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財政制度分科会(平成26年4月28日開催)記者会見

平成26年4月28日
財政制度等審議会 財政制度分科会


〔吉川分科会長〕 お待たせしました。

 本日13時より財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたしました。本日の会議では、まず、事務局より「レセプトデータの活用による医療の効率化」について説明していただきました。これは、麻生大臣が経済財政諮問会議で発表された資料をご説明いただきました。その上で、海外調査報告の第2回目として、「ドイツ・イタリア」及び「米国・カナダ」の概要について、調査された委員の方々から報告をしていただきました。その後、起草検討委員会においてご検討いただきました「財政の長期推計」について審議をしていただきました。全体で2部構成、前半は海外出張、後半は財政の長期推計、こういうことです。

 それでまず、前半、海外出張のほうでありますが、これは、皆さんのお手元に資料があると思うのですが、海外出張の報告ですので、基本的にドイツ、イタリア、アメリカ、カナダについて、出張された委員の方の説明を伺うということで、それについて深く議論するということではありませんでした。

 ただ、そうはいってもということで、お一人くらい、委員からのご発言を紹介しますと、ドイツ・イタリアについては、特にドイツのケースでしょうか、歳出歳入両面でかなり努力しているのではないかというご質問が委員の方からあって、出張された委員の方から、ドイツでは、2007年に付加価値税率を16%から19%に上げるなど、財政健全化へ向けた取組みがこれまでも行われてきているという説明がありました。

 それから、続いて、米国・カナダの出張報告については、お一人の委員の方から、各国で厳しい財政健全化の取組みに対する理解があったということだけれども、その背後には、国民の理解があったのだろうと。これは、日本の財政健全化を考える上で大きなヒントとなる、こういうご指摘がございました。

 先ほどお話ししたとおり、海外出張のところは、基本的に出張先の各国事情をご説明いただいたということで、後半、「財政の長期推計」の審議のほうに説明を移らせていただきます。

 資料としては、既にもう皆様方のお手元に資料もあると思いますし、詳しい説明も既に受けられていると承知しております。

 一言だけ、私のほうから補足させていただきますと、ここにいらっしゃる方はもうよくご存じのとおり、現在、政府は、「中期財政計画」において、2015年度までに2010年度に比べて国・地方PBの赤字の対GDP比を半減する。それから、2020年度までに国・地方PBを黒字化する、さらに、その後の債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すことを目標として掲げているわけです。

 この財審後の記者会見でも言及したことがあると思うのですが、私たちとしては、財政健全化の、最後のボトムラインといいますか、総決算といいますか、それはフローの健全性ももちろんですが、最終的には債務残高対GDP比が安定的になるということ。逆に言えば、発散してしまっては、これこそ財政破綻としか言いようがないということになります。また、債務残高対GDP比がある程度低水準で安定することが好ましく、EUの場合には、ご存じのとおり、マーストリヒト条約で60%という水準を掲げています。いずれにしても、この債務残高対GDP比が総決算になる。

 ところで、政府のほうでは、先ほどお話ししたような目標はあるのですが、2020年度までの国・地方PB黒字化というところでも、どの程度の黒字幅を目標とするのか明確ではないわけで、その後、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくといっても、そこはまさに言葉だけということになっています。さて、我が財審のほうでは、3月10日の財審で、複数の委員の方から、やはり今お話ししたようなことについて、債務残高対GDP比に関連して、財政健全化の道筋を定量的に、つまり数字にして試算をしてみることが必要だと、こういうご意見があって、それはそうだろうということが我々の審議会としてはコンセンサスになって、今回の試算になったわけです。2060年度までをホライズンとして掲げていて、詳しいことは資料にもありますが、ご存じのとおり、デモグラフィーといいますか、高齢化のピーク等がその辺のところということで、今回の試算になったわけであります。

 試算結果については、後ほどご質問等あればということで、早速、委員の方々のご意見をご紹介いたします。いつものように委員の名前は伏せさせていただきますが、まず、お一人の委員の方から、こうした試算結果をどのように役立てていくかということが大切だ。私ども財審としては、言うまでもなく、こうした今回の試算が建設的な議論のための材料として役立てられることが、私たちの希望でありますから、まさにそうしたことが必要だというご発言がございました。

 また、別の委員の方からは、数字が出ているわけですけれども、こうしたことも踏まえて、消費税率をきちっと上げていく、それから、社会保障にかなり厳しく切り込んでいくことが必要ではないか、こういうご意見がございました。

 ちなみに、お手元の概要資料、2枚目の試算結果を見ていただきますと、既に皆様方はごらんになっているかと思いますが、一番上に、「年齢関係支出」の推移、とりわけ医療、介護のところが、今後ずっと膨らんでいくということがあります。この「年齢関係支出」のなかには教育等、少し別のものもありますが、いわゆる社保関係が大きいわけですが、医療、介護等が膨らんでいると。実際、この資料の真ん中あたりの数字が並んでいる計数表でも、一番右の列、COA、これがコスト・オブ・エイジングということだと思いますが、こういう部分がやはり大きいということが、今回の試算でも出てきているわけですけれども、こうしたことを踏まえて、お一人の委員のご発言に戻りますが、今後、社会保障の給付についても、いろいろ議論していく必要があるのではないか、こんなご意見がございました。

 それから、もうお一人、別の委員の方、こうした数字を明示的に見ることは大変重要なことで、今回の試算はよかったと。そして、この方は、試算結果をごらんになって、やはり金利が変わると、かなり結果が左右されると。したがって、今後、この債務残高対GDP比が一貫して上がっていくことになると、金利が急騰することも考えられるわけで、そうしたことも頭の中に入れて、しっかり財政健全化に取り組まなければいけない、こういうことをおっしゃいました。

 それから、もうお一人、別の委員の方は、2026年度までの収支改善幅、お手元の概要資料でいいますと、2枚目の真ん中あたりの計数表、収支改善幅というところですが、そこの数字をごらんになって、これを消費税率に換算するとプラス20%ということで、試算では消費税率10%への引上げは前提としていますので、プラス20で30%くらいの消費税率なのだなということを指摘されました。

 それから、もうお一人、別の委員の方は、今回の試算を見ると、2020年度に国・地方PBの黒字化を達成しても、そのまま放っておくと債務残高対GDP比は発散してしまう。概要資料の2枚目の一番右下にある一般政府の債務残高対GDP比の図ですが、試算マル2のベースラインというところを見ていただくと、2020年度に国・地方PBの黒字化を実現できても、発散していってしまう。

 ですから、これは財審としては前から指摘してきたかと思うのですが、我々としては2020年度までの国・地方PB黒字化はもちろん大変大切な目標なわけですが、これは最終目標ではなくて、重要な一里塚であるということで、政府自身、2020年度までの国・地方PB黒字化、その後、債務残高対GDP比を安定的に抑えていくと言っているわけですけれども、まさにその点をこの委員の方は再度念押しされたといいますか、2020年度までの国・地方PB黒字化は大切だけれども、仮にそこを達成したとしても、そのまま何もしないでいると債務残高対GDP比が発散していってしまうということを指摘されて、したがって、社会保障、地方財政等、やはり歳出面でもいろいろ議論を深めていかなくてはいけない、こういうことでありました。

 次に、もうお一人、別の委員の方のご意見を紹介いたします。こうした長期推計は重要だと。今後は、こうした結果を国民にどのように伝えていくのかが大切であると。また、政治家も含めて国民全体で、こうした数字が生産的に議論されなければいけない、こういうような、一番初めに紹介した方のご意見と同じようなご意見だと思います。

 それから、次に、お二人の委員の方が、同じような指摘をされたわけですけれども、この概要資料の2枚目の真ん中あたり、現行制度を前提とした試算マル1と、2020年度に国・地方PB黒字化を前提とした場合の試算マル2の数字が比べてあるのですけれども、やはり収支改善幅が大分違ってくるということで、長期推計が大事ということは、委員の皆さん方の共通した思いだと思いますが、やはり足下が非常に大切なのは当たり前で、改めて、2020年度までの国・地方PB黒字化目標は大変重要なことだと、これはお二人の委員の方からご指摘がございました。

 それから、もうお一人の委員の方は、こうした明示的な数字のついた資料は大変有意義だ。この方も既にご紹介した何人かの委員の方と、同じことだと思いますが、今後は、できるだけ国民にわかりやすい形で伝えていかなければいけない。これは皆さん方のお仕事だと、私たちは思っているわけですが、あまり生産的でない形で、数字だけがひとり歩きするということではなくて、こうした試算をしっかり踏まえた上で、国民みんなで冷静かつ生産的な議論が行われる必要がある、このようなご発言でした。

 それから、もうお一人、別の委員の方は、こうした試算は大変大事なのだけれども、今後は、各年度の予算が、こうした長期的な推計と平仄が合うような形で、各年度の予算の物差しになるような役割もこの長期推計には期待したい、こういうようなご意見でございました。

 それから、もうお一人の委員の方のご意見を紹介いたします。非常にインパクトのある数字を見たと、こうおっしゃって、その上でこの方は、こうした長期推計は長期推計として大切なのだけれども、やはり、これも先ほど同じようなご意見述べられた方がおりますが、足下が大事ということで、現在、政府は黒字化目標を掲げていますが、この2020年度までにここまではいこうという、いわば国民的なコンセンサスができるような議論の材料になることが大切だと、このようなご意見を述べられました。

 最後に、もうお一人、別の委員の方は、定量的にこういう分析をすることは大変重要だと。今後は、政府全体でこの財政再建に総力を挙げて取りかかるという仕掛けが必要だ、こういうようなことをおっしゃって、また、今回の試算でも「年齢関係支出」の増大ということと絡めて、社会保障が非常に重要な歳出分野なわけですが、ご存じのとおり、社会保障は国民生活に非常に身近ですから、そうしたことも含めて国民に広く問題の所在を理解してもらいながら、生産的な議論をしていくことが大切だと、このようなご意見を述べられました。

 私のほうからは以上です。

〔質問〕 幾つか質問したいと思います。

 最初に、委員のご発言の中で、消費税率をきちっと上げていくことと社会保障にも厳しく切り込んでいくことが必要という意見のご紹介がありました。ほかの委員の発言で、必要な収支改善幅を消費税率換算するとプラス20%ぐらいというご発言もあったと思うのですけれども、最初の消費税率をきちっと上げていく必要があるというご発言は、10%以上にということなのでしょうか。

〔吉川分科会長〕 そういう意味ではないですよ。後で紹介した方は、皆さん、お手元に持っていらっしゃる概要資料の2枚目の真ん中あたりにある数字、要収支改善幅を、例えばということで、消費税率換算した。ちなみにその発言をされた方も、消費税率を上げることだけで収支改善を図ることが必要とか、そんなことはおっしゃっていません。ここはもう皆さん、よく理解されていると思いますが、消費税率をあと20%上げる必要があるとか、そういうご発言ではありません。資料にある数字を翻訳したという、それだけですね。

 それから、最初のほうの委員の方は、足下で消費税率を10%まで上げるということが、まだ現状決まっていないわけですけれども、そもそも10%まで上げても、ご承知のとおり、2020年度までの国・地方PB黒字化は達成できないという現状なわけですから、そういうことを踏まえて、足下で10%まで上げる必要がある、そう明示的にはおっしゃらなかったのですが、趣旨としては、そういう話だと理解しております。

〔質問〕 もう1点なのですが、今回の試算は、大変厳しい試算結果だと思うのですけれども、委員のご意見を伺っていると、こういう厳しい試算があるので、とりわけ2020年度までの国・地方PB黒字化目標が、まず足下では大事だという意見が多かったように思います。

 報告書のほうでも、まずは足下、2020年度までの国・地方PB黒字化に向けた政策の重要性を強調する形になるのか、それともそれは前提として、2021年度から先のさらなる財政健全化の取組みが重要だということになるのか、両方だということだと思うのですが、そのあたりはどうでしょうか。

〔吉川分科会長〕 これは、一番初めにもお話ししたのですけれども、政府は2020年度までの国・地方PB黒字化ということは言っていますし、その後の債務残高対GDP比を安定的に下げていかなくてはいけないということも言っているのですけれども、経済財政の議論ですから、やはり数字というものを持っていないと建設的な議論、良心的な議論はできないだろうということが財審の立場なのです。ですから、今回こういう試算をやってみて、その数字を公表して、こういう数字を共有しながら議論する。ただ、アクションプログラムというのは常に目の前、足下のことですよね。その責任あるアクションプログラムとして、長期的なことも念頭に置きながら、冷静にみんなで議論しながらやっていこうということが、財審の立場です。今日の何人もの委員の方のご発言で、こうした数字を念頭に置きながら、足下で財政の議論をきちっとやっていこうということがありました。

〔質問〕 3月10日のときにもおっしゃっていたかもしれないのですけれども、平成19年のときにも似た試算が出されています。そのときは推計期間を2050年度までとしていたと思うのですけれども、久しぶりにこの時期に出すということの意味はどこにあるのかを教えていただけますか。

〔吉川分科会長〕 富田先生からもご発言があるかと思いますが、まず第一に、欧州委員会が3年に1度ずつやっているわけですよね。それから、これは繰り返しになりますが、現在、日本政府として目標は掲げているのだけれども、2020年度、あるいはその後については、言葉だけで表現されている。良心的な、建設的な議論をするためには、経済財政の議論ですから、やはり数字に基づいて、みんなで議論していくほうがいい、これが財審の立場です。

〔富田委員〕 欧州委員会が2006年、2009年、2012年と公表しまして、我が国では、2007年にも発表いたしました。久しぶりの印象を持たれるかもしれませんが、実は去年の財審で、私が報告させていただいたのは、2009年の欧州委員会の必要な収支改善幅というものと、ギリシャの問題が非常に大変だった時期ですから、ギリシャだとか、各国の国債と、ドイツ国債との金利差という形で紹介させていただきました。ですから、別の観点でいきますと、やはり国際的にも財政の持続可能性と金利との関係に対する注目を怠ることはできないという観点から続けていますので、何か急に出てきたことではありません。

 審議会としては、これまでは社会保障と税の一体改革に力点を置いてきたということですが、その先はどうなのかということは、やはり自然な問いとして出てくるわけですので、そういうことについてお示しできればということで、起草検討委員会のほうで検討してまいりました。

〔質問〕 先ほど、吉川会長が2020年度までは、政府は言葉でしか示していないというお話をされたりとか、あと、委員の方の意見として、長期試算に、予算の物差しとしての役割を期待しているという意見があったというお話なのですが、この長期試算を活用して、例えば昔、歳出歳入一体改革という形で、歳出にキャップをかけるという手法で歳出に歯どめをかけたことがあったと思うのですけれども、何か具体的に今後、手法として検討されていくことになるのか、その辺について、お願いできますでしょうか。

〔吉川分科会長〕 これは、事務局からもお答えいただけたらと思いますが、我々財審としては、繰り返しになっていますけれども、これは政治家も含めた国民全体で建設的な議論をするための材料として提供しているつもりなのです。政府の中で、ここから次に具体的に何をするか。例えばですが、それは経済財政諮問会議とか、そのような場も当然あるだろうと私は思いますが、事務局からもし補足があれば、お願いします。

〔事務局〕 現時点は、まず、2020年度までの国・地方PB黒字化の目標の前に、2015年度の国・地方PBの赤字半減達成が差し迫った目標でありまして、もちろん2020年度までの国・地方PB黒字化に向けて、考え方は、「中期財政計画」を閣議了解という形で昨年夏に政府としての方針を決めているわけです。具体策として、何をどうするというのは、まさにこれからの議論だと思いますけれども、それをいつごろ、どのような形で具体策が議論されていくのかということについては、現時点ではまだ決まっているものはないということが現状だと思っております。もちろん、今後、経済財政諮問会議等で各論の議論も当然やっておりますけれども、全体として、2015年度から2020年度にかけて何をすべきか、ということは、当然、議論されていくと思いますけれども、いつから始めるかということについては、まだ現時点では何もないということが現状だと思います。

〔質問〕 幾つか確認をさせていただきたいのですけれども、先ほど、2020年度までの国・地方PB黒字化目標が大切というお話があったと思うのですが、いただいた概要資料の最後のところに、歳出及び歳入両面からの基礎的財政収支の改善に早急に取り組むことが必要と書いてあるのですけれども、こういった内容は、分科会で各委員の認識は一致したかどうかということを、まず1つ伺いたいのですが。

〔吉川分科会長〕 既に委員の方々のご発言はご紹介したつもりなのですけれども、何人と今数えませんが、足下のフローについて、きちっと考えていく材料にしようということについては、複数の委員の方から、例えば社会保障について、しっかりした議論をしていかないといけないだろうとか、そういう形でご発言があったと思います。そのことについて、反対だみたいな、そういう議論はなかったわけですから、私は、我々の分科会としては、ここに書いてあることについて、概ねコンセンサスがあると考えています。

〔質問〕 先ほど、2020年度までの国・地方PB黒字化目標を達成した後に、安定的にGDP比で債務残高を引き下げることが重要だというお話があったのですけれども、冊子の26ページにおいてS1をみると、6年間で約45兆円の収支改善を行えば、2060年度に債務残高対GDP比を100%にできるというふうになっていて、これを見ると、債務残高対GDP比は右肩下がりで安定的に下がっているように思えるのですけれども、この収支改善をすれば、「中期財政計画」に出ているような安定的な債務残高の引下げにつながると考えてよろしいでしょうか。

〔富田委員〕 まず、試算では、定量的に、明示的にお示しするために、2060年度に、100%に債務残高対GDP比をいたしますと。今、ご指摘の26ページというのは、社会保障基金を除きました国・地方政府だけのベースでのケースでして、2021年から2026年度までの間に、GDP比で約7%、それがここにありますような45兆円程度の収支改善が必要だということを言っております。ですから、この6年間をかけて遅延コスト(COD:コスト・オブ・ディレイ)が発生するのですけれども、発生することを見込みますと、合計して45兆円ほどの恒久的な収支改善が必要だということをここでは示しております。

〔質問〕 パターンは幾つかあると思うのですけれども、2060年度の債務残高を見たときに、8,000兆円から、京という数字が出てくる試算結果が出ていると思うのですが、この金額は国家としては破綻なのか、どういう数字として理解したらいいのか、会長から教えていただけませんでしょうか。

〔吉川分科会長〕 放置した場合のケースということですね。これはシミュレーション、試算ですから、例えば金利は3.7%とか、外から想定の数字を与えていますよね。先ほど、お一人の委員の方のご発言という形で、金利が上がってしまうと大変なことになるということがよくわかるというご発言を紹介したと思います。気をつけなくてはいけないというご発言の趣旨は、こういう試算では、金利はそんなに急騰するようなことはないとして、債務残高対GDP比がどんどん上がっていく、青天井のように上がっていくという、試算になっているのだけれども、現実には債務残高対GDP比が、金利は変わらないままに、そこまで上がっていくということはなくて、債務残高対GDP比がどんどん上がっていけば、どこかで金利のほうも上振れするという状況になってくるわけで、ここではそのケースを明示的に表現していないですけれども、極めて厳しい、財政が行き詰まる、そういうシナリオになってしまう。先ほど紹介した委員の方のご意見は、そういうことも念頭に置いて、日本の財政の厳しさをきちんと正面から考えないといけないというご発言だったということです。

〔質問〕 概要資料のほうで、経済成長率の上昇や人口動態の改善が収支改善幅に与える影響は大きくないという記述があります。これはいわゆる上げ潮派の議論はあまり説得的でないというインプリケーションがあるかと思うのですけれども、これについて何か意見は交わされたことはありますでしょうか。

〔吉川分科会長〕 その点について、今日、審議会で委員の方からご発言はありませんでした。ただ、この試算を虚心坦懐に見る限り、成長ということは非常に大切だということは、我々の審議会としても繰り返しお話ししています。成長が大事だということについては、何の異論もない。しかしそれだけで財政再建ができるということは、私たちの審議会の考え方ではない。これは何遍もお話ししているかと思うのですが、今回の試算でも、そういう結果にはなっていると思います。

〔事務局〕 1点。先ほどの、今後の具体策について、「中期財政計画」上、どのように書いてあるかということについて、皆さん、よくご承知だと思いますけれども、2020年度の目標達成に向けてという章がありまして、後で見ておいていただければいいのですけれども。そこに考え方が書いてあるのですけれども、具体策については、2015年度の目標達成に向けた取組みを進めながら検討を進め、同年度の、つまり、2015年度の予算における基礎的財政収支対象経費と税収等の対GDP比等を踏まえて、経済財政を展望し、2016年度から2020年度の5年間について、さらに具体的な道筋を描くと。ここまでは閣議了解しているわけです。これを深読みすると、来年度予算が決まりますと、内閣府の中長期試算も、それを踏まえて出る、展望ができるわけです。展望ができたところで、当然、どのくらい足りないのかということも、その時点で明らかになっているわけですから、そこからと言ったら、やや語弊があるかもしれませんけれども、1つ、その後の5年間についての議論が深まっていくタイミングになるだろうと読める書きぶりにはなっています。そのことは忘れないでいただきたいと思っています。

〔質問〕 両先生に伺いたいのですが、この試算は、かなり厳しい内容だと思うのですけれども、数字をごらんになって、率直な感想、実現可能性を含めた印象はいかがでしょうか。

〔吉川分科会長〕 確かに厳しいといえば厳しいのですが、ただ、我々の審議会の委員の方々、大多数がそう思っていらっしゃったかなと思うのですが、PBの黒字化、ほとんどバランスに近いような形を2020年度に達成しても、それだけだと、やはり債務残高対GDP比の安定は図れない、発散を食いとめることはできないということは、多くの人が思っていたところだと思うのですね。要するに、確かに厳しい数字かもしれませんけれども、何遍もお話ししているとおり、やはり、財政経済の議論ですから、数字全くなしに、かなり厳しいとか、かなり大変だということだけを言っていても、誠意ある議論は進まないのではないでしょうか。それが私たち財審の考え方ですね。

 ですから、やはりこうした数字を見ながら、先ほども紹介したとおり、ある意味で一番大切なアクションプログラムということで、今、何をなすべきか、あるいは今年、来年、どういうことをやるべきかというところに落とし込んできて、議論をするわけですから、その建設的な材料になればいいと思いますね。

 それからもう1つは、今回の議論、「年齢関係支出」、これには教育も含まれていますが、社会保障のところにかなり立ち入って試算をやっているわけですけれども、やはり社会保障の議論が改めて建設的な形でなされる必要があるのではないかと、私はそんなふうに思っています。

〔富田委員〕 財政審全体の委員の皆さんのご意見について、会長からご説明ありましたが、私は、この試算を建設的な形で使っていくことが大事だと思います。

 少し身近な話をいたしますと、学生は、年金をもらえるのだろうかという心配を真顔でいたします。それは、民主主義で、みんなでこれから決めることなのだ、つまり、まだ選択肢は残っているという中において、どう考えるかということです。

 そのときに、国民は、一般論で言ったら間違えるかもしれませんけれども、よく指摘されるのが、見たくないものは見えない。だけど、我々はそれでは済まないわけでして、見たくないものも定量的にきっちりと示したらどうなるかということが、この試算の出発点なのです。その際に、できるだけ手法としても客観的なものを使っていきたいということで、EUにおける欧州委員会の方法に倣ってつくったということです。

 これで学生の心配がどうなるかということなのですけれども、先週もお話しさせていただきましたけれども、このS1を現在の租税負担・社会保険料に上乗せして他国と比較いたします。我々はまだ選択肢を3つ持っているわけでして、歳出の削減、それから、社会保険料の引上げ、そして増税。それで他の先進国と比べて、高齢化比率が他国よりも10%ポイントほど高いにもかかわらず、同じような水準にすることができる可能性が示された。もちろん、それは社会保障関係費以外の支出が、既にOECD諸国の中でGDP比で見ると最低の水準であり、これからもその水準を維持するか、さらに抑制するということでもって、そうした負担でもって学生の心配というか、心配しているのは学生だけではないですが、そういうことについてのお答えになるのかなというのが、1つのメッセージです。

〔質問〕 ほかよろしいですか。

 それでは、終わります。ありがとうございました。

〔吉川分科会長〕 我々としては、ぜひ、皆さん方に期待させていただきたいと思っています。皆様方の大切なお仕事ですから。よろしくお願いします。

(以上)

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