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財政制度分科会(平成28年4月15日開催)記者会見

平成28年4月15日
財政制度等審議会 財政制度分科会


〔吉川分科会長〕 では、お待たせしました。前回と同じように、本日も海外調査が大きな議題でして、実際に海外調査に行かれた先生方にスタンバイしていただいていますので、私のほうから簡潔に会議の概要をご報告して、その後、実際に海外調査に行かれた先生方と質疑応答していただければという流れでやらせていただきます。

 まずは私のほうから会議の概要についてお話しいたします。

 本日の14時より、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。本日は、海外調査報告第2弾ということですが、ドイツ、イタリア、ギリシャ、これが1つのチーム、それからもう1つがOECD、フランス、スペイン、ポルトガル、この2つの海外調査報告を委員から説明していただきました。

 本日の会議では、海外調査に行かれた先生方からの「海外調査報告」にかなり時間を割きました。それが第1の議題。第2の議題が「財政・租税教育」です。この2つについて審議を行いました。

 まず、海外調査報告についてですが、先ほどからお話ししているとおり、詳しい調査報告の内容については、お手元の資料を基に、もしご質問等あれば、後で実際に調査に行かれた先生方と質疑をしていただければ一番いいと思いますが、この海外調査報告を含めて幾つか委員からのご意見がございました。

 まず、お名前はいつものとおり伏せますが、お一人の委員の方からは、欧州では憲法の改正も含めて財政赤字に歯止めをかける仕組みがある。また、それなりに財政再建への動きに進捗がある国では、やはり与野党の立場を超えて合意形成を図っているということではないかというご意見もありました。

 また、海外調査に行かれた先生からは、ヨーロッパの場合にはEUの監視の目が財政健全化に寄与しているという面もあるというお話もありました。

 次に、また別の委員の方からは、例えばフランスについては、複数年財政計画法の財政措置で、計画から外れた時に是正措置を発動しているとあるが、具体的にどのような取組があり、フランスではどのようなことが起きているのかというご質問ですね。それに対して、実際に行かれた先生からは、お手元の資料にもありますが、フランスについては、事実の問題として、まず歳入改革、次いで歳出改革を行った。特に歳入改革については、ある程度富裕層に向けた改革を行ったと。ともかくフランス人の中には財政危機という時にある程度負担をしなければならない、という意識があって、それが改革を進めることになる1つのバックグラウンドになっていた、このようなご説明がありました。

 また、もうお一人の委員の方、これはご意見ということですが、ヨーロッパの経験、本日の調査報告等を踏まえて、翻って日本を見ると、改革工程表ができたり、歳出の伸びに「目安」が設けられたりと、日本でもそれなりに財政改革が進展したという印象を持っている、というご意見がございました。

 それから、もうお一人の委員の方からは、ドイツ安定化プログラムは毎年つくられるものなのか、また、このプログラムは予算をどの程度縛るものであるのかというご質問がありました。それに対して、ドイツの調査をされた委員の方からは、ドイツをはじめEU各国は、毎年、安定化プログラムを作成しており、EUでもそこで示された目標のモニタリングが行われるなど、きちんと取り組まれている。また、ドイツの場合、自律の意識が非常に強く、例えば、今後の高齢化を踏まえれば、財政の維持可能性に懸念があるということを政府自身が自ら発信し、国民と意識の共有を図る、ということも行っていると、このようなご説明がありました。

 次に、もうお一人、別の委員の方のご発言です。この方は、財政健全化に成功しつつある国では、どこでも超党派の合意、国民の支持がある、という指摘をされました。そして、海外での経験からすると、財政健全化にはどのような方策が効果を有するのか、という問いかけに対して、調査に行かれた委員の方からは、いずれにしても、調査したヨーロッパの経験、OECDなどの資料にある方策は、さまざまな国の経験の平均であり、そのままやればどこの国でも財政健全化ができるわけではない。しかし、ともかく日本では、削減しなければならない赤字幅が大きい。つまり財政が非常に厳しいから、結局さまざまな項目について歳出削減を行っていかなければいけない、このようなお答えがありました。

 それから、もうお一人の方からは、ヨーロッパの経験について、ドイツが一番見習うべき国であるが、なかなか日本ではドイツのようにはいかないというご意見もあり、それに対して、調査に行かれた先生からは、資料2−2の4ページに、OECDの国民負担率の国際比較のグラフがありますが、ヨーロッパの国々というのは、皆様方もよくご存じのとおり、国民負担率が日本よりもはるかに高い。そこで財政再建の改革をするとなると、歳入改革よりもやはり歳出削減をしなければならなかった。このような点でもヨーロッパの場合には、日本と違った事情もある、というご指摘がありました。

 また、もうお一人、別の委員の方、この方は、財政健全化に関しては、やはり国民の認識を高めることが重要、このようなご意見でした。

 続けて、もうお一人、別の委員の方は、海外調査の報告結果、それから、報告結果を基にして事務局が用意した資料3「海外調査に関する論点整理」も踏まえてご意見を述べられました。ご意見は、将来の経済については、やはり堅実な前提の重要性をよりしっかりと認識する必要があるのではないか。経済はよい時も悪い時もある、ということをしっかり認識することが重要、このようなご意見でした。

 また、もうお一人の委員の方、海外では様々な試みがあるという調査報告は、財政再建のために行うべきことがさまざまにまとめられた、知見として得られたわけですが、日本では、残念ながら、そのような取組ができていない。大変、日本の現状は残念な状況であるということを我々はしっかりと認識すべきだと、こうしたご意見でした。

 次に、もうお一人の委員の方からは、経済成長と財政健全化について、二者択一ではなく、両立していくことが大事で、この考え方に自分は賛成であるというご意見がありました。

 経済成長と財政健全化について、もうお一人の委員からは、経済成長は大事だが、いわゆる必要条件ではあっても十分条件ではない。つまり、経済成長だけで財政健全化ができるというのは正しくないというのが従来からの財審の考え方だろうというご指摘がありました。

 もうお一人の委員の方、この方は、海外調査報告により、各国から財政再建へ向けたヒントになる事例が多数得られているので、そのような知見を踏まえて、日本の財政再建のために何ができるのか、財審としても強く打ち出していく必要があると。海外調査の結果を活かす必要があると、このようなご意見だったと思います。

 私のほうから、もう1つの議題についても皆さんに先に報告させてください。

 2つ目の議題が「財政・租税教育」であります。お手元には事務局の資料、それから参考資料であるパンフレットもあるかと思います。この点については、委員の方々からご意見がありました。

 結論はですね、やはり財政についても教育が非常に大事だと、このようなご意見が多数述べられたということだと思いますが、もう少し具体的に言いますと、お一人の委員の方からは、学習指導要領について、お手元の資料4の3ページ、参考部分に学習指導要領の「財政」に関する文章が経年的にリストとして挙げられていますが、過去においては記述があった時代もありましたが、現状では国債や公債といった文言さえ学習指導要領にないと。やはり学習指導要領でしっかり公債、国債といったようなことについても明示的に書いていくことが重要であると、このような意見を述べられました。

 また、教育ということであればということで、同じ委員の方はもう1つ意見を述べられて、やはり中学生、高校生を念頭に置いていますが、あれもこれもといいところばかりをとることはできない。例えば、予算制約の中でAかBかという選択をする必要がある、それが現実だということを教えていくことが重要だと、このようなご意見を述べられました。

 それからもうお一人、別の委員の方、この方はご意見として、財政に関係した教育が非常に大事だが、そのためにはやはり教育現場のサポートをする必要がある。簡潔、的確な説明の仕方を教育現場に浸透させていくことが重要と、このようなご意見でした。

 それからもうお一人、別の委員の方は、現状でも行っているということですが、財務省の職員が教育現場に出向いて授業をするのは、子ども達の刺激にもなるので推進してほしい。また、同じ委員の方は、続けて、ゆくゆくは教材のモデル化を図り、学校が自立的に運営できるようにするべきだと。また、社会保障が子ども達にとって、将来最も大きい問題になる。そのような重要な問題であるから、受益と負担についてしっかりと教育していく必要がある、このようなご意見でした。

 また、もうお一人、別の委員の方、この方も基本的には同意見だと思いますが、財政に関する教育は、学校教育のうち、中学、高校などというそれぞれの段階でしっかりと行っていくべき、このようなご意見でした。

 また、もうお一人、別の委員の方は、財審の委員ということで、お手元の参考資料3を事前に身近にいらっしゃる女性の方に読んでもらったところ、「非常に分かりやすい」「へえ、そういうことなのか。いや、こんなことは知らなかった」というようなことをその人が言っていたということで、この委員の方は、やはりこのようなパンフレットの教育価値は高いものだなとおっしゃいました。ここにいる皆さんのように、財政のことを見られている方から見れば、このパンフレットに書いてあることは初歩的と思うかもしれませんが、しかしながら、やはり財政再建というのは国民全体で問題を共有しながら、コンセンサスをつくっていくことが大事だというのが財審の基本的な考え方ですから、問題を国民に理解してもらうという観点からすると、参考資料3のようなパンフレットもなかなか分かりやすい。実際に自分の知り合いの人に読んでもらったら、分かりやすいと言っていたと、こんなことは全然知らなかった、なるほどねという反応があったというご自身の経験をご紹介されました。

 それからもうお一人、別の委員の方、この方も前に紹介した方と近いところがあるかと思いますが、財政教育との関係で、AでもBでもCでも、何でもフリーで手に入るというのではなくて、現実にはAをとるかBをとるかと、AをとるのであればBを犠牲にしなければならない、BをとるのであればAを犠牲にしなくてはならないという、トレードオフがあるということを教育の現場でも教えていく必要があると、そのようなご意見でした。

 それから、もうお一人の委員の方は、ご承知のとおり4月22日に女性公聴会を開かれますが、大変に関心が高くて定員オーバーの状況になっているということを言われて、公聴会の場でも、参考資料3のような分かりやすい情報を発信していくということが必要だと、このようなご意見を述べられました。

 私からは以上です。

 海外調査の詳しいことは、実際に行かれた先生方がそこにスタンバイしてくださっていますので、とりあえず私のほうからごく簡単に委員の方々のご意見を紹介しましたが、何かご質問等ありますでしょうか。

 私からは以上ということです。

〔質問〕 海外調査報告の中で、そもそも財審として、日本財政の何が問題で、どのような問題点があるかという点があらかじめ思ったものがあって視察されたと思いますが、行ってこられて、日本財政の提言やレッスンというのがもしあるとすればどういうことかと。これは後ほど聞いたほうがいいかもしれませんが。

〔吉川分科会長〕 今の質問は、もう一度、実際に行かれた先生方に、まさに投げていただければと思いますが、もともとの問題意識ということであれば、これはもう日本の財政が非常に厳しいということですよね。で、財政再建をしなくてはというのがコンセンサスだと思いますが、先ほどもお一人の委員の方のご発言を紹介したかと思いますが、経済成長と財政再建のペースを一体どのようにするのか、それから、海外を見てみると、やはり財政再建にかなり成功している国もあるわけですよね。となれば、当然、そのような国はなぜ成功しているのか、成功のために何か工夫があるのだろうか、それが調査の問題意識ということですね。

 今日は第2回目ということですが、お配りしてあるとおり、ドイツから始まってポルトガルまでですかね、OECDも入っていますが、それぞれの国からどのような知見が得られたかというのは、実際に行かれた先生方があちらにスタンバイしてくださっているので、恐縮ですが、もう一度その時に先生方に投げかけていただけないでしょうか。

〔事務局〕 ドイツ、イタリア、ギリシャの海外調査報告をして下さいました宮武委員、それから中空委員でございます。それから、こちらのほうにまいりまして、OECD、フランス、スペイン、ポルトガルということで遠藤委員、それから赤井委員ということでございます。一応、記者の皆さん、資料はお目通しかと思いますので、何かご質問とかあれば先生方のほうからお答えいただきますので、よろしくお願いします。

〔質問〕 先ほど吉川会長がおっしゃった財政再建に成功されている国もあるということで、冒頭、ドイツがありますが、この中で、トップダウンの予算編成をしているという記述がありました。これについては、いわゆる財政当局によるシーリングなどがやはり日本にも必要なのかという問題意識あるいは論点だと思いますが、これについてはどのようにおまとめになられたのでしょうか。

〔中空委員〕 ありがとうございます。ドイツは、ご指摘のとおり、成功例の国です。私たちも先ほどの報告の中で、ドイツは財政健全化という観点では青信号で、イタリアは黄色信号で、ギリシャは赤信号だという分け方をして、ドイツを説明しました。

 ドイツで成功した幾つかのポイントがあると思っていますが、言っていただいたポイントは、私たちが指摘した2つ目のポイントでして、予算要求の段階で要求に上限をつくってしまう、省庁別に枠ができてしまうんですね。これがシーリングとして機能します。設定された枠の範囲内あれば、割とドイツにおいても自由がきくという説明を受けましたが、何せ総額が決まってしまうものですから、後になってもっと増えてしまったということが起きないんですね。この仕組みを1つ我々も何か参考にならないだろうかと思った次第です。それがどう使えるのかというのはまだこれからの課題にはなりますけど。

〔質問〕 もう1点、これも日本でよく話題になる経済予測、見通しについて、ドイツでは非常に見通しと実績が近似しているということですが、これについても日本への教訓としては、どのようなものが得られたのでしょうか、教えていただければと思います。

〔中空委員〕 ありがとうございます。それもやはりドイツが成功した3つ目のいい点だと指摘申し上げました。経済成長する時というのは、得てして明るい見通しをみんな持ってしまって、日本でもご存じのように名目3%以上の成長率、果たしてできるのだろうかとみんなが疑問に思うような成長率を使った予測をどうしても使っているわけですよね。ここから離れられないでいる。

 一方で、ドイツは、五賢人委員会も、それから、さまざまな経済研究所も、各州の財務省も、いろいろなところが知見を出し合い、OECD、IMFの予測値も使って、できるだけ実績に合うような、かつ比較的、現実的に見たシナリオで予測を立てていくということだったんですね。それも全く見当外れのものになるわけではなく、年3回ほどの見直しをし、その上で、また新しい見通しを1月につくっていくということで、精緻なものであるという印象も受けました。精緻で、かつ現実的な予測値を使っての財政健全化なので、ここは本当に我々は見習うべき点が多いのではないかなと思っています。

〔質問〕 日本では内閣府が担当していると思いますが、現実的な見通しを立てるためにはどうすればいいかというところはありますか。

〔中空委員〕 ここからはもう私見になってしまいますが、どうすればいいかということでいくと、例えば、1つ、ドイツの例でいけば、さまざまな意見というのを参考例にしているわけですよね。日本の場合は、内閣府が出してくる予測値を使って、それで経済成長できるケースとそうでないケースということで出していますよね。でも、それだけです。そうではなくて、現実的なものをもう少し精緻にしていくということはあるだろうと思っていますし、実際の経済成長を勘案したものに、いろいろな知見をもって変えていくという方法に変えていけないか、それを検討していけないかということはドイツの例からも考慮していかなければいけないと思っています。いつも見通しが明るいということに固執する理由はないわけですから、柔軟に変えていかなければいけないと思っています。

 以上です。

〔質問〕 それぞれ皆さん、ほかの国のどのような教訓を得られたかというのを教えてもらいたいなと。

〔宮武委員〕 財政規律についてですか。そういう意味ですか。

〔質問〕 そうですね、財政再建への取組について、日本への還元した場合の教訓。

〔赤井委員〕 私見になるので、それぞれ少し違うところがあるかもしれませんが、私が訪問したのはOECD、フランス、スペイン、ポルトガルということで、OECDは国ではないですが、さまざまな調査をされているということで、データから財政健全化への方向性を議論している。

 その中でもやはり日本というのは特殊な位置にあって、財政健全化するのはほかの国よりもやはり厳しいし、網羅的に全ての歳出項目を削減していかなければならないという点が教訓として残りましたということです。

 私がOECDとフランス、遠藤委員からスペイン、ポルトガルについて言っていただくほうがいいかもしれませんが、フランスに関しましては、やはり、リーマン・ショック後の教訓としては、危機的な時、あるいは何かショックが起きた時は国民みんなで我慢をしようと、財政負担に耐えようという意識が国民の中にあって、それがその後の財政健全化を受け入れたというところが初めにあります。

 資料2−2の4ページにありますように、既に負担が大きくなってきていますから、初めは増税をして、その後、歳出削減を進めています。地方向けの補助金なども参考資料には書いてありますが、他にも医療保険支出などの部分でしっかりと歳出を削減することも受け入れている。特に日本への示唆としては、何か起きた時、財政が厳しくなった時には国民の中に財政を健全化させるべきだという意識があるというのと、さまざまな、ONDAMのような仕組みを取り入れて健全化に向けて努力しているというところが、役に立つのではないかと。

〔遠藤委員〕 では、私のほうからはスペインとポルトガルについて申し上げたいのですけれども、スペインのほうは1,000億ユーロ、ポルトガルのほうは780億ユーロという、リーマン・ショック後の金融危機以降にEFSFやESMを通じてEUから金融支援を受けるという状況になりました。つまり、危機の状態としては極めて深刻なもので、そこから極めて厳しい管理下に置かれて改革プログラムを実行、財政再建を果たしていくということで、今日本の置かれている状況とは少し異なりますが、スペインにつきましては改革を始めて当初の2年間で非常に早いペースで、憲法の改正を行うなど抜本的な法改正を含むような改革を実行していく。そこが非常にリーダーシップを感じるところでありますし、また、スペインにつきましては、労働市場の改革を同時に果たし、構造改革にも踏み込んでいるということです。もちろん高い失業率がバックにありまして、日本とはこのような点でも環境が違うのですが、構造改革のところにも不断のメスを入れていくという点が、日本でも学ぶべきところではないかなと思います。

 ポルトガルについても、非常に小国であって、財政状況が厳しい状況の中においても、2013年にプライマリーバランスをプラスに転じさせています。ここは第1党、第2党が共闘して、まず、この経済改革プログラムを達成しようということで合意をして、政治的な合意を経て改革のプログラムに入っていく、そういった点に対しての国民の理解も非常に高かった。ギリシャのような大規模なデモが起きたというニュースもポルトガルからはあまり聞こえてきませんでしたし、国有資産の売却についても積極的に行われるなど、ポルトガルは非常に前向きに財政再建に入っていった、そこが日本と大きく違うところかなと。

 この中から私たちが学ぶべきは、やはり政治のリーダーシップをきちんと果たして財政再建に向かっていただきたいということと、やれることとしては、今、自分たちの置かれている状況を危機としてまずきちんと認識すること、もちろん、こういう外部の資金が入ってきているような状況ではないとしても、極めて悪い財政状況にあるということをまず認識して、政治にもリーダーシップを果たしていただいて、国民もそれに向かっていくというような方向性がどうしても必要になるのではないかなと思います。

〔中空委員〕 引き続きまして、私からイタリアとギリシャの財政再建に絡む話をさせていただいて、宮武先生は年金や医療の専門家ですので、その観点で日本が学ぶべきことということを補足していただけたらと思います。

 イタリアから学ぶべき財政再建のツール、スキームは2つ挙げられて、1つは、スペンディング・レビューといって、歳出改革の進捗をモニタリングしていこうという取組があることと、それからもう1つは、セーフティー条項といって、もし財政再建ができなければしかるべき時に消費税増税をしますよという条項を設けていることですね。この辺のツール、スキームというのは日本が学べることではないかなと思いました。

 黄信号のイタリアからは以上を学び、もう一方、今、赤信号であるギリシャから学んだこととして、ギリシャは財政再建をしようという時には、ラインナップは非常に美しく出してくるんですね。あとは実行力で、できたかどうかということだと思っていますが、ギリシャの場合は、できたものとできなかったものが明確に分かれています。例えば消費税増税なんかも、税率は上げますが、それを捕捉できない。だから、徴税率が上がらないということを平気でやり残してしまった。なので、実行できたかどうかというと非常に難しくなっています。この背景にあるものは、例外措置を設け過ぎてしまったということやリーダーシップをとれない政治があったというような、いろいろなことがあると思っていますが、要はラインナップやメニューをきれいに並べても、実行力がなければそれは失敗に終わってしまうということだと思っています。それが教訓になるかどうか分かりませんが、ギリシャから私たちが学ぶべき点はそれかなと思いました。

〔宮武委員〕 財政事情についても赤、黄色、青という色分けができますが、社会保障についても全く同じで、例えばギリシャの場合は、歴代の政権が自分たちの支持基盤を広げるために年金をばらまいて、そして、負担と給付の連動性が無視されていった。逆に、ドイツの場合は、負担と給付の均衡というものを常にシステマティックに図るということをやっておりまして、皆さんお手元にある資料1−1の10ページに数式が書いてございまして、私もこれはよく読み込めないんですが、基本的には少子高齢化に合わせた形で負担と給付の連動を図っていく、また、リースター年金という公費の補助つきの私的年金があるわけですが、それも加味した形で負担はどの程度が適当かということを図る、すなわちこの数式の中で均衡を図っていくということです。ドイツの国でも、さすがにこのような数式を法律に入れている例は年金法だけだと言っていましたが、そのような形で、いわば政治がそれぞれの時期の政権なり、あるいは政党なりが年金制度を恣意的に操作、あるいは介入してくるということを防いでいる、と考えていいかと思います。日本でも、もちろんマクロ経済スライドという形で少子高齢化に備えた形の均衡措置はとっているわけですが、更にドイツのほうが厳しいという印象を受けました。

 中間のイタリアは、ギリシャと同じように、それこそ年金から夏のボーナスを出したり、バカンスの時にお金を出したり、クリスマスに出したりというような形で、極めて規律性のない年金制度であったところ、そこに気づいて、ようやく全部廃止して、今、再建に取り組んでいるという、社会保障についても黄信号の状態にあったということであります。

 以上です。

〔質問〕 もう1点、直接関係あるか分かりませんが、欧州では特に金融政策との絡みで財政出動に対する危惧が世界的にあるやに言われていますが、そういったことに対する意見を聞く機会があったなど、感じられたようなことはありましたでしょうか。これからG20でも財政出動を各国で協調していこうということになるかもしれませんが、欧州における足下の財政出動の必要性を議論するようなことはありましたか。

〔中空委員〕 私たちが行ったところでは、ドイツで若干それに近いものをしたかなと思っていますが、ドイツに対しては財政出動しろというプレッシャーが激しいわけですよね。ECBはマイナス金利を導入していて、金融政策が非常に緩和的な政策をやっているわけで、その分、財政を使いましょうという動きはなきにしもあらずです。でも、だからといって、出動しなければいけないんだと言っている節は特になくて、淡々と目標に則ってやっていく。ただし、ドイツが言っていたのは、移民・難民問題で増える支出の部分がある、それから、中長期的には少子高齢化が進んでいく。ですので、その面から崩れていくであろう財政健全化の部分を決して忘れることはないと。なので、ドイツはもともと一番厳しい国ではありますが、財政再建に対して財政出動をするから仕方がないねという節は全くなかったですね。

 一方、そこに達していないイタリアに関しては、柔軟な、フレキシビリティーとよく言っていたと思いますが、そちらのほうの策の話をよくしていました。ですので、言い方は悪いですが、財政再建ができている段階に応じて、やはりできていなければできていないほど、フレキシビリティー、あるいは経済成長は仕方ないということを言い訳をしていたような気がします。金融政策との兼ね合いというよりは、欧州委員会の縛りのほうで財政健全化を捉えているなと私自身は感じました。

〔遠藤委員〕 OECDの議論の中で、各歳出項目と各収入項目の増減が経済成長にどのような影響を与えるのかという議論の前提として、財政支出についての意見交換も一応させていただきましたが、やはり個別の国の事情によっていろいろあるだろうということで、日本のように、もう既にストックの整備が比較的進んでいる国にとっては、その公共投資というのが成長に十分な効果をもたらす国とは限らないというご意見を、OECDの方々からはいただいておりましたので、個別の事情にもよりますが、日本についてはそのような認識であったと我々は捉えています。

〔質問〕 今までと違った質問をさせていただきますが、今、安倍政権は、消費税の10%引上げを何らかの理由をつけて先送りしようという雰囲気になっているような記事が多いですね。さらに、財政出動もしようと。日本経済は緩やかな回復は続けている一方で、世界経済がデフレになりかかっていることを理由にしようともしているような嫌いもあります。そうした今の政権の動きに対して、こうした海外視察を基に、何か意見を安倍総理なり麻生財務大臣に言うとすれば、一言ずつ、何かありますでしょうか。

〔赤井委員〕 ありがとうございます。日頃自分が思っていることをどこまで入れ込むかはまた別としても、調査の中で得られたことは、やはり国民に財政健全化をしないといけないという意識と将来世代にツケを回さないという意識がきちんとあった上で財政健全化を行うと。確かに、その時に一時期、苦しい思いはするが、その後、少し健全化されて、特に厳しかったスペインやポルトガルは金利も下がり、よくなっているわけですから、よくなった段階では、あの時の苦しかったことはやってよかったと国民も思っているところがあると思いますので、日本の場合はなかなか難しいところもあると思いますが、やはり増税されるというのは苦しいと思うし、マイナス面もあると思いますが、その結果としても、それで財政が健全化されて将来世代の負担も減ってくれば、また後になって、あの時上げていてよかったと思える日が日本でも来るのではないかなということで、ぜひ先延ばしせずに上げたほうがいいのではないかと、これは個人的な思いですが、私は思いました。

 以上です。

〔遠藤委員〕 私のほうは、消費税は予定どおり上げられるという従来の公約どおり進むものだとまだ信じておりますので、報道のほうでどうのこうのということではないわけですが、例えば私が見てきたスペインやポルトガルの状況は特にそうですが、これほど厳しい経済環境になってからでないと財政再建ができないということになってしまうと、極めて厳しい過酷な財政プログラムを強いられるんだということを、リアリティーとして間近で見て思いましたし、やはりこうならないうちに手を打っておかなくてはならないということ。

 それとまた、スペインを見てみても、私、ちょうどリーマン・ショックの直前にスペインの経済を見に行っているのですが、その頃は、住宅バブル、建設バブルで、スペインというのは、銀行も政府もそうでしたし、非常に自信満々だったんですね。自信満々から急激にどんと悪くなるというところまでの加速度的な悪化というのは極めて激しいものがあったなということですし、また、少しスペインの経済は今、IMFの推計ですと、2015年の予測数値は成長率3.2%ですが、今、また若干、所得税の減税を計画している。つまり、簡単に緩むんですよね。なので、そのような緩みをどう引き締めていくのかというのがあるべき財政の運営だと思いますので、そういう意味では、反面教師としてもそうですし、きちんと構造改革を実施したといういい方向での先生としても、両方の面で我々はそこから教訓を得なくてはならないのではないかなと、実際に現地を見て初めてその実感が湧いたという感じでございます。

〔中空委員〕 引き続きまして、私は3通りの意見を言わせていただきたいと思っています。 1つは、私はマーケット関係者なので、その意味でいくと、消費税増税先送りというのは、マーケットでは可能性のある話だとは思っているんですね。 一方、私、クレジットアナリストをやっていまして、そうすると、当然ですが、日本国債の格付は下がりますよということ、ここは強く思ってもらわなければいけないなと思っています。消費税増税先送りということについては、今の流れを見ていると、景気を落としてしまうという理由は分からないでもないですが、日本国債の格付が下がることによって資金調達コストが上がること、それが日本国の競争力を下げていくこと、ここはもう少し深刻に捉えてもらわないと困るなと思っています。

 あと、財審の委員としましては、ギリシャとドイツを見るだけでも、やはり徹底してやるべきことはやった国が財政再建はしていけると思います。本来は景気条項なしでついている消費税増税の先送りも、もう決まっていることですから、それは、先ほども欧州では憲法改正も含めて財政赤字に歯止めをかける制度が仕組みとして入っていますという意見が紹介されていましたが、ここは大きな違いだと思っていまして、なので、財審の委員としては、消費税増税先送りは避けなければいけないと思っています。

 以上です。

〔宮武委員〕 今日、財政教育の副教材としてお配りしたパンフレットの最終ページに、高い負担であれば高い福祉、低い負担であれば低い福祉になっている先進国の図が出ています。日本は、その当たり前の銀河系の部分から外れていて、低い負担で中くらいの福祉という異様な立場にいるわけですね。

〔質問〕 ありがとうございます。

 

(以上)

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