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財政制度分科会(平成28年10月20日開催)記者会見

平成28年10月20日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 

〔吉川分科会長〕 それでは、私のほうから会議の概要をご報告いたします。

 本日、14時より、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。本日は3つの議題、社会資本整備、経済協力(ODA)、防衛について、お手元にも配布されている資料に基づいて事務局から説明していただき、質疑を行いました。

 私のほうから、委員の皆様から出たご意見を、お名前を伏せた上で、ご紹介したいと思います。

 議題は3つありますので、まず1番目の社会資本整備の質疑についてです。

 まず、お一人の委員の方は3つご意見を述べられました。まず第1に、公共事業の事業者を選定する際、総合評価での考え方が、自治体や事業によってばらつきが見られるため、統一的な考え方を整理する必要があるというご意見でした。

 同じ委員の方の2つ目のご意見として、上・下水道については、PPP/PFIとあわせて広域化も重要であるとのことでした。まず第1ステップとしては広域化を行い、その上でPPP/PFIを導入するという考え方が正しいのではないかというご意見でした。

 同じ委員の方の3つ目のご発言です。各自治体のインフラ長寿命化の全体計画については、自治体間で中身がまちまちであると、しっかりとした計画にするためには策定された計画をよく見る必要があると。個々の施設の長寿命化の計画の策定が行われると、これはある意味当然ですが、全体計画と整合的な計画となっているか、また、個別計画に基づいた更新、縮減、統廃合が行われているかなど、しっかりと進捗管理をしていくべきだと、以上、1人の委員の方が3つご意見を述べられました。

 次に、また別の委員の方のご発言です。この委員の方は、2つご意見を述べられました。まず第1に、公共事業は量だけで評価する時代は終わり、より少ない費用でより大きな効果を出しているかという質の面で評価するべきだとのことでした。

 続いて2番目のご意見として、PPP/PFIが進まない要因としては、それぞれの自治体が自ら行う場合の将来コストが見えないことが一因になっていると、自治体直営のコストを住民に示していく必要があると、こうしたご意見でした。

 次に、また別の委員の方のご意見です。これは、2番目の委員の方のご意見と重なるところもありますが、やはり公共事業は量より質の時代に入っていると。資料1の20ページをご覧ください。自治体等が、この公共事業の運営権を委託する際に、民間の事業者を選定します。その場合に、民間の事業者が運営するわけですが、その対価として払うのが運営権対価です。つまり、収益を上げる自信がある民間事業者であれば、その運営権を得ることによって、これだけお支払いしますという運営権に対する高い価格を提示できるということです。

 20ページ、この右側の棒グラフをご覧いただくと、実際には仙台空港のケースにおいて、A、B、C、民間の事業者が3つ、いわば競合したわけですが、実際にはAが選定されたと。しかし、運営権対価の提示額をご覧いただくと、Aは22億円提示したのに対し、Bは40億円を提示したが、Bは選ばれなかったということです。

 この委員の方は、他の事業者の2分の1の運営権対価しか提示していない事業者が選定されるというような選定方法は見直すべきだとご発言されました。つまりはBが提示した40億円というのは22億円のほぼ倍ぐらいですけれども、逆に40億円と比べれば半分しか提示してないAのほうが選ばれたというのは、事業者選定のプロセスというのを見直すべきところがあるのではないかと。

 もちろん、どのような民間事業者を選定するかというのは、言うまでもなく対価だけで決めるわけではないと思います。対価だけで決めるのでしたら、この場合、40億円に決まっているわけですが、つまりはベクトルのように様々な基準があるということですが、そうは言っても、運営権対価を2倍提示している事業者を選ばないというのは、どこか効率性の観点から問題あるのではないかと、このような問題提起だったということです。

 また、他の委員の方のご意見を紹介させていただきます。この方も2つご意見を述べられました。1点目は、資料1の35ページにあるように、この25年間でGDPが8%しか増えていないのにもかかわらず、建設国債残高が165%も増えているという問題を認識して公共事業の在り方というのは考える必要があるというご意見でした。

 続けて、同じ委員の方は、2つ目のご意見として、資料1の14ページにあるように、コンパクト+ネットワークは、財政的な効果だけでなく、生産性向上の観点からも重要だと。過去の失敗例を踏まえると補助金前提のやり方はうまくいかないため、民間ベースで採算がとれるようなものを推進していくべきではないかということでした。

 次に、また別の委員の方のご意見です。この方は、民間事業者の利益が増加した場合には、その一部を運営権対価に反映できるような仕組みを導入することも考えるべきだとおっしゃいました。先ほどご説明したように、事業者を選定する際に、その運営権を得ることの対価をあらかじめ提示して、事業者が選ばれるわけですけれども、実際に事業をやってみないと収益がいくらか分からないというところがあります。今、ご紹介した委員の方のご意見は、いわば想定以上に収益が上がったような場合は、事後的にその一部が自治体に対価として、還流されるようなルールをあらかじめつくっておくということもあり得るのではないかと、こういったご意見だったと思います。

 以上が社会資本整備についてです。

 では、2番目の議題の経済協力(ODA)についてです。

 まず、お一人の委員の方のご意見。この方は、今回事業の評価ということが問題になっていますが、事業の種類によっては評価がなかなか難しいものもありますから、そうした時には、評価法を工夫することが必要だというご意見でした。

 次に、また別の委員の方のご意見です。この方は、2つご意見を述べられました。1点目は、ODAで、特に民間が受注した場合に、海外で活躍する人々、とりわけ民間人の中で、極端な場合、犠牲になられるような方もあるわけですけれども、そうしたことがないように、安全を政府としても手厚く確保する必要があると。

 それから、同じ委員の方、2点目のご意見として、ODAで施設をつくるということも当然あるわけですが、メンテナンスというのも課題になるとのことでした。

 それから次に、また別の委員の方のご発言です。この委員の方は、アジア諸国ではこれから、社会保障制度をどう整備するのかというのが大きな課題になっているのですが、日本は整った制度を持っているわけですから、その知見を生かして戦略的に支援をすべきであると。つまり、特に社会保障制度という面での援助を戦略的に考えるべきだと、こういったご意見でした。

 それから次に、また別の委員の方のご意見です。この方は、拠出金というお金の話も重要だけれども、人への投資をしっかり行っていくということが重要だと、こうしたご意見を述べられました。

 それから、もう一人、別の委員の方のご意見です。事業評価という場合、特に文化事業については、確かにどのように評価するのかは難しい面もあると。しかし、お手元の資料2の28ページをご覧いただくと、99%以上の事業が、A(効果が特に大)またはB(相当の効果あり)と評価されており、それはやはりおかしいのではないかと、もう少ししっかりとした評価をすべきだと、このようなご意見でした。

 以上が経済協力(ODA)についての質疑の概要です。

 最後に、3つ目の議題は防衛です。

 まず、お一人の委員の方は2つ、ご意見を述べられました。1つ目は、資料にもある通り、日本を取り巻く安全保障環境は変化していると。しかし、リスクということで言えば、安全保障環境の変化というリスクだけではなく、南海トラフ等の地震や気候変動等のリスクもあると。こうしたリスクが高まる中、日本の財政状況は過去最悪であり、リスクがあるということを念頭に置いて、やはり我々は財政再建に向かってしっかりと取り組んでいかなければいけないと、こういったご意見でした。

 それから、同じ委員の方の2点目のご意見として、本日の資料にもある通り、装備品の調達について、コストベネフィット、B/Cの分析が重要だと。日本はライセンス生産であるけれども、今後の防衛力の向上を効率的に図るための体制になっているか問題だと。今後、防衛費の維持コストやリスクが増加する中で、産業再編も含めた新たな観点から全体を見直していく必要があると、このようなご意見でした。

 次に、もうお一人、別の委員の方のご意見です。この方は、安全保障環境が大きく変わったことを認識した上で、防衛関係の議論をすることが重要だと述べられました。その場合、テロ等の有事における財政的な手当てをどうするかなどの問題もあると。こうした支出等、リスクに備えるためには、あらかじめ財政を健全にしておかなければいけないと、この方は筋肉質の予算という表現を使われましたが、筋肉質の予算にしていかなければいけないと、こういったご意見でした。

 次に、もうお一人、別の委員の方のご意見です。防衛関係の調達に関する改革には賛成と。しかし、これは防衛省だけではなく、産業界の協力なしではなし得ないため、引き続き各所と協力していくことが必要だというご意見でした。

 次に、もうお一人、また別の委員の方のご意見です。この方は、調達コストをきちんと見ていかなくてはいけないという前提のもとで、それには調達側に発注能力を持ってもらわないと、これはいわばメーカーと言いますか、つくって売る側の言いなりになってしまう。兵力だけでなく、並行して発注をする防衛装備庁の調達能力を高めるということが、防衛予算を考える上で非常に重要だとのことでした。

 それから、もう一人、別の委員のご発言です。国を守るのは兵器だけではないと、財政が破綻すれば戦わずして国は自壊する、こうしたことを国民に理解してもらって、財審としては財政再建に粛々と努める必要があると、このような意見でした。

 最後に、事務的なことになりますが、次回は10月27日に予定しております。議題の詳細はまだ決まっていませんが、決定し次第、お知らせいたします。

 私からは以上です。

〔質問〕 ありがとうございました。1点お伺いいたします。社会資本整備について、5人目の委員の方のご意見で、運営権対価をあらかじめ提示しておき、選ばれた後に予想以上の収益が上がった場合、一部を自治体に還元するルールをつくったらどうかという話があったのですが、これはつまり、この資料1の20ページでいうと、40億円を片方が提示した場合、22億円で選定されたほうも、後から40億円払ってもいいのではないかという話なのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 理屈の上では、そのような話になりますよね。つまり、このケースに限らず、運営権対価というのは、事業者選定で、事業者から幾ら払いますと最初に提示する額です。ただし、それだけが基準ではなく、事業者が選定されるわけですが、その選ばれた事業者があらかじめ提示した額については、今ですと、固定されております。ですから、先ほどの例ですと、Aという事業者が選定されると、22億円でもう決まってしまっているということですが、この委員の方がおっしゃったように、実は事業者が選定された後で環境が変わるということがあるわけです。

 環境が変わるという意味は、具体的には空港の議論をしたということですが、例えば規制改革によって着陸料などが変わってくるという、いわばルールが変更されてしまう場合、選定された事業者の収益は増えるということもあり得るわけです。事業者がものすごく努力して非常に儲かったということでしたら、それは本人が頑張ったということかもしれませんけれども、ルールが変わって、具体的には着陸料などが変わって、収益が事前に考えていた時よりも大幅に増えるというようなことも、空港の場合だとあり得ることだろうと思います。

 それを踏まえた上で、今のような事情で増えた収益の一部は対価に還元されてもいいのではないか、ですから民間との契約で言えば、あらかじめ契約の中に書き込んでおいてもいいのではないかと、そういった趣旨の話だと思います。

〔質問〕 細かいですが、要するに少し低い対価でとった場合、それとも、どんな対価でとろうとそういうことがあってもいいのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 そこまで立ち入った議論を今日はしておりません。

〔質問〕 1点お伺いします。今の社会資本整備のところで、委員の方から量で評価する時代は終わり、質が重要というような意見が相次いだということですけれども、一方で、公共事業関係予算は、当初予算で抑えても補正で積み増されているような状態が続いており、今年度の2次補正でも大きく積み増しがありました。これに対しての評価というのは委員の方からあったのかどうか。また、それに関して吉川先生の考え方もあわせてお願いします。

〔吉川分科会長〕 本日は、今ご質問の件については、やりとりはありませんでした。それから、これまでの財審の議論ということを踏まえて、私の個人の見解を、言わせていただければ、いわゆる安易な補正というのは問題であると、この認識は、財審の委員の方の中では圧倒的に優勢だと思います。

 それから、これは今日、まさにそのようなご意見が出たということで、繰り返しになりますが、結局、量から質の時代に変わったというようなご発言をされた委員の方が、2人いらっしゃったと思います。細かい表現はともかく、量から質という意味は、要するに公共事業、社会資本整備について考える時に、お金で全て評価する、つまり円ベースで額が大きければしっかりやっている、額が少ないというのは遜色あるという単純な発想は、必ずしも正しくないということだと思います。

 ちなみに、これも今日の財審では、立ち入った議論はなかったですが、これまでの財審では、例えば防災についても、ハードとソフトを組み合わせるという提言がありましたし、本日の資料にもありました。防災一つとっても、もちろん人の命を守らなくてはという認識は、委員の方々、皆さん共有していると思いますが、いわゆるハードのものだけで守れるものではないと。ですから、ソフト面での防災対策というのと組み合わせてやるということが大事だろうということです。

 総じて、公共事業、社会資本整備、その目指す趣旨ということからすれば、お金も積めばそれでいいという時代は少なくとももう終わったと、それが量から質の時代へということだと思います。

〔質問〕 それに関連してですけれども、この財務省側の資料では景気浮揚効果は一時的ですとか、人手不足問題なども指摘されているわけですが、その点に関しての意見というのは特になかったでしょうか。

〔吉川分科会長〕 特になかったです。ただ、お一人の委員の方が、資料にもある通り、公共事業は、非常に季節性が強いため、それを平準化することが大切だとおっしゃっていました。

〔質問〕 他にございませんか。ありがとうございました。

 

(以上)

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