これはただの岸壁で終わってしまうわけでございます。こういうことを考えた上で、今、整備を進めさせていただいているということでございます。

 7ページ目は、例えば横浜港で受け入れた荷物がその後国内でどう輸送されるか考えたときに、やはり圏央道とちゃんとリンクしなければいけないということで、こちらの整備も進めて、シームレスな物流を実現していきたい。

 それから、8ページは首都圏空港でございますけれども、右上にございますように、国際航空旅客のほとんどの部分は成田とか羽田が担っております。ただ一方で、滑走路をどんどん増やしていけるという状況でもありませんので、どうにか管制なども含めて使い勝手を上げていく、新滑走路をちょっと延ばすことによってより発着回数を増やせるというようなことで、既存のストックをできるだけ最大限利用していくということを背景にして、オープンスカイなどの施策とあわせて国際化を果たしていこう、こういうことでございます。

 次に行かせていただきます。9ページ、低頻度大規模災害への対応ですが、これはいわゆる国土の強靱化の関係でございますが、この点につきましては若干、これまでのイメージとして持たれている、日本全国を均等に発展させることによって、どこにダメージがあってもいいような国にしましょうという、その路線を走っている状況ではないということを今日はご報告させていただきたいんですけれども、右側にございますように、右側の下線を引かせていただいた左の下のほうでございますが、何のための強靱化かといえば、単に人命を守るということだけではなくて、どのような事態が発生しても機能不全に陥らない経済社会システムを構築するという意味で、これはリスク管理の問題なんだと捉えられております。リスク管理という点で、どういうリスクに備えるかということを具体的に列挙して、それに各省の横断的な施策のパッケージ、プログラムをつくる。そのプログラムについて、右側の5)にございますように、重点化あるいは優先順位づけをやった上で施策を推進するということでございます。その中で公共事業で必要なものがあれば、それは堂々とやっていけばいいということであると思っております。国家的レベルではそういうことでございますが、それぞれの地域の安全性をどう確保するかという点もございまして、これにつきましては、このたび創設いたしました防災・安全交付金等、これは1兆円ございますので、これを自治体が創意工夫を発揮してお使いいただくということが大事だろうと考えております。

 次に13ページでございます。人口減少・高齢化等への対応ということでございますけれども、話題を絞りまして、都市機能の集約化ということでございます。14ページは、これまであまりやってこなかったんですけれども、外縁のところにあります施設を中心拠点のほうに移してきたときに、建物を撤去いたしまして跡地を緑化するということも、このたび補助対象とするということに踏み切らせていただいております。

 15ページをごらんください。これは大分県大分市の話で、これは全く民間ベースの話ですけど、ちょっとご紹介させていただきますと、大分駅の中心にサティがあったんですが、8階建てのスーパーだったんですけれども、これが撤退することになりまして大騒ぎになったようでございます。それで、地元の不動産業者さんがこの8階建ての建物を4億5,000万円で買い取られて、どうやったらテナントで採算が合うのかということを考えたときに、8階建ては要らないんだと3階から上を撤去いたしまして、そうすることによって建築基準法上のさまざまな基準が緩和されていくこともありますし、ほんとうに使われるようなもの、左の写真の青いところにありますけれども、駐車場ですとか歯医者さんですとか学習塾ですとか託児所を入れながら、1階の部分をどうしても高齢者の方が欲しいと言われた食品スーパーの床に使うことにした。これによって採算が合うような2階建ての建物として今管理されているようでございます。この結果、人の動きを見ますと、右側の資料の下のところにありますが、サティがあるとき9,000人ぐらいの人通りだったのが、3,700まで落ち込みましたのが7,200まで回復したと、こういうことでございます。これは税金は、全く入れてないとは言いませんけれども、整備のために若干市のほうが負担したとは聞いておりますが、我々が大々的にお金を使ってやったということではありません。申し上げたいのは、これは民間の動きでありますけれども、同じようなことを市なら市、町なら町を考えるときに当てはめるべきではないかということでございます。

 最後に17ページでございますけれども、社会資本のライフサイクルを通じた効率化。これは幾つか、盛りだくさんになっておりますので順番に申し上げますと、最初に申し上げたいことは、やはり最新の技術ですとかITを活用いたしますと、社会資本のライフサイクルを通じた効率化というのがまだまだできるんじゃないか。補修とか、あるいは長寿命化というのは今ようやく実際に動き始めている話でございますが、まだ技術も未発達なところがあると思います。こういったところをこれからどんどん進めていけば、さらなる効率化ができるのではないかという点が1つございます。

 それから、2つ目の丸ですけれども、右側、18ページにございますように、つくるときに建設のピークというか、山をつくってしまったので、単純な周期で更新しますと、また山をつくってしまう。この山をカットいたしませんと、厳しい財政需要のもとではなかなか対応ができないということになります。長寿命化計画を立てていただいて、安全性を確保しながら維持管理を効率化し、そして更新需要の平準化をしていくということ。そして、その際に、維持管理、更新するべきストックかどうかということも厳しく見直していただいて、要らないものは要らないということにすべきでしょうし、また過大なものであれば先ほどのようにダウンサイジングしていただくということも考えていかなければいけないんだろうと思います。

 最後の論点でございますけれども、維持管理効率化のために民間のノウハウを入れたほうが効率化できるのであれば、まさにそういうことは進めていくべきでしょうし、さらに加えて、そのことによって例えば利用料がいただけるとか、あるいは開発利益の還元が容易になるということであれば、ぜひそういう手法を考えていくべきではないかということでございまして、具体例といたしましては、後ろのほうになりますけれども、21ページでございますが、例えば首都高速の改築をするときに、周辺の都市開発とセットで考えていただいて、うまく容積率を工夫していただくことで、発生してくる利益を何とか建設のほうに一部でも回せないかというようなことも追求していくべきではないかということでございます。

 ご紹介ですけど、24ページのところ、先ほどの技術の話の延長上になりますが、ドイツは道路は有料ではない、無料なんですけれども、12トンクラスの重量のトラックにつきましては、GPSでどこをどう通ったか管理しながらチャージすることができるようになっていまして、こういった技術もできてきますと、さまざまな工夫の余地がまだまだ出てくるんじゃないかと考えている次第でございます。以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、ただいまの社会資本整備に関する説明につきまして、ご意見、ご質問等。赤井委員。

〔 赤井委員 〕 ありがとうございます。この分野もちょっと興味を持っているので、2点ほどコメントさせていただきます。

 13ページのところにかかわるんですけれども、日本の一番大きな問題、人口の減少、社会保障にかかわる高齢化の問題があると思うんですけれども、やはりそれがインフラにもものすごく影響を与えてくるということをまず認識することが重要で、将来社会でほんとうに真に必要なインフラのレベルがどのぐらいなのか、それはなかなか定義は難しいんですけれども。もう一つ、市町村の財政として財政的に支えることができるインフラのレベルはどのぐらいなのか、そういうのを把握することが重要なのかと。そのための情報、データの整理が必要かと思います。

 今、私の研究として、全市町村で2050年までの人口の将来推計も出ていますので、それをベースに分析しているんですけれども、地方、各市町村でこれから2050年にかけて、今のインフラを維持していく場合、どのぐらいの財政負担が生じるのか、つまり、人口は減っていきますから1人当たりの負担は増えていくわけですけれども、1人当たりの負担がどのようになるのかという将来像をしっかりと示して、ほとんどのところでは財政運営は今のインフラを維持していればやっていくのは困難になるわけですから、財政運営が困難になるということを示していくことで、そのための制度整備みたいなものも重要なのかと思います。

 それと2つ目は、17ページのところとも関係するんですが、インフラをできるだけコストのかからないものにしていくと。同じサービスを提供するインフラでも低コスト体質のもの、先ほどビルを2階に減らすという話もありましたけれども、そういうものも含めて、生活に必要なインフラはあるわけですけれども、それにかかるコストをできるだけ下げていくと。それに向けてどういう政策が必要なのか。つまり、お金のかからないまちづくりに向けた、例えば財務省、国による強力なプッシュが必要なのではないかと思います。例えばコンパクトなまちづくりと言われているんですが、なかなか合意がとれないので進まないということもあります。そういうところを強力的にプッシュしていくことと、そのための情報整備が必要です。例えば2050年に向けてこれだけ大変になるんだということがわかれば、それも進むと思いますので、そういう部分ですね。また、長寿命化の計画、それもしっかりと地方自治体につくってもらう。将来をしっかりと考えるように地方に促していくのが国としても重要なのではないかと思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、井堀委員。

〔 井堀委員 〕 低頻度大規模災害のことです。東日本大震災の後、ここは非常に注目されている社会資本整備だと思うのです。低頻度というのがどのくらいの頻度を想定して具体的な対応がなされているのかをお聞きしたいんです。要するに数十年単位なのか数百年単位、あるいは数千年に1度ぐらいでも低頻度ということで対応するのかということです。当然、日本では自然災害は潜在的に大きなリスクを抱えているわけですけれども、費用と効果を考えたときに、問題はその程度問題ですよね。どの程度の低頻度に対してまで大規模な対応をやるべきかに関して、何らかの定量的な低頻度に関する議論が行われているのかどうかということと、それから、先ほどの赤井委員の話にも関連しますけど、現在の人命を守るために大規模災害で対応するとしても、人がどんどん減少すれば今とは違った形の対応が必要になるわけですし、あるいは非常に自然環境の悪いところは人の移動に関して何らかの対応をするほうが、社会資本を整備するよりは人命の確保により効果があるかもしれない。社会資本整備とそれから人の移動に関するソフト面での対応とはうまく連携する形でこういった対策が行われているのかどうか。この2点をお聞きしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、ご質問でしたので、主計官から。

〔 角田主計官 〕 低頻度の技術的な論点だと思いますけれども、50年から150年ぐらいのは低頻度じゃないという理解をされているようです。例えば河川整備であれば、最終的には200年に1度の水害に耐えられるようにしようと。今、足元では大きな水系でも80年ぐらいでありますが、200年ぐらいまでは地道に上げていくという世界のようでございます。数百年に1度みたいなことが基本的には、今回の3・11との関係では想定されていて、津波にしても、50年から150年ぐらいというのは頻度が高いんだという頭にどうもなっているようです。より正確なデータは、中央防災会議かどこかが出していると思います。

 それから、先ほど人口減少との関係でというのはまさにおっしゃるとおりで、したがって、ちょっとはっきりは申し上げづらかったんですが、11ページのところにありますように、重点化、優先順位づけということがあるんだと思うんです。ダメージのレベルを考えて、何をやるか考えていかなければいけないんだと。そういうことを、このグループは今進めようとしていまして、例えば、はっきりまだそういうふうに打ち出していませんけれども、参考資料の75ページに、イギリスで優先順位づけというのがされていて、これはまずインフラとしての重要性がどのぐらい高いものなのかという角度で対象インフラをまず考えて、それから、インフラ自体の重要性と被害が起きるもっともらしさの両方から優先順位を決めて絞って対応していくと、こういう頭でやろうという心構えでいるようでございまして、これもレジリエンスのこの中で出てきている資料でございます。こういった角度から絞っていくということになりますと、非常に申し上げにくいんですけれども、優先順位を上げていくべき地域はどこなのかという議論もおのずと出てくるのかと。

 私自身は、おっしゃる点はあると思います。人が移動することのほうが合理的な場合がある。例えば今回の高台移転というのも1つの考え方ですし、あそこまで土地の造成をしないにしても、崖地近傍の災害危険区域については住宅を建ててはいけませんよという建築規制をして、そして移っていただくところの引っ越し代などを若干支援させていただくということも手法としては取り入れさせていただいているということでございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、角委員。

〔 角委員 〕 人口減少への対応で関西の例を2つ上げますと、1つは大阪府、大阪市が別々に水道事業をやっていたんですけれども、これはそれぞれが将来の人口が増えるという時代にたくさんつくってしまって、それを例えば柴島浄水場は一部なくしていこうとか、そういう動きが出ています。

 京都では、小さな国立大学と府立大学、府立医大が教養課程を一緒になってやってしまうと。これは文科省がそういう指導をされているようですので、ダウンサイジングしていくには、放っておくと、なかなか地方はその辺動かないケースも多々あると思いますので、やはり国として何か指針とか指導をされたほうが実際スピード感が出るんじゃないかという気がします。

〔 吉川分科会長 〕 鳥原委員、それから黒川委員、それから碓井委員。

〔 鳥原委員 〕 2点あります。第一に、社会資本の整備に当たりましては、費用便益の評価が大事なことはもちろん、そのほかに地域の安全・安心、先ほどお話のありました国際競争力強化への寄与、地域社会や経済に与える影響などを加味することが必要かと思います。そうした観点に立ちますと、ここに出ていますコンセッション方式などの民間活力の導入は非常に有効ですが、例えば道路のようなインフラ整備にこの方式を導入すると、交通量が多く、その他の収益も見込める箇所のみが整備対象になりかねないと懸念されます。真に必要な社会資本の整備がなおざりにされることのないように十分な配慮が必要です。

 第二として、現在、地域の衰退がかなり深刻化しておりますが、高齢化と人口減少が急速に進む中にあって、まさにこれからの10年がコンパクトで持続可能なまちづくりを進める重要なチャンスといいますか、最後のチャンスと言っても良いと思います。こうした観点から、地方財政の改善に資するコンパクトシティの実現に向けて、早急にまちづくり3法の見直しを行い、中心市街地の再生を加速化していくことが必要と考えます。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、黒川委員、碓井委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございました。私は、この資料の中にも引用されております、国土交通省の54ページの社会資本メンテナンス戦略小委員会のメンバーの1人なので、一言ぐらい発言しなくちゃなと思って時間をいただきました。

 今日、主計官がまとめていらっしゃるのはすごく充実していて、あまり追加することはないんですが、視察などを通じて我々が感じたところは、地方のほうでデータが非常に整備がなくて、国もそうかもしれないんですけれども、インフラ資産についての金額がそれぞれ出ているとか、そういうものは、紙ベースだったせいもあるんですけれども、なかなか散逸していて、まずはデータ整備からしなくてはいけないかなということ。そのときにITの活用をして、それで、最近新聞でもあるように、重複を避けることをしていかなければならないのかなと思いました。それから、社会資本については、ある程度広域的に、河川のようなものは広域的に都道府県を超えて取り組まなければいけない問題もありますけれども、コミュニティーというような概念でも、すごくコンパクトシティとも関係するんですけれども、都市という問題については、都市それぞれの多様なやり方があって、それで、国から何かある程度画一的なものを押しつけるよりも、地域自体のほうで考える、多様なことを考えるということも必要。要するに、私の言いたいのは、中央から全部、今まで日本の場合は非常に画一的なことをしてきたんですけれども、そういう広域的なものが必要なものもあるけれども、地域それぞれに合ったやり方を地域のほうで考えて、多様な方法で存続していくということも大事かと思いました。

 補足ぐらいにとどめます。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 碓井委員、どうもお待たせしました。

〔 碓井委員 〕 今のお2人の委員のご発言と関係あるんですけれども、中心市街地の活性化というのは、ある意味で財政収入にも貢献する重要な課題だと思うのです。それで、いただいた今日の参考資料の中にもいろいろな取り組みがあるのですけれども、やはりみずからの負担で我が町をよくしようというシステムがどうしても必要だと思うんです。今まではどう見ても補助金頼りとか、そういうことになりがちだったもので、そういう観点で、カナダやアメリカで生まれて、それが今やイギリスやドイツやニュージーランドに広がっているBusiness Improvement Districtという方式はやはり有効なものだと私は思っています。そういう仕組みも十分にそれぞれの部門で検討していただいて、早急に導入の可否あるいはその仕組みを検討していただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ほかにいかがでしょうか。葛西委員、それから早川委員。

〔 葛西委員 〕 低頻度大規模災害というのは、さっきお話がありましたように200年とか300年に一度というオーダーのお話を考えておられるということですが、200年、300年といいますと、大規模災害以外にも極めて多様なリスクがあるわけで、それをどう考えるのかというのが1点です。もう一つは、今の社会資本の素材は主にコンクリートと鉄ですから、寿命は今まで五、六十年ぐらいだと思われていて、実際、平均してみればせいぜい100年もつものは少ないのではないかと思います。だとすれば、その寿命も考えながら、低頻度大規模災害に対応するというのはほとんど意味がないのであって、低頻度大規模災害への対応というのは、すべからくソフト面での対応にすべきであり、ハードで対応すべきではないのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 早川委員、それから渡辺委員。

〔 早川委員 〕 2つ申し上げたいんですけど、1つは今葛西さんがおっしゃったことそのものなんですけれども、9ページにソフトとハードの組み合わせとありますが、とかくハードが優先されがちだと思うんです。しかし、ほんとうに何百年に1回というようなことにも備えなければいけないんですが、その備え方はハードよりもむしろソフト中心に考えてもいいぐらいなのではないかと私も思います。それを、もちろんソフトだけではなくてハードで補うというぐらいの感じなんじゃないかと思います。

 それから、これは皆さんおっしゃったことなんですけれども、膨大な社会資本をどういうふうに維持管理していくのかと。一方で財政事情もあるわけで、先行き、例えばコンパクト化であるとか、あるいはダウンサイジングというようなことなんでしょうか。今まであるものの中で全てを維持するのではなくて取捨選択していくとか、あるいはスペックの合理化をするとかいうようなことですね。それから、民間の活力を重視するということだと思うんですけれども、大変失礼な言い方ですけれども、そういう考え方はもう出尽くしているんじゃないかと思うんです。それを具体的にどういうふうに実行していくのかということだと思うので、これも何人かの方がおっしゃいました。国が押しつけるわけにはいかないんでしょう。ただし、国がさまざまなバックアップをしながら、地方に計画をつくらせるという段階だと思うんです。そういう地方計画づくりというのをぜひ軌道に乗せていけないかと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 では。

〔 渡辺委員 〕 ありがとうございます。2点ですが、1点はまちづくりという点で、皆さんもおっしゃっていることがあったんですけれども、コンパクトシティだとか、いろいろなまちづくりがかなり進みつつあるなと思います。そういうところの軸に、環境に優しい町とか、あるいはエネルギーが大変高効率なまちづくり、そして安全とか安心とか快適というテーマでまちづくりをする、そういう特区のようなものを、できるだけ事例をたくさんつくるような引っ張り方を国がしていったほうがいいのではないか。いろいろなところで提案はさせていただいておりますけれども、ぜひ上手に引っ張っていくことによって、民間企業でいえば、環境、エネルギー、安心・安全というテーマで随分イノベーションが起こる可能性が高いし、あるいは民間ではそれをかなり命がけで進めているケースもあるわけですから、それを産官学でうまくリードしていく。それが具体的に特区のようなところで実現していくことによって、世界にそのことが輸出できるのではないかと思っておりますので、そういう引っ張り方をぜひしていただきたいと思います。

 それから2つ目は、たまたま首都高の会長を仰せつかっておりまして、インフラの維持、それから補修という話があります。現場で私も見に行きますと、これは起こった後に手を打っていくというよりも、起こりつつあるようなところ、あるいは予想されるようなところに対してどうやって予防保全をしていくかというのが大変重要だと思います。その予防をどうするかというところで、ITの技術だとか、いろいろな新しい技術をそこへ駆使してやっていけば、コストあるいは投入する投資が少なくて済むというケースがたくさんあるだろうという感じがしておりますので、そういうところへの新技術の導入、あるいは今持っているノウハウを積極的に導入して引っ張っていくということをしていけば、かなりいい状態になっていくのではないかということがありますので、その辺もちょっとバックアップしていただければと思います。

 以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 いかがでしょうか。どうぞ、板垣委員。

〔 板垣委員 〕 先ほど葛西さんがおっしゃった意見に私も大賛成で、やはりソフトを充実させるという方向だと思います。ただ、ハードのつくり方ということも多分考えなければいけないんだろうと。堤防じゃなくて山に逃げる道路をつくる。これはつまり、どちらに力点を置いてハードをつくるのかという考え方。そのベースにはソフトの変換があるんだと思うんですが、そういう形でやっていくしかないだろうと思います。

 それともう1点、物価が上昇して、円安の関係もあって、コストが高くなっている。それから、人手不足が全国で今起きている。そうすると、今回、公共事業で事業を何か当てはめようとしても、事業の数が少なくなる。つまり、必要な事業ができないという状況がこれからどんどん起きてくるんじゃないかと。その辺の最近のデータがもしあったら教えていただきたいということなんです。最後は質問です。

〔 角田主計官 〕 今、手元にデータはないんですけれども、予算自体のピークから落ちてきている状況と、それから現実に働いていらっしゃる数も落ちてきているんですが、どちらかというと予算の落ち方のほうが大きいような気がするので、私はほんとうは余力がどこかにあるんじゃないかと思っています。ただ、ミスマッチが起きてしまっているのではないかと。要するに、あまりにダンピング、ダンピングでやってきたものですから、予定価格というか、発注するときの価格が落ち過ぎていて、手を出したくなくなるような人たちが見合わせているという状況が、少なくとも被災地の場合は、最終的には結局契約に行き着くんですけれども、途中段階ではなかなか業者さんが手を挙げないような状況がかなり見られていて、その辺の是正をどうやるかによって多少円滑にいくのかと。個別にもちろん、生コンですとか、個別の資材の特性で不足しているようなものもありますけれども、すごく心配しないといけないような状況になっているという感じは今のところないのかと思っております。大事なことは、これは公共事業の予算、財政の中でやっていきますから、それは財政需要を反映するんですけれども、あまり変動が激しいと、おっしゃるようなことが起きやすいので、そういったことも考えておかなければいけない点かと思っております。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、大体時間ですが、よろしいでしょうか。

 ここで休憩をとらせていただきます。どうでしょう。気持ちとしては五、六分という感じでしょうか。皆さんおそろいのところで再開したいと思いますが、大体五、六分という感じでいきたいと思います。6時ごろと。

( 休  憩 )

〔 吉川分科会長 〕 それでは、時間も押していますので、再開したいと思います。

 続きまして、防衛関係についてのご説明をお願いいたします。

〔 吉井主計官 〕 防衛を担当しております吉井と申します。ご説明申し上げます。

 まず、防衛関係費でございますが、25年度当初予算では、24年度当初予算から400億円の増加ということで4兆7,538億円、実質的に11年ぶりの対前年増加ということになりました。それから、自衛官の実員につきましても287名の実員を増員したということでございます。

 こうした経緯を踏まえまして、25年度編成では2つのことが決まっております。1つは大綱・中期防の見直しということで、これを25年中に行うことが閣議決定されております。それから2つ目は、大臣折衝における合意事項といたしまして、調達改革を強力に推進して、26年度予算編成にその成果たるコスト削減を反映することを前提として増額を認めると。それから、自衛官の若年化を含む階級・年齢構成の適正化に向けた抜本的な人事制度改革を図ることを前提に、自衛官の増員を認めるということが決められておるところでございます。1ページ目と2ページ目のご紹介を資料でさせていただきました。

 したがいまして、今後の大きな論点は調達改革と人事制度改革ということが差し当たり決まっているわけでございますが、本日はその2点を取り上げさせていただきます。

 調達改革でございますが、4ページにお進みください。従来の防衛調達における問題点を簡単に書いております。防衛装備品のライフサイクルコスト算定は行われているということでございますが、試行的な取り組みにとどまっているということでございまして、また開発段階における技術リスクとか、あるいは維持・運用段階における部品の取得に際してのリードタイムに係るコスト等の影響が十分考慮されていないのではないのかと。それから、自主開発を行う場合、開発費用が当初見積もりよりも上昇するケースがある、あるいは量産単価がそれに伴い上昇するようなケースがあるということでございます。それから、装備品の開発、取得に当たっては、コストパフォーマンスの面からオーバースペックになっているようなことはないのか。民生品の利用などをもう少し拡大できるような余地はないのかというようなことを思っております。

 こうした観点から、今回の調達改革というのは、これまでやや不祥事対応というところが主眼にあったわけですが、調達そのものを効率化して、開発段階にさかのぼって調達の概念を幅広く捉えて、調達のあり方を効率化して、限られた財源を現下の安全保障状況に鑑み、対処能力の最大化に振り向けていくと、こういうことが大事ではないのかと思っているわけでございます。その手法として、大きく、ライフサイクルコスト管理を徹底するということでございます。まず、算定手法を精緻化して、本格的に導入していく。自衛隊のミッションごとに最適な装備を複数の代替案の中から選ぶことにより考えていく。その際には、コストパフォーマンスにおける検討や民生品の活用を進めていくということでございます。それから、国際共同開発・生産によって、開発・生産コストや技術リスクを下げていくという取り組みも必要ではないかということでございます。

 次のページ、5ページにお進みください。装備品の、今ちょっと申し上げた例示のようなことを若干ご紹介させていただきます。手短にやらせていただきます。いずれも飛行機なのでございますが、開発のタイミングがおくれている上に、開発段階で見積もった量産単価よりも上振れ、かつ全体の開発コストも値上がりしているということでございます。いずれも航空機としての性能は安全保障上の観点から必要なわけですが、プロジェクト管理という観点からどういうふうに考えていく必要があるかということでございます。

 それから、6ページに参りまして、装備品の内外価格差の問題が依然としてあるということでございます。同じベースとなるヘリコプターを使っていながら、米軍の調達価格と自衛隊、これは我が国企業がライセンス国産によって請け負っているものでございますが、やはり差異があるというのをどう考えていくのか。ただ、このまま我が国が米国から直輸入しても、米軍と同じ値段で輸入できるわけでは必ずしもないのですが、この事実をどういうふうに考えていくのかということでございます。

 それから、7ページに参りまして、諸外国における調達改革の事例でございます。典型的な例としてイギリスを挙げさせていただいております。冷戦後の現状に鑑みまして、3軍のミッションをまず再定義したと。その上で、より早く、より安く、よりよいものを導入するという観点から、ライフサイクルコストをしっかりやっていくということ。それから、海外派兵の経験に基づき、補給業務について、最前線に至らないものについてはなるべく民間の経験を活用すると。後方業務の合理化を進めていくということでございます。その際の手法として、秋口の財審でもご紹介しましたが、Performance-Based Logisticsという手法を義務づけているということでございます。

 8ページに参りまして、ライフサイクルコスト管理でございます。図にも示してありますように、純国産、ライセンス国産、完成品輸入と、それぞれコストの分布はばらついているわけでございますが、ライフサイクルコストを精緻に算定することができれば客観的な回答が得られるということでございます。これを装備品の選定の基準にするということでございます。その際には、先ほど申し上げたような精緻化の取り組みとともに、上振れたときのルールが大事ではないのかと思っております。米国ではナン・マッカーディー法という法律がありまして、15%上振れた場合には議会報告、25%増の場合には自動的に事業停止となる法律がありまして、一定の規律のもとに行われているということでございます。

 それから、9ページに参りまして、Performance-Based Logisticsです。補給・整備業務を民間にアウトソースするわけですが、その際に、ある一定のアウトカム目標を設定するということでございます。ただ、アウトカムの目標の設定の仕方によっては、民間の責任が重くなる。それに伴って業務の委託範囲が広がってくるというのが、下の契約形態のイメージのグラフでございます。我が国では、在庫の保証とかリードタイムにとどまっているんですが、整備の手法も委ねてしまい、可動率を保証してくれというような取り組みが、例えばイギリスでは一部の装備品について行われているところでございます。こういう取り組みを進めてまいりますと、民間のノウハウが各種補給業務管理において非常に生かせて、コストカットの役に立っていくのではないのかということでございます。

 それから、10ページに参りまして、業界再編と国際共同開発・生産の拡大でございます。欧米各国では防衛産業の再編が進んでおります。現在、軍需産業の売上高の1位から5位の会社というのは、冷戦期には30以上の別々の会社でありました。それからあと、開発・生産コストも非常に高騰しております。同盟国間、友好国間で共同開発・生産を積極的に推進しておるところでございます。これらを進めてまいりますと、自主開発の場合に比べまして、開発費や初度費を1カ国で負担しなくてもよいと。それから、我が国の装備品の場合には、国内企業が要は自衛隊相手の商売をしているわけでございまして、原価計算を一つ一つ積み上げていって利益を乗せることになっているわけですが、必ずしもそういうコスト設定をする必要がなくなってくるということでございます。このように国際共同開発・生産というのは非常にメリットのある取り組みでありまして、ぜひとも進めていくべきであると。あわせて、我が国の防衛産業の競争力の強化のためには、業界の再編とか統合も視野に入ってくるのではないかと。その際には、諸外国でもそうなんですが、戦略的に、どのような技術が大事なのかというのを選択と集中を進めていくべきではないのかということが大事になってくるかと存じます。

 以上が調達改革の論点でございます。

 次、人事制度改革に参らせていただきます。

 1ページ飛ばして、14ページにお進みください。まず、自衛官の人件費の状況についてと今後の見通しについてご報告させていただきます。まず、防衛関係費の中で4割強を自衛官の人件費が占めているというところでございます。それから、国家公務員、防衛省所管の人件費で自衛官が約4割強を占めているところでございます。それから、国家公務員の全体の人件費の中でも約4割弱を占めているというところでございます。この防衛省人件費については今後、増加傾向をたどっていくと。これは今後、退職者の増加が見込まれていることが要因だということでございます。

 それで、16ページをお開きください。自衛官の年齢・階級構成の話でございますが、秋口の財審でもこの論点を取り上げさせていただきました。冷戦直後については、士が十分な人数がいて、きれいなピラミッド構造をたどっている。また、年齢も比較的若いところに集中していて、きれいなピラミッド構造を描いているというところでございます。少子高齢化が進んできたり、装備品の高度化等々の理由によりまして、平成23年度のグラフでは寸胴型になっているところでございます。特に若年性の士、特に非任期制の士が大きく減少しているということでございまして、この状況は、諸外国の陸軍の年齢構成を横に描いていますけれども、一目瞭然の状況になっておるわけでございます。

 13ページに戻っていただきまして、こういう少子・高学歴化による影響、それから装備品の高度化等々の影響で自衛官の人事構成は変わってきたわけですが、階級構成が幹部・曹が増加し、士、特に任期制の士が減少していて、年齢構成が高齢化していると。これを精強性の観点から見てどう考えるか。また、下士官、軍曹さんといえども定年が53歳なわけで、自衛官の人生設計から見てどういうふうに考えるのかという論点があろうかと思います。

 大きな改革の検討の方向性としては、年齢・階級構成の適正化を図る階級別定数管理を進めていく必要がある。それから、任期制の士を十分に確保していく必要がある。再就職の支援とか公的部門での活用をしていくと。それから、早期退職の促進ということで効果的なインセンティブをつくっていくようなことができないか。公的部門が雇用の受け皿とならないか。それから、先ほどちょっと申し上げましたように、後方業務のアウトソーシングによって、退職された自衛官を活用するような方策はないのかと。こういうことで自衛官の階級・年齢構成を少しでも適正化できないかということでございます。

 私からの説明は、ちょっと手早くなりましたが、以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関して、ご意見、ご質問等ございましたら。早川委員。

〔 早川委員 〕 前のシリーズのときにも申し上げたことなんですけれども、私はこの人事制度改革は大変重要だと思うんです。やや頭でっかちで足腰の弱い自衛隊になってきているというのは大変憂慮すべきことなんじゃないかと思うんです。そういう意味では、若い人たちをしっかりと確保して、なおかつ自衛隊の特性からすれば早期に退職するとか、うまいぐあいに回転させていかなければいけないわけです。そういう計画をしっかりとつくって進めるべきだと思うんです。ここに書いてあるとおりだと思うんですけれども、あえてつけ加えると、今どちらかというと、普通教育を受けて学校を卒業しても使い道がない、仕事もないということがむしろ問題になっていて、普通教育を受けた後、専門教育を受け直すというような人もいるわけです。自衛隊というのは、そういうさまざまな技術であるとか、あるいは資格的なことも得られるところなのではないかと思うんです。むしろ、そういうのを売り物にするようにお考えになったらどうかと思うんです。募集はなかなか難しいんでしょうけれども、募集に際してもそういうことをアピールしていただいたらどうなんだろうと。しかし、アピールする以上は、そういうことをより、隊士の教育であるとか、あるいは運用で心がけていただかなければいけないというのは当然だと思うんですけれども、そんなことで今の就職難の中で自衛隊の若い人たちを確保する道というのは考え得るのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ほかにいかがでしょうか。井堀委員。

〔 井堀委員 〕 5ページの調達、開発経費の上振れの件です。ここで取り上げられている例というのは例外的な例なのか、それとも一般的にこういった装備品で見られているのか。全体としてどの程度、当初見積もりしたものが実際の経費として過大になっているというぐあいに。これは10%と書いている。実際、平均的にはどの程度上振れしているのかということと、それから、仮に見積もりよりも実際のコストが上がっているのは、ある意味では最先端の防衛技術というのは不確性があるのでやむを得ない面もあると思います。逆に言うと、そういったものが一般的であるとすれば、最初の見積もり自体が過小に見積もられていて、それで予算の編成上、とにかく最初に入れ込めば後で、開発は続けなければいけないので、バイアスとして、見積もりの段階で過小になる、そういうことがあり得るのかどうか、その2点についてお伺いします。

〔 吉井主計官 〕 まず1点目については、悉皆的に調べたデータはございませんし、立ち上げて幾ら上振れているんだという分析もないところでございます。ライフサイクルコストをはじくという試みも、まだ一部の装備品にとどまっているところであります。ただし、ほかにも例はございます。

 それから、2つ目の点について言うと、おっしゃる点はやはり、技術リスクをおそらく甘く見てしまったと。開発段階において技術リスクを甘く見てしまって、まず装備品の減勢が始まる。そうすると、次の装備品はとにかく自主開発しなくちゃいけないと。そうすると、そういうリスク評価を甘くしてしまうというところがやはり反省点としてある。そうすると、その時点で見積もられる最も正しいライフサイクルコストは何ぞやというのを防衛省自身が導くような動機づけが大事ではないのかということでございます。そういう意味で米国の取り組みが参考になるのではないかということでございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、黒川委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございました。1つは質問で、女性の自衛隊員はどのぐらいいるのか。若年の自衛隊員がだんだん、応募が少ないということですけど、米国の映画なんかを見ると女性の人も結構いそうなんですけれども、女性隊員についてはどういう取り扱いになっているのかということが1点。

 それから2点目は、高齢化が問題だということなんですけれども、どうなんでしょう。平均寿命が延びていて、しかもIT等々、自衛隊員の職務の内容も、肉体的な強靱さということから少しずつ質が変わってくるし、それから先ほど言いましたように、我々も知的な能力も高齢化社会になって少し延びるかもしれないので、このぐらいの年齢が更新しても、それが問題だとするのは今までの発想で、発想を変えればそうでもないかもしれないということ。

 それから3番目は、しかし、そうはいっても若年の人たちのサイクルももう少しちゃんと円滑にということなんですが、そうすると、退職後どういうところでご活躍されているのかということの詳しいデータ、そういうものも少し見てみたいということまでしないと、なかなか責任ある提言はできないのではないか、こういうふうに思いました。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、ご質問ですので、簡単にお願いいたします。

〔 吉井主計官 〕 まず、1点目の女性自衛官ですけれども、5.4%程度ということでございます。数字だけお答えいたします。

 それから、高齢化の問題については、装備品の高度化のようなことが確かにありますので、かつての冷戦期のように20代の自衛官が大事だということでは必ずしもなくなっているのが現状でございます。例えば30代の自衛官で、ある程度装備に熟練している人たちが必要であるというのも事実ですが、じゃ、40代になって、そういう人に活躍の場があるのかという論点があろうかと思います。

 それから、あと2点目の退職後の再就職の状況については、資料を取りまとめさせていただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、葛西委員。

〔 葛西委員 〕 装備品の調達についてですが、コストパフォーマンスという言葉が出てくるんですけれども、そもそも戦力というのは必要十分なパフォーマンスが必要なのであって、パフォーマンスが先に決まって、コストをいかに安くするかというのはその次に決まるべきもので、コストとパフォーマンスの勘案によって選択が決まるものではないのではないかと思うんですが、そういうつもりじゃないと思うんですけれども、その点ちょっと念を押させていただきます。

〔 吉川分科会長 〕 一言ありますか。

〔 吉井主計官 〕 ご指摘のとおりだと思うんですが、個別の装備品を見ると、どうしてもやや、こういうスペックが要るのと感じるようなことが例えばしばしばあるわけでございます。そのようなことをなるべくあれして、運用に必要にして十分なスペックをつけていくことを前提にコストを考えていくということでございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、田中委員。あと渡辺委員。

〔 田中委員 〕 全く一市民としての素朴な質問になりますが、このご説明はどうしても、財政的な規律の側面から入っています。しかし、コメントが非常にしにくいのは、外交の問題と非常に裏腹になっているにもかかわらず、そこをネグって効率性の議論で説明されているものですから、ちょっと違和感を感じています。そういう意味では、例えばですが、国際共同開発に関して進まないのには、やはり外交戦略上の制約があるのではないかと。そのあたりをご説明いただければと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 では、簡潔にお願いします。

〔 吉井主計官 〕 武器輸出三原則の制約がありまして、こういう取り組みができなかったわけですが、説明をちょっと飛ばして申しわけありませんが、官房長官談話で国際共同開発・生産を正面から包括的に認めるということが、23年の夏ということで、極めて近時であります。外交的な努力で、このようなものの開発を大いにやっていくべきだという問題意識でございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、どうぞ、渡辺委員。

〔 渡辺委員 〕 ありがとうございます。民間企業の観点から、調達改革のところで、例えば5ページのところでいきますと、2年おくれたということと、128億が193億になるということは普通は許されない。これをどういうふうにチェックしていくのかというのは大変難しいと思うんですけれども、これは国にとっては大変重要な話だと思うんです。もし戦争状態だったら、これは大変な問題が起こると認識すべきだと思うんです。ということは、納期もきちんと守らなければいけないし、コストのところもきちんと守らなければいけない。そのときに、我々の車づくりで言うと、まず商品計画がある。どんな飛行機をつくるんですかというところがまず大事で、それは先ほど葛西さんがおっしゃったことだと思うんですけれども、その次に、こういう飛行機をつくるためにどのぐらいの商品開発、技術開発が必要かということを考えて、それでコストを見積もっていく。原価企画という方法があって、原価をどうやってつくり込んでいくかということを最初の段階からやっていきながら、生産のところでも生産改革をどうやってしていくのかということを考えていくわけです。

 ご質問は、これはその辺のことについてはどういうふうに考えて進められているかという仕事の進め方をお聞きしたいのが1点と、それから、調達改革という意味でいくと、コストをどういうふうにセーブしていくかという視点からいいますと、開発改革、技術開発のところで設計革命を起こさなければいけない。その次に、どういう生産の仕方をするかという生産改革をどうやって進めていくかということ。それから、3つ目は調達改革。サプライチェーンをどうするか、あるいは最適な調達サプライヤーを選ぶにはどうしたらいいかということを考えなければいけない。それから4つ目が、全てに係る固定費がたくさんあるわけですから、その固定費をどうやって抑えていくかということを考えて調達していくわけであります。そういう視点がこの中でどこまで入っているかということについて、予算を見る立場からいって、どういう切り方をしていくのかというのが大変重要ではないかと思うんですけれども、そういう点ではどういうふうに考えたらいいのかということをご質問したい。こういう中に、競争条件をどうやって入れていくかとか、あるいはリードタイムのマネジメントをどうするかということをしっかりと見ておかないと、リードタイムがコストにそのまま直結するケースがあるわけですから、その辺のマネジメントのスタイルをちょっと教えていただきたい。

 以上です。

〔 吉井主計官 〕 少し重複した説明にあるいはなるのかもしれませんが、現状の新規装備品の選定というのは、装備品の減勢が始まることが見込まれますと、次の技術水準を見込んで新規開発ありきでやってしまっている部分があると。したがって、この場でも議論がありましたように、実際、まずあるべき自衛隊のミッションというのがあると思うんです。そのミッションから説き起こしていって、どういう装備、スペックが必要なのかを詰めていく必要がある。その段階で、民間がどのような技術を持っているか、あるいは海外でどのような技術があるのか、そのようなものをちゃんとマッピングしていくことがおそらく必要になってくるであろうと。その上でライフサイクルコストを正確にはじいてみて、どの調達法でやっていくのがいいのではないかというようなことが、とりあえず私として、今の防衛調達及び開発を見ていると、問題として直していかなければならない点だと思っております。

〔 渡辺委員 〕 よろしいですか。プロセスをきちんと踏んでやっておられるとしたら、なぜこれだけの差が出てくるかという要因解析を、やはり予算管理部門としてはきちんとしておく必要があるのではないかと思いますので、これはお答えは結構ですけれども、ぜひお願いしたいと思います。

〔 吉井主計官 〕 かしこまりました。

〔 吉川分科会長 〕 では、時間を少し超過しておりますので、このテーマはよろしいでしょうか。では、最後に文教関係についての説明をお願いいたします。

〔 諏訪園主計官 〕 それでは、文教関係についてご説明させていただきます。担当の諏訪園と申します。よろしくお願いします。

 文教関係について、最初に参考資料のほうから先に入らせていただきますと、参考資料の1ページ目に、5年前、第1期の教育振興基本計画が策定されておりますが、その際にも、前回の財審でご議論いただいたように、教育投資についてどう考えるかということについて書いてございます。端的に申しますと、総額での平均の比較をした上で、しかし、こうしたデータは全人口に占める児童生徒の割合などがあって単純な指摘はできないとした上で、諸外国の公財政支出等の教育投資の状況を参考の1つということで、総額なのか1人当たりかということは明確にせず、必要なものについては対応していくというような計画がなされましたが、2ページ目にありますように、4月に出された中教審の答申におきましては、前段については同様の記述ですけれども、最後のところで、「将来的には恒久的な財源を確保しOECD諸国並みの公財政支出を行うことを目指しつつ」という表現が入っているところでございます。これについてどう考えていくかということでございますが、本編のほうに移らせていただきます。

 本編の1枚目でございますが、公財政教育支出、日本とOECDを比べますと、総額では日本はOECD平均の7割の水準ですが、子供の数も7割ということでございます。

 2ページ目にございますように、1人当たりの公財政教育支出を数字で比べると、真ん中にございますように、日本が7,405で、OECD平均が7,407と、同等の水準であります。また、1人当たりのGDP比で割った数字で見ても、大体同等の水準と評価できるかと思っております。

 また、3ページ目にございますように、今後の教育投資につきまして充実を図る、あるいは効率化を図るとしたとして、1人当たりの水準が同じであった場合、少子化が今後とも進行することが見込まれますので、GDP比については減少していくということが見込まれるところでございます。したがいまして、前回の財審でも教育予算については明確な成果目標を定めて改善サイクルが働くようにすることが重要であるといった指摘をはじめとして、投入量の総額やGDPに着目した議論を行うことは実益に乏しいといった報告をおまとめいただいたところでございますが、改めてこの点についてのご議論をお願いしたいということが最初のテーマでございます。

 それから、2点目でございますけれども、高校無償化制度についてでございます。高校無償化制度については22年度から実施しておりまして、公立高校は授業料を不徴収として、それ以外の高校生を持つ世帯の費用について、県による無利子奨学金制度というものがございます。また、私立につきましては、基本分の12万円以外に、私立の授業料は公立よりも水準が高いこともありまして、所得水準において加算措置を講じております。また、県による授業料減免のための私学助成が行われてございまして、43県で年収250万円未満程度の世帯の授業料を全額免除しているということ。それに加えて、同様に県による無利子奨学金制度がそれ以外の費用への対応ということで用意されているというのが現状でございます。

 これにつきまして、5ページ、見直しに当たっての論点でございますが、そもそも高校についての国と地方の果たすべき役割分担をどう考えるのか。所得制限を導入するとして、それはどういうふうにやっていくのか。低所得世帯の支援ということで、公私間の授業料の格差を是正という議論がありますが、先ほどのように都道府県によって助成が既に行われていることとの関係で、それはどう考えるのか。あるいは、給付型奨学金ということで、高校生のいる低所得者世帯への現金給付ということも言われておりますが、先ほどの奨学金制度との関係でどう考えるのか。そして、高校の教育の質の向上ということをどう考えるのかといったあたりが論点と思っております。

 次のページでございますが、学校の設置者は経費負担を含めて学校を管理するのが原則となっております。また、私立については、大学などは文部科学省ですけれども、幼稚園から小中高に至る私立学校につきましては都道府県知事が所轄庁になっているといった体系の制度でございます。そういう中で、例えば左側の公立学校の運営費の負担割合を見ていただきますと、国の負担割合は低いものとなっております。また、就学支援策について、右側を見ていただきますと、白丸は所得に応じた支援ですが、地方が支援対象・基準を決定する、例えば低所得の方が幼稚園に児童を通わせる場合の保育料の軽減、あるいは小中学校で準要保護世帯に対する学用品等の支援、高校で先ほど見ていただいた授業料減免や無利子奨学金は地方の制度として支援対象・基準が決定されています。国のほうでは、国公立の小中学校の授業料を不徴収にする、教科書を無償給与するというもののほかに、高校無償化というのが22年度から入ったわけですが、これは基本分は全ての生徒を対象とし、加算は所得に応じた支援ということですが、今後はこれを、所得制限を導入して、いわば白丸という形で見直していこうという議論になっているわけでございまして、その中で地方の役割を高める方向で制度を見直すのがもともとの制度体系に整合的なのではないかと考えているところでございます。

 それから、7ページですけれども、実際の所得制限ということを考えましても、こちらにございますように、各県ごとの平均所得は大きく異なっているところでございます。そういう中で、例えば方向性として、県が所得制限の範囲を定める制度に組みかえていくということが考えられるのではないかと思っております。

 また、8ページでございますが、私立高校への授業料に対する支援というのは、国の高校無償化のためのお金のほかに黄色い部分が入っております。真ん中の全国平均ですが、私学助成が生徒1人当たりに対して出されるものと、低所得世帯の授業料減免というもの、その間に高校無償化の基本分と加算分が入ってきているわけでございます。これは各県によって幅がございまして、各県の独自の判断で、例えば鳥取県におきましては、生徒1人当たりの補助単価を厚くとって、授業料減免を講じていない。あるいは大阪府は、一般補助の水準を相対的に低くして、低所得層を中心とした私学助成の授業料減免を厚くしているといったことが行われているところでございます。そうした中、仮に所得制限を入れていくとした場合の立て方として、先ほどの所得水準の違いですとか、あるいは県によって高校への助成の入れ方が2通りあって、それぞれこれまで行われてきている中、新しい所得制限を入れるのであれば、県単位でともに一体で設計したほうが現場の事務負担を考えても合理的な制度になるのではないかと考えているところでございます。

 それから、9ページ目ですけれども、就学支援への国の関与の必要性という観点からデータを出させていただいております。高校進学率が98%台で推移する中で、高校中退者数は近年少し減少しておりますが、今、足元、5万3,000人程度。そのうち経済的理由による中退者は945人という統計がございます。こうした状況を踏まえますと、地方によるきめ細かい就学支援とは別に、国として一律にある対象者に支援を行うことが費用対効果等々の面から見て果たして適切なのかということを考えているところでございます。

 それから、10ページ目でございますが、冒頭のところでご紹介しました低所得者世帯への支援としては、公立高校については授業料を徴収しておらず、また私立についても低所得者世帯については授業料が免除ないしほぼ免除されているという実態があり、またそれ以外の費用に対応するためのものとして県による無利子奨学金が設けられているわけですが、これにつきましても近年、高校卒業後、一定の所得を得るまで返済を猶予するという所得連動返済型というものの導入が進むなど支援の充実が進んできているところでございます。経済的事由による中退者が少ないことを先ほどご紹介しましたが、それ以外にも義務教育を終えた者に対する支援であること等々を考えると、国として別途給付型の奨学金をこれに加えて創設する必要性はないのではないかと考えているところでございます。

 11ページからは高等学校教育の質の向上について簡単にご紹介しますと、この20年間で大学進学率が上がっている一方で、大学全入に近くなったと言われていることも反映してか、中間層の高校生の学習時間が減っていると。こういったことを改善する、質の向上につながるようなモデル的な取り組みをどう支援していくのかということも課題ではないかということが指摘されておるところでございます。

 また、次のページでございますが、高校を卒業して就職しようとしている方の就職状況を見ますと、普通科の就職状況は他学科と比べて厳しい状況があり、こうした問題に対して、やはりモデル的に先導的な職業教育の取り組みを支援するという形での質の向上という取り組みもあるのではないかということでご説明させていただきました。

 以上2点についてお願いしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、文教関係につきましてご意見のある方。井伊委員、田中委員、それから赤井委員の順にお願いします。

〔 井伊委員 〕 3点あります。2点はデータについてで、1点はコメントというか、質問も含めてです。

 1点目は、2ページ目の1人当たりの教育支出ですけれども、多分、幼稚園向けの支出は含まれていると思うんですが、OECDの教育のデータには保育所向けの支出は含まれていないと思います。もし含めるとすると、国別の支出の順位は変わる可能性があるのかどうか、含めるとどのぐらいの支出がこの中に含まれることになるのか、もしデータがおわかりだったら教えていただきたけますか。

 2点目は、9ページ目ですけれども、高校中退者数の推移ということですが、これは通信制に移る人が結構いると思いますので、高校を中退した人がイコール高校を卒業していないということにはならないと思います。大体、全日制の高校を中退して通信制に行く人が1万から2万人ぐらいいるということを以前聞いたように思うのですが、正確なデータがあれば教えていただければと思います。

 3点目ですが、日本の公的な教育費が少ないという点ですけれども、単に教育費を増やすことよりも、やはり使い方を考えることが重要であって、それは日本の医療費の議論をするときと同じなんです。日本は学級規模が大きいと。だから、教員の数を増やして、学級の規模、クラスサイズを小さくするべきだという論調が主になっているんですけれども、学級の規模、クラスサイズと学力などとの因果関係というのは必ずしも日本では確立されていないと思います。私が知る限りでは、慶應大学の赤林先生たちの研究で、学級規模を小さくしても学力効果というのは限られていて、あったとしてもその効果は小さい、学力格差を縮めるとは限らないという結果が出ております。これは1つの研究で、日本ではまだあまりこうした研究の蓄積はないんですけれども、そういった費用対効果に基づいた議論をぜひお願いします。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ご質問もあったと思いますが、今日わからないものは後日ということで、簡潔にお願いいたします。

〔 諏訪園主計官 〕 1点目についてですけれども、例えば幼保一体化しているところなどは保育所相当の費用が入っているところもあったりして、国によってまちまちだと聞いております。それ以上について何かデータでご説明できることがあれば、またご報告したいと思います。2点目については、今、手元にデータがございませんので、これまた分かればご報告したいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、田中委員、簡潔にお願いいたします。

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。主計官からの問題提起に関してお答えした上で、資料について意見を2点述べたいと思います。

 まず、高校無償化に関しては、おっしゃるとおりだろうと思います。そもそも前の政権交代のときに、ほぼ無償化の実態があるにもかかわらず、屋上屋を重ねるような制度であったと私は見ておりますので、システムを複雑にしないという意味でも、国の関与はできるだけ少なくしたほうがいいと思います。

 2点目のOECDの話でありますが、これは毎回、7年ぐらいこの話を聞いているんですが、量の議論に対して、また1人当たりで量で勝負するというのは同じ土俵にはまっているのかなという気がしまして、先ほど井伊委員がおっしゃったように、やはり何を目的にして、それをロードマップを描き、それに基づいて幾ら必要なのかという積算根拠をちゃんと示すということをこの審議会で求めるべきだろうと思います。

 それに関連してなんですが、文教参考資料の3ページ目と4ページ目について修正をお願いできたらということで申し上げたいと思います。要は、量から質、目的を成果を出すという根拠資料に社会資本整備を取り出しているんですけれども、教育サービスと社会資本整備は質が違いますので、これを例に出すのは私はいかがなものかと思います。

 それから、4ページ目を見ていただきたいんですが、要はこれは目標を設定してPDCAサイクルを回すべきだということをお示しになったと思うのですが、ここの中に教育政策、行政機関だけではなくて、いわゆる個人の家庭の問題が入っているんです。それでPDCAをとやりますと、まるで統制管理社会のように見えてしまうので、この絵は疑問を投げかけると思いますので、できれば避けたほうがいいのではないかと思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 それはご意見でよろしいですか。

〔 田中委員 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 それでは、ちょっと待ってください。板垣委員、赤井委員、それから岡本委員の順でお願いします。板垣委員。

〔 板垣委員 〕 資料の7ページ、所得制限の導入についてというところなんですが、基本的に所得制限の導入をちゃんとやるべきだろうと思います。ところが、何をもって所得とするのかと。つまり、夫婦共働きで収入が実は1,000万円ぐらいはいくというときに、例えば夫のほうが550万で、妻のほうが450万だとしますよね。ほとんど近い給与なんですが、所得制限で参考になるのは一番収入の高い夫のほうに注目されるわけですね。ですから、1人働きでそれに制限がひっかかる人と、制限にひっかからないけれども2人足し算するとすごく大きな金額になる。これは子ども手当のときに議論になっていると思いますけれども、今回の高校無償化についてはどういう議論がなされているんでしょうか。もしあまりそういう議論が進んでいないとすれば、やはり純粋な世帯としての所得制限ということをきちんと考えるべきだろうと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、この点はお答えをお願いします。

〔 諏訪園主計官 〕 まさに所得制限を導入するとしたら、水準、対象、これからの議論だと思いますが、ファクトだけ申し上げますと、高校無償化の加算分、低所得世帯について加算していますが、そのときには、主たる世帯主の収入ではなくて、世帯合計の所得で判定がなされているというのが高校無償化制度における低所得世帯の基準になっております。

 それから、田中先生からの話で、社会資本整備と比べるべきではないというお話がございました。14年度以降は投入目標を入れるのはよそうというような議論があったときに、その閣議決定のときにこれが出されたということでの例示であり、比較しているということではないと、それだけ1点補足させていただきます。

〔 吉川分科会長 〕 では、赤井委員、簡潔にお願いします。

〔 赤井委員 〕 ありがとうございます。まず全体の教育費はどうあるべきかというところで1点と、あと高校教育費に関して1点述べたいと思います。

 田中委員もおっしゃったんですけど、この公財政教育支出が多いのか少ないのかという議論は、文科省で1人当たりで見るか子供当たりで見るかということで議論がなされていて、私もどちらが正しいのかとずっと考えていたんですけど、なかなか結論も出ずに、人口もどんどん、子供数も減っていきますから、それで人件費も減っていくだろうというシミュレーションなんかもしたりしてみているんですけれども、なかなか難しいので、この視点も大事だと思うんですけれども、ここだけにこだわらず、子供は減っていくんだけれども、子供を日本全体としてどういうふうに教育していくのか、例えば子供数が少ないけれども少数精鋭としてより特化していくなら教育費はつぎ込むべきだし、それほど要らない、1人当たり平均レベルでいいんだというんだったら、どんどん減っていくだろうし、そのような、特に子供に対する教育費とか教育のあり方の国としての考え方みたいなのを明示していかないと、マクロ的にどうなのかというところは議論がこれ以上進まないのかなと思います。

 高校無償化に関しましては、やはり一番重要なのが国、地方の役割分担の視点。これはさらに全段階の教育において重要です。つまり、高校だけではなくて、小、中、高、大学まで、その視点が重要なのかと思います。そこの役割分担は6ページのところにある程度書いてあるわけですけれども、例えば8ページのところに各自治体、県の例がありまして、私は大阪から来ているので、大阪府の例が8ページにありますけれども、これは元大阪府知事の橋下知事がいらっしゃったときに、私学を無償にするんだということでかなり乱暴だったんですけれども、大阪では事実上、今、高校は公立に行っても私立に行っても無料というすごいことが起きていて、これは学生を持っている親にとってはすごくいいことなんですが、逆に大阪府の黄色い部分が多い部分だけ財政負担はものすごくて、1年目は少なくても2年、3年と増えていきますから、財政面ではかなり大変なんですが、これはよいか悪いかは大阪府で考えることなので、これは自治体で考えてもらえばいいことかと思うんですけど、この辺を見てわかるのは、事実上、大阪府としては全額無料にしたかったわけですね。ということは、国では青い部分というのは段階はつけているんだけれども、その残りを入れているわけですから、国の方針というのはあまり影響を与えず、その残り分を地方がやっているわけですから、そういうふうに見ると、この部分は地方で全部考えてもらって、無料にしたいところは地方で考えて無料にしてもらうということで、事実上、国でつくった階段は影響がなくなっているわけですから、そういう意味でも、6ページのところに戻っていただくと、高校に関しては地方に全て任せると。先ほど少し所得制限するみたいな話がありましたけど、私の考えとしては、ちょっとドラスチックなんですが、高校に関しては、もともと地方に任せていたわけですから地方に任せると。私学助成に関しては交付税措置しているわけですから。そのかわり、もう少し全段階を超えて、国は小中学みたいに、義務教育のところは国が責任を持っているわけですから、その分、国は義務教育のところに特化していくと。現在の高校に関してはお金を渡しているだけで、ほとんど何もしていないし、文科省にも高校教育がどうあるべきかという部署はほとんどないわけなので、そういう意味では、国としては小中学校のあり方というところに特化して、高校教育に関しては地方に任せていくというような形の役割分担、融合型から役割分担をしていくことによって、お互いが責任を持ってよい教育につながっていくのではないかということで、かなりドラスチックな話なんですが、私の意見を述べさせていただきました。以上です。

〔 角委員 〕 大阪府は私学に負担を求めてますやんか。府だけでやっているんじゃない。私学にも負担を求めている。

〔 赤井委員 〕 下げてますね、はい。その話は。

〔 吉川分科会長 〕 土居委員。質問ではないでしょう。今のはご意見でいいですね。

〔 土居委員 〕 岡本委員、さっきおっしゃられましたので。

〔 吉川分科会長 〕 そうですか。済みません、失礼しました。じゃ、順番ですね。

〔 岡本委員 〕 済みません、ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 大変失礼しました。岡本委員、土居委員で。

〔 岡本委員 〕 これからの日本の発展ということを考えたときに、どうしても行き着くところは高度人材の育成ということなんですね。経済界でもこれが重要だとやっているわけです。具体的に言えば、児童のランクといいますか、世界における位置づけはどうかとか、あるいは論文数がどうかとか、あるいは海外からの留学生をどの辺まで受け入れるかとか、あるいは日本から海外へ行く留学生は少なくなったとか、こういう話が山ほどあって、こういうところを何とかしないといかんのじゃないかというのが多いわけです。これは一種の日本の将来の夢を語るという部分だと思うんです。しかし、ここで与えられているテーマはどうしても、高校の無償化とか、こういう予算的な中で押さえてしまうわけです。ここには大学の先生もたくさんおられますが、ほんとうに日本の教育を世界に冠たるレベルに上げるとなれば、私なんかが思うのには、OECDと同じだからいいとかという議論以上に、もっと積み上げてもっと良いことをやっていこうということが必要なんじゃないかと。そういう要請が文科省のほうからも出て、それを財務省はどういうふうに受けとめているのか。これは前にも私は言いましたが、社会保障・教育費は110兆円だと。そういった中で、国の分ですけれども、生活保護費とこれがほぼ同じだと。こういうレベルでいいのかなと思います。聖域なき財審ですから、全部見ていくということだけれども、やはり社会保障についてはもっと切り込むが、文教については、ポートフォリオもある程度考えて、国で守っていこうよというような気持ちがあるんです。教育は国家百年の大計なんだから、そういう視点も持っていただければと思います。

 終わりにします。

〔 吉川分科会長 〕 ご意見でよろしいですね。

〔 岡本委員 〕 意見でいいです。

〔 吉川分科会長 〕 では、土居委員、お願いします。

〔 土居委員 〕 私も意見を述べさせていただきたいと思います。ご説明がありましたように、中央教育審議会の答申で出されたアイデアは、私が思うには、まず量ありきというところから来ているような印象がありまして、対GDP比でどうだとか、諸外国と比べてどうだという話以前の問題として、今の日本の教育に何が足らないかというところが明らかにされないままに、まずは金額を増やすというところに注力しているような印象があります。もちろん個々を言い出せば、それぞれいろいろ足らない部分があるということは、それは私も一大学人として、大学教育の中に何が足らないかとか、それは言い出せば切りがないわけですが、やはり今の財政状況を考えますと、ないものねだりをしていてもらちが明かないと思います。

 それから、高校無償化の点ですけれども、そもそも高校無償化の位置づけ及び高校無償化をして何を達成させようとしているのかということ自体が不明瞭なまま、この制度を継続するということは、私は基本的に反対であります。赤井委員はラディカルとおっしゃいましたけれども、私も、ラディカルというよりか、そもそもこの制度はなくてもいい制度だと思います。

 ただ、高校に対して国、地方問わず公的な助成が必要ないということを言いたいわけではありませんで、やはり国は国としてやるべきことが何か、それから地方は地方として高校に対してできることは何かということをもう一度きちんと議論した上でやるべきだろうと思います。確かに所得制限をつけて高校無償化をやるというのはセカンドベスト、次善の策だとは思いますけれども、その範囲はできるだけ限定したものにするべきで、特に高校無償化の制度が既得権益化する前にきちんとメスを入れないと、やめるにやめられないという話になりかねないというところは私は大変深く懸念しております。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 時間を少し超過していますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、時間も参りましたので、本日の議論はこれまでとさせていただきます。本日は伊東大臣政務官に最後までご出席いただきましたので、もしよろしければ最後に政務官から一言あれば。

〔 伊東大臣政務官 〕 委員の先生方、ほんとうにご苦労さまでございました。主計官の専門的な説明を受けて即座にご質問される、あるいはご意見を述べられる、大変にすばらしい能力だなと思って感心しておりました。

 私、実は5年前まで釧路という人口18万の町の市長をしばらくしておりまして、その立場から言いますと、地方財政のところで青木主計官からさまざまなご説明があったり報告があったんですけれども、あのとき一言言いたいなと、ほんとは内心ちょっと思った次第でございました。地方は都会と違いまして高齢化がやはり進んでおります。私どもの町でも30%以上、65歳以上になってまいりました。さらに小さな町村に行きますと、もう40%以上を65歳以上のお年寄りが占めるというところがたくさん出てきておりまして、必然的にその町は働く人が少ない、あるいは企業もほとんどないということで、税収は上がってこないということになるわけであります。東京の例の突出したああいうのを見ると、別世界の話で聞くわけでございますけれども、やはり国として地方を見捨てない、均衡ある国土の発展、あるいは山間部、農村部、漁村部で働く、細々と農林、漁業をやる方々にも若干の思いをお願いしたいと思う次第であります。自治体が少し経済的に豊かでないかという話がありますけれども、あれはごく一部の都会だけでございまして、ほかはほとんどそうではないと思っております。たまたま国が去年7.8%の人件費削減をやったというだけの話でありまして、地方自治体はラスパイレス指数で大体80台から90台というような町村もたくさんあるところでありまして、横着なことをやっている自治体と、真剣に財政健全化に取り組んでいる自治体があるというところで、総務省あたりもそういうところをしっかり見ていただいて、交付税の配分にちょっと色をつけてもらえればいいなと思ったりするところであります。私どもの市立病院というのは大きい病院があるんですけれども、これがあるために隣の町は病院をつくらなくていいとか、さまざまな、お互い地域で助け合うということもありますので、ぱっと見て、稼げばいいじゃないか、採算性を何とかみんなで負担してやればいいじゃないかだけでは済まない部分も一つあるということもまたご理解いただきたいと思う次第であります。

 しゃべっていますと、防衛以外は全部関係するところなものでございますので、また私自身もさらに勉強して、国家財政の今後のあり方でございますので、委員の皆様と一緒に勉強し、また提言してまいりたいと思う次第でございます。

 本日はまことにありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。毎回のお願いですが、本日の会議の内容の公表につきましては私にお任せいただき、会議後の記者会見でご紹介させていただきます。会議の個々の発言につきまして、皆様方から報道関係者等に対してお話しすることのないよう、大変恐縮ですが、ご注意いただきたいと思います。

 次回は5月29日9時半からこの会議室で開催し、報告書の取りまとめに向けた審議をしたいと思います。委員の皆様方には事前に報告書の案をお送りいたしますので、事前にお目通しいただいた上でご出席をお願いいたします。では、これにて閉会します。

午後7時8分閉会

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