財政投融資分科会(平成24年11月2日開催)議事録
財政制度等審議会 財政投融資分科会
議事録
財政制度等審議会 財政投融資分科会議事次第
平成24年11月2日(金)15:00〜17:22
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
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1.開会
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2.武正副大臣挨拶
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3.平成25年度財政投融資計画編成上の論点
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(株)日本政策金融公庫(国民一般向け業務)
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(株)日本政策金融公庫(中小企業者向け業務)
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(株)産業革新機構
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4.閉会
配付資料
| 資料1−1 | (株)日本政策金融公庫(国民一般向け業務、中小企業者向け業務)説明資料 |
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| 1−2 | (株)日本政策金融公庫(国民一般向け業務、中小企業者向け業務)参考資料 |
| 資料2−1 | (株)産業革新機構説明資料 |
| 2−2 | (株)産業革新機構参考資料 |
出席者
| 分科会長 | 富田俊基 | 武正副大臣 古澤理財局長 冨永理財局次長 岡本総務課長 谷内財政投融資総括課長 渡辺管理課長 松浦計画官 平井計画官 馬場財政投融資企画官 木勢資金企画室長 | |
| 委 員 | 江川雅子 翁 百 合 川村雄介 土居丈朗 中 里 透 | ||
| 臨時委員 | 池尾和人 | ||
| 専門委員 | 冨山和彦 中島厚志 原田喜美枝 |
〔 富田分科会長 〕ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。
本日は、お手元の議事次第にございます各機関について、平成25年度財政投融資計画の編成上の論点をご審議いただきます。
本日は、武正副大臣にご出席をいただいております。最初に、武正副大臣にご挨拶をいただきたいと思います。
〔 武正財務副大臣 〕皆様、こんにちは。去る10月2日に財務副大臣を拝命いたしました武正公一でございます。理財局に関する業務を担当させていただくことになりました。
財政投融資分科会の開催にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。委員の皆様におかれましては、日ごろより財政投融資に関しまして、大変有意義なご意見を賜り、誠にありがとうございます。
改めて申し上げるまでもありませんが、財政投融資につきましては、財投改革以降、対象事業の重点化・効率化を通じてスリム化が行われてまいりましたが、近年はリーマンショックに端を発する世界的な金融危機の克服、東日本大震災からの復興、我が国の成長力強化といった課題に対応してきております。
目下、政府におきましては、7月に閣議決定をした「日本再生戦略」の実現といった成長力強化に向けた取組を進めているところでございますが、税財源によらない財政投融資につきましては、現下の厳しい財政状況の中、大きな役割を果たしていく必要があると考えております。
本日は、平成25年度財政投融資計画の編成に関し、中小企業金融及び産業革新機構についてご議論をいただくわけでございますが、成長分野への資金配分、震災復興への対応といった観点、また、民業補完性や償還確実性といった観点について、専門的な見地から、率直で忌憚のないご意見をいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。途中で中座をいたしますが、できる限り参加をしたいと思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。
〔 富田分科会長 〕ありがとうございました。
それでは議題に移ります。
まず、日本政策金融公庫の国民一般向け業務及び中小企業者向け業務について説明をお願いいたします。
〔 松浦計画官 〕計画官の松浦でございます。私からは、資料1−1に基づきまして、日本政策金融公庫の国民一般向け業務及び中小企業者向け業務について、編成上の論点についてご説明したいと思います。
資料1−1をめくっていただきまして1ページの左側でございます。国民一般向け業務、中小企業者向け業務、それぞれ要求の概要、数字が出ていますけれども、事業規模、財政投融資規模、それぞれ「△」になっていますが、これは大震災の復旧・復興向け事業が事項要求ということで、まだ数字が出てきていませんので、今後、中小企業庁等々で精査の上、要求が出てくることになっていますので、現時点では「△」になっております。
ページをめくっていただきまして、日本政策金融公庫の要求の内容でございますが、これは後ほど中小企業庁のほうから詳しく説明があると思いますので、私からは省略させていただきます。
ページの右側の論点でございます。25年度の事業規模は、今後の経済・金融情勢を踏まえて、民業補完の観点から実需に見合った適切なものとなっているか。また、現時点において、事業規模の中に、先ほど申し上げましたように「東日本大震災に関する事案」が含まれておりませんので、今後、大震災からの復旧・復興の資金需要をどのように考えるべきかというところが論点になると思います。
論点に対する考え方ですが、1番目といたしまして、「東日本大震災に関する事案」に係る所要額を含めた事業規模について、今後の中小企業の業況の見通しや24年度末に金融円滑化法の最終期限が到来することを踏まえまして、民業補完の観点も考慮に入れて、どういうふうに議論を行っていく必要があるのか。2番目に、大震災関連の所要額については、被災地の復興状況及び被災中小企業の資金需要等を慎重に見極める必要があるとして要求額に含まれておりませんので、この要求額についてどのように考えるのか。3番目、本格的な復興に向けた動きが今後活発化するにつれて、これまでの資金需要というのは運転資金が中心でございましたけれども、設備資金の需要にシフトすることが考えられております。こういったものの所要額について、民業補完の観点を踏まえつつ、精査していく必要があるのではないかと考えております。
以上、私から論点の説明をいたしました。続きまして、中小企業庁のほうから説明がございます。
〔 中小企業庁三浦金融課長 〕中小企業庁金融課長の三浦でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、私のほうから資料1−2に従いまして、まず、足元の中小企業を取り巻く状況からスタートして25年度要求の内容まで、10分程度で説明をさせていただきたいと思います。
資料を2枚おめくりいただいて、2ページをお開けいただけますでしょうか。中小企業の業況感ということで、業況のDIをつけてございます。2003年からスタートして、足元2012年の第3四半期まで、ずっとご覧いただくと、2008年9月のリーマンショックの後に最も底を打って、その後、順調に回復基調にあったところでございますけれども、2011年の第2四半期で大きく落ち込んでおります。これはもう東日本大震災の関係でございます。大震災の後、次の第3四半期には相当急激に回復をし、少し上昇基調であったところ、足元、また落ち込みが見られるというのが現在の状況でございます。円高でありますとかが背景にあると考えておりまして、ヨーロッパの状況を含め、予断を許さない状況であろうと考えております。
1ページおめくりいただいて、資金繰りのDIの推移でございます。こちらについては少し期間が長くて、98年から足元まで拾ってございます。こちらについても大体業況DIと同じような動きを示しておりまして、リーマンショック後に最低を記録し、その後、順調に回復をしておったところ、震災で一度大きく落ち込んで、その後、また回復をしてきたところ、足元で足踏みが見られるという状況になってございます。
この赤い線が中小企業向け金融全体に占める政府系の割合ということでございまして、大体景気がよくなっている、資金繰りが緩くなっているときには政府系は減り、厳しくなってきたときに上がるということで、逆相関の動きを示すということであるのですが、リーマンショック後、少し高止まりをしているという状況がございます。
続きまして、ページをおめくりいただきまして4ページ目、中小企業の倒産でございます。中小企業の倒産については、2010年は前年比マイナス13.9%、2011年でマイナス4.2%ということで低く抑えられた水準になってございます。金融円滑化法を含め、政府のリーマンショック以降の資金繰り対策の効果ではないかという声もございます。
続きまして、2ページおめくりをいただいて、6ページをご覧いただけますでしょうか。中小企業向けの貸出しの推移でございます。こちらは2000年から2011年までの中小企業向けの貸出しの推移を棒グラフにしてございます。グラフの見方といたしましては、オレンジ色の部分が民間金融機関からの貸出し、青い部分が政府系金融機関からの貸出し、一番下にあります赤い枠囲いの部分が、民間貸出しのうち信用保証でカバーしている部分と、こういう構成になってございます。中小企業向けの貸出残高は、2000年のころは300兆円を超える規模であったものが、足元240兆円ぐらいまで落ち込んできているという状況でございまして、政府系の貸出しについても、もともと2000年は28.2兆円あったところ、足元22.5兆円ということになってございます。
2000年以降の特別保証をやっていた時期に急激に残高が膨らみまして、2000年に40兆円を超えておったのですが、その後、順調に残高が減ってきたところ、リーマンショックの後、緊急保証をやって少し増えまして、足元は少し横ばいから減少気味というような状況になってございます。
続きまして、7ページをご覧ください。公的金融機関の利用状況ということでグラフをつけてございます。中小企業は全体で420万社という数がありまして、多数の事業者が公的金融機関を利用されているということでございますけれども、420万社のうち、まず政策金融機関でいいますと、日本公庫のうち中小事業を利用されている方が4.6万社、国民事業を利用されている方が98万社、政府系というよりは公的金融機関ということかと思いますが、商工中金を利用されている方が7.1万社、それらとは別に、シンプルに足し算はできませんけれども、信用保証協会の保証を利用されている中小企業者が154万社。相当大きなポーションの中小企業の方が公的金融をご利用されているという状況でございます。
続きまして8ページでございますけれども、中小・小規模企業の資金繰り対策の実施状況ということでグラフをつけてございます。政府系金融機関の貸付残高でございますが、平成13年12月の特殊法人等整理合理化計画以来、政策金融改革で民業補完に徹するというようなことで、貸付残高をずっと大きく減らしてきております。赤いほうが国民事業、青いほうが中小事業でございますけれども、例えば国民事業でいえば、13年度には10兆円弱あった貸付残高が平成20年ぐらいまでかけて6兆円強のところまで減ってきて、足元は少し横ばい気味と。中小事業についても同じように、平成13年以降、平成16年ぐらいから貸付けを減らしてきていて、リーマンショック対応で少し増えて、足元は横ばいというような状況になってございます。
9ページをご覧ください。リーマンショック以降の中小企業金融対策についてということで、幾つかのポイントだけご説明を申し上げますけれども、まず信用補完制度については、2007年10月から、いわゆる責任共有制度ということで、それまでは金融機関の貸出しについて保証をつけますと、信用保証協会が100%リスクをとるという制度しかございませんでした。そこに少なくとも2割は金融機関のリスクをとっていただくという部分保証を、責任共有制度として導入いたしました。保証について申し上げると、その後、責任共有を増やしていこうということでやっておったんですが、2008年にリーマンショックが起こりまして、その後、緊急保証という形で、こちらについては100%保証で金融機関のリスクは無く、信用保証機関が全てリスクをとるという形で大規模な対応を行いまして、昨年3月にこれをやめるということにしておったのですが、東日本大震災が起こりました関係で、緊急避難的にそれを延長いたしまして、この11月にようやく業種を少し絞り込むことがスタートしている状況でございます。政策金融につきましても、リーマンショック以降、セーフティネット貸付ということを相当程度やってきておりまして、金利について、基準金利マイナス0.5%という優遇された金利で、セーフティネット貸付を実施してきています。震災以降は、東日本大震災復興特別貸付という形で、直接被害については最大マイナス1.4%、それ以外の間接被害を受けられた方等々について、マイナス0.5%という制度を運用してきているという状況でございます。
10ページをご覧いただいて、リーマンショック対応ということですが、大体今申し上げたことでございまして、規模だけ簡単にご説明を申し上げますと、保証については、規模的にはリーマンショック対応で36兆円、これは事業規模です。セーフティネット貸付については21兆円、実績において保証については36兆円中27兆円、貸付については21兆円中15兆円という状況でございます。
11ページに移りまして、東日本大震災の対応でございます。こちらも規模だけご紹介させていただきますと、昨年の1次補正、3次補正で手当てを行っていただいて、総額で見ますと20兆円を超えるような規模で震災対応を実施してきているところでございます。
続きまして、また2ページおめくりいただいて13ページでございます。中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた対応についてという紙がついてございます。これは昨年の12月末に金融庁、金融担当大臣が円滑化法について、もう一度延長すると、最終延長であるということで公表を行ったものでございます。中身的には、最終延長するということでございますけれども、その前提というか、そのために実際に円滑化法で条件変更しつつも、なかなか事業改善計画ができていない中小企業の方が増えてきているのではないか。もしくは計画は作ったんだけど、そのとおりに進んでいない方がかなり多くなっているのではないかと、こういう問題意識でございまして、金融措置だけではなくて、やはり事業再生だとか、事業改善であるとか、そういう中身を変えていくところのお手伝いを一生懸命していかなければいけないというような問題意識が去年の12月末に公表されたところでございまして、ちょっとページが飛んでしまうのですが、20ページの参考資料をご覧いただけますでしょうか。
20ページが、まず金融円滑化法を利用した条件変更の実績、これは金融庁が公表している資料でございます。トータルの数字だけ申し上げますと、今までの申込みが合計で313万件あって、実際に実行されたのが289万件と、こういうのが公表された数字になっております。こちらについては、複数行取引をしている場合、それから複数回同じ企業がリスケをしているという場合がございまして、延べ件数ですので、企業の数が313万ということではございません。企業の数については、金融庁が国会でご答弁をなさっておりまして、次の21ページをご覧いただくと、円滑化法をお使いいただいている事業者の数というものについては、30万社から40万社ぐらいいるのではないか、そのうち、事業再生が必要になってくるようなところ、相当傷んでいるところが大体5、6万社ではないかということで金融庁が推計を行っております。
次の22ページをご覧いただくと、こうしたことを背景に中小企業庁と金融庁、それから企業再生支援機構を所管している内閣府の3省庁が集まりまして、大臣レベルで政策パッケージを4月20日に取りまとめております。1つ目には金融機関によるコンサル機能を一層発揮していただくということ、2つ目には企業再生支援機構でありますとか、中小企業再生支援協議会、これは各県にございますけれども、こういったスキームを活用して中小企業の再生支援を一生懸命後押ししていくと。3つ目として、その他経営改善・事業再生支援の環境整備ということで、1点挙げさせていただくと、(3)の部分でございますけれども、公的金融機関における事業再生支援機能を充実させるための資本性借入金を活用した事業再生支援の強化ということで、資本性劣後ローンなんかを一生懸命やっていこうというような内容をパッケージとして取りまとめさせていただいたという状況でございます。
本文のほうに戻らせていただきまして14ページでございますけれども、震災対応の足元の状況でございます。制度創設以来、堅調に実績を重ねてきております。平成23年度の実績は4兆円程度ということになっておりまして、24年度に入っても復興需要が生じていると、こういうことがございまして、第4四半期までに7,000億円程度の実績になっています。今後はむしろ、被災地はだんだんと設備投資が立ち上がりつつある状況という認識でございまして、今まで運転資金が中心だったのですが、設備資金の方の需要が見込まれるということかと思っております。
15ページは一言だけ簡単に、先ほどから金融措置だけではなくて事業の中身をお手伝いしていくことが重要だということを申し上げさせていただきましたけれども、中小企業庁が所管となりまして、先の通常国会に提出をして成立いただいた法案でございます。金融機関でありますとか、もしくは税理士とか、実際に中小企業の経営であるとか財務の相談相手になっていただいている機関を、中小企業庁、経済産業大臣なり、金融庁長官が認定をして、中小企業の支援機関としてご活躍いただこうというような仕組みを今動かし始めたところでございます。
時間がなくなってまいりましたので16ページは飛ばさせていただいて、18ページをご覧いただけますでしょうか。下半期の中小企業金融対策についてということで、8月31日に公表させていただいたことでございます。ポイントは、先ほど申し上げましたが、セーフティネット保証5号、こちらはリーマンショック以来、全業種ということで、あらゆる中小企業が使えるという制度のたてつけで運用しておったのですが、業況が改善した業種を指定から外して縮小していくということに今取り組んでいるところでございます。他方、一番下をご覧いただくと、体質強化策として以下の措置を講じるということで、中小企業は外部の専門家の力を借りながら経営課題に取り組むという場合に、保証料を減免すると、事業計画をつくっていただいて、きちんと四半期ごとにフォローアップをしていくような仕組みをつくって、むしろ金融だけではなくて経営の状態を改善するというような取り組みを一生懸命やっているところでございます。
最後に19ページでございますけれども、以上のような背景のもと、平成25年度の中小企業向け金融についてということでございますが、取り組みの方針として、1ポツをご覧ください。まず1点目としては、金融円滑化法の最終延長を踏まえた経営改善や再生を促す支援措置というものに重点的に対応していきたいというのが1つ目の柱でございます。出口戦略における資金供給支援です。2点目といたしまして、東日本大震災における被災中小企業等の復旧・復興支援、こちらは引き続き一生懸命やっていかなければならない状況と考えています。3点目として、新たな分野に挑戦していく小さな企業に光を当てた政策ということで、後ろ向きの話ばかりではなくて、新しいことにチャレンジしていくということもしっかり応援していきたいということでございます。そうしたことをやっていく中で、当然のことながら、政策的に意義が高い措置に焦点を当てて、民業補完に徹していくということで考えてございます。例えば創業であるとか再生局面にあるとか、そういうリスクの高いもの、成長が見込める先で、民間金融機関の貸付けはなかなか難しいといったようなケースでありますとか、震災を含む危機対応といったようなケースかと思っております。
具体的な支援策及び事業規模ということでございますけれども、まず1つ目のポツに書いてございますのが、新事業や再生局面で民間と協調して支援を行えるように資本性資金を提供する資本性劣後ローン、もしくは2番目のポツでございますけれども、事業拡大でありますとか新分野進出、海外展開、こういったことを行う中小企業者に対する支援、特に事業拡大、新分野開拓については、経営支援と一体となって資金供給をしていくというような制度を検討していきたいということでございます。
こうしたものを含め、国民一般向け業務として2兆6,160億円、中小企業向け業務として2兆2,000億円ということで、大体2年前、平成23年度当初計画並みの規模を想定させていただいておるということでございます。プラスアルファで復興経費というのは先ほどご紹介あったとおりでございます。
説明は以上でございます。少しオーバーして申し訳ございませんでした。
〔 富田分科会長 〕ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見等ございましたら、どなたからでもお願いをいたします。
どうぞ、冨山委員。
〔 冨山専門委員 〕多分フィールド的に、私が最初にしゃべったほうが、あとの皆さんが話しやすいと思うので。
伺った話の中で、まず基本的なスタンスの確認です。これは以前からこの分科会でも出てきた議論ですが、要は、こういう中小企業向けの話というのは、この中でも触れておられましたけれども、緊急時の問題と平時の問題というのは位相が多分異なるのでしょうという前提で議論されていたわけです。けれども、一般的にはえてして、緊急時の位相が平時に残存するという傾向があって、それを解消していかなければならないわけですが、政治的には結構ハードルが高い話になると思いますので、その辺は、実際どうなのかというところ。それから平時における中小企業政策、ある種の経済政策の領域、私自身の整理は、平時は基本的には産業政策の脈絡でやっているわけなので、ちょうど今日の資料でいうと、私が一番ある意味ではそうだろうと思ったのは、17ページ目の「ちいさな企業」ですか、前向きな話と言われましたが、むしろここで議論をしているのが本来の中小企業金融の役割、政府系の役割であって、救済原理については、放っておけばいいのではないかと。もしそこで生じる失業問題とか、いろいろな悲劇はこれは社会政策の問題なので、むしろ経済産業省ではなく厚生労働省が頑張ればいい話でしょうというのが私のもともとの整理です。むしろ産業再生機構のときも、私自身はそういうのをかなりプリンシプルとして明確に持ってやっていたわけです。ただ裏返しで、もちろん会社のリストラのときには、退職金等を払うのは当然のことで、それは当然法律上の義務ですからやるわけですけれども、さっき申し上げたように、緊急時の論理が残存すると、えてして、産業政策と社会政策が混在してしまい、何が起きるかというと大体悪いとこどりになるんですね。どっちつかずになってしまうことがよくあります。だめな3セクと同じで、悪いとこどりの事例を私はいっぱい見てきたので、その辺を中小企業庁として、あるいは政策的に、どのように整理されているのかという質問です。
あと17ページの絵でいうと、実はこの中で大事なのは退出だと私は思っていて、いい会社をより強くするとか、持続可能な会社にしていきましょうという議論は、これは当然やっていく動議づけが金融機関や経営者にもありますし、我々のような、その周りで助けている人間にも、これは当然普通にあります。これは要するに経済的なインセンティブが健全に機能する領域ですが、問題は退出のところでありまして、実はある意味では淘汰再編というものが最も遅れているのは、実は私は中小企業セクターだと思っています。というのは、これはいろいろな意味で支えてきてしまった部分があるので、最近はやりの言い方をするとゾンビ企業というんですか、ゾンビ化している企業が最も多く残存しているのが中小企業セクターで、私もそういう会社を嫌というほど見てきました。では、そういった会社が生きていることだけで何か世の中にいいことをしているのかというと、大体の場合は、とても過酷な労働条件で人が働いていて、よくよく見ていたら働いている人が日本人ではなかったりというのがいっぱいあるのが現実であります。
そうすると、そういった企業群を倒産させないために、これは私は保証協会が担っているような制度保証の仕組みの副作用が一番重いと思っておりますけれども、こういった公的金融が、特に平時においても残存的に支え続けているという状況はあまり健全ではないし、はっきり言って逆に上に上がっていこうとする会社の足を引っ張ることになります。要は過当競争状態を結局温存することになるので、非常な勢いでみんなの足を引っ張って、みんなが一緒に沈んでいくという構造が、実は地域のあちらこちらに現実に存在します。そうすると次の問いとして、今度、特にこの金融円滑化法が切れたときが1つの勝負どころだと思うのですが、ここでまた相変わらず救済、現状維持的な政策を展開するのか。それともいい会社、要するに強い会社、あるいは潜在的に強みを持っている会社、要は広い意味で強きを助けて、弱きに関しては会社としては挫くけれども、そこで生まれるいろいろな社会的悲劇に関しては、それこそ厚生労働省的な世界で、セーフティネットで救うという、メリハリをちゃんとつけられるような展開に持っていこうとしているのかどうか、この辺をちょっと伺いたい。
実は退出局面というのは、関係当事者にほとんどインセンティブが働きません。どちらかというと、もうゾンビでも何でもいいから生き延びさせようというインセンティブが、実は銀行にも働くし、経営者にも働く。あるいは公的金融がかかわってきた保証協会などの仕組み等々というのは、むしろ退出のバリアを高くしてしまいます。個人保証の問題とも絡んで、もうやめるにやめられないという状況をあちこちで生んでいるのもいっぱい見てきたし、我々が実際に再生にかかわるときに、保証協会で借りているやつはほぼ絶対に放棄できないので、一番取扱いの難しい案件になってしまいます。要はみんなで破産する以外に事業承継しようと思っても、全員破産して債務調整した上で事業譲渡しないと結局会社としてエグジットできないということがよく起きます。そうなると、今度はもう一つの問題として、この退出バリアをどう下げるかというのも、同時に考えなければならないと思っています。今後、さっきの円滑化法切れに向けて、その退出バリアをどう下げていくかということに関して、政策上の問題意識をお持ちなのか、あるいは何らかの方策を考えおられるのか。書かれていること自体は、私はクワイトアグリーなので、それに加えて、どういうことを考えておられるかがもしあれば教えていただきたいと思います。
〔 富田分科会長 〕関連して、ご質問いかがでしょうか。
どうぞ、中里委員。
〔 中里委員 〕18ページの資料について質問をさせていただきます。セーフティネット保証についても、やはり出口をきちんと明確に書いておかないといけないので、ここにあるように業況が改善した業種については指定から外すことにしたということですが、これは何らかの、誰が読んでもわかるような明確な基準できちんと書かれているのかどうかということです。それと例えば平均的な基準を設けたときに、業界によって、ばらつきが大きい業種とそうでない業種があったときにどう判断されるのかということについても、判断基準があれば伺いたいと思います。
もう一つ、確かに災害が起きたときに避難所をつくる、これは非常に大事なことだけれども、どこかできちんと閉めないといけない。つまりサンセットをしないといけないところがある。いつまでも続けていると、冨山委員のお話にあったように、ずっと問題が改善しないということになるので、その点、この基準をどのように運用されているかということを伺いたいと思います。
以上です。
〔 富田分科会長 〕続いて、中島委員、どうぞ。
〔 中島専門委員 〕私、中小企業政策審議会の“小さな企業”未来部会の委員もやっていまして、このお話の半分ぐらいのところは別途議論に参加しておりますけれども、その点も踏まえて申し上げたいと思います。冨山委員からあったお話、基本的には先ほどの中小企業庁の説明にもあったお話ですが、私も基本的にアグリーです。前向きの中小企業にお金をつけると言いながら、実は中小企業全部を大事にしているという話は、これは中小企業審未来部会の皆さん含めて出ておりますので、そこはぜひそういう選別をお願いしたいところです。それと、冨山委員のおっしゃった中で、足を引っ張る企業をどうやって退出させるかというのは事実で、私どもの研究所の研究でも退出企業の多い業種が参入企業も多いというのも数字の上で明らかに出ておりますので、そういう意味での新陳代謝は必要だということです。
ただ一方で、ここの4ページ目にありますけれども、中小企業の倒産ですが、これは欧米のケースに比べて大変異例な形になっています。というのは欧米のケースですと、リーマンショックの後、2010年にかけて倒産はかなり増大しているのですが、日本の場合、そのときも減少して、かつ大震災の後も大して増えていないということなので、企業を支えるのは結構ですけれども、本来的には退出すべき企業が退出しないまま残っているということです。
それで、ここからが冨山委員と違うところですが、エグジット、どうやって退出させていくかということは大事ですけれども、一気にそれを退出させた場合に失われる雇用というのは、これはどちらかというと社会保障的な分野で見なければいけないというのは、理屈としてはわかりますが、ここまで退出しないままの企業を累積しているとなかなか難しいと思います。したがって、その意味では冨山委員とはちょっと言い方が違うと思いますけれども、エグジットは十分意識していただいて、ただ、すぐ全部切るというわけにはいきませんので、むしろ今後の中小企業政策は、極めてメリハリをつけた形でやっていただきたいということです。それは今の大震災後の復興で、これから予算が出てくるというところも大いに取り上げていただきたいのですが、エグジットに一定の期間がかかるのはやむを得ないとしても、メリハリを意識した上で、選別を確実にやっていただきたい、そういうことを強化していかないといつまでも累積するばかりなので、ここのところはぜひ強めにお願いしたいと思います。
〔 富田分科会長 〕それでは、原田委員。
〔 原田専門委員 〕ご説明ありがとうございます。長年にわたる与信活動の結果、与信残高が非常に大きいということは、例えばこの6ページの表を見ましても明らかですけれども、この6ページの表は民間が入っていますので、下の部分と上の部分に分かれている形になりますが、多分ここでは民間は要らないのではないかと思います。民間が重なっていて公的金融が出ていっているという因果関係は必ずしもないかと思いますので、むしろ民間を出すということでしたら、その他の比較というのも情報開示として入れていただければと思います。例えば不良債権比率ですとか、信用コスト率ですとか、研究者が書いている論文などを見ますと、大体民間金融機関よりも大きい数字が出ておりますので、コスト率などについても業務ごとに出していただければという希望があります。
そして、今日のご説明は主に事業規模などの面からのお話でしたけれども、収益が赤字であるということ、例えば平成21年度ですと1兆円以上の赤字を計上なさっています。それは信用保証協会による代位弁済をかなり負担していたというのが背景にありまして、最終的には財政により補てんされるということも明らかな事実ですけれども、そのときに回っていく、迂回ルートみたいな形で、結局は財政の負担になるということですので、その事業規模だけでなく、結果の部分をもっとご説明いただけるようになるといいと思いました。
以上になります。
〔 富田分科会長 〕それでは、ここで、まず中間で締めて簡潔にお答えをいただいた後、また再びご質問をさせていただきたいと思います。お願いします。
〔 中小企業庁三浦金融課長 〕いろいろとお尋ねをいただきました。まず、冨山委員の関係から申し上げますと、ご指摘いただいた未来会議は先ほど説明を省略させていただきましたが、全体会議と全国で30カ所ぐらい、延べ1,000人以上の中小企業の方から直接お話を伺おうということでやりました。どちらかというと、地域で頑張っていらっしゃる、元気のいい方に集まっていただいて、そこでお話を伺うと、例えば金融なんかについても信用保証なり政府系金融なりで、甘やかすのはかえってよくない、こういったご意見のほうがむしろ多かったような印象です。短期的にはやっていけても、そこで甘やかすというのは非常によくない。例えば成長段階にあって、なかなか民間が全部出してくれないと、そういうところに注力していくべきだというご意見を相当いただきまして、そこの考え方については、我々も全くそういう考え方で今やっております。それで最初にお伺いいただいたのが、退出について、緊急措置がいつまでも残っていると、なかなか退出局面でも問題が残るのではないかと、こういうことでございますが、緊急措置を平時に戻していくというための努力は我々もしていきたいと思っておりまして、先ほどご説明申し上げた、11月1日から緊急保証でずっと全業種でやってきたセーフティネットの保証の業種を減らすということは着実に取り組んでいきたいと考えております。
もう一つとしては、未来会議なんかでもご指摘を受けたんですけれども、要するに緊急保証でお金を貸して一時的につないだんだけれども、結局その事業の中身がよくならないと借金だけ増えて、かえって不幸になっている人がいると、こういうようなご指摘もいただいております。むしろ我々が今後取り組んでいきたいと思っているのは単にお金を貸します、100%国が面倒をみますということではなくて、むしろ金融機関なりにコミットをしていただいて、この事業者については、例えばこういう事業計画をつくって四半期ごとに実施状況をちゃんとフォローアップをしていくと、そういうところに融資をするので保証をつけると。先ほどちょっとご紹介しましたけれども、経営力強化保証と我々は呼んでおりますが、そういうご努力をいただくのであればコスト、リスクも下がるでしょうから、保証料も少し低減させるというようなものに、全体としてシフトしていきたいと、このように考えております。そういうことをすると、逆に事業計画、今後の事業の見通しが立たない、キャッシュフローが出てくるかどうかよくわからないようなところは、自然となかなか対応しづらくなってくるというような関係にあるんだろうと思います。
それから退出バリアをどのように下げていくか、これは必ずしも政策金融だけではないと思いますけれども、退出するときになかなか引っかかってくるところ、1つは会社の借金の問題ですね。もう一つが経営者の個人の保証の問題。
〔 冨山専門委員 〕退職金原資も多分。
〔 中小企業庁三浦金融課長 〕はい。あとは従業員との関係、雇用、職場がそもそもなくなってしまう、退職金払えるのかどうか、その3点ぐらいあります。3点目はなかなかうちの枠を超えるところもありまして、今お答えできるものではないのですが、個人保証については整理の仕方が2つ、入口と出口の話があります。入口のところで、ある程度所有と経営を分離して、経営をなさっているような中小企業の方であれば、例えば幾つか要件を設定して虚偽の報告をしないとか、社外への財産流出を制限するとか、そういう条件、コベナンツをつけて、いざというときには個人にかかっていくけれども、これをきちんと守っていれば、個人保証を履行しないというような形で、個人保証を少し減らしていくということはできないのかということ。出口の議論でいうと、会社の再生と一体となって個人の再生も行うような、例えば私的整理のガイドラインというのを整備できないかということで、金融庁と今議論を始めております。年度内を目途に少し方向性を出して、なるべく早くガイドラインをつくっていきたいということで、金融庁と話をしていると、こういう状況でございます。
次に、セーフティネット保証の指定業種の基準です。こちらについては、例えば業種全体で見たときに前年度と比べて、例えば業種全体として5%落ちているとか、そういう数値で決めた基準がございます。業種間のばらつきとおっしゃられたのが、業種の中で例えば北海道と沖縄では違うとか、そういう話でございますか。
〔 中里委員 〕単純な話で、平均の姿で基準を決めてしまうと、例えば業種内で良い企業と悪い企業のばらつきがあるときと、全体的にだめなときで扱いが同じになってしまうので、そういうばらつきがどうなっているのかということで、やはり判断を変える必要があるのかなと、もちろん地域間のこともありますが。
〔 中小企業庁三浦金融課長 〕そういう意味では業種間のばらつきというのは、今、考慮していなくて、全体の平均値をとって、売上げが業種全体としてどれぐらい落ちているかという基準で判断をしております。今まで業種内のばらつきを反映させるべきかどうかという議論は多分内部的にもあまりしたことがないと思います。したがって、今、この瞬間、答えを持ち合わせておりませんが、今後考えさせていただきたいと思います。
それから中島委員からいただいたのは、一定の期間、むしろきちんとやっていけるところについては、もしくは伸びる見込みがあるというところについてはしっかり支えるべきだし、そうでないところについてはというお話で、それを時間をかけて、メリハリをつけてやっていくべきだということでございますが、そういう意味では、我々もいきなり全部切るということをしているわけではなくて、むしろ先ほど申し上げたように、きちんと事業計画なりをつくって、その中身を精査していくという取り組みを強めていきたい。そういう中でご努力いただいて、実際にキャッシュフローが出てくるというような見込みの立つ先については、きちんとお支えすべきだというふうに考えておりまして、いきなり全部やめたという話ではない。他方で、とにかく100%国がリスクを見てやるような緊急保証みたいな世界は、少しソフトランディングみたいなことが要ると思いますけれども、基本的に撤退局面にあると、こういう認識でございます。
それから原田委員からいただいた、信用コストとか不良債権の比率というのは、この後、両事業部の部長からお答えを申し上げたいと思います。緊急保証について、事業規模はこれくらいだったということだけではなくて、実際の財政負担の有無も含めてきちんと説明をすべきだというご指摘だったと思います。そういう意味では、緊急保証については、実際に融資を、保証を行ってから貸倒れが出てくるのが、大体2年目、3年目ぐらいからで、3年目、4年目ぐらいにピークがたってくると、こういう傾向にあります。実際に足元で例えばこの36兆円を保証して、実際に貸し倒れた人がどれぐらいいるかというところは、まだこれからでございます。ただ、一例として申し上げると、平成10年から実施をしておりました特別保証という似た制度がございまして、そのときには全体で30兆円ぐらい保証をして、貸倒率が10%ぐらいで、回収率が十数%というような状況で、結果として30兆のうち3兆円分が倒れて、回収できたのがそんなにないということで、2兆円以上、財政出動を伴う制度を実施していたということがございます。
以上でございます。
〔 富田分科会長 〕それでは、続けて。
〔 日本政策金融公庫中小企業事業本部岩間事業企画部長 〕日本公庫の中小企業事業本部の岩間と申します。
原田委員のご質問に簡潔にお答えさせていただきますと、私ども日本公庫の中小企業事業の平成23年度末のリスク管理債権比率は8.58%。これはディスクローズしておりますが、この8.58%というのは、ご案内のとおり民間の金融機関から比べれば決して低くない数字だと思いますが、これが高いか低いかというのは実施機関としていかんとも評価しがたいところはありますが、相応のリスクをとった結果、8.58%というリスク管理債権比率になっております。
以上でございます。
〔 富田分科会長 〕いずれにしても、信用コストの問題は、またデータで私どもにお示しいただければと思います。補正予算でいっぱい国費が投入されていますので、それらも明示的に資料をいただければと思います。
それでは、質問を続けさせていただきます。川村委員、どうぞ。
〔 川村委員 〕質問と意見と両方ですけれども、やはり先ほど何人かの委員の皆様からもご指摘があるように、特にここ数年は、この財投が成長支援なのか、救済政策なのかということがまだらになっていて、非常に困ったときの財投頼みということが続いていると思います。変な言い方ですが、毎年危機が来て、いつの間にか危機が平常化しているという状況で、やはりこれはかなりねじれた状況にあるのではないか。ここで、そろそろ財投はこういうものだという、それなりの方針を改めて示す必要があって、一度延長された金融円滑化法が終わるというのは、私はいいきっかけであろうと思います。返さなくてもよいお小遣いをずっとあげ続けてしまうと、永久的な無利息資金みたいになってしまうわけで、やはり本当にここで終わったのだというけじめを財投として示す必要があるのではないかという感じがいたしました。具体的に何をどうするというアイデアが今ここにあるわけではありませんが、そういうメッセージをかなり強く打ち出す必要があると感じています。
それとの絡みで、今、中小企業事業のリスク管理債権比率のご説明をいただきましたけれども、昔は旧国民公庫と旧中小公庫がはっきりとわかれていて、どっちがどういうリスクを負っているか、個人商店的なものから、中小企業といえるものの両者が区別できたのが、今は、中では分けていても一本化されて、何かそこが曖昧になっているのではないか。
その辺で、同じ政策目的だとか投資目的といっても、小さい企業で成長できるというのは、反比例的に形が小さくなってくると思います。デパートのアイデア商品みたいなものが急にベンチャーになって、マイクロソフトになるということはまずあり得ないわけです。ところが、大体、公の議論の場では、そういう二、三人の頭のいい人が一生懸命やっていて、頑張っていると上場できるみたいに誤解しているところが多分にあって、そこにお金をつけてしまって結局返ってこないという例が数多あると思います。そういう意味で、旧国民公庫レベルと旧中小公庫レベルの話というのは明確に分けて検討していく必要があるのではないかと思っています。
それと、3つ目の質問ですけれども、これはどっちかというと救済的なことにかかわる質問なので矛盾するかもしれませんが、例えば資料の19ページに25年度のご説明がありますけれども、震災等を含む危機対応、ちょっとこれは私の個人的な感触なのですが、震災以上にそういう意味で危機と言えるのは中国危機だと思います。具体的に数字を見ていても、一般機械とか電機、家電、自動車は、この10月で見ますと軒並み半減とか7割減、8割減になってきているわけです。
ということは、当然、その裾野、末端に中小企業が山ほどあって、中国に現地法人を持っている日本企業が約6,000社、進出企業は2万2,000社以上あって、その取引先はその何十倍もあるので、おそらく中小企業でかなりの影響を受ける会社が数十万社あるのではないかと思います。ですから、考えようによっては、これは大震災よりも大きい危機かもしれない。あるいは、もっと長く続くかもしれない。こういうものに対しては、25年度、何かご覧になっているのかどうか、全く今の段階では考慮していないのか。
ここはさっきの退出の話に絡んで、これはちょっと踏み込んだ話になってしまいますけれども、リスクがある、非常にカントリーリスクが高いということが明らかになってしまった中国から退出する代わりに、東南アジアだとかメキシコ、トルコに移りますというのは単なる退出ではなくて、前進的退出、いわば移転という話になるわけですね。ただ単純に中国から引いて事業をやめてしまうということではなくて、より発展性のある形にいくようなケースについては、単純に退出してしまうケースとはちょっと違う世界だと思うので、個人的には考慮してもいいのではないかと考えているのですが、その辺について今何か検討されておられるのか等についてお答えいただければと思います。以上です。
〔 富田分科会長 〕では、続いて土居委員、どうぞ。
〔 土居委員 〕ご説明どうもありがとうございました。1点質問と、1点コメントがございます。
まず1点目は、ちいさな企業未来会議、この会議で中小企業、小規模企業の再生、再定義、ないしは政策体系の再構築ということをお考えになっておられたのだと思いますけれども、財政投融資に関連してこの話について言うと、国民生活事業本部と中小企業事業本部があるわけですが、この小さな企業未来会議の議論と、この日本公庫の中でのデマケーションとの対応関係というのはどういうふうにお考えになっておられるのかというのをお聞かせいただきたいというのがまず最初の質問です。
それから、もう1点はコメントですが、冨山委員ほか、これまで、今日も既にこの議論が出て、かつ、昨年も一昨年も同じような議論をしていたと思いますが、それが何らかの形で財投計画なり日本公庫の業務の説明なりで一文でもいいので反映されていたかというと、少なくとも私はあまりそういうニュアンスの感じられる文言が見当たらないなと思うわけです。もちろんセーフティネット融資をするということでやっている矢先に、もし成果が上がらなければエグジットしていただきますよというようなことを書くというのはなかなかつらいことなのかもしれませんが、ただ、最初のコミッントメントといいましょうか、いつまでも融資をし続ける、助けるとは限らないということは事前に示しておくことで、事業を営む方々、お金を借りられる方々も襟を正してより健全な経営に努めようとか、より生産性を向上させようという心持ちで取り組まれるということも、あると思います。
確かに、何とか目の前の窮地を乗り越えるということで、それに政策金融が手を貸すということは必要だけれども、一旦この窮地を乗り越えたならば、その先はきちんとひとり立ちしていただくべく頑張っていただかないと、いつまでも助けるというわけにはいきませんというニュアンスの感じられる業務の説明、ないしはそういうことを心がけて、日本公庫に対しての財投計画を認めているというようなニュアンスをどこかに盛り込んでいただけないかというコメントであります。以上です。
〔 富田分科会長 〕池尾委員、どうぞ。
〔 池尾臨時委員 〕今の土居委員のコメントに非常にかかわりますけれども、冨山委員や中島委員、川村委員がおっしゃったことも、技術論ではなくて、ある種、中小企業政策の基本、根幹にかかわるフィロソフィーを転換しろという話なんです。そういう転換の必要性なり、転換する流れに実際の中小企業政策がなっているようには、残念ながら私は全然認識していなくて、だから、ある意味で先ほどのやりとりはちょっと奇妙に感じた部分があります。これはもっと政治のレベルでの話に最終的にはならざるを得ないのでしょうけれども、中小企業政策そのものの根幹のフィロソフィーみたいなものを変えていく流れになっているのかどうかということです。
これまでは基本的に中小企業というのは弱者であって、擁護すべき対象だというスタンスに立った政策ということだったと思いますけれども、それに対して、今日出ていた話は全部、中小企業イコール弱者とはもう位置づけないで、その中で選別していくという話で、それで財投は成長資金として位置づけていくのが正しいのではないかという意見が出ていたわけでありまして、これは、実は根本的なところの非常に難しい話で、中小企業庁だけで引き受けられる話なのかどうかわからない、もっと上のレベルで、それこそ政権の方針として決めなければいけないような話になっているのではないかと思ったのですが、それは本当に大丈夫でしょうか。
〔 富田分科会長 〕翁委員、どうぞ。
〔 翁委員 〕平成25年度に資本性劣後ローン等の原資として430億円の産投出資金を要求されていますが、これはやはり主に事業再生支援を念頭におかれているものと思いますけれども、実際、これを行うための改正というか、事業再生を支援するための体制や、そういった機能整備といったことはどのぐらい整っているのかということについて教えていただきたいと思います。
〔 富田分科会長 〕それでは、ただいまの質問についてまとめてお願いいたします。
〔 中小企業庁三浦金融課長 〕それでは、まず川村委員のお尋ねからまいりますと、円滑化法終了がよいチャンスで、困ったときの財投頼みという構造を変えていくべきで、先延ばしではないというようなメッセージをということでございますけれども、この点、方向性としてはおっしゃるとおりだと思います。
円滑化法の終了に向けて、今、我々一生懸命やっておりますのは、先ほど申し上げたとおり、大体40万社ぐらい円滑化法利用企業がいて、この中にはレベル感でいえばその他要注意先、場合によっては正常先の区分に引き続きされているところもありますけれども、その他要注意先から破綻懸念先まで、いろいろな方がいらっしゃいますけれども、特にその5、6万社というのが抜本的な金融支援を含めて相当な対応が必要だと、こういうことでございますので、まずはこの5、6万社の方々をターゲットに再生支援というのを、金融機関自身にご努力いただく部分もありますし、我々としても手伝っていく部分がありますし、そういうことを一生懸命やっていかなきゃいけないということで、相当、金融庁からも各金融機関に話をしてもらって、とにかく先延ばしをするのではなくて、きちんと対応方針を決めて支援をしていけ、対応をしていけということでやっております。
したがって、すいません、ちょっとメッセージとしてうまく当たっていないかもしれないですけれども、必ずしも先延ばしをしたいということでやっているわけではなくて、実質的に我々は問題を解決したいという姿勢で取り組んでいるところでございます。
それから、国民と中小を一本化したことによって、何か関係が曖昧になっているのではないかと。統合については、当然メリットもあって管理部門の一本化、支店の一本化、そういうことを含めてコストを下げて、お客さんから見れば、国民なり中小なり、どちらを利用してもいいというような方もいらっしゃいますので、そういったところを含めて一体となって対応を行っていくというようなメリットがある一方で、おっしゃるとおり明らかに質的に違う部分もございます。例えば財務諸表なんかはリスク管理の中では全部分けて出しておりますし、そこはうまくバランスを見ながら統合したほうがいい面と分けて考えたほうがいい面、両方あると思いますので、引き続きそこはしっかりと、そういう頭で対応していきたいと思います。むしろ、どちらかというと我々が見ると分けて考えているほうがまだ強いような感じはいたしますけれども、むしろ一体化してきてよかったという認識がございますので、一緒になってよくわからなくなっているというような状況ではないと思います。
それから、震災の話に絡んで、中国ですね。中国については、我々、担当部局ではございませんで、むしろ経済産業省の中でいえば通商政策局というところでありますとか製造局という部署が、現在どういう影響があるのかというのを含めてずっとウォッチを続けていると、こういう状況でございます。むしろ我々は、すいません、それを受け取って、実際どういう影響があって、どういう手を打たなきゃいけないのか、それは必ずしも金融措置とは限りませんので、金融措置が必要であれば、それを聞いた上で対応を考えていくと、こういう状況でございます。
足元の自動車であるとか家電であるとか、例えば去年の特需とか、自動車であればエコカー補助金等が切れてきたとか、いろいろな原因があって今ちょっと厳しい状況に振れつつあるということは認識しておりますけれども、中国も含めて全体としてどういう影響が出てくるかということについては、今、足元でこうしようという方針を持っているわけではありませんが、念頭には置いて状況を見ていると、こういう状況でございます。
続きまして、土居委員でございますけれども、未来会議との関係で、政策を再構築していく中で、国民と中小の関係をどう整理しているのかというお尋ねでございましたが、未来会議自体、必ずしも小規模ということではないのですが、比較的小さな企業について光を当てて考えたいということでございまして、どちらかというと領域としては国民事業部の領域が多い話、話題としては多く出たということだと思いますが、例えば先ほどの川村委員の話とも少しつながってくるのですが、資本性劣後ローン、例えばこういうことを従来、何年間か中小事業部のほうでずっとやっておりまして、来年に向けて今、国民事業部のほうで同じような制度を始められないかということで検討しているところでございます。
そういう形で、中でうまくノウハウを移転していくような仕組み、両方でいいところを持ち合うような関係を構築してやっていけたらいいなということで考えてございまして、未来会議自体はおっしゃるとおり、小さな事業、企業に光を当てるということで、どちらかというと国民事業寄りの話が多かったのですが、中小と国民、やはり一体として捉えて、全体として制度を改善していくという姿勢も必要かなと思っております。
それから、いつまでも融資をしないというメッセージの話でございますが、なかなか難しいお尋ねでございますけれども、経営者のマインドというのは非常に重要だと我々も思っております。今、円滑化法の最終延長を踏まえたパッケージというのを、例えば我々の担当でいえば中小企業再生支援協議会のてこ入れというのをずっとやっているんですけれども、金融機関サイドから事前に相談があった案件のうち、相当数がやはり最終的に外部の機関に相談に行くとかいうと、たどり着かないということも起こっております。理由としては費用とかいろいろあるのですが、1つ大きいのは、やはり経営者が、うちはそこまでの状況じゃない、もしくはレピテーションを含めて嫌がるということが結構ありまして、他方で、やはり企業を立て直していくということを考えると、中小企業再生支援協議会なり金融機関というのは、あくまでやっぱり支援というかお手伝いができるだけなので、経営者がいかに真剣にその事業の状況を受けとめて、将来を考えて、これでやっていこうということになるかということが一番のポイントだと思っていますので、それをドーンといつまでも借りられると思うなみたいなことで言うのがいいのか、個別の具体的なケースにおいては中小企業再生支援協議会なんかも含めて、そこはあなたの問題ですと、状況をきちんと認識してということはもちろん申し上げているところでございます。すいません、問題意識は持っておりますけれども、ちょっと全体の文章については考えさせていただければと思います。
池尾委員からご指摘いただいた点でございますけれども、手元に資料がないのですが、平成10年前後だったと思いますが、中小企業基本法の大改正を行っておりまして、もともと戦後ずっと二重構造の解消ということで中小企業政策をやっておりました。要するに、大企業と比べて中小企業は規模も小さくて、例えば資金繰りの話で言えば大企業に比べて非常に不利で資金調達もしにくいと、取引関係においても大きいところと比べると力が弱いので無理難題を言われがちだと。そういう二重構造の差と、大企業と比べて不利な立場にある中小企業の不利性を埋めてあげるというのを一番の理念としてずっと中小企業政策をやってきておりましたのを、その理念を根本的に変えようという改正を行っております。考え方としては、要するに経済成長の活力の源泉、経済の活力の源泉である中小企業について、とにかくしっかりと頑張るという人を応援していこうと。すいません、正確なものが手元にないのですけれども、考え方としてはそういう考え方へ大きく転換をしております。
お話を伺っていて、他方でまだまだその理念に我々がやっていることがもしかしたら追いついていない部分というのもあるかもしれなくて、1つの原因としては、セーフティネットですね。危機対応というのは、これはこれで大変重要な機能で、民間金融機関がなかなかお金を出せないというようなときに、その分国がカバーしていくという機能は非常に大事だと思うんですけれども、他方で、それをずっと続けていくと、セーフティネットではなくて単なる弱者救済になってしまうのではないかというような、今日もいただいたご指摘のとおりでございますけれども、そういった部分が少しあって、なかなかその理念どおり物事が進んでいないように見えるのかもしれないなと思いました。
基本的な考え方としては、弱者救済、弱い人を助けるということではなくて、経済の活力の源泉として頑張る中小企業をしっかり応援していくと。この未来会議もまさにそういう発想で、とにかく元気な人に集まっていただいて、元気な人がより元気になるためにはどういうことをやっていったらいいのかということでやった会議でございます。
ちょっとご参考まででございますが、資料の17ページ目をご覧いただくと、例えば上のグラフをご覧いただけると、黒い線が中小企業の平均です。青い点線が中規模企業で、黄色というかオレンジの線が小規模企業でございますが、経営状況を下位層、中位層、上位層とずっととって、それぞれに売上高経常利益率をずっとグラフにしていったというものでございますが、下位層を見ると、圧倒的に小規模企業の売上高経常利益率は低いのですが、上位10%から20%ぐらいのところをご覧いただくと、むしろ小規模企業のほうがやはり大きくなっているということで、小さい企業であっても、やっぱりこういうところ、ポテンシャルがあるところを我々はしっかり応援していきたいということで、今後の政策展開を内部的には考えているという状況でございます。
それから、翁委員からご指摘をいただきました、特に再生関係の資本性劣後ローンの執行に向けての体制整備の話でございますけれども、こちらについては、中小事業部のほうに部屋をつくっていただきまして、我々としても問題意識を持っておりまして、地域できちんと再生に取り組むような体制を強化しながら要求をしていくという発想でやっております。具体的には、ちょっと中小事業部のほうから説明をいただきたいと思います。
〔 日本政策金融公庫中小企業事業本部岩間事業企画部長 〕それでは、手短にご説明いたします。
先ほどからご議論ありますように、もちろんセーフティネットは一生懸命やっているんですけれども、今年度、中小事業では海外展開支援と新事業育成、それから、今、翁委員からありました再生支援。特に再生支援については、過去から地域の中小企業再生支援協議会等と連携して、政府系としてリーダーシップを果たしてきたつもりなんですけれども、もちろん円滑化法切れというものもある程度視野に入れながら、今年の4月に事業再生の専門部隊、企業支援部という部を本部に新設するとともに、本部にだけ人を置いておいても物事は動かないので、全国8地域にその人員を常駐させて、そこもいわゆる管理、回収ということではなくて、再生支援という専門部隊を配置しておりまして、全体で100名規模で展開しております。
詳しい話は省略しますけれども、もちろんその中での一番大きなツールとすれば、今、金融課長からお話がありましたように、この資本性劣後ローンを使って、政府系として一歩踏み出した金融支援をするので、民間も協調してやっていただきたいというような動きを可能な限りやっていきたいと。
もちろんローンも大事なんですけれども、今、主眼に置いているのは、いかに具体的な経営改善計画の策定をお客様と一緒に支援して、作成したところで終わってしまう部分もあるので、今はモニタリング、つくった経営改善計画がどのような進行をしていくのか、これは常に100%計画どおりにはいかないかもしれませんけれども、その進捗、7割なら7割、じゃあ、3割はどうしたらカバーできるのかとかいうようなことのモニタリングにも力を入れて現在取り組んでいるところでございます。以上です。
〔 日本政策金融公庫国民生活事業本部佐藤事業企画部長 〕よろしいでしょうか。日本公庫の国民の佐藤と申します。よろしくお願いいたします。
まず、川村委員のほうから中小と国民と、勘定が曖昧ではないかというご質問が先ほどございました。これは金融課長がお話しされましたように、勘定は別になっておりまして、先ほど中小で言っておりました8.58%の数字は、国民に置き直しますと10.7%と若干高うございます。
それから、土居委員のほうから、中小と国民のいわゆる取引先とのデマケの件のお問い合わせがございました。これは明確なデマケはございませんが、手前どものお取引先は従業員が9人以下の企業が9割を占めておりまして、小口の資金が中心でございます。1社当たりが平均650万円と小口なものですから、お客様のほうで大口の資金は中小、小口は国民というふうに事業規模に応じてお分けになっているというような認識をしております。
それから、翁委員から資本性劣後ローンの体制面の件がございましたが、98万社と非常に取引先が多いんですけれども、中小企業事業のノウハウも活用しながら、大分、融資後のフォローをする体制ができてきましたので、そういったことをベースに、今、資本性劣後ローンを導入すべく関係省庁にお願いしているという状況でございます。
以上でございます。
〔 富田分科会長 〕それでは、私から質問させていただきますけれども、これ、信用保証と公庫の貸付けを分けて考えないとだめだと思うのですが、信用保証のほうについて、これまで中小企業のことについての話がありましたけれども、私は金融機関にどういう影響を与えたかということも考える必要があると思います。それはセーフティネット保証とか震災保証ですと、結局は銀行は貸倒れリスクを全然考慮することなく、もっと言えば審査することなく信用保証協会の保証だけで融資ができるわけです。100%保証ですと、これは国債を持っているのと同じことになるわけですから、そういうことをどう考えるかという問題も我が国金融全体を考える上で必要だと思います。中小企業に対しては、先ほどゾンビという言葉を使っていいかどうか難しいですけれども、金融機関にどういう影響があるかということも我々は真剣に考える必要があると思います。
その上で、質問したいのは、先ほど川村委員がおっしゃった点の19ページの想定ケース、川村委員は震災等のところ、真ん中の想定ケースですね。私は、その上に書いてあるケースが具体的にどういうものがあるのかということをお聞きしたい。つまり、ここでは中小企業向け金融について、来年度、こういうケースが考えられるというふうに書かれているのですが、「創業又は再生局面にある企業であってリスクが高いものの、成長が見込める先であり、民間金融機関の貸付が困難であるケース」。まさにこの最初のところ、「リスクが高いものの、成長が見込める」というのは、当然これ、民間がやるべき、積極的に腕を磨いているべきところですけれども、それで民間の貸付けが困難というのはどういうところなのかということ、要は具体的に25年度、どういうところに対して財投の資金を注入したものを融資されようとしているのかというのをもう少しお聞きしたいということです。
それと、もう一つは、先ほど国民勘定と中小勘定についての区別のお話がありましたけれども、この保証協会の保証と旧国民公庫との業務の関係はどのように整理されているかという問題です。と申しますのも、信用保証のほうは、先ほどもお話があったように補正予算というある意味見えにくい形で、だからこそ政治になかなかフィードバックがかからない、国民にフィードバックがかからない問題でもあると思いますけれども、非常にたくさんの税金が注入されております。
対しまして、旧公庫に対する国民負担というのはコスト分析等もずっとやっているわけですけれども、それほど大きなものではない。そういうものをどのように考えるか。だから、そこには旧国民公庫におきます貸付け審査といったものがどういうふうに機能しているのかとか、まだ時間がありますのでそういうことをお聞きしたいと思うのですが、お願いいたします。
〔 中小企業庁三浦金融課長 〕まず最初、お尋ねではなかったと思うんですけれども、金融機関に対する100%保証の影響でございますが、資料の28ページをご覧いただければと思います。こちら、平成23年10月に中小企業庁で事務局を務めておりました中小企業政策審議会の企業力強化部会という部会の報告の中間取りまとめでございます。下線部分をご覧いただければと思うんですけれども、100%保証を中心に中小企業の信用補完制度について、急激な景気後退局面で当然のことながら一定の効果はあったということでございますが、他方で、こうした信用補完のために金融機関による企業の経営状況の把握でありますとか、経営支援と一体となった金融の仕組みの構築というようなものが十分に進んでこなかったような面があるのではないかというのが1点目でございます。
それから、2点目として、これは全体としての報告というよりは、個別にこういうご指摘がありましたというような位置づけではございますけれども、100%保証によって金融機関の融資審査が甘くなっているのではないか。このような信用保証制度は、徐々に役割を減じていくことも視野に入れた検討が必要ではないかと、こういったようなご指摘も個別にいただいております。
すいません、分科会長おっしゃったとおり、融資の審査の局面、それから、貸した後、経営のモニタリングをきちんと続けていく、もしくは少し傾きかけてきたときに適切な経営支援を行うといったことに対するインセンティブが100%保証でリスクウェイトゼロですので、なかなかインセンティブが働きにくい制度ということについては我々も問題意識を持っておりまして、この部分については危機という状況が終わればきちんとエグジットをしていきたいと。
今、足元の状況といたしましては、フローで見ますと、リーマンショック直後には保証全体のフロー、1年間の保証のうち半分以上が100%保証が占めておったんですけれども、昨年度で大体4分の1ぐらいに減ってきております。今年度、業種の数も絞ってきておりますので、まだ結果は出ておりませんけれども、さらにフローとしては減っていくであろうという見通しを持っているということでございます。
その上で民間がやるのはなかなか難しいというのは具体的にどういうことかというお尋ねでございますが、リスクが高いところで、かつ成長が見込めるところ、民間金融機関のメインターゲットではないかということでございますが、すいません、今、きちんとそれを立証できるようなものを手元に持ち合わせておりませんけれども、例えば創業なんかについては、信用保証協会の保証がついているものは別として、おそらくそのプロパーで創業にどんどん貸しているんですというような民間金融機関の方というのがどの程度いらっしゃるかとか、ちょっとそういうことを真面目にお答えしようとすると、多分、確認をしていかなきゃいけないということでございますけれども、我々の思いといたしましては、27ページをご覧いただきますと、未来会議の報告の概要でございますけれども、若手女性による起業・創業の抜本的推進ということで真ん中に枠を設けてございまして、グローバル成長型起業支援ということで、先ほど上位20%ぐらいは小規模企業のほうがほかの中堅とかを含めた全体よりも売上高利益率が高く、そういった形で、成長をきちんと目指していくというような企業の支援、もしくは地域需要創出型ということで、どちらかというと安定的な経営を目指して頑張っていくというようなところです。
それから、第二創業向け支援ということで、後継者が入って少し事業の中身を見直していくというような部分の支援、この3点に重点を置いてやっていきたいと思っておりまして、具体的には、こういった局面で創業なり起業をしたり、新しいチャレンジをしていくという方々に対して、きちんと経営支援とセットで、すいません、ちょっと先ほどの話とかぶるんですけれども、事業計画を専門の方に見ていただいて、例えば四半期ごとなり、半年ごとなりにきちんとフォローアップをしていくというような形で事業計画を進めていくというような方に対して融資を行うというような制度を今、要求させていただいております。若干お答えになっていないかもしれませんけれども、そういう検討状況でございます。
最後のお尋ねでございますけれども、若干聞き逃したところがあるのですが、保証のほうは補正で多額の資金を獲得してやっていて、成果というかフォローアップが非常に見えにくいと。国民の貸付け審査の話をなさっていたと思うんですけれども、国民のほうはお任せしちゃっていいような問いでしたかね。すいません。
〔 日本政策金融公庫国民生活事業本部佐藤事業企画部長 〕創業の関係で、どういうところを支援しているのかというご質問がございました。まず、創業される方は事業計画、資金計画の立て方からなかなかよく理解をされていない方もおられまして、全国に15、創業支援センターというものを置いておりますが、そこでビジネスプランを立案する段階からいろいろアドバイスをしまして、まず創業支援をいたしております。
なかなか民間金融機関は創業時には融資をするケースが少なくて、創業されている方に聞きますと、1割ぐらいは民間から借りているというような方がおられるんですけれども、なかなかそこから資金が出ておりませんので、そこのところをまず我が公庫で支援しているということでございます。
あと、ちょっとどなたかは忘れましたが、成長しているところってないんじゃないのと言われたんですけれども、八尾市にミキハウスという会社がございます。これは昭和48年だったと思いますが、創業されておりますが、民間金融機関から一切借りられず、当時、国民金融公庫にお見えになられて300万円を借りて現在の姿があるというふうに、亡くなられた木村会長が非常に私にとってありがたい言葉を残しておられまして、そういう企業もあるということをご紹介しておきたいと思います。
それからもう1点、どういう審査をしているのかということでございます。保証協会の審査のことは私はわかりませんが、なかなか我々が相手をしている企業というのは、情報の非対称性というんでしょうか、決算書の中にあらわれない、経営者のいろいろな経営の手腕、やはり人脈とか、もろもろの経営者じゃないとわからないようなものがございますので、財務諸表の分析に加えまして、経営者との面接調査、それから、実際に現地に行きましてどういう経営をしているのか、そういったことを見た上で、企業の内容とか今後の事業の見通し、お取引先の基盤、資金使途、そういったことを詳しく聞くことによって、その企業が実際に発展していくのかどうか、そういったところを見極めまして適正な判断に努めているところでございます。
保証協会さんがどういう審査をされているのかはちょっと私はわかりませんので、お答えになるかどうか。
〔 富田分科会長 〕どうぞ、原田委員。そして、江川委員。
〔 原田専門委員 〕1点お願いがございまして、先ほど分科会長が具体的にお伺いしますということでご質問なさいましたが、私も具体的にお教えいただければと思うことが1点あります。
金融円滑化法の出口戦略についてですけれども、先ほど2012年の4月に再生の支援部隊を100名規模でつくったというお話をしていただきましたが、今後の活動ということになるのかもしれませんが、具体的にどういう活動をして、どのような成果が上がってきたのかということを今後お知らせいただければと思っております。
といいますのは、円滑化法、合計300万件近くの条件変更があって、かなりの件数だと思いますし、事業計画を書きますと宣言すれば条件変更に応じてもらえるということもありましたから、なかなか経営改善計画だけでコンサルして、それだけでよくなるとは単純には思えませんので、今後どういう取り組みがあって、どういうふうに回収が上がったとか、そういうことをお教えいただきたいと思います。以上です。
〔 富田分科会長 〕江川委員、どうぞ。
〔 江川委員 〕ほかの委員の方々から中小企業政策のことについていろいろご提案があって、それで、先ほど平成10年に中小企業基本法の改正が行われて、例えば27ページにあるようないろいろな施策などについてご説明をいただきましたけれども、日本の中でイノベーションということがこれだけ大きな課題になっているにもかかわらず、やはり抜本的な施策が打てていないのではないかという気持ちがすごくしております。
2つの点が重要ではないかと私は思っておりまして、1つは起業と同時に廃業するところがないと、結局新しい企業が伸びていくことが難しくなりますから、先ほど冨山委員からもっと淘汰したほうがいいというお話がありましたけれども、やはりそれはもっと真剣に考えていく必要があると思います。数年前に起業率と廃業率というのを調べたことがありますけれども、例えばアメリカなんかに比べて日本の数値は非常に低いので、多分、日本の人がイノベーションができないわけではなくて、やってもなかなか伸びる余地が少ないというのが根本的な問題ではないかと思っています。
それから、2点目は、ビジネス経験の少ない若手と女性が一生懸命起業してもうまくいくかわからないので、ビジネス経験が豊富な30代、40代の人が、大企業にいるよりもこっちに行ったほうがいいことがありそうだということで元気が出て、基本的には優秀な人材が起業に向かうという回路をつくる必要があると思います。
やはり今の日本だと、社会保険とかいろいろなことを全部含めて、大企業とそれ以外では非常に格差があるので、そういうことをもっと抜本的に見直すとか、人材の流動性をもっと高めて、伸びてきた小さな企業に優秀な人が集まっていくような仕組みをつくるとか、失敗しても再起できるとか、中小企業庁だけでやれることではないとは思いますけれども、やはりそういうところからしっかりやっていかないと、せっかく財政投融資含めていろいろなものを投じても、あまりうまくいかないのではないかという危機感が募っておりますのでコメントさせていただきました。
〔 富田分科会長 〕ありがとうございます。それでは、お願いいたします。
〔 中小企業庁三浦金融課長 〕まず、再生支援について具体的な取り組み、進め方、成果等々をちゃんとご報告申し上げるようにということで、これは今後の話としてということで承っておけばよろしいのでしょうか。了解いたしました。
それから、イノベーションを進めるということで、まず廃業が足りないのではないかということでございますけれども、すいません、ちょっと手元にデータがないのでこれまたうろ覚えになってしまいますが、廃業率も創業率もおそらくアメリカ、欧米諸国と比べて、相当低めに出ていて、今、足元ではおそらく廃業率が、少ないといっても創業率を大分上回っているという状況だと思います。
日本の中小企業の数は年々どんどん減っていて、本当は多死多産型とか、ある程度バランスする形で入れかわっていくというのが1つの姿だとは思うのですが、現状ではむしろ多死少産というか、たくさん死んで少ししか生まれないと。先ほどゾンビ企業というお話もありましたけれども、そういう問題もあるのではないかということでございまして、いずれにせよ、基本的な考え方としては、無理に延命を図るとかいうことではなくて、きちんと再生支援等々を通じて対応していくということだろうと思いますので、その方針でやっていきたいと思っております。
それから、優秀な人が起業するようにということでございまして、少し金融の枠を越えているんですけれども、例えばさっきも出てきました個人保証の話、その一因として、昔、中小企業白書でアンケートなんかをとったことがありまして、創業率がなぜ低いか、なぜ創業に向かわないのかということで、やはり1つの要因として、リスクが高いわりに大きな収入が平均的に見込めないというのがたしか相当高い順位を占めておりまして、例えばこれは創業だけではなくて、事業の引継ぎの局面でもおそらく同じ問題が発生をしていて、ある会社があって後継者がいないというようなときに、親族以外の後継者を探すと。そうすると、やはりどうしても個人保証の問題がひっかかってくると。今まではサラリーマンというか、会社で働いて月々何十万とかいうお給料をもらって安定的に暮らしていた人に、突然、例えば何千万とか何億とかいう借金の保証人になれというようなことで、すごく引いてしまう局面があるということで、1つには個人保証自体はなかなか全部やめていくという話にはならないんだと思うんですけれども、透明性を高めていくというような努力を金融庁とまずはやっていくということは取り組ませていただいております。
全体としては、中小企業庁だけではなくて、うちの産業政策局のようなところも含めてきちんとイノベーションというか、ベンチャーというか、支援はやっていく大事なテーマでございますので、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
〔 富田分科会長 〕それでは、この件最後の質問で、川村委員、どうぞ。
〔 川村委員 〕すみません、質問というよりも、先ほど私が申し上げたのが言葉足らずだったのかもしれませんが、私も以前、旧国民公庫の九州地区運営懇話会にメンバーとして参加しておりまして、いろいろ勉強させていただいていたので、そのくらいは承知しているつもりなのですが、先ほどの私の趣旨は、旧国民公庫と旧中小公庫の勘定が合算されているということでは全くなくて、先ほど正に分科会長がご質問された19ページにある、こういう具体的なケースは何ですかといったときに、これが旧国民公庫と旧中小公庫がそれぞれ対象とする企業の規模や基準がどうなのか、また、抽象的に表現されているそれらを適応するときにはかなりいろいろ難しい場面があるのではないかと思っております。実際、旧国民公庫勘定の相手と、旧中小公庫勘定の相手は違うのではないか、その辺はどうなんだというようなことを伺いたかったということであります。
〔 中小企業庁三浦金融課長 〕本当に簡単に一言だけよろしいですか。
〔 富田分科会長 〕はい。
〔 中小企業庁三浦金融課長 〕そこは全くおっしゃるとおりで、中小事業と国民事業はビジネスモデルからして全く違いますので、顧客数も違いますし、企業数で見て大体20倍ぐらいですかね。職員数は当然そこまで差はないので、1件当たりにかけられる手数も違うということで、例えば今、検討しております、先ほどから同じ例を何度も出して恐縮ですけれども、例えば事業計画をつくってきちんとフォローアップもしていくということをコミットした方に対して少し有利な制度をつくろうとかいうような話をするときには、やはり両方でやり方は当然変わってきます。そういうような差異はなかなか表には出てきませんけれども、当然のことながら実務上は念頭に置いて制度設計させていただいております。
〔 中里委員 〕1分だけいいですか。
〔 富田分科会長 〕はい、では、中里委員どうぞ。
〔 中里委員 〕こういう政策を考えるときに、やめるべきか続けるべきかということを判断するときに、いろんな人の顔を見ると、どうしても続ける方向のバイアスが生じてしまいますので、それをきちんとやめるための一番簡単な方法は事前にルールを書いておくことなんですね。そうすると、先ほどセーフティネット保証の質問をいたしましたけれども、中小企業政策全体について、ある程度ルール化できるものはルール化して、要するに退出のときのルールを決めておくほうがよいと思います。そこを配慮して政策を進めていただきたいと。以上です。
〔 富田分科会長 〕それでは、このあたりで次に移りたいと思います。
日本政策金融公庫関係者の皆様にはご退席をいただきます。ありがとうございました。
((株)日本政策金融公庫関係者 退席)
((株)産業革新機構関係者 着席)
〔 富田分科会長 〕それでは、産業革新機構について説明をお願いいたします。
〔 松浦計画官 〕計画官の松浦でございます。先ほどのコマで、最後のほうで江川委員からイノベーションがとても重要だというお話を伺いまして、産業革新機構、英語の名前がイノベーションとついておりまして、ちょうどいいところだと思いますので、その辺を後ほどよく説明していただけると思います。
私からは、資料2−1に基づきまして簡単に論点を説明させていただきたいと思います。1ページ開いていただきまして、25年度要求の概要でございますが、事業規模25年度要求で2,000億円の要求が来ております。財政投融資で、産業投資で100億円、自己資金で1,900億円、トータルで2,000億円ということでございます。
ページをおめくりいただきまして2ページ目、25年度要求ですが、こちらも後ほど説明があると思いますが、要求の内容の2ポツのところで事業化フェーズにおけるリスクマネーやベンチャーへの資金を提供していくための財源として産業投資から100億円を要求しているということでございます。
論点でございます。産業革新機構による支援の実績が積み上がっているが、当初想定されていた支援が着実に行われているのかというところが論点だと思っております。
考え方でございますが、設立後、産業革新機構は3年たっておりますけれども、支援実績として30件、総額4,000億円の支援決定を発表しております。
他方、革新機構の設立に先立ちまして、平成20年に財政投融資に関する基本問題検討会というのがございまして、ここで民間主導で投資案件の目利きを行いつつ、研究開発ベンチャー等に対してリスクマネーを供給する必要があると、こういうことを目的として産業革新機構が設立されたという認識でおりますけれども、3ポツになりますが、産業革新機構の設立の趣旨や、また、日本再生戦略においてもアーリーステージ案件への支援が一層重要だというふうに書かれておりますので、こういうアーリーステージイノベーション、ベンチャー等々の支援を一層強化していくべきではないか、そのための体制整備はどのように行っていくべきかということが論点に対する考え方だと考えております。
私からは以上でございます。
〔 産業革新機構小宮専務執行役員 〕産業革新機構の専務執行役員の小宮でございます。よろしくお願いいたします。この会は、私の知っている方がいっぱいいらっしゃるので、非常に楽しみにしてまいりました。
お手元に説明資料がございますので、簡単に全体の概要と今の論点についてご説明したいと思います。
まず、1ページをあけていただきますと、仕組みと基本方針としてございますけれども、政府出資1,420億円、政府保証枠1兆8,000億円、民間出資140億円による官民ファンドでございます。
それで、15年という時限でございます。3年たちましたので、あと12年ということでございますけれども、イメージとしては、後半は回収期間というふうに考えてございますので、あと投資できるのは5年ぐらいかなというのが大体のもくろみでございます。
それから、2ページ目が、執行体制と投資プロセスでございますけれども、従業員80人とありますけれど、実は、今、八十数名、もう90人弱まで正規職員は増えてございます。それから、アシスタントを入れると115人弱ぐらいになっておりますけれども、実はこのうち、役所サイドとか、弁護士とかの出向者は10名ちょっとでございまして、残りは片道でここに入っている民間のファンドマネジャー、もしくはその予備群の人たちであります。特に、いわゆるマネジングディレクタークラスは2年契約になっておりまして、そういう意味では、成績の悪い人は首になるという、こういう仕組みで、普通の民間のファンドと同じ緊張感のもとで投資案件の運営をしているということでございます。
バックグラウンドは、ここにありますけれども、内外のプライベートエクイティファンド、もしくはベンチャーキャピタルの出身者が多うございます。
それから、この下に投資事業等々の各グループがございます。私は、企画調整グループのヘッドをやっておりますけれども、投資事業グループというのは、普通のベンチャーも含めまして、個別の投資案件をやるものでございます。それから、戦略投資グループというのが、今、松浦計画官のお話も踏まえて、もしくは再生戦略も踏まえて、今年の6月に新しく設置されましたアーリー、もしくはベンチャーについて先端でやるためのグループでございます。
それから、ポスト・インベストメントグループも、これは、今年の6月からですけれども、先ほどのアーリー、ベンチャーですと、どうしても、これは投資した後が大事になってまいります。特に、場合によっては経営支援を相当強力にやらなきゃいけないとか、場合によっては、経営者の差替えをやらなきゃいけない場合も事後的に起こってくるわけでございまして、こういうところを支援するための、ほかはファンドマネジャーのOBというか、現役のファンドマネジャーを採っておりますけれども、ポスト・インベストメントグループは、むしろ、経営経験のある、例えば、某大会社のCFOをやった人とか、それから、某コーヒーチェーンの社長をやった人とか、こういう人たちを採用しておりまして、こういう人たちが、ベンチャーを中心に経営支援に入っているという状況でございます。
次の3ページでございますけれども、基本理念と投資基準でございます。オープンイノベーションを通じて次世代の国富を担う産業を創出するとあるんですが、オープンイノベーションの定義は、非常に広うございます。学者のチェスブロウなる人物は、オープンイノベーションというのは、知的財産に非常に限定されたことを述べておりますけれども、ここでいうオープンイノベーションというのは自前主義にこだわらないと。つまり、日本の場合には、学者、学会においても、企業においても、自前主義にこだわるがあまり、知財だけではなくて、人材や販売ネットワーク等々が非常に分散をしてしまいますので、これを社外と共有して、組替えをして新しい新市場などを開いていくということが、オープンイノベーションだという定義になってございます。
そういう観点で投資基準をご覧になっていただきますと、(1)は当たり前のことしか書いてございませんが、(2)は簡単に言うと、前向きな投資をしますということが書いてございます。
それから、(3)の色刷りの4つのグループが、これは「or」でございまして、この4つのどれかに該当すれば、革新性があるというふうな理解をしておりますけれども、4ページに、そこを成長ステージごとに書いてございますが、
が一番アーリーの段階でございまして、知財ファンドによる先端的な基礎技術の事業展開をしている。それから、2番目がベンチャー企業などの事業拡大をする。それから、3番目が大企業の話でございまして、これは、事業部門の切り出しとか、事業再編の話で、4番目は、海外企業の買収でございます。これは、楕円が横に広がっておりますけれども、アーリー段階の企業であろうと、レイター段階であろうと、海外の企業が持っている何らかのリソースをとりにいってシナジー効果が生まれれば、これはオープンイノベーションに該当するという理解で投資をしてございます。
5ページをご覧いただきますと、評価軸が書いてございます。収益性、実現可能性は、普通の民間のファンドと同じでございますけれども、投資インパクトのところが、当社独自の第3の軸でございまして、具体的には革新性とほぼ同意と考えていただいて結構でございます。
具体論としては、6ページにございますように、第1群が新市場、新企業、新事業を開く、つくっていくというもの、それから、2.が既存の企業の革新をするということでございます。
それで、7ページに、これまでの投資実績がございます。先ほどのアーリーステージを頑張れというお話もございましたけれども、例えば、足し算をいたしますと、今、30件の中でアーリーステージが8件、それから、ベンチャー企業等と、これは一番右にpeachが入っておりますので、ベンチャー企業だけではないんですけど、そういう新事業的なものが9件、それから、事業の再編・統合が8件、それから、海外の買収が5件と、こういう形になっておりまして、それぞれ、上から支援額の累計を申し上げますと、アーリーステージが111億、ベンチャー企業が382億、それから、事業の再編・統合が2,570億、それから、海外経営資源の活用が1,147億というのが合計額でございます。
それで、8ページにアーリーステージ、ベンチャー投資の方向性ということを書いてございます。ご案内のように、我が国のベンチャー企業の周辺状況というのは非常に厳しい状況でございます。我々は、今までハンズオンを原則としておりますので、ファンド・オブ・ファンズはやってございません。そういう中で、具体的に、個々の企業にアーリーステージを含むベンチャー投資を展開してきたわけでございますけれども、先ほどの再生戦略のお話もありまして、今、当社の中で、さらにベンチャー投資を強化するべく検討中でございます。先ほど、申し上げた戦略投資グループやポスト・インベストメントグループの創設に加えまして、今後、さらにベンチャー投資、アーリー投資の案件を増やせるように、体制の整備に努めているところでございます。
比較論でいいますと、日米欧VC年間投資額の推移を見ていただきますと、例えば、2010年で、日本国全体でVCが1,100億円投資しているわけですけれども、大体3年間というか、実質2年間で、先ほど申し上げたように、500億ぐらいのベンチャーの投資をしていることを考えると、そんなに我々がサボっているわけではないということが、少しはご理解いただけるかなというふうに思います。
あとは、参考資料として、個々の30件の案件についての資料をつけ加えさせていただきます。これは、また必要があればご紹介したいと思います。
以上でございます。
〔 富田分科会長 〕ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、ご意見ご質問等ございましたら、どなたからでもお願いします。冨山委員、どうぞ。
〔 冨山専門委員 〕一応、私、若干、製造物責任もあるので最初に口火を切りますが、4ページ目、これは多分、原作は私で私に多分コピーライトがあるチャートで、かつてここで使ったやつです。
基本的方向性として、もともと、当初は
、
で議論をしていたところが、ちょうど設立間際に例のリーマン・ショックが起きた流れの中で、
、
も取り込もうという、そういう生々しいことがあったとは私は記憶しております。当時の状況としてはそのとおりだったと思いますけれども、もともとの今回の命題でありますように、本来は
、
なので、そういった観点からすると、全体のバランスでいうと、
、
に関してはスピードが遅いのかなという感じを正直私は持っています。というか、去年ぐらいまでは、まだもうちょっと時間をあげないと苦しいかなと思っておりましたが、ちょっと遅いなという感じは正直しています。
そこでよく考えなければならないのは、比較的、
、
というのはエグジットまでのタームが短いということです。
、
は、基本的にはこっちのほうがタームが長いので、むしろ、時間軸でいうと、
、
については別にかなり先でもできる話なので、
、
のところを急がないと、逆に15年のサンセットと不均衡が起きるという問題と、それから、さっき小宮さんが言われたように、今の日本は、はっきり言って、ベンチャーキャピタルの仕組みはもう完全にデッドの状態なので、したがって、非常に高いシェアを相対的に持つというのはご指摘のとおりですが、実は、革新機構をつくるときの基本的な命題として、要は革新機構が呼び水となって、日本に欧米型のトゥルーVCというんですか、人の面も含めて本格的なモデルをつくっていこうという意思があったはずなので、そういった意味合いでいうと、ここは長い目で見るとすごく大事な話だと私は思っています。結構な人が、おそらく、時間がたってみるとそういうことを言い出すはずなので、圧倒的マジョリティということになると思っているので、そこはぜひよろしくお願いしたいということが1つ。
それから、産業創造系対再編系という、
、
対
、
という脈絡と、実は、どうしても再編の先に産業再生っぽい再建型のやつが出てきてしまいがちですが、実は、再建型の案件に革新機構がかかわるというのは、私はものすごいリスクがあると思っていて、要は、そもそも、組織のレゾンデートルとは違うところに、半身をさらすことになるのだと思います。
そのときに、なぜそこに民業補完で国が出ていかなければいけないのかという問いは、おそらく、産業創造系の世界というのは、さっき言ったように、ベンチャーキャピタルはデッドですから、多分誰も文句を言わないんですけれども、当然のことながら、再編系、再生系にいくというのは、本来、市場の新陳代謝でやればいい話に何で国が出てくるのかという議論は、コンスタントにあります。
変な話、JALみたいに成功した事案でも最終局面でああいうことを言われるわけで、したがって、これに対しては相当厳しい説明責任を果たしていかないと、正直言って、せっかくつくった革新機構という組織がもたなくなる危険性があると思っています。ここは個別案件について議論する場所ではないのでお答えいただく必要はないですが、そこは厳しく、建前だけではなく、本質的な意味で相当な理論武装ができていないと私は非常に危ないと思っています。その手のやつは、失敗すると、多分、革新機構という組織自体がおそらくお取り潰しになる可能性が高いと思っているので、そのぐらいの覚悟を持って説明責任を果たしてもらわないと困ると製造物責任者の1人としては思っています。
それから、あともう1点、そのときに、なぜ国がということに関して、現状で言うと、この国においては、システミックリスクは発生していないので、したがって、特に大手企業の企業再生に国が関与するという理由づけにおいては、実は、ストレートに言うとかなり挙証責任が重い時期です。よく外部性の議論をされますが、これは、マスコミも最初のうちはだまされてくれますけど、正直言って、財政的な問題によって、例えば部品の供給が止まるということは絶対にありません。倒産してDIPファイナンスがつけば普通に供給ができるので、それは理屈にもならないので、多分、その理屈でマスコミはそういうふうに書いていますが、後で簡単にひっくり返されますから、すごく危険だと思っています。
ですので、そこは、洪水とか、あるいは地震で工場が止まったという話とは違うわけで、要は、需要があるものであれば、当たり前だけど、DIPファイナンスはいっぱいつきますから、それは全然困らない話なので、ここは相当気合いを入れて理論武装していただくようお願いしたいと思います。
それから、ちょっと、逆のことを言うようですが、
の民業補完性の問題というのは、もともとずっとファンダメンタルにある議論で、そのときに、やはり、できるだけ民間と一緒に組んでやっていくというのは、正しいアプローチだと思っています。
ただし、民間と組むというのは、実はレントシーキングのオポチュニティを民間側に与える問題と常に表裏です。これは、産業再生機構のときも、随分、特に銀行から債権を買い取るに当たって、その問題はすごくあったわけです。そこは気をつける必要があって、共同投資を求めている相手が会社の買い手であり、取引先である場合、売り買いの関係というのは、一番レントシーキングが起きやすい設定でありますので、例えば、民間からの出資比率を高めることによって、さっき申し上げたような批判を薄めようと考えたときに、本来の商売相手のお客さんをそこに引きずり込むというのは、むしろ、レントシーキングを促進していることになってしまうので、それは、はっきり言って、私は答えになっていないと思っているので、そうだとすれば、むしろ、革新機構だけでやったほうが私はスティルベターだと思います。
ですから、民業補完性をどう満たしていくかということに関しては、実は、レントシーキングとの表裏の関係をどう理解するか。例えば、ランディス・ギアの案件で、東芝と組むんだったら、これは全く丸で、それは東芝自身がその事業をやろうとしている人たちですから、別にコストセンターの会社ではなく、東芝さんと売り買いをしているわけでもないので、問題はないのですが、案件によっては、とてもレントシーキングをむしろ促すような、要するに、何か、間接支援みたいな話になってしまうので、それは気をつけてもらいたいなというのがもう1点。
そういう意味で言うと、要するに、共同出資の枠組みの中で、民間資本比率を高めたほうがいい類型の、さっき言ったランディス・ギア型の類型と、それから、むしろ、変な形で民間資本を入れると、かえって、公的資金の毀損リスクが高くなってしまったりとか、要は、レントシーキングを、むしろ、誘因を民間側に生んでしまうような案件というのは、それなりに革新機構の中でぜひとも類型的に整理しておいてもらったほうが私はいいと思います。
くどいようですけれども、報道を見る限りにおいて、私はあまり整理をされていないような印象を正直受けているので、そこはぜひ整理してもらいたいのと、これは、ある種、産業政策的な要素が再編に関しては絡むのですが、結局、長期的に経済成長に寄与しないと意味がないので、そこは、経産省のほうでも一定の整理がされていたほうがいいのではなかろうかなと思っています。
最後に、また逆のことを言いますけど、この話、すごくデリケートなので、白黒の仕分けが難しいですが、今度、逆に民間の資本との相乗りにこだわらないほうがいい類型もこれはあるはずで、例えばの話、今、産業創造系の話は、はっきり言って、今、ベンチャーキャピタル的なお金の流れが全くデッドですから、ここで、あまり民間資本との相乗りにこだわってしまうと、多分、全然話が進まないリスクがあるような気がしております。
それから、もう1点、産業創造系に関して実務的な観点から申し上げると、これは、やはり、バイアウト型の案件と性格がかなり異なってくる部分があり、その中で特に大事なのは、これは、普通に考えると、ベンチャーキャピタルにおけるプライベートエクイティとバイアウトの勝率というのは多分1桁違います。バイアウトの世界というのは、要は、打率で言うと、仮に5割ぐらいを目指していくわけです。それこそ3割はクリアしないと、投資として回らないのですが、ベンチャー系というのは、100のうち2つ、3つ当てて、その2つ、3つで全体を回収していくというモデルですから、要は、完全にポートフォリオ型のマネジメントをしていかないと難しいです。私の今のところの印象で言うと、投資判断をするに関して、この2つの、さっきの4ページのチャートでいうと、
、
の世界と
、
の間の投資判断のスピード感なりフォーマットというのにあまり違いがないような気がしています。そうすると、結果的に案件が積み上がらないので、ものすごく少ない数の中で、さっき言った100分の2とか、100分の3を当てていかなければいけないという点で、すごく矛盾が起きるような気がしています。
ですので、
、
の世界は、ある種、ファンド・オブ・ファンズではないですけれども、要するに、バーチャルファンド的なアレンジを組織の中につくって、むしろ、前線で、オーバーナイトでぽんぽん意思決定できるようなフォーマットにしていかないと、実は、さっき言った大数法則のゲームに持ち込めなくて、結果的に何かさえない展開になってしまうのではないかということをすごく危惧しておりますので、そこはぜひ考えていただけないのかなと強く思っております。これは、多分、制度的には可能なはずだと私は理解していますが、そこをぜひ考えていただけたら嬉しいと思っております。
以上です。
〔 富田分科会長 〕では、続けて、中島委員、そして江川委員、お願いいたします。
〔 中島専門委員 〕先ほどのイノベーションの話もありますし、ぜひ、日本経済を活性化させるために頑張っていただきたいと思っておりますが、財投分科会的な視点から2つ質問をさせていただきます。やはり、産業革新機構の役割は、カタリストであり、民業補完ということになります。それで、資料の2ページですが、どういう組織でやっていらっしゃるかという中で、しかるべき経営の経験のある方に、ポスト・インベストメントグループに来ていただいてやってもらっているという話がありましたけれども、IPOまでいくかどうかは別にして、ともかく上場するところまで引っ張っていくというのが役割なのか。それともあるところまでいったら、むしろ、アーリーステージを抜けたらば、先ほどの4ページ、
、
で入ったものが、
、
では、むしろ、参加したいベンチャーキャピタルがいっぱい来ると思いますので、これにつなげていくという役割もあるのではないかと思いますが、その辺については、どのような役割分担というか、形をとっていらっしゃるのか。ポスト・インベストメントグループの顔ぶれを伺っていると、これはかなり仕上がるところまで見ていただいたほうがいいようなほどの顔ぶれなので、果たしてどうなのかなと思ったのが1点です。
それから、もう一つは、確かに、民間の金融機関系のベンチャーキャピタルというのは、デットを背景にしているので、これは大したことはできないというのはそのとおりで、ある意味だと、業種を引っ張っていっていただくということが大いに期待されているわけです。けれども、どういう形でベンチャーキャピタルというか、この業界を育成して、モデルケースとしてそれを広めているのか、既に3年経験があるということであれば、やはり、そういうものが、日本の中に広がっていくということが必要で、いつまでも産業革新機構だけであるとしたら、それは逆に問題だと思いますので、お考えをぜひ伺いたいと思います。
〔 富田分科会長 〕はい、どうぞ。
〔 江川委員 〕財政投融資分科会ですので、産業革新機構に今後お金をつけていくことが本当にいいのかということを精査するという会議であるにもかかわらず、用意していただいた分厚い資料の中に数字がほとんどないことに違和感を持ちました。何かセンシティブな情報があるのであれば、回収資料にするなどのやり方があると思いますけれども、産業革新機構のオペレーション、それからポートフォリオの会社に関して情報があまりにも少ないので、ちょっと驚いています。
それから、質問が2点ございまして、私は、冨山委員のように産業革新機構の内部情報を持っておりませんので、新聞等の報道を読んで、本当に一国民としての印象になります。先ほど、3ページの4つの革新性というお話を伺いましたけれども、それぞれがかなり違うもので、さらに、あとの2つは最後に加わったというお話などもお伺いすると、ちょっと、何でもありになりかねないのではないかという危惧を持ちました。
そういう観点からの質問になりますけれども、1つは、それぞれについてどういった投資基準を設けていらっしゃるのか。例えば、最後の「我が国に存在する経営資源以外の経営資源の活用」というのはかなり広い概念ですので、何かスクリーニングの軸を設けていらっしゃるはずですが、それを教えていただきたいと思います。
それから、2点目は、投資対象がそれぞれ違うので、それに必要な人材のスキルセットも違うと思います。例えば、ベンチャーキャピタルについては技術の目利きであったり、企業再生のような場合は経営スキルといったように、やろうとされていることと、今、革新機構にいらっしゃる方々のスキルが、しっかり適合しているのかということについて教えてください。
〔 富田分科会長 〕それでは、今のこちらサイドの委員の考え方の提示と、それから具体的な質問もありましたので、お答えいただける範囲のことをお答えいただいて、あとは、文書等でお答えいただければと思います。
〔 産業革新機構小宮専務執行役員 〕まず、冨山さんがいろんなことをおっしゃられたんですけど、
、
をやるべしというのはそのとおりですし、我々もそのつもりであります。それで、最初のほうに言われたことと最後に言われたことを合体すると、まず、発足3年の間は、さっき言ったように、全部ハンズオンで同じやり方をやってきたというのはおっしゃるとおりです。それは、なぜならば、いいかげんな投資をしてその後でおかしくなることを恐れたからであって、やるからにはしっかりした投資で、全部、経営にまで入って、しっかり見ていきましょうというのでやりましたので、それは、いわゆる、ベンチャーの数を増やせというアングルからすると、手間がかかり過ぎているという見方も多分あるんだと思います。
他方で、今、やっと30件になってきましたし、それから、件数的には、金額の多寡は別として、一応、ベンチャーと大企業と大体半々ぐらいの形でやってきていますので、あともうちょっとそこのところをどういうふうに増やせるかというのは、今、我々も中で議論をしていますし、どこまで詰めるのをうまくスムーズにやれるかどうかというのは考えているところです。
ただし、これは、緩め過ぎると、数年先の財投分科会で多分大問題になって、あのとき、一体誰がどういう判断をしたんだということに多分なりますので、そこは、別に緩めればいいという問題ではないと私も思っております。
かつ、ポートフォリオマネジメントというところはおっしゃるとおりなんですけれども、ただ、それは単に範囲の問題だけではなくて、易しい案件と難しい案件を、つまり、アップサイドはとれるけれども確率的に難しい案件と、それから、アップサイドは少ないけれども、わりあいと易しい案件というのを組み合わせることによって、全体のリスクとリターンをバランスさせるという考え方はあると思うんですけれども、ところが、これはご案内のように、易しいほうは日本のベンチャーキャピタルがやりたい分野なので、革新機構が発足のときに、ベンチャーキャピタル協会から紙が差し入れられて、俺たちの商売を奪わないでくれという紙がきて、それは、そういうことをやるべきじゃないというような議論も当時あったものですから、なるべく我々はそうじゃない、少し難し目のところをやっている。つまり、普通の民間のファンドではエグジットまで3年かかるところを5年か7年ぐらいに、少し長期のスパンのもので、これはベンチャーも、それから事業再編も同じように投資をしているので、そうすると、実は、ポートフォリオマネジメントを組もうとすると、本当はもっと易しい、金儲けができる案件にも民間企業としては投資をしたいところですけれども、それをやってしまうと、まさに民業圧迫になるので、そうすると、どうしても、勢い、少し難し目なほうに集中して投資をするということを考えていかなきゃいけない。そこで数を増やすということをやろうとすると、それは、必ず諸刃の剣になるということだけはちょっとご理解いただきたいと思います。
それから、これは一般論でしか答えようがないんですけれども、我々、今まで基本的に再生案件とか、再建案件というのをやったことがないというのは我々の自負でありまして、例えば、ジャパンディスプレイにしても、人によっては、あれは再建だとかふうなことをおっしゃる方はいらっしゃいますけれども、基本的にリストラの話は全部親会社に引き受けてもらって、きれいになったところに前向きな投資の資金を入れたというのが、ジャパンディスプレイのケースであります。
したがって、我々、先ほど、前向きな投資をすると言ったのは、1つは、我々の投資をしたお金が、そのまま銀行に流れていくような事態というのは絶対に避ける。したがって、財務リストラに手を貸すつもりはないということがまず第1点目である。それから、いわゆる組織とか、事業のリストラについても、基本は、その当該会社、もしくは親会社、もしくは幹事銀行団にやっていただくというのが我々の基本でありまして、したがって、そこは、昔、冨山さんが手がけられた債権放棄みたいな、激烈なやり方ではなくても、例えば、ローンの期間を少し延ばしてもらうとか、多分やり方はいろいろあって、そこの中で捻出されるキャッシュフローによってリストラを進めていただくというのは、多分、ものとしてはあり得るんじゃないかというふうに思っております。
それから、民間にあまりこだわる必要は、ある場合とない場合とあって、それはおっしゃるとおりだと思うんですけれども、これは、大株主たる財務省さんから、ちゃんと民間は入れろというところが、一応、原則論としては縛りがかかっておりまして、例えば、お手元の資料の32ページに、まさに冨山さんご指摘になられたオールニッポンエンンターテイメントワークスという、まさに日本のコンテンツ産業を振興するためのあれで、これは、どうしても民間でつき合ってくれる人がいなくて100%なんですけれども、これなんかは早く民間を入れろというふうに言われていまして、今、民間の出資が出るように一生懸命頑張っているところなんですけれども、そういう意味では、案件によっていろいろと民間の出資の比率が変わり得るというのは、実感として我々も持っています。
それで、JDIの事例にもありますけれども、JDIの場合にも、我々はスーパーマジョリティをとったわけでありまして、スーパーマジョリティをとらないと、もともとの親会社がけんかを始める可能性があったので、したがって、我々の意向が全部反映されるようなスタイルをとったわけですけれども、我々は、必要があればそういうやり方をしっかりやっていく覚悟はあります。
というのは、逆に言うと、我々のもともとのミッションが、オープンイノベーションを起こして、それで、それは世界で勝負できる産業企業をつくっていこうというところにミッションがあるからでありまして、そういうことをやるために、必要な政策を講じるというのが我々の決意であります。
そういう意味では、そのコンテキストで言うと、競争力を高めるという方向で投資をしていこうと思っているので、あまりこれ以上いうと、個別論に入っちゃいますからあれですけど、ご心配のようなことは起こらないような形で持っていこうという考え方は持っております。
それから、次に、中島委員のお話ですけれども、先ほど申し上げたように、ハンズオンを中心でやってきましたと。したがって、エグジットまでは、我々、しっかり見てあげるというのを基本にしたいと思います。中途半端な形で別のファンドに渡しちゃうと、これは、その当該企業が渡したファンドの方針でどういうふうになっちゃうかという責任が持てませんので、我々は、普通のファンドと違うのは産業を革新するためのミッションを持ったファンドですから、したがって、産業が革新できるかどうかというところまでは見届ける責任はあろうかと思っております。
問題は、特にベンチャーの場合には、今、エグジットがご案内のようにマーケットは壊れていますから、したがって、今のところは、今の日本でちゃんとしたエグジットを出そうとすると、大企業に買い取ってもらうしか多分まともなエグジットはないんですけれども、これは、私は前職、産政局の審議官をやっていて、ベンチャーとか、産業資金も担当して非常に痛切に感じたんですけれども、まだまだこの期に及んでも、日本の大企業はディビジョンの売買ということに慣れていない。つまり、例えば、ベンチャーを買い取るという話が来ると、必ずそれとバッティングする部隊が「反対」と言い出すわけです。反対と言い出すのはなぜかというと、自分たちが押しのけられて職を失するかもしれない、もしくは変なところへ配転されちゃうかもしれないという恐れを抱くものですから、必ず社内で反対運動が起きて、そうすると、社内の反対運動に耐えられなくてベンチャーは買えませんという話になる。
したがって、今は円高ですから、海外のベンチャーはそこの問題は起こらないので、今、山のように、海外のベンチャーは日本の大企業が買いにいっていますけれども、日本のベンチャーを買おうと思うとそういう問題が起きるので、したがって、今の場合には、マーケットが壊れている関係もあって、エグジットが両方ともないという状態になっている。
したがって、我々は、先ほど、別の質問とも関連するんですけれども、何でPEファンドとベンチャーキャピタルが合体した変なファンドになっているかというと、そこは、産業をそれぞれの生態系として見て、事業再編をやりながら、ベンチャー企業も起こしていくというところで、あぶれた人が新しくベンチャー企業に拾われて、もしくは、もうこれだったらやめてやるといって、部門の人ががばっとやめて、カーブアウトのベンチャーの形になって、別の形に育っていく。
我々は産業の個々の生態系の両方に投資をすることによって、産業が革新するということを狙っていきたいというのが、今の中の議論している方針になっていまして、それはちょっと、どこまでいけるかどうかというのはやってみなきゃわからないところがありますけれど、したがって、逆に言うと、そういうことを考えながらやらないと、やみくもに札だけ張ればいいということでもないというのは、我々の感じであります。
それから、金融機関系のVCの教育の話なんですけれども、これは、残念ながら、今、おっしゃられたように、投資であって投資でない、つまり、エクイティという名のデットを幾ら持ってきてもそれは無理だと私は思います。むしろ、これは私個人の考えも含めて言うと、日本のリスクマネーというのは非常に限定をされていて、1つは、財務省が持っておられる投資勘定のお金、2番目は、日本の企業の内部留保、3番目は、海外の富裕層のお金、この3つしか日本にはリスクマネーはないので、だから、そういう意味では、そこのお金をどれかを使うという形でない限りにおいては、銀行系のお金は、幾ら投資に回そうと言っても、それは必ず融資と同じような条件をはめられてしまうので、私はあまり意味がないのではないかなというふうに考えております。
それから、江川さんのご指摘は耳が痛いんですが、ちょっと申し訳ないんですけれども、投資先は非公開企業が多いので、もし、個々の事業体のあれにどうしてもやれというのであれば、公開はちょっと検討をいたしますけれども、基本は、我々、全体で投資勘定との関係では、INCJの投資が全体としてうまくいっているかどうかというところでご判断をいただきたいなというふうに思っております。これは、どうしても秘密保持の観点もありますので、それでも、どうしてもということであれば、また別途、ご相談はさせていただきたいと思いますけれども、何とぞご理解いただければありがたいと思います。
それから、何でもありではないかというご指摘なんですけれども、一言で言うと、これもちょっと自説に近いですけれども、村社会を壊そうとするためのファンドであるというのは私の認識なので、何でもありというのは、ある意味では当たり前でありまして、逆に言うと、村社会が壊れない限りにおいては、マーケットがワークをしないと。だから、マーケットがワークしないから、こういう大層な官民ファンドをつくって、マーケットのかわりとしてここに配置をしているというのが、私の理解であります。
それから、スキルセットで人材が適合しているかどうかというんですけれども、一応、それは適合するように、今、一生懸命人を採っております。それで、戦略的投資グループ、確かに、今、PEファンドの出身者が多いので、ベンチャーキャピタルの出身者を9月以降、マネージングディレクタークラスを2名採用いたしまして、そういう意味では、ベンチャー投資をしっかりやるべく、体制整備に努めているという今の状態です。
〔 江川委員 〕私もM&Aをやっていたので、ポートフォリオの会社のフィナンシャルを出しにくいというのはわかりますけれども、申し上げたのは、革新機構に関する情報が少ないということに違和感を持ったということです。
それから、1つ目の質問は、何でもありというのは感想で申し上げましたけれども、それぞれの4タイプの投資について、どういう投資基準でやられているのかということをお伺いしたいので、よろしくお願いします。
〔 産業革新機構小宮専務執行役員 〕そんな細かい基準があるわけじゃないんですけれども、まず、先端技術のアーリーの段階は、基礎研究分野において、企業や大学等の組織の壁を超えて先端技術に係る知的財産を集約して、組み合わせて事業者に対してライセンス供与するものであるという、これは知財ファンドというイメージで書いてあります。
それから、ベンチャー企業のところは、大企業などでの将来の活用・事業化につなげることを念頭に、ベンチャー企業の有望な技術に支援し、また、当該企業の経営資源の結集や活用を図るものであるということです。
〔 江川委員 〕すみません。例えば、ベンチャーなどは、30%とか、40%とか、結構、ハードルレートをつくっておりますが、そういったものは設けていらっしゃらないのでしょうか。
〔 産業革新機構小宮専務執行役員 〕別にオフィシャルには設けておりません。
〔 富田分科会長 〕冨山委員、どうぞ。
〔 冨山専門委員 〕基本的に私は応援団なので、そういう理解で。
〔 産業革新機構小宮専務執行役員 〕ありがとうございます。
〔 冨山専門委員 〕ただ、ちょっと応援団として申し上げると、要は、リストラ部分は誰かがやって、前向きのものだけ僕たちがやる。1つの会社の中で議論しても、それは、周りから見れば1つの会社ですから、そこはちょっとロジックが弱いので、もう一声頑張ってもらいたいと、実感として思いました、インプレッションとして。
それから、あと、ベンチャー投資に関してのポートフォリオというのは、私は、ハイリスク・ハイリターンとローリスク・ローリターンの組み合わせだとは思っていなくて、あるいはそういうふうなやり方でセコイアもクライナもやっていないので、むしろ、あるいは簡単か難しいかというのも多分、バイアウト的発想であって、ストレートに申し上げると、シリコンバレーの平均的なキャピタリストの発想というのは、難しいか簡単かではなくて、世界がとれるポテンシャルがあるかないかで見ているわけで、ということは、多くの場合は、世界がとれそうということは、ある意味では難しい案件なんです。
ですから、今、日本の大使をやっているルースも言っていましたけど、彼自身、実は、ユーチューブを蹴っ飛ばしているんです。あと、セコイアはフェイスブックを蹴っています。ですから、簡単か難しいかというのは、ちょっとバイアウト的な発想が入っているような気がしているので、案件を広げていくときに、クライテリアの再整理はされたほうがいいような気がしていて、くどいようですけど、どうしても、DCF的な発想になっているような気がしております。VCでベンチャーものを投資するときに、基本的にNPVでは評価をしません。基本的にはリアルオプションで評価をしますから、リアルオプションというのはボラティリティが大きいほうが、むしろ、リスクが大きいものの価値が上がるわけで、そこは、私はまだ明確に組織として転換をしていないような気がしているので、そこにひょっとすると周りの人が感じているフラストレーションがあるのかもしれないので、そこはぜひ小宮さんのご指導で、そういうしかるべき方向に。
リアルオプションで、逆に言うと、なぜ銀行系のVCが機能しなかったかというと、これはやはり、ローンというのは圧倒的にDCFです。要するに、リスクを嫌う性格なので。特にVC的エクイティというのは、むしろ、上場株とも違っていて、完全にこれはリアルオプションで見ていく世界なので、ものすごく壁が、2つあったところを越えられなかったのが日本の今の苦しんでいるところだと思います。むしろ、ぜひともリアルオプション的なエクイティカルチャーを産業革新機構からつくってもらいたいと思っているので、そこは、これはある種トータルキャピタルマーケットのテーマでもあるので、そこはぜひお願いしたいと思います。
〔 産業革新機構小宮専務執行役員 〕よくわかりますけれども、ちょっと下手をすると投資勘定の枠からはみ出る可能性もありますけど、そこは、むしろ、そういうところをチャレンジをせよというのであれば、それは、チャレンジをする価値はあろうかなというふうには思います。
〔 富田分科会長 〕時間オーバーしていますけど、川村委員、どうぞ。
〔 川村委員 〕いや、時間をオーバーしているから、なおさらですけれども、「当初想定された支援が着実に行われているか」という論点を今議論しているのでしょうか、ちょっと、そこがわからないので。
〔 富田分科会長 〕先ほど、江川委員も言われまして、私も今おっしゃられたことを言おうと思っていたところですけれども、結局、当審議会としては、産業投資としてのこれまでの4,000億円、妥当性の評価といったこととか、そして、冨山委員が言われたこれからのことも含めて、いろいろなことを議論したかったのですが、30分しか時間を予定していなかったということもあって、議論をする必要があるとすれば、私どもから、どういうことについて議論をしたいかということを含めて、事務局を通してお願いに上がるかもしれませんので、よろしくお願いいたします。
いずれにしても、江川委員が言われたように、実績とか、投資基準だとか、そういうことについては、国民としては、これ、大きなお金ですから当然知りたいわけです。機構を信じてくれというだけでは、そういう問題でもなかろうというふうに思いますので、今、川村委員が言っていただけたことと同じことですけれども、最後に申し述べたいと思います。
それでは、今日のところは、このあたりで質疑を終了したいと思います。
産業革新機構の関係者の皆様には、ご退席をいただきます。ありがとうございました。
((株)産業革新機構関係者 退席)
〔 富田分科会長 〕それでは、本日の審議はここまでといたします。
最後に、本日の議論を踏まえまして、松浦計画官から一言お願いいたします。
〔 松浦計画官 〕すみません。時間をオーバーいたしまして、事務局として、大変申し訳なく思っております。
委員の皆様におかれましては、貴重なご意見を本日賜りました。大変ありがとうございました。本日いただいたご意見を踏まえまして、年末に向けて精査してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〔 富田分科会長 〕ありがとうございました。それでは、今日の議論はここまでといたしますが、本日の議事内容につきましては、この後、事務局より記者レクをいたしますとともに、後日、財務省ホームページに議事録等を掲載する予定としておりますので、ご了承願います。
次回は、14日水曜日、10時から、国際協力銀行、国際協力機構、石油天然ガス・金属鉱物資源機構について審議を予定しております。
本日はご多忙の中、誠にありがとうございました。これにて閉会いたします。
