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財政制度分科会(平成27年4月6日開催)記者会見

平成27年4月6日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 

〔吉川分科会長〕 本日、10時より財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。基本的に、今日はヒアリングでした。

 1つ目は、財務省の法制・公会計部会の部会長をされている慶應義塾大学の黒川先生から、国の資産・負債に関するご説明で、その一番詳しい資料は、お手元にとじた縦長の冊子ですか、平成25年度「国の財務書類」のポイントというのがありますが、これにまとめられています。

 黒川先生からは、お手元の横長の資料でご説明いただいたと。

 それから、2つ目は、今年の夏に向けて、2020年度までのPB黒字化に向けての財政健全化計画の策定が始まるわけですが、それを見越して、私どもの財審としても、過去におけるこのような健全化計画の試みの実績をレビューする、それが富田先生のプレゼンです。

 富田先生は、橋本内閣以来の過去の経験をレビューしてくださったわけですが、3つ目は、海外での財政健全化に向けての努力がどのようなものであったのか、また、どのような問題がそこにあったのか、あるのかということについて、末澤委員からプレゼンテーションをしていただきました。

 以上、国の資産・負債に関する黒川先生からのプレゼン、2つ目が日本の橋本政権以来の財政健全化の努力、過去のそうした努力のレビュー、これは富田先生ですね。それから、3つ目、末澤さんからは、海外の経験、この3つのプレゼンテーションをしていただいたわけです。

 いつものとおりですが、それぞれのプレゼンテーションについて、委員の方々からさまざまなご意見、あるいはご質問がありました。細かいことですが、当初、2時間半だったものですから、休憩なども予定していたのですが、休憩をなくしても時間超過という、大変活発で有益な議論ができました。そうした議論の概要を私から、委員の方々のお名前は伏せる形で紹介させていただきます。

 先ほどからお話ししている3つのプレゼンテーション、それぞれについての質疑です。

 まず、国の資産・負債についての黒川先生のプレゼンテーションの後、お一人の委員の方から、資料1の6ページで、ネットで見るか、グロスの国債残高で見るかというところで乖離があるわけですが、そこの違いが生じてくるのは、同じ国債といっても、特例債、いわゆる赤字国債と建設国債のところで違ってくるのでしょうかというご質問がありまして、それに対しては、そうですと。建設国債の場合には、橋なら橋というものをつくる形で実物資産のほうと負債のほうが同額で積み上がるところで、赤字国債との違いが出てくるのかというご質問があって、いろいろ細かいことを言えば、両者が乖離する理由としていろいろありますが、大きなところとして、そのとおりですとお答えがありました。

 それから、次の論点として、国の資産について考えたときに、財政健全化を進めていく上で、国が売却できる、その結果として財政再建に資するような資産としては、どのようなものがあり、それは幾らくらいになるのかというご質問が、お二人の委員の方から出ました。

 財政健全化との関係で、国が売れる国有財産を売却してはどうかという意見がよくあるのは皆さん、ご存じのとおりですが、別の委員の方は、政府が保有している国有の、とりわけ実物資産、固定資産については、売れるかどうかよりも、PFI等を活用しながら、どのようにして資産価値を高めるのかというアセットマネジメントの観点があってもいいと思う、このようなご意見を述べられました。

 それから、もうお一人、別の委員の方は、同じような論点なのですが、国有財産の売却といったことでも、国の負債は全体で1,000兆円超える状況で、過去の実績を見ると、国有財産の売却の額は、国全体の負債と比べれば非常に小さいと。つまり、国有財産を売却して、それで財政の健全化ができるといった話ではなくて、それは数字的にオーダーがもう全然違うだろうと。そうではなくて、国有財産の売却は、典型的には土地のようなものを念頭に置いていらっしゃったと思いますが、そこに民間の、例えばビルならビルが建設されて、新しいまちづくりが行われて、まちが活性化する、経済活動が広がるといった、そのような面のほうが重要なのだと、自分はそのように考えるといったご意見を述べられました。

 それから、もうお一人、また別の委員の方のご意見です。この方は、建設国債等の場合には、国債、負債が積み上がるとはいっても、実物資産が残るので、それでいいといった議論があるが、それは安易だ。基本的には、グロスで見るべきだといったご意見を述べられました。

 それから、もうお一人、また別の委員の方は、国の財務諸表はあるが、地方全部を合わせたものはないのか。個別の県のものは、時々見たことはあるが、統一基準で、国の財務諸表に対応したオール地方のデータはあるのか、このようにご質問されて、それに対しては、現状ではそうしたものは存在しないというお答えがありました。

 以上が、第1の国の資産・負債に関するプレゼンテーションをめぐっての委員の方々の質疑の概要です。

 次に、富田先生からありました財政健全化〜これまでの取組と教訓〜というプレゼン資料、お手元の資料ですと、資料3であります。

 富田先生のプレゼンでは、先ほどもお話ししましたが、橋本内閣以来、97〜98年のいわゆる財革法のところから、過去3回の経験をレビューされ、お手元の資料ですと、横長資料3の4ページに見通し・計画と実績という図があります。この過去の経験を踏まえて、先ほども初めにお話ししました、この夏までにつくられる新たな財政計画に向けて、どのような教訓を引き出すかということでプレゼンをされたというわけですが、また委員のお名前を伏せる形で幾つか紹介させていただきます。

まず、お一人の委員の方は、4ページに言及されながら、過去の経験を見ると、なかなか実績と計画が乖離してしまっている。典型的にはリーマンショックや東日本大震災といった外的な不測なショックがあったが、このようなことから、どのような教訓を引き出すのかというご質問がありまして、それに対しては、プレゼンテーションをされた富田先生からは、過去の経験を踏まえて、景気はずっと拡大するのではなく、いずれ下降局面に入るということを大前提に考える必要がある、このようなお答えがありました。

 それから、もうお一人、別の委員の方は、ご意見として2点、挙げられました。

 1つ目は、健全化の取組をしっかり進めていくためには、実効性の担保が重要だと。そのような点からも、1年、1年しっかりチェックしながらローリングしていくことが大事である。

2つ目は、2020年度までにPBを黒字化するという目標を達成するためには、歳出についても厳しい見直しをしていく必要がある。こうした中で、社会保障で自然増という言葉があるのは、皆さんよくご存じだと思うのですが、項目によっては、今後の人口減少による自然減も考え、今後の財政再建の中で1つの重要なコンセプトとしていくことが考えられるのではないか、このようなご意見を述べられました。

 次にまた、別の委員の方のご意見です。過去の経験を踏まえて、成長がそれなりに生まれている中で、長期金利が異常とも言っていいほど低い水準にあるという現在の状況は、まさに財政再建にとってラストチャンスと言ってもいいのではないか。この金利が低い状況において、財政再建を2020年のPB黒字化目標に向けて、しっかり進めていかなければならない。このようなご意見を述べられました。

 それから、もうお一人、別の委員の方のご意見です。この方は、財政健全化を進める中では、補完的な制度改革を進めることも重要だと。補完的な制度改革とは、例えば、地方経済をいかに活性化していくのか、そのために規制改革をどのように進めるのか。それから、国の資産をいかに有効に活用するか、というのは、これはただ国が持っている土地を売るということではなくて、前に少し紹介させていただいたご意見につながるわけですが、国が持っている土地を、文字どおり、そのバリューを生かすことをやってみる。そうした財政健全化の周辺にある、制度改革を進めていく必要がある。こうしたご意見を述べられました。

 もうお一人、別の方のご意見です。財政健全化を進めていくためには、何といっても政府のコミットメントが重要である。一旦定めた目標を、朝令暮改にするといったことではいけない。こうしたご意見。

 それから、同じ委員の方は、もう1つの論点として、財政再建を進めるためには、やはり社会保障の改革が重要である。富田先生にプレゼンしていただいた過去の経験を踏まえると、日本経済には、不測の外的なショックが加わることがあるのだと。過去において、そのようなことはあったし、今後も、なければいいが、絶対ないとは言えない。しかし、医療とか、介護とか、社会保障は、経済にネガティブなショックが加わったから、給付サービスを減らすといった性質のものではないので、景気が落ち込むことがあっても、財政、社会保障が持続可能になるように、社会保障の改革を着々と進めていかなければいけないと。同じように、地方財政についての改革も、同じ考えで進めるべきだ。こうしたご意見を述べられました。

 もうお一人、別の委員の方のご意見です。この委員の方は、日本では景気が少しでもよくなると、すぐ歳出増につながってしまうが、それではいけない。本来であれば、景気がよくなって、自然増収があれば、財政健全化のために使うべきだ、このようなご意見を述べられました。

 同じ委員の方は、もう1つ意見を述べられて、何とか言っても社会保障が一番大きな課題であるが、ただお金で給付水準を減らすといっても、なかなか国民の理解が得られない。医療について、予防医学なども含めて、いわゆる医療の提供体制について、民間の利害関係者も納得できる形で巻き込みながら、いい意味での効率化を進めていく必要がある、こうしたご意見。

 続いて、もうお一人、別の委員の方は、過去の実績を見ると、なかなか厳しい。こうした中で財政の健全化を進めていくためには、やはり財審が財政状況の厳しさを世の中にしっかり訴えていく必要があるというご意見を述べられました。

 それから、また別の委員の方です。この方は、2020年度までの国・地方PB黒字化目標はもちろんしっかり旗を下ろさず実現に向けて計画をつくっていかなければいけないが、そのためには、結局、歳出改革を進めると同時に、経済成長も実現する、それから、しかるべく歳入増も確保する。結局のところ、2020年度の国・地方PB黒字化に向けては、歳出改革、歳入改革、経済成長、3本柱でいく必要がある、このようなご意見でありました。

 それから、もうお一人の委員の方、この方は、財革法のときを振り返ってみると、政治が前向きだった。それに呼応してメディアも応援して、法案ができた。そうした過去のことを踏まえると、現在、どのようにして財政再建の必要性を政治、メディアに理解してもらうのか。このことを金利がなぜ上がってきていないのかということも含めて、しっかり説明していく必要があるのではないか、このようなご意見を述べられました。

 以上が、第2の富田委員へのヒアリングをめぐっての委員の方々の質疑の概要です。

 それから、最後に、末澤委員のプレゼンテーション、これは海外事情といったことですが、それに関連して、お二人の委員の方が意見を述べられました。

 まず、お一人の委員の方、この方は、ヨーロッパの企業と比べると、日本の企業はよく法人税率が高いといったお話もあるが、フランスやドイツでは企業も社会保険の負担はかなり負っている、このようなご意見を述べられました。

 次に、34ページの中福祉・中負担とか、その手の国際比較の表ですが、その表を、この委員の方はご覧になって、日本の社会保障の給付の水準を考えると、明らかに日本の負担は低い。もっと正面から負担増を国民に訴えるべきではないか。こうしたご意見を述べられました。

 それから、もうお一人、別の委員の方のご意見です。日本では、過去になかなか財政再建の努力が成功していないのに、海外の国では、かなり成功している。ドイツは、リーマン・ショックの後、赤字が膨らんだのが、ついに財政黒字にまでなったわけです。アメリカも、リーマン・ショックの後、対GDP比でも、非常に悪いところまで財政拡張したわけですが、いわゆる改善ペースは非常に急であります。

 海外のほうが日本に比べれば、相対的に成功しており、日本はなかなか進まないのだが、それはなぜかというと、リーマン・ショックを有事と呼ぶならば、海外では有事から平時への移行が強い意思をもって行われている。逆に言えば、日本ではそれだけの強い政治的な意思が働いていなかった。やはり、強い政治的な意思が、財政再建の成否を分けることになるのではないか、こうしたご意見でした。

 私からは以上です。

〔質問〕 ありがとうございました。3つ目の資料の海外の動向ですが、日本は政治的意思が弱く、海外の方が強かったとのことですが、具体的に、このような国の取組を参考にした方がいいのではないかといった意見は今回ありましたか。

〔吉川分科会長〕 今日は、この国の取組が一番良いという議論は出ませんでした。ただ、末澤さんの資料を見ていると、繰り返しになりますが、海外では、幾つかの国で、財政再建のペースが、日本に比べるとはるかに早いということは、事実としてあると。我々は皆、そのような認識をしたということだと思います。

〔質問〕 先程、自然減という1つのコンセプトというお話がありましたが、この点について、メンバーの方から、例えば少子高齢化で公共事業であったり、文教であったり、より踏み込んだ意見があれば教えていただきたいのですが。

〔吉川分科会長〕 結論的には、そのようなものはなかったですが、富田先生の資料の37ページに、今年の夏までの新たな財政計画に向けてという、橋本内閣以来の過去の経験に照らして、このような教訓を生かさなければならないということで、まとめられています。今お尋ねのフレーズは、アロウでいいますと、上から4つ目です。ここに自然減という表現が出てきますが、先ほど紹介した、お一人の委員の方は、いわばこのコンセプトを、人口減少に委員の方、言及されていたわけですが、もう少し広げて、自然増ならぬ、自然減というコンセプトがもう少し財政再建を進めていく上で生かされてもいいのではないか、このようなご意見でした。ただ、一番初めのご質問については、直接的には、先ほど紹介した委員のご意見の後で、ほかの方々が自然減について、いろいろ発言されたとか、そのようなことはありません。

〔質問〕 冒頭のほうでご紹介があった国の資産と負債について、委員の方2人から、結局、国が売却できる資産はどのようなものがあり、幾らなのかという質問が出たとありましたが、これに対する回答はありますか。

〔吉川分科会長〕 それでは、ちょっと課長から。

〔窪田法規課長〕 実際、売れるものは売れるということでやっていまして、有価証券であれば、ご存じのように予算でも、大きいときも、少ないときもありますし、国有財産も毎年1,000億円規模で売却していることを申し上げた上で、さらに詳しいことはうちで言えば理財局の担当なので、またお答えしますと申し上げました。

〔質問〕 よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 

(以上)

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