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財政制度分科会(平成29年2月8日開催)記者会見

平成29年2月8日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 

〔吉川分科会長〕 それでは、私のほうから会議の概要をご報告します。

 本日、15時より、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。本日は、平成29年度予算等について、お手元にも配布されている資料に基づいて事務局から説明していただき、その後、質疑を行いました。

 私のほうから、委員の皆様から出たご意見を、お名前を伏せた上で、ご紹介したいと思います。

 まず初めに、1人の委員の方から、財政の議論を特に若い人たちに伝えていくためには、マクロの数字だけでは十分でないとの指摘がありました。やはり身近と言いますか、個人ベースでよく分かるように、どの程度の給付になり、どの程度の税金、保険料になるのか、伝えていかなければならないと。このようなご指摘があって、財審でもそういったことを将来、少し工夫してみたらどうだろうかと。国の財政のマクロの数字を示すだけではなくて、個人ベースで、給付、保険料、税、その他いくらくらいということを伝えていく必要があると。

 次に、もう1人、別の委員の方は、今後の財政健全化については成長による税収の自然増に頼るだけではだめだと。歳出をどう絞るか、財審でこの点についてしっかり議論していかなければいけないというご意見でした。これは、皆さんご存じのとおり財審の基本的な考えで、成長も大事ですが、成長だけでは財政再建はできないので、歳出の効率化をやっていかなければいけないということです。

 もう1人、別の委員の方は、お手元の参考資料にもある、内閣府の中長期試算を踏まえてのご発言でした。ちなみに話が戻ってしまって恐縮ですが、一つ前に紹介した、成長だけに頼るのではだめで、歳出の効率化も必要とおっしゃった方も、内閣府の中長期試算などを踏まえてのご発言でした。

 戻りますが、この方は、最近、債務残高についていつかはインフレで帳消しにできるというような楽観的な見方があると指摘されました。しかし、それは誤りであり、我々は債務残高対GDP比を安定的にしっかりと下げていかなければならないと。その意味で、正面から財政健全化に向けた努力をしなければならないというご発言でした。

 それから、同じ委員の方、もう一つご発言があって、もう皆さんはよくご存じのとおり、一番伸びの大きい社会保障関係費について、各論では様々な効率化の努力がなされていて、それはそれで必要なわけですが、やはりそれだけではどこか限界があるだろうから、社会保障制度全体についての抜本的な見直しの議論が必要だと、このようなご意見でした。

 次に、またもう一人、別の委員の方のご意見です。この方は、3つご発言になりました。まず1点目、ご自身の考えとして、2012年の社会保障と税の一体改革をきちんと進めていくべきだということ。

 2点目として、個人消費の下支えの観点からも、子育て支援、教育支援などを通じた全世代型の社会保障や所得再分配機能の充実が必要だと。特に、若い世代が将来の展望を持てるような制度が必要であり、今回の予算には、一定程度そうした視点は反映されているけれども、更にこうした取組を進めていく必要があるというご意見でした。

 3点目として、一律的な歳出の削減というのは自縄自縛の危険をはらむので、本当の意味での効率化とは何かを考えていく必要があるとご発言されました。

 次に、またもう一人、別の委員の方のご意見です。この方は、中長期試算も踏まえて、2020年度のプライマリーバランス黒字化を確実に実現するために何をするべきなのか、財審としても検討する必要があると。また、それに向けて、2018年度以降どうするかも財審で議論するべきだと、こうしたご意見を述べられました。

 次に、また別の委員の方のご意見です。この方は、地方の歳出について、総額が決まれば、あとは地方が自由に使って良いというわけではなく、やはり歳出の中身を精査すべきであって、これが来年度の課題になると、こうしたご意見を述べられました。

 次に、また別の委員の方のご意見ですが、新しい中長期試算では、2020年度PB黒字化目標達成に向けて厳しさが増したということであるから、2018年度の中間目標の時には、昨年夏の時点より厳しいアクションが必要となると、こう考えるのがロジカルではないかというご発言がありました。

 次に、また別の委員の方のご発言です。この方は、2つご意見を述べられました。1点目は、今年は診療報酬と介護報酬の同時改定を議論する重要な年ですから、給付と負担のバランスをどのようにメリハリをつけるか、しっかりとした議論をしていく必要があると、こうしたご意見です。

 2点目は、2%のインフレ目標を達成しなければ消費税率を引き上げてはいけないと、「物価水準の財政理論」に書かれているような一部報道があるが、この理論にはそのようなことが書かれているわけではないと、このようなご意見を述べられました。

 次に、またもう一人、別の委員の方のご意見です。この委員の方も、3点ほどご意見を述べられました。1点目、財審では財政・予算について議論しているわけでありますけれども、当初予算だけではなくて、補正を含めた決算ベースでの議論もしっかりやるべきだという意見を述べられました。

 2点目として、ポピュリズムには警戒しなくてはならないと。この場合のポピュリズムというのは、財政健全化の旗が若干揺らいでいるかのような動きであるけれども、それは警戒しなくてはいけないということです。

 それから、3点目に、財審としては歳出をしっかり効率化していくという立場であるわけで、特に社会保障の効率化というのは大きな課題になっているわけですけれども、そうした中で、ワイズスペンディングだけでなく、賢く切るワイズカッティングというものを考えていく必要があると、こうした意見を述べられました。

 今日の議論の概要は以上です。

〔質問〕 ありがとうございます。先ほどのご意見の中で、いわゆる給付がどの程度になるのか、ミクロで伝えていかなくてはならないという話がありましたけれども、具体的に、例えば年収がこのようなパターンだったらこうなるなど、どのような形で示していくのかお伺いしたいです。

〔吉川分科会長〕 一番初めに紹介した方のご意見かと思いますが、おっしゃるとおりです。要は財政というのは、どうしてもマクロの数字、要するに何兆円単位の話になってしまう。例えば、今回の内閣府の中長期試算の数字の議論もそうです。それはそうですけれども、いわゆる普通の若い人、特に学生からすると、それだけ聞いてもぴんと来ないということがあるのではないか。

 このご紹介した委員の方は、やはりそうした若い人、学生などにもよく分かるように、財政の今の問題というのは、例えば社会保障を念頭に置きますと、おっしゃったように年齢や職業、それから所得水準などに応じて、こういったサービスがあって、給付は大体いくらだと。一方、負担については、税や保険料というのは大体こうなっているのだというようなことを、きめ細かく、個人ベースでというような表現でおっしゃったわけですけれども、そういった情報もしっかり財審として世の中に発信していく必要があるのではないかというようなご意見でした。

〔質問〕 途中でご紹介があった、いわゆるシムズ氏に対してのご意見というのは、1つ、インフレ達成をしなければ消費税率を引き上げてはいけないという議論ではないというようなことがあったかと思いますが、他にはありましたでしょうか。

〔吉川分科会長〕 2人の方がおっしゃったと思います。1人は、最近、債務残高について、インフレで帳消しにできるというような楽観的な見方があるというご意見。

〔質問〕 それは、シムズ氏への意見ということで出たのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 シムズ氏という名前は出なかったですが、最近、話題になっているという補足はありました。

〔質問〕 分かりました。

〔吉川分科会長〕 物価水準の財政理論(FTPL)を念頭に置いてのご発言だったと思います。

〔質問〕 なるほど。

〔吉川分科会長〕 それから、もう一人は、先ほど申し上げたとおりです。

〔質問〕 今後の財審の議論の進め方について、おそらく今回は具体的な議論はしていないと思いますが、会長はどのような方針でやっていきたいのかという、もしお考えあれば教えていただきたいです。また、今回、説明があった平成29年度予算について、ここはあまり財審の建議とは関係ないところかもしれませんが、国債の積算金利の引下げや、外為特会からの大幅繰り入れといった点を、問題視するような声はなかったのか。特になければ、これも会長がどのように受けとめられたか、お考えを教えていただければと思います。

〔吉川分科会長〕 2点目については、特に大きな議論はありませんでした。

 それで、私の意見ということですが、私のここでの立場は、財審での議論をご紹介するということだと思いますので、それで言えば、もう既に今日ご紹介済みの何人かの方のご意見にあったとおり、財審のある種のコンセンサスはできている。

 私が思っているのは、内閣府の中長期試算が出て、まず第1に、2020年度のPB黒字化目標、これは政府が堅持しているということを財審の委員の方々も確認されて、納得された。ただ、その上で新しい試算では、昨年7月に比べて、厳しくなっているわけです。2020年度のPB黒字化に向けて、やはり正面から健全化の努力を続けていかなくてはならないということ。

 それから、お一人のご意見として既にご紹介済みだろうと思いますけれども、要するに成長だけで財政再建できるというのは、正しくないというのが財審のコンセンサスだと思います。ですから、成長そのものは必要ですけれども、それとあわせて歳出の効率化というものをきちんと進めていかなくてはいけないということです。具体論として、社会保障について様々な知恵を出していかなくてはいけないということで、ワイズカッティングというようなフレーズを提案された委員の方がいらっしゃいました。

 ですから、そういったことをきちんと進めていくのが財審の役割だと、あるいは財務省の役割なのではないかというように財審の委員はみんな思っているということです。

〔質問〕 ポピュリズムと財政に関してのご発言が一番最後にあったかと思いますが、このポピュリズムというのは具体的に何を念頭に置いているかなど、そういったことが示唆できるようなご発言はあったのでしょうか。また、そのポピュリズムはそのまま財政再建に直結すると、そういったロジックについても、その方は言及されていたんでしょうか。

〔吉川分科会長〕 ポピュリズムをめぐって、この委員の方がすごく詳しくご発言されたというわけではありませんが、おそらく、日本国内だけではなくて、グローバルなことを意識されたということだろうと思います。ヨーロッパなども念頭に置いてということだったと思います。

 その上で、この方が、先ほどもご紹介した、ワイズカッティングという言葉を使われた委員の方ですけれども、これは少し敷衍しますと、財審のコンセンサスでもある、財政再建をきちんと進めていかなくてはいけないということにつながります。その中で、財審の一番のフィールドというのは歳出になるわけですが、皆さんご存じのとおり、社会保障というのが非常に重要なエリアになるということになります。

 ところで、この社会保障というのは、ほとんど全ての国民に直結する問題であるし、また、今確かに日本でも世界でも問題になってきている、格差にも関係しているわけです。社会保障というのは、結局のところ格差の問題に対するある種の防波堤だと言ってもいいわけですから、社会保障は格差の問題とも非常に密接に関係しており、当然、人々が非常に強い関心を持っている。

 それで、ポピュリズムに警戒といったことをもう少し敷衍しますと、要するに財政再建というのは、結局のところ全国民が賛同しなければ進まないわけです。国民のマジョリティーが、なるほど確かにそうだな、このように変えていかなくてはいけないなと、税にしても、給付にしても、マジョリティーの人が賛成していかなくてはいけない。そこのところをみんなに分かっていただけるような知恵を出すこと、ワイズカッティングというのはそのような言葉だろうと解釈します。また、最初の委員の方がご発言されたように、財政運営の上では、マクロの数字、何兆円、何千億円というのは当然重要ですが、それだけですと多くの国民の心には届かないだろうと思います。

 ですから、そういったことを丁寧に、分かりやすくやっていく、これが財政再建の王道だろうと。その意味で、この委員の方も、ポピュリズムというのはややもすると、そういった理解もないままに財政再建を棚上げすれば良いという話になってはいけないということだったのではないかと思います。

〔質問〕 他にございませんか。ありがとうございました。

〔吉川分科会長〕 はい、ありがとうございました。

 

(以上)

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