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財政制度分科会(平成27年10月9日開催)記者会見

平成27年10月9日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 

〔吉川分科会長〕 本日の14時より財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。

 本日は議題2つ、前半が「我が国の財政に関する長期推計」、後半が「社会保障」の第1回目ですが、特に総論、経済・財政一体改革の改革工程、障害福祉といったテーマにかかわる社会保障について、審議を行いました。

 それで、いつものとおり、私から委員の皆さんのご発言を紹介させていただきます。 

 まず、前半の議題、「我が国の財政に関する長期推計」であります。いつものように委員の方のお名前は伏して、1人の委員の方がという形でやらせていただきますが、まず、お一人の委員の方は、この推計を見た上で、このシミュレーションには、日本の財政は非常に厳しく、大幅な財政収支の改善が必要だという大きなメッセージがあり、これを世の中に幅広く説明していく必要がある。このようなご意見を述べられました。

 それから、もうお一人、別の方は、このシミュレーションを見て、財政が厳しい中、その第一歩として、「経済・財政再生計画」に記載された歳出水準の「目安」はきちんと守っていくことが重要だ、という意見を述べられました。

 それから、また別の委員の方も、要するにこのシミュレーションの数字を見て、かなり厳しいことを行わなければいけないということが基本的なメッセージだと、このようなご意見を述べられました。

 それから、またもうお一人、別の委員の方のご意見です。この方は、今後、社会保障がどうなっていくのかを国民により理解してもらわないと、財政の収支改善はうまくいかないのではないか、せっかく今回、長期推計をアップデートしたのだから、幅広い国民的議論につなげていく必要がある。このようなご意見でした。

 それから、また別の委員の方のご発言です。この方は、今回の長期推計の結果を見て、財政の収支改善に向けた努力を、「今すぐ」実行しなければならない。これが今回の長期推計のメッセージだというご意見でした。

 それから、また別の委員の方のご意見です。この方は、今回の長期推計をご覧になって、やはり「年齢関係支出」、主に高齢化に伴って増加する支出で、具体的には年金、医療や介護ですが、それが2020年度から2060年度にかけて、医療が1.3倍、介護が2.5倍と大きく上昇することが見て取れる。年金も対GDP比で上昇するが、年金の上昇もさることながら、年金以上のハイペースで医療、介護の増加度合いが大きい。従って、今後は年金だけではなく、医療と介護も重要分野として認識し、財政再建に向けて考えていかなければいけない、このようなご指摘をされました。

 それから、もう一人、別の委員の方のご発言です。皆さんご承知のとおり、7月に内閣府が公表した「中長期試算」は、2023年度までの推計です。今回の長期推計で、2023年度をはるかに超えて、2060年度という長期を見通すということは様々な意味で大きな意味がある。財政再建の話というのは2023年度で終わるわけではなく、2020年度の国・地方のPB黒字化はもちろん、内閣府の推計の終点になっている2023年度をはるかに超えた課題がある中で、そこまでを見通した長期推計を出すということに大きな意味がある、このようなご発言でした。

 それから、同じ委員の方は、今お話ししたことに続けて、この長期推計は日本の財政の定期検診のような役割を持っている。今後も定期的にこのような長期推計を行っていく必要があるといったご発言もされました。

 さらに同じこの委員の方は続けて、今回のこの長期推計を見ると、かなり長期にわたって一定のPB黒字幅を続けていかなければならないということがわかる。そのことを我々は共通認識として持つ必要がある、このようなご意見でありました。

 それから、もうお一人、別の委員の方のご発言です。社会保障というのは大きなアイテムであるわけですが、社会保障にかかる負担にどのように対応していくのかという観点からは、給付の抑制という選択肢も視野に入れなければいけない。このようなご発言でした。 

 以上が前半、長期推計に関して委員の方々がご発言された内容です。

 続けて、私から、社会保障のほうについてもご紹介いたします。後半、社会保障について審議をいたしました。

 まず第1に、お一人の委員の方のご発言です。お手元にある社会保障の資料を事務方にかなり詳細にご説明いただいて、それに基づいて委員の方々からご発言があったということですが、かかりつけ医の推進は、医療の機能分化を進めていく上で肝である。そのような制度改正であるから、きちんと進めるべきだ。このようなご意見でした。

 それから、かなり多くの委員の方のご意見が重なったのですが、次のもうお一人、別の委員の方のご発言です。この方と似たようなご意見はかなりあったと思いますが、この委員の方は、とにかく「骨太の方針2015」で示された44項目というのはいずれも重要、工程表の策定やPDCAサイクルの着実な実施を行う必要がある。このようなご意見です。

 それから、次の委員の方のご発言。この方も、工程表をきちんと策定すべきだと。

 それから、医療の改革等には都道府県等、地方も関わるわけですが、地方に対して予算とともに改革を進めるインセンティブを付与することが大事だ。このようなご発言がありました。 

 また、別の委員の方のご発言です。この方は、やや個別の論点でありますが、終末期医療のあり方については、国民的な議論が必要だと思う。このようなご意見でした。

 それから、次に、また別の委員の方は、この方は病床の問題とも絡めて、医療と介護の連携といった観点から、介護人材の確保、質の向上が重要だと。病床の問題というのは、病床を抑制する、削減するということがお手元の資料でもうたわれているわけですが、医療の世界で入院していた人で、介護の世界に移れる人は移ってもらうということであれば、介護の分野でのいわゆる受け皿が当然必要になり、それを充実させる必要があるし、また、関連して介護分野でのしかるべき人材の確保、質の向上が重要だ。このようなご意見を述べられました。

 それから、次に、もうお一人、別の委員の方のご意見です。この方も、工程表の重要性を述べられた上で、改革については、前倒しで行う必要性を国民に訴えていくことが重要と。

 それから、同じ委員の方は、今のご発言に加えて、一般にということですが、高額の所得のある、つまり経済力のある高齢者の方には、応分に負担していただく必要があるというご意見でした。

 それから、次に、もうお一人、別の委員の方のご発言です。この方も、1つ前の委員の方と重なるところがありますが、特に年金制度について、余力のある高齢者の方には、それなりの負担を求めることが必要である。そこで生まれてくる財源については、子育て世代への支援や出産支援等、少子化対策に重点的に配分すべきである。このようなご意見を述べられました。

 それから、もうお一人、別の委員の方のご発言ですが、この方も、前の委員の方と重なるところがあるわけですが、7つの分野について工程表が決められているが、それをきちんと進めていくことが大切と。前倒しができるところは、当然前倒しでなるべく早くやる。

 それで、その工程管理を財審でもきちんと見ていくことが必要。このようなご発言をされました。

 同じ委員の方は、もう1点、ご発言されて、これもお一人、前に紹介済みですが、いわゆる終末期医療については、国民的な議論をする必要がある。このようなご意見でありました。

 それから、また別の委員の方は、論点としては重なりますが、フローとしての所得だけではなく、ストック、資産についても考慮に入れて、負担能力のある高齢者には応分に負担してもらう必要がある、このようなご発言でした。

 それから、また次に、別の委員の方のご発言に移りますが、この方は、工程表の実効性を担保する仕組みをきちんと確保する必要がある。

 それから、もう1つ、別の論点ですが、同じ委員の方、地域医療体制を強化することが重要、このようなご発言もされました。

 それから、次に、もうお一人、別の委員の方のご発言ですが、社会保障、福祉分野でのいわゆる事業者の事業内容については、見える化が必要。各事業者が事業内容を公表する、すなわち事業者によるディスクロージャーが自己規律を効かせる、という事業者のガバナンスという観点からも大変重要である。このようなご発言でした。

 それから、また次、別の委員の方のご発言です。財政健全化計画は、大胆な改革をスピードアップして行うことが必要である。

 それから、最後にもうお一人、別の委員の方は、この方も既に何人かの方がおっしゃったことですが、経済力、負担能力のある高齢者については、自己負担を増加させるべきである。この方は後期高齢者医療制度との関連で、そのようなご発言をされました。

 あと、介護保険についても同様と。要するに、もう何人かの方が同じようなご意見述べられてきたわけですが、経済力のある高齢者については、現役世代と同じように負担してもらうべきであると。このような趣旨のご発言だったということです。

 私からは以上です。

〔質問〕 ありがとうございました。

 先程、先生のお話の中で、終末期医療について国民的な議論が必要だというご意見が何度か出たということでしたが、これをもう少し具体的に見るとどのような趣旨になるかを、少し教えていただけますでしょうか。

〔吉川分科会長〕 これは、別に財審でどうこうということではないと思いますね。私の理解では、まず、いわゆる終末期医療があって、既に世の中で様々に議論されています。今日、お二人の方が言及されたかと思いますが、財審の具体的な議論の中でどうだということではありませんが、財審としては、財政の中で社会保障が大きい問題だと。さらにその中で医療というのも、1つ大きな問題だと。様々な面から考えているということですが、財審で議論をすべきだというご発言ではなくて、国民全体で議論を深める1つの論点、問題ではないか、このような趣旨の発言を2人の方がされたということです。

〔質問〕 もう1点、何度か経済力のある高齢者には応分の負担をということがありました。では、委員の先生方の間で、経済力のある高齢者というのは、どの程度の経済力というイメージであるのかというお話はありましたでしょうか。

〔吉川分科会長〕 要するに、考え方としては、年齢という基準で高齢者として線を引くのではなくて、現役と同じ基準で考えるべきではないかというのが趣旨だと思いますよ。一体、幾ら以上の収入がある人ならば生活が楽だ、裕福かと点について絶対的な水準がないというのは、高齢者だけではなく、現役世代にもないと思います。今日の財審での議論、あるいはその他の違った場でも議論されているだろうと私は思いますが、要するに、高齢者だから、高齢者は一様に弱者であるというのはおかしいのではないかと。これは、よく例え話的に言ってきたのは、例えば70歳の人でも、会社の社長さんがいるかもしれない。一方、30代で非正規の社員で、子供を2人抱えているという人もいるかもしれない。そのようなときに、70歳だから前者のほうが弱者であるというのは、おかしいのではないか。やはり、経済力というものは、年齢でただ画一的に分けるのではなく、いわゆる高齢者の中にも、現役世代の人よりも経済的には楽な人はいるのだから、社会保障税、あるいは様々な給付にしても、年齢で分けるというのではなく、本当のニーズ、経済力に応じて考えるべきということが、今日も何人もの方がご発言されましたが、趣旨だと思います。

〔質問〕 念のための確認ですが、今日、個々の論点がとてもたくさん出てきましたが、その個々において、委員の方々から、何かしら事務局案に対して物申しがついたことはありますでしょうか。

〔吉川分科会長〕 社会保障のほうでよろしいのですよね。

 今日の審議では、お手元の資料2というのを見ていただくと、確かに個別の様々な論点がありますが、結論的に方向性として、これはおかしいというようなご指摘やご発言はなかったと思いますね。ですから、概ねこのような方向で改革をきちんと進めなくてはいけないという議論だったと思います。

 正確に1つだけお伝えしておくと、いわゆる総報酬割については、ポジティブな意見、それから、やや反対の意見が1:1くらいであったという感じですかね。ただ、全体として見れば、最初に申し上げたとおり、具体的な様々な提案に関して、これは少しおかしいというようなご発言やご意見はなかった。むしろ、改革をきちんと進めるべきだという話でした。

〔質問〕 今の総報酬割に関して、賛否の両方の意見があったということですが、これは前期高齢者の医療の話なのか、それとも介護の納付金の話なのか、どちらですか。

〔吉川分科会長〕 今日は、どちらで出ましたかね。そこだけ少し事務局のほうでお願いいたします。

〔小宮主計官〕 補足をさせていただきますと、総報酬割について、社会保障支出の削減をやはり行う必要があるのではないかという観点からの慎重なご意見について、この方は参考資料17ページの介護納付金のほうだったと思います。

 賛成の方、ぜひやるべきというような方も、そちらを参照されてということです。

〔質問〕 議題の最初の長期推計ですが、委員の先生からも、国民に理解してもらうことが大事だというご意見がありました。この長期推計については、せんだって富田先生からご解説いただきましたが、2020年度時点から一気に改革をするというテーマになっていますので、ぱっと見ると、私のレベルでは非常にわかりにくい、難しい、理解するのが精いっぱいだったと思います。もう少し、これまでの内閣府の中長期試算の延長線上的な長期推計をやろうというような意見は、先ほどのご紹介ではなかったようですが、委員の先生方はスムーズに理解できたのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 富田先生にももちろんご発言いただきますが、私から1つだけ補足させていただきますと、これはもちろん、2020年度時点でPBを1回で改善させる、この文字どおりここにあるパターンでやるべきで、これこそがあるべき姿だというわけではないです。そうではなくて、要するに、債務残高対GDP比が発散してしまうということは、財政破綻のほとんど定義ですから、債務残高対GDP比がどこまでも発散するということは、何が何でも避けなくてはいけないというのが出発点です。そして、それを避けるためにはどうすればいいかということで、今から債務残高対GDP比を少し下げていくのですが、クラッシュ系のパスを避けて、2060年度から先はフラットに推移するというのが1つの財政再建のシナリオということです。もちろん、財政再建のシナリオを変えるということは、論理的にはいくらでもあります。同じようなことを2070年度で行うとどうだ、2050年度からだったらどうだ、それは様々ありますが、そのシナリオを議論していてもあまり生産的ではないので、2060年度という時点で債務残高対GDP比を安定化させるという1つのシナリオを考えます。そうなると、放っておいたら発散するというわけですから、財政を健全化する必要があるわけです。

 そして、財政健全化していくのが、年々のところの時間経路ということであれば、これまたありとあらゆるパターンがあり得ます。ただ、起草検討委員で行ってくださったのは、EUの委員会に基本的に倣っているということです。ありとあらゆるパターンがありますねということだと、ある意味でメッセージ性もないし、何を言っているか分からないということになります。

 2060年度に債務残高対GDP比を安定させるという意味での財政再建をなし遂げる、そのためには財政健全化の要対応額というのが当然あるわけです。それを表現する1つの方法として、1回で収支改善を行うとしたら、2020年度時点で、一体どの程要対応額に影響を与えるか、要は、要対応額は、健全化のために必要なものを1つの方法として表現しているということです。

 我々は2020年度でPBを黒字化すると言ってきました。黒字化という日本語は使ってきましたが、実は実質ゼロにするまでに、どれ程ギャップがあるかという議論をずっとやってきたわけです。しかし、実は国・地方PBの赤字がゼロというのは本当のゴールでは全然なく、本当のゴールを財政の健全化と考えれば、本当のゴールへの道のりにはこの程度距離がありますという1つの表現と捉えていただくことかと思います。マラソンに例えれば、その必要なゴールまでの距離を、どのようなペースで走っていくかというのはまた問題で、あと何キロ残っているか、その何キロをどのような速度でランナーは走っていくかということは別途また考えなくてはということかもしれませんが、とにかくあと何キロゴールまで残っているかを、まずはみんなで確かめて、これくらいきついのかと認識する。2020年度が仮に中間だったとしたら、最終ゴールまで、まだこれくらいあるということを、みんなで情報を共有しよう、それが財政健全化に向けた第一歩だろう、という形で捉えていただけばと思います。

 では、実際に試算をやってくださった富田先生から。

〔富田委員〕 この試算は、現行制度が続く場合ということを、できるだけ客観的に描写するため、客観的なモデルを使って、そして長期的に債務残高対GDP比を安定化するための条件を理論的に求めたものです。実は、去年の4月には、2060年度に債務残高対GDP比を100%にするという目標を設定いたしました。そうすると、なぜ100%かというご質問を、この場でもいただきました。ですから、100%というのは、恣意的ではなく、分かりやすい前提でしたが、今回はそれも外して、長期的に安定する条件を求めました。

 もう1点、去年は、2021年度から2026年度までの5年間で、どれだけ収支を改善する必要があるかというものを求めました。しかし、これでは他の国との比較ができません。他の国と申しますのは、欧州委員会がEU各国に対して行わせているチェックです。先ほど吉川先生がおっしゃったように、一時点で恒久的な処理を行うという、非現実的かもしれませんが、そのような形で厳密な計算をした答えを以て初めて他の国と比較できます。

 従いまして、お尋ねの点ですが、例えば3ページで、2020年度時点で1回に対GDP比で11.12%、あるいは金利成長率の格差の部分を除きますと、中段にございますように6.62%から6.75%の収支改善を行えば、債務残高対GDP比は安定します。しかし、これの読み方として、例えば、収支改善を単純に5年間で行うとすれば、この5分の1ずつ恒久的な措置を毎年やるということになります。改革が遅れれば、遅延コストが発生いたしますので、若干それよりも計算上必要額は増えると思いますが、アバウトに言えば、このようなことを意味しております。

 いずれにしても、今日、様々なご議論、ご意見を財審の委員の皆さんからいただいたのは、やはり早期に改革が必要であって、これまでの取組に、まずは着実に着手することが大事で、2020年度まではしっかりやるということでした。しかも、2020年度に国・地方PBが均衡したとしても、まだ必要な収支改善幅がこれだけあるので、先ほど吉川先生からご紹介があった今日の議論ですが、社会保障の44項目の改革のタイムスケジュールをきちんとつくり、それに取り組み、将来の日本全体の少子高齢化の姿を見ながら、この改革のタイムテーブルをきちんとつくっていきましょうということだと思います。

 ですから、改革を行わないと社会保障支出は一層増加する中において、着実に倦まずたゆまず歳出の効率化を進めようということがメッセージです。その規模感をお持ちいただくのが、この試算だということであります。

〔質問〕 今、ヨーロッパと財政状況を比べられたということで、このような計算の方法になったということだと思いますが、果たして今の日本の財政というのは、もはやヨーロッパと比べても明らかに悪いことが如実になっていて、ヨーロッパの国々と比べることが、果たして日本の財政状況が悪いということを示すのに、一番得策かどうかということが1つ、疑問としてあります。

 あともう1点、先ほど債務残高対GDP比が発散することが破綻の定義だというお話がありましたが、発散するというのは、もう少し具体的に言っていただくと、どのような状況であるのか、その発散のイメージをもう少し詳しく教えていただきたいのですが。

〔富田委員〕 まず、1点目ですが、例えばOECDのエコノミック・アウトルックがいつも発表いたしますように、我が国財政の状況というのは、ご指摘のとおりの状況です。

 今回もそうですし、これまでの試算も同様に、なぜ欧州委員会の方法をとっているかというと、できるだけ国内で広く信用されるというとおかしいですが、客観性が担保されている方法を採用したということです。試算すれば、必ず様々な前提が必要になってまいります。前提のところで、様々な議論があって、対立し合うということでは不毛に終わってしまいますので、試算の方法について客観性を得るために、欧州委員会が加盟各国に対して共通の手続、共通のモデルでもって計算している方法を採用したということでございます。ですから、比較だけが目的ではないということが1点です。

 もちろん、財政状況を、この長期推計の結果でもって比較するということは行っておりますが、やはり共通の指標で行わないと、将来推計が客観性ある比較にならないだろうということから、1番目に欧州のものを使ったというのは、そのような理由でございます。

 それから、2番目の問題は、これは国といえども借金はどこの国も返さなければなりません。借金を返すということはどういうことかというと、将来の黒字から返すわけです。したがって、将来発生するであろうPB黒字の割引現在価値の合計よりも債務が小さいとマーケットは確信しているから取引ができているわけです。つまり、必ず返されるという前提がないと、取引の対象にはなりません。従って、そのことを別の言葉で表現しますと、債務残高対GDP比が発散しないという状況を絶えず担保していく必要があります。それを具体的に、どれ程収支改善幅が必要かということで計算したのが、この欧州委員会の方法であるということです。

〔質問〕 先程、あと何キロ残っているのかを示すための%ということでしたが、どうしても%ですと若干イメージが湧きにくいところもあって、これは例えば、6ページの場合ですと、2020年度における内閣府の試算だとGDPが約594兆円だったかと思いますが、その2.何%、ないし7.1%というように自動的に計算したら、これだけの金額が残された道だということでよろしいでしょうか。

〔富田委員〕 はい。

〔吉川分科会長〕 1つ前のご質問に戻りますが、日本の財政が非常に厳しい中で、もはやこのような推計を出す意義がどこにあるのかという質問が1点目にあったと思いますが、それは我々としては逆で、やはり経済の議論というのは、どこまでも数字で議論すべきだと思います。例えば私が極端な肥満になって非常に厳しい、だから体重計に乗るのはやめようというのは、恐らく間違っていて、そうであればあるほど、危機的に肥満であると自分が考えれば、体重計に乗るべきです。経済の議論というのは、どこまでも、繰り返しになりますが、数字で議論すべきであって、財政が非常に厳しい、財政再建を進めなければいけないというときに、やはり数字が必要です。この起草検討委員が行ってくださった長期推計は、そのような意味で非常に意味のあるインフォメーションです。この長期推計だけで決め打つというわけではないでしょうが、例えば経団連、同友会、様々なところで出されている試算も、起草検討委員が出された長期推計も、1つの重要なインフォメーションとして、それこそ国民的な議論の材料になるべきものだというのが我々の考えです。

〔質問〕 欧州委員会の推計に関してですが、ヨーロッパ等では、こうした試算をもって国民的議論を行っているのでしょうか。

〔富田委員〕 国民的な議論があるかどうかは別にいたしまして、各国と欧州委員会の間では非常に真剣なやりとりがなされております。それは、マーストリヒト条約において、財政赤字対GDP比3%以内と、債務残高対GDP比60%という目標を定めているからです。このやり方は、仮に財政状況が悪い国がつくった中期財政計画がマーストリヒト条約を満たすようなものになっているかどうかを、欧州委員会がチェックするためでもあります。ですから、某国が中期財政計画をつくり、それが果たしてマーストリヒト条約を長期にわたって満たすことができるのかどうかということを計算するときに使うわけです。

 そのような極めて大事なことに使うわけですから、できるだけ客観的なものでなくては困るので、前提は、現行制度が続く場合としており、あとは年齢構成、人口構成が変わることによって、どの程度財政状況が変わるのかを客観的に示します。それによって財政状況が悪化するという国であれば、マーストリヒト条約を満たすための収支改善が、どの程度必要かということを示すことになるわけです。

 ですから、非常に真剣なやりとりになります。ただ、その真剣なやりとりの中に、例えばギリシャのように、実はこの方法は2006年から欧州委員会はやっていますが、2006年のレポートにはギリシャの年金統計は不十分だから、ここで出てきたS1、S2という値は、きちんとしたものかどうか分からないというような脚注がきちんとついておりました。ですから、データが違っていると困るわけです。

 我々は、我が国に当てはめるときに、細心の注意を払っているということであります。

〔吉川分科会長〕 全く先生のおっしゃったとおりですが、補足させていただくと、欧州ですと、国民的な議論にならざるを得ないのですね。ですから、このような指標を使って、各国はEUと話し合いをしなくてはいけません。EU加盟国というのは、ある種、EUから制肘を加えられるというか、たがをはめられるわけです。それは、例えばそれぞれの国でいえば、社会保障や何かについて見直しを迫られるといった様々なことがあるわけですから、国民的な議論にならざるを得ないと思います。

 我が国の状況は、EU加盟国とはもちろん違います。しかし、むしろ、我が国はそれだけ自立性をもちろん持っています。ですから、このようなインフォメーションを無視していいというわけではなく、重要なインフォメーションに対して自らその重大さに気づいて、自律的に様々な改革を進めなくてはいけないということだと思います。

〔質問〕 先程の長期推計についてですが、推計を行うにしても、例えば6ページでいうと、グラフで7.10%とありまして、しかし一番目立つところに2.46%から2.65%、残された距離の%があります。これは、例えば1つだけを紹介せざるを得ないというときには、どの数字をとると一番誤解が少ないのでしょうか。

〔富田委員〕 まず、一般政府ベースで、欧州と比較できるのはケースマル1マル2です。しかし、現行制度が続く場合というのは、2020年度までのPB黒字化を行わないというケースで、財政健全化目標との関係ではあり得ないと考えています。ですから、例えば、目標の達成を前提とすれば、ケースマル2ということになります。

 ただ、これは、2020年度まではまだなにも行っていないことを前提にしています。閣議決定したものだから、行うだろうという前提で2020年度まではこれに取り組むということであります。

 ケースマル2で例示しますと、表の真ん中に1番、2番、3番とありまして、必要な財政収支改善幅9.78%の内訳が出ております。このときに金利と成長率格差について、様々なご意見があろうかということも考えまして、1番と2番を合計したものが5.34%から5.47%というように示しております。複雑ですが、1番と2番の合計だけがいいのか、3番まで足すものがいいのかというと一概には言えませんが、3番まで足したものが、債務残高の長期安定と符合したものですので、その点もご留意ください。

〔質問〕 ありがとうございます。

 

(以上)

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