現在位置 : トップページ > 財務省について > 審議会・研究会等 > 財政制度等審議会 > 財政制度等審議会財政制度分科会 > 議事要旨等 > 議事録 > 財政制度分科会(平成24年11月7日開催)議事録

財政制度分科会(平成24年11月7日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成24年11月7日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成24年11月7日(水)9:00〜11:00
財務省第3特別会議室(本庁舎4階) 

1.開会
2.公共事業について
3.農林水産関係予算について
4.閉会

配付資料
○ 資料1      社会資本整備を巡る現状と課題
○ 参考資料     社会資本整備を巡る現状と課題
○ 資料2−1    農林水産関係予算について
○      −2    農林水産関係予算の論点

5.出席者

分科会長代理 田近 栄治 

武正副大臣
柚木大臣政務官
木下主計局長
福田次長
岡本次長
中原次長
小宮調査課長
大鹿法規課長
土谷給与共済課長
工藤司計課長
余島主計官
阪田主計官
富山主計官
神田主計官
青木主計官
諏訪園主計官
新川主計官
武藤主計官
窪田主計官
角田主計官
吉井主計官 

委員赤井 伸郎
井堀 利宏
碓井 光明
土居 丈朗
富田 俊基
臨時委員秋山 咲恵
板垣 信幸
岡本 圀衞
葛西 敬之
倉重 篤郎
古賀 伸明
小林 毅
竹中 ナミ
鳥原 光憲
早川 準一
渡辺 捷昭

午前9時00分開会

〔 田近分科会長代理 〕 おはようございます。ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。

 

 本日も、ご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。今日は、お手元の資料にあるように、「公共事業について」、「農林水産関係予算について」、引き続き、議論をしていきたいと思っています。

 

  お手元に、岡本委員及び古賀委員から、今日の議題について、意見書を提出していただいています。これも後ほど、適宜、ご参考にしてください。

 

 それでは、「公共事業について」、角田主計官より説明をお願いします。

 

〔 角田主計官 〕 おはようございます。角田でございます。よろしくお願いいたします。着席させていただきます。

 

 お手元に、2種類の資料を用意させていただきました。1つは、「社会資本整備を巡る現状と課題」ということで、主として、こちらの資料でご説明申し上げたいと思います。それからもう一つ、ちょっと分厚くなりましたけれども、参考資料という100ページ以上にわたったものがございますけれども、こちらの105ページのところに、(別添)海上保安庁関係の資料をご用意いたしました。後ほど、ご説明申し上げたいと思います。

 

 それでは、本体資料のほうに入りたいと思います。

 

 目次のところをご覧いただきますと、「社会資本整備の重点化」、「防災・減災対策のあり方」、「社会資本ストックの維持管理・更新のあり方」、「公共事業の総合的なコスト構造改善」と4つの柱がございますが、お手元の別冊の参考資料をご覧いただきますと、1ページと2ページですけれども、「平成21年度予算の編成等に関する建議」というものがございまして、これが公共事業に関しますと、直近のご建議でございます。そこで、やや中長期に視点を整理されておりまして、そのときに整理させていただいた論点に沿って、今日の状況を確認しながら、また少し議論を深めていただくために、このときの柱建てを、そのまま使わせていただいているものでございます。

 

 では、内容に入らせていただきます。

 

 1ページでございますけれども、まず、「社会資本整備の重点化」でございます。21年度の建議の際にも、こちらの左上にございますように、「我が国の社会資本整備の水準は著しく上昇してきており、今後は、人口減少社会の到来、少子高齢化の進展等、我が国が直面する構造変化に適応した生活や経済活動を支えるものへと重点化を図っていく」ということをうたっております。また、後段のほうでは、費用便益分析につきまして、需要予測の方法ですとかを見直し・改訂を行うとともに、事業評価の厳格な適用によりまして、新規事業を絞り込む。それから、社会経済情勢の変化等が生じた際には、事業採択後であっても再び評価をいたしまして、必要に応じて、事業の中止や見直しを行っていくという整理をいたしております。今日も状況は変わっていないと思います。

 

 ちなみに、その後の状況ですけれども、公共事業の予算自体は、21年度、7兆700億円でございましたが、直近24年度は、4兆5,700億円まで減額されてきております。

 

 それから、制度的な問題ですけれども、個別の地方自治体の実施いたします、いわゆる補助事業につきまして、国交省のほうで個別に箇所づけを行っておりましたけれども、こういう制度は原則廃止いたしまして、地域の実情に応じた取り組みを支援するための交付金を設けさせていただいているということでございます。

 

 補助事業のほうは、こういう形で交付金化されておりまして、むしろ自分たちで考えるのは直轄事業ということになってまいりますけれども、直轄事業の重点化につきましては、高規格幹線道路や国際コンテナ戦略港湾や首都圏空港等に重点化を進めてきたということでございます。

 

 また、後段のB/Cに関しましては、幾つかございますけれども、交通需要予測が過大になっているというご指摘でございますので、その手法の改善をしてまいりました。

 

 それから、新規採択案件を──そこから評価が始まっていたんですが、そもそも、新規事業をやるべきなのか、既存ストックを少し手直ししていけばよいのかという段階から、つまり、計画の段階から事業評価を実施していこうではないかと。その中で、まず適切な選択肢というものを考えようではないかということを導入しております。

 

 それから最後の再評価の周期の短縮等というのは、先ほどの再評価というのは、事業をやりましてから10年後に再評価をするということであったわけですが、事業によっては、もう終わってしまうというものがありますので、3年から5年ごとに再評価を行うという形で、評価周期を短縮いたしているところでございます。

 

 概略はそういうところでございますが、資料に沿いまして、少しご説明を加えさせていただきます。

 

 2ページのところでございますが、ちょっと長期のスパンで人口の推移をとらせていただいております。ご存じのように、2006年をピークに下がる傾向に入ってきてございますけれども、これまでのトレンドが、人口上昇の中で社会資本整備をやってきた、慣性の法則みたいなのが働いて、なかなかターンができないできたんですけれども、ここへ来て、相当程度、内容の吟味を進めてきているということでございます。下落の傾向にある人口動態のもとで、どういう社会資本を形成していったらいいのかということを、真剣に考えていかなければいけない時代に入ってきたということだと思います。

 

 ちなみに、これまでの整備状況につきましては、3ページのところで、ややボリュームを金額表示するとどうなるかということで、内閣府の試算をご紹介させていただきます。実質投資額となりますライン、これはただ単にお金をかけた金額の累積額ですが、その下の粗資本ストックというのが耐用年数が経過して除却したものを除いたもの、さらに、定額法による減価額を控除いたしますと、緑色のラインになりまして、463兆円ということになっています。

 

 それから、建設国債の残高、負債のほうですけれども、こちらも近年、二百四、五十兆ぐらいのところで横ばいになっている。とはいえ、GDPの半分程度まで、建設国債だけでここまで積み上がっているという状況でございまして、既にストックは、金額的にはかなり張っているなという感じがいたしております。

 

 ちなみに、参考資料の10ページのほうをお開きいただきますと、ただいま申し上げた総額の内訳が施設種類別に載っておりまして、やはり圧倒的に大きいのが、純ストックでいきますと、道路の161兆円というところでございます。その次に大きいのが下水道52兆円といったところであります。農林水産関係も比較的大きいというような状況でございます。簡単にご紹介いたしました。

 

 その総額がそういうことだとして、では、個別の中身はどうですかということを少しビジュアルにいたしまして、5ページ以降でございますが、例えば高規格幹線道路ですと、61年の4月は左のようなエリアがあったわけでございますけれども、順次、整備を進めてまいりましたが、今日の状況では、ネットワークとしては、かなり完成に近づいているのではないかと。ところどころ白くなっているところが、まだ接続されていないところでございまして、最近、ミッシングリンクといって、我々のは、こういう地域でございます。

 

 それから、港湾につきましても、いわゆる大水深岸壁と言われた14メートル以上の深さがあるバースが、平成2年度は7カ所程度だったんですが、23年度末は71カ所まで増えてきて、かつ、15メートル、16メートル、そのうち18メートルもという話になっているということでございます。

 

 それから6ページ、生活周辺の社会資本ですけれども、例えば下水道ですとか、集落排水とか、浄化槽の関係、汚水処理人口普及率、これは平成8年度までしかさかのぼれないので恐縮でございますが、平成8年度に61.8%だったものが、平成23年度には87.6%まで上昇してきている。

 

 それから、都市公園につきましても、面積、それから1人当たり面積ともに、相当伸びてきているということがうかがえると思います。

 

 このように、ストックを伸ばしてまいりますと、それぞれの社会資本の効用、B/Cですね、費用便益効果というのは、当然、後からやるものは低くなってまいりまして、恐縮でございますが、参考資料の20ページをお開きいただきますと、いわゆるB/Cの平均値を10年前と比較したものでございますけれども、14年度の評価と23年度の評価を比較していただきますと、軒並み、こんな感じになっておりまして、限界効用と申し上げたらいいんでしょうか、投資の限界的な効用というのは、当然、後からやるものが低くなってきていると、こういう状況になるということでございます。

 

 今、B/Cの話が出ましたので、7ページのところを引き続きご覧いただきたいんですが、最大の問題と思われるのが、客観的な需要予測というのがほんとうに客観的なのか、正確なのかというところでございまして、こちらは空港の例でございますけど、総務省の公共事業の需要予測等に関する調査から引っ張ってきておりますけれども、3つぐらいの空港でやってございます。上から2つ目の欄が需要予測値でございます。この需要予測値に対して、一番下の欄が実績値でございまして、需要予測値とか真ん中の再評価の数字でB/Cを出すのでございますけれども、開いてみると、実績がこういうことになっているということでございまして、こうなると、一体何をやっていたんだということになってまいります。これはいずれも平成15年、16年、17年ごろに供用された空港の例でございます。

 

 引き続き、こういうことをやっているわけにもいかないということでございまして、その下の欄でございますけれども、交通需要推計の手法の改善ということを進めておりまして、基本的に需要予測に最も影響を与えるのが人口とGDPであります。これが過大に、特にGDPが過大に評価されると、それをずっと横に引っ張るものですから、非常にぶれる、需要が高く出てしまって、これを厳格に見ようではないかという取り組みをしております。また、交通量の推計方法も、各部局ごと、各事業ごとに、自分の都合のよいように推計する傾向がありましたので、それは見直していきましょうということをやっているというようなことです。

 

 それから、ネットワークの話は、端的に言うと、まだ未整備のところも、計画どおり整備されれば、このくらいの交通量になるでしょうと勝手に見込むものですから、すぐまたBが大きくなってしまうということがありまして、こういうのも抑制していきましょうということで、近年、そういう地道な取り組みを進めてきているというところでございます。

 

 他方で、8ページのほうをご覧いただきたいんですが、こちらは全国知事会の中のプロジェクトチーム、地方の社会資本整備のB/Cのあり方についてのご提言でございますが、例えば道路事業で申し上げますと、費用便益比、右側のところにありますけれども、従来から3便益と言っていまして、走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少という3つだけをカウントしているんですけれども、その結果、このBが十分に大きくなりませんと、新規の事業の選択ができないということになっているわけであります。この点につきまして、知事会様からのほうからは、おおむね3点ほど、ご指摘がございます。

 

 1つは、貨幣価値換算が可能な効果というものがそのほかにもあるではないか、そういう便益も貨幣化して、ちゃんとBに加算してはどうかということ。

 

 2つ目は、貨幣価値換算は困難かもしれないけど、実際にいろいろと定性的には便益があるのだから、それらを踏まえて総合的に評価してもらえないかというお話。

 

 最後のところは、やや恨み節になるかもしれませんけれども、もともと道路とかの社会資本整備がおくれている、その現状を前提にして、将来の人口だの経済指標だのというのに基づいて便益を計算すればおのずと小さくなるのであって、むしろ先につくっていただければBは大きくなるんだ、後からついてくるんだというお話であります。こういった議論も出てきているということです。

 

 9ページのところは省略させていただきまして、論点のところに入らせていただきたいと思います。以上申し上げましたように、急速な少子高齢化ですとか人口減少が見込まれる中、また、厳しい財政事情のもとで、これから維持管理に一定の経費がかかります。そういうことを踏まえますと、これ以上、社会資本ストックを大幅に拡大すると、それを施行していくのは困難でしょうという、当然のお話でございます。

 

 少しかみ砕けば、2つ目の丸でございますけれども、適切な維持管理やソフト施策との連携を通じまして、今あるストックを有効に活用していくことが大事だと。それから、新規投資については、今後の経済社会情勢を踏まえて、長期的に効用を発揮できるものなのかどうか、50年間使うべきものなのかどうかということを、十分慎重に判断すべきではないかということでございます。

 

 事業評価につきましては、まず、今の評価手法の精度の向上と改善に引き続き取り組むことが重要ですし、新しく投資することだけ考えるのではなくて、既存ストックの活用といった幅広い選択肢について比較衡量を行うように、計画段階からの評価をさらに充実させてはどうか。それから、評価の客観性を確保しつつ評価手法の改善を図るということは当然のことでございますけれども、したがって、合理的な便益の追加ということであれば、何も否定的に考える必要はないと思っておりますけれども、いやしくも便益が低い事業の救済をいたした、そういう見直しを行っているのではないかといった疑念を持たれないように、十分に説明責任を果たしていく必要があるのではないかということでございます。

 

 続きまして、防災・減災関係、11ページでございますけれども、若干飛ばしながら説明させていただきますが、これも21年度の建議の際にも、要するに、ハード整備だけで何とかしようという考え方ではなくて、今ある施設を有効活用したり、そういった施策と組み合わせて、効果的な防災・減災対策をやっていくべきであるという頭の整理をしております。

 

 それで、直近ですけれども、東日本大震災以降も、例えば中央防災会議におきましても、同じようなご趣旨の整理をされておられますし、また国交省においても、決して、ハードだけで頑張りましょうと言っているわけでもないというのが左下でございます。

 

 それから津波に関して申し上げますと、これ、中央防災会議ですが、12ページのところにございますように、やはり津波によっても、頻度が比較的高くて、しょっちゅう来る津波の高さと、めったに来ないけど来たら大変な被害がある津波で、対応を変えなければいけない。めったに来ないけど最大クラスの津波に対しては、どうしても維持しなければいけない機能がありますから、それは守りきるとしても、どうやって生命を守るかの基本は、住民の避難を確保する、避難をするということを中心に考えていこうと。

 

 一方で、頻度が高くて、しばしば来る津波に対しては、海岸保全施設等でしっかりとガードしていこうではないかという形で、頭の整理をしておるところでございます。

 

 それから、13ページは飛ばさせていただきまして、論点のところに入りますけれども、やはりソフト、ハードの組み合わせということが重要だと思っております。災害リスクを踏まえまして、例えば、危険な区域には住むのをやめましょうといったような都市計画ですとか土地利用規制等の策定、あるいは地域の実情に合った避難対策の確立といった、そういった施策をしっかりやっていくべきではないか。国はそれを技術的にサポートしていくということではないかということです。

 

 ハード対策のほうは、一般的に非常に時間がかかります。お金もかかりますので、具体的な施策、地域の実情を的確に反映した総合的な対策の中で、どうしてもこれはハードでないというものがあるのであれば、それを見極めて、それをきちんと整備していくと、こういう手順になるだろうと考えております。

 

 それから、先ほど申し上げたように、津波対策はレベル1とレベル2に分けて考えざるを得ない。そして、そういう頭の整理を、実際に予算、施策を考える際にも、過大にハードに依存しないように気をつけていかなければいけないということでございます。

 

 続きまして、15ページから社会資本ストックの維持管理・更新のことを申し上げたいと思います。時間が迫っておりますので、かなり説明をはしょらせていただきますが、要するに、高度成長期に一気に社会資本整備を進めてきた反動が、同じサイクルで繰り返しますと、また、お金が足りないという話になってしまいますので、まず、今ある施設をどうやって長く大事に使っていけるかということで、日ごろから丁寧に手入れをすることによって、更新期間を長期化していくこと、長寿命化していくということによって、今ある資本がしっかり使われるように、長く使われるようにしましょうという思想でございます。

 

 それで、18ページにございますように、まず、そういった長寿命化のための具体的な施設ごとの計画というものを立てて、それに沿って管理していくということが大事ですが、なかなか現状、そういう計画を立てておられる自治体が少ないので、まず、平成28年度までに100%を目指して地方に策定を促していくということを、国交省としてはカリキュラムとしているわけでございます。

 

 ただ、一方で、いくら延命をいたしましても、最後はやはり、また更新しなければいけないということになりますと、お金が足りないという議論が、また出てまいるわけでございます。恐縮でございますが、参考資料の48ページをお開きいただきたいんですけれども、これは一言で申し上げますと、いくら延命策を講じたとしても、今の予算の高さだとパンクしてしまいますということを訴えている国土交通省の資料でございまして、今ある施設を単純にそのまま更新しようと考えれば、機械的にそうなると思いますけれども、1つは、それぞれの施設の実態に応じて、もう少し長期に使えるものはあるかもしれないし、実際、かなり長期に使っている事例というのが、参考資料68ページと69ページのところをご覧いただきますと、68ページの長崎県長崎市の橋などは、もう100年以上経過しても、今日まで、ちゃんと使っていただいているわけでございます。1つは、丁寧に使おうと思えば、単純に機械的に法定の更新期間で計算すればこうなりますよとか、機械的に何年乗ればこうですよということは、実際に丁寧に使っていけば、結構長く使えるということが1つあると思います。

 

 もう一つは、ほんとうに今ある施設が、これから世の中の態様、人口の分布の仕方がいろいろ変わっていく中で、ほんとうに維持管理し続けたり、更新する必要があるのかどうかということも、実は大きなテーマになってくるだろうと思っております。

 

 恐縮でございますが、19ページと20ページでございますけれども、これは日本再生戦略、本体のほうは参考資料の71ページに入れさせていただきましたが日本再生戦略のほうでもうたわれていますように、2050年までの四、五十年を念頭に置きますと、先ほど、人口自体は100年で50%減るという図でした。したがって、平均的には50年で25%減るのでございますが、今、過疎地域と言われている地域の状況を見ますと、この50年弱で、人口の減少率が60%を超えるだろうと見込まれている。

 

 また、20ページをご覧いただきますと、今、都市圏と言われている地域でも、2割以上の都市圏は人口が50%以下になるだろうと。6割以上の都市圏は人口が25%から50%に減るだろうという試算もあるわけでございます。

 

 そういう中でどういうことを考えていったらいいのかという、社会資本としては、そういうスケールの大きい話に取り組まなければいけないんですが、21ページに日本再生戦略の考え方の部分を引用させていただいておりますけれども、基本的には、地方分権ですとか、新しい公共ですとか、いろいろな形で支えていこうということが、いわんや精神論的なことが書いてあるわけですが、1つ具体的に記述されておりますのが、下から2段目のところですね。「人口減少社会を迎え、持続可能な地域づくりを速やかに進める」と。そのために「コンパクトシティの推進」ということを言っています。居住するエリアを集約していくという考え方であります。それによって行政サービスが提供できるようにしていかなければならないと、かなり危機感の強い話になっているところでございます。

 

 この話は、裏側から考えれば、例えば下水道のネットワークなら下水道のネットワークで相当広がっていますけれども、町がコンパクトになっていくということは、配管を変えていくということだろうと思います。それから、民間の施設あるいは学校や病院なども含めて、人々の住まい方が集約化されていけば、当然、配置も変わっていく。幸いにして施設が老朽化したときに、将来を見据えてレイアウトを変えていくという意味で、都市計画等のソフト事業が非常に重要になってくるんだと思います。その中で、社会資本整備を落ちついて考え直す、ストックの形を変えていく、そういう問題提起、裏から言えば、そういうことなのではないかと受けとめておりまして、22ページの論点でございますけど、2つ大きく分けておりますが、今後の維持管理・更新のあり方につきましての長寿命化をしっかりやっていきましょう、技術的なノウハウの提供というのをしっかりやっていきましょうということを前段のほうは述べています。

 

 後段でございますが、社会資本整備の進捗や経済社会構造の変化を反映し、現存する個別の社会資本ストックの維持管理・更新の必要性が低下していく可能性も念頭に置いておくべきではないでしょうかと。

 

 何かやらなければいけないということになると、必ず新しく何かやらなければいけないということだけが注目されるんですけれども、更新というのは、あまり受け身的な話ではなくて、能動的な話なのではないだろうかということでございます。

 

 最後、時間が相当押してまいりましたので簡単に申し上げますが、何をやったらいいかということを決めた上で、どうやってそれを安くやるかという問題が、公共事業の場合、大きなテーマでございまして、基本的には、左下のほうにございますけれども、コストの縮減を設計段階のコストの縮減等をしっかりやっていくということと、それから入札改革、調達のほうでできるだけ安く調達していくということがあるかと思います。

 

 かなり簡単でございますが、そこは飛ばさせていただきまして、もう一つの数字の話として、26ページと27ページに出ているんですけれども、公共施設だからといって、行政が建設、維持管理しなければいけないということではないのではないかという、できるだけ民間ノウハウを取り入れることによって、建設、維持管理コストを安くしていく。あるいは、せっかくつくった公共施設をより多くの方に使っていただくことによって、生活の潤いですとか経済の成長を促すという観点も大事だろうということで、例に挙げていますのは26ページのところですけれども、国際コンテナ戦略港湾などについては、港湾運営会社という民間の会社を建てまして、そこで管理を一元的にやっていただくというところに踏み込んできているところでございます。空港につきましても、国管理空港の民営化のために、今、国会のほうに法律のご審議をお願いしている最中、継続審議になっているところでございます。

 

 27ページですけれども、そのほかにもPFIということでございまして、もともとのPFIの趣旨とはちょっと違うのかもしれませんけれども、27ページの下のところにございますように、内閣府の推進室のペーパーでございますが、独立採算型のPFIを進めていくべきではないか。ちょっと内容をご紹介いたしますと、この絵の左側のところ、PFIの事業類型とありますが、サービス購入型というのは、言ってみれば、今の公共事業と大して変わらないのでございまして、PFI事業者が資金を調達して建設、管理するという点はちょっと違うかもしれませんけど、財政負担としては何も変わるものはございませんで、それを今の予算ですと、建設段階で予算に計上して、維持管理段階では維持管理費を計上するということなんですが、PFI事業者に全て委ねると、建設段階の投資の部分が分割払いになる。したがって、そのときのその瞬間の予算の高さは減ったように見えるんですけれども、実は後の経常費の支払いの段階で分割払いしているだけでありまして、全く財政的には意味のない話でございます。

 

 それに対しまして、独立採算型あるいは混合型というのは、何らかの形でのペイがありまして、それによって行政側の負担を軽減できるということのほか、ある一定のリスクを民側が背負うことによって、そのリスクを回避するためのノウハウを彼らが発揮してくれるということがございまして、その全てのリスクを公共側が追って、かつ、回避能力もさしてない人が管理しているというのと比べると、トータルとしてのコストの縮減につながるのではないかと考えています。もちろん、PFIには、このほかにもいろいろ期待される役割があるわけでございますけれども、本日は、コストという観点から整理をさせていただきました。

 

 できるだけ、独立採算型あるいは混合型の分野を広げていきたいということで、28ページにありますように、案件の発掘のために、自治体に対する助成というのを進めさせていただいています。

 

 論点に入らせていただきます。29ページですけれども、コストの話、省略してまいりましたけれども、地道に、設計段階のコスト縮減を図ることが大事ということ。

 

 それから入札につきましても、一般競争入札が99%までになりましたので、落札率も90%ぐらいまで落ちてきているんですけれども、それでも最近も官製談合というような批判もありますので、こういったことのないように、引き続き努力していかなければいけないということでございます。

 

 それから、民間活力の導入につきましては、できるだけ民間に裁量を与えるような形でノウハウを発揮していただくことが大事であろうと。他方、単純に行政が延べ払いをするようなサービス購入型のPFIというのは、これをやってPFIだと威張っているわけにはいかないのではないかということでございます。

 

 駆け足になりましたが、以上でございます。

 

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

 

 それでは、今説明のあった社会資本整備を巡る現状と課題、どこからでも、ご意見、ご質問、お願いします。

 

 じゃあ、こっちから。赤井さんと井堀さん。

 

〔 赤井委員 〕 赤井でございます。

 

 公共インフラについても、ちょっと勉強、研究させていただいていますので、その観点から、お話しさせていただきます。

 

 公共インフラ、これまでずっと財源を減らしてきているわけですけれども、その一方で、ストックというのが積み上げられてきているというのも確かで、公共インフラというのは、やっぱり生活に密着していますので、その重要性は確かだと思うんですけれども、しかし、財政状況を考えてみれば、財政状況はすごく厳しいので、新規投資というのは、財源は限られている。当然ながら、ここでもお話があったように、既存ストックを最大限活用するとか、あと、民の力を使う、PFIとかを使うとか、あと、維持補修をしっかりするというところは当然なのかなと思います。

 

 あえて3点ほど話をさせていただきたいんですけれども、資料にも20ページで、今後、人口が減っていくというお話がありましたけれども、これは確かな話ですので、それを見据えた形で考えてみると、やはり不要なものというのが出てくるだろうということなので、不要なものに関してはしっかりと廃止していくというような覚悟が、まず一つ必要だろうと。

 

 2番目には、不要かどうかというのは、当然ながら、国土のあり方とか地域のあり方にかかわると思うんですね。1つ、21ページのところに出ていましたけれども、コンパクトシティとか、町をどのようにつくっていくかということ次第で、必要になるインフラストックの量というのも大きく変わりますから、人がばらばらに住んでいるときと集中して住んでいるときでは必要なインフラというのも違ってきますから、そこのところをきっちりと認識して、不要なものというのは選定する必要があるだろうと。

 

 3番目、最後ですけれども、特にインフラっていう議論をしているときに、安心のためとか安全のためというのがあると思うんですけれども、特に忘れてならないのは、そういうふうな不要なものをなくすことで財源を節約していくと、町の財政というのも健全化していくので、財政の健全化というのが将来の安心につながるというのがあると思いますから、そういう面の安心というのも考慮していくことが大事かなと思います。

 

 以上です。

 

〔 田近分科会会長 〕 井堀さん。

 

〔 井堀委員 〕 赤井委員もご指摘されたように、やっぱり、人口減少と厳しい財政状況の中で、更新投資に重点を移さざるを得ない。新規の投資はなるべく抑制するという、そういう方針はいいと思います。1つお伺いしたいのは、今日、出てこなかったんですけど、整備新幹線です。既に北陸とか北海道でも着工が決まって、いわゆる、これから新しい社会資本ストックを形成する、そういう方向になっているわけですね。ところが、どのくらい意味があるのかと。要するに、これから新幹線の整備されるところというのは人口が減少しているところで、今日の資料でもありますように、日本の中でもさらに人口が減少する地域に新幹線を整備するわけです。しかも、それが長期にわたって建設されるということにコミットしているとすると、今の予想以上に将来の経済環境が変わるときに、そこで中止することができるのか。一旦、新幹線を整備するということが決まったとき、既にどのくらい公費の投入がコミットされていて、将来、こういった整備新幹線をひょっとしたらやめたほうがいい、あるいは見直したほうがいいということが、これからできるのかどうか。既に駅とかいろいろなところができていますし、地元のほうは相当期待も高まっていると思います。先に駅をつくって、それから後で新幹線をつくるという形になると、途中でやめるのはなかなか難しいと思うんですが、途中でやめるということはできないような仕組みになっているのかどうか、その2点をお伺いしたいんです。

 

〔 田近分科会長代理 〕 では、今のは具体的な質問。赤井さんのは……。

 

〔 赤井委員 〕 大丈夫。

 

〔 田近分科会長代理 〕 いいですか。

 

〔 赤井委員 〕 コメントなので。

 

〔 田近分科会長代理 〕 不要というか、要するに、見直しを徹底的に図るべきだ。

 

 井堀さんの整備新幹線で、今まで公費はどのぐらい投入してきたのか、それから、やめることはできるのか、2点ですよね。

 

〔 井堀委員 〕 今後の公費の投入は、どの程度想定されているか。

 

〔 田近分科会長代理 〕 今後の公費と、それから、やめることができる、では、それも含めてお答えを。

 

〔 角田主計官 〕 新幹線の整備状況については、参考資料の16ページのところに入れさせていただいていまして、今のお話は、黒いところは既に供用済みで、点々みたいになっているところがまだ供用されていないんですが、金沢は平成26年度末開業、それから、新函館が27年度末開業ということですので、今、論点になっていますのは、新函館を札幌までつなげることの是非の問題、それから、金沢から敦賀までつなげることの是非の問題、それから、諫早を長崎につなげることとの是非の問題だと思います。新函館でとめておくことが合理的かどうかという観点からすると、やはり、札幌がすぐそこにあって、ほんとうにここでとめておくことが効果を発揮することになるのかどうかということがあると思います。

 

 それから、北陸の新幹線のほうは、もともと北回り線ということで、東海道の議論から構想されていたものでありまして、ただ、これも今日の視点で敦賀ということになっていますが、敦賀以西につきましては、どうしていくのか。開業してからしばらくの間、重点投資、札幌のほうに向けなければいけませんので、その先の進捗がなかなか見込めないものですから、今はフリーゲージトレインで、しばらくの間はそこをやっていこうと。将来どうするかというのは、まさに将来の時点で十分、またその先の将来をよくご判断いただくということになると思います。

 

 それから、長崎については、諫早でとめておくというのは、多分、もともと、そのつもりはなかったんじゃないかと思います。それは長崎までつなげるということであろうと思います。

 

 その事業費ですけれども、大体20年から25年ぐらい、四半世紀で3兆円ぐらいになるんだろうと思っています。それで、公費が、今、足もとで出している国の支出が706億円あって、それの2分の1が地方費ですから、公費というのが年間1,050億ということになるので、今はそういう状況です。全体の3兆円をどう出すかについては、これから先の話なので、公費の支出というのは毎年度決まる、コミットしているとか、そういうものではないんですけれども、我々としては、新しく新幹線が開業いたしますと、これをJRにお借りいただくことになるわけですが、できるだけ気前よくリース料を払っていただけると、その貸付料が建設財源になりますので、そういったこと。あるいは不断のコスト縮減努力ということで、今想定されている事業費よりも少なくて済むようにしてもらいたいということは思っております。それは3省庁、国交省、財務省、総務省間で、政務の方々でお話し合いされる場、調整会議があったわけですけれども、そこでも私のほうから、かなり申し上げた点でございます。

 

 それから、B/Cを計算するときに需要予測が過大にならないようにという点は、今回、相当きつくやってきておりまして、先ほど収支設計をご覧いただいたように、まず、人口が減る。それから、トータルの人口でなくて、その線の通るところのエリアをメッシュで切りまして、そこの人口がどうなるか、ODがどうなるかということを専門的にご検討いただいて、結果を出していただいたものです。数字自体はあまり芳しくなくて、札幌につなぐものが1.2です。それから、北陸が1.1、九州が1.1という数字になっています。幾つか、我々も数字が下ぶれすると嫌なので、割引率は4%とか、ちょっとバンパーをそういったところに用意して、多少、下ぶれがあった場合にも、実際にはB/Cが1を割るというような形にならないようにということで試算をお願いしたので、数字がちょっと小さくなっているところはありますが、そういう形でクリアさせていただいているということです。もちろん、将来、大きな変化があったときに、決めたことだからとまりませんよというたぐいのものなのかというと、私は、先ほども再評価で申し上げましたけれども、全ての事業がそのような硬直的なものであってはいけないだろうと考えております。

 

〔 田近分科会長代理 〕 井堀さん、今の答えでいいですか。

 

〔 井堀委員 〕 はい。ただ、B/Cは1ぎりぎりというのは、かなり厳しい数値ですね。もちろん、公共事業をやる場合、必要条件ですけれども、当然、十分条件ではなくて、ほかに1を超えている公共事業とか、いっぱいありますから、その中での優先順位で、ほんとうに整備新幹線をこれから進めていくのはどうかというのは、もうちょっと慎重に検討したほうがいいのではないかと思います。

 

〔 田近分科会長代理 〕 じゃあ、葛西さん、それから、この順にお願いします。

 

〔 葛西委員 〕 公共事業の論点は、私は、ことごとく賛成であります。それで、今ご質問があった整備新幹線ですけれども、私、鉄道の人間なのでコメントをさせていただきますが、ああいう性質のプロジェクトは、採算プロジェクトと、経済性のあるプロジェクトというのと、採算性も経済性もないけれども政治的に必要なプロジェクトと、大きく分けて3つあると思います。ご指摘のように、多分、整備新幹線は最後のカテゴリーに入るわけで、政治的判断だったと思います。やめるのは極めて難しいのではないかと思うんですが、一方で、先ほどお話があった中で、例えば不要になった公共設備みたいなものをやめていくというのを妥当な方法として言われておりましたが、実際、我々、国鉄時代、鉄道網のうち相当部分は不要になった、2万1,000キロのうち1万キロはもう不要であると言ったけど、この廃止は、ほとんどやっておりません。できないんですね。私の会社の範囲内で言うと、例えば名松線という路線がありますが、その一部の、1日のご利用人数が100人ぐらいの区間において、何年か前に山崩れがありまして路盤ごと失われてしまいました。すぐそばにいい道路があるので、以降、バス輸送に切り替えができないものかと検討しましたが、やっぱり地元の人たち、県知事さんも含め、やめるとは言えないわけですね。その結果、何億円か使って山崩れを直しまして、その後、線路を修復し、JR東海でもう1回鉄道で営業再開するようにというお話になっております。要は、考え方はいいんですけれども、それを実行できるかできないかというところは、すごく強い決意が要ると思います。国鉄の経営がおかしくなったときに、新規の設備投資については、1度全部ゼロにとめました。採用も全部、ゼロにとめました。そのときの条件というのは、安全にかかわる維持更新投資だけはやるけれども、新規はゼロ、それから継続もとめるということで、58年から61年まで4年間は、新しいものはみんなとめてしまったんですね。その結果、1兆ぐらいあったのが、その4年間で4,000億ぐらい減りました。その後は民営化されましたので、適宜、企業判断でやるようになりましたが、やっぱり、何かとめようと思ったときは、そういう乱暴と思われるような決断をしませんと、個々に判断して、これはやるか、これはやらないかという決め方は、ものすごく難しいのではないかと感じました。

 

 それともう一つ、長く使ったらいいではないかという議論ですが、これはかなりあり得るんだと思いますが、今、既に社会資本の整備は相当進んでいるわけですから、これをどううまく使っていくかということがすごく大事で、これも一例だけ申し上げますと、東海道新幹線は私たちの会社の主力事業ですが、私が会社に来たときは、土木構造物は、「今から10年はもつが、20年は保証できない。」と言われておりました。その時、開業してから既に23年経過しておりました。20年もたないというと、今もっていないはずなんですけど、実際には、直ちにいろいろ研究いたしまして、総合的な延命措置を施して、現時点では「200年でももたせる」とまで言っていますので、やり方次第だと思います。これはあらゆるものがそうだとは言えないんですが、東海道新幹線、限られた設備であるということも言えますが、コンクリートというのはつくったときが一番よくて、だんだん劣化するんですけれども、これを何とかくい留める技術というのはありまして、例えば阪神・淡路大震災のときに、鉄板を巻くということで強度補強を図りましたが、あれは酸化防止にもなるんですね。あるいは塗料を塗ることによって酸化防止できますし、鉄橋の橋梁なんかも、鉄は疲労が過ぎるとひびが入って、突然裂断してしまうんですけれども、そういうものをあらかじめ、どこが応力を受けるかということを計った上で補強工事をやりますと、相当、延命は図れます。どんなものにそれが適用できるかは、私は鉄道のことしかわかりませんが、延命というのは大いに有効な手段ではないかなと思いました。

 

 以上でございます。

 

〔 田近分科会長代理 〕 では、土居さん、富田さん、早川さん、お願いします。

 

〔 土居委員 〕 土居でございます。

 

 我が国の戦後の財政運営を見ていると、やはり、特に安定成長期以降、公共事業というのは、とかく景気対策と結びついてきた。景気が悪くなると公共事業という、そういう発想で、特に90年代までは対応されてきたということで、どうしても公共事業の、何しろ社会資本整備の要望という国民ないしは地域からの声というのは、何かと景気対策に連動するような形で上がってきているような感じがいたします。私は、それは本来あるべき姿ではないと思います。もちろん、財政運営としての一時的、短期的な配慮から、そういうことはやむを得ない時期もあったかもしれませんけれども、今後、今、主計官からご説明があったような将来の姿なわけですから、むしろ、景気対策に依存することなく、毎年、やるべきことは淡々と、粛々と、整備なり維持補修をやっていくということで、社会資本を国民に提供していくというあり方のほうが、むしろ、これからは望ましい姿ではないか。だから、むしろ、今までのような景気対策頼みの公共事業というのは、これからは慎むべきことなのではないかと思います。特にこれから、やや景気が低迷するという心配、懸念が出ている今日このごろですので、むしろそこでは、できるだけ日々の社会資本の整備や維持には注力するけれども、特別にことしだけ多目に公共事業をするとか、そういうような形でなくやっていくということが必要なのかなと思います。

 

 それからもう1点は、先ほど来議論があります費用便益分析ですけれども、もう一つ指摘する必要があるのではないかと思うのは、便益のはかり方として、不確実性がある場合には、便益の期待値でもって評価するというやり方をする。つまり、楽観的な状況が実現する可能性の確率と、悲観的になる可能性の確率と、それぞれある程度の客観性を持ちながら、その確率を設定して、それでもってはかるというやり方というのは用いられているとは思うんですが、その確率の置き方が、楽観的なほうに傾いて、偏っているという可能性があるのではないか。つまり、さいころは振ってみなければ、その目がわからないと同じように、公共事業は実施してみないと、その後の状況というのはわからないとはいえ、ある程度、楽観的な状況になる確率と、つまり、高い便益が出る確率と、それの反対として、悲観的な状況、低い便益しか得られない状況というのは、それぞれの確率が置けるわけですけれども、楽観的な状況、高い便益が得られる状況のほうに過大に多くの高い確率を設定してやると、期待値でもその便益が高く出るという可能性は十分に考えられるので、やはり、そこは保守的に、低い便益、悲観的な状況というものが起こり得る確率というのをそれなりに高目に設定しながら、それでもなお、B/Cはしかるべき水準なんだということが言えるものでないと、やはり、新規に社会資本整備していくということは、今の状況では、なかなか認めにくいのではないかと思います。

 

〔 田近分科会長代理 〕 富田さん。

 

〔 富田委員 〕 この費用便益分析というのは、今、大きな課題として認識されているのですけれども、これを要素に分けると、1つは需要量の予測です。これは、やはり楽観的な見通しに陥らないことが大事であって、ここにご指摘されているとおりなんですけれども、実はこの2ページの人口予測も平成14年の予測でして、ことしの1月に出たものですと、もっと人口は減ります。したがって、それを地域ごとに落とすと、今日もご指摘があったんですけれども、もっと過疎状態が鮮明に明確に出るんだと思います。

 

 したがって、まず第一は、そういう楽観的な見通しでない、ここに書いてあるとおりで、大きな方向転換が大事なんですけれども、そういう量的な予測、それを楽観に陥らないということと、もう一つ大事な要素は、費用便益分析の場合、原単位なんですね。8ページに出ていますけれども、例えば道路ですと、走行時間短縮。1分短縮すると、1人当たり幾らという便益で計算されますが、それが毎月勤労統計の給与で分単位に換算して、実はこれが赤ん坊からお年寄りまで、全員に適用されるんですね。ですから、そこだけでも過大に出てしまっていて、この過大に出ていることもかつてから問題だったんですけれども、それは、今回、プラスに、新たに加算されているものが考慮されていないのではないかということで、多目に見ていたという面もあったと思うんです。

 

 何が言いたいかというと、幾らこれを精緻化しても、道路というもののB/Cで、道路の中の優先順位をつけることはできても、例えば道路と港湾とか、漁港だとか、そういう異なる目的のものについては、B/Cの値を比較することはできないです。先ほど新幹線のお話があったんですけど、これは経済的な採算性とか、これは大事なビジネスの問題なんで、リース料とか、そういうこともあって、採算性で切れるんですけれども、道路などは、やはり国民の選好に依存するものでして、なかなか市場経済に乗らないがゆえに、まさに、ある意味ではへの挑戦として、こういうB/Cをやっているんですけれども、異なる目的のものについては適用できないということなんです。何が言いたいかというと、事業ごとの優先順位をつけることしかできないのであって、やはり、予算の制約ということを明確に置きませんと、B/Cというのは、ある意味、厳格には適用できないということを言いたいんです。つまり、楽観的な数量見通しというものを戒めるとともに、決してB/Cで1以上だから何でもいいんだということはなくて、予算制約の中できっちりとして、優先順位をつけて選択していくことが大事だということなんです。

 

 それともう一つ、更新投資についても、やはりこれから優先順位をつけて選択せざるを得ない時代になるわけですので、これまで新規事業について、いろいろマニュアル化が、このB/Cについて整備されてきたんですけれども、更新についても、やはりきちっとしたものをつくっていくことが必要になっているのではないかと思います。

 

 以上です。

 

〔 田近分科会長代理 〕 角田さん、富田さんのご指摘のB/Cの使い方ですけれども、実態として、部門内の優先順位ということで現実には使われて、部門を超えるようなプロジェクト間の比較というのはなされていないと考えていいんですか。

 

〔 角田主計官 〕 もう10年以上やっていて、絶対ここだけはならないんですけれど、要するに、Bが違っていて、それぞれの事業ごとに、また、さっきの原単位もありますけど、飛行機だと比較的、人が乗っているとかいって単価が上がってしまったり、そういういろいろ違いがありまして、その違うもの同士を、例えば道路の1.5と港湾の1.5、イコールとはならないというのが実情です。それぞれの事業で物差しが違うんだけど、その物差しを同じ事業の間で比べる分には使えるけれども、違う事業の間で使うと、言ってみれば、単位が違うものを使っているような話になりまして、これは使えない。そういう意味で言うと、ぎりぎり1.0の上か下か、ほんとうにそんなに重要なのかというと、それも絶対的な意味で重要というわけではなくて、B/Cの高いものをやるように心がけていかなければいけないと思いますけど、1.0って、ある意味、足切りというか、いろいろ理由はあるかもしれないけれども、これを下回ったら、さすがにやるべきではないのではないかという下限がないと話にならないので、そういう意味で使わせていただいていますけれども、絶対的な基準ではないものですから、今、富田先生からご指摘があったように、異なる事業の間で使えるようなものには全くなっていない。できれば交通なら交通インフラぐらい同士、何とかならないかという気持ちは常々持っておりますけど、まだそこも、旅客と貨物では違うとか、いろいろなご議論が出てきて、必ずしも、これまでのところ、うまくいっていない。

 

〔 田近分科会長代理 〕 わかりました。では、続けて、早川さんと渡辺さん。

 

〔 早川委員 〕 3つ申し上げたいと思うんですけど、1つは今の評価の話です。評価の手法を問題にするというのは当然だと思うんですけれども、その評価の基準自体、やっぱり社会資本インフラというのをこれから厳しく考えていかなければいけないという意味で、評価の基準自体をもっと厳しくしていかなければいけないんだろうと思うんです。井堀さんがおっしゃいましたけれども、1.1だからいいなんていうことではなくて、1ぎりぎりなら落としていくみたいな、その基準の厳格化というのが必要なのではないかと思います。

 

 それから、災害対策なんですけれども、ハード以上にソフト対策が必要だというお話でした。このソフト対策ということになると、主として、やっぱり地域の問題になるのかなと思うんですね。国の知識を地方におろそうというような話がここに出ておりまして、それは当然だと思うんですけれども、震災対策のときにも伺ったんですけれども、地域には、こういうソフト対策をやるような専門の方々がすごく少ないようなんですよね。それぞれの市町村に、そういう方々を張りつけるというようなことはできないんでしょう。ただし、例えばそれを広域的に運用するとか、何らかの形で、そういう方々が充実して動けるようにするとか、あるいは市町村間の情報の共有であるとか、そういうことが必要なのではないかと思います。

 

 それから最後に、社会資本の整備を、やっぱり、これから維持管理を重点的にやっていかなければいけないというのは、そのとおりだと思うんです。そういう意味で、単なる社会資本の維持、更新計画というのではなくて、むしろ、何を残し、何をなくしていくのかという、いわば再編計画みたいなものを、まず、つくったらどうかと思うんです。その上で、財政の余力が少しでもある間は、それにどういうふうに新規のプロジェクトをつけ加えて行くかということなのではないかと思います。

 

〔 田近分科会長代理 〕 渡辺さん。

 

〔 渡辺委員 〕 2点です。

 

 1つは、21ページにあります日本再生戦略と公共投資との関係なんですが、21ページの一番下の「人口減少社会を迎え」以下の云々の話、私は大変重要な戦略だと思っておりまして、こういうまちづくり、地方づくりに対して、オールジャパンでソフトもハードもこういうところに投資をしていくという計画があるのかどうか。前回もちょっと申し上げましたけれども、環境に優しい、あるいはエネルギーに非常に効率的な安心、安全で快適なまちづくりをするためには、ソフトの面もハードの面も、国がやるべきこと、民間がやるべきこと、一緒になってやるべきことというのがあると思います。そういうところに重点的にオールジャパンで、省庁の壁を超えて、あるいは産官学一体になって、こういうところにまちづくりをしていくという投資計画というのは一体できるのかどうか、やれるのかどうか。今、恐らく、東日本の復興の計画の中にもあると思いますけれども、少し個別最適的になっているのではないか。全体最適で引っ張っていくような公共投資を、道路や、交通網や、あるいはそういうことだけでなくて、情報通信を上手に入れていくとか、あるいはマネジメントをうまくやっていくとかいうようなことも総合的に進めていくというような投資を重点的にしていくという計画はないものかということを、1つ提案というか、質問という格好でさせていただきたい。

 

 2点目は、コスト改善でございます。我々が事業を運営していくときに、どういうところのコストにメスを入れていくかということを少しご説明したいと思うんですが、4段階あると思っております。

 

 1つは、ここにもありますように計画段階、車で言えば、車を構想し、設計をする段階。それから、2つ目が、それをどうやってつくっていくかという生産の段階。生産をするときに、多くの関係するパートナーと一緒にやりますから、調達の革命の段階。そしてもう一つ大事なところは、固定費をどういうふうに薄めていくかという、マネジメントあるいは管理と言ったほうがいいと思いますけれども、その4つがあると思っております。ですから、設計革命どうするの、生産革命どうするの、調達革命をどうするの、固定費の革命はどうするのという切り口でプロジェクトを見てまいります。そういう意味で、ここに書いてあります総合的なコスト構造の改善というのは大変いいことだと思いますけれども、切り口が明確ではないと思います。そういう切り口で、こういう切り口でマネジメントしていくんだよということを明確にしていってコスト改革をしていくということを、ぜひ進めていっていただきたいというような気がいたします。

 

 そのときに、目標をどう設定するかというのは大変難しい話でありますけれども、10%改善しようとか、5%改善しようというレベルだと、なかなか画期的なアイデアが出てこない。ですから、例えば20%から30%改革してみたらどうですかという投げかけをする。あるいは私が極端にやった例は、半分にしろと、こういったケース。そうしますと、全く違った発想で、適当なところで改善をしていって、5%改善することではできなくなる。ですから、あらゆる手段を講じて、革命的な考え方をその中に注入していくということがあらわれてきて、いろんなアイデアが出たり、あるいは、推進するときに、非常に思い切った進め方をしていくという意味で、人材の育成にもつながってくる、こう思っております。そういう意味で、この公共事業のコスト構造改善、やっていらっしゃることは大変いいことですけれども、もう一段とメスを入れていけば、かなり予算の削減にもつながっていくのではないか、こういうふうに思っております。

 

 以上でございます。

 

〔 田近分科会長代理 〕 また最後に戻るとして、時間がちょっと押してきているんですけど、鳥原さんと秋山さんと板垣さん、これで締めさせていただきます。すいませんけど、手際よくお願いします。

 

〔 鳥原委員 〕 財源が厳しい中で、抑制は必要なことはもちろんですが、地域経済の活性化という観点に加えて、防災、医療とか、そういう生活の安全、安心を実現して、最近の環境変化に対応した活力ある地域社会をつくるべき。そのための基盤となる社会資本の整備というのは、地方にとっても非常に重要な課題であって、しかもまた、地方によってそれぞれ置かれた事情が異なっているということを踏まえて考えますと、今までのやり方を変えて、やはり市場において企業間の競争が起きるのと同じように、改革に意欲がある地方自治体間の競争が活発に行われて、規制の改革あるいは制度改革が進み、そして、効果的、効率的な、その地方なりの社会整備、資本整備が行われていくということが大事ではないかと思います。構造改革特区もありますけれども、そういう特区制度の活用をさらに促進することを支えるような対策は必要ではないかと思います。

 

 先ほど話に出ていましたコンパクトシティというのも、それぞれ地域によって異なる形態がありますけれども、これを進める上でも、やはり、特区制度的な考え方というのは必要になってくるので、そういう面からも対策を進めていく必要があるのではないかと思います。

 

〔 田近分科会長代理 〕 わかりました。では、秋山さん、板垣さん。

 

〔 秋山委員 〕 2点申し上げます。

 

 まず、公共事業の議論というのが、改めて考えてみると、ここ何年か、確かに、新聞や報道で取り上げられて、認識する機会が少なかったなということを、改めて、今回、資料を読ませていただいて気がつきました。今の政治状況を考えても、このタイミングで公共事業についてこうやって議論して、このことが情報としてどんどん出ていくということは、非常に大事なことだと思っております。特に平成21年時点でのあの建議の内容を今日ざっとご紹介いただいていますけれども、論点については、まさに、このとおりだと。皆さんのご発言の中でも、基本的には、ここに挙げられている論点については賛成であるという認識でいいかと思います。ただ、5年前の建議の内容が、では実際に実行はどうなっているのかというところが今一番問題視するべきところだと思いますので、この実行を進めていくためには、先ほど渡辺さんもおっしゃっていましたけれども、やはり切り口と、あと、やっぱり具体的な目標設定をして、その目標に対して、今どれぐらい進捗しているのか。今日いただいた資料の中では、例えば18ページで長寿命化計画というものがあって、目標に対して、今の進捗度合いのような数字が出ていますけれども、例えば進んでいるものと進んでいないもので、特に進んでいないものは、なぜ進んでいないのかというようなところを深堀りしながら進めていくという実行が非常に大事であるということを申し上げておきたいと思います。

 

 あともう一つは、公共事業をもう少し大きな視点でとらえるときに、やはりこれからの人口減少、それから過疎化、これを考えていきますと、特に地方において、今日の資料では、首都圏においても、行政効率そのものがこれから全体として低下していくのは否めないということが、はっきりしてきているわけです。そういう中では、今回の日本再生戦略で取り上げられているコンパクトシティのような考え方というのは非常に重要で、これは非常に時間がかかるものですので、こういったものを総合的に進められる枠組みというのが、どうしても必要なのではないかと。

 

 今理解している範囲では、例えば、新しく取り組まれている社会資本整備総合交付金のようなこういう新しい枠組み、これがそのまま使えるかどうかは別にしても、コンパクトシティのようなコンセプトに資する計画については、投資は重点的にしようというような形で予算を配分するという考え方を、ぜひ導入していただきたいと思います。そうでなければ、今日、例えば鉄道の例でご紹介いただいたように、効率化と反する、効率化しなければならない、あるいは、そうしなければ財政のサステーナビリティーが保てないというようなことについて、どうしてもジレンマを抱えながら、なかなか進まないという部分をどうやって乗り越えていくかという、その枠組み、仕組みづくりが重要だと思っています。

 

〔 田近分科会長代理 〕 板垣さん。

 

〔 板垣委員 〕 最初の論点については、私もほぼ同意しておりまして、この場で出されました意見についても、それぞれ、そのとおりだということで納得しております。ただ、その上で若干の意見を言わせていただくならば、例えば人口が減少していて、効果も十分ではない。だから、それは要らないということが全てにおいて適用されてしまうと、まさに縮小均衡のような形になってしまわないだろうかという懸念があります。例えば、人口が100減る予測が立っている事業について、この事業を行うことによって、その減少が20に食いとめられるという効果が地域社会の中で非常に大事であるという前提であれば、その判断は別途あるべきだろうと思います。

 

 それからもう一つは、渡辺さんのほうから提起されました戦略の中での公共事業の位置づけという点で言いますと、やはりエネルギー戦略との連携といいますか、今後、その辺のところが重要になってくるのではないかなと私は思っています。

 

 それともう1点、下水道だとか、道路だとか、いわば伝統的な公共事業の中で、下水道はもう九十何%達成しているから大丈夫だと考える方もいらっしゃると思いますけれども、私、十数年来言っている話がありまして、例えば首都圏地域の下水道というのは、99.99%ぐらいまで整備しないといけない。なぜか。それは全て東京湾に水が流れてくる。あの狭い東京湾の中をきれいにできれば、サービス産業など湾岸地域の別の産業の発展の仕方があるだろうと思うからです。下水道問題というのは限りない挑戦みたいなもので、やはり河川が狭い湾に注ぎ込む大都市圏があった場合には、下水道をきちんと整備していったほうが、圧倒的に経済的ないい影響が出るのではないかと思っています。

 

〔 田近分科会長代理 〕 どうも、ご意見ありがとうございましたでは済まないような議論をいっぱいいただきまして、特に再生戦略とも関係して、人口減少社会を迎え、持続可能な地域づくりを速やかに進めるべく、コンパクトシティの推進云々ということで、ご意見のほうは、実際、どうやってほんとうにそういうまちづくりを進めているのか、進んでいるのかという話と、それから、実効あるものを目標設定してやらなければいけない。時間も少し過ぎてしまっているんですけれども、その辺のまちづくりの実際みたいなところ、どうなんですか。

 

〔 角田主計官 〕 実際に今やれていることというのは、例えば交通結節点であるターミナル駅周辺の再開発をやりますという小さな話もぽつぽつとやっているという状況で、町全体をとらえて、その機能全体、公も民もとらえて、どういうふうに改造していきましょうかというのは、頭の中ではいろいろあるんですけれども、現実には、人がそこに住んでいる、活動しているところを動かすものですから、なかなか進んでいない。被災地のように、あれだけ壊滅的になって、新しい町をつくるという話でさえ、なかなか合意を形成するのが難しいというのが正直な現状だと思います。それでしばらく来ましたけど、いよいよ、待てなくなってきているのではないかということで、耳の痛いお話でありましたけど、どういうことができるか、真剣に考えていきたいというつもりでおるわけでございます。

 

〔 田近分科会長代理 〕 はい、どうぞ。

 

〔 土居委員 〕 今、主計官がおっしゃっていた、あと、板垣委員がおっしゃった件なんですけど、確かに、部分、部分、局所、局所、ローカルで見るとそうだと思うんですが、ただ、国の社会資本整備ないしは国家財政を考えるとき、極端に言えば、国民は日本国内のどこかにお住まいになられる。今お住まいになっているところにずっと住み続けるということを前提にして社会資本整備をするのがよいのか、それとも、もう少し人口分布を地理的に考えたときに、どういうところにお住まいになられるのがよいかと。もちろん、居住地の選択の自由は国民に与えられているんだろうけれども、それを直接、間接、インフラ整備を通じて誘導すると言っては言い方が悪いかもしれませんけれども、そういうことをやっていかないと、さすがに財政自体がもたなくなるという、そういう懸念というのは私は非常にあって、なかなかそういうことを真っ正面から言えるのは、全国的に見ているところしか言えないのではないか。つまり、都道府県知事も、市町村長も、極端に言えば、国会議員も選挙区にとらわれてしまうと、自分の選挙区、自分の行政区域の人口を減らしたくないという思いが強過ぎて、それを前提にしてインフラ整備をしてしまうと、過大なインフラ整備になる可能性がある。むしろ全国レベルで考えたときに、確かにこの都道府県や市町村から人口が大幅に減るということはあるかもしれないけれども、今、主計官がおっしゃったような結節点というか、そういう拠点都市には集住していただくようなことができて、そこで効率よくインフラ整備が整えられるというような側面というのは、ネーチャーワイドに考える必要があるのではないか。

 

〔 赤井委員 〕 その点、重要で、それによって財政がどのぐらい節約されて、それがまた全国に広がって、生活が豊かになるという視点をちゃんと情報を提供することが大事だと思います。

 

〔 田近分科会長代理 〕 私も加わりたいんですけど、これ以上しゃべると時間がなくなるので、残念ですけど、今日のところは、これで次の議題に移らせていただきます。

 

 次は、「農林水産関係予算について」、窪田主計官より説明をお願いします。

 

〔 窪田主計官 〕 窪田でございます。よろしくお願いいたします。着席して説明させていただきます。

 

 本日は、農政全般から、さまざまな課題を取り上げて、ご説明申し上げたいと思います。まず、個別の予算の話に先立ちまして、農政の目標についての課題について、お話ししたいと思います。

 

 資料の2ページにございますが、食料自給率でございます。この食料自給率目標は、食料・農業・農村基本法、さらには、それを受けました基本計画において定められておりまして、具体的には、2020年度に50%とすることが目標とされております。

 

 しかし、実際の動きを見ますと、3ページにございますように、確かに、かつて70%を超えていたものが40%あたりに低下していることは事実でございますが、ここ10年ほどの推移を見ますと、上にも下にも行っていないというのが現状であります。

 

 ところが、この間に何が起こっているかと申しますと、4ページにございますように、最も基本的な生産要素であります耕地面積は、一貫して減少しております。また、人のほうはどうかと申しますと、5ページにありますように、2000年に51%でありました基幹的農業従事者のうち、65歳以上の方が占める割合が2010年には61%まで、つまり、10年でそのまま10歳年をとる形で高齢化が進んでいる格好になってございます。こうしますと、食料自給率の推移とは別に、農業生産力は減退していると言えると思いますが、また、目標と現実が乖離していることは、プラン・ドゥー・シーという観点からも問題があるかと思います。

 

 6ページにございますように、食料・農業・農村基本法も、輸入及び備蓄を適切に組み合わせるとしております。確かに、戦中、戦後の時期に食料不足を生じたことは事実でありますが、東畑博士は、「一国の食糧が危機に面する時は、一国の他のすべての経済要因が同時に危機に面する時である」とされておられます。

 

 次に、生産面の課題ですが、8ページに、農業生産の現状を概括的に記述させていただいております。産出額は、農林漁業で10兆円、農業では8兆円でございます。このうち、米は2割程度で、野菜のほうがウエートは上になっておりますし、畜産も合わせれば3割程度ということでございます。さらに、全国各地で特色ある農業活動が営まれているということはもちろんですが、一方、予算はといいますと、それにかかわる農地の面積が大きいということもあるとは思いますが、土地利用型と言われる部門に重点的な配分がされております。

 

 9ページの表にございますように、平成24年度で見ますと、農林水産予算は2兆円強ですが、昔は公共事業も多くありましたが、今は少なくなりましたが、非公共事業が1.5兆円のうち、水田活用の所得補償交付金、水田に米以外の品目を作付した場合に交付される補助金でございますが、それと畑作物の所得補償交付金、これは麦、大豆などを作付しても、なかなかコストに見合いませんので、その不足を補うものであります。そして、米の所得補償交付金、これは戸別所得補償制度そのものですが、米を作付した場合に、面積当たりで補助金を交付するものでありまして、こうした土地利用型に関する主なものを3つ合わせただけで7,000億円ぐらいございまして、全体としては、人件費なども相当あることを考えますと、相当な割合が土地利用型農業に重点的に配分されているという現状でございます。

 

 このように、土地利用型、中でも米関連の予算が多うございますが、10ページにありますように、米をめぐる政策は数々の見直しをしまして、かつては数兆円規模の予算を費やしまして、でき過ぎたお米、過剰米を処理したような事態もございましたが、こうしたことは避けられ、また、生産調整も闇米云々といった時代とは異なって、以前のような強制感はなくなっているとは言われております。

 

 しかし、その一方で、11ページにありますように、先ほどの水田活用の所得補償交付金、つまり、生産調整を奨励するための予算が2,000億円強ございますので、いわば過剰米処理を年々平準化していると言えますし、また、強制感云々と申しましても、例えば麦、大豆ですと、11ページの表にございますように、面積当たりに換算したものですが、販売収入が一、二万円のところに、生産額とコストの差を埋めるために、まず4万円前後の補助金をお支払いし、さらに水田活用の所得補償交付金で、3万5,000円を支払うという構造になっております。全体の収入の8割方が補助金と。最近では、米を動物のえさにして生産調整を進めていますが、その場合は、補償の単価が8万円という形になっております。

 

 実際、12ページにございますが、25年度予算の要求では、この水田活用の所得補償が200億円以上の増要求となってございます。試算ですが、生産調整にかかる費用3,500億円程度かなと計算しましたところ、これにより、麦48万トン、大豆21万トン程度を生産していると推計できます。この金額で外国産の小麦を買い入れた場合、実に10倍近い量を確保できます。もちろんこの規模の備蓄が現実的だと言うつもりはございませんが、コストを意識することは必要だと思います。

 

 13ページにありますように、食料・農業・農村基本法でも、「農産物の価格が需給事情及び品質評価を適切に反映して形成されるよう」とあります。これ自体、全43条の法律の30番目の条文ということですが、日本農業の課題として、規模の零細性もございますが、一律的な政策になりがち、また、市場のシグナルからの乖離をもたらしやすい生産調整についても軽視できないことだと思います。

 

 次に14ページですが、土地改良事業でございます。土地改良事業、多くの予算を費やし、現在30兆円規模のストックが形成されてございます。ただし、ピーク時に1兆円以上あった予算は、現在では2,000億円程度でございます。これによりまして、労働時間が減少するなどの効果はあったと思いますが、15ページにありますように、米価の下落もあって、必ずしも所得の向上に役立っていないように思います。また、社会資本一般の例に漏れず、老朽化は進んでおりますので、予算も厳しい中、長寿命化を図りつつ、維持管理に傾注していくべきかと思います。また、そうであれば、当然に国と地方の役割分担という議論も生じると思います。

 

 次に17ページですが、戸別所得補償の概要がございます。戸別所得補償制度にもいろいろな要素がございますが、特に新規性の強い部分は米への所得補償かと思います。米を作付した場合、水田10アール当たり1.5万円、1万5,000円支払うものでございます。るる申し上げてきておりますように、米は潜在的に供給過剰ですので、これによって米ができ過ぎて、そのためにまた生産調整にお金がかかるということになれば悪循環ということですが、実際には18ページにありますように、米については生産の数量目標をつくっておりまして、それを面積換算したものがマル1、実際に植えつけられた面積がマル2の欄ですが、その差は最近では縮小しております。これは戸別所得補償の支給要件として、生産調整への参加を条件としていることの効果だと思います。

 

 また、19ページにありますように、米の価格は右肩下がりで来てございます。戸別所得補償のモデル事業が導入された2010年を見ますと、米価は下落していたにもかかわらず、所得は2割近く上昇しております。経済情勢一般と比較すれば、相当の改善と言えるのではないかと思います。

 

 次に、20ページ以下の高いレベルの経済連携との関係でございます。以下の記述は、まずTPPが前提でないことを申し上げた上でご説明いたしますが、21ページにありますように、全世界に対して関税を直ちに撤廃した場合の影響を農水省が試算しております。4.5兆円ということで、もちろん数字はいろいろあると思いますし、これほどの影響はないという見解もありますが、かなり大きなリスクを伴うものであることは確かだと思います。

 

 それでは、どう対応するかでございますが、22ページにございますように、政府は昨年10月に決定いたしました農林漁業の再生のための基本方針におきまして、現在、2ヘクタール規模の農業構造を20から30ヘクタール規模に拡大するとの目標を掲げてございます。

 

 しかし、23ページにございますように、零細なところから面積を増やしますと、生産コストは劇的に低下いたしますが、10ヘクタール規模になると、その効果も減ってまいります。今でも都府県で数十ヘクタール規模の経営をされている方もおられますが、どうしても農地が分散しがちですし、10ヘクタールを超えてくると、機械をもう一そろえ用意しなければいけないとも言われております。参考までに、カリフォルニア米の価格を下段に記載しておりますが、船代込みで7万5,000円ですので、規模拡大だけでは、いろいろな問題は解決しないと思います。

 

 政府もそのことを意識しておりまして、24ページにございますように、先ほどと同じ農林漁業の再生のための基本方針において、「国民の理解と安定した財源」、「直接支払制度の改革」、「開国による恩恵の分配メカニズム」と言った点について具体的に検討するとされておりますが、今のところ具体的な検討はなされておりません。例えば、直接支払制度の改革であれば、資料にありますように、低下した価格と生産費の差額、場合によっては、それ以上を自動的に補填するような仕組みが考えられるわけですが大規模な財政負担を要しかねませんので、それはどうだろうかということはあると思います。また、産業によっては、メリット、デメリットいろいろです、あるいはまた、マイナスの影響を受ける分野の中でのバランスということもあるかと思います。さらに、先ほどの影響試算にもございましたように、米以上に酪農などの影響が大きゅうございます。これらは専業も多く、地域の中核的な存在でもありますが、一方、輸入飼料を使いますので、自給率の面でも、また、水田とは多面的機能も違います。デンマークなどは、人件費が高くとも、豚肉を盛んに輸出しております。いろいろと考えなくてはいけない問題かと思います。

 

 25ページにありますように、対外政策の推移に応じまして、ウルグアイラウンド対策のようなこともございましたが、農政、対応してきております。今後の推移に応じた研究が必要だと思います。

 

 最後に農村振興でございますが、農水省設置法には、農水省の任務として、農産漁村及び中山間地域等の振興がございます。しかし、現実は27ページにありますように、今では農林漁業が県内総生産に占める割合は高いところでも5%ぐらいでございまして、これは昭和30年代の東京の水準でございます。宮崎などはマンゴーや畜産が盛んですが、それでも5.5%であります。

 

 また、28ページに、先ほどのプレゼンテーションも同じことですが、人口減少は地域において、よほど深刻であるということは言えると思います。

 

 一方で危機感は高まっておりまして、29ページにございますように、さまざまな農村振興関連の要求が参っておりますが、子細で見ますと、農村地域での活動に、会議費等の名目で1,000万円、2,000万円といった実費を支給するものであります。これで人口減少に歯どめをかけられるのか、他方で1,000万円というのは、地道に活動しておられる方には大した金額であります。

 

 いろいろ申し上げましたが、論点につきましては、別紙の1枚紙にまとめてございます。議論のご参考にしていただければと思います。25年度は、6次産業化等を推進するため、特別重点要求が認められてございますが、内実がそれに伴ったものにしていくことが重要かと思います。

 

 以上でございます。

 

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

 

 引き続き、どのような点からでも、ご意見、ご質問、お願いします。

 

 1回、手を挙げていただきますけど、では、渡辺さん、早川さん、井堀さん。

 

〔 渡辺委員 〕 ありがとうございます。最初に私がこういうことを言うのは、ちょっと衝撃が強過ぎるかもしれませんが、たまたま食農審の審議委員になっておりまして、その会議に出ておりまして、言っていることも同じなんですが、私は、この農業の問題というのは、再生戦略の中の重点分野の一つであるということと、それから、農業が成長産業化できる、世界の中で、農業立国日本として、一番できる国ではないかという基本認識を持っておりまして、それに現在の農業の問題はどこにあるのかということが体系的に整理されていないところに、大変大きな問題を感じております。

 

 例えば、我々で言うと、米とか、酪農とか、野菜とか、品目別、地域別、それから規模別に考えて、開発のフェーズ、技術のフェーズ、それから、ものをつくっているフェーズ、それから、販売サービスをしているフェーズが、ほんとうに日本は今どうなっているのか、どこに課題があるのかということが、一覧表になって出てきていないと私は思っています。そういうものをぜひ財務省として、今日、農水省の資料とは違った意味で、大変いい資料が出てきていると思います。財務省の面から、つまり、お金の面から、どこにどういう問題があるか、なぜそうなっているかという解析を、ぜひ、してほしいという気がいたします。

 

 それは逆に言いますと、今回の予算も含めて、6次産業化のための重点要求が1,400億円以上あるという話は、ほんとうに強いところにお金が行って、ほんとうに困った人にお金が行っているのかという判断が、私はちゃんとできているのかどうか、よくわかりません。ですから、とんでもないところで予算を費やすということは、弱いところにお金を出して、より弱くしている予算編成になるのではないかというおそれを抱きます。多分、そういう意味ではないと思いますけれども、いろいろないい資料があるとお聞きしておりますので、今申し上げました品目別、それから、北海道から九州、沖縄まで、地域別に開発──開発というのは、例えば、土地改良のためにどういうことをしているのかとか、あるいは新しい品種をつくるためにどうしているかという技術開発の農業まで、たくさんあるわけです。それから、生産の面でも、いかに合理的な生産をするか、規模の問題も含めて、その規模別に、開発、生産、販売サービス、農協さんの問題も含めて、販売サービスが一体どういうことになっていて、どこに問題、課題があるのかということをクリアにしていって、大変重要なところに重点的に予算配分をするということを、ぜひお金の面からやっていただいて、これは6次産業化も含めて言えば、農水省だけではできない。経産省も、TPPも含めて考えれば、経済連携を含めれば外務省も入ってくるでしょうし、そういう中で、お金の面を扱うという意味では、財務省が大変重要な存在だと私はいつも思っておりますので、そういう面から課題、問題をさらに明確にしていって、ぜひ体系的に整理をしていただきたい、こう思います。

 

 以上でございます。

 

〔 田近分科会長代理 〕 窪田さん、足してお答えを。

 

〔 窪田主計官 〕 すいません、直ちにお答えできるものを持ち合わせておりませんので、また研究させていただきます。

 

〔 田近分科会長代理 〕 では、早川さんと井堀さん。

 

〔 早川委員 〕 渡辺さんがおっしゃることは、ほんとうにそのとおりだと思うんですけれども、この論点で整理された問題というのは、ある意味では、それの1つの答えになっているのかなというふうに思うんです。大変うまくまとめていらっしゃると思うんですけれども、やっぱり一番大きな問題は、カロリーべースの食料自給率というのが、金科玉条のごとく扱われているということにあるのではないかなと思うんです。こうした形で食料政策の大きな目標にしているという国は、韓国なんかがそうなんだそうですけれども、ごく、まれなんだそうですね。食生活が、肉であるとか、野菜であるとか、そういう格好で変化してくる。それに伴って、このカロリーベースの食料自給率というのは下がってしまっているわけですね。そういう意味では、これを何が何でも死守するというのは、かなり非現実的なのではないかというふうに思うんです。先ほどおっしゃいましたけれども、例えば多角的な輸入であるとか、あるいは備蓄であるとか、そういうものを組み合わせて、食料安全保障を考えるということなんだろうと思うんです。

 

 しかし、食料安保にとって、それ以上に重要なのは、これも先ほどご指摘がありましたけれども、耕地がどんどん少なくなってしまって、あるいは、農業の担い手がどんどん減ってしまっているということにあるんだと思うんです。そういう意味では、私はかねての持論なんですけれども、生産調整というのは、できるだけ早く廃止するべきだと思います。少なくとも、そのために予算を増額するというようなことは、ほんとうに慎重に考えていただきたいと思います。

 

 それから、価格・所得政策、さんざん指摘されていることですけれども、全ての農家対象に、大変なばらまき政策が行われている。それによって、一旦、農業をやめた人が──貸した農地を貸しはがすというんですか──農業に復帰するというようなことで、農業の実態がさらに悪化してしまっているというような面もあると思うんですね。これは競争力の強い、大きな農家に集中する。そのためにどうしたらいいかという工夫を一刻も早くするべきだと思うんです。ここに大規模化の問題点みたいなことがありましたけれども、さんざん大規模化、大規模化と叫んでも、農地はバラバラ、大規模化しても、さっぱり生産性が上がらないというような実態もあるようですね。だから、大規模化することによって生産性が上がるようにするためにどうしたらいいのかというようなことを、この所得補償の進め方についても考えていただきたいと思います。

 

 以上です。

 

〔 田近分科会長代理 〕 ご指摘はよくわかるんですけれども、先ほどの渡辺さんのとかぶせると、ある意味で、今、早川さんがおっしゃったのは、強いところをより強くと。特に大規模化のところでも、この資料だと、一見、規模を拡大しても、ある意味で生産性は逓減するではないかと。そういう中、頭打ちのところも、もっと効率的になるような工夫が必要、そこはわかるんですけど、一方、困った人には手を差し伸べると、そこはどう考えられますか。

 

〔 早川委員 〕 そういう意味では、農家でなくなる方々にも、例えば、農地を借りることによって賃料を払う。そういうことができるようにしていったらいいと思うんですよね。

 

〔 田近分科会長代理 〕 今おっしゃったのでは、撤退しても、それは貸し付けたときに、そのときは効率的な農家になっているんでしょうから、そういう工夫が必要だと。

 

〔 早川委員 〕 もちろん撤退するところは、米の生産というよりは、むしろ別の道を考えてもらうということなんでしょうけどね。

 

〔 田近分科会長代理 〕 なるほど。

 

 では、井堀さん。

 

〔 井堀委員 〕 私も基本的には同じで、今の日本の農業の状況というのはかなり危機的な、この資料でも、65歳以上の方がどんどん増えてきて、新規参入がほとんどできていない。このままいくと、65歳が75歳になってくるかもしれないんですが、衰退するしかないわけで、そういう意味では、新しい人と、それから、経営資源ですよね。企業的なマインドを持った金とノウハウ、それから人が農業に参入して、より強い日本の農業として育成できるような、そういう方向に変えていかなければならない。そのためには、お金だけではなくて規制改革が必要で、今、農協とか、あるいは戦後で言いますと、ある意味で農地解放の悪い面が出ていて、要するに、自分が持っている土地で農業を細々とやっていくという、そういう前提で今の日本の農業ができてきたので、そこが時代に合わなくなってきたんだと思うんですね。

 

 その面で言いますと、予算も、やはり農業就業人口が260万にもかかわらず、農業予算が2兆円超えているということ自体が、乱暴に言いますと、お金をかけ過ぎているから、結果として、農業が育ってこないのではないかという気がするんですよね。要するに、日本のGDPの中での農業総生産が10兆以下なのにもかかわらず、相変わらず2兆、3兆の規模の予算を全体として出しているもので、結果として、そこで新しい芽が育ってこない。要するに、後ろ向きの農業対策に終始お金が回っていて、新しい、攻めの農業にお金を出していない。その意味では、今日の岡本委員のメモにありますように、私は、現行の各種の助成措置については、やはり対象は、農家の所得を補償するのではなくて、農業を育成するために、どういった形でお金を使うかということが重要ですから、その点は、やっぱり、農家の中でも専業でやっている農家あるいは組織法人に対策の重点を移して、そちらをより育成する方向で、これはお金だけでなくて規制改革も必要だと思うんですけれども、そういう方向に発想を転換しないと、このままだと、幾らお金を出しても、日本農業は、じり貧で終わってしまうという感じだと思います。

 

 以上です。

 

〔 田近分科会長代理 〕 では、一応、1回、手を挙げていただいて。

 

 では、竹中さん、土居さん、板垣さん、秋山さんと。

 

 竹中さん。

 

〔 竹中委員 〕 すいません、一言だけ。この農業の問題と、いわゆる障害者の問題って、すごく似ているというかリンクしているところがあって、弱い私は困っているという声が大きいほうが何かが出てくるというような制度になっているなという気持ちが、すごくするんですよね。今、やはり私たち、そうではなくて、障害があっても働ける能力を生かすというほうを後押しできる制度にという提案はしているんですけど、なかなか厚生労働行政というのは、今はそうではなく、やはり、対象に対して手当てをするというところから脱却できていない。同じように、やはり農業の問題もあって、今、何人かの皆さんもおっしゃいましたけど、大胆な意識改革をしないといけないのではないかなという気がします。

 

 以上です。

 

〔 田近分科会長代理 〕 引き続きですけど、一言、この後のことですけど、今、メモが来まして、前回積み残しになっていた海上保安庁予算について、若干説明を加えたいということですよね。

 

〔 角田主計官 〕 はい。

 

〔 田近分科会長代理 〕 それをお含みおきください。

 

 はい。

 

〔 土居委員 〕 手短に申し上げます。農林水産関連予算というのは、農林水産業従事者だけの関心という話ではなくて、むしろ、これは国家財政全体に対する信頼にもかかわってくる重大な問題であると。つまり、何が申し上げたいかというと、第2次産業、第3次産業従事者からすると、何でこんなに農林水産業に予算を費やしているのかという疑義を持っている国民は多いということだと思います。先ほど井堀先生もおっしゃったとおりだと思います。

 

 そういうことで言うと、やはり農林水産業従事者からすると、予算は増額してもらって当然だというような要求のようにも聞こえるわけでありまして、むしろそうではなくて、1人当たりに直せば、なぜ、あえて第2次産業、第3次産業に国家予算が投じられているよりも多く農林水産予算が投じられているのかということについて、きちんと説明できるような内容のものにしていただかなければ、これはやはり、国民全体としても理解が深まらない。ひいては、これから消費増税もある中で、なぜ、そんなにたくさんの歳出予算の中で農水関係に投じるのかという国民の不信も払拭できない、こういうようなところがありますので、やはり、ここの内容については、厳しく見ていく必要があると思います。

 

〔 田近分科会長代理 〕 では、板垣さんと秋山さん。

 

〔 板垣委員 〕 基本的に、先ほど早川さんがおっしゃったように、土地を貸すという発想、実はこれはもう十数年前からあって、一部地区ではずっとあるわけですけれども、ただ、いろんな規制があって、なかなか前に進まないということで、広がりがないと思っています。

 

 それから、問題は、企業化をもう少し促進できるように、農業以外の産業からの参入もできるようにすることです。そう言いますと、日本の農業が崩壊してしまうとか、自然が壊されるということを言う人もいるんですが、それはちゃんと気をつけてやればいい話で、私は十分できるんだろうと思います。

 

 それからもう一つ、TPPの問題と絡んで、戸別所得補償を全世帯にということなんですが、これはやはり強いところに、あるいは面積の大きなところに重点的に出していくというしかないだろうなと思います。問題は、やはり今のままでいったら、農業が日本経済の中のお荷物みたいになってしまうことです。すべて経済で割り切れる分野ではないことは、私も地方出身ですのでよくわかるんですが、全て割り切れないにしても、やはり、それ相応の合理化をきちんと計画的に進めていかないと、財政上もたないということがいずれやってくると思いますので、その辺は厳しくチェックをしていただきたいと思います。

 

〔 田近分科会長代理 〕 秋山さん、お願いします。

 

〔 秋山委員 〕 今日いただいた資料の中に、資料2−2という1枚の紙がございまして、「農林水産関係予算の論点」ということで、幾つか問いかけがされておりまして、この資料2−2に沿って、ちょっとコメントをさせていただきたいと思います。

 

 「農政のあり方について」、先ほど来お話がありましたように、カロリーベースの自給率の問題に固執するのはおかしいのではないかということで、私もそう思います。今後は、まずは食料安保の問題、それから、食の安全、安心の確保、それに加えて、競争力のある産業へ農業を転換していくという、私は、この3つが農政のあり方として重要な論点だと思います。特に、最後の競争力のある産業に転換していくというものは、今のものを何とかするということは非常にハードルが高いと思いますので、今あるものはどう着地させていくかと。ある意味、平均年齢も高くて、企業規模も零細で、これをベースに新しい産業を育成していくということを考えるのは、非常に難しいことだと思います。ですので、この層をどういうふうにもっていくのかということとあわせて、新しい産業として育成できる層をどうやってつくり上げていくのかということをわけて考えることがポイントになると思います。

 

 そういった意味で、2番目の「生産について」という論点なんですけれども、これは競争力のある農家を増やしていく。これは単に規模の問題だけではなくて、規模が小さくても付加価値が高い生産ができるものも含めて、競争力のある農家を増やしていく。そのためには、予算もさることながら、やはり、規制の見直しというのが一番重要なポイントになってくるのではないかと思います。

 

 その次の「価格・所得政策について」というのが、ある意味、現存の農家の皆さんの今後についてのセーフティーネットをどう考えるかという問題だと思いますので、これを着地点として考えればいいかなと思います、特にその次の「構造政策について」は、こういったことを通じて、いかに雇用を生み出す農家を増やすということが、今抱えている構造的な問題の解決につながる重要な視点ではないかと思います。

 

 TPPについては、私は賛成の立場をとっておりますし、「農村振興について」も、こういう枠組みの中で、やはり活気のある農村を日本で維持できるようにしてもらいたいとコメントさせていただきます。

 

〔 田近分科会長代理 〕 鳥原さん、お願いします。

 

〔 鳥原委員 〕 農林漁業が長期衰退傾向にある、この要因は、少子高齢化などの構造的な問題もあるものの、農業政策ということで言えば、これまで政府が農業の生産性向上という産業政策としてではなくて、零細農家を維持するという、そういう社会政策を追求してきた結果でもあると言えると思います。こうした考え方を変えて、高齢化、後継者不足対策や農地の集約化、6次産業化等、農林漁業再生に向けた構造改革というのを急がなければいけないと思います。

 

 2310月に策定された我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画から1年経過しておりますけれども、先ほど一部、資料で説明がありましたが、農地集積、大規模化による競争力の強化や、農商工連携などによる経営の高度化などの取り組みについて、もっとよく検証して、明らかにすべきではないかと思います。そして、それをもとに、早急に、これらの進捗を図る必要があると思います。

 

 日本の農業というのは成長産業に十分なり得ると思いますし、現在、農地法で、賃貸までは認められているけれども、所有までは認められていないといったような、株式会社の参入規制を緩和するなど、生産性向上あるいは品質向上等によって、魅力ある、競争力のある産業にしていく。これによって若い人たちが農業に従事するというように、雇用を増やしていくということにもつながると思います。

 

 以上です。

 

〔 田近分科会長代理 〕 では、ここで一応、区切りとさせていただきます。非常に活発に議論をいただきまして、ありがとうございます。

 

 主計官のほうから、リプライできる範囲であれば。

 

〔 窪田主計官 〕 ありがとうございました。

 

 1点だけ、これまで財政制度等審議会では、しばしば担い手に政策を集中しろということをご提言いただいておりまして、今回の資料は、それを直接的に取り上げた部分はございませんが、まず、財政的には、担い手の方に政策を集中するという考え方はございますし、資料の中にもございましたように、当然、政府も規模拡大は目指してございますし、それにかかわる予算もございます。ただ、戸別所得補償制度のもとでは、あるいは昨年の基本方針の中でも、一定規模を示して、それ以下を政策の対象から外すことを目的とするものではないという基本的な考え方のもとで、政策を遂行しております。

 

 それから、資料の中にもございましたが、なかなか規模の大きな農家でも、やはり競争力が厳しいところはございますので、規模拡大を目指す場合でありましても、引き続き、何のためかという議論をする必要があるかと考えてございます。

 

〔 田近分科会長代理 〕 引き続き、議論が必要と思いますけれども、渡辺さんからいただいた、作物地域別に見た、これからの改善努力というか方針、方策。それから、あと圧倒的に多くの議論は、井堀さんのお言葉だったと思うんですけど、攻めの農業ということで、国費頼みではなくて、農業がビジネスとして採算が合うようにどうしていくのか、そういう意見が多かったと思います。

 

 さっきの葛西さんのお言葉だと、採算性、経済性、政治性でしたっけ、どこで勘定になっているのかわかりませんけれども、さっきの話が──政治性のところを、これ以上効率性をゆがめないでやっていけるかというところで、いろんな議論が出てきたのかなと思います。

 

 引き続き、これもまた議論することにして、時間、あと数分いただきますけれども、海上保安庁のをお願いします。

 

〔 角田主計官 〕 お手元の参考資料の106ページから、海上保安庁の関係でございます。保安庁の説明に入ります前に、1点、数字の修正をさせてください。

 

 先ほど、北海道新幹線のB/C、1.2と申し上げましたけれども、1.1の誤りでございました。恥の上塗りのようで恐縮でございます。おわびの上、訂正させていただきます。

 

 海上保安庁の関係でございますけれども、まず106ページのところで、日本と韓国と中国を比較いたしまして、例えば、実際の船、隻数がどうであるかということ、それから、管轄面積と比べてどうかと、割り算などしていきますと、下から2つ目の欄ですが、海域面積等の比率でいけば、1.16.54.3ということで、非常に手薄になっているじゃないかということがございます。ただ、面積全体で同じように守らなければいけないというものでもなくて、例えば警備ということであれば、日本海側のほうに、国境を接している側に、基本的には重点がありますので、守備範囲が全部が均等にということではないと思います。そこが配置の問題になろうかと思います。

 

 107ページをご覧いただきますと、棒グラフにありますのが保安庁の予算でございますけれども、国交省全体の予算の中では、比較的伸ばしているというか、シェアを上げてきている分野になっておるということでございます。

 

 それから108ページ、それでは、具体的な巡視船艇とか航空機がどうなのかと。頭数で見れば、ほぼ横ばいという状況でございますけれども、昭和50年代にかなり集中的に整備いたしました船など、更新を進めてまいっておりまして、平成18年度以降、この更新を集中的に行ってきております。

 

 それによりまして、109ページでご覧いただきますように、例えばトン数でいきますと、同じ隻数でも増えておりますし、また、スピードもかなり上げてきておるということがございます。その他の性能の向上も、更新の中で図られてきているという状況でございます。

 

 それから、110ページですけれども、では、その船をどう配置するのかですが、元年と24年度で全体としてプラス2ということでございますけれども、問題の第11管区につきましては、中でのやりくりも含めまして、5隻増ということになっているということでございます。

 

 111ページは、その中でも比較的新しいものを、沖縄、第11管区のほうに配置させていただいているということでございます。

 

 それから、定員のほうでございますけれども、112ページにございますように、国交省全体の定員が削減される中で、何とか維持や微増ということでやってまいりまして、シェア的には上がってきているということでございます。

 

 定員も配置が非常に重要でございます。113ページをご覧いただきますように、増減でいきますと、元年度から24年度にかけまして664増のうち、第11管区に354と、半分以上、こちらのほうに張りつけているという状況でございます。そのほか、運用面で別の地域からの応援をするということで、緊張的な状態にあるときには重点配置をさらに進めていくというのが現状でございます。

 

 簡単でございますが、ご紹介させていただきました。

 

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

 

 今日も前回に引き続き、活発にご議論いただき、ありがとうございました。

 

 次回ですけれども、1112日、9時から開催します。テーマは、グリーンエネルギー、環境及び中小企業関係予算、これで来年度予算に向けての各テーマの話は締めくくりになります。

 

 そして、有識者ヒアリング及び総括議論ですけれども、これまで司会をしていても、意見を十分お聞きできたかどうか、その自信がないというか、もっともっとご意見があったと思います。取りまとめというか報告書の前に、どのような論点でも結構ですから、個別でもいいし、あるいはここで触れられていなかったこと、今までは主計官の報告でしたので、こういう点が触れられていなかったではないかということも踏まえて、ぜひ、活発に議論して……。

 

 はい。

 

〔 早川委員 〕 次回は、どんなぐあいに進められるんですか。

 

〔 田近分科会長代理 〕 グリーン、中小企業関係が、次回、何時間とっていましたっけ。

 

〔 小宮調査課長 〕 補足いたします。

 

 最初のグリーン関係は、今までと同じように主計官のほうから説明いただいて、質疑応答を合わせて1時間強前後──弱のほうを目指したいですけれども、それから、有識者のヒアリングは2人の方にお願いしておりまして、それがトータルで1時間半。できれば、もうちょっと短くしてもらうように手配しますけれども、したがって、それで2時間半になってしまいますので、残り30分で振り返りというのが今のところの目安です。ただ、我々といたしましても、できる限り振り返りの議論に時間をとりたいと思っておりますので、運営上、そこは工夫をしたいと考えております。

 

〔 田近分科会長代理 〕 それについては、これだけ議論してきて、積み残しはいっぱいあると思いますから、何としても、1時間程度とるように工夫してみたいと思います。それもありますから、ぜひ、次回は、お考えを事前に念頭に置いてご出席ください。

 

 あとはいつものとおり、この後、記者会見します。この後、いつも新聞等にはいろいろにぎやかに書かれるようですけれども、私から今日の場の議論を紹介させていただきます。個別内容については、皆様のほうからは、ご発言はお控えください。ということで、次回、ぜひ、よろしくお願いします。

 

 今日はありがとうございました。

 

 

 

午前11時03分閉会

財務省の政策