現在位置 : トップページ > 財務省について > 審議会・研究会等 > 財政制度等審議会 > 財政制度等審議会財政制度分科会 > 議事要旨等 > 議事要旨 > 「財政について聴く会」(平成24年11月12日開催)議事要旨

「財政について聴く会」(平成24年11月12日開催)議事要旨

「財政について聴く会」
(財政制度等審議会 財政制度分科会)
〔議事要旨〕

 

1.日 時 平成24年11月12日(月)9:00〜12:30

2.場 所 財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

3.出席者
(委員)
  秋山咲恵、井伊雅子、板垣信幸、岡本圀衞、葛西敬之、倉重篤郎、小林毅、角和夫、竹中ナミ、田近栄治、田中弥生、土居丈朗、富田俊基、鳥原光憲、早川準一、渡辺捷昭      (敬称略)

(財務省)
  柚木大臣政務官、中原主計局次長、岡本主計局次長、可部主計局総務課長 他

4.議 題
○ 有識者ヒアリング
・「低成長に対応した財政・社会保障制度の構築」
−河野龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長 チーフエコノミスト
・「世界経済情勢とわが国へのインプリケーション」
−武田洋子 三菱総合研究所 政策・経済研究センター主席研究員
○ グリーン(エネルギー・環境)及び中小企業関係予算
○ 総括的議論

5.議事内容
○ 11月12日の分科会では、事務局からの説明に加え、有識者の方々からのヒアリング及び総括的議論が行われた。

○ まず、BNPパリバ証券の河野本部長から、「低成長に対応した財政・社会保障制度の構築」について、続いて、事務局から、「グリーン(エネルギー・環境)及び中小企業関係予算」について、加えて三菱総合研究所の武田主席研究員から「世界経済情勢とわが国へのインプリケーション」についての説明を伺った。

○ 最後に、これまでの議論を振り返っての総括的議論を行った。

○ 事務局説明や有識者ヒアリングに対する各委員の質疑や意見は次のとおり。
【河野龍太郎氏の発表に関して】
・日本においては、成長率やインフレ率の議論はされるが、金利の議論はあまりなされない。今後金利は上がると思うが、どうお考えか。

・(河野本部長)財政健全化のためにインフレ率や成長率の上昇が必要との議論があるが、これらは必要であるがそれだけでは財政健全化は難しいと考えている。なぜなら、インフレ率や成長率が上がれば日本の社会保障制度では賃金スライドや物価スライドなどにより歳出が増えるほか、金利も上昇し、利払費も増えると考えているからである。仮に、インフレ率と金利上昇率が同じとしても、公的債務が非常に大きいので、税収増よりも利払費の増加の方が大きくなるのではないか。

 さらに、現状は家計消費も企業投資も下がっている中、マネーが金融部門に向かっているため、国債が安定的に消化されている。今後日本の潜在成長率がマイナスだと市場で認識されると、税収も下がり債務も償還できないということになり、金利が大幅に上昇し、危機を迎える可能性もあると考える。

・成長率と金利では、長期的には金利の方が2%程度高くなるのが通例である。経済成長すれば、金利が高くなり、その分、利払費が生じる。したがって、経済成長の取組は促されてしかるべきではあるものの、それだけでは財政は回復しない。金利の方が2%高い状況であったとしても財政が悪化しないような財政改革等の取組を進めていくことが重要。

・日本の成長力については悲観的であるように感じたが、技術革新が進むことによる成長など、将来の成長にかかる見解如何。

・金融政策や財政政策の必要性を唱える論者が多くいるが、このような見解への所感如何。

・(河野本部長)上げ潮派が前提としている「名目成長率>名目金利」については、現状そのような状況下にないし、仮にこれが達成されるとすれば一種のバブルのような状況。現在、異常な低金利にあるから、助かっている面があるのであり、金利が上がってしまえば、上記の達成はおろか、財政悪化が進んでしまうものと認識。

 成長戦略については、歴代の政権が行ってきたが、目立った成果は残せていない。技術革新が達成されるのが10年後なのか、15年後なのか、時期は別として、市場はそれまで待ってくれない。あくまで社会保障への切り込み等財政健全化と同時並行で行うべきものであり、結果的に想定したよりも高い成長が達成されれば、財政健全化がより進むという考え方を基本とすべき。

 社会保障の持続性への不安から国内消費が低迷しているのであれば、成長戦略の一環としても社会保障の構造改革を行ってもよいと考えている。

 女性の社会進出を推進すべき。これが進めば、労働生産性が上がり、税収も増える。

 金融政策や財政政策は、将来の需要・供給の先取りに過ぎない。むしろ「金融政策や財政政策を行うべき」ということが、「本当は行うべき構造改革を行わないこと」の言い訳になっているようにも聞こえてしまう。あくまで行うべきは抜本的な構造改革。

【グリーン(エネルギー・環境)及び中小企業関係予算】

・グリーンは主計官指摘の方向に賛成。昨秋の刷新会議でも同じようなことを言っており、今後はこれを徹底していただきたい。

・また、補助金だけでなく、他の政策手段、規制の見直しもある。個別要求については、要求官庁と査定官庁のやりとりだけではなく、専門家の意見も反映すべき。

・FITは、今後を見据えて厳格に運用すべき。

・中小企業対策については、保証制度がこれほど巨額の予算を使っていることを国民は知らないのではないか。企業と国の責任分担を厳しく考えるべき。

・エネルギーの安定供給、経済効率、環境、安全を考慮し、既存エネルギーと再生可能エネルギーとのベストミックスを図ることが必要。

・事務局の指摘に賛成。

・信用保証制度については、金融機関の目利き能力を発揮させることも必要であるが、セーフティネットが企業倒産を防いでいるというのも事実。

・財務省の提案については明確に根拠が示されていることもあり、賛成したい。

・4倍要求の結果、不適切な要求が多く入ってきているのではないか。

・グリーンにおいて政策手段としての規制が活用されておらず、規制を強化すべき。

・過去において、マスキー法が技術革新の大きな原動力となったことを忘れてはいけない。

・中小企業予算は、当初予算では2000億円程度だが、補正もあり、累計で10兆円。保証制度は、企業の4割が適用を受けているが、収益はよくなっておらず、巨費投入に関わらず機能していないとの指摘もある。

・また金融機関では、信用保証協会の保証がついていれば審査しなくてよいといったこともあると聞き、企業の責任の観点から問題。責任共有制度といったものを早期に導入すべき。

・中小企業基本法は、企業の救済を目的とするのではなく、企業を伸ばすことが基本であったはず。円滑化法等、今後の中小企業施策については、自助を基本としないと、いびつな構造を生み出してしまうのではないか。

・グリーンについて縦割行政の弊害を撤廃し、予算の重複を排除すべき。

・中小企業支援制度について10兆円もの予算が使用されている。大義名分は多くの雇用を支えるためとも理解しているが、10兆円もあれば雇用のセーフティネットとしての産業構造の転換を図るための施策が考えられたのではないか。

・事業のセーフティネットという視点も重要。たとえ会社がなくなっても、人材や技術が健全に引き継がれれば、雇用対策として機能するのではないか。

・エネルギー分野につき、国の政策が定まっていない中での予算編成は大変難しいが、重要なのは規制強化・緩和。たとえば、新規の建築物には再生エネルギー関連機器の設置義務を課しつつ、設置がより容易になるように不要な規制は廃止する必要がある。

・原子力関連予算については、本審議会でその方向性についてまで議論すべきテーマではない。新たに原発を作るための予算であれば反対だが、新たに技術開発をするための予算であれば賛成。いずれにせよ、国の基本方針に従って、進めていくべき課題。

・主計官の提案に全面的に賛成。

・新しいことに挑戦するためには、足元のゆとりがあって初めて挑戦できる。エネルギーについて、今ある設備・資源を用いて供給し、それでもゆとりがあって初めて新しいものを生み出す挑戦ができる。今の戦略には足元を固めるという観点はなく、地に足がついていない。予算の査定に当たっては、実現可能性をきちんとみるべき。基本的には、補助はゼロにすべき。

・国民は、今直面している問題について知らないのではないか。(原子力がなくなると何が困るのか、原子力のリスクは、といったことをきちんと伝えた上で、その上で原子力をどうするかということを議論すべき。)

・エネルギー政策については、省庁を横断した中長期的な視座でのポリシーミックスが是非とも必要であり、また、それを国民に分かりやすく説明することが必要。

・中小企業対策の検討については、六重苦の中で、産業を空洞化させないことに寄与しているという面にも考慮すべき。

・信用保証については、改革が必要であるが信用保証制度の持続可能性保持のためといったよりポジティブな表現で改善を進めていくべき。

・問題は、協会が黒字になる中、公庫は赤字になっているといったアンバランスな関係であり、例えば協会が保険料をもっと負担するなど、地方自治体も責任を分担して、適切な責任の負担方法を導き出すべき。

・(中小企業対策について)できない、弱いということを主張すれば助けてもらえる制度がここにもある。こんな制度があるという問題を、しっかり国民に伝えるべき。

・原子力のバックエンド対策は非常に重要であり、しっかり取り組んでいくべき。

・(神田主計官)今週末に、グリーン分野に係る新仕分けを行う予定。予算の必要性については委員のご指摘を踏まえしっかりと精査してまいりたい。

 グリーンの横串については、初めて8府省のグリーン要求を横串でみる主計官をおいたところであり、私としても縦割りの弊害がなくなるよう、しっかりと努めてまいりたい。

 中小企業の資金繰り支援については、@市場経済のダイナミズムの再生、金融機関の目利き機能の回復、A過大な納税者負担の縮減、B制度の持続可能性といった観点から改革を検討してまいりたい。

・中小企業用予算の当初予算は3000億円だが、その後の補正予算で予算が増額されている。先日の医療費の70歳-74歳の自己負担割合の措置も補正で行われているが、このような予算のつけ方は国民にとって判りにくい。こうした予算のつけ方に関しての問題提起もしておきたい。

【武田洋子氏の発表に関して】

・成長戦略が必要ということはこれまでも言われてきたところ、今までの成長戦略にはどういった課題があったのか。

・(武田主席研究員)民間の力が最大限発揮できるような環境作りが成長戦略。これまで、環境の変化に資本・労働の変化が追い付いていない。新規産業の抑制につながる規制はなくし、労働市場が環境の変化にスムーズに対応できるようにし、通商政策や高い法人税を見直すなど、民間をサポートする観点からの成長戦略を作るべき。

・ものづくり産業が失われてしまうと、日本の基盤となる産業がなくなってしまうのではないか。

・日本は、安心・安全社会の構築に向けた成長戦略を策定すべきではないか。

・(武田主席研究員)震災によるサプライチェーンの断絶の影響が世界中に波及するなど、日本にはオンリーワンの企業が多数存在している。これらの企業は日本の成長の強みとなるのではないか。そのためには、法人税の引き下げ等が有効なのではないか。

・安心・安全社会の実現に向け、如何に資本を配分していくかという視点が重要。日本の防災減災についての知見はアジアに輸出できるもの。また、高齢化対策も将来的にはアジアに輸出できる産業となるのではないか。

・日本財政の信認後退のきっかけとして、たとえば、急激な貿易赤字の拡大や政府債務残高の上昇が挙げられているところ、具体的に日本財政への信認後退が生じるのは、いつだと思うか。

・(武田主席研究員)日本財政への信認はいつ失われてもおかしくない、その可能性が高まりつつある。現に貯蓄率のマイナス転化への動きは見られているし、他の要因も高まりつつある、という状況。

 消費税率引上げを先送りしない、無駄な歳出をしないことが大事。

 成長戦略については、選択と集中の観点から絞ることも大事であるが、労働力人口が年▲0.6%と減少している一方、生産性の伸びが0.9%で若干の成長である中、必要なものに当てて行かないと、0.9%の生産性の伸びも維持できないと思われる。

・信認が最後のアンカーということはその通りであり、財審としてもその役割をきちんと果たしていかないといけない。

(以 上)

財務省の政策
予算・決算
税制
関税制度
国債
財政投融資

国庫

通貨

国有財産

たばこ塩


国際政策
政策金融・金融危機管理
財務総合政策研究所