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財政制度分科会(平成24年11月12日開催)議事録

 

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成24年11月12日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会

                     平成24年11月12日(月)8:59〜12:41
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

1.開会
2.有識者ヒアリング
  「低成長に対応した財政・社会保障制度の構築」
  -河野龍太郎 BNPパリバ証券経済調査本部長 チーフエコノミスト
3.グリーン(エネルギー・環境)及び中小企業関係予算について
4.有識者ヒアリング
  「世界経済情勢とわが国へのインプリケーション」
  −武田洋子 三菱総合研究所 政策・経済研究センター主席研究員
5.総括的議論について
6.閉会

配付資料
○ 資料1      低成長に対応した財政・社会保障制度の構築
○ 資料2      グリーン(エネルギー・環境)及び中小企業関係資料
○ 参考資料     経済産業、環境、司法警察及び財務関係
○ 資料3      世界経済情勢とわが国へのインプリケーション

5.出席者

分科会長代理田近 栄治

柚木大臣政務官
中原次長
福田次長
岡本次長
可部総務課長
小宮調査課長
大鹿法規課長
工藤司計課長
富山主計官
阪田主計官
余島主計官
青木主計官
神田主計官
新川主計官
武藤主計官
窪田主計官
角田主計官
吉井主計官
諏訪園主計官

委員 

井伊 雅子
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基

臨時委員

秋山 咲恵
板垣 信幸
岡本 圀衞
葛西 敬之
倉重 篤郎
小林 毅
角   和夫
竹中 ナミ
鳥原 光憲
早川 準一
渡辺 捷昭


 午前8時59分開会

〔 田近分科会長代理 〕 おはようございます。これから財政制度等審議会財政制度分科会を開催させていただきます。

 まず、お手元にこの「財政について聴く会」と、きょうのスケジュールがありますけれども、大変な長丁場になっています。力をバランスしてご参加ください。

 まず、そういうことで、有識者ヒアリングということでお二人の方からお話を伺います。まずそこにあるように、河野さん、BNPパリバ証券経済調査本部長、そしてその後に三菱総研の武田さん、お二人からお話を伺います。ご都合によってこのとおりお話はスプリットしていますけれども、そして今までの続きではテーマ的にはグリーン及び中小企業関連予算というのを主計官のほうから報告いただき、議論すると。そして、できるだけ時間をつくりまして総括的議論ということを行いたいと思います。

 それでは早速、議事に移りたいと思います。

 まず、有識者ヒアリングということで、河野龍太郎BNPパリバ証券経済調査本部長にお見えになっていただいています。それでは、河野さん、「低成長に対応した財政・社会保障制度の構築」のテーマでよろしくお願いします。

〔 河野BNPパリバ証券経済調査本部長 〕 はい。BNPパリバの河野でございます。本日はよろしくお願いします。

 資料を幾つか用意しておりますが、こちらのタイトル「低成長に対応した財政・社会保障制度の構築が不可欠」というものと、こちらの横長のグラフ集でお話を差し上げたいと思います。30分ほどお話をした後、15分ほど意見交換ということを聞いておりますので、そちらで進めさせていただきたいと思います。

 まず、この横長の資料の7ページを見てください。7ページの図の1番目には、日本の1950年代半ばから2011年までの非常に長い成長率が出ているのがわかると思います。これ、皆さんよくご存じのとおりですが、50年代半ばから70年代初頭までは平均成長率9.4%、70年代半ばから90年代初頭まで4%強、そして90年代初頭以降、平均で0.9%になっています。もう少し内訳を言いますと、90年代の平均成長率は1.1%でありましたが、2000年代以降は0.7%ということです。

 私は、きょうのタイトル「低成長に対応した財政・社会保障制度の構築が不可欠」は何か非常に当たり前、あまりにも当たり前なので、こんな当たり前のタイトルでいいのかなという気もしたんですが、ただ、政治的なレトリックはやっぱり難しいんですね。というのが、「低成長だったら、成長を高めろ」という話に当然なってくるわけで、成長を高めようという話がまず起こってきて、低成長に対応した財政・社会保障制度の構築をしなかったことがやっぱり今の一番大きな問題であろうという認識でお話を差し上げたいと思います。

 これも言うまでもないことですが、今の日本の社会保障制度の大枠がほぼ完成したのが70年代初頭、高度成長の最終局面なわけですね。この高度成長の最終局面というのは、増税をしなくても、むしろ当時どんどん減税をしていたわけですけれども、成長があるので税収がどんどん入ってくる。働く人がどんどん増えるので社会保険料もどんどん入ってくると。一方で、社会保険給付を受ける年配の方は非常に少なかったということで、相当潤沢な財源があった状況で、大盤振る舞いの制度をすっかりつくってしまったわけです。本来であれば、この中成長期局面に入った段階で高度成長を前提にした制度を再構築しないといけなかったんですが、それをしなかった。中成長だと結構これもまた財源豊かなので、そのままになってしまったんですね。ほんとうは我々は、事後的に言うと、低成長時代に備えた制度改革を中成長期にしないといけなかったわけですが、それが放置されて、そのまま90年代の初頭から低成長局面に入ってしまったと。低成長局面に入って20年もたっているわけですが、なかなか思うように改革が進んでいないということであります。

 これはもちろん事後的に見たらこういうふうに成長率が屈折していたということで、リアルタイムではなかなかわからないんです。諸外国の例を最近見てみると、まさにこの10年ぐらい、いろいろな国でブームが発生し、その後相当大きな危機が起こって低成長に入っているんですが、なかなかリアルタイムでは成長の屈折が認識できない。認識できないので、まずは成長率を高めちゃおうということになります。とりわけ重要な点が、目の前の成長の減速はあくまでも循環的なものなんだと。循環的なものなんだったら、とりあえず財政政策や金融政策、マクロ安定化政策で成長を押し上げようという発想になってしまう。そうすると、結局それがまたさらに財政状況を悪くしてしまう。これは、まさに我々が90年代にやったとおりなんですが、どうやらここ数年間の欧米の状況を見ると全く同じことをやっていっているなと。なので、さまざまな要因でトレンド成長率、潜在成長率が下方屈折したときに、それに対応できなくて、むしろ事態をひどくしてしまっているというのは、かなりシステマティックなエラーなのではないかなという気がちょっとしてきております。これがまず1点目ですね。

 成長の減速の理由は幾つかあるとは思われますが、ページを飛んでいただきまして22ページですね。これは議論がいろいろ分かれていると思いますが、1つは、22ページの図の1番目で示されているとおりなんですが、人口動態の影響がやっぱり大きいでしょうということだと思います。この22ページの図の1番目は、生産年齢人口と民間の資本ストックをインプットしたものでありますが、生産年齢人口の伸びの鈍化とともに民間資本ストックの伸びが鈍化してきているというのがわかると思います。おそらくこれ、逆の因果関係を言う人はいないと思いますよね。資本ストックが減ったから生産年齢人口の伸びが鈍化してきたんだということはあり得ないわけですから、因果関係は片方だと思います。生産年齢人口の伸び率が鈍化してくるというのは以前からわかっていたわけですが、当時、どんな議論が10年前とか15年前とかにされていたかというと、生産年齢人口、労働力が減ってきたとしても、それをオフセットすべく省力化投資などが行われて民間資本ストックが蓄積されるので、生産性が維持されて、トレンド成長率、潜在成長率はそれほど下がらないでしょうということです。十数年前はよくそう言われていたんですが、事後的に見ると違ったということです。おそらく2つ経路があったと思いますが、1つは供給サイドからの要因。労働力が減ってくるということで、1人当たり資本が余剰になってくるので資本収益性が低下して、資本蓄積が抑制された可能性があり得るということと、もう一つは、働く人が減るということは稼ぐ人が減る、消費をいっぱいする人が減っていくということですから、消費が増えない。ということは、国内の売り上げが増えないということに直面する企業経営者が資本蓄積をちゅうちょすると。そういったような2つのルートで起こってきたんだろうというふうに思います。

 実はこれ、先ほどもお話しましたが、ほかの国でも起こっていることでありまして、図の2番目を見ると、アメリカでも資本ストックの伸びが生産年齢の人口の伸びとともに鈍化してきているというのがわかると思います。

 そういった意味で、トレンド成長率が低下してきているということなんですが、ただ、先ほどもお話ししましたとおりですが、高成長、中成長を前提につくられた社会保障制度・財政制度がそのまま放置されてしまっているので、90年代以降の低成長局面に入って機能不全になってきていると。これも繰り返しですけれども、リアルタイムではトレンド成長率の低下というのをなかなか認識できないので、一時的な成長率の低下だというふうに捉える方は「もっと財政をやれ」、「金融政策をやれ」ということで、裁量的なマクロ安定化政策を続けた結果、財政状況がさらに悪化してしまっているということだと思います。

 これが1つ目のポイントです。ただ、今お話ししているのは、トレンド成長率が低下したから社会保障制度や財政制度が機能不全に陥ってきているということで、私は、ここ数年間、逆の因果関係も働き始めているのではないかということも認識しています。つまりそれは、社会保障制度・財政制度がうまく回らなくなってきたせいで、それがトレンド成長率を低下させているおそれはないのかということであります。少なくとも金融業界や財政に携わっていらっしゃる方にはすごくはやった本だと思いますが、2年ほど前にロゴフ教授やラインハルト教授が『This Time is Different』という本を書かれ、その中で、公的債務が対GDP比で90%を超えてくると、その返済負担などから企業や家計が支出を抑制してくるという、いわゆる非ケインズ効果ということを論じられておられました。私は、日本でもそれが起こってきているのではないかということを、ここ数年、強調しております。

 それで、例えばこの横長の資料の25ページのグラフでございますが、25ページ目は家計貯蓄率の推移が緑色の点で示されております。高齢化の要因をマクロ的に取り除くと、具体的には、貯蓄率を所得でありますとか物価でありますとか高齢化比率(65歳以上の総人口に占める割合)などで回帰しまして、高齢化の要因を取り除くと、この赤いラインが示しているとおりなんですが、2000年代に入ってむしろ貯蓄率は上がっているんですよ。少なくとも下がってないんですね。これはかなり特殊な状況です。といいますのが、ここ数年間はともかくとして、この20年近く、家計部門向けにはさまざまな新たな金融サービスが提供され始めているので、多くの国では各年齢階層の貯蓄率というのは下がってきているんですね。支出率が高まっているんですが、日本の場合は、高齢化の要因を取り除くと貯蓄率がむしろ上がってしまっているということです。

 ここから1つ推測できるのは、社会保障制度の持続可能性あるいは公的債務に関する返済負担への懸念から、現役世代が支出を抑制している可能性があり得るということです。もしこれが正しいとすると、先ほどの話ではありませんが、消費が低迷するから、それに直面する企業が資本蓄積を抑制するということになりますので、トレンド成長率を下げる可能性があり得るということです。

 よく、長期金利が上がってないから公的債務膨張のマクロ経済的な悪影響が起こってないということをおっしゃる方は多いんですけれども、実際には、家計や企業が支出を抑制しているがゆえに、その貯蓄でもって国債がファイナンスされているというメカニズムが強く働いておりますので、全く悪影響があらわれていないということはないということだと思います。多くの方は、まずは成長を高めよとおっしゃる。マクロ安定化政策ではトレンド成長率を高めることができないということをきちんとわかっていらっしゃる方でも、まずは成長率を高めて財政健全化をすべきだと、成長率を高めた後で社会保障制度改革など痛みのあるような政策をすべきだと、言う方がいらっしゃるんですが、私自身は、既に大きな公的債務の問題あるいは社会保障の持続可能性の問題自体がとりわけ現役世代の消費を抑制しているんだとすると、低成長の要因である問題を取り除くということで、低成長に対応した財政・社会保障制度を構築することが成長戦略の観点からも意味があるのではないかというふうに考えております。

 ちなみに、先ほどマクロの統計としての貯蓄率を見ていただきましたが、26ページのデータは年齢階層別の貯蓄率、正確に言うと黒字率を書いております。これはほかの影響もありますので、必ずしも公的債務が各年齢層の貯蓄率を説明していると言うつもりはないですけれども、この10年、20年、現役世代の貯蓄率、黒字率は基本的には上昇しています。あえて言うなら、図の1の40代、図の2の30代未満に関しては、いわば非ケインズ的なメカニズムが起こっている。ちょうど図の3番目の50代はほぼニュートラルないしやや右肩上がりですから、非ケインズ的な動き。図の4番目でありますが、60歳以上の方々に関しては公的債務が増えると貯蓄率が下がっているということですから、これはケインズ的な効果がそのまま起こっているかもしれないということかもしれません。こういったことで、マクロ的に見ても年齢階層別に見ても、現役世代がどうやら公的債務の増大あるいは社会保障に対する疑念から支出を抑制している可能性があり得るということが観測されるということであります。

 3点目の話に、若干シミュレーションの話を差し上げたいんですが、次の横長の27ページに幾つか、財政状況が今後どうなっていくかということをシミュレーションした結果が出てきております。まず左の2つ、シナリオ1、シナリオ2は、今回の決定されました消費税率を5%を10%にしたケースで、1が金利が一定のケース、シナリオ2が2016年度に長期金利が2ポイント上昇するケースであります。ただ、政府の資本コストが増えるのには時間がかかりますから、約7年かけて上昇するというケースをやっております。シナリオ3は今回の改革も行われないというケースであります。シナリオ4、シナリオ5はさらなる改革のケースで、ちょっとこれは後ほどお話をいたします。

 念のため言うと、ここでの前提は、名目成長率をゼロというふうに前提で計算しております。名目成長率ゼロというのはちょっと極端で、あまりにも極端ではないかというふうに言われるんですが、ただ、実績として、2000年代の名目平均成長率はマイナス0.8%です。「それはリーマンショックがあったからだろう」ということを言われるかもしれませんが、リーマンショックの前の2000年から2007年の平均成長率は0.1%です。今後、生産年齢人口が毎年1%強で減少していく。さらに、資本蓄積そのものは2009年から減少が始まっているということを考えると、おそらくトレンド成長率そのものはさらに低下する可能性がありますから、財政健全化プランを考える上では、保守的に名目成長率をゼロというふうに置くということは妥当ではないかと思います。むしろゼロでは保守的ではないんじゃないかということもよく言われます。

 これを前提にちょっと幾つか見てみますと、まずシナリオ1とシナリオ2を比べていただきたいと思いますが、消費増税をやったとしても、2023年の段階でプライマリーバランスは対GDP比でマイナス5.7%、財政収支は2023年度で対GDP比でマイナス8.5%になっていると。2023年度の段階で国及び地方の長期債務残高はGDP比で273%あるということなんですが、問題は、おそらくこんな状況になっていると金利がこのままではないということです。2ポイント程度金利が上昇して、今の長期金利は1%割れておりますが、これが3%近くまで来ると何が起こるかというと、財政収支で見ていただくと、2023年の財政収支は、金利が上がらないときにはGDP比で8.5%の赤字だったわけですが、金利が2ポイントとわずかに上がるだけで財政赤字は14.4%と、6ポイント対GDPで上がるということになります。約6ポイントの利払い費の増分自体を仮に消費増税で補おうとすると、この場合、12%近くの消費増税が要るということになってしまうということなので、金利が低いうちに問題を早く解決しないといけないんだということです。金利が低い理由は幾つかあると思いますが、1つには、欧米各国で危機が続いているから金利が低いんです。欧米が危機だから健全化できないという議論もありますが、むしろ、欧米の危機が終わってしまうと金利が上がってしまうリスクがあるので、道筋としては金利が低いうち、欧米の危機が続いている状況のもとで進めておかないといけないんだということだと思います。これがまず1点目ですね。

 あと、次に、29ページで今の試算の続きでもう少しお話を差し上げたいんですが、これもきょうここにいらっしゃる方は皆さんご存じのことばかりでありますが、どのくらいのオーダーの改革をやらないといけないのかということです。まず結論を言っておきますと、社会保障関係費の増大をとめなければ永久に増税を続けないといけないという計算になってしまったということです。29ページの図の1番目は、今の一体改革を行った後に、2018年度、19年度、20年度にそれぞれ消費増税を5ポイントずつやっていって税率を25%に置くという、すごく極端な計算でシミュレーションしています。これはあくまでも頭の体操だというふうに思っていただきたいんですが、消費税を25%上げて、現在の社会保障費が毎年1兆円前後増加するという状況を変えないという計算です。これ、見ていただくと、一旦2020年度の段階でプライマリー収支黒字は対GDP比で3%確保できるんですが、その後、毎年、社会保障関係費が1兆円前後増加してきます。消費税率換算で大体0.5ポイントぐらいの社会保障費の増大が続くので、その結果、2030年代初頭には再びプライマリー収支が赤字になってくるということで、公的債務の膨張はとまりませんということですね。

 もう一つの計算が、同じページの右側の図の2番目でありますが、こちらは社会保障関係費の増大を2016年度からとめます。とめるという施策を打った上で、2018年度に4ポイント、2019年度に3ポイント、2020年度に3ポイントそれぞれ消費税率を上げて20%にするというケースなんですが、こちらは2020年以降、プライマリー収支黒字が2%確保できて、何とか公的債務の増大をとめることができるという計算になりました。公的債務の膨張がとまると。もちろん、減らすというためにはもっと施策を打たないといけないわけでありますが、とまるということであります。

 ですから、繰り返しになりますが、消費増税20ポイントぐらいまでするということと、社会保障関係費の増大をとめるということが不可欠であろうということだと思います。これでも、金利が上がってしまえば、また利払い費が増えて公的債務が膨らむというようなことに、今の南ヨーロッパのようなことになりますので、最低限これはやっておかないといけない、この道筋を立てておかないといけないということであります。

 最後に、どういったようなことをしないといけないのかということで、こちらの縦の一番始めから見ていただいているペーパーの3ページ目ですね、若干まとめておりますので、こちらをお話し差し上げたいと思います。社会保障関係費の膨張をとめるためには何をやらないといけないのかと。これも皆さんここで何度もいろいろ議論されておられると思いますが、基本的には、冒頭でもちょっとお話ししましたが、人口動態の要因が非常に日本の公的債務の膨張につながっておりますから、人口動態の逆ピラミッド化がさらに進むということを考えると、長期的には年金のみならず医療・介護とも積み立て方式に移行していく必要があるでしょうというのが、まず一般論としては言えるんだと思います。

 ただ、なかなか全面的な制度改革が難しいということで、まず何をやらないといけないのかということですが、団塊の世代の方々が65歳にもうなられ始めておられるので、年金についてはしばらく膨張はとまるのかもしれませんが、今から備えないといけないのは、団塊の方々が75歳になられて、そのときに医療・介護が膨張していくことなわけであります。まず結論においては、疾病の性質に応じて給付範囲の見直し、給付率の見直しをやるということです。現在、医療費・介護で急増しているのは、必ずしも救命的なものではなくて、生活の質(クオリティー・オブ・ライフ)を高めるような医療・介護サービスが膨張しております。これらの医療・介護サービスに関しては、通常の財・サービスとかなり性質が近いと思われます。つまり、価格弾力性が非常に大きくて、需要者の時間コストに大きく依存するということです。つまり、時間がいっぱいあって時間コストの低い方はかなり消費しちゃうということですが、現在の医療とかは窓口価格が年配の方々は極端に低くて、さらに、そういった方々は既に引退されておられるので時間コストが非常に小さい。となると、そのせいで過大な医療・介護サービスが需要されることになるということになります。よく成長戦略の議論をするときに、医療・介護が成長分野になると言う方、すごく多くいらっしゃいますが、確かに私もそのポテンシャルはあるであろうということは認めますが、今の状況のまま需要増が続いていくと、それはそういった分野が成長産業になる前に財政危機がやってくるでしょうということなので、救命から遠いものに従って給付率を引き下げる、非常に遠いものに関しては給付範囲から外すというようなことが、施策としては望ましいのではないかというふうに思っております。

 そんなことしたら、医療サービスを欲していても受けられない人がいっぱい出てくるということですが、少なくとも公的保険の範囲がそういった形で縮小されるとすると、それを補うべく、私は民間の保険が対応必ずしてくれるというふうに思っておりますし、それこそが成長分野をつくり出すことにつながるのではないかというふうに思われます。

 あと、私は、以前こちらで勉強させていただいたことであるとか、仕分けのところでちょっと取り上げた分野を取り上げておりますが、生活保護の医療扶助あるいは柔道整復師の供給する医療類似サービスや漢方薬の市販品類似薬についても、先ほどお話ししましたが、窓口価格が極端に安いか、場合によっちゃゼロなので、医療サービスが過大に需要されて国民医療費を膨張させるという意味では、全く今お話しした議論と同じでありますので、これらについても給付率や給付範囲の見直しが不可欠であろうというふうに思われます。

 あと、これも先ほどちょっと触れたこととかかわりますが、成長分野であるということを称して成長戦略で財政資金を投入していくというようなことが、例えば2013年度予算を検討する上で医療・介護・ヘルスということで重点項目になっているわけですが、基本的にこの分野は高コスト体質の分野で効率が非常に悪い分野であります。成長分野にしていくということは非常に重要ですが、規制改革や規制緩和を行うことなしにお金だけをつぎ込んでしまうと、さらに高コスト体質を悪化させてしまうということになりますから、この点は非常に慎重に対応していく必要があるというふうに思われます。

 ちょうど30分たちましたので、一度ここで......。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました、きっちり30分で。

 早速、質問、ご意見を伺っていきたいと思います。15分なので、井伊さん、岡本さん、とりあえずお願いします。

〔 井伊委員 〕 貴重なお話どうもありがとうございました。とても要領よくまとめていただきまして。最後の医療・介護分野の高コスト体質のところに関して、データでエビデンスを示すことが大切ですけれども、こういった議論をするときに必ず出てくるのが、OECDのヘルスデータで、日本はGDPに占める医療や介護費が先進国の中でも低いと。このデータをもとにして地域医療は崩壊しているということで、政治家や医療関係団体が支出の増額を要求してきて、実際この数年、かなり増額されてきたと思いますが、このあたり、どういうようにしてこの高コスト体質のデータをエビデンスとして出したらいいかということに関して河野さんにご意見をお伺いしたいと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 じゃ、続けて岡本さんも。

〔 岡本委員 〕 はい。27ページのシミュレーション、ここでシナリオ1とシナリオ2で「金利は一定」と「2ポイント上昇」というのがあるんですけど、これはシミュレーションですから淡々とこう書いてあるわけです。今まで「経済成長なくして財政再建なし」ということで今の実態というのがあって、また、今もGDP成長目標が名目3%、実質2%、そしてCPIが1%ということなんですけれども、ほとんど金利については語られていないんですよね。我々が思うには、金利、かなり上がるんじゃないかなというのが心の中にあるんですけれども、そういうふうなところについては意外と触れられてないと思うんですよ。これは、触れるのが嫌なのか、いやいや、わかっていても、いや、そんなに上がることはないよというような実証的なものがあるのかどうか。この点について、このシナリオ2つ書いてありますけれども、河野さん、どちら、どういうふうにお考えかと。

〔 田近分科会長代理 〕 じゃあ、早速お願いします。

〔 河野BNPパリバ証券経済調査本部長 〕 はい、わかりました。まず井伊先生からのご指摘ですが、すみません、ちょっと十分分析はできてないんですが、ただ、1つ言えるのが、よく我々が比較をするときにアメリカなどと比較することが多いですが、日本は、例えばこれ、ちょっと別の切り口で言うと、GDPに占める消費の量が60%ぐらいなんですね。アメリカが70%ぐらいなんですね。この差って何かというと、実は医療費なんですよ。つまり、アメリカは基本的に医療が民間のサービスとして購入されているんですね。日本は、政府が公的に給付をしているので、消費に全部入っているわけじゃないんですよ。ここをあわせると実は消費の量とかもあんまり変わらないということもありますよね。だから、どうでしょう、よく日本ではこんな低いコストで医療サービス供給がされていると言う人が多いですけど、高齢化で膨張してくると、少ないと決して言える状況じゃない、という気がちょっとしました。すみません、直接調べてないので非常にラフな回答になってしまいましたが。それが1点目です。

 あと2点目なんですが、2つのことをお話し差し上げたいと思います。一般に財政健全化のためにインフレ率、成長率を高めないといけないということ多いんですが、私自身は、成長率、とりわけ実質成長率を継続的に高めていくということは重要だと思っておりますが、それだけでは問題解決にならないと思っております。というのが、インフレ率や実質賃金率が高まってくれば、同時に歳出が膨張するということが忘れられているということです。それは今ご指摘いただいたことですが、私は、継続的にインフレ率が高まれば、長期金利が間違いなく上昇すると思っています。ですから、その結果、利払い費も増大すると思っております。公的債務が既にGDPの2倍まで膨らんでいますので、それを考えると、仮にインフレ率と長期金利の上昇幅が同程度にならなくても--同程度にならないという保証も全くないんですけれども、公的債務の水準が大きいですから、利払い費が相当税収の伸びよりも加速してくるリスクが高いというふうに思っております。

 あと、マーケットではあまり気がつかれていませんが--ここにいらっしゃる方はお気づきだとは思いますけれども、日本の社会保障制度は賃金スライドとか物価スライドを組み込むことで、現役世代が享受する所得水準の向上を引退世代にも享受してもらうという仕組みが基本的には組み込まれていますので、賃金率とかインフレ率が高まると、タイムラグがありますけれども、高齢者の受け取る社会保障給付も高まっていくので、プライマリー支出も高まっていくことになります。もちろん、2004年にマクロ経済スライドが導入されましたが、それは賃金やインフレの上昇に伴う給付の増大を多少抑制する程度でしかない。既得権の政治力の強さとか現状の制度設計を前提にすると、インフレ率とか成長率が高まると確実に医療・介護費は膨張するので、やっぱりマクロ政策だけではだめで、歳出を抑える改革をきちんとやらないといけないというのが私の認識です。

 金利が上がるかどうかについてはほんとうに意見が分かれておりますが、ただ、1つ言えるのは、今の悪い状況を見て家計が消費を抑制し、企業が投資を抑制し、その結果、家計、企業の貯蓄が金融部門を通じて国債に向かっているのでもっているんですけど、永久にこれがもつかというと、純資本ストックって既に減少が始まっておりますので、いずれかの段階で日本の潜在成長率は明確なマイナスだと多くの人が認識し、その段階で、やっぱり大変なことがやってくると思います。つまり、潜在成長率がマイナスになったと。例えばマイナス1%とかマイナスになったというふうに多くの人が確信した段階というのは、税収のトレンドも当然マイナスに入っているということですから、現在、我々が抱えている公的債務は将来の税収では返済できないということがわかってくるので、そこで危機が--ちょっと軽々しく危機ということを言ってはいけないんでしょうが、厄介なことが起こってくる可能性があると思います。

〔 田近分科会長代理 〕 せっかくお話をいただいて、どんどんご意見、ご質問いただきたいんですけれども、土居さんと、じゃあ板垣さんと倉重さん、続けてお願いします。手短にね。

〔 土居委員 〕 ご説明どうもありがとうございました。コメントなんですけれども、今、岡本委員おっしゃったことに関して、経済学的に考えると、これ、歳出と歳入の収支均衡式ですね、政府の予算制約式とかいうふうにも言われますけれども、これを解きほぐすと、実は成長率そのものが財政収支や政府債務にどういうインパクトを与えるかということよりも、成長率と金利の差ですね、こちらのほうがより大きなインパクトを与えるということが知られておりまして、結局、何%まで成長率が上がるかとか何%まで金利が上がるかというのはなかなか容易に想像できないということであるとすれば、成長率と金利の差がどの程度におさまるかということを気にしたほうが、財政を議論するときには建設的な議論ができるのかなというふうに思います。

 さはさりながら、長期的に見ると、経済学的に常識だとされているのは、成長率と金利の差は2%ぐらいと。つまり、例えば実質成長率が2%だとすると金利は4%ぐらいだと、こういうような2%ぐらい金利のほうが上回るということは長期的には考えられるというふうに理解されているので、そう考えますと、やはり河野さんがご説明されたとおり、なかなか財政状況非常に厳しい状況は、依然としてこの結論は覆ることはないということにはなるのかなと思います。

 そういう意味では、これはコメントということで河野さんに対してなんですけれども、成長率を高めるということ、その取り組み自体は私は別に否定することでもないし、むしろ促されてもいいと思うんですけれども、それとともにやはり金利も上がってくるという可能性はいい意味でも悪い意味でもあるので、だからといって成長率を高めるだけでは財政の問題は解決できるという話ではなくて、むしろ金利と成長率の差が2%ぐらいあったとしても財政収支が極度に悪化するようなことはないようにするとか、政府債務が膨張するというようなことを避けるような財政の構造改革を進めていかなきゃいけないんだという、そっちのほうに、金利の差との関係でのこのきょうご説明の主張をなさると、より説得的なのかなというふうに思いました。

〔 田近分科会長代理 〕 板垣さん。

〔 板垣委員 〕 河野さんの説明の中で、人口減少がベーシックな部分で日本の経済に影響を与えている、そこは私も同感ですし、それから医療の分野において成長のポテンシャルになり得るという指摘も私も同感だし、ほぼ7割方、同感なのではありますが、1つは、何となくこの中のメッセージから見えるところは、もう成長にはあまり期待するなと。身の丈の中で頑張っていこうというふうな印象にも思えるんですが、いわゆる技術革新、技術的なブレークスルー、それから規制緩和を含めた点における成長がどの程度行くのかということ、河野さんご自身はどういうふうに考えていらっしゃいますか。それはもう将来のことで誰もわからないというふうな見方をとっていらっしゃるのか、それとも、いや、相当期待できると見ていらっしゃるのか、その辺ちょっとお聞かせください。

〔 河野BNPパリバ証券経済調査本部長 〕 はい、わかりました。

〔 田近分科会長代理 〕 倉重さん。

〔 倉重委員 〕 私もほとんど板垣さんと同じなんですけど、やっぱり成長率をどう見るか。金利もそうなんでしょうけれども、財政にとって非常に重要な基盤議論だと思ってお聞きしていましたけれども、河野さんは非常に説得力あるし、そう思うんですけれども、トレンド成長率がこういう状況にあるということについての根拠が、今おっしゃったような人口動態要因が最も大きな要因。それ、過去の実績もそうなんですが。その一方で、竹中平蔵さん的な議論ありますよね。もっとインフレにして、それから規制緩和すれば、二、三%成長率はできるという議論があまりにも隔たりがあり過ぎて、どちらを足場にするか、足して2で割った足場にするかというのは非常に我々の重要なポイントだと思うんですけれども、その竹中さん的な議論に対しての反論といいますか、批判を1つ聞きたいのと、それから、やはり社会保障、相当な切り込みが必要だというご認識なんですが、仕送り方式から積み立て方式、これはなかなか難しい転換でありますけれども、しかし、そこまで踏み込まなきゃいけないとすれば、どこの国の制度でモデルといいますか、見本にするようなものがあるのかどうかですね。あるいは、日本が先頭切ってそういうところまでやらなきゃいけない立場にあるのかどうか。ちょっと中長期的な先も見てお話を伺いたいと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 本気でやり出すときょうじゅうかかるような感じがしないでもないですけれども、時間があと数分ですけれども、トレンド成長率の根拠、そしてきょうあんまりお触れになってこなかったマネタリーポリシーあるいはインフレターゲットとこの成長の関係のあたりが強いご関心だったと。

〔 河野BNPパリバ証券経済調査本部長 〕 わかりました。ありがとうございます。

 いや、おそらく土居さんが説明されたことに尽きるんですね。私も、すみません、そのような説明をすればよかったのかもしれませんが、まさに今も成長率より金利のほうが既に高いんだということですね。ただし、たまたますごく低金利になってしまっているので何とかもっている状況なので、金利がわずかでも上がってしまうと、もうアウトの状況になっているということに尽きます。

 上げ潮と言われるような方々は、名目金利より名目成長率が高いような状況を前提に置いていらっしゃるんですが、これは、今そうではないということがまず1点と、もしそういう状況を作り出すことが出来るとすると、それはバブルの理論でいうとバブルが発生するような状況なんですよ。バブルが発生するような経済状況を前提に財政運営をやるべきでないというのが、私の--土居さんにコメントいただいたので全く同意見で、そういうことを多分おっしゃられたかったと思うんですけど、そういうことですね。これが1点目です。

 あと、板垣さんがご指摘いただいた件に関しては、もちろん成長戦略は重要だけれど、もう歴代の政権がずっと言い続けてきて、今、何ができているかということですよね。だから、成長戦略を追求しないといけないですが、成長戦略と、この財政健全化なり社会保障制度改革は別に同時並行でやっていかないといけないということに尽きると思います。つまり、確率的には発生し得るイノベーションも、たまたま来年やってくるかもしれませんし、10年後かもしれませんし、15年後かもしれなかったりするので、金融市場はおそらく待ってくれないということで、想定外に高い成長であればもっと財政健全化が進んでよかった、ということではないかというふうに私は思っております。

 もう一つさらに言うと、先ほどもちょっと触れましたが、今の消費を低迷させている要因が社会保障制度の持続性に対する懸念であったり、公的債務の返済負担に対する懸念であったりして、成長が抑制されているというメカニズムが起こっているとするならば、まさに成長戦略の観点からも、財政健全化・社会保障制度改革をやっていかないといけないというロジックだってあり得るんじゃないかということだと思います。もちろん、我々、やらないといけないことはいっぱいあると思います。例えば労働力が減ってくるといっても、女性の労働力をもっともっと活用するとかというのは全くされてないわけでありまして、おそらく、この会議で女性が半分ぐらいになるような状況にまだなっていないということを考えると、まだそれが成長率を高める余地はある。小学校、中学校、高校、大学、学校を出た後も人的資本の形成に相当な、家計としても国としても教育投資なり人的資本の投資をやっているわけですから、その方々が継続就業することがもっと可能になれば、おそらく日本の平均的な人的資本が上がり、生産性がもっと上がるということだと思いますので、成長につながるというふうに思います。

 財政政策と金融政策は基本的に成長を高めるわけじゃないわけです。一時的に成長が高まっているように見えるのは、それは文字どおり将来の所得を財政赤字でファイナンスをしてくるので、将来の所得を先食いしたり、金融政策が仮に機能する場合というのは将来の需要を前倒しする効果があるわけであって、基本的に私はマクロ安定化政策では一切付加価値は生み出されないと。むしろ、それがわかっていて時間を買うから要るんだという人もいるんですけど、何となくここ20年間の我が国が行ってきた政策を見ると、マクロ安定化政策をやることで本来必要な構造政策をやらない言いわけになっている。だから、低成長だからマクロ安定化政策が要ると言っているのは、やらないといけない構造政策をその間やらないことの言いわけに使ってきているのではないかなという気がします。なので、政治家の方でマクロ安定化政策が要る、要るとおっしゃっている方を見ると、あ、この人は構造政策を先送りたい、先送りたいと言っているんだなというふうに最近は見ることに私はしております。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。引き続き議論したいところですけれども、もう既に時間超過になったので、先に行きたいと。きょうはどうもありがとうございました。

〔 河野BNPパリバ証券経済調査本部長 〕 ありがとうございました。

〔 田近分科会長代理 〕 続いて、これまでの議論の続きで、きょうはグリーン(エネルギー・環境)・中小企業、いつも思うんですけど、いかにも組み合わせ、食い合わせが何か悪いとは言いませんけど、頭を相当フレキシブルに使わないと右から左に行かないような気がする。グリーンと中小企業ということで、神田主計官から説明いただきます。

〔 神田主計官 〕 恐れ入ります。司法警察・財務・経済産業・環境担当の神田でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは、今、田近先生からありましたように、グリーンと中小企業を扱わせていただきます。グリーンというのは、さっき成長戦略の話、河野先生のときに出ましたけれども、今の政府の再生戦略の一丁目1番地であり、予算要求もかなり自由に要求できるようになっている一方、いろんなものが入ってきていると。今回、初めて横串でグリーン予算というのを扱うということになったこともあって、財政審議会においても初めて扱うことになります。

 それからもう一つの中小企業のほうは、これ、過去何度か財審でご審議いただいたんですけれども、近年、やはりリーマンショックあるいは大震災の影響でかなり国費の投入が数兆円規模で増嵩しておりますので、このあたり、心配なものでございますので、先生方にご審議いただければと存じております。

 では、早速始めさせていただきます。お時間の関係ではしょりながらやります。

 まず2ページでございますけれども、「日本再生戦略」の中でグリーンというものが掲げられたと。その頭にありますように、革新的エネルギー・環境社会の実現プロジェクトというのを頑張ってやっていこうということで、3ページにございますように、今やってございます予算編成の前提となります概算要求で、グリーンについては見直し額、その削った分の4倍まで要求していいですよという極めて例外的な扱い、事実上の青天井ということになってございます。

 その中身を分析いたしますと、4ページでございますが、経産省、環境省、伝統的なグリーン官庁が大きく伸ばしていることに加えまして、それ以外のところ、外務省とか農水省とかいろんなところが入ってこられております。経産省、環境省の分は、大宗は石油石炭税から入ってくるエネルギー特別会計、エネルギー需給勘定、特別会計ものが多うございますが、それ以外の勘定は一般会計でございます。あわせますと、昨年から5,200億円の増、70%増という要求で、ここの部分がことしの概算要求で出っ張っている状況になっております。

 これを今度は分野別に分析いたしますと、恐縮ですが、9ページでございます。9ページ、ごらんいただきますと、基礎研究、実証事業、燃料等安定供給、いずれも大きく伸びておりますが、とりわけ大きく伸びておりますのは導入補助、つまり市場に出回っている製品に多少補助金を入れることによってたくさん売れるようにする。そうすると価格が下がってもっと進むだろうといったようなものが2倍以上の要求、3,500億円近くが出てきてございます。

 これにつきましては、10ページでございますが、やはり導入補助が典型的なんですけれども、グリーン分野というのは日本経済あるいは将来、世界を見ても、数少ないと言ってはいけませんが、やはり期待収益率の高い成長分野、まさに期待できる分野で、将来性のある分野であるからこそ、財政資金の過剰な介入でモラルハザードとかアドバースセレクションを惹起して、市場のダイナミズムを損なわないように注意しなければいけない。やはり本来、市場は自律的に成長しているはずだし、それを邪魔してはいけないので、何か政府が導入を支援する場合でも、この支援手法が妥当なんだろうか、規制とか税制とか、これ、後で申し上げますけど、ポリシーの中で一番補助金がいいんだろうか、あるいは国が関与するにしても補助率はどうか、あるいは出口、いつまでやるんだろうかといった観点から精査が必要だと考えます。

 11ページにこの導入補助、いろいろ出ているのを並べております。かなり高率補助のもの、また、補助を続ける期間が長いものというのが見受けられると存じます。

 それから、次の類型でございます。12ページですけれども、いわば風が吹けばおけ屋といいますか、看板のかけかえ要求。つまり、今回、グリーンするとたくさん要求できるものでございますので、例えば従来からの公共事業の削減分を機械的に4倍要求してグリーンに持ってきているというもので、林道とか、あるいは港湾の整備、あるいは産業廃棄物の支援状況、こういったものはもともとある予算なんですけれども、グリーンで持ってこられておるというものでございます。

 それから13ページ、3つ目のカテゴリーは、これまで事業仕分けとか行政事業レビューあるいは財審でも問題視されたことのあるような話、例えば大企業というのは、やはり支援の基本は税や規制であって、補助金を出す場合は対象を中小企業に特化すべきだという議論がよくありますが、今回の要求でも大企業支援と見受けられるものが幾つか出ております。それから、2つ目のひし形というのは、これは新しい話でございまして、この7月から再生可能エネルギー発電固定価格買取制度、いわゆるFITというものが入りました。これは、再エネの発電事業者に対しては、売電によるコストを上回るプレミアを乗っけて収入を確保していますので、考え方としては、既に通常の発電コストを上回るコストは電気利用者(国民)が賦課金として負担しているわけですので、これの上乗せの補助というのは制度的には考えられてこなかったんですけれども、いわばFITの対象であるところに補助金を出そうという、いわば二重補助みたいなご要求をいただいております。

 それから15ページ、4つ目の類型でございますけれども、これは典型的な重複でございます。実は概算要求前に各省庁で整理をいただいたんですけれども、非常に要領よく重複排除を行っているようなすみ分けを形式的に整理していたものであっても、国民から見ればこれは同じじゃないかと。実質的な重複排除が必要ではないかと思われるものでございまして、既築住宅の省エネ化、これ、経産省と国交省から。スマートコミュニティー、総務省、経産省、環境省、内閣府。それから、グリーンの競争的資金・公募提案型研究、研究開発でグリーンものというのが環境省、文科省、経産省から出てきて、こういったものの精査が必要ではないかと考えております。

 最後の類型、5つ目は16ページでございまして、これは官民の役割分担でございます。官民での競争、自助努力や経営規律が求められる事業を補助対象とすることは不適切ではないか。あるいは、商業ベース化が近づいている、もうすぐに市場競争になるようなところに特定の商品あるいは特定の企業に高額の補助率を設定することは問題ではないかということで、一例を挙げますと、この関連施策の例で、再生可能エネルギー関連系統整備事業費補助金という新しいご要求がございますけれども、これは一言で言うと、風力発電所につながる送電網がない場合に国が補助金をどんと打って、それで送電網をつくろうというものでございます。言うまでもなく、送電網の整備というのはこれまで電気事業者がやってきましたし、補助金を出したことなんかは当然ございません。したがって、電気事業者の設備の整備に初めてこういう血税を入れていくのか。あるいは、先ほど申し上げたFITという制度がありますから、普通の国であればこの中に入ってくるものを、別途、国からお金を入れるのか。あるいはさらに言えば、発送電分離という議論がありますけど、そのときに送電網って一体誰がつくって、誰が負担するのか、そういった議論もなしに血税を安易に入れるというのはどうかといった論点でございます。

 17ページからは、もう少し大きくグリーン政策全体のあり方についてでございまして、18ページにここを扱う問題意識を簡単に書いてございます。このグリーン改革というのは非常に息の長い取り組みで、やはり国民生活や経済産業への負担を最小化する方向で最善の政策手法を選択しなきゃいかんと。特に先ほどのセッションにもございましたけれども、日本の財政が危機的状況にある中、財政支援に頼ってやっていくことは限界があるし、また、かえって市場競争のダイナミックな発展を阻害する危険があるので、そこを考えなきゃいけない。またほかに、ことしから、後で申し上げます温暖化対策税や、あるいは先ほど申し上げたFITが導入されておりまして、いろいろな政策手段の中で何が一番いいんだろうかというのを考えずに、安易に財政資金を投入するのはいかがであろうかといった問題意識でございます。

 まず、復習になりますけれども、今の大きな枠組みはどうなっているかと申しますと、19ページのエネルギー・環境政策についての9月19日の閣僚会議で、「革新的エネルギー・環境戦略」というのは、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行するということで、言ってみればちょっと流動的な状況になってはございますが、20ページから、そのエネ・環決定の肝でいろいろ報道されたのは、20ページの第一の柱の真ん中で、2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入するとなっている一方、21ページでございますけれども、そういったことを考えるに当たって、このゴシックにありますように、使用済核燃料の処理に関する自治体の理解と協力の状況、国際社会との関係、そういったものをいろいろ考えていかなきゃいけない。それから、一番下のほうにございますように、政策転換に伴う国民生活と経済産業への負担を最小化すると、そういった視点も掲げられてございます。

 22ページ、一体、これを進めていくときに我々の手元にあるインストルメント、政策手段は何だろうかというのは、まず、省エネ法等による規制があります。それから、予算・税制・金融面での支援。これは24年度税制改正で地球温暖化対策のための税、いわゆる温対税というのが石石税の上乗せで入っております。そして、この7月から再生可能エネルギー固定価格買取制度が導入されていると。

 この状況がどうかと申しますと、まず23ページでございますが、日本は規制がおくれている。ほかの国では省エネ基準への適合が法律上義務づけられているところが多い。例えば住宅、これは一定の省エネ基準に沿っていないとつくっちゃいかんと。そうすると当然、一気に省エネが進むし、新しい市場が広がるし、技術開発も進むと言われているところはございますが、日本の場合は届出義務にとどまる一方で、いろんな補助金を出して誘導していくという形になっておりまして、もし規制を入れればもっと円滑に物事が進むし、血税が少なくて済むのではないかという問題でございます。

 それから24ページ、温暖化対策税、これ、いろんな議論がございますが、法律でこれから順次上げていくということで、既にこの10月から温暖化対策税というのは入っておりますが、この趣旨を確認いたしますと、やはり価格メカニズムを通じたCO排出の抑制、それから企業による省エネ設備導入の支援などを行う施策ということになってございまして、やはりこのエネルギー起源CO排出抑制のための機能というのを忘れてはいけない。しっかりと安定的にこの税収を確保していく必要があるだろう。それはCO廃止抑制のためであるというところが重要ではないかと考えてございます。

 それから、しばらく飛びまして、FITについて一言申しますと、28ページでございますが、これも釈迦に説法ですけれども、この制度は、電力会社に対して再生可能エネルギー発電事業者から、政府が定めた調達価格・調達期間による電気の供給契約の申し込みがあった場合に、応ずるよう義務づけると。そのときに買い取る費用というものがかなり優遇されたもの、29ページにございますように、普通上がってくるものに1〜2%利益が乗っかるような調達価格というふうになっていて、進めるためにいわば甘い制度となってございます。

 30ページでございますが、これがどれぐらいかかるか。実は直接一般会計とは関係ありません。若干の接続部分はありますが、基本的にはこれ、一般会計と別ですけれども、電気料金の上乗せという形で国民負担になっていることには変わりありません。それで、25年度のFITの賦課金というのは、推測するに1,700億円程度、これが数千億に増えていくであろうと言われております。

 またしばらく飛ばしていただいて、恐縮ですが、34ページをごらんいただければと存じます。こういったポリシーミックスについて、まずIMFが一つのレグレッションをやっております。いろんな変数で何がグリーンの産業の推進にきいたかというと、言ってみれば当たり前なんですけど、1、2、3というマクロの要因、GDPが高けりゃグリーン投資が増える。ちょっと当たり前なんですが、そういったものが一番きいておるだろうと。それから、4にあるように、FITはプラスの影響。それから、5の環境税といった炭素価格付制度のディスインセンティブを入れていくということはスタティショナリー・シギニフィカント、優位性があるという分析になってございます。

 それから、35ページはOECDのほうでございまして、こちらもう少し直截に規制でやっていくべきだと。補助を入れたって補助対象のものが増えちゃうから、ネットアウトされちゃうというロジックから、やはり日本がOECDの中でエネルギーの税率が一番低いということもあって、やはり日本がやるべきことは課金といったメカニズムを通じてディスインセンティブをかけることをポリシーミックスの中心的要素とすべきであるし、それから下にありますように、そういったことで一層の効率性向上やイノベーションを促すインセンティブを提供できるのではないかという分析をされております。

 こういったことをまとめますと、37ページから論点、復習でございますけど、まずはグリーン社会に向けた取り組み、これをやっていかなきゃいけないけれども、これを持続的にやろうと思ったら、国民生活、経済産業への負担を最小化する最善の政策手法を選択しなければいけない。とりわけ日本の納税者負担には、もうこういった危機的状況にある財政でございますから、限界がある中で何をやっていくか。そのときにほかの措置、財政とか金融とか規制、こういった政策の組み合わせの中で省庁横断的に中長期的な視座で最善のものを選択していくことが重要になってくると考えられます。

 38ページでございますが、まず規制的手法については、まずもってこれをポリシーミックスの中で中心的な手法と位置づけるべきだと考えられます。グリーンというのは期待収益率の高い分野で、将来性がある分野だからこそ、市場のダイナミズムを壊しちゃいかん。それから2つ目の丸ですけれども、規制的手法の取り組みは世界的に見ても我が国はまだおくれていますので、さらに推進する余地がある。とりわけ温対税の段階的引き上げといったものは着実に行っていく必要があるのではないかということでございます。

 それから39ページ、補助的な手法の場合はやはりモラルハザードやアドバースセレクションなんていうものにならないように、しっかりとほかのポリシーミックスの中で一番最善かというのを見なきゃいけませんし、仮にやる場合であっても、どの程度やるのか、過度な補助率になっていないかとか、あるいはだらだらと続けるようなものになっていないだろうかとか、あるいは費用対効果、重複排除、いろんなところを見ていかなければいけない。それから最後、FITについては、いろんな問題があって見直さなきゃいけませんけれども、少なくとも二重補助というのは不適当ではないだろうかと考えられます。

 恐縮ですが、41ページからは、もう一つ、グリーンの中で関心の高いCO対策、地球温暖化対策について一言申し上げます。

 42ページでございますけれども、何が問題になっているかと申しますと、1つ目の丸で京都プロトコルの約束期間で約束させられた6%を達成するために1.6%のクレジットを購入しております。クレジットというのは、要するに、ほかの国で日本が協力して排出量を減らした場合、日本の努力にカウントしてもらうということで、その分、国からお金が出る分がございます。結果的に、これまで我が国が目標達成のために東欧や中国から購入したクレジットは、国費で1,500億、あと経団連の試算では民間購入分をあわせると6,000〜8,000億円と言われてございます。一方で、今、ポスト京都をにらみまして、これまでのシステムの改善--これまでのシステムというのは、国連の理事会で認めてもらわないとカウントしてもらえなかったと、使い勝手が悪いといった声もありますので、我が国の技術等を活用した海外での排出削減への貢献分を我が国の削減目標の達成に活用する二国間オフセット制度の構築を推進するということになってございますが、しかし、これ、税金が行くわけですから過大な財政負担となってはいけませんので、クレジット取得はあくまで補完的にしなきゃいけませんし、さまざまな問題があろうと。

 その問題を実は要領よくまとめられたのがWWFという世界最大の自然環境保護団体でございまして、46ページをごらんくださいませ。二国間クレジット制度の論点として、1つは、まずそもそもまだ国際合意の中で認められていませんねと。2つ目は、多国間交渉から背を向けるとよくないんじゃないかと。要は、最大の問題というのは、アメリカ、中国、インドといった国々の排出量を削減しなければどうにもならないわけですけれども、多国間交渉の土俵から外れちゃうとそういったことがうまく動かなくなっちゃうんじゃないかと。3つ目は簡単な話で、途上国で削減した分、先進国の削減分にカウントするのであれば、地球全体では全然CO減らないねといったことでございます。

 こういったことを考えますと、48ページでございますけれども、まず国際交渉でやらなきゃいかんことは、アメリカ、中国、インドといった国に排出削減努力を促す実効性のある枠組みを構築してほしいと。日本だけが損するようなことになってはいかんと。2つ目は、この二国間オフセットの国際ルール化に当たっては、やはり我が国の省エネ技術の普及に効果的な仕組みにならなきゃいかん。国益に沿ったものでなければいけない。それから3つ目は、やるとすれば、やっぱり国内の削減努力が基本であって、オフセットはあくまで補完的な手段であるべきであると。クレジット取得とか各種補助金による財政措置に過度に頼ることなく、省エネ基準強化や温暖化対策税をはじめ省エネを達成するための各種規制措置を基本に、適切な施策を組み合わせていくべきではないかと考えられます。

 最後に、中小企業について簡単に申し述べたいと存じます。50ページに問題の所在を書いておりますけれども、この中で信用補完制度について扱いたいと思っております。

 それはなぜかと申しますと、54ページをごらんいただければと存じます。どーんと2009、2011で増えていることもありまして、この15年間で中小企業の金融対策だけで10兆円近くお金が出ていっております。とりわけ2009年、2011年、これは補正で入っている部分が多いんですけれども、これは今の制度だと、最初に貸し付け枠をつくるときに将来損する分も出資金で入れなきゃいけないために、対策を打つと補正でその分入れなきゃいけないというところがございまして、かなり際立って出ておりますけれども、いずれにしてもこの10兆円というお金が出ております。

 55ページでございますけれども、全く何の努力もしてこなかったわけでは必ずしもなくて、ちょっと専門的になるんですけれども、これまで100%国がかぶっていたという制度、100%保証を、2007年10月に責任共有制度、20%は貸し倒れしたときに銀行もかぶってくださいよというのを入れて、モラルハザードの抑制をしようとしたんですが、その後、リーマンが起こり、東日本大震災が起こって、また100%保証がもくもくと大宗を占めるようになってしまったというところが大きゅうございます。

 何でそんなに損するかというのが--損するというか、国費の負担が必要になる、何兆円も血税を入れなきゃいけないかというと、58ページをごらんください。ちょっとこれも専門的で恐縮なんですけれども、構造的に赤が出るようになってございます。一言で言えば、事故率が高くて、保険料率が低くて、あんまり回収もできなくて、そのたらずまいが国に来ちゃうということで、どれでもいいですが、例えば一番右のセーフティーネットの無担保でやりますと、100件やったら7件焦げついちゃいますよと。ところが、1%分しか保険料率は取ってない。回収しようと思っても1割も回収できない。8.9しかない。そうすると、そのたらずまいが赤字になると。それに赤字率になる。それにこれまで保険掛けたやつを掛けて、填補率はちょっと専門的なんですが、信用保証協会と国民公庫の取り分で、国民公庫が8割かぶることになっていますので、これを掛けると自動的に1,000億損しちゃうと。その分、血税が使われるという構造になってございます。

 そういうのが積み重なって、59ページでございますけれども、この黄色いところ、リーマンショック以降の出資金の累計で何と4兆5,271億円も投入することになってしまったと。それは料率が低い、あるいはかなり保証率が高いといったところのせいでございます。

 今後もこのまま放っておいたら危ないというのが例えば61ページでございますけれども、回収というのはぐんぐん下がってきておりまして、特に無担保のものというのはなかなか、貸し倒れした後、取り返すことは難しいという状況でございます。

 それで、ちょっと努力をしようとしているのは、例えば65ページでございまして、一番甘いと言ってはあれなんですけど、一番幅が広くて100%保証になっておりますセーフティネット保証というのがございますが、これの対象がこれまで全業種指定、1,118業種指定だったのを、この11月から686業種に減らすといったような努力はしておりますけれども、しかし、これでじゃあこの赤字がそんなに減るかといったら、そんなに期待できないかもしれません。

 66ページ、諸外国を見ても、やはりこれ、比較は非常に難しいと思います。野村総研のをちょっとお借りしたんですけれども、保証規模で日本は突出しているとか、保証割合が極めて高い、保証料が低い、そういった特徴が見受けられております。

 67ページに、IMESってこれは日銀の研究所なんですが、おもしろいレポートを書いておられます。一番おもしろいところは、「日本では信用保証といったものが企業パフォーマンスの改善を見出した研究はなく、むしろ悪化したとの結果を得ているものが多い」。ちょっと目も当てられないんですが、それで、日本では民間金融機関からも資金調達が可能な企業が信用保証の対象となっているために、逆選択、アドバースセレクションが生じているのではないだろうか。借り入れ企業、金融機関のそれぞれでモラルハザードが生じていることが企業パフォーマンスの悪化に寄与しているのかもしれない。とりわけ100%保証というものが、金融機関の審査・モニタリングのインセンティブを低下させ、企業パフォーマンスの悪化をもたらした可能性があると、こう分析しておられます。

 こういったことを踏まえますと、最後に74ページに飛んで恐縮でございますけれども、中小企業関係の論点といたしましては、この資金繰り支援については、まず民間金融機関の補完という政府系金融機関の役割、それから、これらの制度に要する毎年度の財政負担を踏まえて、中長期的にサステーナブルな制度運営をやっていかなきゃいけない。また、過度な支援が廃業・創業といった市場経済のダイナミズム--この制度があるからこそ、かえって中小企業が元気が出ないといったようなところがあるわけで、そういったものをなくして、そして金融機関がみずから「目利き力」を衰退させないようにしなきゃいけない。とりわけ、まず信用保証については100%保証から脱却して、銀行も責任を持つ責任共有制度のもと、金融機関が「目利き力」を発揮していただく。それから、この貸し付けのほう、3つ目の丸でございますけれども、いろんな特利制度、金利優遇措置ございます。でも、その分は税金で穴を埋めているわけでございますから、金利優遇措置をやる場合は、真に必要な政策課題に重点化すべきではないかと考えております。

 以上でございます。

〔 田近分科会長代理 〕 はい、ありがとうございました。大問題の盛りだくさんのテーマですけれども、予定ではあと20分、25分ぐらい使えると思います。初めにグリーン、後から中小企業と言っても時間がなくなっちゃうといけないので、どこからでもご質問、ご意見。

 じゃあ、早川さん、鳥原さん、田中さんとお願いします。

〔 早川委員 〕 まずグリーンですけれども、この論点でご指摘になっておられる方向で私はいいのではないかなというふうに思います。ここで論点を指摘するまでもなく、36ページにありますが、昨年の秋にこの行政刷新会議で同じようなことを言っているんですよね。実際にほんとうにそれがどの程度守られているのかと。今度の予算編成、かなりもう進んでいると思うんですけれども、それをもうほんとうに徹底していただきたいというふうに思います。特にこの補助だけではなくて、さまざまな政策手段があるわけですよね。それから、規制をどう扱うかということもあるわけですね。そういうものを全体としてどういうふうにやっていくのかということついて、要求官庁と査定官庁だけの折衝でこういう新しい問題をうまく処理できるのだろうかというふうにも思うんですね。したがって、そこはちょっと具体的にどうしたらいいのかよくわからないんですけど、少なくとも専門家の意見をしっかりと反映させて、その上でこの個別の--もうほんとうにたくさんの要求が出てきておりますよね。この要求をどう扱うのかということを決める必要があるんじゃないなというふうに思うんです。

 これは私の感想ですけれども、そもそもこうした政策は、さっきからご指摘のように、日本再生戦略、それからことしの秋に決まったエネルギー・環境戦略によっているわけですけれども、そもそもこの日本再生戦略というものと、それからエネルギー・環境戦略というのに相当に問題があるんじゃないかと私は思っているんです。再生戦略はさまざまな問題点をかき集めて、かなり平板にべたっと並べたようなものだと思うんですね。それから、このエネルギー・環境戦略ですけれども、これはさまざま指摘されているように大変矛盾をはらんだものですし、これをもとに大事な予算を、しかもこれからの有望な分野と思われるところに予算を配分しちゃっていいものなのかどうかというふうに思うんですね。政権交代が言われておりますけれども、それはともかくとして、このまま予算配分することの問題というのはあると思うんですね。復興事業のときに、すべて復興事業が出切ったわけではないという意味で一部の予算を留保しましたよね。予備費というような格好で留保しましたが、そういうことだって考えていいのではないかというふうに思います。

 それから、再生エネルギーの固定価格買取制度というんですけれども、これはほんとうに先を見通して厳格に運用するべきだというふうに思います。

 最後に、中小企業なんですけれども、さっき信用保証制度に関する評価ということで、これ、外部の方の意見でしょうが、を読み上げられましたですね。これはほんとうにこのとおりだと思うんです。100%保証も含めてこの保証制度が一定の役割を果たした、リーマンショックの混乱を防ぐために一定の役割を果たしたと思うんですけれども、しかし、これほど巨額の予算が使われているというのは国民はほとんど知らないんじゃないでしょうかね。そういう意味でも、やっぱり企業と金融機関の責任分担のあり方というのを厳しく考える必要があると思うんです。

 以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 はい、ありがとうございました。

 鳥原さんと、田中さんと。

〔 鳥原委員 〕 グリーン関係予算についてですが、革新的なエネルギー・環境戦略が曖昧な状態になっていて、本来もうこの時期にエネルギー基本計画が決定されているべきところであるが、それが決定されてないという状態で予算を決めていくという、非常に難しい状況下にあると思います。私は、日本のように国内資源の乏しい国でのエネルギー政策の基本は、安定供給と経済効率、そして環境保全に加えて安全といった、4つの観点を踏まえて、原子力、化石エネルギー、再生可能エネルギー、それぞれの特徴を生かした最適なエネルギーミックスの構築を目指すということが基本だと思います。こうした方向で具体的な政策を推進していくに当たっては、国民や企業の経済的負担などを十分考慮した実効性のある現実的な戦略に基づいて、長期的視野に立って着実に進めていく必要がありますので、予算措置においては、国民の総負担、費用対効果、実現可能性、時間軸や優先順位といったことを精査して決めていくということは言うまでもないことだと思います。

 こうした観点から、論点に示された考え方にほとんど異論ありませんけれども、3点、述べたいと思います。

 第1は、グリーン要求における導入補助に関して、資料に挙げられている中には、省エネ、省COとともに、喫緊の課題である電力需給の安定に大きく寄与するというものがあると思います。こういうものは費用対効果を検証しつつ、導入を加速させる必要があると思いますので、導入補助の優先度の高い施策と考えるべきではないかと思います。

 それから第2に、原子力に関する予算についてでありますが、原子力発電の安全強化、再稼働を着実・迅速に進めるということは、国富の流出を防ぎ、また、電気料金上昇のリスクを低減させ、さらに電力の安定供給を回復させるというために不可欠でありますので、原発に関する予算措置は、適正に維持されるべきだと思います。

 第3に、温暖化対策税、固定価格買取制度のスタートによって、国民負担が増加しているということに留意する必要があると思います。特に中小企業、エネルギー多消費産業への影響は顕著でありまして、経済全体が冷え込めば、グリーン成長につながらないということでもあります。温対税、固定価格買取制度とも、3.11以降、原発稼働が停止して電気料金の値上げをしているということなど、状況が大きく変わっている点も含めて、国民負担を抑制する観点から再検討すべきではないかと思います。特に固定価格買取制度による国民の将来負担は不透明であって、これは早急に明らかにして検討すべきだと思います。

 中小企業の関係予算に関して、信用保証の責任共有制度について、1つだけ意見を述べたいと思います。信用保証の責任共有制度のもとで、金融機関の目利き能力の発揮や企業への経営支援を促すということは重要なことだと考えております。しかしながら、セーフティーネット保証等、充実した信用保証制度が足元の企業倒産の減少に寄与しているのも事実でありますし、また、来年3月に中小企業金融円滑化法が最終期限を迎える中で、民間の金融機関から中小・小規模企業者等への円滑な資金供給や条件変更の継続が滞る懸念がります。さらに、円高や日中問題等、足元の経済情勢が厳しいことなどを勘案しますと、企業の資金繰りに非常に大きな影響を与えるおそれがありますので、100%保証制度の全面見直しについては、ぜひ慎重な対応をすべきだと考えております。

 以上でございます。

〔 田近分科会長代理 〕 じゃ、田中さん、富田さんと。

〔 田中委員 〕 はい、ありがとうございます。エネルギーを中心にちょっと全体にかかわることについて意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず、神田主計官のほうから大変わかりやすい、論旨も明快ですし、一つ一つの論点に対してきちんと根拠が一つ一つ説明されているという意味で非常に納得のいくご説明で、私も賛成したいと思います。

 2点目なんですが、冒頭、キーワードを実はご本人が意識されているかどうかは別にしておっしゃっていまして、青天井という言葉をおっしゃっています。これ、スライドの3であります。この問題は今回のグリーンだけではなく、前回の復興特会においてもこの問題出ておりまして、根っこが同じではないかと思います。そういう意味では、現政権の鳴り物入りでできた概算要求の組み替え制度あるいは基準、これについてはやはりすべて1回全部テーブルの上に載せて、この審議会で評価をする必要があるのではないか、あるいは見直す必要があるのではないかというふうに思います。

 以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 じゃ、続けて富田さん。

〔 富田委員 〕 はい。まず、グリーンの関係ですけれども、今、田中さんがおっしゃったことに加えまして、やはり政策の手段としての規制ですね、これが非常に未活用だと思うんです。それはですね、思い起こせば1970年に、たしか70年だったですが、マスキー法が導入されて、そういうことが技術革新、イノベーションの大きな原動力になったということを我々はやっぱり忘れてはならないということであります。

 それから、中小企業対策ですが、当初予算では2,000億円程度の規模ですが、補正予算であまりわかりにくいところで累計いたしますと、保証と融資の金利引き下げのために10兆円と。それで融資のほうは効果あった部分があるんですけれども、保証のほうはいろいろと大きな問題であることはご指摘のとおりなんですが、実はこれ、企業の4割がこの適用を受けているんですね。しかも、それで収益がよくなったかというと、決してそうではないという指摘が先ほどレポートでも出ているわけです。加えて、金融機関からすると、この信用保証協会の保証がつけば100%保証であれば審査する必要もないわけですよね。だから、ここでは企業のモラルハザード的なことの書き方なんですけれども、金融機関における審査能力に大きなマイナスをもたらしてしまったのではないかと。それは、これからの我が国経済のことを考えるとゆゆしい問題になってしまいかねないということなので、やはり基本は、少なくとも責任共有制度という形のものを早期に再導入する必要はある。そもそも中小企業の基本法は、先ほどの資料にもあったんですけれども、51ページだったんですが、基本は救済したり支援したりすることじゃなしに、企業を発展させ、伸ばすことなんですね。そういう本来の趣旨に立ち返らないと、これ、いつまでも続けてしまうことになってしまうと思います。したがって、この円滑化法の最終期限が大きな課題とされておりますけれども、まさに今後の中小企業のあり方をめぐる試金石を我々迎えるわけですので、基本的にやはり自助努力を前提としたものにいたしませんと、いつまでも赤字企業が全企業の数の6割以上を占めるという非常にいびつな構造を定着させてしまいかねないということであります。

 以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

 じゃ、秋山さん、板垣さん、葛西さん。

〔 秋山委員 〕 グリーンと中小企業について1点ずつ申し上げます。グリーンについては、まさに田中委員がおっしゃった意見に同感しておりまして、省庁間で、今回初めての横串の予算編成ということに期待していることは、縦割り行政の弊害を改善する方向にやってもらいたいということですが、きょうのご説明の資料の内容は、復興予算の問題をほうふつとさせるような縦割り行政の弊害が悪い方向に出ているのではないかという懸念が感じられます。復興予算での期待は、政治主導で縦割り行政をよいほうに改善していくという期待があったわけですけれども、それが現実としてはなかなかうまく機能していないということを鑑みれば、何か新しい仕組みを検討せざるを得ないのではないかと思います。

 それから、中小企業に関してですが、10兆円もの国費が投入されたこの予算の大義名分というのは、中小企業が多くの雇用を支えているので、そこに大きな打撃を与えるわけにはいかないというふうに理解しております。その前提に立てば、結果論ではありますが、10兆円の費用があれば、企業に貸付や保証で供給するだけではなくて、雇用を安定させるために雇用のセーフティーネットを整備することにもっと使うことによって、全体の中小企業の活性化、あるいは今は産業構造の展開ということも求められている時代ですので、それが少しでもスムーズに行くような予算づけが考えられるべきではなかったかという反省を感じます。

 それから、もう一つは事業についてのセーフティーネットが必要でないかと思います。会社という器がなくなったとしても、そこで営まれていた事業にまつわるいろんな資産、人材あるいは技術、それからそこにまつわる取引関係、そういうものをゼロにしてしまうのではなくて、その受け皿を例えば事業譲渡ですとか、あるいはM&Aとか、そういう形で事業そのものが健全に引き継がれるような仕組みがあれば、ひいては雇用も守られるということにもう少し振り向けられてもよかったのではないかというふうに思います。

〔 田近分科会長代理 〕 板垣さんと葛西さん。

〔 板垣委員 〕 時間がありませんので、エネルギーだけについてお話ししたいと思います。

 1つは、国の政策が定まらない中でどうやって予算を査定したらいいのか、どういう取捨選択をすべきなのかというのはなかなか難しいということも踏まえた上で、あえて言いますと、やっぱり重要なのは、神田さんもおっしゃったように規制緩和、あるいは一方で規制強化。つまり、補助金を出すのではなくて、例えば、私はかねがね言っているんですが、全ての建物に、新築についてはもう再生可能エネルギーにかかわる機器を必ず1つつけさせるというぐらいの規制があってもいいだろうと思います。例えば太陽光を載っけさせる、あるいはコージェネを導入させる、ヒートポンプをやらせる、あるいは蓄電池を導入させる。いずれそういう時代は来るとは思いますけれども、そういう規制を強化することによってインセンティブを与えるということ。でも、一方で、そういうものを取りつけるときに、こうやっちゃいけない、ああやっちゃいけないという規制が、一方で別の規制があるわけですね。だから、そのところは、例えば国土交通省の基準ともかかわりますけれども、それはできるところは緩和して、スムーズにそういう機器が取りつけられるようにしていくということが大事だと思います。

 それから最後に、鳥原さんのほうから原子力発電予算、適正に維持されるべきとおっしゃいましたけれども、これはこの場で議論したら大変なことになるのでやりませんが、新たに原発をつくるという意味でおっしゃったのであれば、私は承服しかねる。むしろ、もっと高度な技術開発の部分で予算はこれからも必要であるというのであれば、半ば賛成するという意味合いであります。ですから、真意がわかりませんのでここまでにしておきますけれども、基本的には国のエネルギー政策によってこの原子力問題は決まっていくべきだろうと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 葛西さん。

〔 葛西委員 〕 はい。論点として指摘されている点、私は全面的賛成ですし、早川さんの言われたこと、ほかの委員の方々が言われたことと全く同感であります。何か新しい革新的なエネルギーに挑戦する日本の再生戦略とか大がかりなスローガンを掲げておりますが、何か新しいものに挑戦するために必要なことというのは、やっぱり今はきちんと足元を固めて、ゆとりがあるという状況で初めて飛び込むことができるわけでありまして、エネルギーの問題は私は一番関心ありますが、エネルギーのような日本のいわば産業の血液のようなものについて、安定的に低コストで良質のエネルギーを提供できるという仕組みが機能してないと。現在ある設備、現在ある技術、現在ある人材、あるいは現在ある資源を用いてやれることをやって、ゆとりがあったときに新しいものに対するチャレンジをしていくべきなんだというふうに思うのでありますが、今回のこの資料にもありますけれども、7月31日の閣議決定ですとか9月14日のエネルギー・環境部会の決定は、まさにそこについて地元・足元を固めるという努力を全く無視いたしまして、それを捨てて何か願望論だとか精神論のほうに飛び込んでいこうという非常に非現実的というか、問題がすごく大きいと思うんです。ですから、その辺についてはやっぱりきちんと批判すべきことを批判しなければいけなくて、天から与えられた声であるから、その中で技術的にどうしていこうかというのは現実論としてはいいと思うんですけれども、その前にやっぱり姿勢論をきちんとしたほうがいいんじゃないかなと思います。そこに書いてあることというのは、どうも何か宙に足が浮いた、地に足のついてないものでありますから、予算の査定の中では具体性とか実現可能性とか実効性とか、そういうものを徹底的に検証して、補助も抑えるべきだと当然思います。ゼロを原則とすべきだと思いますし、規制はじゃあいいのかというと、これもまたなかなか難しい問題がありまして、京都議定書なんていうのは、多国間の合意になってないという点に問題あるというふうに言われましたが、もう一つ、いつを基準年度にとって減らすかという話で、極めてこうかつなる作為が施されているようなものだと思うんですよね。国益に反することがあると思います。そういうところも含めて、規制についても、規制はいいことだというふうに考えないほうがいいと。そんなに将来性があることなら、それは採算プロジェクトの中でやらせたらいいのではないかという気もいたします。

 最後に、これも皆さんおっしゃっていましたが、そのことを、自分が直面している問題について国民はほとんど知らないというか、知らされていないというところがありまして、例えば原子力を捨てたら一体何を失わなければいけないのかというところは全く知らされないままに、今のままで、そして原子力の持っているリスクは完全になくすることができるんだというふうに思っているように思うんですが、そういう点についてもきちんと査定をする前提として前へ出して、言うべきことを言ったほうがいいと思うんですね。政権はかわるかもしれませんし、かわらないかもしれませんが、何か上から言われたことは金科玉条だというふうにして所与の条件として物事を進めるという姿勢に、一つ何かくさびを打ついい機会じゃないかなという気もするので、ちょっと申し上げたいと思いました。

〔 田近分科会長代理 〕 時間はもう押していますけれども、じゃ、これを最後にって、じゃ、手短にもうどんどんお願いします。

〔 渡辺委員 〕 じゃ、簡単に2点だけ。皆さんおっしゃったんですけれども、37ページの一番下がやっぱり最大のポイントでありまして、今まで日本が革新的なエネルギー社会をつくろうとしていることについては、もう随分議論が出ているわけです。したがって、どういう政策を組み合わせてやっていくかというポリシーミックスをほんとうに省庁横断的に中長期的な観点でつくってください。これ、ぜひお願いします。それがベースだと思います。それがなくていろんな予算のごちゃごちゃ、ごちゃごちゃ言っていることはもうかなわないということが1つ。それから同時に、それをもっと国民にわかりやすく説明する責任が国にはあると思いますから、それをしっかりとお願いしたいと思います。

 中小企業の点で1点だけ。日本のものづくりの産業構造は、優秀な中小企業の裾野の広いところで成り立っていることは当然であります。それが今の六重苦、七重苦の中で根こそぎ空洞化になるということをよく考えた上で、どういう中小企業対策をするかという視点が私は欠けていると思いますので、それをぜひお願いしたいと思います。

 以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 土居さん。

〔 土居委員 〕 私は中小企業対策について1点だけ申し上げたいと思います。今、渡辺委員おっしゃったとおりだと思いますけれども、ちょっと中小企業の信用保証に関してはネガティブな意見が多かったんですが、むしろ、同趣旨であるんですけれども、もう少しポジティブな言い方にして、これを国民的な理解に広げていくということはできないか。つまり、キーワードは、この信用保証制度を持続可能なものにするということが大事だという話なのではないかと思います。64ページにありますように、信用保証協会と、それから政策金融公庫が営んでいる信用保険というのは、56ページの図に説明されているように、実はある種再保険的なものとして政策金融公庫が信用保険を営んでいると。ところが、実は地方自治体がメインでやっている信用保証協会は、近年、黒字が出ているのに対して、引き続き政策金融公庫の保険収支は赤字のままになっていると。つまり、バックアップとして政策金融公庫が後ろで構えているにもかかわらず、こっちのほうに赤字がある種つけ回されているというような状態ということがあるのではないかと。それは、私が思うには、中小企業の保証の仕方云々という話は、これは今までにも各委員がおっしゃったところであるので、これについては今は私つけ加えませんけれども、あえてつけ加えさせていただきたいのは、信用保証協会と政策金融公庫との間の関係がいびつになっているんじゃないかと。やはりもう少し信用保証協会がきちんと保険料を政策金融公庫に払うということをすることを通じて、国費の投入も抑制できつつ信用保証制度の全体としての持続可能性も担保されると、こういうところがあるんじゃないかと思います。そういう意味では、国費をできるだけそこに投入することをまずは地方自治体もきちんと責任を負っていただくという形を通じて責任を分担していただくということが、これはそもそもの責任共有制度の改善と車の両輪でやれるところが改善の余地としてまだあるんじゃないかと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 竹中さん、お願いします。

〔 竹中委員 〕 今のお話の続きですけど、ここにもやっぱりあってんやという感じですよね。できない、弱い私たちは困っていると言ったら出てくる話がやっぱりここにもあったなという感じで、我々納税者はこんなことのために一生懸命税金払ってないよという感じがする。何か振るとジャブジャブという音が資料はするんですよね。これはやっぱりほんとうに知らない人が多いと思うので、この状況をどうやって納税者の皆さんに伝えるかということをちょっと真剣に考えないとあかんのちゃいますか。

 以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 はい、倉重さん。

〔 倉重委員 〕 やっぱり政権がはっきりエネルギーミックスの基本的なスタンスを出し切れてない中での議論というのは非常に難しいと思うんですが、ただ、それは1点だけ、脱原発か、原発をどうするかという方向性が変わったとしても、唯一やらなきゃいけないことが1つあると思うんですね。それは8ページの電源利用対策の中の放射性廃棄物処分に係る研究開発ということなんですよね。要するに、バックエンド問題ですよね。これだけはいずれにせよやらざるを得ないことなんですが、これがどの程度今回予算としてついているのかという質問と、これについてもうちょっとフレームアップする必要があるんじゃないかという要望なんですけれども。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

 主計官のほうから、この場で答えておいたほうがいいことがあればお願いします。手短に。

〔 神田主計官 〕 田近先生、ありがとうございます。ちょっと悩ましくて、結構、閣議決定をどうするかみたいなのはなかなか私ども申し上げるのは難しいんですが、まず最初に早川先生のことで、仕分けとかちゃんと守られておるのかと。実はこの日曜日にグリーンを新仕分けをかけます。専門家の方も入っていただいて議論いたしますが、引き続きしっかりと問題があるのは見ていかなきゃいかんなと思っております。

 それから、鳥原先生の電力需給の安定って、おそらく蓄電池の話とか念頭に置いておられると思うんですが、このあたりはおっしゃるとおり相対的優先度が高いので、国民が負担するのに理屈が立つものであれば検討してまいりたいと思っております。

 それから、田中先生のシーリングの話、財源がないのに大きな要求を認めてというのは確かに悩ましいところはあるんですが、政府・与党の目玉として大きく資源配分を変えたいということで閣議決定をされたものでございまして、ちょっとすみません、今回、私からのコメントはなかなか難しいところがございます。でも、ありがとうございました。

 それから、富田先生の、中小企業基本法の精神リマインドしていただいてありがとうございます。まさに企業の自助努力を推進するためにあるものでございまして、そういった視点で市場経済を活性化するために改革を進めたいと思っております。

 それから、秋山先生がおっしゃった縦割りの改善、まさに今回初めて縦割り主計官ということで8省庁の予算を私ども見ることになりまして、まだまだ力不足かもしれませんが、おっしゃったような観点で努力をしていきたいと思っております。

 それから、板垣先生の、すべての新築は再生エネをつけさせる。これに近いことをやっている、これ、既にあるわけで、非常に興味深いご提案だと思っております。いずれにしても、インセンティブを与えて自律的に改革が進むように、規制強化と規制緩和をうまく組み合わせていきたいと思っております。

 それから、葛西先生の哲学、これは全く正論で、おっしゃるとおりなんですが、なかなか私ども関東軍とか青年将校になるわけにいかなくてですね、一生懸命議論はしますし、勉強しますが、一旦政府で決めたことは粛々と従いながら、しかし、役人としてしっかりと検証して申し述べていくということでございまして、引き続きご指導よろしくお願いいたします。

 渡辺先生、ポリシーミックスづくり、説明責任を果たせ、おっしゃるとおりで、力不足ですが、頑張っていきたいとは思っております。

 中小企業で市場経済、中小企業をちゃんと見なきゃいかんというのは、私どももそれは思っておりまして、財政負担の問題と、市場経済ダイナミズムを取り戻したいというところ、両方ございまして、土居先生からいいご指摘、ちょっと言い方としてまさに持続可能なシステムにしなければ、今だと吹っ飛んじゃうわけですね、いずれにしても。だから、地公体の負担とかいろんな観点で持続可能なものにすることによって、真面目に頑張っている中小企業をかえって守れるようになる。今のままやっていたら国が滅びますから、中小企業も死ぬわけです。そこは考えなきゃいけないということで私ども提案をいたしております。

 それから、竹中先生、納税者にもっと伝えるべき、これはおっしゃるとおりで、この財審の後、田近先生から記者会見ございますし、いろんな努力をしていきたいと思います。

 最後に、倉重先生のバックエンド対策、これもしっかりとやろうと思っていまして、ちょっと今回は直接グリーンの対象じゃないので資料には入ってないんですが、6ページの下のところの電促勘定で、いろんな安全対策とか廃炉研究の研究費用が入っているほかに、原子力安全規制対策、これ、新しくできました原子力安全委員会の費用でございまして、ここにモニタリング経費とかいろいろなものを入れてございまして、しっかりとこういったものはもちろん精査はいたしますけど、無駄のないように精査はいたしますけれども、しっかりと計上していきたいと考えております。

 以上でございます。

〔 田近分科会長代理 〕 はい、ありがとうございました。これで少しお休みしますけれども、1つだけちょっと私の視界というか、皆さんと同じ側に立ったつもりで話させていただくと、中小企業予算、これも何度もこの場でも議論しているんですけれども、何ともやっぱり国民はわからないと思うのは、中小企業の予算が3,000億円だってまず出てくるわけですよね。これが当初予算。ところが、次のページを見ると、98年から10兆円かかっていると。これは補正予算でつけているわけですよね。実はこれ、社会保障で70〜74歳の人たちの自己負担部分が2割が1割になっている。その補填部分というのもたしか補正予算でずっと、前手で補正予算でつけているわけですよね。だから、要するに当初予算と補正予算の関係というのは、それ自身、大きな問題ですけれども、そういう抽象的な一般的な話より、やはりこの資料を見て普通の人だとわからないと僕は思うんですよ。3,000億円の予算が何で10兆円に、この10兆円というのは事業規模じゃなくて予算措置なのかと。普通の人は、予算、事業措置じゃないかと思うんですけど。もちろんお金は返ってくるものもありますけれども。だから、そういうこと。それからあと、多くの皆さんは、中小企業に対する前提の政策の中でこれを位置づけるべきだという議論だったと思います。最後は、感想というより予算自身のつけ方が非常にわかりにくいということを申し上げました。

 それで、続いてお休みしますけれども......。

〔 鳥原委員 〕 ちょっと1つ。

〔 田近分科会長代理 〕 はい。

〔 鳥原委員 〕 先ほど板垣さんからちょっと言われましたので、一言だけ。

〔 田近分科会長代理 〕 一言だけ。

〔 鳥原委員 〕 将来、最適なエネルギーミックスの構築を目指すという中で、私は原子力というのは一定の比率を維持すべきだと思っています。そのためにも、また、当面の短中期的な電力需給対策、需給安定という意味でも、やはり原子力は非常に重要なので、この事故を踏まえて新しい安全基準をつくり、それを含めて安全強化を図っていくのは、今、非常に日本にとって重要なことだと思います。そういった意味で申し上げました。

〔 田近分科会長代理 〕 はい、わかりました。少し時間が押してしまいましたけれども、次に入る前に、じゃあ少しお休みをとりたいと思います。今、10時53分でありますから、11時からということでお願いします。

(休 憩)

〔 田近分科会長代理 〕 それでは、後半戦始めさせていただきたいと思います。

 三菱総合研究所の武田洋子さんに「世界経済情勢とわが国へのインプリケーション」ということでお話をいただきます。お願いします。

〔 武田三菱総合研究所主席研究員 〕 三菱総合研究所の武田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。私からは、「世界経済情勢とわが国へのインプリケーション」ということでプレゼンをさせていただきます。

 2008年のリーマンショック以降、日本経済は世界の経済情勢あるいは金融市場の動きに大きく左右される状況が続いております。そこで、本日は3つの点についてご説明申し上げます。第1に、欧州債務危機の動向ということで、欧州債務危機から我が国が学ぶべきことは何かという視点を中心にご説明申し上げます。第2点に、世界経済と日本経済の見通しの変化でございます。本日、日本の7〜9月期のGDPが発表されまして、マイナスでございましたけれども、最近、世界経済、それから日本経済を取り囲む環境が大きく変化しておりますので、その現状と見通しをご報告申し上げます。最後に、以上を踏まえました我が国へのインプリケーションということで、若干私見について触れさせていただきたいというふうに考えております。

 では、早速ではございますが、3ページをご覧ください。皆様ご存じのとおり、2009年の10月に財政の不正操作が明るみになって、それから危機が広がったギリシャでございますけれども、11年の年末から12年の夏場にかけては、スペイン、イタリアへと事実上危機が波及しました。スペインの国債利回り、3ページの右側のグラフの青の線ですが、ことしの夏場に一時、危険水域と言われている7%を超えました。10年の平均の利回りが大体4%ぐらいでしたので、そこから考えますとわずか2年で約3%ほど上昇したということが改めて確認されます。ただ、9月にはECBが国債買い入れ等の措置を発表したことで、足元では若干こうした動きが一服しているという情勢でございます。

 4ページでは、今申し上げたスペイン、それからイタリアの財政状況について基礎的な情報をグラフでお示ししております。左側のグラフ、スペインは、もともと基礎的財政収支も黒字で、債務残高もリーマンショック前までは40%以下にとどまっており優良国であったわけでございますが、リーマンショック後、住宅バブルが崩壊するとともに、基礎的財政収支が一気に赤字化し、債務残高についてもじわじわと拡大を続けている状況でございます。ただ、今の時点でも実は100%を下回っておりまして、我が国、それからギリシャに比べると相対的には債務残高は低いのがスペインの特徴でございます。一方、右側のグラフ、イタリアでございますが、こちらはスペインと異なり、もともと高水準の債務残高を抱えておりました。足元は実はそれほど基礎的収支は悪化しておりませんけれども、一旦赤字に転落した後、また黒字に転じる動きも見られていますが、金利が上昇し利払い費が雪だるまのように増え、債務拡大に歯どめがかからない情勢でございます。

 こうした財政状況の中で市場の信認が後退し、金利の急上昇につながったわけでございますが、こうした両国の国債価格の下落は、欧州の金融システムにも大きな影響を及ぼしております。5ページをごらんください。左のグラフは、主要国のこうした南欧等の債務国向けの与信を対GDP比率で示したものでございます。一番左端が我が国日本でございます。日本のエクスポージャーは低いです。日本の銀行の南欧諸国等への与信残高というのは対GDP比で見るとあまり高くございません。一方で、フランスなどの金融機関は、赤のギリシャに加えまして黄色のイタリア、それから黄緑色のスペインへのエクスポージャーが圧倒的に大きい。したがって、南欧諸国の国債価格の下落が続くと、今度は欧州の中核国の金融システムに影響が及ぶという構図が強まっております。それから、右側のグラフでございますが、去年の年末と、それからことしの2月にECBが何とか市場の不安感を抑制しようとして大量の資金供給を行ったわけですが、実はその大量に行った資金供給で今度はイタリアやスペインの銀行が自国の国債を買い増してしまったということがございます。したがって、金利が上昇しますと今度はスペインやイタリアの銀行の資産が劣化するということで、ECBは短期市場の流動性危機は抑制することに成功しましたが、逆に、銀行の資産劣化と国債下落の連鎖を強めた部分がございます。したがって、国債の問題が金融システムの問題に発展したということです。

 そうした中で、特に銀行システム不安が強まったのがスペインでございまして、6ページにございますけれども、もともとスペインはソブリンバブルが崩壊する前に、先ほども申し上げましたが、2000年代後半に住宅バブルを膨らませて、それがリーマンショックを契機にはじけ、非常に高い不良債権比率で苦しんでいるという状況がございます。そもそもそのソブリンバブルと銀行のバブルは関係がございまして、通貨ユーロになったことでグローバルの資金がドイツ以外の周辺国にも大量に流れ込んで、それが国債金利の低下を起こし、金利が低いため住宅市場にどんどんお金が入ったということがあります。ところが、リーマンショックでバブルが崩壊し、左側のグラフのとおり、不良債権比率が上昇に転じ、その後ソブリンリスクが強まると、今度は緊縮財政によりさらに不良債権比率が上がるという悪循環に陥っています。また、右グラフは、欧州金融機関の預金残高の増減を示しておりまして、ゼロより下ですと預金が流出超、ゼロより上ですと預金が流入していることを示しますが、特に赤の棒グラフ、スペインの銀行からの預金の流出が、11年末以降、加速している。つまりスペインの銀行に対する不安感というのが非常に強まったことが、こういった動きからも確認されます。

 スペインは、特に銀行と、それから国債との連鎖が強い国でございますけれども、そのような情勢の中で欧州全体の銀行の貸し出しスタンスは厳しい状況が続いております。7ページをごらんください。7ページのグラフは、日、米、ユーロの金融機関の企業向けの貸し出しスタンスを示したものでございます。これはDIでございまして、ゼロより上は銀行の貸し出しスタンスが厳格化、厳格化傾向にある、ゼロより下ですと緩和化傾向にあるということを示しております。特に青のユーロは、リーマンショック以降、一旦はほぼゼロ近傍で推移したものの、11年後半から12年にかけては再び厳格化の動きが続いております。対照的なのが赤の線の米国でございまして、リーマンショックのときはユーロよりはるかに高い水準まで上昇しましたが、10年以降はむしろゼロを下回っており、欧州が特に国債の問題を抱える中で銀行の貸し出しスタンスの厳しい状況が続いている様子がうかがわれます。

 以上のとおり、財政と金融と実体経済、まさにこの3つが負の連鎖を強めているのが欧州の経済の状況でございます。8ページの左のグラフでは、ユーロ圏、特に南欧諸国の実質GDP成長率をお示ししておりますが、スペイン、イタリアは4〜5四半期連続のマイナス成長を続けておりまして、景気後退に陥っている状況でございます。そうした中で、右側のグラフでございますが、各国とも失業率が上昇しております。中でも急上昇しておりますのがスペインとギリシャでございますが、スペインについては全体の失業率が25%に対し、最近、報道でもよく出ていますが、若者の失業率が何と50%、つまり2人に1人は失業している状況でございます。イタリアは、全体の失業率はまだ10%を若干上回った程度でございますが、同じく若年層に限って見ますと30%強というような状況でございまして、財政・金融・経済の負の連鎖、特に若者にそういったしわ寄せが行っていることが失業率からうかがわれます。

 また、欧州の銀行問題は、必ずしも世界と切れた話ではございません。むしろ新興国との結びつきは相対的に高いということがございます。9ページですが、欧州銀行は米国や日本の銀行に比べますと圧倒的に新興国向けの与信の残高を保有しております。これもユーロバブルの一つの現象でございますが、欧州の銀行の資産の圧縮の動きが強まりますと、今度は新興国経済に影響を与える可能性がある。また、逆に申し上げると、今のように新興国経済が減速してくると、今度はそれ自体が欧州の金融機関の資産劣化につながるということで、相互に影響が強まっていく可能性もございます。

 ただ、全体として見れば、ことしの夏場に比べますと欧州債務危機が世界的な金融危機に発展し、世界経済がリセッションに陥るというような最悪シナリオ、つまりテールリスクは後退してきたという状況にございます。その背景には、ECB、あるいはEU各国が様々な対策を講じたことがございます。それを簡単にまとめましたのが10ページでございます。

 まず、欧州中央銀行の対応でございますが、左上、黄色のシャドーで囲っている部分でございますけれども、大きくは2点ございます。1つは、先ほども申し上げたとおり、11年12月とことしの2月に3年物の大量資金供給、これ、LTROと言われておりますが、短期金融市場に資金を大量に供給しました。この結果、銀行の資金調達コストは低下し、いわゆる流動性危機、リーマンショックの直後のような流動性危機は回避されたということが1点目でございます。

 2点目は、9月に発表されました新しい国債買い入れスキーム、OMTと呼ばれているものでございます。これは、欧州安定メカニズム、ESMに支援を要請し、かつ、財政再建や構造改革を実施するということを約束した国に対して、残存1年から3年の国債をECBが条件を設けることなく買い入れるプログラムでございます。条件を満たさなければ買わないということでございますので、現時点で実施されているわけではございません。ただ、これがいざというときのバックストップ、いざというときの安全装置と市場にとられましたので、国債利回りの低下につながっております。

 また、ユーロ圏・EUの対応としては、ユーロ圏の銀行監督一元化後に、先ほど申し上げたESMから銀行に直接資本注入することで合意したということもございます。その後、実際、ESMが正式に発足し、13年中にはユーロ圏の銀行監督一元化することで合意しました。ただ、まだまだ予断は許さない状況でございまして、足元ではギリシャの問題は続いておりますし、スペインも支援要請を実際するのか。それから、銀行監督一元化も「言うは易し」ですが、ユーロ圏各国の中での調整も大変ですし、英国も含めEUとして銀行監督のあり方をどうしていくのかは非常に大きな課題であり、まだまだ道のりは長いというのが私の実感でございます。

 ただ、右側の表にあるとおり、今は財政と銀行部門と経済の間で負の連鎖が続いておりますが、仮に今申し上げた対策がとられれば、少なくとも財政と銀行部門の悪化の間で連鎖を中断させる、遮断させる動きにつながります。

 続いて、世界経済と日本経済の見通しの変化についてご説明申し上げます。

 まず12ページでございますが、現在、世界で起きていることを簡単に図示しております。今申し上げたとおり、欧州で債務危機が広がり、実体経済も大きく落ち込んでいますが、その影響がマル1、赤の部分でございますが、特に中国に影響が波及しました。もともと中国は不動産規制を始めて、政府が意図した景気の減速が始まっておりました。そこに欧州の債務危機ということで、意図せざる景気の減速も加わって、景気減速の下押し圧力が強まった。それが過剰投資問題などをも顕現化させた部分がございます。それが日本や米国に波及し、サプライチェーンを通じてアジア全体にもじわじわ広がっている状況です。そしてそれがフィードバックする形でドイツ、つまり欧州のコア国にも波及しておりまして、最近ではドイツ経済も減速の兆しが見られております。

 こうした中で、13ページにございますとおり、世界の貿易・生産活動は減速に向かっております。

 特に世界経済を牽引してきた新興国経済の減速というのが足元長引いております。14ページのグラフでございますが、中国の実質GDP成長率は、このところ7四半期連続で低下しておりまして、想定以上に減速局面が長引いています。先ほど申し上げたとおり、意図した減速に意図せざる減速が加わったというのがその背景かと思います。ただ、中国はことし6月から2度利下げを行っていますし、それから、小粒ながら刺激策を打っております。さらには新政権へ移行しますので、短期的には持ち直しを予想しております。ただ、これまでのように8%、9%を上回るような高成長への回帰はもはや困難と考えております。

 また、高成長から安定成長へのソフトランディングもハードルが高い状況でございまして、15ページにございますとおり、4つ、私が懸念していることがございます。まず、先ほども申し上げましたが、過剰設備への対応がまだまだ時間がかかるということです。リーマンショック後、大型な景気対策、4兆円の景気対策を打ちましたので、GDP対比の固定資本形成比率が45%に達しています。2点目は、経済・産業構造の転換がうまくいくかということです。「世界の工場」としての役割は、昨今の賃金上昇に鑑みますともはや限界に来ているという部分がございます。「投資主導型」の経済成長から「消費主導型」への成長へと移行しなければならないのですが、簡単ではございません。国有企業の民営化なども必要になってくると思います。3点目は、政治体制と社会の不安。新政権の求心力はまだまだ未知数でございます。格差問題と社会不安も以前より言われていることでございますが、ジニ係数で見ますと実は米国より高い状況でございます。最後4点目は、人口問題でございます。2015年、あるいはそれより前に生産年齢人口比率はピークアウトすると言われておりまして、中国経済の潜在成長率を低下させる方向に作用すると考えております。

 16ページから18ページは、今申し上げたことをグラフでお示ししたものでございますので、ここでは割愛させていただきます。

 一方、中国と少し異なり、明るい材料とリスクの両方を抱えているのが米国でございます。19ページをごらんください。まず、明るい材料として2点ございます。1点目はバランスシート調整の進捗ということで、着実にバランスシート調整がリーマンショック以降進んでいるという状況にございます。

 それから20ページ目、2点目は、住宅市場にも改善の動きが見られ始めているということです。こうした住宅価格の反転は消費にもプラスにきいていると思います。米国の消費は世界のGDPで15%占めますので、アメリカの消費がしっかりしてくるということは世界の下支え要因になると思います。

 一方で心配な材料とは、21ページにございますとおり、財政でございます。新聞等ではもう既に「財政の崖」というのが一般用語として使われるようになっておりますけれども、オバマ大統領は高所得者層以外の減税を延長する形で崖を回避する予定・方針ではございますが、ねじれ議会のもとで政治の膠着が続けば、「財政の崖」が起きて米国がマイナス成長に陥るリスクも残っている状況でございます。

 最後に、日本経済でございますが、23ページをごらんください。本日、GDPが発表され、年率マイナス3.5%ということで3四半期ぶりのマイナスとなりました。生産も、23ページのグラフにございますとおり、低下基調を強めており、2四半期連続のマイナス。生産2四半期連続でマイナスとなりますと、景気後退入りの可能性が高いと思われます。

 こうした中、8月から11月にかけては民間エコノミストの多くが見通しを大きく下方修正する動きがみられております。右から2番目のESPフォーキャストとは民間エコノミストの平均な成長率予測でございます。12年度について、8月時点では平均2.3%と予想しておりましたが、11月直近分では1.2%まで下方修正しております。また、13年度も小幅ながらも下方修正する動きが見られます。この1.2、1.4%の成長率は、内閣府が8月に公表しております政府の「慎重シナリオ」も下回る数字です。

 ここまで世界経済の情勢、それからそれを踏まえた日本経済の見通しについてご説明いたしましたが、世界経済が大きく減速してきたため日本経済の成長率も下ぶれ、その結果、消費者物価が明確なプラスに転じるのは難しくなっているということがございます。

 最後に、こうした海外情勢を踏まえた我が国、特に国債市場へのインプリケーションについて私見を述べたいと思います。

 27ページのグラフで、米国・日本・ドイツ国債利回りの推移をみますと、日・米・独共通の事象として、長期金利の低下がございます。昨今の景気情勢、それから欧州債務危機が広がる中で、安全資産へ資金が集中しており、特にドイツ・米国は実質でマイナス金利になっております。何らかのイベントをきっかけに資金フローが逆流し始めますと、そのインパクトが大きくなる可能性があります。

 こうした中で、我が国の金利が上昇に転じる可能性があるとすればどういったことがあるかという点を29ページでお示ししております。

 1つ目の可能性は、世界経済と日本経済の緩やかな景気回復というシナリオでございます。この場合にはいわゆるよい金利の上昇という形で、米国や中国も力強い回復がなかなか期待しがたい中では、急反発というよりはモデレートな景気回復の中で緩やかに金利が上昇していくシナリオが考えられます。2つ目のシナリオは、米国長期金利が急上昇するシナリオです。先ほど申し上げたとおり、米国には明るい材料も見られますが、懸念すべき点は、財政をめぐる不確実性がございます。仮にリスクプレミアムが拡大することによって金利が上昇する場合には、それが本邦投資家の日本国債売りにもつながるリスクがございます。これは、米国債を持っている銀行が米国債で損を出しますと、利益を日本国債で得ようとする動き、あるいは米国経済との連動性が日本経済は高いということもございます。3つ目は、最悪のシナリオとして、日本の財政に対する信認後退が起きることがございます。よくきっかけは何かと質問されますが、きっかけとして4つの可能性があると思います。第一に消費税引き上げの先送り。第二に貯蓄率がマイナスへ転化する。第三に、家計の金融資産残高が政府債務残高を下回る。第四に、急激な貿易赤字の拡大と経常黒字の縮小です。最後の4つ目ですが、9月は単月で見ますと、季調済みの経常収支が1981年3月以来31年半ぶりに赤字になったというニュースがございました。この4つの点は、いずれもこれが生じたら直ちに金利が上昇するという因果関係があるものではございません。ただし、これだけ財政赤字あるいは債務残高が膨らんでいる状況ですと、何かをきっかけに投資家が売りを仕掛けて、それが自己実現的に金利の上昇をもたらす可能性は十分あるのではないかと考えております。

 その場合、一番心配なのが、金利上昇時の金融システムへの影響でございます。30ページにございますとおり、また、皆様ご存じのとおり、我が国は国内保有比率が非常に高いのですが、それが脆弱性を抱える一面であり、弱みにもなり得ることを強調したいと思います。

 31ページは日本銀行が金融システムレポートで金利上昇時の金融システムへの影響を試算したものでございます。大手行は金利が3%上昇しますと債券の時価損失が10兆発生する。地域銀行は債券の時価損失が8兆円生じる。合計で18.4兆円ということになります。当然、有価証券の含み益など他のバッファーがございますので、この分が全て自己資本の棄損になるわけではございませんが、自己資本への影響も相応に生じ得るということでございます。

 また、それが生じた際の成長率へのインパクトですが、金利が上昇に転じた際には、これは金利が全イールドカーブにわたってパラレルシフトした場合を想定しているということですが、2%の金利の上昇で13年度の名目GDPがマイナスに陥る試算結果がございます。

 したがって、33ページにございますとおり、金利が上昇すると金融システム不安に繋がるリスクがあり、また、金利上昇によって経済が悪化すれば株価の下落にもつながり、それがさらに金融システム不安を招く可能性がございます。日本では、先ほどご説明した欧州で起きていることがより強く表れる可能性があるということです。

 最後の34ページでは若干の考察を書かせていただいております。まず、前半でお話ししましたとおり、足元、海外経済が大きく変化しておりまして、日本経済の見通しも、国内の要因というよりも外部要因の変化によって大きく下ぶれし、半年前に予想されていたよりも成長率は低下しております。そうした状況となりますと、消費税引き上げは先送りとの声が出てくる可能性もございますけれども、最後の2枚でお示ししたとおり、その先送りが信認失墜のトリガーになって、さらに大きな経済の落ち込みを招くリスクがございます。どちらのマイナスが大きいかということでは、当然後者、つまり金利が大きく上昇し、金融システムと経済の負の連鎖がスタートする際のマイナスのインパクトが大きいと思います。

 では、何をすべきかということですが、3点ございます。1つ目は、今の日本に必要なのは中長期の成長戦略であるということです。海外経済の影響は回避できません。であればこそ、日本の中長期的な成長戦略を推進し、海外経済への抵抗力を高めていくしかないのではないか。2つ目は、国民は消費税の引き上げ自体が必要なことまでは理解しているのではないかと思います。一方で、無駄遣いが明らかになれば賛成しないということだと思います。復興予算の便乗問題などにはきちんとした対応が必要ではないかと思います。最後にもっとも重要な点として財政再建を実現するには、消費税引き上げを先送りしないこととともに、社会保障の改革が不可避であるということが私の意見でございます。

 以上です。ありがとうございました。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

 早速、今の武田さんのご報告に対してご質問あるいはコメント、何でもお願いします。どこからでも。まさに最後おっしゃった中長期の成長戦略、そして無駄遣いが明らかになれば国民は賛成しない、社会保障改革不可避と、ここを我々はこの数週間やっている感じなんですけれども、どこからでも、ご意見、ご質問お願いします。じゃあ、田中さん、お願いします。

〔 田中委員 〕 全く素人の素朴な質問をさせていただけたらと思います。一番最後にご提言をいただいたんですが、海外経済に対する日本経済の抵抗力を高めると。で、成長戦略推進をということなんですが、それはもっともで、ずっと言われてきたことなんですが、残念ながら今まで出された成長戦略というものが課題解決の手段になり得ていない、あるいはうまく機能していないんだろうと思います。そうしますと、やっぱり今までの成長戦略のどこに課題があるのかということについてもう少し具体的にご指摘をいただけたらと思います。

 以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 じゃあ、お願いできますか。

〔 武田三菱総合研究所主席研究員 〕 はい。成長戦略というとまた大きな一つのテーマになると思いますけれども、私は、民間の力が最大限発揮できるような環境づくりが、成長戦略ではないかと考えております。人口減少などの所与の条件もございますけれども、それでも日本経済がもう少し底力を高めることはできると思います。

 これはデフレの原因の一つでもございますけれども、どちらかというと既に日本の国内で需要が飽和し供給が過剰となっているセクターで多くの資本や労働が使われていると思います。日本では、内外の環境の変化に資本や労働の移動が追いついていない面があると思います。

 それをスムーズに動かせる環境をつくるのが成長戦略の役割だと私は考えております。少なくとも産業の創出を抑制している、あるいは新規参入を阻む規制は撤廃しなければいけませんし、労働者がスムーズに移動できる労働市場の環境整備も必要です。グローバルな環境変化への適応という意味では通商政策や国際的に高い法人税の問題は、より競争力を高める方向に政府は民間企業をサポートする観点から環境整備を行うべきではないかと、このように考えております。

〔 田近分科会長代理 〕 渡辺さん、どうぞ。

〔 渡辺委員 〕 ありがとうございました。今のお話にもありましたけれども、製造業、ものづくり産業として日本がやっぱり根こそぎ空洞化のおそれがあるのは、先ほど最後におっしゃった六重苦、私は七重苦、八重苦と言っているんですけれども、欧州の経済もなかなか復活してこないだろうと。欧州もドイツも危ないと思っているんですけれども、自動車で見ても、やはり自動車がマルクの問題で随分輸出ができたけれども、もう危なくなってきたという環境がもうあります。欧州全体を見ると、何で経済成長をしていくのかというのが見えない。金融の問題は解決されても、ベースとなるものがなくなっているのではないかという危機感を私は大変強く持っています。そういう意味で、日本もものづくり産業が衰退していくと、これは大変なことになるんだろうと、こう思っております。ですから、何をなすべきかの中に、やはりこの中に六重苦、七重苦の解消のために日本は何をなすべきかということをもっと言わなきゃいけないんじゃないかと思いますが、それに対してどう思われるかというのが1点と、もう一つは、やっぱり環境エネルギー、安心・安全な社会を日本が先頭になってつくり上げていくんだという成長戦略のテーマを、そこに焦点を当てて国が国家戦略として進めるべきだと私は思っているんですけれども、それについてどう思われますか。

 その2点をお聞かせください。

〔 武田三菱総合研究所主席研究員 〕 ありがとうございます。欧州の成長の種が何かと観点は、欧州経済にとっても重要でございますし、また、同じ悩みを日本も抱えているということもあろうかと思います。欧州について申し上げると、ドイツはその中でも競争力が高い産業が幾つかございます。世界的には大きな業界ではなくても、オンリーワンの企業が数多く存在しており、ドイツの強みだと思います。我が国も共通の面が実はございます。サプライチェーンが震災によって大きく毀損しましたけれども、自動車産業を中心に、生産は7月の時点でたしか95%まで回復致しました。これは驚異的な力でございます。またその間、グローバル・サプライチェーンに大きな影響を与えたという点を踏まえますと、日本の部品や素材なくして世界の生産も回っていかないことも証明されたともいえ、日本が強みを持っている分野はございます。ただし、渡辺様からご指摘がございましたとおり、六重苦といった厳しい環境に日本企業がおかれている状況はもちろん変えていかなければいけないと思います。為替相場は市場で決まりますし、国際的な関係もあって難しいとは思いますが、できることはございます。たとえば、先ほど私が申し上げたような通商政策であるとか、あるいは法人税の視点であるとか、そういったところで政府が対応する必要はあると考えております。

 それから、2点目のご質問の環境、あるいは安心・安全社会は日本にとって今後課題が急務で、人々がまさに求める潜在需要がある分野でございますので、先ほど申し上げたとおり、資本や労働がいかにスムーズにシフトしていくかが重要であると思います。また、環境、安全・安心以外でも、例えばシニア消費や医療分野も、今後、アジアへの展開を考えていく上では、今、先行しておくことが非常に重要ではないかと思います。

 余談ではございますが、アジアも今後、高齢化が進みます。日本が高齢者向けの様々なサービスや財で競争力を高めていけば、アジアは2050年でたしか65歳以上が10億人いるマーケットになりますので、これは大きな日本の先行メリットになると私は考えております。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

 じゃあ、小林さんですね。

〔 小林委員 〕 日本の財政に対する信認後退のきっかけは何かというので4つ挙げておられますけれども、この中で既にもう貿易赤字の急激な拡大と経常黒字の縮小というのは始まっておりますよね。

〔 武田三菱総合研究所主席研究員 〕 はい。

〔 小林委員 〕 それから、一番タイムスパンが長いところで見ると、政府債務残高が家計の純資産を上回る、これが2018年ごろということで、ここから類推していきますと、財政の信認後退はいつ起きてもおかしくない状況であって、遅くても2018年ごろには起きるであろうと、そういうふうに解釈してもよろしいんでしょうか。

〔 田近分科会長代理 〕 どうぞ。

〔 武田三菱総合研究所主席研究員 〕 こればかりは予測するのは非常に難しいことでございまして、いつ起きるかというのは誰にもわからないわけですが、いつ起きてもおかしくない状況、可能性が高まりつつあるということだけははっきり申し上げられると思います。特に貯蓄率のマイナス転化は、人口構成を考えれば近い将来といえますので、貿易赤字の拡大に加えてさらに悪材料が加わると思います。

〔 田近分科会長代理 〕 次のディスカッションもあるので、ここで締めたいと思うので、富田さん、手短にお願いします。

〔 富田委員 〕 非常にバランスのある、また、説得力に富むプレゼンテーション、ありがとうございました。34ページに書かれておりますように、信認が最後のアンカーというのは、皆さん、多分私ども共有できる内容だと思っておりますので、消費税引き上げの先送りとか、また、無駄のあるような歳出というのを厳に慎むということが極めて重要な課題だと思います。

 そして、成長戦略推進ということをご指摘になられましたのですが、ご指摘のように、確かに我が国の戦略を選択と集中の考え方から絞っていくということは非常に重要だと思います。ただ、労働力人口が毎年0.6%ほどで減少し、たとえ女性の労働力への参加率を高めても、それは過渡的な影響しか持ち得なくて、長期持続のものでは、毎年の労働力の伸びを長期にわたって高めるという意味での持続性は、ないわけなんです。しかも、我が国の生産性、労働力1人当たりの生産性の毎年の伸びはOECDの中では高い部類の国です。1人当たり0.9%毎年伸び、労働力人口が0.6%減る。そういう中で毎年0.3%の成長というのが、言ってみれば実力なのです。だから、限られた資源を選択と集中でより効率的なところに向けていきませんと、この0.9%の生産性の伸び自体も維持不可能になってしまうということだと思うんです。

 そういう意味で、私、ご説明いただいた点、ほとんど全部アグリーでして、信認こそが最後のアンカーであり、当審議会の果たすべき役割は極めて大きいというふうに思います。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。それでは、武田さんもきょうはまだいらっしゃっていただけるということですから、ぜひ必要ならご意見も......。

 議事進行メモでは、きょうまで6回にわたって総論・各論をしてきたとあります。総論は総論で、きょうも河野さん、武田さんからもお話をいただきました。思い起こすと、主計官の顔も見ながら思い起こしていくと、社会保障で医療・介護、それからODAをやりましたよね。それから在外公館、それから府省・分野横断的な一括交付金と。それから、社会保障にまた戻って生活保護と年金、そして防衛費、それぞれ何か議論が頭をよぎりますけれども、それから、地方財政、それから文教・科学技術、そして復興予算、公共事業、農水関係、そしてきょうのエコと中小企業と。そしてここからは、取りまとめが次回が11月20日ですよね。それに向けて、小林さん、富田さん、土居さんに報告の原案的なものをつくっていただくというところです。

 それから、きょうお手元に意見が、古賀さん、それから渡辺さん、赤井さんということです。お時間の関係で退室されなきゃならないということを伺っていますから、渡辺さん、土居さん、まず。もうここからは何がどこということじゃなくて、どういうことでも結構です。この部分はきょうは記者会見では報告しないということでいいんですよね。するべきじゃないと、私は。これから取りまとめですから。そういう拘束もなしにご自由にお願いします。

 じゃあ、渡辺さん、土居さん。

〔 渡辺委員 〕 ありがとうございます。私、中座で、必要なことを書いておこうと思ってお手元にお配りしてありますので、これを読んでおいていただければいいんですが、最後、1点だけ、財務省へのお願いということがございますが、ほんとうに今回初めて参加をさせていただいて、財務省の皆さんが非常に多岐にわたって政策も含めていろんな勉強をされていて、予算に対してこう考えるという論点をうまくまとめられている。初めての参加でございますが、大変感心をいたしました。敬意を表したいと思いますけれども、これだけの知見があるんですから、府省庁、省庁間の問題あるいは地方自治体の課題・問題点、農業でもちょっと申し上げましたけれども、ああいう問題点・課題がやっぱりもっともっとクリアになっていって、それが全体最適としてオールジャパンでどうすべきかということができるはずだと。企業で言いますと、人と金というのは大変大事な機能です。人、物、金ですから、人の問題、金の問題は全社横断的に見ます。それから仕事で言うと、品質がいいかどうかというのはやはり横断的に見られるわけです。そのときに金があまり強くなり過ぎると会社が心配になってくるということもありますけれども、金の面できちんとマネジメントができる、その素材を財務省が持っていると。国全体の予算として。その予算をもっともっと最大限に発揮できるような仕掛けや仕組みを工夫すべきではないかと私は思います。ですから、各省庁との予算折衝だけではなくて、それを、今回、エネルギーもそうだとおっしゃって、神田さんの話、とってもよかったんですが、横断的にオールジャパンとしてどう考えるかということを俯瞰して、重点事項は何をすべきか、優先順位は何をすべきか、その中に予算配分はどうすべきかということが意見具申、意見がたくさん出る可能性がある、そういうチャンスがいっぱいあるというふうに私は思います。その力を存分に発揮していただきたい。それができる可能性が極めて大である、こう思っておりますので、ぜひオールジャパンで、全省庁を俯瞰して、国、地方も含めて考えて、それが国民のために、企業のために、あるいは国のためにどうあるべきかということを考えていただく素材がたくさんあるなということを改めて感じました。そういう中で、ぜひ国家戦略として成長戦略があるんなら、その成長戦略をどういうふうに金の面から進めていくべきかということを仕掛けや仕組みを考えて進めていっていただきたいと。こういうお願いだけしておきたいと思います。

 細部についてはこのペーパーの中に書いてありますので、お読みいただければと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

〔 田近分科会長代理 〕 と同時に、ますます渡辺さんのほうからもご発言をいただいて、取りまとめて報告書のまとめプロセスでどんどんお願いします。

 土居さん、お願いします。

〔 土居委員 〕 私も中座させていただきますので、先にお話をさせていただきます。

 総論的なところで申しますと、2つあるのではないかというふうに思っております。

 まず1点は、特に社会保障改革、先ほど武田さんからの話もありましたけれども、これが重要で、そのときにどういうふうに国民に理解を持ってもらうような打ち出し方をするかということが重要になってくるということで、そう考えますと、私が思うには、いかに社会保障給付削減イコール質の低下という誤解を解くかというところが重要で、削減することは質を低下させることという話にしているわけではなくて、むしろリーズナブルな、国民として納得感が得られるような給付の出し方に改めているということが鍵になってくるのではないか。ですから、給付を削減しても、よりよく給付の仕方を改めることを通じて質を落とさずに、いや、場合によっては質を高めつつ負担が軽減されているんだということで、これはオールジャパンでメリットが享受できると、そういう打ち出し方というのが1つあるのかなと思います。

 それから、竹中委員も日ごろからずっとおっしゃっておられて、まさに私も共感しているところなんですが、いかに財政依存から抜け出すかという、そのテーマ。自立できる人に自立のチャンスを与えて、決して財政だけで助けることがほんとうの意味で助けたことになっていないということなのかというところをより強く打ち出すということは重要なことなのかなと。つまり、財政依存、補助金の給付だとかそういうものがなければ、もう全く何も手だてがなく路頭に迷うという話ばかりでは決してないということなんだろうというふうに思いますから、むしろ財政依存が自立を阻んでいるということであれば、その自立を促す意味でも財政依存からよい形で脱却できるような仕組みというものはあると。それは社会保障だけじゃなくて、地方財政とかそちらのほうでも同じようなことは言えるのではないかと思います。

 その点で少し各論的な話ですけれども、社会保障の面で、特に生活保護の話が意見提出等々あったので、ちょっと気になりましたので申し上げておきたいと思います。今の観点に即しても、例えば生活保護受給者に対する医療扶助のあり方というのは大きく見直す必要がある状況にあって、特にそれは別に生活保護受給者の医療の質を低下させるという話とは全く違う、むしろ合理的に納得できるような形で医療扶助をしてさしあげるということになるんじゃないかと思います。そういう意味では、自己負担も一時的にお願いしながらも、最終的には生活保護の制度の中でよい形で医療のケアをしてさしあげるということができる仕組みとして活用するべきことではないかと。さらには、後発医薬品の話も全く同様だと思います。別に質の低下をもたらすものではないと思います。

 それから、当然ながら、貧困対策というのは重要なんですけれども、さりとて、ほかの仕組みに波及するというような言及がありましたけれども、私は、別にそういう話に必ずしもしなくても、生活保護は生活保護の仕組みとしてきちんと改めつつ、最低賃金の問題だとかほかの生活保護と連動しそうな仕組みと言われているものは、別にそれはそれとして独立して水準なりを決めればいいというようなことなんだろうと思いますので、そこは決してほかの仕組みに波及するから生活保護の問題をいじってはいけないという話になるとは私は思えなくて、むしろ生活保護の問題は、特に今、国民の関心を集めているという状況ですから、よりよい形に改めて、しかるべきセーフティネットをきちんと構築していくべきものではないかというふうに思います。

 以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 そのことで、実はきょう、これから取りまとめを進めるということで、吉川会長にもメールを--今、パリにいるんですけれども、して、返事もありまして、今、土居さんの指摘のようなことで、社会保障の問題については、彼流に言うと冷たいような取りまとめは慎んでくださいということで、土居さんのご発言のとおりで、社会保障に関する公費の効率性というのは実はそれは質を同時に考えているんだという点は、取りまとめのときにもぜひお願いします。

 はい、どうぞ。

〔 井伊委員 〕 私も早目に退席をしないといけないので、社会保障制度改革に関して申し上げたいと思います。武田さんから先ほど、アジアの多くの国で日本より急速に高齢化が進んでいるので、高齢化先進国として日本は貢献できることが多いのではないかというご発言だったんですが、私はなかなかそれほど甘いものではないと思っていまして、先日も台湾に行きまして医療制度改革に関して関係者と議論をしたんですけれども、台湾では日本よりも10年、20年ぐらいおくれて高齢化が進んでいるんですが、先ほど土居さんがおっしゃったような社会保障費を抑制しても質を下げない、国民の納得感のある改革というのをオール台湾で既にもう始めているんですね。それはシンガポールでも韓国でもそうで、シンガポールの公共政策の人たちがよく言うのは、日本人がシンガポールに来るとみんなメディカルツーリズムだとかそういうことを話しているけど、メディカルツーリズムは医療制度改革のほんとうに小さいごく一部のことで、何が大切かというと、国を挙げていかに社会保障給付費を抑制しても質を下げない医療や介護のケアをどういうふう保つかということで国を挙げて既に行っていると。そういう意味では日本よりもずっと自分たちは先進を行っているというような、台湾、シンガポール、韓国、皆さんおっしゃいますので、やはりそのあたり、かなり危機感を持って議論をしなければいけないと思いますので、ぜひ取りまとめの中にも入れていただければと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 どんどん、どんな意見でも忌憚なくばんばん言ってください。じゃあ、早川さんと岡本さん。

〔 早川委員 〕 おっしゃったように、社会保障を効率化していく、で、予算を削減しても決してそんな冷たいことになるばかりではないんだよということをしっかりと説明する必要はあると思うんです。ただし、前の会合でも申し上げたように、やっぱり全体のパイに対して社会保障というのがとにかく急激に膨らんできている。それをうまいぐあいにコントロールしなければやっぱりもたないのではないかなというのを一方で考えるわけですね。この間、社会保障の総額管理という話をして、田近さんに「具体策を述べよ」と言われて立ち往生したんですけれども、いろいろ考えて、それじゃあこれでというアイデアがあるわけではありません。ただし、かつて2,200億円ですか、5年間で1兆1,000億の枠の中におさめるんだということでがちがちやったわけですよね。それは成功しなかったと思うんです。それから、そのときに高齢化修正GDPですか、というアイデアも出たけれども、なかなかうまくいかないのではないかということになったと。単年度でもうこの目標からはみ出したらだめですよとか、あるいはある程度期間をとっても、この期間のうちここから出ちゃったらだめですよという管理の仕方というのは難しいと思うんですが、例えば高齢化修正GDPじゃないですが、高齢化の度合い、それから成長の度合い、そういうことを考えて、ある程度目安みたいなものを決めていく。中期的な目安でもいいんですよ。中期的な目安みたいなものを決めていく。そこから何年間かたって、かなりはみ出しちゃったなというときには、それはもうしっかりと考えるというルールというか、そういうものをつくっておくだけでも効果があるのかなというふうに思うんです。私の浅知恵はその程度なんですが、そこはほんとうに財務省の方々も、あるいは厚労省の方々も、問題意識としては持っていらっしゃると思うんですよね。したがって、財政審としてはそういうことをもう一度検討したらどうですかというぐらいのことは言ってもいいのかなというふうに思います。

 あと、ちょっともうつけ足しみたいなことですが、私、最初に申し上げた、やっぱりプライマリーバランスを基軸にした財政健全化というのは、もちろんいいんですよ、それは堅持しなければいけないんですが、それだけでは国民はなかなかわかりにくいかなというふうに思うんです。国民はなかなかついてこないんじゃないかなと思うんです。したがって、もう少しわかりやすい財政健全化の目標--私は、とにかく新規の国債発行額は増やさない、減らすんだということをはっきり言えばいいじゃないかということを申し上げたんですが、そんな類いの財政健全化目標というのを、これも財務省にしっかりと検討させたらどうか、あるいは政府内部でしっかり検討したらどうかということを言ったらどうかなと思うんです。

 それから、その後いろいろと出てきて、かなり具体化してきているなと思うんですが、今度の特例公債法案ですね、この特例公債法案の中に、与野党の協議で、5年ぐらい、予算が成立したら特例公債は出してもいいですよという事項を入れようというような議論が進んでいて、実現するかもしれないと思うんですね。それならそれでいいんです。それならそれでいいんですが、いずれにせよ、単年度の特例公債法案を毎年毎年出して、それが政争の具になるのはかなわない。来年、特例公債の発行をなくせるなんて誰も思ってないわけですから、当面はあまり形式にこだわらずに、特例公債の発行というのが毎年円滑に行われるように--もちろんあれですよ、財政健全化の枠の中でということですよ。財政健全化の枠の中で制限つきで円滑に行われるように、そういう仕組みをつくったらどうかなというふうに思います。

 それから最後に、海保の話ですが、先日、説明だけになってしまいました。私も海保の予算をほんとうにどういうふうにしたらいいのかよくわかりません。よくわかりませんが、防衛予算と同じように大変状況が変わってきているということは確かですよね。そういう状況の変化に対して、これまで言ってみれば継ぎ足し、継ぎ足しでやってきたんじゃないんでしょうか。ほんとうに今の国際情勢、日中関係とかそういうことを考えて、あるいは日本は領海が広い、それから排他的経済水域も広いわけですから、だからそれをどう守るのかというのは、私はよくわかりませんが、継ぎ足しではなくて、少し中長期的に見通して、その上で海保の予算を考える。場合によっては増額。人件費が今度減りますから、要求自体は減額になっていますが、設備等は増額するとかなんていうことがあってもいいのかなというふうに思います。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。社会保障の伸び率のところは、これも重要なところだと思うんですけれども、手短に言いますけれども、これが今の政権の前に大変な問題になっていて、それを踏まえて2005年の医療制度改革大綱というんですけど、それが08年からいわゆる後期高齢者も入った。そのときの厚生労働省の議論は、医療の構造改革ということで、入院の日にちを現院日数を減らすとか、生活習慣病をコントロールしていけば、長期的に医療はコントロールできるんだと。そういう伸び率でがちゃっと抑えるんじゃなくてと、そういう議論が......。だから、多分ここの仕事としては、2,200億円も含めてこれまでどういう試みがされてきて、そしてここにあるんだと。そのきちんとしたレビューは必要だと思うんですよね。だから、それも含めてまとめに入れればと思います。

〔 早川委員 〕 一言。

〔 田近分科会長代理 〕 はい。

〔 早川委員 〕 今おっしゃったとおりだと思うんですよね。だから、下から積み上げるのと、上からある程度トータルで管理するのと、両方じゃないかと思うんですね。かつての議論も、その両方で目標みたいなものを考えて、それを極めてソフトに適用しようということだったと思うんですが、どうも実際に行われたのは2,200億円でがちがちにするというようなことだったんじゃないんでしょうか。

〔 田近分科会長代理 〕 議論はいろいろあるんですけど、必要なことは、今までの政策の検証というか、こういう歩みがあってこうなると。これがあまりにも今まで年金・医療・介護でなかったのかなと思います。これは感想も含めて。

 じゃ、田中さんも角さんもどんどん言ってください。じゃ、田中さん。

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。書きぶりのことなんですけれども、やはり今回の財政審、かなりがらっとリニューアルされた形での初めてのいろんな政策にわたる議論が行われてきたわけですけれども、やはり前政権と大きく違ったのは、政治が決めたことに関する疑問あるいは閣議決定された仕組み、つまり個別の施策の上位概念にある仕組みの問題そのものに触れられることが多かったと思います。先ほども主計官との質疑応答の中で、閣議決定事項なので役人としては言えないというようなこともありましたけれども、ここはやっぱり独立した審議会でありますので、そこにも踏み込んでここに書き込むべきではないかというふうに思います。

 以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 わかりました。

 はい、どうぞ。

〔 角委員 〕 

意見を言います前に、これが消費税を上げる最後のアンカーというのは全く同意見ですけれども、そのときには当然、社会保障改革というか、出る部分を削るというのがあって、その中で今回、年金の払い過ぎがまた1年延長されてしまった。我々クラスの大体定年まで来た人間で、今、20万円ぐらいの厚生年金ですね。それを1%ずつ2年であと0.5というと月額にして2,000円程度の減額ですから、これはぜひとも今回やってほしかった。政治判断で1年間先送りされてしまったということについては非常に残念に思います。

 それと、エネルギー政策がまだ決まってない中で、グリーンとライフですね、この二本立て、非常に大事だと思いますけれども、グリーンにつきましては、先ほど神田主計官からもご説明があったように、二重取りのような部分も出てきかねない。私は、とにかく阪急の用地に幾ら空き地があっても、42円の間はパネルを張るなと言っているんですよ。要するに、利回りが6%とか8%のような価格設定の間は、幾ら利益が出ようともするなと言っているんです。NHKの番組に出たときも言いましたけれども、要するに、高いコストをかけて電気をつくるんじゃなくて、やはり電気を使わないほうにお金を使うべきではないか。これも言いましたけれども、阪急百貨店のビルを建てかえますと面積が何割も増えて、使用電力が半分になるわけですから、全部のビル建てかえるわけにいかないから、基幹設備を更新して使用電力量を減らすときの補助制度というのはあるのですけれども、そういったところにもっとお金を入れるとか、とにかくグリーンについては日本の国としての長期的なエネルギー政策が決まるまでの間はもう少し待っていただいて、ライフのほうは、まさに今、日本が国際競争力を上げていこう、あるいはノーベル賞をいただいたというふうなときにあるわけですから、ライフのほうに重点的に予算配分をしていただくほうがありがたいのではないかなというふうに思います。

 それと、中小企業対策というのは確かに大事ですが、基本的に大企業が元気でなければ中小企業も元気にならないという部分が多々ありますので、特に日本のメーカーが元気にならなければ中小企業も元気にならない。当然連動しているわけですから、中小企業という言葉を言えば世間的には耳ざわりはいいですけれども、やはり大企業・メーカーがあってこその中小企業であるということも現実としてあるわけで、そこに対するいろんな施策についてもひとつよろしくお願いしたいというふうに思います。

〔 田近分科会長代理 〕 じゃ、倉重さん。こちらに行きます。次、倉重さん、岡本さんと。

〔 倉重委員 〕 はい。先ほど田中さんがおっしゃった、多分、民主党政権のガバナンスみたいなお話だと思うんですけれども、今回、私も初めて参加させていただいて、去年の資料も読ませていただいたんですが、一番大きな違いは、消費増税が一応前に進んだということは、全くこれまでの議論とは違うと思うんですね。これは多分政治がぎりぎりの苦労をしてここまで来た。その先はまた別にありますけれども、そのことについてやっぱり財政審として一言しっかりと評価すべきだと。大いにここはですね。私は非常に思います。これまで全くなかった、十数年ぶりの話でございますから、これは。

 だが、しかし、それでもまだつじつまが合わない、歳出をもっと進めていかないというところはあるんですね。そのメリハリを込めて、ただ、歳出をカットするための、やはり先ほども皆さんおっしゃっていたように、コンセプトといいますか、世の中が納得できるような理屈を立てるのがこの財政審の一番重要な責任だと私は思うんですけれども、ずっと議論の中であったような、その一つとして世代間の格差の是正というのは、これは今度の選挙でも相当争点になるし、一番わかりやすい部分だと思うので、特に社会保障政策における格差是正をどうしたらいいのかという問題と、それからもう一つは、これは自民党が多分随分言っていると思いますけれども、公助から自助・共助という流れにまたある程度全体を変更せざるを得ないんじゃないかという部分の位置づけも私は必要なんじゃないかと。その幾つかの大きなコンセプト、スタンスをはっきりさせて、そのなたで社会保障を全般的に見直して切っていくというような、これは多分当たり前の作業だと思うんですけれども、そういうことをしていただきたいと。そういう意味からすると、社会保障で皆さんの随分これまであった医療・介護について、その過払い部分をなくすとか、70から75を2割負担に戻すとか、あるいは年金についてマクロ経済スライドをデフレでもちゃんと発動するとか、そういう大体皆さんのコンセンサスを得た議論というのは私も非常に賛成で、ぜひそれも盛り込んでいただきたいというのと、あと、2つだけですね。

 防衛費の問題ですね。防衛費の問題は、今回はちょっと従来と違って一つメッセージが必要だと思うんですけれども、これは、必ずしも防衛費を増やすということがいいメッセージなのかどうかというのはいろいろ意見があると思いまして、一つのやり方として防衛費は減らさないと。全体像ですね。昔、思い出すんですが、中曽根さんのときの1%枠を政治的なメッセージを込めて撤廃するというようなこともありましたけれども、それと似たような政治的なアナウンスメントとして減らさないと。しかし、先ほど出ましたけれども、海保の予算については明確に増が見えるような形にするというのも一つの形としての手なのかなというふうに思いました。

 それから最後に1点ですけれども、社会資本なんですけど、確かにこれこそ時々の政治の思惑に引っ張られる議論はないと思うんですね。その時々、いろんな社会資本の整備の仕方がありましたけれども、今回はここまで減ってきて、減らしてきた局面の中で、1つだけ、これからの防災・減災のために国家強靱化という一つの構想が今出つつあります。これに対してそれなりの理論武装をされていて、ハードとソフトの上手な組み合わせということで議論がされていたわけなんですけれども、やっぱりハード面よりもむしろソフト側によって事前に、もし起きたときに--首都圏の直下型も十分あり得ますし、南海・東南海・東海などの大地震もあり得るわけで、それに対してできるだけソフトで応えていくという、お金を使わない、ハードは極力抑えていくというようなもっと骨太な理論武装がないと、多分この後、いろんなプレッシャーの中で、この問題についてはまた時の政治の思惑が優先されて後で後悔するようなことになるのではないかというふうに思いました。

 もう1点つけ加えさせていただきますと、我々が議論したことが結果的にどういう形で政治的に実現されていくかという問題で、これは今の段階では誰もわからないことでありますけれども、今回の提言が今の民主党政権によって予算編成されるのか、それともそうじゃない事情があり得るのかどうか、ぜひ政治の政務官にもしお聞きできるチャンスがあればお聞きしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

〔 田近分科会長代理 〕 一渡り、きょう、ご意見、できるだけお聞きすることを目的に。じゃ、岡本さん。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。これからの経済状態を見ますと、絶対、景気が悪いということになると思うんですね。そういうふうになったときに、その風に乗って出てくるのは、大体において公共予算を中心とする財政出動をやろうという話が1つ。もう一つは、来年10月に考えられるところの「景気が悪いんだから」ということで消費税を先送りにするということが1つ。いずれにしてもマイナス材料がたくさんあるわけですね。私が思うのには、やはり「経済成長なくして財政再建なし」という言葉の中でどれだけ今まで財政が悪くなってきたかということを考えた場合に、スタートのときも言いましたけれども、やっぱり「財政再建なくして経済成長なし」ということで財政再建は必ずやらないといかんというような方針を立てないといかんと、私はこういうふうに思っているんですね。そうであるとすれば、今回の財政審のメッセージとして、やはり無駄なものは当然のこととして、少しぐらい効果のあるものも削っていくということ、つまりメスをほんとうに深いところまで入れていくということが1つと、もう一つは、やっぱり消費税ですね。あれ、通ったのはいいけれども、これがほんとうに実行されないと国際的な信認も失われるということを考えれば、また今回の予算編成も、この消費税が上がるということが前提でこの予算もやっているんだぐらいのことで、やっぱりこの財政審でまとめるときのメッセージとしては、消費税が上がることを前提にということは絶対入れる必要があるんじゃないかなと、私はこんなふうに思います。

 それからもう一つ、エネルギーと東電問題なんですけれども、私は、ここに来て財政というので財政全般やるのかなと思ったら、1つは25年度予算だと。もう一つは一般会計だと。これは土俵としてはそういうことなんでしょうけれども、だけれども、財政を考えるときにはものすごく大きい要素があるわけでして、例えばエネルギーですね、これがほんとうにこのまま行ったらどうなるのかということは思うわけです。中小企業について予算をつけるとかなんとか言うけれども、中小企業、一番困っているのはこのエネルギーですよね。これがほんとうに使えない、あるいは電力料金が上がる、あるいは安定的な供給はどうなるかわからないということになると、中小企業は、収益を圧迫するだけじゃなくて、ほんとうにどうなるかわからない。あるいは大企業だって収益悪化するわけですから、海外にどんどん移転していく。そして雇用問題がある。これで出てくるのは、法人税とか、あるいは所得税、税収が下がる可能性がある。そういう意味では、歳入がどんどん減るかもしれないということ。それから、除染費用で10兆円かかる。これは、どうするんだろう。そのような場合に、いや、これは歳入の主税の問題ですとか、これはいや、特会の問題ですとか、こういうふうなことになってくると、全体でのプライマリーバランスとか、あるいは財政収支というのは誰がどういうふうに押さえるのかというふうに思います。ですから、これはここの部署の話ですから、というのもありますけれども、そういうことを全部踏まえて、一体どこで財政全体を実質的にというか、実務的に行うのかと私ども思います。そういうふうな目で、少なくともこの一般会計ですね、ここ、あるいは25年度予算というのはそれを踏まえて、ほんとうに危機的な中でやるんだということをぜひ踏まえてほしいということであります。

 それから最後に、グリーン・ライフの予算、きょうありましたけれども、私はこれ、既得権化とか、あるいは恒常化するということは非常に問題だと思うんですね。過去からどのような予算--これはそれぞれ目的がありますし、大義名分はあります。ライフも、それからグリーンも重要だと。これについては、ほんとうに重要なものは了解するというよりもぜひつけてほしいと思います。しかしながら、これが恒常化していくと、これは絶対イノベーションを逆に阻害することにもなりかねないし、高コスト体質になっていくということはあると思います。ですから、そういうふうな意味では、ここにぜひ取り組んでほしいのは、1つは工程管理をきちっとすると。やっぱり途中、途中、見ないといかんということであります。それから2つ目は出口戦略といいますか、やっぱり民間と官というのはどういう役割かと。これはここにも分析がありましたけれども、やはり官がずっとやるんじゃなくて、民間がこのときに引き継ぐんだと、全部担うんだということをやっぱり議論すると。こういうのを全部当初予算のときにやってほしいということです。それからもう一つは規制緩和ですけど、規制の問題と、それからこの予算の問題、みんな役人が持っているんですよね。その中の規制というのは、ここの規制がほんとうに緩和されたり、あるいはなくなったら、民間はほんとうに何の補助もなくてもできるよという部分が幾らでもあると思うんですよ。そういうふうに見ると、この予算編成のとき、各省庁と議論するときには、この予算をつけるか、つけないかという以前に、この辺の規制を減らしたら予算減るんじゃないかとか、そういうふうな目でも見てほしいなと、こんなふうに思っております。

 以上でございます。

〔 田近分科会長代理 〕 葛西さん。

〔 葛西委員 〕 今、角さんや岡本さん、倉重さんがおっしゃったことに基本的に賛成でございます。それで、財政の健全化というのは、それは誰も異論のない目標だと思いますし、また、安全保障を確固たるものにするというのも異論のないところだとは思うんですが、財政の健全化を考えるときに、これは歳出と歳入でできているわけですが、歳入が自然に増えていく、あるいは歳入増を折り込んで財政健全化を考えるというのは、私は国鉄で6回ほどつくって全部失敗したんですけれども、多分うまくいかないんですね。そうすると必ず問題先送りになってしまうんだと思うんです。そうすると、歳入は同じぐらいの状況で控え目に抑えておいて、歳出をどう切るかということになるんだろうと思うんです。歳入のほうは税率アップというのがありますから、それは入れても大丈夫だと思いますが。そうすると、一番大きなところに手をつけるということをはっきりさせなくちゃいけないので、それはやっぱり社会保障あるいは地方財政といったようなところになるんだろうと思うんです。これ、今、24年度に立って、同じ問題、正しい問題意識に立って何ができるかということでやっていきましたものを何年かずっと続けていくと、例えばみんなの共通の目的意識である社会や財政の健全化に到達するかというと、多分到達しない形になるのではないかと思うんですね。だから、今から伸ばしていくと絶対達成できないと。毎年毎年おくれていって、少しずつ悪化して、最後は破綻するという形になりそうな気がいたします。そうするとやっぱり、何かをどうするんだというのを先に押さえておいて、それで、これも皆さんおっしゃったことと同じ意味だと思うんですが、目標設定を例えば社会保障はここまで切ると。だから、今30兆なら30兆を15兆まで切るんだというような目標を決めておいて、あとはそれをどのように冷たい取りまとめにならないようにうまく組み合わせをやるかという形の手法を入れないと、結果的には財政は破綻するというシナリオから脱することができないのではないかなという気がいたします。もちろん、予算の編成の中でそこまで、ことしからやるということは無理なのでありますが、それと最終的な破綻を避けるということとの間のトランジションを書くために、今ある出費項目による投影図ではなくて、具体的にこれをこのぐらいにするという大きなところについて削減の目標をつくって、その削減のためのステップを決めて、挙証責任を逆転すると。つまり、減らしていいだろうから減らしますよじゃなくて、黙っていると減ってしまう。そして、どうしても欲しければ、それがどうしても要るんだということを証明するというような形の手法をとらないとうまくいかないんじゃないかなという、そういう感じがいたしました。

 これは私自身が経験したことなんですが、国鉄の場合、営業収入の80%が人件費だったことがありまして、そのときに何をやったかといったら、もう新規採用をゼロにすると。ゼロを8年間続けました。その結果、人間は実在員が半分以下になるんです。実在員が半分以下になったら、半分以下でやれるような仕組みを自分たちで考えるという仕組みだったんですが、国家予算にそれがそのまま当てはまるかどうかわからないんですけれども、やり方としてみると、弾着点を決めておいて、その決めた弾着点に到達する弾道もある程度途中経過を決めて、そこに向かって文句なしでやってしまうというやり方がとれればいいんですが、なかなかとれないでしょうから、そのような方法が必要だということぐらいは認識として主張していただいたほうがいいんじゃないかと。そこまでのアサインメントが今この審議会にはないのかもしれませんが、それなしだと必ず逐次後退、問題先送り、そして最後にもっと大きな問題を解決できなくて破綻するということにどうもなりそうな直感がいたしました。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

 じゃあ、板垣さん、秋山さん、竹中さんと。

〔 板垣委員 〕 これまでの審議の中で幾つかもう言いましたので、全体としての感じをお伝えしたいんですけれども、一応もう消費税の増税というプロセスに入っているわけですから、社会保障を充実させるという期待は盛り上がるわけですが、実はそういうことではなくて、むしろ足らない部分を埋めざるを得ないという中での増税だろうと私は理解しています。ただ、その一方で、早川さんからも先ほどありましたけれども、その抑制の仕組みを考えないといけない。2,200億円という過去の例示がありますけれども、それをもう一回復活させるという考えは意外ととりにくいかもしれないので、別の仕組みをちょっと考えたほうがいいかなと思っています。

 それから、同じ社会保障の中で個別の問題として議論された生活保護の問題があります。これは私は、厳しくチェックすべきであるし、水準の見直しが必要であるならばやるべきだろうと思います。しかし、その見直しに当たっては慎重にお願いしたい。役所言葉として見直すというのは何もしないという意味ですけれども、私が言っている見直すというのは、慎重にほんとうにきちんと見直すと。というのは、ちょっとやり方を間違えますと、直ちに生活がストップしてしまう方が大変多くいます。不正の受給とかいろいろ問題ありますけど、そういう人が大半ではないわけでわけです。ですから、やっぱり最後のセーフティーネットとして、見直すにしてもほんとうに慎重にやってほしいというのが私の希望です。

 それから、エネルギー戦略が決まってないわけですけれども、省エネ、それから創エネ--エネルギーをつくる、創エネといった関連は、短期的な導入補助は私は必要だと思っています。ただ、これを未来永劫どこまでもやるという問題ではなくて、初期の導入はあったとしても、長期的にはやっぱり規制で対応するというふうな基本戦略があっていいのかなと思います。議論でもたくさん出ましたけれども、そういう点も盛り込んでいただきたいなと思っています。

 あとは長くなりますので、この辺で。

〔 田近分科会長代理 〕 じゃあ、秋山さんと竹中さんで。

〔 秋山委員 〕 はい。専門家でない立場から初めてこの会に参加をさせていただきまして、これまでの議論を振り返って、とても心に強く印象になっていることが2点あります。

 1つは、財務省の資料で論点整理をされていて、私自身もそうですけれども、参加されている委員の皆様の多くの方が、ここに書かれている論点については賛成であるというご意見が非常に多いと。それも古くて新しい論点も多い中で、なぜ問題が先送りされるのかということに非常に素朴な疑問を感じます。

 それからあともう一つは、特別会計ですとか、あとは補正予算、こういう言葉が登場した瞬間に非常に仕組みだとか全体像がわかりづらく感じてしまうと。このわかりづらさが、ここの部分をこういうふうに改革するべきではないかとか、いやいや、実はこうなっていましてというようなことで、何かコントロールしようとすることに対しての抜け道がそこにたくさんあるように非常に感じてしまいました。改革を阻んでいるというのは、こういうところに何かある。それはつまり、ここに課題があれば、そこに解決の道もあるという意味で指摘をさせていただきたいと思っております。

 きょう、有識者の方のヒアリングの中で信認のアンカーという言葉が出てきましたけれども、これは国際社会における信認のアンカーというのもありますが、ある意味、国民に対する信認のアンカーという意味でも、今回のこの建議がどれだけ実効性のあるものになるかということについてはわからないところがありますが、きょう手元に配っていただきました、これまでの議論の簡単なメモをまとめていただいたものがあります。なかなか白熱した議論だったと思いますが、どうしてもやはり文章にしてしまうと迫力がちょっと3割減ぐらいになってしまうような印象がございまして、皆様のご賛同があれば、ぜひ歯切れのよい取りまとめをお願いしたいというふうに思っております。

〔 田近分科会長代理 〕 じゃ、竹中さん。

〔 竹中委員 〕 17年前の阪神・淡路でうちは家が全焼してしまったんですけども、あの17年前の淡路というのは、そういう大きな災害に対する補償制度だとかそういうことはほとんど何にもなかったんですね。で、ゼロから再建をするということをせざるを得ない状況になって、一人一人が全ての自分の知恵だとか人脈というか、ネットワークだとかを駆使して、ボランティア元年とかNPO元年とか言われましたけど、そういうふうにして再建をしてきたと。そこのところを、たまたまあのとき不幸やったのは村山さんという社会党の方がトップになられて、ただ、不幸やなと思ったんだけど、あの人が賢かったのは、「私はこういうことに対処をする能力はない」とか「経験がない」ということをきっぱりとおっしゃって、そして経験を持つ人たち、官僚だったり自治体職員だったり、そういう人たちに政策を投げたと。そのことによって、例えば阪神高速がこけたのがあんなにすぐに復旧するなんて、おそらく誰も思わなかったんだけど、復旧をしたと。で、一人一人の日常生活は、今言ったようにゼロになったんだけど、何とか知恵出してというふうにしてやってきた。ところが、今回の震災は神戸のときよりも規模が大きく、なおかつ大津波という恐ろしいことが起きて、規模は阪神・淡路の比ではないということなんだけど、その上に加えて政治力が落ちた状態の--政務官いてはるのにごめんなさいね。日本の国民はほとんどそう思っているから、普通の人は。それが不幸のものすごく大きな最大の要因だったと。そこへ持ってきて、それを一人一人のゼロから出発する力に何かを注力するのではなくて、大ぐくりの補助金を入れるという形にやって、群がる人が出てきてしまって、ほんとうの日本人の勤勉さとか実直さとか立ち上がる気力だとかいうのを持った人たちではないところに手当てをするというような、で、今まさに角さんが言わはった、自分のところはこの高いところではパネル張らないぞという、これ、日本の経営者の矜持やったと思うんです、今までね。ところが、もしかしたら、それは多くの人たちから「おまえ、要領悪いな」って言われるような状況にもう社会がなっちゃっているかもわからない。そこがすごく恐ろしいところで、補助金の怖さというのは実はそうじゃないかなと思うんですよね。だから、私たちも、その震災で一遍ゼロになって、そのときに重い障害があってもベッドの上でコンピューター使えた人たちがネットワークでいろんな情報を流したりしたということを知ったから、あ、補助金なしでやれるなって。で、補助金のない第2種社福ということで、全く運営に補助金ない形でやってきたからおもしろいことができたと思っているんですよね。だから、今ここにいて発言もさせてもらっていると思うんですよね。そうではないものがあまりにも増え過ぎて、すごい日本人の力がそがれている。もうでも、ここで何とかやり直しをしなければ、もう日本終わりますよね。官僚の皆さん、すごい頭いいから、政治家に手柄を上げるという気持ちはわかるんだけど、もうやめて。もうほんとうにやめて。手柄なんか上げんでいいから。主導できない組織の人にはやっぱり主導するべき力をちゃんと結集して--政治家の中でも立派な人はもちろんおられるわけですよね。でも、組織全体としての政治力が今落ちているときに、持ち上げるのはもうやめようよという、すみません、こういう発言で。よろしくお願いします。

〔 田近分科会長代理 〕 はい、よくわかりました。

 鳥原さん。

〔 鳥原委員 〕 皆さんがおっしゃっていること、そのとおりです。特に、岡本さん、渡辺さん、葛西さんが言われたので、改めて私から言うこともなくなってしまいましたが、最初の段階からそうだったのですが、今、日本の財政構造が危機的な状況にあります。これを2020年、2030年を見ても、このまま行ったら大変なことになるということに関して、世の中の人たちがあまりにも認識が足りないということをつくづく最近感じています。それから、認識が足りないだけではなく、人によって随分受けとめ方が違うというところがあると思います。これは、この審議会、この会議で何度かいろんな方から言われていますが、今後、歳出削減、そして選択・集中を図っていく上で、やはり一番ベースになるのは、こんな状況をいつまでも放っておけないということに関して、世の中のそれぞれの層の人たちが理解するということが一番大事な点ではないかと思いますので、そういった周知を正しくやる。消費税だって、10%では全然足りないということもわかるようなほど理解を促進させる。ここに、このまとめに当たって、いろんな知恵と力を入れるべきじゃないかと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。まだあるかと思いますけれども、取りまとめももう早速始めることになっているようですから、Eメールでも何でも結構ですから、できるだけ至急お送りください。

 あと、最後になりましたけど、柚木政務官から。

〔 柚木大臣政務官 〕 委員の先生方、ほんとうにご苦労さまでございます。最後のほうしかお聞きできてなかったので、十分に踏まえたコメントになるかどうかあれですけれども、私も政務官に就任させていただきまして1カ月10日過ぎまして、財審の「聴く会」の先生方のいろんなご主張、ほんとうに私自身も非常に勉強させていただいておりまして、認識は私なりに、まさに財政破綻は絶対に避けなければならない、そのために何をなすべきかという、この「聴く会」のミッションというものは非常に重要に思っておりまして、そういったことを前提に、これから、きょう総括的議論で、次回以降、まさにそういったことが進んでいくということであろうと思っています。

 その際のポイントとして、既にいろいろ事務局からの論点提起やこの間の委員の先生方のご発言等のペーパーも出ておる中ではあるんですが、改めて申し上げますと、当然、全体像ですから個別のフェーズだけじゃないんですけれども、やっぱりあるべき大きな方向感といいますか、これは私も総理から任命いただいて、民主党らしさ、民主党らしい予算編成とは何なのかと、そういったものを私なりに考えながら、この間、先生方のご意見を拝聴しておったわけですが、いろんなフェーズで言うと、外交・安保なんかも、保守とか右傾化とか、あるいはリベラルとか中道とか、いろんなことが今出ています。あるいは経済についても新自由主義とかいろんな言葉でくくるのはどうかとありますが、その方向感の部分で言えばそういうようなワードもあります。社会保障で言えば、この間ご議論いただいている自助・共助・公助の関係、バランスの問題です。そういった大きな政府、小さな政府とも言えるかもしれません。その辺のそれぞれのフェーズごとの大きな方向感というものをどれだけこの「聴く会」の中で取りまとめに向けて打ち出していただけるかというのは非常に重要だと思っていますし、個別の課題に対する一定の取りまとめというのはもちろん前提だと思いますが、いみじくも最後おっしゃっていただいた2025年に向けての一体改革、当然、8%、10%、先の絵姿にもある意味では俯瞰的なそういった示唆をいただけるようなお取りまとめをいただけることはあっていいのかなと思っております。

 その際に、ちょうど最後の秋山委員からもあったんですが、なぜ進まないのかの部分は、多少、財審の先生方と我々がふだん地元も含めて国民・有権者の皆さんと接する部分との若干ギャップはあるかもしれません、率直に言ってですね。ただ、やっぱり財審としてのミッションというものは財政再建、財政破綻は絶対避けるということでありますから、そういった方向感をしっかりお示しいただく前提で、私もざっとしか見ていませんが、きょうの論点整理ですが、かなりバランスよく書いてはいただいているんですが、大きな方向感をこれだけ数も挙げていただければ方向性は出ると思いますが、そうはいっても、数だけではなくて、意見の中身、少数の部分についてもしっかりと反映をいただけるようなお取りまとめをお願いしたいと思っています。

 あと、私も、実は予算の関係で実務的ないろんな調整、やりとりは今もう既に必要な段階なんですが、きょうこれまでのご議論をぜひツールといたしまして、予算、税あるいは規制ですね、規制も緩和の方向とある意味で有効な機能をする、モラルハザードを防ぐべき部分、その辺の両方の視点も必要かと思います。その辺のほんとうにこの予算編成に向けての重要な視点というのを、この間、委員の先生方からいただいていると思いますので、そういったものを踏まえながら、どこまで予算編成を民主党政権でやるのかというお話も出たんですが、とにかく私どもの職責を全うしていく中では先生方のそういったご視点を踏まえながらやっていきたいと思いますが、最後にあえて言えば、その予算編成の話も、3党合意をあまり政局、解散と引きかえのようなことの方向性は、私は個人的に、やっぱり今後の2014、15までいろいろ政治は続くわけですから、ちゃんと最後のアンカー、信認のアンカーですか、そういったご視点からしても、やっぱり政局絡みでそういったことにならないような対応というものをしっかりとしていく必要があると思っております。

 以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

 これできょうの議題は終了とさせていただきます。いつものとおり、きょうの内容についてはこれから記者に報告しますから、皆様からは外部にお話ししないようにお願いします。

 それで、いよいよ次回が取りまとめに向けた審議になります。11月20日10時、これでいいんですよね。11月20日10時からで、ご多用のところと思いますけれども、ぜひご出席いただいて、報告書の取りまとめにもう一段ご尽力願いたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

 

午後0時41分閉会

財務省の政策