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財政制度分科会(平成28年10月27日開催)記者会見

平成28年10月27日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 

〔吉川分科会長〕 それでは、私のほうから、会議の概要をご報告いたします。

 本日、14時より、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。本日は、2つの議題、社会保障の2回目、今回は年金、生活保護、雇用、障害福祉、医療提供体制についてと、地方財政について、お手元に配布されている資料に基づいて事務局から説明していただき、質疑を行いました。

 私のほうから、委員の皆様から出たご意見を、お名前を伏せた上で、ご紹介したいと思います。

 まず、最初の議題、社会保障についてです。

 お一人の委員の方から、資料1の6ページの高所得者への年金給付の在り方について、元気な時に保険料を払って、やがて高齢者になり、給付を受け取るという原則から言えば、たまたま高齢になってからもそれなりの所得があるという人から、ペナルティーのような形で年金を減額するというのは問題だとのご発言がありました。むしろ、公的年金は受け取った上で、所得税のほうで控除を厳しくし、税をしっかりと徴収するほうが、正しいのではないかと問題提起をされました。

 同じ委員の方は、もう一つ、生活保護について、お手元の資料1の11ページで、生活保護によって保障される生活扶助水準は、母子世帯で月18万4,000円というのは少し高いのではないかとあるが、母子ともに元気な家庭ではなく、働いていない家庭という場合もあるという指摘がありました。つまり、母子家庭といっても様々だけれども、母子家庭で生活保護を受けているという場合には、母親や子どもに病気や障害があって、母親が働きに出ることができないというケースが多いのではないかと。したがって、働いてないということで、直ちにその月18万4,000円が高いということには直結しないのではないかとのことでした。皆さんよくご存じの通り、そもそも生活保護を受ける際のミーンズテストのようなものとして、親族からの支援もないということ等が前提になるわけですから、それらを全て勘案すると、慎重な議論が必要だと、このようなご意見でした。

 次に、また別の委員の方のご発言です。資料1の20ページにあるように、雇用保険積立金が過去最高を更新し続けているわけですが、この雇用保険の積立金は一体幾らあれば適切なのか、この委員の方が、例えばということでおっしゃったのは、3兆円程度が適正規模だとして、今後それに向けてどのように積立てを減らしていくのかという議論が必要だろうとのことでした。それから、積立金があるということに鑑みて、雇用保険の国庫負担割合を減らすというのは賛成だと。しかしながら、実は企業は、雇用保険料は減ったけれども、一方で厚生年金の保険料が上がったというようなことになっていると。その意味で、企業にとっては実質的な負担は同じになってしまっている。今後は、企業の負担が少しでも減るように雇用保険料引下げについて考えてもらいたいと、このようなご発言でした。

 それからまた別の委員の方のご意見です。この方は、2つご意見がありました。1点目は、資料1の5ページにある、年金の財政検証について、その持続可能性というのは、当然、今後の賃金上昇率やインフレ率に依存するけれども、いずれも不確かであると。やはり日本の年金については、年金の支給開始年齢を、現在は65歳ですが、それを67、68、70歳など、様々な想定があり得ると思いますが、議論を始めることが必要だと、このようなご意見を述べられました。

 同じ委員の方は、もう1点、高所得者への年金給付の在り方について、先ほどお一人の方は、そのような場合でも年金はとにかくもらう、それは権利だというご発言でしたが、この方は、それとは逆のご意見です。例えば、基礎年金の国庫負担分を見直すということ、それは正しいと思うというご意見でした。前の委員の方は、若い頃に保険料を払った以上、高齢者になった時には当然給付を受ける権利があると、このようなご意見でしたけれども、保険料と給付というのは必ずしも1対1ではなく、見直しを考えることにはそれなりの意味があると、このようなご意見でした。

 次に、また別の委員の方のご意見です。この方は、生活保護について、生活保護を受けている方の中には、様々な事情で働けないという人もいます。しかし、中には働けるのに働かないようなケースがあり、これはやはり本人にとっても国にとっても大きな問題だと、このようなご意見を述べられました。

 次に、また別の委員の方のご意見です。この方も2点、ご意見を述べられました。高所得者に対する年金給付の在り方について、もう既にお二人、同じ論点についてのご意見を紹介済みですけれども、この委員の方は、年金制度の長期的な持続可能性という観点からすると、やはり、基礎年金の国庫負担分について、ある程度以上の所得がある人は減額するということを検討する必要があるのではないかというご意見を述べられました。

 同じ委員の方の2点目ですけれども、これも既に議論としてはご紹介したわけですが、年金の支給開始年齢を、制度の持続可能性ということを考えて、今後、引き上げる議論をすると。かつて60歳から65歳へと引き上げた時には、企業が再雇用ということも含めて働ける場を提供するという努力をしてきたのだけれども、仮に65歳から67歳へと引き上げることになれば、これはもう一度、企業としても、今度は67歳まで何らかの形で、働ける場を用意するという努力をしなければいけないと。つまりは、ただ公的年金の支給開始年齢を引き上げるというだけではなくて、日本全体での雇用の在り方、何歳まで働いてもらうのかという、その問題も一緒に議論していかなければならないと、このようなご意見でした。

 次に、また別の委員の方のご意見です。この方は、資料1の34ページにあるように、医療費適正化に向けたスケジュールについて、これは当然、財政健全化計画と整合的になってなければいけないとご発言されました。つまり、財政健全化計画、とりわけ2020年のプライマリーバランス黒字化という大目標があるのだから、医療費の効率化というのも、その財政健全化へ向けた全体のスケジュールと整合的になっていなければならないと、このようなご意見を述べられました。

 それから次に、また別の委員の方のご意見です。この委員の方は、今も出ました医療費の適正化計画をきちんと正しい形で実行していくためには、都道府県の役割を明確にすることが必要だと。必要な権限の強化をし、計画を実効性のあるものにしていく必要があると、こうしたご意見でした。

 それからもう1点、この医療の提供体制に関して、今後は、入院から在宅医療へという流れがあるわけですが、この在宅医療の拡大が一体、医療費全体にどの程度のインパクトを与えるのか、これが必ずしも明確になっていないのは問題であるとのことでした。いずれにしても、現在、入院している人が病院を出るということになれば、それが一体、医療で受けるのか、介護で受けるのかという点について、必ずしも十分に議論されてない。この点を今後、きちんと議論していく必要があると思うとのことでした。

 次に、また別の委員の方のご意見です。この方も2点、ご発言されました。1点目は、先ほどの在宅医療について、慢性の病気で長期入院されている患者に、病院を出てもらうということになると、当然受け皿がしっかりしてないといけないわけです。その受け皿がしっかりないままに病院を出てもらうというのでは、追い出しのようなことになってしまうので、そのような乱暴なことになってはいけないという、こういったご発言でした。

 それからもう一つ、この同じ委員の方は、都道府県を中心にした地域の医療構想については、それぞれの地域の権限を強くするというのは正しいことだと思うとご発言されました。

 それから次に、また別の委員の方のご発言です。この方は、障害福祉について、障害者と事業者だけの閉じた世界の中では様々な問題が起きるのではないか、モラルハザードも起きやすいのではないかとご発言されました。改善策を見つけるには、やはり社会との接点を持ち、その社会との接点の中で解決の道を模索していく必要があると。一般就労支援は重要だけれども、障害者のニーズだけではなく、企業のニーズに合っているのかをモニタリングしていくべきだと、このようなご発言をされました。

 次に、もうお一人、別の委員の方のご意見です。この方は2つ、ご意見を述べられました。1点目は、病院の頻回受診と後発医薬品の普及について。頻回というのは、極端な場合、毎日、病院に行くという、このような頻回受診を少し是正しなければいけない。それから、後発医薬品については、薬効は同じ場合、できるだけ後発医薬品を使ったほうが本人にとっても、国にとっても合理的だろうという議論があるわけですが、とにかく後発医薬品を嫌がる方も実際にはいて、そうした人の場合には、それなりに応分の負担をとるということも必要なのではないか、また、薬局などとの連携を強めることも必要だというご意見でした。

 それから、もう一つ、同じ委員の方は、資料1の44ページにあるように、診療科の遍在について、特に、産科・産婦人科の医師が少なくなってしまっているという現状を指摘されました。

 最後に、もうお一人、別の委員の方のご意見です。生活保護について、効率化を進めることは必要だが、予算を圧縮するという観点から、あまり乱暴な切り口にならないよう、十分注意しながら効率化を進めてほしいというご意見でした。

 以上が本日の議題の1つ目、社会保障に関する委員の方々のご意見の紹介です。

 続いて、本日の2つ目の議題、地方財政についてご紹介します。

 まずお一人の委員の方は、2020年の財政健全化目標を達成するというのが国の、いわば政策の一丁目一番地ではないかと、これこそがある意味では国が、あるいは今の政府もコミットしている最大の目標ではないかと。財政について議論するというのであれば、先ほどの社会保障もそうであったが、地方財政についても、2020年の財政健全化目標達成に向けて、それと整合的な政策、予算づくりになっているべきだと。

 つまり、特例公債を増やせば、2020年度の財政健全化の目標というのは、更に遠ざかってしまうわけです。ですから、地方財政についても、特例公債の発行がそれだけ増えてしまうのは、大目標と平仄が合っていないではないというご意見でした。

 次に、また別の委員の方のご意見です。この委員の方は、資料2の39ページについて、歳出の特別枠は縮減ではなく廃止すべきだというご意見でした。

 次に、また別の委員の方、これはやはり、地方財政については、地財計画というのがベースになるわけですが、真の意味で適正規模、有効な歳出というのは一体どのようなものなのかと、この地財計画そのものを見直していく必要があると、このようなご意見でした。

 次に、また別の委員の方のご意見です。この方は2つ発言されましたが、1点目は一番初めにご紹介した委員の方と同じです。すなわち、現在、政府にとって、およそ財政や予算ということで言えば、財政健全化目標、2020年のプライマリーバランス黒字化というのが最も重要な目標であるはずで、その達成に向けて地方交付税等についても考えていく必要があるとのことでした。

 同じ委員の方は、もう1点、歳出特別枠は廃止も含め見直しということだったが、これはぜひ廃止すべきだというご意見でした。

 私のほうからご紹介するご意見は以上です。最後に、次回の財審は、11月4日を予定しております。議題はまだ決まっておりませんが、決定し次第、通例通り広報室を通じて発表すると聞いております。

〔阿久澤主計官〕 1点だけ補足させていただきます。

 社会保障の議論のところで雇用保険の話をされた委員の方がいらっしゃったと、その時に事業主の保険料のところに言及があったとご紹介ありましたが、実は雇用保険料は28年度も引下げが行われ、事業主の負担そのものも軽減されたわけですけれども、一方で28年度は、年金特別会計にあります子ども・子育て支援勘定への事業主拠出金、これを増やして、その分、新たに企業主導型保育事業などを実施するという取組もあわせて行ったために、結果的に事業主負担はそう変わらなかったということを、その委員の方はおっしゃったのだと思います。今回、つまり29年度予算に向けて、雇用保険料を更に引き下げるということを検討するのであるならば、事業主負担の実質的な減につながるようにしてほしいと、そのようなご意見であったと理解をしております。

〔質問〕 地方財政の関係でお伺いしたいのですが、地方税収の上振れ分を、後年度の地財計画上で精算すべきというご提案ですけれども、こちら具体的にどのように地方税収の精算を地財計画上で行うというお考えでしょうか。

〔泉主計官〕 具体的な案については、これからの予算編成で検討されることになりますので、財審の場では具体的な中身について、話が出ているわけではありません。

〔質問〕 地方税収が上振れしているとすれば、地財計画をつくる時に、より的確に地方税収を見積もるということがそもそも大事なのではないかと思いますが、そこら辺はいかがでしょうか。

〔泉主計官〕 もちろん、見積もり自体をなるべく精緻に見積もるということは大事ですけれども、どうしても、地方税収に限らず、国税にも言えることですが、見積もりと決算はやはりずれていきます。ですから、今回の財審の資料でご説明しているのは、その見積もりの仕方自体を精緻にしようという話ではなく、見積もりは見積もりとしてやりますけれども、結果的に生じてしまう決算の増収分の取り扱いをどうするかというお話をさせていただいている、ということでございます。

〔質問〕 本日の議論の中で、地方税収の上振れ分をどうすべきかということについての意見というのは、委員の間ではありましたでしょうか。

〔吉川分科会長〕 ずばり増収分をどうするという議論はなかったと思います。ただ、既にもうご紹介済みですが、地方財政との関連では、お二人の委員の方から、要するに地方財政に関する予算編成をこれから進めていくに当たって、その時の議論のベースになるべきものは、今の政府としてはやはり2020年のPB黒字化に向けた財政健全化に強くコミットしているということが、一丁目一番地ではないかと。これが大原則で、それに向けて財政の議論を進めていくべきだと。

〔泉主計官〕 先ほど会長からご紹介があった意見には、例えば地財計画を見直して、真の意味で適正な規模にしてほしいという、ご発言がありました。ただ、一つ一つについて、具体的に上振れ分はこうすべきですとか、そういったご指摘は、会長がおっしゃるようになかったということだと思います。

〔質問〕 2点お伺いしたいのですが、社会保障の関係で、ご紹介いただいた意見の中に、頻回受診の是正と、あと先発品と後発品の差額負担についてありましたが、これは生活保護の話をされているのか、それとも一般的なお話をされているのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 生活保護との関係です。

〔質問〕 もう1点、資料1の44ページの医療従事者の需給の在り方について、委員の方から特にご意見がなかったみたいですけれども、本日、財務省が出した考え方というのは、行政の権限強化をすべきだというイメージの提言になっていますが、このなかなか前に進まない議論について、吉川会長のご意見をお伺いしたいと思います。

〔吉川分科会長〕 これをめぐる議論がなかったというのではなく、先ほどご紹介したと思いますが、お一人の委員の方が、産科・産婦人科の伸びが小さい、相対的に見て減ってきているなという感想のようなご意見を述べられたと思います。

 それから、私自身の個人的な見解ではなく、今、お尋ねの問題について、過去、財審で数年間どのような議論が出たかということですと、やはり診療科の偏りというのは問題だと、これはもうみんな問題だと思っている。この医療にはかなりの公費、税金が投入されているという事実がありますし、場合によっては医療の在り方としても、我々国民にも大きな問題をもたらすのも事実です。

 過去の財審で、事実として、例えばドイツなどでは、医学部を卒業した学生がどの診療科を選ぶかという際に、ある程度マクロ的に国が誘導していると。つまり、大きく見て、国の中で診療科の大きな偏りが出ないような形で誘導しているような国もあるということは、情報として上げられていたと思います。だから日本もやるべきという議論まではなかったかもしれませんが。

 ですから、医療に公費、税金が投入されている以上、やはり診療科の偏在について、国として何らかの形で議論をするということはあってもいいのではないかという話は、過去の財審でもあったと思います。

 この点について、主計官からもしあれば。

〔阿久澤主計官〕 本日も確かにご意見という形ではなかったですけれども、この地域や診療科ごとの遍在について、私のほうから、場合によっては実効的な遍在是正策というものが必要ではないかという、改革の方向性についてご説明させていただいた際に、どのようなことがあり得るのか、もしくは、どのようなことが今議論されているのかというご質問はいただきました。

 医師の遍在について、私どもが今回ご議論を提案したのは、やはりこれまで特定の地域や診療科の遍在というものがあり、それが問題になったことも受けまして、医師の養成数というものを増やしてきたわけですけれども、やはりマクロで医師の数を増やしただけですと、どうも地域や特定の診療科の遍在という問題になかなか手が届かない。資料にも書かせていただきましたけれども、やはり場所や、診療科を選択するに当たって、規制も含めた実効的な是正策のようなものを、ある程度考えていく必要があるのではないかという提案をさせていただきました。このことは、厚生労働省のほうでも問題意識を持ち始めて、議論をしているというふうに理解をしています。したがいまして、これから、ある程度結論を得られるような議論が進むことを、私どもとしても期待をしているということであります。

〔質問〕 地財計画についてお伺いします。基本的に地財計画の改革方針の中で挙げられている、見直しの方向としては、今回、地方税収の上振れ分ついてはいつもと違いましたけれども、基本的には毎年のように指摘されている事項かと思います。その中で、毎年度、総務省との間で調整をされて、最終的に財務省も合意された形で、政府として地財計画を決定しているという状況にあるわけですが、そういった地財計画が策定されてきている要因というのはどこにあると見ていらっしゃいますか。

〔泉主計官〕 それは確かに、昨年も一部同じことを財審のほうでもご提言いただいて、それを踏まえて予算編成に当たっているわけでして、例えば昨年は歳入のほうで、別枠加算というものは廃止すべきであるという提言をいただいて、それが実現するとか、歳出特別枠についてもそうした提言をいただいて、実際、廃止に向けて縮減がなされているですとか、少しずつ見直しはされてきております。こういった財審のご指摘を踏まえて我々としては予算編成に当たりますので、その際に、例えば総務省のほうにも、財審でご提言をいただいているから、こういう方向で我々は考えているということをお話しして、実際の編成にも反映されていると。ですから、議論をして少しずつ変わっていくということだと思います。

〔質問〕 他にご質問はありませんか。ありがとうございました。

 

(以上)

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