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財政制度分科会(平成27年9月30日開催)記者会見

平成27年9月30日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 

〔吉川分科会長〕 本日15時より行われました財政制度等審議会財政制度分科会の概要をお知らせいたします。本日は前半、概ね45分程ですが、麻生財務大臣にもご出席いただきまして、大臣とのフリーディスカッションを行いました。後半では、お手元に配付されている、「戦後の我が国財政の変遷と今後の課題」という資料を事務局からご説明いただいて、それについて委員の方々からご意見をいただきました。

 まず、前半の大臣とのフリーディスカッションですが、幾つかのご意見等いただきましたが、一番大きな点として2つ、具体的な提案が委員の方からございました。それぞれについて、大臣からご支持をいただいて行うことになりました。

 順不同ですが、1点は、先般、皆さんご承知のとおり、「経済・財政再生計画」が閣議決定されましたが、これを踏まえて、昨年春の財審で行った財政の「長期推計」のアップデートをすべきだというご意見があり、それに対して大臣からは、確かにそうだ、アップデートを行い、財審の場で報告してくださいというお話がありました。

 2点目は、もうお一人、別の委員の方からですが、社会保障や財政の改革を進める上で、女性の目線で財政について考える、財審の公聴会のような機会を設けるといいのではないか、このようなご提案でした。これについては、過去には、平成18年に行ったことがあります。公聴会の名前等はまた別の話ですが、大きなコンセプトとして、女性の目線で財政について考える公聴会のようなものをやるべきだというご提案に対して、麻生財務大臣から、それは確かにいいのではないか、歓迎しますというご発言をいただき、そこから後は皆さんご承知のとおり、財審にも女性の委員の方々もかなりいらっしゃいますから、特に女性の委員の方と、それから、事務局で相談して、少し話を詰めてくださいという話になりました。

 フリーディスカッションでの具体的な話は今2点ご紹介しましたが、そのほかは、またいつものように委員の方のお名前は伏せながら、ご発言の趣旨、内容を皆さんにお知らせします。

 1つ目は、もう既にお話ししたことですが、「長期推計」の提案の中で、提案された方は、2020年度にPBが黒字化したとしても、高齢化の影響が留まるわけではない。このため、財政については長期的な展望を行うことが必要である。先般、「経済・財政再生計画」が閣議決定されたことも踏まえ、昨年春の財審で行った財政の「長期推計」のアップデートをすべきだという委員の方のご発言に対して大臣のほうから、それは確かに必要だ、アップデートして、財審で報告してください、というお話だったということです。

 それから、もうお一人、別の委員の方のご発言です。本日の会議の冒頭で、大臣が、来年の予算では、「経済・財政再生計画」で決めたことをきちんと行うと発言されましたが、これは大変心強い。高齢者は全員が弱者というわけではなく、中には恵まれた方もいらっしゃる。そのような状況にあって、負担できる方には負担のお願いをすることを、大臣からはきちんと発信していただきたい。具体的には、社会保障給付の抑制など。国民の理解、納得をどのように得ていくか、大臣には、その先陣を切って進めていただきたい。こうした大臣への要望という形でのご発言がありました。

 それから、もうお一人の別の委員の方は、先日、格付会社が日本国債を格下げしたが、その理由として、財政再建が不透明という点が挙げられていた。やはり財政再建を着実に進めていかなければならない、このようなご発言でした。

 それから、もうお一人の委員の方は、補正予算については、いつもこの時期になると補正を組めという圧力が出てくるが、そこは慎重に考えなければいけない。このようなご発言でした。 
 大臣とのフリーディスカッションは以上です。

 後半は、お手元にある分厚い資料、こちらを事務局からご説明いただいて、それに基づいて議論がありましたが、かなり具体的な議論もあり、例えば、1人の委員の方は、34ページのグラフに言及され、特に日本とドイツについて、ドイツと日本を比較すると、そこに重要な問題提起があると思う。ドイツでは、シュレーダー改革、社会保障改革、労働市場改革、コーポレート・ガバナンス改革等を実施していたという点が重要だ。やはり、そのような改革をきちんと行わなければいけないということを指摘されました。

 ご存じのとおり、ドイツも出生率は非常に低く、日本と同じように人口減少大国ですが、ドイツでは改革を随分きちんと行っている、そのような姿勢を日本は見習うべきだ、このような趣旨のご発言だったと思います。

 もうお一人、別の委員の方のご発言です。この方は、資料にあったバブル期について、バブルの時代に政府債務残高をもっと減らせていればと考えてしまう。将来については、2020年度のPB黒字化目標も踏まえ、収支改善したとしても、政府債務残高の着実な抑制をしていかなければ、バブル期の教訓を踏まえたことにはならない。

 こちらに関しては、2020年度のPB黒字化という具体的な目標が、さらに2020年度を越えて、債務残高対GDP比を下げていくところまで考えていかないと、バブルのときももう少し先まできちんと減らしておけばよかったのにという、その教訓が活きていないということになってしまうのではないか、このようなご発言だったと思います。

 もうお一人、別の委員の方のご発言です。この方は、戦後70年のグラフ等をご覧になって、戦前の軍事費の増大、戦後の大混乱の中でも財政再建が行われたということは、現在に対する大きな教訓である。

 それから、同じ委員の方は、経済全体をよくするということも必要だが、そのためには、切り詰めるところ、使うべきところをきちんとメリハリをつけて行っていくべきだ。このようなご発言がありました。

 次に、また別の委員の方のご発言です。今回は非常に詳しい資料に基づいて、戦後70年を振り返ったが、これが単に過去を回顧したというだけではしようがない。財政の問題はやはり長期的な視点から考えていかなければいけない。過去70年の教訓をできるだけ将来に活かすような形で、今回の我々の議論を活かす、具体的には建議の中に盛り込んでいかなければいけない。このようなご意見だったと思います。

 次に、もうお一人の委員の方は、将来を正確に見通すということは大変難しいが、分からない中でも様々な数字等は保守的に見積もっていくことが重要だ。

 それから、もう1つは、ほかの委員の方からも出ましたが、高齢者像が時代とともに変わってきたという点も重要だ。かつては、今我々の言ういわゆる高齢者というのは、やはり弱者であるという捉え方であったわけですが、現在では、全ての高齢者が弱者であるわけではない。もちろん高齢者の中には弱者の方もいらっしゃる。それは言うまでもない。生活保護の給付対象の方の中にも高齢者が多い。だが、全ての高齢者が高齢であるがゆえに弱者であるというわけではなく、社会的、経済的に恵まれている高齢者も数多くいらっしゃる。そのような方には、負担をお願いする必要があるのではないかということを認識することも重要なことだ。このようなご発言でした。

 また、もう1人、別の委員の方のご発言です。介護保険制度が導入されたときには、この制度で医療費を適正化するという趣旨だったが、現在は医療も介護も両方増えているという状況だ。このようなことも過去の教訓として活かさなければいけない、というご発言でした。

 それから、最後にもうお一人、別の委員の方のご発言です。経常歳出はあくまで経常歳入でまかなうという原則に立ち戻るべきだ。このような観点からは、主たる経常歳出である社会保障関係費の抑制が重要だ。また、社会保障以外についても抑制が不可欠と。「経済・財政再生計画」にある歳出改革を平成28年度予算編成においてもきちんと行っていくことが重要だ。このようなご意見でした。

 私からは以上です。

〔質問〕 ありがとうございます。質問させていただきます。

  まず、今年の年末までの財審の進め方について、スケジュールなども含めて補足をお願いできればと思います。

〔吉川分科会長〕 具体的なスケジュールというのは、まだ決まってないところもありますが、要するに建議に向けてということで、今、事務方で分かっているスケジュールがあれば。

〔廣光主計企画官〕  本日、総論を審議いたしましたので、次回以降、各論の議論を例年通り行っていこうということになっています。それに加えて、今、会長からご説明がありましたが、「長期推計」をご紹介した上で、各論に移るということを考えています。具体的な日程は、例年と同様と考えておりまして、予算編成の過程で出てくる論点、建議という形で考えています。

〔質問〕 どのくらいの頻度で開催されていましたか。

〔廣光主計企画官〕 頻度も例年と特に変えようということはありませんので、委員の先生方の日程等を見ながら対応していくということになります。

〔質問〕 週に1回程度ですか。分かりました。

 今回は、戦後70年の財政政策を俯瞰して、今後の課題等を、皆さんでご意見を出されたということですが、まず、このように70年を振り返った狙いをお伺いしたいのと、あと、委員の方のご意見の中に、ここから得られる教訓を明確なメッセージにしていかなければいけないといったものがあったということですが、どのような教訓を得たのか、もう少し具体的に、70年間の財政政策に対して、例えばこの時代で、この政権の、このような政策に問題があった等、そのようなご指摘があったのか、補足をお願いできればと思います。

〔吉川分科会長〕 この政権のここに問題があったなど、そのようなご発言というのは特にありませんでしたが、今日の財審の委員の方のご発言の紹介ではないですが、私が今ここで1つ、私自身としてお答えするとすれば、財政の議論は、時々、非常に近視眼的になりますよね。つまり、景気やそのような話との関係で財政は非常に議論されることがあり、それが全部間違っているわけではないと思います。景気が非常に重要であるというのは、経済学者の一人として私もそう思っています。

 ただ、今日、この資料は明治の初めから始まって、かつ、その後、戦後でも70年のグラフなどもありますよね。明治からもさることながら、仮に戦後に限ったとしても、このようなグラフを見てみると、ワニ口グラフとよく表現されていますが、やはり財政の問題において、歳出歳入のギャップは短期的な1年、2年の景気の問題ではなく、様々な構造的な問題があるということはお分かりになるだろうと思います。景気の問題は重要ではないなどということを言っているのではないですよ。景気も景気で重要だが、それとは別に日本の財政再建の課題というのは、構造的あるいは中長期的と表現されるような問題があるということは明らかだろうと思います。

 そうしたことですから、今私たちが平成27年度、2015年度にいるわけですが、やはり日本の財政再建に向けた努力というのは、長期的な視点からなされなくてはいけないということがまずは第1の教訓ではないでしょうか。

 具体的な教訓ということであれば、例えば、11ページの図を見ますと、戦争中あたりからのグラフがずっと描いてありますが、戦前は日本の国の財政の半分が軍事費、陸海軍の予算だったということから始まるわけです。戦前はさておいて、戦後でも、やはり時代によりますが、ずっと見ていっていただくと、よく言われるとおり、社会保障関係費がずっと膨らんできているということがあって、ここにいらっしゃる皆さんであれば、これから今後、将来に向けても単調増加で増えていくのは社会保障関係費だということはよくご存じのことですよね。

 やはりこのような大きな時代の流れ、トレンドを踏まえて、財政再建に向けて様々なことを考えていかなくてはいけないというわけですから、ご質問に対しては、まず、日本の財政の問題というのは、まさに70年を振り返ってみる必要のある中長期的な大きな課題であるということ。それから、どなたか委員の方がおっしゃって、ご紹介したと思いますが、今日の議論、あるいはこの資料でも、ただの昔話ではなく、今後に向けて活かしていかなくてはいけないということですね。

 では、どう活かすかということですが、繰り返しになりますが、1つは、2020年度のPB黒字化と言っているのは、5年後ですが、2020年度で全てが終わるわけではないわけです。当然、その5年後を越えて、さらにその先まで考えていかなくてはいけない。だからこそ、今日、フリーディスカッションで決まった、大臣からも行うようにとご指示いただいた、「長期推計」をアップデートしようと、そのような視点で考えていこうということも、重要な1つの教訓だろうと思います。

〔質問〕 委員の方から社会保障関係費の抑制が重要というご指摘もあったと思うのですが、来年度、「経済・財政再生計画」の初年度ということもあって、どのような観点で歳出抑制に努めていきたいかという、意気込み等を教えていただきたいと。

〔吉川分科会長〕 大臣のご発言にもありましたね。あるいは委員の方でも、やはり計画の初年度になってくるわけですから、1年目が腰砕けではしようがないわけで、やはり初年度というのはきちんと取り組んでいくということだと思います。ですから、そのような意味では、平成28年度予算編成が大変重要というのは言うまでもないわけで、そうした中で、先ほど見たとおり、1つの大きなポイントは社会保障関係費ということで、我々にとって一番身近なところですから、きちんとした議論をしていかなくてはいけないということだろうと思います。

 総じて、やはり財政再建が実を結ぶためには、国民みんなが理解しないといけないですよね。納得するといいますか。そのような意味では、大いに議論して、みんなが納得できる改革を進めていくということだと思いますね。

 財審の役割というのは、やはり情報発信ですから、具体的な建議や何かで。もちろん財審が何か言うと、それに対する反対論というのもあるわけですが、それはどのような場合でも議論には、反対する議論もあるだろうと思いますがね。財審としては、審議会の場で議論を尽くして、理屈としてこのような理屈があるだろうと発信します。

 あとは財政の問題というのは数字が大き過ぎて、例えば社会保障でいえば、個々の社会保障のことはみんな身近で、医療費3割負担などはみんな知っていても、では、医療費全体がどうか、社会保障の制度がどうなっているかということは、必ずしもみんな知らないですからね。そのような情報を世の中にきちんと正確に伝えていくということも、財審の役割だと思っています。

〔質問〕 スケジュールに関して、例年通りということですが、建議は11月末目処等ございますか。

〔廣光主計企画官〕 11月末ないし12月、例年、そのような感じでやっておりますので、それを頭に入れて、これから審議を進めていくと。

〔質問〕 先ほどのご説明の中で、委員の方から補正予算について触れたご発言で、慎重に行うべきだというご発言だったかと思いますが、なぜそう考えるのかといった部分をもう少し詳しくお願いします。

〔吉川分科会長〕 今日の場で補正予算について立ち入った話があったわけではないのですが、やはり補正予算を組むことについて、いわゆる安易に、すぐに補正だというようなことではなく、慎重にというのが、やや語弊があるかもしれませんが、財審としては、いつもの基本的なスタンスという感じで、今日はお一人の委員の方から、そのようなご発言がありました。何か具体的な、今ここで補正がどうだという話ではないです。一般論として一言あったというようにご理解いただければと思います。

〔質問〕 冒頭、フリーディスカッションの際に話題になった女性の目線での公聴会ですが、これは、もう少しかみ砕いていただくと、どのようなことを期待して、このような公聴会を開く必要があるというお考えなのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 どのようなと言われましても、少し困るのですが、人口の半分は女性ですからね。先ほども言いましたが、財政再建に向けての努力というのは、要するに国民みんなで理解しないと進まないと思いますよ。また、みんなが納得して、理解して、改革というのは進めていくべきだと思いますからね。できるだけ多くの人にきちんと理解してもらうということだと思います。もちろん、男性、女性で分ける意味がどこにあるのかという議論は、様々な議論が今の時代であればあり得るのかもしれませんが、先ほどもご紹介しましたが、9年程前でしょうか、過去に、そのような試みを行い、私が理解している限りでは、成功に終わったということかと思います。麻生財務大臣も、そのことをご記憶されて、そのようなご発言がありました。

 そこで、女性の委員の方で9年前の公聴会をご存じの委員の方も大変よかったと。あのようなものをもう一回やるべきだし、やりたい、このようなご発言がありました。そこで、大臣のほうから、それを受けて、自分も覚えているという感じで、大歓迎だというようなご発言で、事務方とそれを詰めて、ぜひやってくださいと、このような話になったということです。

〔質問〕 財政を考えていく上では、長期的な視点が必要というお話があったと思うのですが、本日の資料の中で、37ページ目に社会保障制度設計時の社会経済の見通しと実績があり、ある意味、過去においても、長期的な見通しに基づいての議論があったということだと思うのですが、実際に見通しと実績が乖離していたと。この数字を見る限りでは、乖離していたという部分があったと思うのですが、今日の議論の中で、37ページに基づいての議論というのは、何かあったのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 先ほど、既にご紹介した意見の中で、様々な数字、長期を見通すのは非常に難しいが、やはり様々な数字は保守的に見ていくべきだというご意見をご紹介させていただいたと思うのですが、その委員の方は、この37ページの図や何かを念頭に置いてご発言されていたと思います。つまり、平均寿命や何かの推移にしても、経済の動向や何かにしても、どちらかというと、有利な条件で様々なことを制度設計していたりする、制度にとって有利なように想定しがちであるが、まさに今ご指摘のとおり、37ページを見ると、最初の見通しと振り返っての実績というのを比べると、はっきり言って、かなり裏切られているケースが多いわけで、まさにここから得られる教訓は、様々な想定を置くときに、少し保守的、制度にとって厳しい想定を置いて、様々なことを考えていくべきだ、このようなご発言だったと思います。

〔質問〕 それで想定と実績の乖離が、今の日本の財政難の1つの要因になっているというようなところまでお考えですか。

〔吉川分科会長〕 そこまで、その方はおっしゃっていなかったと思うのですが、財政赤字は、ここがずれていたから全部起きているとまで、そのようなご発言ではなかったと思います。財政再建を進めていく上では、やはり厳しく見る必要がある、そのようなことではないですかね。

 今日、そのような言葉は使われなかったですが、よく先憂後楽という言い方がなされますが、そのようなスピリットということではないでしょうかね。

〔質問〕 細かい点が3つあって恐縮ですが、1問1問お願いします。

 まず、今日のディスカッションの中で、総理が先日発表されたGDP600兆の話、新3本の矢の話、子育て支援の部分、支援拡大の話に対しての何か言及、反応は。

〔吉川分科会長〕 それは、今日は全然出なかったです。

〔質問〕 「長期推計」のアップデートが出てくるのは、次回という認識でよろしいのでしょうか。もう少し後になるのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 できれば次回ぐらいにという感じですが、どうなるか、実際に詰めてみないと、まだ。

〔質問〕 委員の方のご発言の紹介で、戦前の軍事費拡大と、戦後の混乱期でも財政再建が行われたということに対して、それが現在の財政再建への大きな教訓になるという話だったということでしたが、そこをもう少し細かく、どのような意図で話されているのか伺えますか。

〔吉川分科会長〕 そうですね。その方のご意見をできるだけ忠実に、先ほどご紹介したつもりですが、今のご質問で、ご発言の中の論理的な流れがどうかというと、聞いていた印象では、もう少し精神論的な話だったのではないかという気がします。つまり、今も財政が非常に厳しい。けれど、財政が厳しいという時代は今に始まったことではなく、過去においても、ある意味ではより大変な時代もあったではないかと。つまり、戦争直後だったら、今どころではない大変な事態だし、軍事費が膨張していく戦前の時代でも、ある意味で国の財政という点で言えば逆風下にあったはずだ。でも、そのような中で、財政が本当に破綻するということを避けるべく先人は努力をしてきたわけじゃないかと。だから、今の時代は、財政が非常に厳しいが、先人も頑張ったのだから、そのことを教訓に、我々も頑張らなくてはいけないと、そのような精神論に近い形での話だったのではないかと思います。

〔質問〕 冒頭、ご紹介いただきました「長期推計」について、私の誤解があるといけないのでご確認させてください。

 先生は、委員の方から、「経済・財政再生計画」を踏まえて、財審で去年行った「長期推計」のアップデートをするという話とご説明されました。これは、「長期推計」というのは、2060年度までの長期推計のことをおっしゃっているわけですよね。

〔吉川分科会長〕 はい、そうですね。去年の春の。

〔質問〕 この原因となった、「経済・財政再生計画」というよりは、内閣府の年央試算をアップデートしたことがきっかけではないのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 そこのところも変わってきていますよね。ですから、足元のところで、そのような動きがあり、去年の春とは少し変わってきているから、足元のところでの新しい動きを踏まえて、もう一回アップデートしようという話ですよね。

〔廣光主計企画官〕 委員のおっしゃっていることを少し忖度させていただくと、1年半前に長期推計を起草委員会のほうで出しているのですが、今年の6月に「経済・財政再生計画」ができましたので、そのことが最も大きな違いかと思いますので、そのことを捉まえて、この機会に一度アップデートしてはどうか、そのようなご発言と理解しました。

〔質問〕 内閣府の年央試算や年に2回行う試算は、2023年度までですよね。それで、様々な有識者の方々によると、2025年度から、またPBが悪化するような方向になるといった意見や分析もあります。今回、去年の財審の2060年度までの長期推計をアップデートすべきというのは、2020年度を越えた後の、さらなる危機を意識したことと理解してよろしいでしょうか。

〔吉川分科会長〕 そうですね。それプラス、これはよく専門家が言うわけですが、今、政府は2020年度を目標年度にしてPB黒字化を目指していますよね。それはそれでいいのですが、もう1つ、デモグラフィックな要素としては、我々のようないわゆる団塊の世代の高齢化がさらに進んでいくという、2025年問題をはじめとして、要するに2020年度でとまるのではなく、2020年度を越えたところでもう1つ大きな山がやってくる。財政の問題を考えるときには、当然2020年度で終わりというのではなくて、先のことまできちんと考えなくてはいけないというのが、非常に大きい問題になっている。

 実は財審ということから言うと、8月5日に、複数の委員の方々から、要するに2020年度は2020年度できちんと目標として考えなくてはいけないが、その先まで見据えて、財審としては、昨年の長期推計をアップデートする等のことを行うべきだというご発言を、既に今日ご発言された委員のほかにも、複数の委員の方が同じような問題意識でおっしゃっています。ですから、要は財政の問題は長期的に考えなくてはいけない。それから、繰り返しですが、2020年度が終わりではない。その先が重要という問題意識は、財審の中で共有されているということです。

〔質問〕 ありがとうございました。

〔吉川分科会長〕 どうもありがとうございました。

 

(以上)

財務省の政策