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財政制度分科会(平成23年9月8日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成23年9月8日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成23年9月8日(木)14:33〜16:28
財務省国際会議室(本庁舎4階)

1.開会

2.藤田副大臣、三谷大臣政務官挨拶

3.IMF担当者からのプレゼンテーション

  • 「Outlook and Strategy for Reviving Growth in Japan
    (日本の再成長に向けた見通しと戦略)」

4.質疑応答

5.閉会

配付資料

○ 資料 「Outlook and Strategy for Reviving Growth in Japan
(日本の再成長に向けた見通しと戦略)」
○ 参考1−1 平成24年度予算の概算要求に係る作業について
○ 参考1−2 平成24年度予算編成に向けて

6.出席者

分科会長

吉 川   洋

五十嵐副大臣

藤田副大臣

三谷大臣政務官

中原次長

福田次長

羽深次長

可部総務課長

富山調査課長

委  員

田近栄治

田中弥生

土居丈朗

富田俊基

 

 


午後2時33分開会

〔 吉川分科会長 〕それでは、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方におかれましては、ご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。

本日はまず、先日就任されましたが、G7財務大臣会議に出席のためお越しいただけない安住財務大臣にかわりまして、藤田副大臣及び三谷大臣政務官よりごあいさつをいただき、続きまして、IMFよりお越しいただいておりますマイケル・キーン 財政局シニア・アドバイザー、ケネス・カン アジア太平洋局第一課長(日本担当)よりプレゼンテーションしていただき、その後、質疑を行いたいと思います。

それでは、カメラが入りますので、しばらくお待ちください。

(報道カメラ入室)

〔 吉川分科会長 〕それでは、藤田副大臣よりごあいさつをお願いいたします。

〔 藤田副大臣 〕こんにちは。野田内閣発足に伴い、財務副大臣を拝命いたしました藤田幸久でございます。よろしくお願いいたします。

本日は、財政制度等審議会財政制度分科会の開催に当たり、安住淳財務大臣が出席し、ごあいさつ申し上げるところでございますが、G7財務大臣・中央銀行総裁会議の関係で出席できないということで、私から代わってごあいさつを申し上げます。委員の皆様におかれましては、前回に引き続きご多用中のところ、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。

前回は、8月22日に皆様にお集まりいただいたわけでございますが、先週9月2日に野田前財務大臣が総理大臣に就任し、新しい内閣が発足いたしました。財務省におきましても、安住大臣が新たに任命されたほか、桜井前副大臣の後任に私が、そして、尾立前政務官の後任に三谷政務官がそれぞれ任命されました。

なお、五十嵐副大臣及び吉田政務官は引き続き任に当たっていただくことになりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

我が国の財政は、言うまでもなく厳しい状況にあり、財政や社会保障の持続可能性を確保し、国民に安心感を持っていただくためにも、財政健全化は待ったなしの課題でございます。また、最近、特に欧米では、財政への懸念が金融やマーケットに大きな影響を与えており、我が国も含め、各国が財政健全化に着実に取り組むことが世界経済全体の安定にもつながると考えております。

このため、新しい内閣におきましても、社会保障と税の一体改革成案や東日本大震災からの復興の基本方針を継承し、震災以前からの大きな課題でございます財政や社会保障の持続可能性の確保に必要な取り組みを進め、財政運営戦略に定める財政健全化目標の達成を目指してまいります。

財政健全化の取り組みを進めるに当たっては、マーケットや国際社会からの視点も重要であることから、前回の外部エコノミストの方々からのヒアリングに続き、本日はIMFから財政局のマイケル・キーン シニア・アドバイザー及びアジア太平洋局で日本を担当されておりますケネス・カン 第一課長をお招きしたところでございます。日本の財政健全化に向けての課題についてお話しいただくことになっておりますが、IMFの方々のプレゼンテーションも踏まえて、我が国の財政健全化に関し、委員の皆様から活発なご意見を頂戴したいと考えております。大変重要な局面で、ヨーロッパでも中央銀行・財務大臣会合がございますし、きのうもドイツで大きな動きもございましたが、大変重要な時期でございますので、また委員の皆さん方、よろしくお願い申し上げます。今日はありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕どうもありがとうございました。

続きまして、同じく新たに就任されました三谷大臣政務官からもごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔 三谷大臣政務官 〕皆様こんにちは。財務大臣政務官を拝命した三谷光男です。どうぞよろしくお願いいたします。

私は、税制、関税制度、国際関係等を担当することとなります。税制面では、東日本大震災復興の財源のための税制措置や、前内閣において取りまとめられた社会保障・税一体改革成案を踏まえた税制抜本改革という大きな課題があり、全力で取り組んでまいります。

IMFからは、これまでも税制面を含め、我が国の財政健全化に対しての貴重な提言をいただいています。財政健全化と経済成長の両立が、野田新内閣が目指す最重要課題でありますので、本日のプレゼンテーションは大変興味深く聞かせていただきます。

そして、今後の参考とさせていただければと考えています。どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕それでは、ここでプレスの方々には退出をお願いいたします。

(報道カメラ退室)

〔 吉川分科会長 〕続きまして、「Outlook and Strategy for Reviving Growth in Japan」というリポートについてプレゼンテーションをお願いいたします。マイケル・キーン 財政局シニア・アドバイザー、ケネス・カン アジア太平洋局第一課長(日本担当)、よろしくお願いいたします。

〔 ケネス・カン IMFアジア太平洋局第一課長(日本担当) 〕まず初めに、財政制度分科会の委員の方々及び分科会長に対し、本日の議論に参加する機会を与えていただいたことについて御礼申し上げます。冒頭では、最近のスタッフレポートに提示されているように、IMFが日本の見通しと政策の優先順位をどのように見ているかを振り返ります。そこからキーンに引き継ぎ、日本での消費税引上げの戦略に関する最近のスタッフディスカッションノートについて議論し、欧州における財政の展開について簡単に振り返ります。その後にあらゆる質問についてお受けしたいと考えております。

見通しについて、まずご注目いただきたいのは資料の1ページ目で、日本経済は直近の震災による影響を受け続けているものの、供給状況の平常化と復興関連支出による押上げにより、既に今年の下半期には回復する兆しを示しつつあります。この回復は、輸出の回復と復興関連支出による押上げにより、2012年も継続する見込みです。これに基づく6月の世界経済見通しでは、2011年の成長率は暦年でマイナスの0.7%で、その後、2012年には2.9%に上がる見通しとなっております。しかし、2ページ目をご覧いただきますと、この見通しについてもリスクがあると思われます。主に下振れのリスクです。とりわけ原発に関連して、電力供給による影響が重要な下振れリスクです。海外リスクについては、主に先進諸国における経済の減速、そして円高です。それに加えまして、マイナスの波及効果の可能性があるものとして、世界的な金融混乱があり、これは日本の国債市場に対する影響の可能性もあります。

対日4条協議のために最近行ったリサーチによりますと、日本国債の利回りはグローバルなリスクファクターの影響を受けることがわかっております。とりわけ米国の国債市場からです。利回りの相関係数は約0.6と高いことがわかります。

日本国債の外国人保有比率は少なく、およそ5%程度ではありますが、日本国債の先物市場における外国人投資家の参加率については、総取引のおよそ3分の1になっておりますので、これがルートとなって、海外からマイナスの波及効果が及ぼされる可能性があります。

インフレについて3ページです。我々の見通しによりますと、総合インフレ率については、今年はおよそ0%、そして、来年もおよそ0%。一方で、食料品、生鮮と燃料を除いたコアインフレについては、あくまでもマイナスであり続けると見通しを立てております。我々の見方では、デフレのリスクは継続すると思います。まだ需給ギャップは大きく、推定ではGDPの5%を超えていると思われます。

次に、マクロ政策です。まず、金融政策から始めます。4ページです。デフレリスクに対応するために、日銀には、緩和状況を維持する複数の選択肢があります。我々の分析によりますと、日銀の資産買取プログラム、とりわけ民間資産の買い取りも含めまして、金融市場に対してプラスの影響があったと見ております。

例えば、左のチャートをごらんください。ごらんいただきますと、まず、買取プログラムが発表されたこと、かつ実際の買い取りがプログラムのもとで行われたことによりまして、実質的に利回りを下げることになりまして、複数の資産において価格を上げております。

例えば、10年債の利回りについては、累積では25ベーシスポイント下がっております。かつ、2日間でこれだけ影響が出ております。通常の2日間の典型的な取引で見られる変動と比較をしても、統計的な有意性があります。

右のチャートをごらんください。資産買い取りが行われたことによりまして、金融市場における参加者の認識としてのテイルリスクが下がっております。Implied Market Volatility(オプション価格から導かれる、期待市場価格変動率)がさまざまな発表の後、下がっていることもわかります。このような結果を見ますと、追加的な資産の買い取りが実施されますと、緩和効果をもたらし、経済活動を活性化すると考えられます。

財政政策の話は後でいたしますが、その前に、構造改革の中で優先順位が高いもの、5ページに書いてあるものを紹介いたします。

構造改革は鍵です。それによって潜在成長率を高めることができ、財政の健全化も進めることが可能です。ここで強調したいのは3つの分野です。第1に、若者、高齢者、女性の雇用を拡大することです。とりわけ女性です。我々のリサーチはスタインバーグ氏が行っていますが、女性労働参加率は、今、日本では低い状況ですので、それをG7平均にまで高めることによりまして、1人当たりのGDPをほぼ5%近くは高めることになりまして、潜在成長率については、向こう20年間で0.5%近く引き上げる効果があると思われておりまして、もしこれが可能となりますと、今の潜在成長率が低い日本にとって大きなプラスになると思います。

さらに、生産性を高める可能性を持つ手段として、地域統合があります。提案されているTPP(環太平洋パートナーシップ)などが考えられます。さらに、起業の促進、中小企業の再編を促す改革によりイノベーションと雇用拡大が期待されます。とりわけ日本では、右のチャートでごらんいただけますように、起業あるいは事業所の設立のペースが、閉鎖のペースを1990年代半ば以降、下回っているためです。

さて、明日予定しておりますプレゼンのほうの話をしたいと思います。消費税に関する、付加価値税に関するセミナーでのプレゼンです。背景的なことは、皆様方のほうがずっとご存じなので、ざっと私のほうから冒頭のお話を申し上げ、そして、キーンのほうから、消費税を引き上げるということの戦略について話をしてもらいたいと思います。

これらのスライドが示しているのは、日本の資産、バブルがはじけて、世界金融危機が起きたことから、日本の純公的債務が未曾有のレベルになったということであります。公的債務は非常に上昇したということを7ページで示しておりますけれども、日本の総公的資金需要というのは非常に高くなっていて、GDPの55%になっております。アメリカの2倍ほど、ギリシャの2倍ほどになっています。

毎年、債務の借入れを政府はしていかなければならないという、その額が多額であって、資金面での脆弱性が日本にはあり、金利リスクにも直面しているということになります。ただ、一般的に信じられていることとはやや異なり、8ページですけれども、公的債務がこれだけ日本で膨らんだ原因というのは、社会保障支出の増加、そして成長が低迷しているところにあるのであります。チャートで示しているように、社会保障への支出が、60%ほど、過去15年で上昇しております。これは、日本の人口が急速に高齢化しているということを反映するものです。

一方、非社会保障関連の経常支出というのはかなり抑制されておりまして、公共投資もトレンドとしては減少傾向を示しておりまして、これらの領域でさらに削減をする余地というのは少ないのです。事実、9ページでごらんいただけるとおり、非社会保障関連の裁量支出、例えば、公的部門の賃金、防衛、投資は、OECDでも最も低いレベルになっておりまして、GDPの16%になっています。したがって、社会保障支出というのが唯一大きな削減をできる領域であるということになります。

同時に、税収も国際的基準で言えば非常に低く、GDPの17%になっています。メキシコに次いで、OECDでは最低レベルということでありまして、日本の経済の成長が弱含んでいることから、1980年代の税収のレベルになっており、個人消費支出が低迷しているということ、そして、個人所得税の収入が減っているということを示しているものであります。

次のスライドは日本の財政運営戦略でありまして、2015年度までにプライマリー赤字の対GDP比を半減し、2020年度までに黒字化し、そうすることによって公的債務の比率を2021年度までには下降傾向に持っていこうというものでありまして、2010年代半ばまでに消費税率を2010年比で2倍にするという最近の提案は、我々も、歓迎するものであります。ただ、さらに多くのことをしないと、債務比率がより早く、この10年の半ばごろに下降傾向を示すというわけにはいきません。これを達成すれば、後でより厳しい調整をすることになるのを避けられますし、財政の状態に関する信認も高まるでしょう。これは困難であるかもしれませんが、実現可能であると思います。

12ページですけれども、IMFのスタッフの予想によりますと、2016年までに純債務のレベルを安定化させ、そして、2020年までにGDPの135%までに削減するならば、これは10年間の間にプライマリー収支をGDPの10%改善していかなければならないということを意味します。これをいかなる方法ですればベストであるかということですが、13ページにオプションのメニューを示しております。この必要な調整をするための幾つかの方法を示しているものであります。ただ、現実的に言って、いかなる解決策であろうとも、消費税を国際的なレベルに引き上げるということが必要とされるのです。我々が推奨しているのは、バランスがとれたアプローチでありまして、表の中で黄色で示しております、包括的な税制の改革と歳出の抑制であります。

例えば、消費税を漸進的に15%まで引き上げるとするならば、このGDP比10%の調整の半分ぐらいが達成されます。残りのGDP比5%の調整ですけれども、これは個人所得税の課税ベースを広げる、あるいは非社会保障関連支出の名目のレベルを据え置きにする、そして、社会保障支出の伸びを抑制する、すなわち年金の改革、そしてミーンズテスト(資力調査)などによって社会保障支出の伸びを抑制するということが含まれます。これらの措置を導入することによって、法人税を削減する余地が出てきます。40%というのは国際的な基準で高いです。それによって、また投資も促進される可能性があります。

この調整をなぜ急がなければならないかという点ですが、14ページをごらんいただきますと、我々の分析によると、それが示唆するのは、かなり大きな政策の調整がありませんと、そして、今の人口動態を考えるならば、国債発行残高は、10年後には家計部門の金融資産を上回ってしまうことになります。

ということは、政府はほかの資金源を見なければならない。海外へも目を転じなければ、その赤字を賄っていくことができないということになります。その前の段階で純債務比率を下降傾向に乗せて、財政に対する信認を維持しなければならないということになりましょう。

それでは、キーンにバトンタッチをしまして、消費税を引き上げるための戦略、そして、最近のヨーロッパの財政状況について話してもらいたいと思います。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕私も、ここにお招きいただきまして、大変うれしく光栄に思っております。ほんとうに光栄に思っております。大変重要な問題を皆様のような方と話し合う機会をいただきまして、ありがとうございます。カンが述べたように、もう少し私から消費税に関する考え方、我々の考えを紹介いたします。

さらに、財政上の問題で、今現在、ヨーロッパで何が起こっているかを紹介いたします。次のFiscal Monitor、これはIMFが半年ごとに出しているものですが、間もなく次のものが出るので、その感触について触れます。ヨーロッパの財政問題です。ヨーロッパでの事態は、日本にとっても教訓になるところがあるかと思いますが、あまり怖がらないでください。ただし、そういう考えがありますので紹介をいたします。

まず、消費税について、なぜ、いつ、いかにして上げるべきか、という点について、肉づけをしていきます。消費税を引き上げることが、なぜ財政健全化を考える中で当然のこととして思い浮かぶのか。まずは一般的な観測として、消費税、すなわち、付加価値税について申し上げます。

幾つか重要な教訓があります。付加価値税は、相対的に言いまして、成長に親和的な税目です。付加価値税は成長にいいとまでは言い切れません。そうではなく、申し上げたいのは、成長にとって、ほかの思いつく税目に比べると悪くはないのです。なぜか。基本的な議論を再確認する意味があると思います。理論、計量経済学、どれを見たとしても、同じメッセージです。理論いわく、付加価値税は、消費にかける税ですから、貯蓄に対する利益率に響きません。したがって、直接の歪曲的な影響が貯蓄には出ないということです。また、悪い影響が投資にも出ないということです。基本的に、投資決定は付加価値税の影響は受けません。与信の制度を考えましても影響は出ない。またさらに、もしうまく機能した場合には、日本では機能するでしょうが、マイナスの影響は輸出にも出ないはずです。輸出についても付加価値税はかからないからです。

理論によると、いろいろなことを考えると、これはとてもいい税であると。ほかの意思決定に干渉しない。例えば、選択についていつも心配しなければいけないことについてマイナスの影響は及ぼさない。さらに、これは単なる理論的な議論ではなく、計量経済的な証拠もあるということです。とりわけOECDの調査研究があります。付加価値税には、物品税、たばこ税等も入ってきますが、実証の研究を見ますと、付加価値税に依存をすることはそれ以外の税目と税率に依存するよりは、成長に資するということが出ています。我々自身も計量経済的な研究を見ておりまして、各国の付加価値税のインパクトを見ております。何らかの実証的な証拠を見た上で、理論で言うところのとおり、付加価値税がとりわけ税率として効率性が高いかどうかを見てみると、答えはイエスです。統計的に実証され、証拠がある。付加価値税に依存することは効率性が高いのです。

スライドは15ページです。それでは、シミュレーションを行ったとします。「Global Integrated Monetary and Fiscal Model」、GIMFモデルと略して呼んでおります。このシミュレーションを行いますと、この影響は実際上もかなり大きいことがわかります。チャートでは、税収をベースラインに比べてGDP比で1%高める場合を比較しております。税それ自体によってGDPが下がりますが、この場合にはプラスの影響、とりわけ税収、それ自体が上がるということは反映されておりません。しかし、付加価値税に関しましては、下方への押し下げ力が小さいのです。法人税に比べても、あるいは個人所得税のインパクトに比べても小さいのです。なぜこうなのか考えてみたいと思います。法人税、これは投資に対するマイナスの影響があると、先ほどカンが述べましたが、その懸念があります。個人所得税、所得税は確かに賃金に対する課税であって、付加価値税もある意味そうです。付加価値税は、基本的には賃金をもらったときではなく支出するときにかかるわけで、所得税と付加価値税には似たような性格があるんです。しかし、個人所得税には2つ違いがあります。

1つ、個人所得税は、通常は資本に対する利益への税と同様に、投資、貯蓄に干渉いたします。言うまでもなく、付加価値税、この点は後でもう一回繰り返し申し上げますが、付加価値税を引き上げますと、消費税を上げると、貯蓄が既に以前にあったもの、以前に積み上げた貯蓄、例えば、郵貯などにあるものについて影響が出ます。その結果、あまり歪曲を起こしません。なぜかと言えば、既にその以前に積み上げた貯蓄にかかるからです。また、後で公平性の話をしますが、付加価値税は、効率性においてはっきりメリットがあります。それ以外の税目でも、経済成長に悪くないものには、財産税のようなものがあります。多くの国では、何らかの炭素税があるかもしれません。しかし、大きなもの、付加価値税、個人所得税、法人税、社会保障拠出を比較しますと、付加価値税がいろいろな理由があって、やはり一番経済成長に悪くないと考えられる手段だということがわかります。

16ページです。では、なぜ付加価値税、消費税がいいと我々が考えるのか。なぜ一般的に付加価値税がいいと思われるのかを説明いたしましたが、その上で、さらに、特に日本に向くと思う理由です。第一に、おそらく皆様、もちろんご存じだとは思います。16ページの第1のメッセージ、ただ単に国際的に比較をいたしましても、5%は非常に低いのです。数カ国見たとしても、ここまで低いのは、ナイジェリア、台湾、パナマ、ほかにもあるかもしれませんが、めったにないと思います。イランは3%だと思います。ただ、ご参考までに、IMFがそもそもVATを導入するかしないかで助言を提供するときに、我々の経験則では、もし消費税を4%より下で導入するのであれば、やる意味はないと助言をしています。わざわざ入れる意味がないと助言しています。つまり、そこまでの下限に近いわけです。従来の我々の知見、経験に基づいて、日本の5%というのは、やる意味があるかないかに近いわけです。米国では消費税は一切ありませんが、多くの州で売上税でこれより高い税率です。確かにアメリカの州と比べたとしても、5%は極めて低い水準です。ということは、上げる余地があることを意味します。

次のスライドで、もっと大事な点が書かれていると思いますので、ぜひ17ページをごらんください。日本は、全世界の中でも消費税の性質がすぐれているのです。どういう意味か説明します。基本的には単一の税率であるということ。また、相対的に課税ベースが広いということです。こういうことをすべての国に勧めております。単一のレートであって、課税ベースを広くとることを常に助言しております。もちろん理論では、なぜシングルレートがいいか説明できるのですが、基本的には、非常にきちんと機能している所得税が存在している場合、あるいは、たばこ税、アルコール税などがある場合には、複数税率を使う理由がありません。この点は、また後で説明いたします。ほんとうに必要なのは、今申し上げた消費税のメリットを極大化することであって、ということは、課税ベースをできるだけ広く、可能な限りベースを広くとることです。このチャートが示しているのは、C効率比率と呼んでいます。何を意味しているかということです。例えば、消費税による税収を考えます。それを、標準税率と個人消費で掛けたもので割る、という計算をいたします。もしタックスレートが1つであった場合、すべての消費にかかる1つのレートがあった場合には、その数字は100%となります。その税収はその分母、税率×消費に相当するからです。

数字を見ていただきますと、ニュージーランド、左端、夢のように見えるかもしれませんが、100に近いです。日本も高いです。60プラス。非常にいいパフォーマンスです。税率が高いということは、実は少し、この効率性が低いことに相関するのです。もしかしたらコンプライアンスとかかわっているかもしれませんが、あえてそこでは説明いたしません。日本の税率が低いということではなく、ベースが広いことがメリットとなっていまして、単一のレートであることが日本の強みです。

ということで、日本は位置づけとしても、これから消費税を引き上げて税収を高める可能性があるのです。ベースはそのまま広く。その上、今引き上げても、国際的には低いかもしれません。しかし、税収を大きく高める余地が日本にはあるわけです。

なぜ消費税、という話をしてまいりました。いつという話ですが、18ページをごらんください。このページで言っていることは、すなわち早いほうがいいということです。この問題に対処するのが早ければ早いほど、債務の問題は悪化しない。問題を先送りすれば、いよいよ厄介なことになるということです。グラフでは純公的債務がどうなるかという見通しを示しております。赤い線が消費税を2012年からだんだんと引き上げていくということを示した線で、純債務の上昇が下がってくるということで、同じ消費税の改革を2014年に始めた場合と対比しています。改革は、税率を2%、2012年そして2013年に引き上げる。そして、2014年、2015年に3%引き上げると。これで10%になるということであります。2017年までに10%ということで、ブルーの線が、2年間おくれた場合を示しております。ご存じのとおり、わずかにおくらせると、数年後にはかなり大きな差としてあらわれてくるということなのです。

スライド19は、先ほど申し上げた点に立ち戻るわけです。消費税自身が成長にいいと言っているわけではないのですが、より広い脈絡で見た場合、財政の改革、枠組みの改革に伴ってポジティブな影響が見られるということで、カンの言ったGDPに対する影響、そして、今始めることと数年後に始めることとの対比を示しております。

消費税の引き上げを早くすれば、歳出の最初の落ち込みは大きいけれども、その影響はかなり早く相殺されるということで、GDPが数年後、かなり高くなってくる。恒久的に高くなってくるということです。最初は落ち込みがひどいけれどもということです。

スライド20をごらんください。もし消費税を10%引き上げたいならば、漸進的に経時的にやろうという議論があるでしょう。ここで我々が強調したかった点としては、1つの理由は、GDPへの悪影響をできるだけ緩和してスムーズなものにするということ。その他の影響で考慮の価値がある、興味深く、重要なポイントは次の通りです。つまり、段階的にスムーズにやっていくことのアドバンテージとしては、消費税を引き上げると事前に発表すると、消費者は消費税が引き上がる前に消費活動を行うでしょう。つまり、事前に発表すると消費を刺激する。先行して消費が刺激されるということです。もちろんこれは、耐久消費財、そして、貯蔵可能な、倉庫で貯蔵できる、あるいは棚にしまっておけるものに限定されるわけですが、こういう影響というのはかなり大きな影響になり得るわけです。

実際に引き上げる前の1四半期に、かなり大きな影響が見られます。1997年に日本が消費税を引き上げたわけですが、1.5%民間消費が上昇しました。このペーパーを書いているときに、もう一つの論文がありまして、同じ日本での97年の経験を語ったペーパーを見たのですけれども、同じような影響があらわされております。それから、懸念として、97年の引き上げというのは経済を抑制したという議論もありますが、私の最近の論文で見た限りにおいては、実際にはそうではなかったと。家計部門を見ますと、消費は前倒しで行われて、消費税引き上げの消費が下がった分というのは、1週間数ドルというごくわずかな減少しか示さなかったということです。

それから、より先の影響ですけれども、英国の経験で一時的に消費税率を下げたんですが、事前にやはり消費が抑制されました。その後、引き上げられるということで同じように前倒しで消費が行われたということなのです。1.25%ほど消費支出が拡大したということです。ドイツは、同じような体験で、事前の支出は、3%ほど上昇しました。これが事前発表の効果です。消費を促進したいならば、事前に発表するということは非常に効果があるということですね。

そして、もう一つ、多分妥当である点として、消費税を引き上げるということ自体は、価格レベルが1回変わるだけで終わるため、かならずしもインフレ期待を促進するものではありません。しかし、一連の消費税の引き上げ、例えば、2%、2%、3%、3%という形で引き上げるならば、消費者の行動というのは、インフレ期待が高まったようなことになるわけです。これは日本の直面する問題の解決になろうかと思われます。

21ページは簡単にご説明したいと思います。純公的債務の前に示した動態、そして、赤い線は我々が示しているシナリオ、論文の中で示しているものですが、それと並べてあります。消費税、支出の調整と加えますと、債務比率が2020年ではなくて、2016年から下がってくるということで、かなり大きな差、潜在的には、重要な差です。つまり、財政再建に対する見方という意味でかなり重要な違いが出てくるということです。

最後に、公平性の問題について触れたいと思います。消費税を引き上げるという話になりますと、消費税は逆累進性の税であるという意見が出てくるのですけれども、それに関しては幾つか申し上げることができます。最も重要なのは、もちろん消費税が累進なのか逆累進なのかということよりは、税のもたらすベネフィットのほうが重要なのです。1つの税の手段を孤立させて見ても仕方がない。全体を見ていかなければ意味がないのです。そういうことを申し上げた上で、多くの国においては圧力があって、消費税を引き上げるならば、貧しい人たちを保護するために、食品に関して、重要な品目に関して税率を下げるべきだという意見が出てきます。原則的には、意図するところは善意の意図があるわけですが、これは、実務上はあまりよくない方法であるということです。このスライドで示しているように、22ページで示しているように、日本ではあまり差がないのだということです。

例えば、食品で見るならば、食品に支出される割合というのは、所得グループであまり差がないということです。3つのオプションで、まず15%という高い税率、均質の税率化、あるいは食品は10%、ほかは17%というようなオプション、食品が5%、残りが18%という比較をしていますが、このチャートで比較をしますと、最も貧しい層に対する影響、最も裕福な層に対する影響もあまり変わらない。VATの税率に差を設けたからといって、貧しい層はあまり助からないということです。

スライド23なのですが、やり方としてはどうしたらいいか。さまざまな給付システム、手当がその答えとなりましょう。我々、イギリスのために作業、調査をしたのですけれども、イギリスは、付加価値税はほぼ全ての食品に関しては0%になっています。貧困者を守るからということですが、皆様ご存じだと思いますが、理論的には間違っているのです。数字を見ると、こうなります。例えば、英国で食品についてゼロ税率を廃止して、他のすべてと同じ税率を食品にかけたと考えてください。しかし、年金を変えて、あるいは失業給付、児童手当等々を変える。それを再構成して、貧困者を保護する。数字を見ていただきますと、単純に線の左側がゼロより上であり、線の左側がゼロより下であるということが分かります。ということは、このパッケージは貧困者がよりよい状態になるということです。貧困者のためだけでなく、政府としても税収が上がるのです。

英国でゼロ税率を廃止した、貧困者を守ると。貧困者もよい状況になる。しかし、税収は高めることができる、というメッセージなのです。なぜこれが日本にとっても大きな意味があるのか。英国では皆、政策立案者は分かってはいるのですが、ただ、それをやろうとすると、政治的な自殺行為になってしまうのです。ただ、税率をゼロに下げるということ自体が大きな間違いだということを学ぶ必要があります。確かに誘惑はあるかもしれません。政治的な圧力があって、軽減税率が良いと、複数税率が良いという圧力はあるかもしれません。しかし、結局は大変なツケがつくと思いますので、それには抵抗する価値があると思います。特に日本は今、クリーンなしっかりした消費税の機能があるので、ぜひ間違いはしないでいただきたいと思います。

もう一つ、公平性の話です。最初に申し上げた点に戻ります。消費税を引き上げるということは、結局は、従前ためておいた貯蓄にかかってくると申し上げました。そして、使おうと思ったときに消費税を払うという、タイミングのずれがあります。ということは、消費税はおおむね一定程度まで、もちろん保障措置をとらなかったらですが、比較的裕福な高齢者に響くことになります。こう言えるかと思うのですが、それはあまり不公平ではない。どちらかといえば、税負担分配という意味では公平ではないかと思います。表をごらんいただきますと、現在、60歳以上の高齢者については、政府から受け取るネットの生涯給付についてはかなり豊富です。今の若い人たち、将来の世代の人たち、表の左側については負け組になってしまうのです。上と下の差を見てみますと、大体1億円の差があると思います。つまり、今行っている再分配では、今の高齢者への交付が大きいわけです。若いところ、あるいは生まれていない赤ちゃんから高齢者に移転しているんです。消費税は、私の議論では不公平ではありません。つまり、比較的裕福な高齢者に負担が増えるからです。その理由があるからこそ、税収源としても公平だと思います。

まとめです。我々のペーパーのキーメッセージをまとめます。4つのSでまとめることにいたしました。1つは、Sooner rather than later、遅れるよりも速やかに、soonです。景気回復が予想されていますので、そのサイクルを活用すると。かつ健全化が進んでいるという人々の信認を高めるために、Sooner rather than laterです。確かに政策として難しい、政治的に難しいかもしれませんが、経済的にはなるべく早く、2012年から引き上げ始めることがいいと思います。

StepwiseのS。段階的に。幾つかの理由があり、既に説明いたしました。例えば、何らかのリスク、マイナスの影響が成長にあったとしても、それを平準化するために。また、消費のタイミングとインフレ期待のタイミングにおけるメリットがあります。

持続的に長く行う必要があります。SustainedのSです。一発あるいは短期であってはならない。

SimpleのSです。なぜシンプルである必要があるか。我々は、今のシングルレート、そして、ほとんど免税がないということ、ベースが広いということは非常に重要だと強く思います。所得者が低い人たちに対する配慮としても、今の日本のシンプルな構造が非常にいいと考えております。

消費増税についてまとめました。ヨーロッパの話をしてよろしいでしょうか。何点か申し上げます。ご存じのように、非常に荒々しいといいましょうか、荒れた状態になっております。今年の初めから再び緊張状態が出てきてしまっております。国債の利回りは、市場が特に不安視している国で上がっています。そのような国では年初から国債の利回りが上がっておりまして、非常に難しい状況になっています。我々は、我々が思っていたより、今、事態は悪化しているのかということを分析しています。幾つかの国では我々が思っていたよりも悪くなっているのではないかと。

我々は、幾つかの国の債務について、今から2014年の間、どれだけ債務が増えるかという予測をしているのですが、その予測について、2009年時点で行った予測と現在の予測とを比較してみました。つまり、見通しは我々が思っていたより悪かったのか、数年前の予想より悪かったのか良かったのかを考えてみたということです。結果は、国によって違います。

幾つかの国では、予測よりも改善しているところもあります。つまり、我々が思っていたよりも良かったということです。例えば、スペインです。債務の増加は、2009年時点での我々の予測よりも10%低い。ドイツについては我々の予想と反対に債務は減少に転じました。イギリスも、我々が考えていたよりも良かった。イタリアも、我々が予想していたより良い状態で、債務は減少に転じました。一部の国については、私たちの予想どおりでした。フランス、日本、アメリカです。アメリカは2009年時点の我々の予想よりも少し悪かった。また、それ以外の国で、予測よりも悪くなってしまった国があります。

まず、アイルランドとポルトガルです。例えば、アイルランド、我々の予想では、債務比率が下がり始めると予想していたのですが、今となっては、また増えてしまうと予測しております。特に金融部門のことを考えると、です。ポルトガルも困難な方向に向かっています。ギリシャは、実は我々が2009年当時に思っていたよりは良い状態でした。したがって、ストーリーとしてはまちまちであると。国ごとに違うんですが、だからといって、すべての国について悲観的に考える必要はありません。幾つか予測よりもよかった。見通しとしては、我々が前に思っていたよりはよかった国もありました。すべてが悲観的な状況ではありません。

一方で、財政危機によって大きなツケが回ってきています。GDPに対するマイナスの影響です。ギリシャ、アイルランドがほんとうに響いています。10%GDPが下がりました。ポルトガルはそこまで下がりませんでしたが、非常に大きな損失、生産高に対して大変大きな打撃を受けました。また、特に注意したいのは、CDSのスプレッドの変化です。つまり、マーケットの認識、マーケットのパーセプション、マーケットの視点。我々は、我々の2009年時点の予測と現在の予測がどれだけ違っていたかを分析しましたが、この予測の違いの程度とCDSのスプレッドの変化の程度についても分析しました。日本については、2009年時点の予測と現在の予測はそれほど違わず、CDSスプレッドの変化も小さかったのですが、他の国々、スペイン、イタリアは我々が思っていたよりも良い状態になったにもかかわらず、マーケットはまだ疑いの気持ちを持っているようで、CDSスプレッドは拡大しました。スペイン、イタリアについては、予想よりよかったのに、マーケットのパーセプションとしては心配を続けているのです。それがマーケットの視点です。

これを謎というべきかどうかわからないんですが、結局、マーケットがただ単に、我々がよく話しているファンダメンタルズだけを見ているのではなく、政治の意思がはっきりしているかどうかを重視しているのではないかと思われるのです。事態がほんとうは悪くなっていないのに、ファンダメンタルズが悪化していないのに、マーケットの気持ち、疑惑として、政府はまじめではないと、真剣ではないのではないかともし疑われてしまうと、マーケットとして不安な方向に行ってしまうんです。つまり、日本でも構造改革が重要で、健全化が重要なんですが、マーケットの受け止め方が非常に重要だということです。

3分ほどよろしいですか。あと3分。皆さんにもご関心があるかと思う点を申し上げます。ヨーロッパでは顕著になってきておりまして、日本の税制改革にも若干ご参考になるかと思いました。時にはフィスカル・デバリュエーション(Fiscal devaluation)と呼ばれている考え方です。この議論というのは、例えば、ギリシャのような国を考えてみます。あるいはポルトガルです。そういう国は競争力の問題があります。為替相場は固定であると。つまり、ユーロ圏です。では、一体その国は何ができるのか。考えとして、ひょっとしたら税制で通貨の切下げと類似した効果を引き出すことができないか、ということです。昔であれば、関税と輸出補助をできたかもしれませんが、今はそれができなくなっています。

しかし、代替的な戦略があり得ます。例えば、消費税は上げようと。さらに、その上で、社会保障拠出、とりわけ雇用主による拠出は引き下げようと。そのときに税収に響かない形にするわけです。税収を引き上げるのではなく、理論的には完全に税収を中立にするわけです。雇用主の社会保障負担、拠出は減らすと、消費税は引き上げると。その結果、もし固定相場の場合どうなるのか。固定為替相場の場合に、第一に、輸出が割安になります。なぜか。社会保障負担が減ったと。おそらく生産単位が下がるということで、輸出価格は低下します。では、輸入品はどうなるか。輸入品は、実は物価が上がるのです。国内消費者にとっては高くつく。なぜか。ポイントは、消費税は輸入品、あるいは国内生産品にも同じようにかかるのですが、国内産品は、雇用主の社会保障負担が減ったところからメリットがあるので安くなります。

一方で、輸入品は、社会保障負担が減ったとしてもメリットがありません。原則としては、かなりクレバーな手段だと思います。もし完全なWTO整合的な形で輸出価格を下げて、輸入品を高める、WTOを守ろうとすればクレバーな手段ではあるのですが、これを機能させるためには2つの点が必要です。固定相場であることが第一。あと、名目賃金は固定である必要があります。そうしませんと、名目賃金で調整がされ、今のことすべてが相殺されてしまいますので、何らかの効果があったとしても相殺されてしまいます。

といって、日本にはぴったりではないかもしれません。日本は固定相場ではありませんから。しかし、もし何らかの理由で相場が低迷しているときには、これらの効果、あるいは、もし賃金上昇率も上がらないのであれば、1つの手段として考えることができるかもしれません。

まとめます。今まで申し上げたのが理論です。しかし、現実として使えるのかどうか。シミュレーションが研究者によって行われております。シミュレーションによりますと、一定の効果はあるということです。一時的で小さいかもしれませんが、効果があることはあるのです。データを見ております。各国の純輸出と税制の相関関係を見ているのです。計量経済はシミュレーションよりもいいのではないかと。シミュレーションは答えが最初から組み込まれているところがあります。実証研究を行ったところによりますと、もちろんいろいろ条件はあるかもしれませんが、フィスカル・デバリュエーションはやはり効果があると思います。大きな影響ではありません。かなり大きなパーセントの変化を起こさないと影響は出ないかもしれませんが、実証研究によりますと、フィスカル・デバリュエーションの戦略で競争力を改善するためには一定の効果があるということです。

最後の点です。確かに、ある国がそれを行うのはいいかもしれません。しかし、全部の国が行ったらどうなるのか。もはや競争的切り下げで、みんな下のほうに落ち込んでいくということにならないのかと。しかし、多分これではノーだと思います。もしすべての国がフィスカル・デバリュエーションを行った場合には、どの国も付加価値税に対する依存率が高くなって、社会保障負担への依存は小さくなる。これはすべての国にとってプラスである可能性があります。

先生、分科会長、ご清聴ありがとうございました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕ありがとうございました。非常に明白なプレゼンをいただきました。この部屋では非常に温かく受け入れられると思います。外ではそうでないかもしれませんが。

それでは、今のご説明につきまして、委員の皆様方から、どのようなご意見でもご質問でもしていただきたいと思いますが、田中委員が途中で早退されるということですので、どうぞ田中さん、よろしくお願いします。

〔 田中委員 〕コンサイスで、かつクリアなプレゼンテーションをありがとうございました。消費税の引き上げに関しては、この部屋の中では多分合意事項だと思うのですが、国民といかに合意をとるかというところが非常に大事で、そのためには危機感を共有する必要があると思います。数字だけでは非常にわかりにくいので、伝わりにくいところがありますので、ちょっと過激な質問をさせていただきます。つまり、日本が仮にデフォルトになって、そしてIMFからポリシーレンディングを受けなければいけなくなったときに、この国に対してどういうコンディショナリティーをつけるかということを、できるだけ具体的にご説明いただけたら幸いです。

〔 ケネス・カン IMFアジア太平洋局第一課長(日本担当) 〕大変難しいご質問でした。これは悪夢で、こんな経験をしないことを我々も望むわけですけれども、我々にとってどうやってそれを回避できるかと、どういう政策を導入すれば、そのリスクを最小化できるかということですけれども、もし財政問題によって引き起こされるものならば、鍵となるのは、ほかのIMFのプログラムと同様、財政の信頼性を再構築するということで、消費税というのは、これを達成するうえで非常に重要な手段となりましょう。先進諸国の状況と同じで、正しいバランス、財政の立て直しの長期の問題と即座の回復という両立を目指さなければならない、バランスを目指さなければならないわけで、政策のトレードオフということを見ていかなければなりません。信頼性のある、そして野心的な財政戦略を、消費税を中核として行うと。そして、義務的支出の改革もしなければならないわけです。バランスのとれたアプローチが必要なのです。新しい収入の源ばかりでなく、歳出を抑制していかなければならない、特に社会保障面において。退職年齢を引き上げる、あるいは社会移転に関して上限を設ける、ミーンズテスト(資力調査)を行う、納税者番号、所得税の控除の制度といった手段など、いろいろなアイデアがあるでしょう。それによって、社会移転をより重点的に行う。そして、同時に中期的に節約をしていくということであろうかと思います。そういう状況にならないことを願うわけですが、今ステップをとれば、将来のリスクを予防することができるでしょう。キーンのほうから、こういうプログラムの経験があるので、コメントしてもらいたいと思います。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕私のコメントとしては、この最悪の状況がもし生じたならば、消費税率は、我々が飛行機から降りる前にもう引き上がっていると思います。ですから、多くの国が、まず喫緊ですることとすれば、消費税を引き上げるということですから、我々が飛行機から降りる前にそんなことが行われると思います。我々が課するまでもないと思います。最初の措置として即座に行われると思います。

〔 吉川分科会長 〕よろしいですか。田中さん、ほかには特に。今のでとりあえずはよろしいですか。

〔 田中委員 〕はい。

〔 吉川分科会長 〕では、どうぞほかの委員の方、どなたでも。

〔 富田委員 〕ありがとうございました。幾つかあるんですけれども、まず一番最後にお話しいただいたフィスカル・デバリュエーションの話なんですが、法人税については国際的な引き下げ競争があり、消費税はその逆だという、今、ヨーロッパで起こっていることを示されたと思うんです。それは非常に刺激的であり、またお話の途中でも、消費税の引き上げは早いほうが、経済全体に対する影響も小さいというお話もいただきました。

私どもは、基本的なお考えと同じなんですけれども、幾つか質問したい点があります。まず、現在、我が国政府は2020年度にプライマリー黒字を実現するという目標を持っております。それに対して、今日ご提言いただいたものは、より早くということでありました。その理由についてもお話があったんですけれども、IMFとしては、日本の財政健全化が遅れた場合、とりわけ今、ヨーロッパで起こっているように、その国の財政の健全化が遅れているぞというシグナルをマーケットに送るようなことがあった場合には、非常に国際的な影響が大きいと思うんですけれども、日本発でどういうことが起こり得るのかということをお聞きしたいんです。

それは今日、ギリシャ、あるいはアイルランド、ポルトガルの問題で、金融機関の不良債権が増大する金融不安という形で国際的な影響が起こっているんですけれども、そういうことが日本発で起こり得るのかどうお考えなのか。先ほどは、日本の金融資産と国債発行額との関係で暗にそういうことをお示しになられたと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

〔 ケネス・カン IMFアジア太平洋局第一課長(日本担当) 〕ご質問ありがとうございました。確認をいたしますが、より早く財政健全化を加速する必要があると申し上げたのは、将来の人口動態の見通しなども踏まえた結果です。現在の日本は、ギリシャとは非常に違うことはわかっています。日本国債の保有は95%が国内であると。非常に安定的に国内の貯蓄があって、依存ができるということで、ギリシャと日本は違うんですが、日本のその状況がいつまでも続くわけではありません。10年ぐらいの間で、日本が、例えば、企業あるいは海外の投資家にもっと国債を消化してもらう必要が出てくるかもしれません。キーンが述べていたように、それはマーケットのセンチメントで、その役割が大きくなって、マーケットの感触によって財政政策が影響を受けてしまうかもしれません。それを避ける必要があるのです。それに達する前に、財政について赤字を減少させていく傾向にあるということを示す必要があって、信頼ができる真剣な健全化策が実施されていて、マーケットの信用を維持するという動きがあるということが目で見えるようにすることが大事です。

それでは、世界に対する影響はどうなるか。今年、IMFは初めて、いわゆるスピルオーバー・スタディー、波及効果に関するスタディーを行いました。レポートを出しておりまして、各国の政策が全世界にどういう影響を出してしまうか見ております。5カ国を選びまして、日本が入っております。レポートについてウェブサイトで見ていただくことが可能です。

その中で見た1つの問題です。もし日本の国債市場で悪化が起こった場合に、域内、そして全世界にどういうリスクがあるかということです。もちろん今のところ、日本発で金融のマイナス波及効果が大きく全世界に起こるという兆候は出ておりません。しかし、今の状態と5年前、10年前は変わっております。多くの国では既に公的債務が非常に高くなっていて、市場の圧力が強くなっております。そこで、もし日本発でさらなる国債の悪化があると、全世界の状況が悪くなる可能性があります。

例えば、日本で財政状況が理由でリスクプレミアムが高くなった場合、ほかの国で既に公的債務が大きいところであれば、同じような圧力が金利にかかってくると、伝染波及してしまう可能性があります。だからといって、今、そういう証拠がはっきりあるわけではありません。公的債務がこれだけ高いにもかかわらず、日本国債の利回りが安定していて、どちらかといえば下がっている。しかし、すぐに変わってしまうかもしれません。この状況が続くと、変わってしまうおそれもあります。

〔 田近委員 〕田近でございます。いいプレゼンをいただきまして、ありがとうございました。

まず、マイケルさんのおっしゃったフィスカル・デバリュエーションの問題から始めたいと思います。私は改革に関して同じ考えを持っておりますが、日本の経済の状況に当てはめて、このお考えについて申したいと思います。日本の経済は、長い間、デフレを経験してきております。問題、デフレ経済の危険性というのはあるわけで、こういうものです。一方で、若い人たちは賃金、所得が上昇しない。これはデフレばかりが理由ではありません。世界的な競争があり、日本の若い人たちはアジアの若い人たちと競争しなければならないという状況にあります。

一方、日本の高齢者、特に金融資産を持った高齢者、相対的に年金の受給も良い状況である。デフレ経済ではかなりよく保護されているそうです。あなたの考えを日本の経済に当てはめるとすれば、こういうことになります。一方では貧しい若い人たちがいて、一方では豊かな高齢者がいるわけです。1つの方法として、所得を移転させるという方法としては、高齢者に関してより大きく課税すると。若い人たちは、より少ない課税をするということです。これは、考え方としては、給与に対する税を下げると。社会保障の負担と呼びますが、一方では、社会保障の負担を若い人たちのものを軽減して、消費税を引き上げると。個人所得税を引き上げるということは難しいので、ですから、今申したアプローチによって財政的な困難を緩和することができる。高齢者から若い人たちへ所得を移転することができるわけです。これが1つのやり方でしょう。日本のやるべき1つの方向かと思います。

それから、もう一つ、消費税を引き上げるということに対して、日本国民に対して説得をする方法だと思います。私の見解なんですけど、これを申した上で、率直に言って、消費税を引き上げるということが非常に良いことだというお話は今たくさん伺ったわけですけれども、もう既にこういう議論は十分にしたと思っています。どうやって、さらに一歩先に話を進めるかということだと思います。理解を促すかということだと思います。どうやって日本の財政状況を、より具体的な形で改善をもたらすことができるか。フィスカル・デバリュエーションというのは1つの方法でしょう。しかしながら、私の申し上げたい点としては、消費税を引き上げることに関して日本国民を説得するとするならば、成功するためには、財政歳出、特に義務的支出の改革面で非常に進歩、良いことをしないと、効果的な経済刺激策は何であるかということに関する理解がないと思います。ですから、非常にいい組み合わせの政策の措置がうまくまとまらないと、財政再建の考え方を受け入れさせるのは難しいと思います、一般国民に対して。過去10年、20年振り返ってください。警報はいろんなところから鳴らされたわけなんですけれども、進歩がないということで、単純に言うならば、1つのパッケージと一連のパッケージとしての政策がまとまらないと説得力がないということです。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕あなたがおっしゃったこと、私、すべて同感です。税制の改革の考え方として、世代間の不公平性のバランスを改善するということは非常に重要な問題だと思います。それから、どうやってこういう政策のパッケージをつくるか、改革の一連のパッケージをつくるかということ。つまり、必要な政治的な支持を取りつけられるような改革のパッケージをどうやってつくるかということだと思います。あなたのご見解、ほかの方のご見解も、次の点に関して伺いたいと思うのですが、人によっては、日本では消費税が上昇するということを、大体みんな知っているんだということを言う人がいます。そういう意味では、実際そうなのでしょうか。つまり、問題がないのかもしれません。消費税が上がると、みんなもう思っているわけなので、いつということがむしろ問題になる。上がることはもう受け入れていると。政治がうまい状況になって、いつ引き上げられるかということだと思います。そして、政治がうまく環境が整って、消費税の引上げができるだけ早く実行できるようにするということを考えると、政治的な議論として、消費税は引き上げなければならないと。じゃあ、しましょうと。これを、やらなきゃいけないことだから早くやってしまいましょうと。少なくとも賛同を取りつけてやろうと。そして、やった後で、ほかの問題を取り上げて議論しよう、闘おうということになると思いますが、そうなのでしょうか。私の意見はそのくらいです。

分科会長、ご意見ないでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕よろしいでしょうか。どうぞとおっしゃってくださったので、私から。ご存じのように、残念ながら政治的なコンセンサスはまだ固まっていないようです。よく聞かれる議論があります。政治家が良く話をしているんです。多くの方がおっしゃっているんですが、例えば、わかったと。確かに消費税はいずれは上げる必要があることはわかったと。そうしないと、日本の財政健全化はできない。それはわかっていると、みんなおっしゃるんです。しかし、今はそのタイミングではないと、皆さん言うんです。なぜかといえば、日本経済はまだ脆弱であるからと、皆さんおっしゃるわけです。だから、今ではないと。もう少し待つべしと、皆さんそうおっしゃっているんです。

このような人たちの理解を得るためには、我々が示す必要があるのは、消費税率を引き上げて経済にマイナスの影響が短期的にも出る可能性があるのであれば、それはあったとしても、みんなが思っているよりは小さいことを示す必要がある。それと同時に、逆に、先延ばしをした場合のツケ、コストのほうが、みんなが思っているよりひどいということを示す必要があると思うんです。

最初の点について、あなたがおっしゃった日本の経験について、プレゼンの中でおっしゃったように、ご存じのように、日本では97年から98年の経験を想起するわけです。どうしても消費税を引き上げると、あのときのことを皆さん思い出す傾向があります。それが1つのポイントです。

そこで、2つ目の点について、先送りしたほうがもっと悪くなると。待つこと、先送りしたほうが、もっとコストが大きくつくことについて、もう少し詳しくお願いできますでしょうか。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕先送りした場合のコスト、2種類の問題があると思います。先送りすればするほど、ほんとうに行動するときに、しなければいけないことがもっと大変になるのです。問題がもっと悪化していますから。ということで、なぜ気候がほんとうに破綻するまで、炭素税を放置することができないかという話と似ていると思うんです。やろうと思ったときには遅過ぎて、コストがつき過ぎると。それは説得ができるかもしれません。

もう一つの考え方は、信認性、信頼性だと思います。これももう一つ重要な、説得が難しい点かもしれません。つまり、先送りをすればするほど、確率としてマーケットの懲罰は厳しくなるかもしれません。でも、私もきちんとした答えが考えられないんですが。

〔 吉川分科会長 〕繰り返しますと、議員の先生は、皆さんいずれは日本は消費税を上げなければいけないことはわかっているとおっしゃってはいるんです。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕それ自体が非常に役に立つ情報だと思います。多分、同じ考えだとは思うんですが、IMFの観点としてもお役に立てればと思うんです。

〔 吉川分科会長 〕つまり、議員の先生は今ではないと言っているんです。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕何が起こるまで待つのかと。これを待つということであれば、どれだけ待つのかということです。例えば、法人税率引下げを待つとか。

〔 吉川分科会長 〕まず、支出を削減することが先ではないかと。歳出、支出、非効率に使われているから、それを減らすことが先決だという意見もあります。つまり、ネバーエンディングストーリーで堂々めぐりで、例えば、効率性が悪い歳出や支出はどこだってあるかもしれませんが、ただ、非効率な支出の規模は、ただ単に支出を減らすからといって、財政の健全化ができる規模ではないわけです。何とか議員の理解を得ようとしているんですが、堂々めぐりで決着がつきません。日本経済が脆弱だからというのも、皆さんがおっしゃるんです。震災まであったと。

〔 ケネス・カン IMFアジア太平洋局第一課長(日本担当) 〕我々は政治学が専門ではないんですが、昨日の夕方に考えていまして、いわばグランドバーゲン、大交渉ということで、既得権益にしがみついている人たちをどうすれば説得できるか。税制改革だけではなく、構造改革とか成長戦略であるとか、すべてでどう説得できるか議論していたんです。米国を見てみますと、オバマ大統領は、どうやら大交渉を債務上限の引き上げでやろうとしたんですが、うまくいかなかった。なぜかといえば、圧力、あるいは痛みがまだ十分ではなかったのではないかと思います。今回考えている改革パッケージで、いわゆるこのグランドバーゲン、大交渉を入れようとしているんです。法人部門については法人税を下げましょうと。そのかわりに、例えば、労働者を増やすように、あるいは設備投資を増やしてほしいと。消費税を引き上げることによって、部分的に社会保障費をカバーすると。それによって、高齢者についてもっと働いていただくと。あるいは、企業の社会保障負担を削減するなどして、若者の雇用を増大すると。何らかのものを組み合わせて、かつ構造改革を組み合わせるというパッケージが重要だと思います。構造改革を組み合わせることが、財政健全化の中ではなかなか入ってこないかもしれませんが、今の状況は、健全化、再建をする良い条件にあります。金利格差がとても小さくなっています。今がいいタイミングだと思うんです。この状況がずっと続くという確信がありません。今がタイミングです。リサーチをしたところ、日本国債の利回りは、グローバルなリスクファクターが響きます。理由が何であったとしても、グローバルなインフレが始まったり、あるいはアメリカの財務証券の利回りが正常化したりすると、日本は影響が出るんです。そうすると、健全化は日本にとってもっと難しくなります。今が良い機会です。今こそ、何らかの、緩やかなステップでいいですから、少しでも動きをとるのがいいタイミングです。

最後です。IMF財政局もリサーチを行っておりまして、公的債務が高い国では成長率がどうしても低いと。相関関係があるわけです。公的債務が大きいからこそ信認が下がったままであると。潜在成長率も押し下げられていると言えると思うんです。公的債務を減らすということは成長戦略の一環だ、経済のためだと言えると思うんです。あまりこういう方面の研究を日本で見ていない気がするんですが、さらに深掘りする余地があると思います。

〔 土居委員 〕今の議論の中で、吉川先生が堂々めぐりの議論ということをおっしゃいましたけれども、その堂々めぐりの議論に対して、今日のプレゼンテーションは非常に重要なサジェスチョンをいただいたと思っています。先ほどの資料の13ページにプロポーザルが載っているわけですけれども、その中で、黄色い列で示されている、消費税率を15%にするというプランですけれども、これだけの収支改善をするためには、いろいろと考えられる歳出削減策はあるんだけれども、やはりボリュームが足らないと。歳出削減をいろいろ考えても、これだけの大きな金額を捻出できるような歳出削減というのは容易に想像できない。やはり十分な収支を改善するに足るだけの金額が出てくるものは、税を上げる。消費税の増税とか所得税の課税ベースを広げるというところが1つの鍵になっていると私は理解をいたしました。そういう意味では、歳出削減もちゃんと考えるけれども、それだけでは収支改善を十分にできないという1つのメッセージだったのではないかなと思います。

それと、もう一つ、増税することは将来的には理解するけれども、すぐにはできないという話については、同じ資料の19ページにも非常に示唆深い資料があって、これを拝見していると、確かに早い消費税率の引き上げは、短期的にはGDPの成長を抑制することはあるかもしれないけれども、2020年に向けて成長率がより高くなってくるという意味では、目先のGDPの抑制は甘受せざるを得ないけれども、中長期的に見ると、むしろ経済成長率がより高くなるというゲインが得られるということは、消費税率の引き上げをおくらせたほうが、逆に2020年代に日本のGDPの伸びが小さくなってしまうということをこれは物語っていると私は理解をしたわけです。

そういう意味で言うと、確かに目先の経済成長の落ち込みというのは避けられないけれども、消費税率を早く上げたほうが、将来、GDPの伸びがより大きく期待できるということなので、むしろ2020年代に生きる国民に対して、早い消費税率の引き上げが、将来、明るい見通しをもたらすということを、これは政治の側で受け取っていただいて、消費税率の引き上げを先送りすると暗い2020年代の日本経済になってしまうというメッセージがここから考えられるんじゃないかと思います。

そこで1つ質問なんですけれども、確かに目先の経済成長率の低下ということがどうしても増税によって起こるということが、おそらく最後の政治的な合意を得る上での障害になってくるのではないかと。つまり、2013年、14年にGDPの落ち込みがあるということを、それを我慢できない国民がいると、明るい2020年代が待っているといっても、目先の経済が悪くなることで生活ができないということで反対に回るという、そういうようなことが起こり得ると思うんですけれども、ここの部分について何かいいアイデアがあれば、ぜひ聞かせていただきたいと思います。

私としては、むしろ経済成長だけの話に議論を限定するのではなくて、課税平準化、タックススムージングの話を考えると、社会厚生、ソーシャルウェルフェアの観点からすると、早期に税率を上げるということは決して悪くない。むしろウェルフェア・インプルービング、厚生を改善することにつながるんだと。経済学の用語なので、社会厚生を改善するという言葉をパラフレーズすると、生活の質を向上させるということになるんだろうと思いますけれども、消費税率を上げるということは、決してGDPを押し下げるというデメリットがあるという話だけじゃなくて、むしろそれが社会保障の給付に充てられる財源になるなど、生活の質を維持向上することに資するんだという説明が私だと考えられるんですけれども、何かほかにいいアイデアがあれば、ぜひ教えてください。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。あなたがおっしゃった論点、同感です。1つ念頭に置いておくべき点として、こういう数字というのは相対的なもので、ほかであったらどうだったかという比較なのです。成長がマイナスになるとかいうことではなくて、そうでないときに比べるとポジティブさが悪くなるというわけです。先ほど言った幾つかの点で重要な点が、むしろ隠れている。消費のタイミングというのは、短期的なベネフィットがあるということもとらえていないし、信認、あるいは信頼度という問題もとらえられていない。けれども、おっしゃるように、経済的な点は非常に明らかなわけで、社会福祉を改善する側面もあるわけです。人々が決定を遅らせず今行うということで、社会厚生的なベネフィットはあるけれども、リスクとしては、心理的に人々が行動をおくらせてしまうということがあって、なぜこういうコストが待てば大きくなってしまうかということをうまくコミュニケーションしなければならない。これをどういうふうに展開するか。2点、あるいは1点で引き上げるか、6カ月ごとに0.5%引き上げるかと、引き上げ方も考えなければならない。エコノミストは、こういうことをあまりよく考えることはしないんですが、重要な点かもしれません。

〔 吉川分科会長 〕1つの問題はこういう点だと思います。引き延ばしをすることのコストです。これは田中さんの質問にも関係しているんですけれども、もし我々が先延ばしをしたとする、待ってしまったとする。そうすれば、リスクが常に存在するということになります。リスクというのは、もちろん何が起きるかということのコスト掛けるところの確率ということになります。多くの人たちが、この最悪のシナリオを実現した場合のコストということに関しては十分に把握していないのです。それは田中さんがお聞きになった点だと思うんですけれども、確率というのはもう一つの問題で、これは技術的な問題かもしれませんが、専門的な問題かもしれません。金融市場などのチャートもここにもあるんですが、多くの政治家たち、多くの国民が目に見えた形でコストということを想像することができないわけです。つまり、最悪のシナリオが実現した場合のコストということを十分把握し切れていないということでしょう。

〔 ケネス・カン IMFアジア太平洋局第一課長(日本担当) 〕グラフについて、成長率に対する消費税を上げた場合のインパクトは、我々も悩んでいるんです。シミュレーションを行いまして、例えば、消費税を2%上げた場合に、来年2%上げると経済へのインパクトは何か、シミュレーションをしています。マイナスの影響は出ると思うんですが、0.3から0.5%のマイナスの影響だと出ています。来年は景気回復としては、成長率については2%超のいい見通しなわけですから、耐えることができるのではないかと、少しの引き上げは大丈夫ではないかと思うわけです。インパクトが0.5%であるという見通しです。

その場合のマイナスの影響を短期的に相殺する方法です。例えば、法人税率を引き下げることです。これは長期的にはプラスになると思うのです。つまり、資本の厚み、設備投資が増えると、潜在的には潜在成長率も押し上げられると思うのです。構造改革も重要な分野です。それによって消費税増のマイナスの影響を相殺できるかと思います。つまり、全体像を見ることが重要だと思います。消費税を上げた場合のインパクトを考えるときに、広く考えるということです。キーンも大事なことを言っていたのです。ベースラインは現状であると。しかし、それが変わらないという保証はないのです。今の状態が変わらないという保証はない。ヨーロッパの状況を見るとわかると思います。リスクは現実にあり、万が一、持続可能な政策ができなかった場合は特にそうです。こういうチャートを見るときに留意しなければいけないのは、今の状態が20年間変わらないということはないという点です。

〔 藤田副大臣 〕大変刺激的なプレゼンテーションをいただきまして、ありがとうございました。私は就任して間もないんですが、この数日間、ヨーロッパでの経済的な時限爆弾の問題が起こっています。さらに今日話を伺いまして、日本の現状について分析をしていただきました。私は、それらに加えて、社会的、政治的側面も考慮しないと、日本の国民を説得することができないと思います。2つか3つ、日本の国民が受け入れ可能な状況が出てきたと思います。消費税の引き上げについての説得力です。第1に、ヨーロッパを見るということです。そもそものヨーロッパでの根本原因は財政問題という点です。そして、きのう、ドイツで起こったこと(憲法裁判所による判決)が重要です。ドイツ政府は、これからは一般の国民のコンセンサスを確保する必要があるということになりました。ヨーロッパのほかの国々でも、国会、議会において国民に問わねばならないと。その上でイエスの答えを得ないと、ギリシャやそのほかの国について信認してはならないということになっています。

これを日本の国民も見ているわけでして、財政は経済成長、社会厚生にとって重要であるということがわかっていると思います。したがって、日本国民も消費税の引上げと社会保障、あるいは年金とのかかわりを以前にも増して理解すると思います。とりわけ震災が起こった後、日本国民は受け入れ姿勢が高まっていると考えます。

また、法人税率、あるいは所得税率を日本の復興のために変えるということ。一方で、消費税を引き上げること、こちらは社会保障関連のもの。日本国民は、この2つのつながりを以前にも増して理解していると思います。そのような点に加えて、今現在の世界の経済制度、この20年、30年の経済制度はこのままでは続かないと、限界が見えていると思います。アメリカやほかの国々でも限界がありまして、新しいレベルでのエコノミーが必要であると。今、従来の制度では非常に厳しい状況が起こっているという理解が深まっていると思いますが、これらすべてをまとめて考えますと、日本国民は前よりは消費税の引上げを受け入れるようになるのではないかと思われます。担当の五十嵐副大臣及び安住大臣の下で取り組む必要がある点ですが、ぜひIMFの皆様から、これらの点についてお知恵をいただければ、政治家も国民の説得がしやすくなるかと思います。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕非常に深い大変な質問をいただきました。非常に大変な質問ですが、確かに新しい時代に突入していると思います。いずれにせよ、その必要があると思います。なぜかといいますと、単純に考えても、あまりに多くの国々であまりにも深刻な財政問題があるからです。日本は先頭かもしれませんが、日本だけがこのような財政、あるいは債務の問題があるのではありません。しかし、それに適応していくということは、皆さんの考え方を変えなければいけない。特に政府の役割を考え直す必要があるのです。吉川先生がおっしゃったように、このような問題を解決する際に、非効率な歳出であるからといって、それだけでは解決はできません。そもそも根本的に、政府の役割、政府に何を期待するかという問題です。そのレベルで考えても、もちろん地政学的な変動も起こっていますが、すべてを変えなければいけない。ほんとうに深遠なる課題です。

一方で、今お話の中で、消費税と社会保障のリンク。それはそのとおりで重要です。私も同じように考えておりまして、震災とそれに関連する問題、津波などなどを考えておりまして、その中で、震災があったので、テイルリスク、すなわち、震災が発生する確率は低いかもしれないけれど起こるリスクはやっぱりあるのだと国民の考えが変わったのではないかと思っています。ただ、これも心理学といいましょうか、もうマインドの問題だと思うので、この際、カンに任せたいと思います。

〔 ケネス・カンIMFアジア太平洋局第一課長(日本担当) 〕非常に鋭い質問でした。私も回答する資格があるとは思えないですが、そもそもなぜ今回、こういうペーパーを書き始めたかといいますと、日本が多くの教訓をほかの先進国に提供できると思ったからです。今、あるいは間もなく高齢化の問題を解決しなければいけない、また、高い公的債務を減らさなければならないほかの国々が、日本から学ぶことがあると思ったんです。財政の問題だけではありません。高齢化する社会のデフレの圧力、また潜在成長率がそもそも低いと、将来所得も期待ができない、どう取り組むのか。日本が今直面しているこういう問題は、個人的に見ても、ほかの国々は近い将来、今ではなくても、近い将来、絶対直面すると思われるのです。もし日本がうまく乗り越えることができれば、エコノミストとしてストーリーを、10年後、15年後に立派な論文が書けるネタになるわけです。ただ、これを今国民に説得することはどうするかは、私も答えを持っていません。

しかし、グランドバーゲン、大交渉の話に戻りたいと思います。だれもが既得権益を持っていて、日本が持続的な健全な財政を持ちたい、みんなが期待していると思います。それをすべて合併すると、偉大なる妥協ができるのではないかと思うのです。将来世代のために偉大なる妥協の可能性があると思うんです。今のところ、世代背景を見ておりまして、健全化の負担を世代間で分けて負担ができるかどうか、また、所得層できちんと負担ができるかどうかを分析しているのです。健全化をするといっても、だれが負担をするのか、だれが負担をするべきなのか、これが重要です。こういうディスカッションをしないのでは、現実的に進められないと思います。ありがとうございました。

〔 富田委員 〕先ほどの欧州のお話で、IMFの予測よりも、ギリシャ等の国々の財政状況はよくなったと。だけども、CDSスプレッドなんかは拡大している。マーケットはそういうふうに見ている。マーケットがそう見ている理由について、財政健全化についての政治の意思をマーケットが問うているんだというご説明だったと思います。

それに照らして考えた場合に、我が国の政府は、2020年度にプライマリー黒字を実現します。2015年には、今のプライマリー赤字のGDP比を半減いたしますということを、政府は国際公約だと思っております。それを必ず実現するべく政府は頑張ると思うんですけれども、もし政治の反対でもって実現できなかった場合には、やっぱりマーケットは、先ほどのお話ですと、マーケットは政治の意思を見ているとすれば、より大きなCDSスプレッドを求められるとか、さらには金利上昇ということが起こり得ると思います。何をお聞きしたいかというと、私は、日本の金利が非常に低い理由は、大きく見ると、1つは、将来にわたる日本の成長率が非常に低い。残念だけど、政府が言っている成長戦略のように、3%なんかはちょっと難しいと思います。それが1つの理由。

もう一つは、国際公約じゃないですけれども、必ず低い消費税率を上げるだろう、国民はみんな、国民というか、マーケットは少なくとも、国際的なマーケットは、日本が消費税を上げるんだ。だから、その2つの理由でもって、CDSスプレッドも低いし国債金利も低いので落ちついている。それが万が一裏切られることになった場合に、非常に大きな悪影響があると思います。これをIMFの方はどのように見ておられるかですね。つまり、日本の金利が低い理由について、それが上がる理由についてお聞きしたいということです。

〔 ケネス・カン IMFアジア太平洋局第一課長(日本担当) 〕我々は今回の対日4条協議のペーパーにおいて日本国債市場のリスクの評価について書いています。この公的債務の増加にもかかわらず日本国債利回りが低下傾向であり続けるという謎を説明するものとして、以前にも言及しましたように、銀行システムに供給される大幅な企業の黒字、それから、非常に広い投資家ベースがあるということで、こういうことが市場に安定性をもたらしていると思います。ただ、日本の国債の利率がリスクに対して感応度が高いということは非常に驚くべきことであって、海外からのいろいろな波及効果を受けるわけです。キーンと私とで夕食時に話していたんですが、ヨーロッパの状況と今の日本の状況とは非常に類似しているということで、金融市場が懸念しているのは、ソブリンリスクと銀行、バンキングリスクの間に非常に連関が強いということです。つまり、マイナスのフィードバックがある。銀行が国債を非常に多く持っていて、そこでリスクを持っている。そして、逆もまたしかりなのです。同じ状況が日本でもあるということで、日本の銀行は国債の残高の40%を今保有しているわけで、問題はあとどのくらい買えるのだろうということです。金利のリスクがその後は主要な問題になってくると思うのですが、それまでどのくらい保有できるかということですが、今、市場がそのように懸念しているという兆候は全くありません。ただ、市場の認識が変われば、非常に急激に変化が起きると。つまり、政治的な意思がないということになれば、変化が急激にあらわれ得ると思うのです。

私が非常に印象づけられたのは、主要銀行は国債の償還期限より短くしているわけで、保険会社は国債の償還期限をむしろ長く持っているわけで、思ったよりも安全性が低いかもしれないということで、マーケットは注視していかなければならないと思います。そういうことから、信頼性の高い財政戦略を持って、財政改革に対するコミットメントを強く表明し、信認をかち取るということが重要だと思います。

〔 吉川分科会長 〕リスク、あるいは先送りをするツケ、コストを考えると、我々日本人も不良債権の問題で教訓を得ています。あの経験がありましたし、日本も90年代に金融危機を経験しました。2000年ごろまで似たようなことがあって、今はパラレルといいましょうか、同じような経験がありまして、政策立案者、銀行関係者、それ以外の関係者も、あえて先送りをしようという選択をしたわけですが、もし健全な経済成長が実現できれば、問題は自動的に消えてくれるかもしれないという期待があったんですが、残念ながらそうはならなかった。その結果は、ご存じのように、大変深刻な状態になってしまったわけです。1998年もそうでした。そういうリスクがあるので、先送りのことはしっかり認識が必要です。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕ただ、それを皆さんに説得するのは難しいと思いますが、おっしゃるとおりだと思います。

〔 土居委員 〕お願いしたいんですが、2つのことをぜひ日本の皆さんにお二方からアピールしていただければと思います。日本の多くの人たちは、日本の国家公務員、日本の公務員の給与は高く、公的支出では無駄が大きいと理解しています。9ページの数字を見ますと、社会保障以外の支出、GDPに対する非社会保障関連支出は日本は極めて低い、ここに書いてある国々と比べると低いことがわかります。この数字はあまり日本で知られていないと思います。そのため、もし機会がありましたら、ぜひこの数字をアピールしていただきたいと。この現状を日本国民に強調していただきたいというお願いです。

15ページ、おっしゃったように、付加価値税あるいは消費税、税目としてほかの税を変えるよりは、こちらが影響がいいとおっしゃいましたが、ほとんどの日本国民はそういうことを理解していません。ほかの税目と消費税をいじることの違いを一般国民は理解していないので、こういうデータを理解してもらえると意味があると思います。2つの点が、増税をする際の障壁だと思います。この2つの障壁が取り除かれれば、政治家も増税を提案しやすくなると思います。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕ありがとうございました。我々としても、どういう役に立つメッセージを出したらいいのか、おっしゃっていただきまして、ありがとうございました。国民が消費税が経済成長に最終的にはプラスになると理解していないのは、やっぱり97年の経験があるからでしょうか。やはりあのときの記憶、もしくはパーセプションですね。あの1997年の記憶が強いんでしょうか。つまり、経済にマイナスであったと。あれが皆さんの印象に強いわけですね。

〔 富田委員 〕ただ、97年に景気が悪くなったのは、消費税の引き上げが原因では決してなくて、不良債権の処理がまだ行なわれていなかったということと、翌年にはアジアの通貨危機があったこと。だから、消費税引上げが景気後退をもたらしたというのは全く誤解によるものだということも、客観的な海外の目からもご指摘いただければと思います。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕おっしゃるとおりだと思います。我々の見解ではない。

〔 吉川分科会長 〕内閣府が消費税に関して報告をまとめております。そのコピーをお持ちだと思うんですが。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕97年の問題ですか。別のものですか。

〔 吉川分科会長 〕内閣府が報告を作成しました。消費税に関するものです。私、コピーをここに持っていて、会議後に差し上げることもできると思います。どちらにせよ、半公的な報告で、消費税率に関するものです。その報告の中に最近の調査が言及されていて、消費税が消費に関して、97年、マイナスの影響があったということに触れたものでありまして、推計がなされています。推計としては、マイナスの影響としては0.3兆円、これは非常に小さい。ある誤差を考えるとするならば、富田さんがおっしゃったように、消費税は主要な理由ではないと、日本の経済がリセッションに陥った主要な理由ではないということが言えると思います。

〔 マイケル・キーンIMF財政局シニア・アドバイザー 〕明白に私のほうから申し上げるべきでしょう。我々、同感です。それに反することを言っているわけではないわけで、我々としては、この神話を論破するためにできるだけのことをしたいと思います。最近の報告ですか、それは。

〔 吉川分科会長 〕後で議論することもできましょうか。伺いたいと思うんですが、IMFは、ディスカッションペーパーあるいは報告を、この付加価値税の経験に関してお持ちですか。例えば、ドイツとか。2007年のドイツのもの。2007年、ドイツは付加価値税を引き上げましたよね。私どもの理解では、その年にはドイツの経済への税の影響というのは実質的に大きなものではなかったと。マイナスの影響、大きなものがなかったということだと思います。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕そうです。正しいです。ワーキングペーパーをドイツの経験に関して持っておりまして、そういう結論を引いております。自動車とかそういう購買が前倒しになったということを示しております。

〔 吉川分科会長 〕私のほうにも見せていただければ、リポートの交換をしたいと思います。

〔 マイケル・キーン IMF財政局シニア・アドバイザー 〕時間があればしたいこととしては、さまざまな経験で大きな付加価値税の改革があった経験に関する報告書をいろいろまとめたいと思います。実際に起きたことに関して誤解が多いようですので。

〔 ケネス・カン IMFアジア太平洋局第一課長(日本担当) 〕スタッフ・ディスカッション・ノートにおいて、ご存じかもしれませんが、デンマーク、スウェーデン、イタリアの経験を引用しています。段階的に付加価値税を、トータルでは10%以上上げたんですが、結局、大きな減速にはならなかったんです。どちらかといえば、実質成長率としては2.5%以上を、その期間、引き上げの間でもキープができたんです、悪化どころか。では、資料を後ほどお渡ししたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕ほとんど時間になりましたが、ほかに何かございませんか。よろしいですか。

ないようでしたらば、マイケル、ケネス、すばらしいディスカッションをありがとうございました。

これで本日の質疑は終了とさせていただきます。

なお、8月23日に、平成24年度予算編成を行うに当たり必要となる準備作業として、暫定的・機械的な概算要求に係る作業手順について各省に対して発出しておりますので、ご参考までに配付しております。

以上で本日の議題は終了いたしました。

次回の会合につきましては、改めて事務局より連絡の上、調整させていただきます。ご多用中、どうもありがとうございました。

午後4時28分閉会
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