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財政制度分科会(平成26年10月15日開催)記者会見

平成26年10月15日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 

〔吉川分科会長〕 11時より財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。本日の分科会では、有識者ヒアリングとして、鈴木直道夕張市長と増田寛也委員より、お話を伺いました。その資料が、お手元にあると思います。

 まずは簡単にお二人のプレゼンの説明をさせていただいた上で、委員の皆さん方の質問、ご意見をご紹介します。資料について何かご質問があれば、後で事務局から詳しく説明させていただくという段取りでお願いできればと思っています。

 まず、夕張市の鈴木市長より、財政再生団体となった夕張市の取組をご説明いただきました。具体的には、2点あります。1点目は、高齢化と人口減少が続く中、将来の見通しと現実を見つめたビジョンをしっかりと持ち、まちの機能の集約化を図るコンパクトシティ等の取組を行う中で、住居の移転、病院や学校の統廃合、バス運賃補助の廃止といった住民に負担を求める歳出の効率化、見直しを行っている。2点目は、財政再生団体として、市民税や下水道使用料等の引上げといった歳入面の努力もしている。

 人口減少と厳しい財政制約という夕張市の置かれた状況は、今後、国も自治体も直面する課題であり、その取組事例は大いに参考になると、私どもは考えております。そうしたこともあって、鈴木市長に遠路お越しいただいて、本日プレゼンをしていただいたということです。

 鈴木市長からは、再生団体になる前に、こうした歳出・歳入面での取組を行っておけばよかった、というご発言があり、極めて示唆に富むものと考えております。なる前にやっておけばよかったということは、ご自身は3年半ほど前に市長になられたわけですから、ご自身が失敗したというよりは、過去においてという意味ですが、いずれにしても、夕張市としては再生団体になる前に、今自分がやっている歳出・歳入面での取組をやっておけばよかったと、このようなご発言がありました。

 続いて、増田委員より、地域ごとに人口減少の現状、将来の動向、その要因を分析することが重要であるとのご説明がありました。若年女性の減少と地方から大都市圏、特に東京圏への若者の流出により、896の市区町村が「消滅可能性都市」になる。この消滅可能性都市は、2040年に若年女性人口が5割以下に減少するということでして、このような「不都合な真実」、厳しい現状認識を共有頂きました。

 また、地方創生を進めるにあたっては、過度な悲観論に陥らずに、出生率が低く高齢化問題が顕在化している東京への過度の一極集中の是正や、適切な少子化対策をとれば、将来、安定的な人口規模を得ることができ、高齢化問題も解消できる。このようなご説明をいただきました。

 日本全体ですと、出生率の低下は人口減少につながるわけですが、増田委員が今日ご報告されたのは、それを地域ごと、市町村ごとに分析しています。それですと、それぞれの市町村の出生率等が落ちていくといった、いわば自然要因ももちろん効きます。同時に、個別の地域ですから、日本国内での人口移動もあって、とりわけ若年女性が東京を始めとした大都市部に出てきてしまうと、女性が出ていってしまった市町村では自然減以上に、国内での人口移動要因が効いてきている。わかりやすく言えば、ダブルで効いてくるということであるわけです。

 増田委員の推計は、市町村ごとにやっていますから、自然要因、社会要因の両方を考慮に入れると、先程ご紹介しましたが、896の市区町村が消滅可能性都市になる可能性が大きい、このようなご報告であったわけです。ただし、いたずらな悲観論に陥らずに手を打つべきだと。

 さて、その地方創生を進めるに当たっては、客観的な現状分析・将来予測を踏まえた政策目標の設定と厳格な効果検証の実施、といった9月12日にまち・ひと・しごと創生本部で決定された「基本方針」に基づくことが重要であるというご説明がありました。地方創生においても、効果的・効率的な地域の社会・経済システムの新たな構築のために、社会保障制度改革を進めていくことが重要であり、「まち・ひと・しごと創生」のモデルケースとして、現在、進めている医療提供体制改革や国保の都道府県化についてご紹介いただきました。

 以上、お手元に資料が配られていると思いますが、その資料に基づいて、鈴木夕張市長と増田委員からご説明いただいた後、後半に委員の皆様方から質問、あるいはご意見をいただきました。

 いつものように委員の皆様方のお名前は伏せますが、質問の場合には、プレゼンされた方がお答えしていますので、お答えになる方のお名前は言わせていただきます。

 まず、お一人の委員から、鈴木夕張市長に向けて、破綻する前の段階でもっといろいろな手を打っておけばよかったのではないかと思っているが、どうだろうか。このようなご意見がありました。それに対して、鈴木市長から、確かに人口減少に早く対応しておけばよかった。さらに、財政再建の加速が重要であって、再生の芽があるうちに長期的なビジョンを示しながら、今後の成長につながることをやっていく視点が必要だ。こうしたご発言がありました。

 次に、もうお一人別の委員の方から、増田委員に対して、プレゼン資料の32ページ、「社会保障制度を始めとしたあらゆる制度について、人口減少との関係でいろいろな方向に合わせて検討する」、これは政府の創生本部決定の基本方針で、増田委員のプレゼン資料の中にわざわざ引用されているけれども、自分としては社会保障のコストがどんどん膨らんでいくことに警戒しなければならないと思っており、この点についてどのようにお考えですかと、ご質問がありました。

 この委員の方のご質問に対して、増田委員からは、黙っていたら増えていく、いわゆる自然増といったものでしょうか。自分としては、この政府の基本方針を、そうした社会保障の歳出を肥大化させてはいけないということだと考えている。このようなお答えがありました。

 それから、次に、また別の委員の方からは、鈴木夕張市長に対して、企業でもそうだが、倒産した状況では、相当厳しいことをやっても従業員はついてくるケースが多い。このようなことが地方公共団体についてもあるのではないかと思うけれども、どうですかといったご質問がありました。

 これに対して、鈴木夕張市長からは、夕張市では財政破綻とまではいかなくても、住宅政策を10年間凍結していた。ただ、いずれにしても、夕張市の場合、一回財政破綻をしているので、削れるところは削った上で、さらに前に進む必要があった。そうすることで、自分としては夕張市が日本のモデルになる。そうした気持ちでやっている。こうしたご発言がありました。

 次に、また別の委員の方からは、鈴木夕張市長に、総合病院を廃止したということだけれども、住民の医療ニーズには一体どのように対応しているのか、とご質問がありました。

 これに対して鈴木夕張市長からは、総合病院は廃止したけれども、最低限の病床は地域の診療所で担うこととし、建物は公設だけれども、サービスを提供するのは民間の診療所である公設民営のものをつくった。現在、5つの診療所が市内に点在しており、しっかりと医療ニーズに応える医師が存在していると認識している。夕張市は、ご承知のとおり、もともと炭鉱ということもあって、お医者さんはそれなりの数います、とお話がありました。

 ただ、鈴木市長としては、市全体の観点から、コンパクトシティということで、できるだけ市の中心部に医療施設を移動することを決定した。ただ、診療所が移るとなると、率直に言って、例えば、今までは自分の家の近くにあったものが、少し離れたところに移ってしまって不便だという不満が当然出て、そのような点については、今後も住民としっかり対話を重ねていきたい、こういったご意見がありました。

 今、お一人の委員の方の夕張総合病院を廃止した点についてのご質問、それに対する鈴木夕張市長のお答えを紹介したわけですが、この同じ委員の方は、増田委員のプレゼンに関してご意見を述べられました。この委員の方は、社会福祉制度改革は地方の再興のために非常に重要であり、医師の配置の仕方や病院の再配置などを含めて具体的に取り組んでもらいたい。また、教育について、専門学校を増やし、職業教育を充実させるべきだ。こうしたご意見を述べられました。

 また、もうお一人の委員の方は、増田委員に対して、大都市圏の出生率を上げるには、どのような対策が必要だと考えるか。こうした質問をされて、それに対して増田委員からはきっぱりと、東京は難しいのではないか。これまで幾ら予算を投じても、なかなか出生率の引上げにはつながっていない。このようなわかりやすいお答えがございました。

 もうお一人別の委員の方、この方はご意見ですが、地方創生には雇用と教育の2つがキーワードとなる。若年層がその地域にとどまるインセンティブとして雇用と教育が大きいと考えている。また、地方における農業従事者の若年化、自然エネルギーの開発による地産地消の取組がコンパクトシティ継続につながるのではないかと思う。このようなご意見を述べられました。

 続いて、もうお一人別の委員の方の発言です。夕張市の話は日本の縮図だ。夕張市の問題の背景は観光業や産業振興のためにお金をつぎ込み、それが地域の活性化に必ずしもつながらなかった。結果、財政が破綻し、行政サービスを圧縮しなければならず、そうなると人々が他の地域に流出するということで人口減少が急速に進むという悪循環に陥っている。これからの日本でこれを繰り返してはならない。新聞等では、地方創生で何兆円、地方にお金をつぎ込むという話も出ている。しかしながら、夕張市の問題はお金をつぎ込んだが、結果が出ない、財政が厳しくなる、行政サービスが低下する、人口が減少するという、悪循環だ。この委員の方は、地方にお金をばらまくのは夕張市の二の舞ではないか、このような警鐘を鳴らされたということです。

 それから、続いてもうお一人別の委員の方のご意見です。少子化と地方の問題があるが、地方の努力も重要だけれども、国の財政をつぎ込むとしたら、精査していかなければ予算がどんどん膨らんでいかざるを得ない。

 そして、この同じ委員の方は、少子化対策には0.7兆円ではなくて、もう少しお金をかけてほしい。政府は税制や社会保障制度の見直しを通して、女性をもっと支援してほしい。このようなご意見を述べられました。

 次に、またもうお一人別の委員の方のご意見です。夏に夕張市を訪問したが、そこで感じたのは、市長のリーダーシップの下、しっかりと復元してきている。また、全国からの応援隊が来ていたのが印象的だった。そうした応援隊の人たちの貢献に相当依存しているところがあるので、今後、その応援隊がいつまで続くのかが重要だというご意見を述べられました。夕張市へのエールということです。

 それから、またもうお一人の委員の方は、少し個別の論点ではありますが、医療費の問題を考える場合には、病院だけではなく、診療所も視野に入れて議論をしていかなければならない。そもそも地方では診療所の数も多く、大きな貢献をしている。このようなご意見を述べられました。

 次に、また別の委員の方は、増田委員は人口減少をとめる、鈴木夕張市長は財政破綻した地域を再生するとのことですが、そのような目的を果たす上で、道州制はどのような影響を与えるのか、という質問を述べられました。

 それに対して、増田委員からは、これも非常にわかりやすく、自分の今日のプレゼンと道州制の問題は全く別で関係がありませんというお答えでした。鈴木夕張市長からは、行政のあり方の議論をするときは、最小単位がどこまで効率化できるかが一番大切だ。ただ自治体同士がくっつけばいいという問題ではない。厳しい状況にある自治体が、まずは効率化した上で、道州制の議論はその次に来るべきではないかと、こうしたお答えがありました。

 もうお一人別の委員の方は、増田委員に対して、地方創生の担い手は都道府県であるべきなのか、市町村なのか。このご質問に対して、増田委員は、議論する対象はいろいろあると思うが、まずは市町村ごとに分析しなければならない。また、地域の仕事をどのように作っていくかという文脈でいえば、担い手として一番重要なのはやはり企業だと、そのようなお答えでした。

 最後に、もうお一人別の委員の方、これはご意見ですが、やはり少子化、医療、介護の問題が地方創生で重要だ。国が地方に自由に使えるお金をただ渡すのではなく、医療・介護提供体制の改革や介護保険制度の見直しを進め、社会保障・税の一体改革を完結する。これが地方創生を達成する上でも一番重要なことだ。こうしたご意見がございました。

 私からは以上です。

〔質問〕 ありがとうございました。政府のまち・ひと・しごと創生本部で、昨日も法案の審議があったように、地方創生のあり方の議論が進んでいる中で、交付金の創設に総理が言及された流れもあるのですが、予算のばらまきになるのではないかという懸念があります。そうした観点での委員からの発言、言及はあったのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 ただお金をばらまくだけではだめですよといったご発言は二人程です。一人は、夕張市の話は日本の縮図だということを最初に述べた上で、夕張市でお金を使ったけれども、それが市の活性化につながらないで、負債だけが残って、財政破綻して、行政サービスを圧縮した結果、人が出ていって、人口が減ってしまってという悪循環に陥ったと。このようなことは日本で起こしてはいけないと言った方です。それは、今のご質問と、方向としては同じだと思います。それから、もうお一人、最後に紹介した方のご意見は、少子化、医療、介護の問題が地方創生では重要だが、国が地方に自由に使えるお金をただ渡すのではなく、医療・介護提供体制の改革や、介護保険制度の見直しを進め、社会保障・税の一体改革を完結することが地方創生を達成する上で一番重要なのだといったお話です。今、お二人の方の意見を繰り返して、ご紹介しましたけれども、いずれにしても、お金をただ地方に渡せば地方が活性化するというお話ではないでしょうという意見を述べられた方が複数あったということです。

〔質問〕 増田さんの道州制の発言なのですが、増田さんはたしか道州制担当大臣もなさっていたと思うのですが、当時、道州制のビジョン懇などでは、道州制によって地方が元気になるというご主張をされていたと思います。ですが先ほどのご発言だと、今日示された問題を解決する上で、道州制は決してプラスにはならないという文脈なのですか。

〔吉川分科会長〕 反対、賛成といったことをおっしゃったわけでありません。今日のご発言は、地域の人口減少の報告に関するプレゼンであって、地域の人口減少を止めるといったことに関して道州制を導入することがプラスかマイナスかといったことに対して、それは別問題だという言い方をされました。ですから道州制に反対だとか、そういった話ではありません。

〔質問〕 地方にただお金をばらまくだけでは、夕張市のようになってしまう、ということでしたが、それに対する鈴木市長の反応はいかがでしたか。

〔吉川分科会長〕 プレゼンでも述べられましたが、何と言っても、はっきり言って、厳しい改革を進めなければだめなのだと。自分としては歯を食いしばってやっているのだと。そのようなことを国にしっかり見てもらって、本当にこのような努力をしているのだったら、国が応援しようということはあってもいいのではないかという、ご発言があったと思います

〔質問〕 その部分に関する具体的な発言はどこかにありましたか。

〔吉川分科会長〕 鈴木市長自身のご発言、表現だと、地域がしっかりと覚悟を持って改革を進めていく。そういうときには自治体の覚悟に対する国の応援をいただく必要もある。これくらいの表現でした。ですから、今のご質問で言うと、やはり地方はお金が要るのだ、お金をもらわなくては困るといったことは一切おっしゃらなかったです。夕張市は非常に厳しいのだろうと思いますが、そのような中で、地域が自分で改革を進めていかなければならないということは、もう十二分に認識されていて、まさにその改革の先頭に立っていらっしゃる。先ほどの病院や何かだと、やはり地域の人たちから、はっきり言って不平が出ることもある。しかしそれはしっかり説明するのだと。後ほど資料を見ていただくと、コンパクトシティ化ということで、集合住宅のようなものもつくられて、高齢者の方々などにこちらに移っていただけないかとお話ししても、なかなかすんなりと受け入れていただけないといったことだってありますよという、そのような苦労話も、最初のプレゼンでして下さりました。例えば、市から見ると、今、あるお年寄りがここに住んでいる。それよりも、例えば暖房その他で良い集合住宅を用意して、引っ越しやお金など何もかも市で用意しますので移ったらどうですかといっても、夕張市は炭鉱のまちだったわけで、事故などで亡くなるなどのリスクが非常に高いわけですね。そうすると、非常に高齢で生きていらっしゃるおばあさんは、自分の夫は昔炭鉱夫で事故で亡くなった方だと、今住んでいる家は相当老朽化していても、その家が亡くなった自分の夫との思い出が全部詰まっている家だから移らないですとか、そういったお話を今日されていました。必ずしも全ての住民の方が、それはありがたい、すぐ移りますとはならない。そのような問題も地域にはあるのだと。なので、コンパクトシティとか、なんとか改革などと言って、机上のプランを作ればいいという程簡単ではなく、様々な問題があるのだというお話をして下さりました。それでも、若い市長としては、ただ中央からお金をくれというのではなくて、改革を進めている。しかし、そのような改革をしている地域に対しては、国の側面支援も必要だということも理解していただきたい、このようなプレゼンでした。

〔質問〕 今日のヒアリングは、今後の財審にどのように生かされていくのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 財審はご存じの通り予算ですから、既にご質問の中にもありましたけれども、国・地方の関係、それから社会保障、いずれにしても、地域の問題が大きなポイントになります。

 一方で、今の政府の方でも、地方創生が1つの重要なキーポイントになっているということですから、今日のプレゼンテーションが、今後秋の財審での議論を進めていく上での1つの基礎資料として生かされる、そのようなことだと認識しています。

〔質問〕 他よろしいでしょうか。では、これで終わります。ありがとうございました。

〔吉川分科会長〕 どうもありがとうございました。 

 

(以上)

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