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財政制度分科会(平成29年5月10日開催)記者会見

平成29年5月10日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 

〔田近分科会長代理〕 本日、13時半から、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。本日は、文教、地方財政、社会資本整備について、事務局から配布資料について説明があった後、質疑を行いました。

 各委員からの質疑や意見は次の通りです。通例通り、委員の個人名は明かさないで紹介させていただきます。文教、地方財政、社会資本整備の各分野につき主計官が説明した後、審議を行ったわけですけれども、どのような意見が出てきたのかということをご紹介させていただきます。

 まず、高等教育は、便益が個人に対価するという側面があることを考えると、給付型奨学金は個人へのばらまきになる懸念があるという意見が最初に出ました。そしてまた、今、申し上げた点と関連しますけれども、教育は個人の利益になるという面が強いので、教育国債といった借金で賄う方法については反対であるという意見がありました。以上が、一人目の委員の方のご意見です。

 その他、一般的なお話でしたが、大学教育の付加価値をどのように測定するかが重要だという意見がありました。

 それから、教育無償化を高等教育へ広げようという議論については、教育のリターンにかかわる不明瞭さからして、更なる財政支出拡大には反対であるということで、教育の収益というものをどのように考えるのかということをご指摘なさっていました。

 それから、高等教育の無償化が世代間格差の解消に貢献するという議論もいかがなものかと。ご意見なので、紹介していきます。そして、世代間格差に関しては基本的には税制によって対応すべき問題ではないか。したがって、教育国債発行はポイントが外れており、問題外だ。現世代による負担から逃げるべきではないという意見が出ました。

 続いて、なぜ公的資金を投入するのかというと、それはやはり資金を投入した結果のアウトカムが外部的な効果があるからではないか。そうすると、そうした外部性の観点から見ると義務教育は良いと。子供がしっかり教育されれば、それは本人だけではなくて社会的な意味もあります。しかし、大学教育には便益の外部性が少ない。あるいは、資本市場の不完全性であるとか、様々な意味では正当化されるけれども、その場合、給付型奨学金ではなくて、お金を貸す貸与型奨学金で対応することが適切だ。それから、教育支出に対して、税などの特定の財源で賄うのは、予算編成の硬直性を招く可能性があるため避けるべきであり、既存の一般歳出をやり繰りして財源を捻出すべきだという議論でした。

 それから、今、申し上げたように、教育の費用をどう社会で負担していくのかという議論が多くの委員のご指摘でしたが、この方は、教育の結果、社会的に有為な人材になれば、その人たちは納税も行うので、社会にその利益が裨益される面もあり、したがって、建設的な借金という面もあるのではないか。つまり、教育を受ければ有為な人材になって、それが優良納税者になるので、社会的な価値もあるのではないか。その場合の借金というものは建設的な借金であり、それがなぜ赤字国債と一緒なのかという議論もありました。

 ただ、流れとしては、今の私の紹介の通り、やはり教育というものに対する便益が誰に帰属するのか、そして国債で発行したときには、その負担が将来世代に転嫁されていく、そのようなご指摘が全体としては多くありました。

 また、その他の方は、建設国債的に教育に対して国債の枠を広げるのは反対であるし、そもそも国債で対応することも反対だというご意見を述べられていました。そして、高等教育よりも優先すべきは幼児教育だと、そのようなお考えです。

 あと、18歳人口が減少していく中で大学は過剰ではないのか。したがって、スクラップ・アンド・ビルドをしていくべきだけれども、大学はそれがなかなか難しい。学長のリーダーシップを強め、スクラップ・アンド・ビルドを進めていくべきだという話がありました。この話も、何人かの方がご指摘されていました。

 それから、子供の数は減っているので、公的な支援というものは、パーヘッドと言いますか、子供の数当たりでは増えているはずで、そこは重要だ。ですから、総額だけではなくて、パーヘッドで議論すべきだというご意見がありました。

 それから、高等教育に対して、日本の大学の国際的な地位を上げていく、質を上げていくためには、世界と伍する大学には厚めの配分があっても良いのではないかという議論もありました。

 その他、大学改革は、今、たまたま高等教育の無償化の議論があるので俎上にのっているようだけれども、そうではなく、大学改革というものは普段から十分にやっていかなければならない問題で、高等教育無償化の話とは常に別に、やっていく課題であると。

 それから、教育国債の議論は、すみません、事務方から紹介をお願いいたします。

〔片山主査〕 ある委員の方がおっしゃっていましたのは、今の教育国債の話は2020年度のプライマリーバランスの黒字化目標との関係で考えてもおかしいのではないかと。高等教育の財源調達としては、貸与型奨学金、それから給付型奨学金もあるので、個人にとって急用性という意味での財源調達の手段はそろっているので、教育国債という形で財源を用意する必要はないと、そのようなご意見です。

〔田近分科会長代理〕 ですから、財政的には2020年度のプライマリーバランスの黒字化をどう達成していくかということが軸であって、もちろん学生に対する支援は必要ですが、それは既に貸与型の有利子の奨学金もあるし、更に給付型奨学金もありますと。したがって、問題の本質と言いますか、課題をしっかり考えてくださいというご意見でした。

 それから、教育国債には反対、次世代に負担を先送りするものであるというご意見がございました。

 また、先ほどもありましたけれども、大学評価について、大学の教育の成果をインディケータで見て、配分に反映するということは重要だという議論もなされていました。

 それから、教育について、スクラップ・アンド・ビルドの延長ですけれども、委員の方は「グローバルな大学」とおっしゃっていましたけれども、そうした大学に公費を厚く配分すべきだという議論をされていました。

 また、スクラップ・アンド・ビルドや規制緩和による民間資金の活用で、国際的な競争力のある大学をつくることが必要と、同じ議論がまたなされていました。

 そして、高等教育の無償化について、大学に外部性があるとは思えず反対だが、大学院以上については外部性があるため、リソース配分を考える余地はあるのではないかというご意見がありました。

 そして、別の委員の方の御意見で、いろいろと具体的な例もおっしゃったのですけれども、それは私のまとめにそぐわないので、そこの部分は割愛するとして、要するに無料で授業をすると学生は予習も復習もしないのではないか。ですから、奨学金も無料にすると同じことが起きる、やはり給付に対する自己負担は大切であるということをおっしゃっていました。

 続いて、「地方財政」に移りました。

 地方財政についてもまた活発な議論がなされました。議題としては、地方自治体に基金があり、それが増えているという事実の指摘があったわけですけれども、それに対して最初の方は、日本の市町村は非常に小さなところが多いので、結局、補助金や交付金を使い切れずに、結果として基金がたまっている。このような面から、予算を効率的に使うためには、市町村の合併等による地方自治体の広域化が必要ではないかという議論でした。

 別の委員の方は、基金をよく見ると、ある意味で両極化しているのではないか。財政力が低い自治体で基金がたまっているところもあれば、財政力が非常に大きな自治体も基金が増えている。そうすると、基金の積み増しの問題に関しても、やはり格差問題が背後にあるのではないか、その是正が必要ではないかというご意見がありました。

 それから、地方基金残高については、残高の余裕があるならば、借換債の縮小や、プライマリーバランスの改善に寄与するように地方財政計画への反映を工夫すべきだ。つまり、地方基金残高があるならば、それは適切に借金の返済等に用いたらどうですかという意見でした。

 また、基金の話ですけれども、このような財政調整基金は、考え方としては、ある年は増えたり、減ったりと市町村の歳入や歳出に変動があり、そのような財政の歳入・歳出の変動に対する平準化のために基金が必要とされているわけです。そうであるとすれば、経年的に見ればバランスアウトするはずだけれども、傾向的に増えているのは問題ではないか。したがって、全体的にPDCAサイクルを適切に回して、地方の予算をより的確に使うようにしたらどうだ、という意見がありました。

 それから、もうここまで来ると今までの議論も踏まえてですけれども、興味深い議論をしています。今、申し上げたような基金の話、他は様々な歳出の枠のことについても議論してきました。また、資料の35ページをご覧になると分かりますが、総務費や、様々なものを1人当たりで見ると地方間で格差があります。本来、1人当たりにかかる地方行政費用は、平準化、それほど格差がないと思われるものもある。したがって、全体を通じて地方財政の見える化を進めるべきだ。この「見える化」というのがキーワードでして、議論に何度も出てきました。そして、社会保障では地域差の指標がつくられていますが、地方財政についても地域差が見えるようにしてほしいということをおっしゃっていました。

 それから、見える化をして、住民がコストと効果を理解できるようにすべきだというご意見がありました。具体的にご指摘なさっていたのは、中学生ぐらいまで市町村では適用される医療の無償化について、その財源がどこから来ているのかということを、しっかりと住民に意識を高めてもらうべきだということを言っていました。

 また、見える化と関係しますけれども、トップランナー方式、つまり、パフォーマンスの良い自治体をフォローしてほしいということで、このトップランナー方式を一層拡大するなど、合理化に向けた取組を進めていくべきとのことです。

 最後は、「社会資本整備」です。

 まず、これから建設労働者等々の人手不足を考えると、i-Construction推進のための職業教育の推進が重要だというご意見が出ました。

 それから、建設業というのは決して後ろ向きな産業ではなくて、地方ではそれが先端的な産業です。建設業は地方の基幹産業であり、i-Construction等により生産性を向上し、もって賃金上昇につなげることができれば成長に貢献するのだということで、建設業を通じた地方の生産性向上、賃金上昇を訴えていました。

 次は、ややテクニカルな面もありますけれども、空港のコンセッションで収益連動負担金が導入されました。コンセッションの事業者の収益が上がると、それに従って負担金も多少増えていく。そのような考え方は鉄道についても同じで、私は東京の人間なのでよく分からないですけれども、北大阪急行というのがあります。この北大阪急行でも、コンセッション方式を行っている。こうした観点から、整備新幹線の貸付料についても収益連動型のエレメントを入れたらどうかという意見がありました。

 なお、次回は5月17日を予定しています。議題はこれから詰めていきますけれども、その議題等については広報室から発表します。

 以上です。

〔質問〕 それでは、1つお伺いします。教育財源について、かなり活発な議論が出ていたように思いますけれども、教育国債については、賛否両論で、でも相対的に言うと否定するような意見のほうが多かったということでしょうか。

〔田近分科会長代理〕 初めての議論であり、主計官からの説明のボリューム的に言えば、そこが必ずしもメインだったわけではなくて、高等教育、私立大学を中心にして、それをどのように再編していくのかというような議論から始まり、そこから今話題の高等教育の無償化の話になりました。私自身は分科会長代理なので、全体の雰囲気を正確に皆さんにお伝えしようとしているわけですけれども、ある委員の方は、教育によりその人の能力等が上がると社会的な価値があるのではないかという議論に対して、それは高等教育だろうと。それに対しては、先ほど申し上げたように、基本的には利益が個人に還元するものであるし、その費用を国債で負担するとすれば、将来世代に負わせてしまうという懸念がある。多くの人は、別に高等教育に対する公的支援が必要ないなどと言っているわけではなくて、授業料等の負担が重いという世帯、学生に対しては奨学金が与えられるべきだというご意見でした。

〔質問〕 教育無償化に関して、建設的な借金であり、赤字国債と同じではないとおっしゃった方は、国債を発行して財源を捻出せよというようなことをおっしゃったということですか。

〔田近分科会長代理〕 そのような意味ではなくて、本日、初めて議論したこの問題をどのように考えたら良いのかということで、最初から私が紹介したような議論が出てきて、それに対して、お一人の委員の方は、それはそうかもしれないけれども、教育の利益が、結局、社会に裨益する面もありますと。ですから、その面も考えると赤字国債とは違う面もありますというご指摘がございました。そこからはご本人次第ですけれども、だから教育国債を発行すべきだとか、そのような議論ではなくて、全体的な雰囲気としては、この問題をどう考えるのかという感じでした。

〔片山主査〕 資料のほうに、「赤字国債と同じである」という文言があったので、そこについてより考え方を教えてほしいという、どちらかというと質問でした。

〔質問〕 主計官の説明の中でタックスミックスという言葉もあったかと思うのですけれども、具体的に、例えば消費税を10%以上に上げていくであるとか、あるいは、何か他の税金であるとか、そのような話はないですか。

〔田近分科会長代理〕 そこまでは、この30分の議論ではしていません。

〔質問〕 今、ご紹介いただいた意見ですと、文教と地方財政と社会資本整備で、時間的には4対2対1程度の配分であったような印象を受けたのですが、大体そのような議論だったのですか。

〔田近分科会長代理〕 やはり教育に関する議論が非常に盛り上がって、委員にはお忙しい方が多いので、2時間で終わらせるにはどうするかということばかり考えていたのですけれども、教育に非常にご関心があったというのは感じます。

〔質問〕 分かりました。ありがとうございます。

〔質問〕 教育の関係で、現在、自民党のほうで「こども保険」というものも検討されているようですけれども、それについて何か意見はありましたでしょうか。

〔田近分科会長代理〕 こども保険の議論は、今回の主計官の説明に基本は入っていませんでした。議題が教育ということで、むしろこども保険というと社会保障などもかかわります。教育ということで議論したので、本日はこども保険については議論していないと思います。

〔片山主査〕 こども保険そのものについてのご意見はございませんでした。ただ、財源をいろいろ考えるならば、保険料のような考え方もあるかもしれないけれども、まずは税制でしっかりと真正面から財源を確保するのがあるべき姿なのではないかというような趣旨のご意見は、1つあったと思います。

〔質問〕 先ほどと同じところですけれども、高等教育が個人の利益なのか、それとも最終的には社会の利益へとつながるのか、そこで何かしら議論があったということでよろしいでしょうか。

〔田近分科会長代理〕 議論と言いますか、私もその一人ですけども、委員には経済学者も大勢いますから、経済学的に、公的な支援を個人にする時には、それを合理化する背景として、利益が社会的に対価していくことがあります。義務教育はよく分かりますが、大学教育はそのような比較で言えば、ないとは言いませんけれども、利益の大宗は個人に還元するという議論があって、そこの部分に関して、そうではないなどという議論はあったわけではないです。ただ、先ほど申し上げたように、やはり高等教育とはいえ、社会的な効果もあるのではないかというご意見もありました。どちらにするのだというような正確な議論ではないので、様々な意見があったということです。

〔質問〕 安倍総理が、憲法改正で高等教育の無償化を優先項目でやっていくべきだと言っていたのですけれども、この点について、何か触れられた委員はおられましたか。

〔田近分科会長代理〕 いません。

〔質問〕 分かりました。

 もう一つ、細かい話ですけれども、大学の付加価値を測定する上で、何らかの測定方法を考えるべきだというご意見があって、何か具体的にこうすべきだというものはございましたか。

〔田近分科会長代理〕 スクラップ・アンド・ビルドするためには大学を評価する価値基準と言いますか、ヤードスティックが必要ですということで、あるいは、それは付加価値を高めると言ってもいいのですけれども、それについてこれが指標としての考えです、というところまでは議論の中でやれていないです。

〔質問〕 先ほどおっしゃった内容もあるかもしれないですけれども、高等教育の無償化に関して、具体的にどのように財源を捻出するかという具体的なアイデア等々の話はなかったということですか。

〔田近分科会長代理〕 今、申し上げた雰囲気でやっていますから、具体化するときの財源はどうかというような議論は出ていなかったと思います。

〔片山主査〕 そもそも、無償化するべきなのかという議論がかなり分かれていましたので、まずそこまでいっていないということと、教育財源という観点での税制という声は全体としてありましたけれども、そもそも無償化をやる必要があるのかというところで、もう議論は終わっている感じがします。

〔質問〕 その流れだと思うのですけれども、現在、給付型奨学金など、既にそのような支援をしている中で、お話を伺っている限りでは、そもそも高等教育の無償化を進めなくていいと言いますか、今のままでいいのではないかという流れのほうが強いのかなと感じました。

〔田近分科会長代理〕 本日、ディスカッションをして、最終的に意見をまとめていくわけですけれども、そのプロセスで様々な意見を伺いました。公的な支援はどこで行うのかということについて、先ほどから述べているように、大学に入りたくても入れない、困難がある人に対する支援を維持、充実していくべきだということで、雰囲気としては、そこから更に一歩進んで無償化だという議論はなかったと思います。

〔質問〕 大学の付加価値のところで、奨学金延納率の話が出たと思います。この発言者は、奨学金延納率を指標とすることも一案としてはあり得るという前向きな評価だったのですか。

〔田近分科会長代理〕 良いご指摘で、それをしっかりと言っておけば良かったです。大学の付加価値と言いますか、パフォーマンスとして、本日、事務方のほうで用意したものは奨学金の延滞率と充足率でした。私は経済学者として、あの資料から文字通り読み取らないほうが良いと受けましたけれども、分かりやすく言うと、定員割れをしている大学は奨学金も返していないではないかと。そのような議論をした際に、必ずしも大学の付加価値、パフォーマンスをはかる上では、指標は延滞率だけではないという流れでした。

〔質問〕 ありがとうございました。

 

(以上)

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