現在位置 : トップページ > 財務省について > 審議会・研究会等 > 財政制度等審議会 > 財政制度等審議会財政制度分科会 > 議事要旨等 > 会見の模様 > 財政制度分科会(平成27年11月4日開催)記者会見

財政制度分科会(平成27年11月4日開催)記者会見

平成27年11月4日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 

〔吉川分科会長〕 それでは、私から、また会議の概要をご報告いたします。

 本日15時より財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。本日は農林水産、経済協力(ODA)について審議を行いました。いつもと全く同じやり方ですが、委員の方々のお名前は伏せて、いただいたご意見の概要をご報告いたします。

 まず、前半、農林水産ですが、お一人の委員の方から、ウルグアイ・ラウンド時の反省に立って、予算編成において、きちんと道筋をつけて成果目標を立ててほしい、こういうご意見でした。

 次に、もうお一人、別の委員の方は、農政においては、農地の集約、大規模化が何よりも重要だと、こういうご意見でした。

 次に、また別の委員の方は、こうした改革を進める上で、今後、日本の農業の法人化は避けて通れない。こうした観点から、養父市の取組を例に、養父市は現在、特区申請も行っているということですが、そのほかにも従来から改革を進めてきた養父市のすばらしい取組を突破口にしていく必要がある、そして、こうした動きを他の自治体にも広げていく必要があると、こうしたご意見でした。

 次に、また別の委員の方のご意見です。この方は、土地改良事業については、高齢化・過疎化が進む中で、農村のインフラを今後どの程度更新する必要があるのか考えないといけないと、こうした発言をされました。

 次に、もうお一人別の方は、TPPは農業予算を転換させるいい機会であると、こうしたご意見でした。

 次に、また別の委員の方は、ウルグアイ・ラウンド対策の事業費6兆円のようなことは、今後はあってはならないことだと、こうしたご意見です。

 それから、また次に別の委員の方は、農家が経営マインドを持つことや、強い農業を推進することが大切だと、こうおっしゃった上で、さらに続けて、農業については、必ずしも古い職業ではなく、格好いいものだという意識を持つ若者も見受けられる。そうした若者をバックアップするような、あるいはそうした若者の夢が実現するような農政が大事だと、こういうご意見でした。

 それから、もうお一人別の委員の方は、十数年間農業改革を見てきたが、今回、事務局からご説明のあった改革の方向性については、全面的に賛成だと。ただ、いかんせん、農業については改革の足取りが遅い、こういう感想を持っているとご意見を述べた上で、同じ委員の方は、TPPはお金をさらに積むというよりは、本来の農業予算の中身を見直すいい機会と捉えるべきだと、こうした意見を述べました。

 以上が前半、農業です。

 それから、続けて後半の経済協力(ODA)に移りたいと思いますが、まず、お一人の委員の方は、ODAについては、その援助を通して、CO2の削減がどの程度進むのかと。例えば、水力発電の事業はCO2削減効果が極めて大きいが、そうしたCO2削減、地球温暖化や京都議定書など、そのような観点からも強化すべきだと、こういうご意見を述べられました。

 次に、もうお一人、別の委員の方のご意見です。この方は、ODAについては、額の多寡だけで善し悪しを判断すべきではないと思うと。同じ委員の方は続けて、現地の人材も大変重要だと。日本人のOBのボランティアなどを活用して、現地の人材を育て、きめ細かい支援をする必要があると、こういうご意見を述べられました。

 次に、もうお一人、別の委員の方のご意見です。この方は資料2の14ページの図を参照した上で、トータルで見ると十分日本のプレゼンスを示すことができる数字であると、こういうご意見を述べられて、さらに、この同じ委員の方、続けて、開発途上国の成長を日本経済に取り込むといった観点から、ODAに取り組む必要があると。さらにこの方は、続けて、今後、中国がAIIBを中心に攻勢をかけてくるのに対し、我々としてはADBを中心に、トータルで捉えながら、さらにODAを力強く進めていくことが重要と、こうした意見を述べられました。

 次に、もうお一人、別の委員の方は、事務局の資料2の8ページにある、日本のODAの、いわゆるタイド率が低下してきているというグラフに言及されながら、中国の最近の動きを見ていると、タイド率など無視しているように思われる。今後は日本としてもタイド率ということにあまりこだわらずに、質を評価していくべきだと、こうした意見を述べられました。

 次に、また別の委員の方は、資料2の21ページにある、外務省が行う国際機関等に対する拠出の評価を踏まえて、これを予算要求にどのように反映させていくか、さらに整理する必要があると、このようなご意見でした。

 次に、また別の委員の方は、FDIとODAを足し合わせた合計を見るなどのご説明もあったが、民間の直接投資であるFDIと、とODAについては、例えばODAを呼び水としてFDIが増えたのかなど、そうした因果関係をさらに精査する必要がある、FDIとODAの国別の関係等も見る必要があると、このようなご指摘をされました。

 次に、また別の委員の方は、そもそもインフラというのは民間ではなく国が責任を負うべきものだと、インフラ整備のODAとは、その国との関係をどうするかという日本の国家戦略とも絡むため、その観点から考える必要があると、こうしたご意見でした。

 それから、次にまた別の委員の方のご意見です。この方は、国際機関への影響力の観点では、長期的・戦略的に、重要な国際機関に人員をどのように配置していくか、また、こうした人材をどのように育成していくかという観点も重要だ、つまり国際機関で働いている日本人の方は少ないと言われるわけですが、そうした人材の育成というのも課題であると、こうしたご意見でした。

 次に、また別の委員の方は、これは先程お一人の委員の方がご指摘されたODAとFDIの因果関係を見定める必要があると、この点についてさらに精査する必要があると、こういうご意見を述べられました。

 この同じ委員の方は、もう一つ別の点について、イギリスでは拠出金等につき定量的・計量的な評価を行っているが、日本は定性的な評価に留まっている、この点についてはイギリスの方法に学び、さらに定量的な分析を加えるべきであると、このようなご意見を述べられました。

 最後に、もうお一人、別の委員の方は、既に紹介しましたお二人の方とご意見がかぶりますが、ODAとFDIの関係については、因果関係も含め、さらに分析の必要ありと、こういうご意見でした。

 私から以上です。

〔質問〕 すみません、2つ、確認で質問させていただきます。一番最初のところで、日本農業の法人化は避けては通れないとコメントをされていますが、これは予算に落としたりすることが、何らかの形でそういう方向に持っていくようなことが可能な性質のものなのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 法人化というのは、詳しくは主計官に補足していただきますが、米を中心に大規模化というのが、大きな生産性を上げるためにも農地の大規模化、工作面積を大きくしていくというのがもう大目標なわけですね。生産性を上げていくと。そのために、法人化というのは、皆さんご承知のとおり、農地はそれぞれ比較的小さな面積を、特に米作の場合、小さな面積で農業生産者が所有しているわけですが、それを集めて大規模化していくというのが必要、大目標になっているわけで、そのためには法人化が必要だということで、現在、どのようなところまで進んできて、どのような課題があるというのは、少し主計官のほうから補足をお願いします。

〔高村主計官〕 今日の議論とは離れますが、法人化というのは今の農政の一つの大きな柱になっております。水田であれば、法人化まで一気に行けなくても集落営農といって、できる限り作業をみんなで一緒に行って効率化していくということも支援していますし、前提としては、いずれ法人格をとって法人となってもらうということにも取り組んでいます。それから、若者の話がありましたが、若者は法人で雇われて入るという方がやはり農業に入りやすいわけです。そういう意味で、法人が若い人を雇用する時に一定の支援を行っているという施策もございます。

〔吉川分科会長〕 あと、今日の資料にもありましたが、一つのやり方として株式会社の参入ですか、先程もご紹介しましたが、養父市の試みなどもお尋ねの点に関係しているということだろうと思います。

〔質問〕 あと、もう一つは、TPPは農業予算を転換させるいい機会である、農業予算の中身を見直すよい機会であるといったご発言があったと。これは、具体的には予算の使い道として、どういったものからどういったものへ配分を動かしていくということを意味するのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 ご紹介したとおり、二、三人の方が同趣旨のご発言をされたと記憶していますが、要はTPPで多くの農産物についても関税を下げる方向ということですよね。では、どうするということですが、実はTPPが今回出てくる前から、日本の農業について課題として言われてきたことと、全くベクトルといいますか、方向としては同じことです。つまり、日本の農業が生産性を上げて、いわゆる強い農業になると。それは別にTPPで始まったことではなくて、もう積年の課題なわけでしょう、日本の農政について。それで、今回、TPPということが出てきたわけですが、それは日本農業にとっての積年の課題を本当に解決しないといけないということを改めて日本の農業に迫ってきたということであって、方向が違った方向に行く、もしくは従来ある方向で農業改革を進めてきたのを軌道修正しなくてはいけないといった話は全然ないわけです。もう繰り返しになりますが、全くベクトルとしては同じ方向の話なので。

 ですから、そうした従来からの改革の方向性を実現するといいますか、先程もご紹介しましたが、1人の委員の方がとにかく遅いというようなご発言をされていたわけです。繰り返しになりますが、ベクトルの方向を修正しなくちゃいかん、改革の方向を修正しなくちゃいかん、そういう話ではないですからね。これを加速すべきだという話だと理解しているわけで、そんなような趣旨で二、三人の方がご発言されたと、そういうことだと思います。

〔質問〕 TPPの関連予算についてお伺いしたいのですが、委員の方から、ウルグアイ・ラウンドの反省に立ってというご発言もあったと思います。今回、TPPの関連予算が部会などで話し合われていますが、ウルグアイ・ラウンド対策の6兆円をどのように委員の方は評価して、どういう予算になればいいという財審の考えなのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 ウルグアイ・ラウンドについては、お手元の資料1で、当時の新聞報道関係の新聞の評等でも非常に厳しい評がなされていましたし、今日の財審の委員の方のご発言でも、ウルグアイ・ラウンドの時のパフォーマンスはよくなかったというネガティブな評価だと思います。反省に立って、今回、やらなくてはいけないということは、前回はあまりよくなかったという話ですよね。

 ですから、先程2点目の時にお話ししたことと重なるわけですが、日本の農業が変わらなくてはということについては、前々からずっと同じような議論がされてきたわけで、米作でも大規模化しなくてはいけない、そのために法人化も必要だろう、それから今日の財審の委員の方のご意見で思い出すのは、例えば若い人が農業をやりたいと思うような農業でないとしようがないだろうと、こういう話だったかと。

 今日のお手元の資料でも、皆さんもよく目にされる資料かもしれませんが、4ページ、これ、普通の会社だったらどうなんでしょうね。従業員の年齢構成がこういう会社だったら、やはりまずいと誰でも思うわけでしょう。もう既に紹介済みですが、潜在的には、都会の工場ではなく、何といいますか、青空のもと緑に囲まれて農業をやりたいと、自分の性格には農業が合っていると思っている若い人はいるのではないですか、本当に。そういう人たちが働きたいと思うような農業にしなくてはいけないと、こういうことですよね。問題は、10年も15年も20年も同じことを言って、それがなかなか実現できないままに、この4ページのようなことになってきているわけです。

 ですから、先程お話ししたことと重なりますが、TPPというのは従来の方向を変えることではなくて、従来の方向を加速化するということでしょう。それには安易にお金を積むという話ではなくて、お金の使い道をよくよく考えるということではないでしょうか。それが財審の委員の方が、多くの方がおっしゃっていたことだと思います。

〔質問〕 今日のこの議論と直接は関わらないかもしれませんが、2つお尋ねしたいことがございます。1つは、このODAに少し関わるかもしれませんが、日韓の首脳会議がこの間、行われまして、慰安婦問題について政府が予算化するというような報道がされています。これは額としてはそんなに大きな話ではないと思いますが、こうした極めて政治性の高い予算について財審で議論することがあるのだろうかという質問が1点。

 もう一つは、今日、今朝、自民党で文部科学部会というものがありまして、先頃財審で提案のあった文部科学予算について、教職員を10年間で3万7,000人自然減できるでしょうと、それ以上に要求する場合は根拠を示せといった財審の考えについて反論をしているわけですが、この部会に財審の方々や財務省の方々を呼んで話し合いたいというような意見も結構出ました。こうした自民党側の動きについて、先生はどのようにお考えでしょうか。

〔吉川分科会長〕 1点目は、結論的には韓国の問題ですが、全然そうした議論はしておりません。ですから、1点目はないということですよね。

 それから、2点目は非常に具体的なお話ですが、財審の考え方というのは、これは具体的にお話があったのは文教予算だったと思いますが、例えば医療でも、介護でも、農業でも、もちろん文教でも、科学技術でも、もう全てだと思いますが、税金を使って様々なことをやっていこうという時に、やはり合理的にそのお金がきちんと使われているのか。それは、医療などでよく言うエビデンス・ベーストで議論されなくてはいけないというのが財審の基本的な立場だと思いますよ、全てについて。

 ですから、財審である主張なりをした時、当然、反論はあり得ると思います。全員が全てのことに、財審が言うことに賛成ということはないと思います。それはもう世の中の議論、人間の世の中での出来事、全てそうですよね。それはそれで結構ですが、その場合には反論についてもやはりきちんとした理由、財審が主張していることはこういう理由でおかしいと、それを言っていただけば、我々の審議会としても当然、その意味で言えば、それについて議論する義務があるだろうと思います。ただ、そうした根拠がないままに、なんといいますか、力関係だけで議論していても言うことは一つもないだろうと思います。

 ですから、具体的なお話に対してやや抽象的ですが、でも、それが財審のグランドルールだろうと私は思います。また、財務省の予算の査定というものにおいても、当然、それがベースになるだろうと。国の限られたお金をきちんと使っていく、そのためには合理的な根拠があるのか、またエビデンス・ベーストで合理的な理由があるのか、常にそれは問うべきだろうと思いますし、それがプリンシプルになっているのだろうと思っていますが、財審も同じような考え方で委員の方々も様々意見を述べられているのだろうと思っています。

〔質問〕 経済協力の関係で1点教えてください。委員の中で、中国がAIIBで攻めてくる中、日本はADBと組んで、今後さらに力強くODAを進める必要がある、またタイド率について中国がタイド率を無視した動きをしているのではないか、日本もタイド率にこだわらず質を重視していくべきであるなど、個人的には大変腹の座った発言なのかなと思うのですが、他の委員の方々のご発言に比べると結構毛並みが違うのかなと。この手の、アジアの覇権とODAを絡めてのご発言というのは広がりを持つものなのか、それとも、ただお一人の個人的な発言と見るべきなのか、会の雰囲気を教えていただけませんでしょうか。

〔吉川分科会長〕 どうでしょう、その限りで言えば、フェアにご紹介すれば、今、おっしゃったようなご意見を述べられたのはお一人ではなかったと思います。それは、初めの方で私がご紹介した、ODAについてはその額の多寡のみで判断するべきではないと思うというご意見を述べられた委員の方もいらっしゃって、これは、委員の方ご本人のご発言に基づいて、なるべく正確にと思ってご紹介させていただいたわけですが、額だけでというようなご発言の背後には、どういうのでしょう、いわゆる経済発展的なものだけではなくて、もう少し広く、国際政治や何かの背景も踏まえてODAは考えなくてはいけないと、そういうお考えがあったのだろうと私は理解しています。ですから、何人と別に数えたわけではありませんが、ODAというのは単に経済のロジックだけではないとお考えの方はフェアに言って複数いらっしゃるというのが、私は財審を皆さんにお伝えするフェアなご紹介だろうと思います。

 ただ、これは全てについて、これまた財政制度等審議会は財務省の審議会ですから、全ての事柄について、そのことプロパーについて立ち入って様々な議論をするという場では必ずしもない。全ては、最後はお金、予算との関係で議論するのが私ども審議会の役割だと思いますので、どうしてもそれぞれの事柄、それは文教でも、科学技術でも、何でもある意味で、その限りで言えば今日の農業でも、最後のところではお金の話に引き取るということですので、ODAから始まって国際政治の様々な話を財審の場で大議論するというのは、財審としてはやや外れているということになるという感じで、いつも議論しているということだと思います。

〔質問〕 どうもありがとうございました。

〔吉川分科会長〕 どうもありがとうございました。

 

(以上)

財務省の政策