財政投融資分科会(平成22年9月10日開催)議事録
財政制度等審議会
財政投融資分科会
議 事 録
平成22年9月10日
財政制度等審議会
財政制度等審議会 財政投融資分科会議事次第
平成22年9月10日(金)16:30〜17:43
財務省国際会議室(本庁舎4階)
1.開会
2.理財局長挨拶
3.平成23年度財政投融資計画要求
4.財政融資資金等の実地監査について
5.質疑・応答
6.閉会
配付資料
| 資料1 | 平成23年度財政投融資計画要求 |
|---|---|
| 資料2 | 財政融資資金等の実地監査について |
| 別 冊 | 平成23年度の財政投融資計画要求書 民間基準会計財務諸表 |
出席者
| 分科会長 | 吉野直行 | 中村理財局長 池田理財局次長 菊地総務課長 美並財政投融資総括課長 阿曽管理課長 臼杵計画官 辻計画官 藤本地方財務分析官 今井資金企画室長 松岡財政投融資企画官 | |
| 委員 | 池尾和人 土居丈朗 富田俊基 | ||
| 臨時委員 | 木村陽子 若杉敬明 | ||
| 専門委員 | 川村雄介 冨山和彦 |
〔 吉野分科会長 〕それでは、時間になりましたので、平成23年度財政投融資計画の要求と、それから、財政融資資金等の実地監査について、今日は議論をさせていただきたいと思います。
まず、開催に当たりまして、最初に新しく就任された中村理財局長からごあいさつ及び人事異動の紹介をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
〔 中村理財局長 〕本日は吉野分科会長をはじめ委員の皆様には、大変お忙しいところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。このたび理財局長を拝命いたしました中村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私を含め、去る7月30日付で理財局メンバーに異動がございましたので、この場をお借りいたしまして紹介させていただきます。
まず、委員の皆様方からご覧いただきまして、私の左側になりますけれども、次長の池田でございます。
〔 池田理財局次長 〕よろしくお願いします。
〔 中村理財局長 〕その左隣が総務課長の菊地でございます。
〔 菊地総務課長 〕よろしくお願いいたします。
〔 中村理財局長 〕以上でございます。
この7月30日付の異動をもちまして、理財局のメンバーが全員そろいました。今後、平成23年度財政投融資計画をはじめ財政投融資に関しまして、このメンバーで委員の皆様にもお世話になりながらやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、改めて本日の分科会開催に当たり、一言ごあいさつさせていただきます。委員の皆様におかれましては、日頃より財政投融資制度に関し、大変有意義なご意見を賜りありがとうございます。この場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げます。
本日は、平成23年度財政投融資計画の要求及び平成21年度に実施いたしました実地監査の結果につきまして、ご説明させていただくこととしております。平成23年度の財政投融資計画の要求につきましては、去る8月末日に各省等から提出されたものでございます。今後、この要求につきまして、分科会の皆様のご意見を賜りながら、年末に向けて審査を進めていくこととなります。私どもといたしましては、平成23年度の財政投融資計画の編成に当たりまして、新成長戦略の実行など、真に政策的に必要と考えられる資金需要には、的確に対応することが必要であると考えております。また、民業補完性の確保や監査結果等を踏まえ、財政投融資の対象事業の重点化・効率化を図っていく所存でございます。分科会委員の皆様におかれましては、今後、本日をはじめ年末までに何回かの分科会の開催をお願いすることとなると思いますが、その際にはこれまでと同様、忌憚のないご意見を賜りますようよろしくお願いいたします。
また、本年は10月下旬から11月上旬ごろに、特別会計について事業仕分けが行われることとされております。先般、その準備段階として、民主党の行政刷新プロジェクトチームによる各省ヒアリングが行われ、財投特会についても理財局から財政投融資の意義や、これまでの一般会計への貢献、最近の透明性の向上への取り組み等について説明を行ったところであります。委員の皆様におかれましては、事業仕分けの関係につきましてもご指導賜りますよう、今後ともよろしくお願いいたします。
以上をもちまして、簡単ではございますが、ごあいさつと新メンバーの紹介とさせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。
〔 吉野分科会長 〕中村理財局長、どうもありがとうございました。
それでは、本題に入らせていただきたいと思いますが、最初の議題、平成23年度の財政投融資計画の要求につきまして、美並総括課長からご説明をお願いいたします。
〔 美並財政投融資総括課長 〕美並でございます。
それでは、今、局長のお話にもありましたとおり平成22年8月末に各省等から要求が提出されましたので、これについてお手元の縦長の資料1「平成23年度財政投融資計画要求」に沿って、ご説明させていただきたいと思います。
表紙をめくっていただきまして、1ページに概要がございます。まず一番下の合計欄を見ていただきたいと思いますけれども、左は平成22年度計画で、その隣が平成23年度要求になります。平成23年度の要求の合計額は15.5兆円、平成22年度に比して率で言えば15.3%、金額で言えば約2.8兆円の減という大幅な減額要求となっております。この財政投融資計画要求の総額につきましては、実は平成22年9月1日に池田財務副大臣より、一般会計の概算要求額等とともに公表しております。ただ、この内訳につきましては、本日、分科会にてご説明した後、対外公表することといたしておりますので申し添えます。
以下、内訳についてご説明するところですけれども、先に若干結論めいたことを言って恐縮ですが、今回の要求を、一言で申し上げれば、ここ数年、リーマン・ショック以降、企業の資金繰り支援等ということで危機対応をやっていたわけですけれども、全体として、今年の6月に閣議決定された新成長戦略への貢献の対応に転換するものと、言えるのではないかと考えております。
具体的に内訳に沿って申し上げますと、1番目のグループが企業等金融支援関連でございますけれども、平成22年度計画と平成23年度要求を比較しますと、全体では8.2兆円から5兆円へと約3.2兆円の減となっております。したがいまして、減少の全部がこの企業等金融支援関連の減少で、ほぼ説明がつくということになっています。これは、今、申し上げましたように、日本政策金融公庫の中の上から2つ、国民一般向け業務、中小企業者向け業務、それから、1つあけた危機対応円滑化業務、この3つの業務で、これまで危機対応貸付、セーフティネット貸付ということで、リーマン・ショックにより金融市場の危機的状況への対応を行ってきましたけれども、この状況が改善したということを踏まえて、減額要求になっているということでございます。特にこの中で危機対応円滑化業務のところを見ていただきますと、平成22年度が3.3兆円あったわけですけれども、平成23年度要求は、リーマン・ショック前の平成20年度当初計画と同水準の1,320億円となっております。96%の減少ということで、中でもこの危機対応円滑化業務の減が、平成23年度要求の状況を象徴的に示しているのではないかと思っております。
ただ、1つ目の企業等金融支援関連の中でも、増えているものもございます。危機対応円滑化業務の1つ下の特定事業促進円滑化業務、それから、その下になります株式会社日本政策投資銀行で、金額で言いますといずれも平成22年度計画比1,000億円増ということになっております。これらについては、新成長戦略に関連した貸付等を要因とするものということでございます。具体的に説明しますと、特定事業促進円滑化業務でございますけれども、平成22年度計画では電気自動車とか太陽光パネルの開発・製造を行う事業者への、いわゆる低炭素融資を行う計画になっているところでございますが、平成23年度要求では当該既存業務に加えまして、新成長戦略において位置づけられている事業再編等を行って、競争力強化に取り組む事業者に対する融資制度の創設要求に伴う増額となっているところでございます。
それから、株式会社日本政策投資銀行でございますけれども、これは新成長戦略に例えば産業の掘り起こしによる地域活性化、あるいは、環境に配慮した投資等の融資の増ということが、要求に盛り込まれているところです。なお、この政投銀について1点補足させていただきますと、参考の欄に貸付規模・事業規模というところがございまして、一見すると平成22年度の2兆5,000億円から1兆7,000億円と、事業規模が大幅に減っているように見えますけれども、実は平成22年度計画には産活法に基づく出資の1兆円が含まれているものでございまして、政投銀の通常の貸付事業規模ということで言えば、平成22年度は1兆5,000億円、それが平成23年度1兆7,000億円ということで、貸付規模も2,000億円の増加となっているところでございます。
それから、2番目の地方でございますけれども、地方につきましては平成23年度の地方債の計画案が現時点であるわけですが、地方税収が増加するという見込みになっておりまして、そのため臨時財政対策債が縮小し、平成23年度要求も縮小するという姿になっております。ただ、この脚注の1にありますとおり、例年同様でございますが、この地方債計画全体の数字がいわば仮置きのものであるために、地方向け財投の要求額も仮置きという扱いになっているところでございます。
3番目の教育・福祉・医療関連でございますけれども、これは金額で申し上げますと、平成23年度要求は平成22年度計画比で約1,200億円の増でございます。内訳はここにあるとおりでございますけれども、日本学生支援機構、これは奨学金の対応人員の増加、それから、福祉医療機構でございますが、これについては福祉施設や医療施設の整備に伴う資金需要増ということで、いずれも平成22年度計画に比べて増加する要求になっております。これらも両方、新成長戦略に盛り込まれた施策に関連する要求でございます。
その下の国際関連でございますけれども、こちらは平成22年度計画比約3,000億円の増の要求となっております。その内訳でございますが、国際協力銀行業務につきましては、危機対応貸付の部分というのは減額になっておりますので、参考にあります貸付規模・事業規模の方は減少するということになっていますけれども、新成長戦略に関連しまして資源エネルギー開発、あるいはアジア・環境向け投資促進に資する出融資に重点化して、規模の確保に努めるということ等ございまして、もちろん自己資金の減というのもありますが、財投としては約1,400億円の増の要求となっているところでございます。
それから、独法の国際協力機構(JICA)の有償資金協力業務でございますけれども、こちらも新成長戦略関連がございまして、アジア経済戦略と成長戦略では位置づけられていますが、アジアの経済成長に向けて民間企業との連携を通じたインフラ整備支援等に資する円借款の規模の確保等を要因としまして、金額で申し上げますと約1,600億円の増ということになっているところでございます。今いろいろ新成長戦略関連という話をしましたけれども、この関連で要求が行われる機関は、後ほどまた出てきますのでまとめて見ていただこうと思います。
ページをめくっていただきまして2ページでございますけれども、これは先ほどの財投全体要求のうちの産業投資の要求だけをまとめたものでございます。全体で申し上げれば平成23年度要求は平成22年度計画に比べまして110億円の増となっております。目立って増加しているところは3つございまして、上から申し上げますと、日本政策金融公庫の中小企業者向け業務、これについては地域活性化等に資する事業に対して、挑戦支援資本強化特例制度の資本性の劣後ローン等をやっておりますけれども、これらを増強するための出資要求で101億円の増でございます。それから、中ほどの独法石油天然ガス・金属鉱物資源機構でございますけれども、これは金属鉱物の探鉱・開発を促進するための出資要求で146億円の増、それから、一番下、株式会社産業革新機構でございますが、投資対象の拡充に伴う出資要求で110億円の増、この3つが増えているところでございまして、一方、減少しているところを申し上げますと、日本政策金融公庫の中の国際協力銀行業務でございますが、ここは180億円の減となっております。平成22年度計画ではアジアの債券市場育成のためということで、信用保証投資ファシリティへの出資180億円というのが盛り込まれておりましたけれども、本年度要求では0となっているため、その分180億円の減ということでございます。
以上が産投でございまして、ページをめくっていただきまして3ページでございますけれども、先ほど申し上げました新成長戦略に関連した財投要求を行っている機関の一覧表でございます。新成長戦略ではご承知のように、左側にありますように環境・エネルギー大国戦略をはじめ7つの戦略分野がありますけれども、その分野ごとに要求があった機関を取りまとめたところでございます。平成23年度の要求につきましては、7つの分野それぞれに何らかの財投機関による要求が行われているところでございます。ただ、これらの新成長戦略に関する財投要求については、大宗が融資機関でございまして、新成長戦略関連の融資というのは機関全体の貸付規模の一部を構成しているために、なかなか内数としか特定できないという事情があるので、それぞれについて新成長戦略関連の財投要求額だけを取り出して、今の時点で金額を特定したり、取りまとめたりすることは困難である旨ご理解願いたいと思います。したがって、分野と機関だけですけれども、これだけの機関が新成長戦略の関連を要求してきておりまして、その中身については今後の審査過程で、十分見ていきたいと考えているところでございます。
またページをめくっていただきまして、4ページでございますけれども、財政投融資計画のフローの推移でございます。ご承知のように、財投改革以降スリム化を進めた結果、平成20年度、ここでは20(当初)と書いておりますけれども、ここまで毎年財投改革以降減少させてきたわけでございます。この水準が13.9兆円なのですけれども、平成20年度、平成20年9月にリーマン・ショックがございまして、ご承知のように百年に一度と言われる混乱があり、中小企業のみならず中堅大企業まで資金繰りに窮する事態となったのを受けて、平成20年度の補正、それから、平成21年度当初、平成21年度の補正と企業の資金繰り支援を中心に対応してきまして、平成22年度も資金繰り支援が継続され、18.4兆円という計画になっているところでございますけれども、冒頭申し上げましたように、平成23年度の要求額は15.5兆円と、金融市場の危機的状況の改善を踏まえた減額となっているところでございます。ただ、先ほどから申し上げておりますように、新成長戦略への貢献のための増額等ございまして、15.5兆円という水準について申し上げますと、平成20年度の当初計画よりは高く、平成21年度当初計画よりは低い水準ということになっているのかなと受けとめているところでございます。
次に5ページでございますけれども、これは、今、申し上げた計数を取りまとめただけなので説明は省略させていただきます。
次いで6ページになりますけれども、これは財投改革前の平成12年度と今回の平成23年度要求を、対象機関がどうなっているかということを見ていただくために示した図でございます。平成12年度で大きな比率を占めておりました住宅金融公庫、それから、年金福祉事業団といったところが、財投改革の影響により平成23年度要求ではほぼなくなっているところでございます。その他の政策金融機関、それから、地方公共団体というところは規模は縮小しておりますけれども、平成23年度要求の段階においては、大きなウエートを占めているということが言えようかと思います。
次に7ページでございますけれども、こちらは財投の対象機関となっております独立行政法人等につきまして、平成21年度末の財投の残高と、それから、純資産状況について取りまとめたものでございます。純資産状況ということで申し上げますと、財投対象機関の財務の健全性がどうなっているかという判断基準になるわけでございますが、ここについて1点だけ申し上げますと、左側の機関の下のほうですけれども、独法の鉄道建設・運輸施設整備支援機構というのがございまして、勘定が2つございますが、この下のほうの海事勘定を見ていただきますと、平成20年度につきましては純資産がマイナス61億円であったわけでございますが、平成21年度末については135億円ということでマイナスが解消されております。この結果、平成21年度末での純資産につきましては、ここにあるすべての機関がプラスという状況になったわけでございます。
またページをめくっていただきまして、8ページ、9ページ、10ページというのは、機関別、それから、原資別、財政融資・産業投資・政府保証それぞれについての計数を取りまとめたものでございますけれども、これまでの説明と重複しますので、説明は省略させていただきたいと思います。
次に、11ページを見ていただきますと、これは平成23年度要求における財投機関債の発行の予定額を取りまとめたものでございます。合計を見ていただきますと、平成23年度の財投機関債につきましては合計で4兆3,300億円ということになっておりまして、平成22年度計画に比べますと約1兆2,000億円の減となっております。この要因でございますけれども、上から4つ目の独立行政法人住宅金融支援機構でございますが、平成22年度発行予定額の約6割を占めているわけですが、この住宅金融支援機構が減っているのが主な要因ということでございます。減った理由でございますけれども、近年の低金利局面の継続する中で、低金利の民間資金へと借り換える動きがございまして、これにより住宅金融支援機構への繰上償還額が増加したために、住宅金融支援機構としての機関債の発行予定額が減額されているということでございます。この結果、財投機関債の発行予定額は平成22年度に比べて、全体としても減っているということになります。
最後でございますけれども、12ページに財投機関債発行額の推移を示しております。今、申し上げましたように、平成23年度の財投機関債発行予定額は、平成22年度に比べては減っておりますけれども、平成20年度、平成21年度と比べますと、それを上回る水準となっているということがわかるかと思います。
駆け足で大変恐縮でございましたけれども、私からの説明は以上でございます。今後、平成23年度財投計画の編成に当たりましては、先ほど局長からも申し上げましたように、年末に向けて本日説明した要求について、当分科会でいろいろご議論いただくことになるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
〔 吉野分科会長 〕ありがとうございました。
引き続きまして、資料2の財政融資資金等の実地監査につきまして、阿曽管理課長からお願いいたします。
〔 阿曽管理課長 〕管理課長の阿曽でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、お手元の資料2「財政融資資金等の実地監査について」をご覧いただきたいと思います。まず前半で法人等実地監査、後半で地方公共団体実地監査について説明させていただきたいと思います。
まず資料の1ページをご覧いただきたいと思いますが、法人等実地監査につきましては、既にご案内のとおりでございますけれども、平成16年12月の財投分科会のご提言をいただきまして、平成17年度から開始したものでございます。ここに書いてございますように、財投対象事業にふさわしい政策的意義、財務の健全性・償還確実性、資金の適正な執行等の実態を実地に確認いたしまして、財投編成や事業の見直しに結びつけているところでございます。
次に、2ページ以降で監査の実施状況を説明したいと思いますが、平成21事務年度におきましては、西日本高速道路株式会社をはじめとしまして、5機関に対し監査を実施しております。なお、そのうち日本学生支援機構につきましては、前回監査のフォローアップということで、二度目の監査を実施してございます。詳細につきましては、その次のページ、3ページ以降に監査結果を示してございます。
まず西日本高速道路株式会社でございますが、最初の点につきましては、平成20事務年度に監査を実施した東日本のときにも指摘したことと同様でございますが、各高速道路会社が支払う貸付料が、日本高速道路保有・債務返済機構における債務返済の財源でありますことから、財投資金の償還確実性を確保する観点から、会社において高速道路事業の更なる収支の向上を図りますとともに、関係者間で料金収入の計画と実績の乖離についての分析に基づきまして、所要の措置について検討することなどを求めたものでございます。
次に、4ページの中小企業基盤整備機構でございますけれども、指摘事項の前に、この機構における財投対象事業でございますが、旧地域振興整備公団において実施しておりました工業団地の分譲業務及び中小・ベンチャー企業に対しインキュベーション施設等を整備し賃貸を行う業務のほか、旧地域振興整備公団及び旧産業基盤整備基金において実施しておりました第三セクター等に対する出資業務、これらの業務を承継したものでございまして、財投計画に計上されましたのは平成18年度が最後となっておりますので、現在は過去に採択しました業務を、継続して実施しているところでございます。指摘事項でございますが、産業用地分譲業務につきましては、分譲実績が大幅に減少している現状を踏まえまして、平成25年度末の業務期限に向けた分譲促進を求めましたほか、インキュベーション等施設賃貸業務につきましても、収支の改善を図ることなどを求めたものでございます。
次に、その下にございます農業・食品産業技術総合研究機構でございますが、当機構におきましては産投出資を原資といたしまして、試験研究に係る委託事業を実施しているところでございます。具体的には農林食品関係の研究を民間企業等に委託しまして、試験研究終了後に民間企業から研究成果に基づく売り上げの一部を納付していただく仕組みとなってございます。なお、本事業は平成18年度より実施しておりまして、委託研究課題の選定に当たりましては公募を行い、外部の専門家による評価を経た上で採択を行っているものでございます。ここに書いてございます指摘事項でございますが、委託研究終了後に売上納付額の見通しを作成していないなど、フォローアップが適切に行われていない点を指摘しまして、所要の措置を講じることなどを求めたものでございます。
次に、5ページの情報通信研究機構でございますが、こちらも先ほどの農研機構と同様の仕組みによりまして、情報通信分野における委託研究を、平成13年度より実施しております。なお、同業務につきましては、平成22年度より新規の採択を休止しておりまして、現在は平成21年度までに採択しました継続案件について、実施しているところでございます。指摘事項でございますが、こちらも中間評価に対する対応や、事後評価の実施時期の遅れなど、農研機構と同様に研究開発後のフォローアップが、適切に対応できていない点などについて、改善を求めたものでございます。
次に、6ページ、7ページの日本学生支援機構でございますけれども、こちらは、前回監査のフォローアップのために、2回目の監査を実施したということでございます。恐縮でございますが、平成22年4月16日の当分科会におきまして、既に報告させていただいている内容でございますので、本日は説明を省略させていただきまして、当機構に関する最近の動きについて、若干紹介させていただきたいと思います。8ページをお開きいただきたいと思います。
これは機構に関する対応といたしまして、主務省でございます文部科学省におきまして、ここに書いてございますように「財務省理財局実地監査等における指摘事項への対応状況の検証」、あるいは「機構の奨学金業務の実施状況と運営体制の検証」、「今後の運営の在り方について意見提言」を行うための有識者による第三者組織を平成22年6月に立ち上げまして、奨学金事業運営のあり方の検証が行われたところでございます。6月から8月まで5回にわたり開催されまして、課題の分析・検証に加えまして執務現場の視察、あるいは全職員を対象としましたアンケート調査を経まして、「検証意見のまとめ」及び「改善・充実に向けた取り組みに係るアクションプラン」等が、先週の9月2日に鈴木文部科学副大臣が記者会見を行った上で、公表されたところでございます。
この資料8ページの下段は当方の実地監査の指摘への対応をまとめた表でございます。まだ数カ月しか経過していない段階での状況でございますけれども、機関保証制度における住所不明者の取り扱いについて、保証機関と合意に至ったことや、請求未了債権が減少している状況を示してございます。また、延滞者に対する法的措置でございますが、平成22年8月に機構内の組織を改編いたしまして、債権回収の体制強化を行ったことなど、指摘事項に対する改善がなされております。
次に9ページでございますが、こちらには今回の文部科学省における「有識者による検証意見まとめ」の概要を掲げてございますが、6つの重点課題と対応策、機構の体制整備に係る財源確保などが提言されております。今回の抜本的対策によりまして、機構の業務運営が一層改善されることを期待するところでございます。
次に10ページでございますが、こちらは昨年度実地監査結果の反映状況を整理したものでございます。ご参照くださればと思います。
続きまして、次のページの2「地方公共団体実地監査」について説明申し上げます。11ページをご覧いただきたいと思います。地方公共団体の実地監査につきましては、全国の財務局・財務事務所等において、これまで貸付対象外費用の混入の有無などについての確認を中心とした監査を実施してきたところでございますが、当分科会のご指摘等を踏まえまして、平成20年度から公営企業の経営状況把握や評価に重点を置いた監査へと転換を図ったところでございます。
12ページをご覧いただけますでしょうか。平成21年度の監査の実施状況につきまして説明させていただきます。平成20年4月から実施しております公営企業の経営状況把握につきましては、経営状況のあまり芳しくない企業、あるいは全国で普遍的に実施されております企業としまして、上水道事業以下ご覧の5事業を対象といたしております。この5事業に係る平成20年度末の企業数でございますが、全国でAの欄でございますけれども、5,414企業となっております。このうち(C)の欄でございますが、5,285企業、全体の98%が監査の対象先、つまり私ども財政融資資金の貸付先となってございます。このうち平成21年度につきましては、(D)欄にありますとおり、816企業に対して実地監査を行ったところでございます。
次に、この監査の結果について13ページをご覧いただけますでしょうか。監査を行いました816企業の結果でございますけれども、悪化または悪化傾向にある企業が171企業ございました。そのうち54企業につきまして、要処理事案といたしまして文書照会等の措置を講じてございます。また、この表の中ほどにございます「別途管理事案等」という欄がございますけれども、ここに「補償金免除繰上償還承認企業」というものが83企業ございますが、これらの企業につきましては(注3)にありますとおり、別途策定されました経営改善計画について既に審査済みでございまして、実地監査におきましてはその進捗状況の確認にとどめることとしまして、要処理事案としての整理は行ってございません。また、別途管理事案等に「その他」とございますが、これには経営指標等に一定の乖離幅が認められましたものの、金額が小額であったり、その要因が一時的あるいは突発的なもので、特に大きな影響を及ぼすものではないものが含まれてございます。
次に、各企業の監査結果となりますが、件数の多い上水道事業、下水道事業、病院事業の3事業につきまして監査結果の概要をまとめてございます。資料14ページにまず上水道に係る監査結果の概要を掲げてございますが、給水原価を適正に反映することなく、単に周辺団体との横並びで料金設定を行っていること等によりまして、供給単価や料金回収率が他の団体と著しく乖離している企業などの事例が見られております。これらの企業に対しましては、今後の具体的な取り組みについての報告等を求めまして、各企業からは料金見直しやコスト削減等の経営健全化に向けた改善策が提出されているところでございます。
それから、次の15ページが下水道事業でございますが、こちらも先ほどの上水と同様でございまして、料金設定におきまして不適切な点が見受けられたところでございます。詳細は省略させていただきますが、同様に経営健全化に向けた改善策が提出されているところでございます。
それから、恐縮ですが、次の資料16ページをご覧いただきたいと思います。こちらが病院事業に係る監査結果の概要でございますが、ほとんどの企業が赤字経営となっておりまして、平成16年度の臨床研修制度見直しの影響によりまして、医師不足により患者数が減少し、医業収益が悪化しているという企業が、監査を実施しました142企業のうち33企業ございました。また、収支計画と実績について確認しましたところ、患者数の減少等によりまして医業収益、経常損益、累積欠損金が大きく悪化している企業もたくさん確認されております。これらの病院企業からは、医師の確保による医業収益の増収や、職員の人件費抑制など経営健全化に向けた改善策が提出されているところでございます。
次に17ページをご覧いただけますでしょうか。こちらに各企業の経営改善計画等の策定状況につきまして一覧表にしてございます。これは合計欄を見ていただきますと、今回監査を実施しました816企業のうち、監査の実施以前でございますけれども、経営改善計画が策定済みとなっている企業、Aの欄でございますが、全国で594企業ございました。このうち計画どおり進捗しているものが383企業、計画どおり進捗していないものが211企業ございました。また、経営改善計画が未策定となっている企業、Bの欄でございますが、全国で222企業ございまして、そのうち、今後、策定予定とする企業が85企業、今後も策定予定はないとした企業が137企業ございました。これらの企業に監査を実施しました結果、この表の一番下の行になりますけれども、文書注意により計画どおりに進捗していない20企業及び未策定の21企業に対しまして、現行計画の見直し、あるいは新たな経営改善計画の策定を求めたところでございます。
最後になりますが、18ページに従来から行われておりました「適債性にかかる実地監査の実施状況及び監査結果」について取りまとめております。結論だけ申し上げますと、一番下に監査結果を示しておりますが、本来、融資対象にならない少額備品、消火器とか掃除機とか、そういった少額備品の混入などがございまして、20件、不適切事案がございました。
以上で私からの説明は終わらせていただきますが、今後とも監査手法の充実に努めまして、効果的・効率的な監査に取り組んでまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
〔 吉野分科会長 〕阿曽管理課長、ありがとうございました。
それでは、2つのご説明に関しまして、どなたからでも結構ですが、若杉先生、先に退席されるそうなので、どうぞ。
〔 若杉臨時委員 〕今年の計画とは直接関係ないことなのですけれども、これまでこの分科会で、財投に無駄が多いということで、規模を縮小するとか、あるいは今の実地監査のように、お金を使っているところがきちんと使うようにということで規律を求めるという、そのようなことで、やってきたわけで、その効果が上がって、もう規模はどんどん小さくなってきたということになるわけなんですね。
だけど、例えばこの監査にしても、きちんとやっているかということは見ているんですけど、使うべきところに使ってないのではないかという監査はできていないんですよね。やはりファイナンス部門が強くなる最大の欠陥は、ファイナンスの人って自分で何か新しいことができませんから、人から出てきたプロポーザルを厳しく言うだけですから、どうしてもシュリンクしていくんですよね。これまで90年代まではそういうことでよかったと思うんですけれども、今、21世紀になって国が置かれている環境も、企業が置かれている環境もすっかり変わっているわけですね。競争条件なんかもすっかり変わっているわけで、例えば世界的に資源の取り合いとか、奪い合いであるとか、そういうことがいろいろとあるわけですが、そういうのに対して企業としては今リスクを負えないんですよね。非常に、今、日本の企業の経営者というのは短期的になっているんですね。
1つは、さっき冨山さんと話したのですけど、クオータリー・ディスクロージャーか何かが始まって、非常に短期的になっているんですね。長期的なこともやらなくてはいけないと思いながら、やはり短期の利益を傷つけると思うと、長期的なことができないという、そういうようないろんなおかしなことが起こってきているわけで、そういうことで、企業はどんどん投資がシュリンクしているんですけど、それはお金がないからではないんですね。財投も一生懸命お金を供給するということをやろうとしていたのですが、使い残してばかりいることが多いわけですね。企業がお金がないから何かしないのではなくて、知恵と勇気がないからやってないんです。ですから、それを助けなくてはいけないと思うんです。国もこうやって見ているとどんどんシュリンクするだけで、結局、やはり国自身もリスクもとらないし、知恵も出してないと思うんです。
中国とか韓国を見ると、もっと国家的にいろんな事業を助けているわけですね。今まで我々は資本主義では自由経済だから、みんな1つ1つの企業が自由にやって競争することがいいことだという、そういう発想でやってきたわけですが、今のこの21世紀になると、その企業の背景に国があって国同士の戦い、国がどういう企業に対してインフラを置くか、世界的な規模のインフラを置くかという、そういう競争になっているわけですね。ですから、財投は今までは国の中でどういうインフラを置くか。道路であるとか、鉄道であるとか、飛行機とか、そういうことについてお金を使ってきたんですが、今度は企業が世界的なグローバルな環境で競争するための、インフラを整えなくてはいけないと思うんですね。そういう意味のお金をもっと使わなくてはいけないと思うんですけれども、そういうような発想が全然持てないんですというか、我々の役目じゃないんですね、実は。
そういうのは、内閣とか、政府がきちんとリーダーシップを発揮することなので、我々にはできないんですけど、やはり実地監査も重要だし、それから、無駄をなくすということも大事なんですが、やはり大事なことにもっと使えという、そういう機能を持たないと国がどんどん駄目になってしまうと私は思うんですね。ですから、今の話は今年の計画のことではないんですけど、やはり今年の計画が済んだら、少しそういうことをきちんと考えないと、どんどん日本がじり貧になってしまうと思うんですよね。
〔 吉野分科会長 〕資料1の3ページ目のところは、まさに新成長戦略として、今、若杉先生がおっしゃっていたような、本当にこういうところでいいのかどうかというところで、まさにそうですね。
〔 若杉臨時委員 〕そう、私はもう少し考えないといけないと思うんですね。例えば教育にしても、学生支援だって、今、若い人がどんどん外国に行かなくなっているんですね。だから、同じお金を出すのでも、もっと留学させるとか、そういうことにお金を出すとか、もっとストラテジックなことを考えないとどうしようもないと思うんです。
だから、もっと大事なところは、アメリカでもヨーロッパでもいいですけど、世界中の若い人が勉強しに集まってきて、そういう人たちがこれからの将来を見つめて競争しようとしているわけですね。そのような中で日本の人だけ内にこもって、携帯やったり、ゲームやったりしているわけですから、そのようなことではどうしようもないわけですからね。そういうことを改めるようなもっといいことをやらないといけないと思うので、そういうことをこの財投分科会でもやりたいなと、私はやらなくてはいけないのではないか、と、そういう問題です。
〔 吉野分科会長 〕次回は具体的にもう少しこの3ページに関連するところを、いろいろ精査していただくといいのではないかと思うんです。非常に貴重なご意見ありがとうございました。
私は夏休みにアメリカとイギリスへ行ったんですけど、日本人留学生を見かけなくなりました。それから、企業からも最近は外に出さなくなって、出すと辞めてしまうんですね。ですから、日本人がほとんどいなくなって、それから、今度はアメリカの助教授も、日本人がいなくなってしまった。だから、これから10年後、20年後はおそらく世界機関に就職する日本人はいなくなってしまうのではないか。そういうことを感じました、全く同じです。はい、ありがとうございます。
では、土居先生、どうぞ。
〔 土居委員 〕今の若杉先生のご議論にちょっと触発されまして、おっしゃることはとてもよくわかります。特に最近の中国政府、韓国政府の対応を見ているとそういうことを感じるわけですが、経済学での近年の議論の整理は、政府はどこに成長分野があるかを、的確に指図することができない存在なのではないかという整理があって、おそらく小泉内閣以来、政府は余分な口を出すべきではないということが1つの潮流としてあったということは、無視することはできない。おそらく真理はその真ん中にあると思うんですが、つまり韓国・中国政府がそういう対応をしているから、それに対してある程度日本政府も何とかしなくてはいけないという気持ちはわかるんですが。
〔 若杉臨時委員 〕そういう意味ではありません。そのようにとられると困るんですが、世界の経済の構造がもう違ってきているということなんです。
〔 土居委員 〕もちろんそれはよくわかります。ただ、中国・韓国政府がいわゆる新しい形の重商主義と呼んだりもするようですけれども、そういう展開がどこまで本当に正しいのか。ひょっとしたら今は追い風で、彼らは成功しているように見えるかもしれないけれども、10年後に本当に成功するか、成功したという結果が得られているのかどうか分からないというようなことだってあるので、やはり私の考えは前向きにもっと政府も取り組めという話なのですけれども、では、小泉内閣のときにあったあの議論との関係の整理は、やはり1つきちんと踏まえておくべきです。つまり国の役割というのは何だという話をもう一回きちんと整理した上で、まさに若杉先生がおっしゃったような、新しい時代における政府の役割というのを考えながら財投のあり方も考えると。
そういう意味では、私が思うには、今回の資料1の話に戻りたいんですけれども、成長戦略に関連する財投要求というところがいま一つであり、極端に言えば、そういう国家戦略的な発想で臨むということであれば、もっと出てきてもおかしくないのかなと思ったけれども、案外そうでもなかったと。ある意味で、私が申し上げたことに関連するのかなと。つまり小泉内閣のときから割と日本では表立って、経済学の分野ではそれ以前からあったと思いますけれども、政府は余分な口出しをすべきではないという抑制が微妙に効きつつも、でも、やはり表に出ないと新しい時代を乗り切れないのではないかということとの、この過渡期というか、混ざり合ったような要求になっているのではないかという印象を持ちました。
〔 吉野分科会長 〕池尾先生、いかがですか。成長戦略のビジョンがないと、今日の日経新聞に書いてありましたけれども、少しだけ教えていただけますか。
〔 池尾委員 〕正直言って、狭い意味での資金がボトルネックになっているケースというのは少ないと思うんですよね。だから、一言で言うと、知恵みたいなものを合わせて提供するという工夫がないと、お金だけ持っていっただけでは、あまり効果がないということになっていると思うんですけれども、そうしたときに、政策金融機関なりが提供できる知恵というか、ソリューションの範囲というのはどこまであるのかということだと思いますね。
そこは努力しなくてはいけないということは分かるんだけれども、私はどっちかというと土居さんの意見にもシンパシーがあって、やはり環境整備的なところに政府の役割の重心はあって、やはりあまり主役を演じようなんてことは、考えない方がいいというのが私の意見で、成長戦略に関連してこの程度なのか、ちょっと額が特定できないという話なんでよくわからないですけど、これは別に悪いことだというようには特に思わないというのが、私の雑駁な感想です。
〔 吉野分科会長 〕ありがとうございました。
昔の高度成長期、民間の方からこういうところで資金が必要だ、まさに資金が足りなくなったのでここに入れてくれという、すごく明確なのがあったと思うんですけれども、だんだんに現在のような構造になってくるとそういうようになってないような気がしますが、冨山先生、いかがでしょうか、いろいろご覧になっていて。
〔 冨山専門委員 〕私もターゲッティングを政府がどこまで、正確にできるかという議論に関しては、やや疑問を持っているんですが、というのは、イノベーションと書いてありますけど、イノベーションの定義というのは、予測不可能だからイノベーションなんであって、だから、予測できたらイノベーションではないですね。そういうように思う一方で、今度はもうちょっとターゲットは別にして、時空を少し抽象的に広げて考えたときに、要は民間で実際に投資をする立場で、今いろんな事案に接したときに、さはさりながら、例えば20年コミットできるリスクマネーが、ほとんど市場にないことも事実なんですよ。これはもう事実です、明確な事実です。
短期性の資金はじゃぶじゃぶです。先ほど言った様にリーマンの後も、もうじゃぶじゃぶもいいところで、もう幾らでもお金はあります。あと、会社の中に積み上がっているそれこそ現預金もじゃぶじゃぶにあります。ただ、問題は今の市場経済の環境下において、20年コミットできる長期性のリスクマネーを出せる状況にあるかというと、これはなかなか市場では手に入らないという現実があって、重商主義的なものがいいかどうかは別として、例えば同じ条件で韓国の企業がそういう長期性のリスク資金を例えば国から、国の信用で調達できるという条件があって、日本の企業にはそれがないと、これは確実に日本の会社が負けます。これは圧倒的に負けます。この現実があるのも事実です。だから、ここがなかなか目には目をで難しい問題なんですが、それは日本の企業が、みんな直面している極めてシビアな経営環境であることは事実です。
だから、このような環境に置かれると、難しいですよね。というのは、これは向こうも出したらこっちも出さないと、逆に言うと、レベル・プレイング・フィールドに簡単な意味ではならないんですよ。今、外国政府は全部出してしまっているので、そういった意味で、逆な意味でレベル・プレイング・フィールドを整えようとしたときに、そういったことを考えていかないと、何か1人だけ丸腰で戦うみたいな展開になる現実もあるので、そこはすごくリアルな問題として、考えなくてはいけないのかなという気は正直しております。
〔 吉野分科会長 〕ありがとうございます。
そういうようにしますと、どういう分野で、相手の国がどういうところに出しているかというのを、1つ見なくてはいけなくなりますよね。
〔 冨山専門委員 〕あと、もちろん比較優位分野が違うので、当然、日本の企業や日本の産業体が持っている強さと、当然、韓国・中国あるいはアメリカ・ヨーロッパそれぞれ違いますから、当然、日本企業や日本の産業立地が持っている比較優位を考えた上で、考えていかなくてはいけないので、すごく難しいデリケートな問題なんですが、少し戻ってしまいますが、特定にターゲットするという議論に関しては、私はややクエスチョンマークで、それはあまり意味がないと思います。しかしながら、日本企業がそういった状況下で、長期戦のリスクマネーを必要とする事業分野に出ていこうとするときに、くどいようですが、日本だけがそれを助ける仕組みがすごく弱くて、海外がものすごくそれは厚くやっているとすると、そこはやはり明らかに不利になってしまうので、外国政府がどうやっているというよりは、もう少し広い意味で、同じ環境をやはり整えるということは私は必要なような気がします。
〔 吉野分科会長 〕では、川村先生、どうぞ。
〔 川村専門委員 〕非常に大きな議論になっていると思うんですけれども、それで1つ申し上げるのは、私はやはり例えば成長産業、成長戦略という固有名詞じゃなくて、成長産業に何らかのファイナンスでのバックアップをしなければという抽象的な命題があって、そこで成長産業とか、成長企業とか、分野って何なんでしょうとなったときに、少しワープがあるような気がするんですね。つまり本当に成長するのはどこの分野なのかというのを、どういう基準でどう見極めているのか。あるいは、短期性の資金なのか、長期性の資金なのかみたいな、やはりそれなりの、変な言葉ですが、仕分けをしておく必要があるのではないか。
どうも感覚的にやっているような気がしてならないんですね。先ほど実地監査の結果を見て「やはり」と思ったのは、例えばインキュベーション施設を造りますと、箱物造りました、20、30入居のクラスター造りました、だけど、2割、3割しか埋まらない。大赤字である、当初からもう目に見えている。それも相変わらず一緒であるというようなことであるとか、それから、少しまた別な議論になりますけど、個人的な見解になりますが、インターンシップなんて増やしたって何にもならないわけです、全く意味がない。つまりインターンシップというのは、企業の方も企業秘密だからと、本当にやりたいところは見せないわけですし、学生の側から見ると、インターンシップに行ったということを実績として、就職活動するだけになってしまっていると。
そうすると、こういう言い方は不適切かもしれませんが、レス・グッドというか、ワースの企業ばかりどんどん増えてくるわけですね。具体的に申し上げると、何のことはない、2週間インターンシップ行ったといったら、ガソリンスタンド行ってきて、朝からずっと洗車させられたとか、枚挙にいとまなくあるわけですね。そういうところだけ増えて、そこが補助金もらうという仕組みに実際にはなってないのか。そこまで実地監査するといったって、それは無理ですよね、その細かい極めてミクロなところなので。
ただ、いずれにしても、そういうどこにどういうお金をあげなければいけないのか。どうも今グローバルに見たときに、グローバルに短期資金が全部余ってしまっているんだと思うんですね。例えば中国の会社が豪語するのは、我々資金調達なんか要らないと、IPOなんかする必要もないと。なぜならば、余剰金がたくさん余っているんだと。それで日本の会社を買いたいというのがむしろ多いわけですね。では、先ほど冨山委員がおっしゃったように、それは長期性の資金なのかというと、そうではなくて短期で、要するに彼らとしては早く買って売り逃げたいという、まさにグローバルなカジノマネーはものすごくあるんだけれども、本当に成長資金があるんだろうか。
そういう中で、では、日本があまり短兵急に、周りがそうやっているからと、日本もそれに乗ってしまうというのは少し早計だと思うけれども、そこでやはり冷静な、仕分けという言葉が適当かどうかは別として、見極めをしないと、どうも今回の成長戦略も何となく思いついて、就職に困っているからインターンシップとか、そのような話がものすごく多いので、これはもっと例えば財投計画なんかでも、いろいろ考えた方がいいなというのが、感想です。また、個別のさっき申し上げた実地監査のところなんか見ると、この上下水道って一体どうなっているんだろうかという話と、それから、もう一つは病院って、これ、財投サイドというか、監査サイドでここが問題だからこうしろということで、解決がつくんだろうか、多分、つかないだろうな。ちょっとこれは意見とも感想とも何とも言えないところなのですが、非常に悩ましさを感じています。
〔 吉野分科会長 〕富田先生、いかがでしょうか。
〔 富田委員 〕先ほど冨山さんがおっしゃったように、資金は大幅余剰だが、ペイシェントリスクマネーがない。こういう状態が長い間続いている。それもあってこの産業革新機構が創設された。新しい投資対象を拡充したいというお話なんですけれども、それが何かというのはまた後で聞きたいと思うんですが、この機構はできて間もないんですけれども、成果がどうかということなんです。
先ほど、冒頭、若杉先生が問題提起されたことと関係するんですけれども、要は夢なき民は滅ぶというか、「やったるぞ」という何かがないと、なかなかいろんなことはうまくいかない。政府が成長戦略を発表しても、これは前政権のときもそうだったんですけれども、マーケットは全然反応しないんですよ。国債金利だって上がらない。もしみんなが何か夢を持って信ずれば、3%の成長が10年続くと政府が言えば、10年国債の金利はやっぱり3%超えてしまうんですよね。
だけど、それを信じないのはなぜかというと、多分、ここで議論していることと密接にかかわっているんですけれども、それを具体的にどういう方法でやったらいいのというのが全然分からないんですよ。だれにも分からないんです。やはり答えがあるのは市場というか、企業も含めた人間の活動にしかないと思います。だから、先見的に政府がどこかここは伸びそうだとかいうことは、なかなか判断できないように思うのです。そういう中で、産業革新機構の新しい投資対象の拡充というのは、一体、何を概算要求で出されているのかということですね。
それが1つの質問と、もう一つは学生支援機構なんですけれども、これもいろんな問題をこの分科会でも議論いたしまして、いろんな意見を出してきたわけですが、結局、これも夢なき民ではないんですけれども、学生に本当は勉強してもらいたいがゆえに存在する仕組みなんですが、そう使われているのかどうか。私が危惧いたしますのは、社会に出てすぐにお金が返せなくなって、それをまけてもらいたいというようなことだとすれば、この巨額の国債残高は一体どうなるのかと。だから、仕事がないから救済が必要だとかいっても、それが答えにならないことは明らかでして、やはり大学として世界を見据え、日本経済全体を見て、学生にどういう教育をしなくてはならないかを考えることが、この奨学金の問題を考える際の原点だと思います。
景気が悪いから何か救済が必要だとか、あるいは、機関保証したら一応表面的には不良債権が減るとか、そういう議論はやめなくては駄目で、真正面から問題を見るとすれば、やはり社会に出て人様のお役に立って、お給料がもらえる学生をどうつくるかということが、奨学金の問題を考える一番の原点にあるように思うんですけれども、そういう議論がここの「独立行政法人日本学生支援機構の奨学金事業運営の在り方に関する有識者による検証意見まとめについて」において、きちんと議論されているかどうかということをお聞きしたいんですけれども。
〔 吉野分科会長 〕どうぞ。
〔 美並財政投融資総括課長 〕今、質問があった話のうち産業革新機構の話についてお答えしたいと思います。ご承知のように、産業革新機構はまさに先ほども話が出てましたけれども、オープンイノベーションということで、自らの経営資金以外の経営資源の有効な活用を通じて、産業活動を革新するということに対するリスクマネーの供給を行うわけですけれども、今回、対象の拡充といいましたのは、これまでは支援対象を国内における活動に限定していたんですけれども、これを海外における我が国企業と海外企業とのオープンイノベーションも、取り組みの支援をできるようにということで、制度の拡充要求が出てきている、それに伴って増額要求している、そういうことでございます。
〔 吉野分科会長 〕木村先生、どうぞ。
〔 木村臨時委員 〕私もこの新成長戦略でアジア経済戦略と観光立国のことで、1つずつ申し上げたいと思います。アジア経済戦略についてですが、アジアで、日本は道路とかいろいろなインフラを造っているんですけど、日本が造った道路の上を中国と韓国の企業の車が走るというように言われています。アジアの人たち一般には日本がそういう道路を造っている、日本橋とかいうのがあっても、全然認識されていない。日本の企業はなぜ来ないのかというと、やはり教育水準が例えば製造業だったら技術者が足りないとかがあるので、私はむしろ技術者養成の学校を作るのがいいのではないかと。アジア経済戦略はこのままでいいのかというのが感想です。
観光立国についても、どの国も観光で食べていきたいということははっきりしていますが、例えば韓国の都市だともう国際化しないと食べていけないというのが、プレゼンしてもすごく出てくる。どうやって地域性を国際的に売り出すか。日本もそういう意識は強まっているのですが。例えばそのときに必要なのは、むしろ中国とかほかの国に行って、日本のよさをPRするとか、それから、日本に来られたときに他国語でいろいろ標識をつくるとか、ソフトの部分が非常に重要になってきて、観光道路は必要になるかもしれないけど、ソフトの部分も入れないとなかなかその需要に、マッチしないのではないかというのが実感ですね。
〔 吉野分科会長 〕同感でして、アジアをずっと、私、20年ぐらい見ているんですけど、インフラのときは日本人がたくさんいるんですよ。昔はその上を日本の車が通っていたからよかったんですが、今は韓国の車ばっかりが通って、しばらくすると白人ばかり来るわけです。金融業・サービス業で。だから、結局、彼らに儲けさせるためにインフラを整備して、全部儲けは向こうに行くというのが実感ですね。
それから、観光立国である韓国は映画で、韓国の俳優をアジア全体に流すんです。それで彼らアジア人は全部そこのところを見物に来るらしいんですね。だから、そういうソフトまで含めてみんなを呼ぶシステムを作らないと、日本はただきれいですよ、富士山がいいですよ、それだけですから、やはり全体の戦略がないような気がいたします。そのとおりではないかと思うんですけど、今日は何かすごいスケールの大きな話で、日本全体の戦略の話等もあったのですが、では、学生支援機構について最後お願いいたします。
〔 辻計画官 〕学生支援機構についてご質問がございましたが、文部科学省の有識者の検証意見につきましては、内容的には私どもが指摘いたしました滞納者の増加といったことについて、どういう対応をとるのかという内容が中心になってございまして、先生がおっしゃるような大所高所に立って、今後、奨学金事業がどうあるべきか、そこまでの議論には至っていないというのが実情でございます。
〔 富田委員 〕ちょっと関連して、何か新聞なんか見ていますと、これから有利子奨学金はほとんど無審査で、希望者には全員応ずるようなことが書いてあることがあったのですが、そうなのでしょうか。事実関係の確認です。
〔 辻計画官 〕家計基準等の資格要件を満たせば、そこは現状でもそういう対応をとっているということでございまして、希望する者には奨学金を支給するという方向でやっていくというように聞いております。
〔 富田委員 〕それは皆さんですね、大学の教職員も、そして、学生もですね、ご父兄の方もみんな分かっておられるんですか、融資であるということを。つまりですね、貸与という言葉ですとね、貸し与えるというのは、何か貸すのか与えるのかどっちかわからなくてですね、やっぱりアメリカではきちんとスチューデント・ローンになっているわけでして。
〔 吉野分科会長 〕貸付ですね。
〔 富田委員 〕ええ、そういうまさに経済の一番大事なイロハのところの言葉遣いからして、この国の危さを少し感じるんですね。
〔 辻計画官 〕いえ、当然、貸すということで事業を行っておりますし、例えば現状でございますと信用保証情報機関への登録を始めておりまして、奨学生として採用する際には、返せなければ信用情報機関へ延滞情報を登録しますよということに同意書を提出してもらうところまで行っておりますので、当然、返さなければならない借金であるということは、明確に認識されているということでございます。
〔 池田理財局次長 〕一言付け加えさせていただきますと、学生支援機構に関してはやはりかなり急激に貸付規模を拡大してきました。無利子にせよ、有利子にせよ、貸付であり返済を要するということは昔から変わらないんですけれども、近年非常に急激に貸付規模が拡大されてきた結果、学生支援機構としてはそれを回収するための部署や、回収するノウハウについては、組織的には十分でない状態のまま貸付規模が拡大し、その結果、比較的短期間に滞納が増加してしまうという事態が生じて、結果的に問題が大きくなっていったということだと思います。
総点検のときから何度も、この審議会の先生方にもご議論をいただいて、私どもからはやはり体制整備を図ってもらいたい、あるいは、機構の職員の意識を変えてもらいたいということは大分申し上げてきたわけですが、今回、ようやく本気になって、体制整備に取り組むところまできていただいたかなという感じがいたします。聞くところによると、今回の改善方策は政務三役からの強力なご指示が事務方におりまして、これで急激に対応が進んだという事情もあるようでございます。そういう意味でも、文部科学省が一丸となって改善に取り組む意識が高まってきたというところでございます。
〔 吉野分科会長 〕どうも今日はありがとうございました。
やはりこれから秋にかけて、非常にスケールの大きな話も含めて、是非ここでいい成長戦略が立てられれば一番いいですし、財投のあり方に関しても大きな流れの中で、これからも議論していただきたいと思います。
今日の分科会の状況につきましては、この後、事務局のほうから記者会見をしていただきますとともに、後日、インターネットなどで公表する予定でございます。
今日はご多忙のところご参集いただきありがとうございました。これで終了させていただきます。
