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  1. 開会
  2. 中華人民共和国産電解二酸化マンガンに対する不当廉売関税の課税期間の延長
  3. 閉会

出席者
特殊関税部会長 河野 真理子 財務省 江島関税局長
委員 片山 銘人 山崎審議官
古城 佳子 内野審議官
杉山 晶子 奈良井総務課長
高橋 裕子 吉田関税課長
田村 善之 濱口特殊関税調査室長
根本 敏則 澤藤事務管理室長
野原 佐和子 経済産業省 曽根貿易経済協力局貿易管理部
三石 誠司 特殊関税等調査室長
森田 朗 濱坂製造産業局素材産業課企画官
専門委員 阿部 克則
石黒 憲彦
末冨 純子
藤岡 博
宮島 香澄
村上 秀徳

 

本稿は、令和6年1月29日の関税・外国為替等審議会 関税分科会 特殊関税部会の議事録です。

 

午前10時00分開会

河野部会長 ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会特殊関税部会を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、御多用のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと存じます。

 本日の議題は、お手元の議事日程のとおり、「中華人民共和国産電解二酸化マンガンに対する不当廉売関税の課税期間の延長」についてでございます。

 本件につきましては、資料1のとおり、「不当廉売関税を課する期間の延長について」、財務大臣から当審議会に諮問がなされております。これを受けまして、本件が当部会に付託されております。したがいまして、本件につきましては、委員の皆様方に御審議をいただいた後に答申の取りまとめを行いたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、「電解二酸化マンガン産業の現状」につきまして、経済産業省素材産業課、濱坂企画官より御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

濱坂製造産業局素材産業課企画官(経済産業省) 経済産業省素材産業課の濱坂でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、私のほうから、資料2-1に基づきまして、電解二酸化マンガン産業の現状についてお話しさせていただきたいと思います。

 次のページをお願いします。まず、電解二酸化マンガンですが、上の四角の右のほうに外観というのがあると思います。こういった粉末状、灰黒色のものを電解二酸化マンガン、EMDと呼んでおります。このEMDですが、マンガン鉱石を溶解させ、電解といったプロセスを経て製造しており、日本では宮崎県の東ソー日向が国内で唯一の生産拠点となってございます。こちらのほうを東ソー本体が買い取り、そこから販売する、このような商流となってございます。

 このEMD、用途といたしましては、電池ということになります。まず1つ目、一次電池、放電のみの端的に申し上げれば使い切り型の電池になりますが、こちらの材料で使われているのと、二次電池、充電を行って繰り返し使うもの、こちらのほうでも使われておりまして、特に停電時のバックアップとしての蓄電池として期待されているところでございます。

 次のページをお願いします。産業の現状でございますが、我々物資所管課といたしましては、重要な基幹部材の1つと考えてございます。

 具体的な理由でございますが、まず、今回、1月1日に能登半島の地震がございましたが、こういった震災のときに、乾電池の需要が被災地で求められているところでございます。今回、救援物資として乾電池を企業の協力を得て御提供させていただいておりますが、現地では、懐中電灯であったり、避難所のランタンであったり、さらにはスマートフォンの充電器、こういった用途で使われてございます。こういったものを速やかに御提供するために、原料の国内生産拠点を日本の中に置くことが非常に重要かと考えてございます。

 また、昨今電気自動車、様々な二次電池の競争が起きているところでございます。二次電池には専ら、コバルト・ニッケルというものも使われてございますが、いずれもサプライチェーン上資源確保というところで不安視もされているところ、安定して供給できるこのマンガンが非常に重視されているところでございます。今後様々な用途で二次電池が使われると想定されているため、日本の国内に生産拠点を置くこと、これもまた重要かと考えてございます。

 一方で、中国産のEMDの価格を引合いに出されるという状況もございますので、経済産業省といたしましては、課税措置の延長をすることにより、国内拠点を保護する、このような必要性を感じているところでございます。

 私のほうからは以上でございます。

河野部会長 ありがとうございました。

 引き続きまして、「中華人民共和国産電解二酸化マンガンに対する不当廉売関税の課税期間の延長」につきまして、濱口特殊関税調査室長より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

濱口特殊関税調査室長 ありがとうございます。特殊関税調査室長の濱口でございます。

 それでは、資料2-2について御説明させていただきます。

 まず1ページ目でございます。本件調査に係る課税手続、調査手続の流れを整理したものでございます。

 本件調査につきましては、昨年1月に、東ソー日向株式会社及び東ソー株式会社から課税期間の延長を求める申請があったものでございまして、同年3月から調査を開始しております。

 また、同年11月には、最終決定となる重要な事実を利害関係者に対して開示をいたしました。これによりまして、利害関係者から反論等の意見表明の機会を設けているところでございます。また、こういった手続を経まして、資料2-3のとおり調査結果報告書を取りまとめているところでございまして、本日の部会で御審議をお願いしているものでございます。

 次のページをお願いします。本件課税措置の現状でございます。本件は、中国産電解二酸化マンガンに対して、平成20年9月から不当廉売関税を課しているものでございまして、現状の課税期間は本年の2月までとなっております。

 また、調査対象貨物の概要につきましては、先ほど経済産業省のほうから御説明させていただきましたとおりでございます。

 次に、調査内容でございますが、本件においては、関税定率法に規定されております課税期間の延長要件、具体的には、不当廉売された貨物の我が国への輸入の再発のおそれ及び当該不当廉売輸入による本邦産業への損害等の再発のおそれ、それぞれの要件の有無について調査を行っております。

 また、これらの要件充足の有無を認定するための調査対象期間はそれぞれ記載のとおりとなっているところでございます。

 次に、3ページ目を御覧ください。不当廉売された貨物の我が国への輸入の再発のおそれに関して、調査により判明した事実の概要でございます。

 まず本件におきましては、調査対象貨物の我が国への輸入は実質的に停止していますので、不当廉売の現状を調査するため、中国から第三国への輸出価格と正常価格を比較しました。この結果、中国から第三国への輸出価格が正常価格よりも低いということが認められたところでございます。

 また、中国の供給者には、相当程度の余剰生産能力があること、将来の生産能力の増強が見込まれること、また、課税期間満了後に調査対象貨物の輸入もしくは購入等の可能性があることを認める我が国の輸入者等が存在するということが判明いたしました。

 また、ここに書いてありますが、余剰生産能力を全て吸収できるような国内市場も海外市場も存在しないということも認められております。

 以上のことから、不当廉売された貨物の我が国への輸入が不当廉売関税の課税期間満了後に再発するおそれがあると認定しているところでございます。

 次に、4ページを御覧ください。本邦産業の損害の再発のおそれに関して、調査により判明した事実の概要でございます。

 まず、本邦産業の状況ですが、調査対象期間中、本邦産品の売上高及び営業利益が増加したことにより一定の改善が見られているところでございます。また、その一方で、電力料金等の製造コストが上昇した直近におきましては、製造原価率が悪化しているという状況も見られたところでございます。

 次に、損害再発のおそれですが、中国産電解二酸化マンガンの輸出価格は、直近の令和4年を除きまして、調査対象期間中、国産品の価格を下回っておりました。令和4年に中国産品の価格が上昇した要因ですが、中国の供給者が生産調整を行うために稼働率を下げた結果、需要に応じた供給が行われていないという状況が生じたためであったということが判明しております。

 このような中、中国の供給者は、余剰生産能力の吸収先を探さざるを得ないという状況にありますので、仮に現行の不当廉売関税の課税が終了した場合、輸出が容易になった我が国に対しまして、稼働率を上げて、国産品の価格を下回る価格で輸出を再開する可能性が高いものと考えております。

 この場合、本邦産品は中国産品との競争に直面しまして、販売量の減少による利益の減少等の影響を受けることになりまして、事業の継続が危うくなるという可能性も否定できないものと考えております。

 以上のことから、不当廉売された貨物の輸入の本邦産業に与える実質的な損害等の事実が不当廉売関税の課税期間終了後に再発するおそれがあると認定したところでございます。

 次のページを御覧ください。先ほども触れましたが、昨年11月に、今し方御説明差し上げました調査により判明しました内容を含む最終決定の基礎となる重要な事実、これを重要な事実の開示としまして、利害関係者に対して通知をいたしております。

 これは、参考部分にもございますが、WTO協定の規定にもありますように、本件の利害関係を有する者に自己の利益を擁護する機会を与えるためのものでございまして、調査内容に対する反論等の意見表明の機会を設けているものでございます。

 当該重要事実の開示の結果でございますが、次の6ページ目を御覧ください。結論としまして、この重要事実の開示に対し、利害関係者からの特段の反論はなかったところでございます。

 このことから、調査当局の結論としまして、この不当廉売された貨物の輸入及び当該輸入の本邦産業に与える実質的な損害等の事実が、不当廉売関税の課税期間満了後に再発するおそれがあると認定したところでございます。

 以上を受けまして、最終決定の案でございますが、課税期間を延長することが適当であり、期間はWTO協定及び法令で認められました期間内であります5年間とさせていただきたいと考えているところでございます。

 私からの説明は以上でございます。

河野部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明につきまして、御質問、御意見等を頂きたいと存じます。いかがでございましょうか。

杉山委員 御説明いただきましてありがとうございました。

 資料に基づきますと、不当廉売の再発の可能性は極めて高いと判断せざるを得ないと思いました。また、利害関係者からの反論の提出がなかったということですので、原案に賛成でございます。全く異論はございません。

 そこで、質問と意見が一つずつございます。

 質問ですが、これまでの調査において、従来から何か変化が見られた点があったのかどうか。もし何か変化が見られた点があったら御教示いただきたいというのが質問でございます。

 そして、意見のほうですが、こちらは、今後素材開発などを含めた研究開発の側面から、次世代電池開発を支援するような対策を検討していく必要があるのかなと思いました。

 意見、また感想でございます。以上です。ありがとうございました。

河野部会長 ありがとうございました。ただいまの御質問1点と、コメントにつきまして、いかがでしょうか。何かお答えはございますでしょうか。よろしくお願いいたします。

濱口特殊関税調査室長 ありがとうございます。

 まず、中国産電解二酸化マンガンの輸入の状況でございますが、これは、課税が始まった当初から比べて減少しておりまして、直近においては事実上停止している状況でございます。これは、不当廉売関税の課税が効果を発しているということであると考えております。

 それから、産業の状況ですが、こちらも不当廉売関税の課税をして、中国産の輸入が事実上停止している状況にありまして、経営状況の改善が見られるという状況であると考えております。

濱坂製造産業局素材産業課企画官(経済産業省) 御意見の2つ目に回答させていただきます。

 素材開発の重要性、まさしく先生がおっしゃるとおりでございます。個社情報になりますので具体的には申し上げられませんが、今後蓄電池が電気自動車等の様々な場面で使われるという競争が今始まっているところでありまして、申請企業としては、積極的に今後の市場開発、こういったことを見据えて研究開発を念頭に置いているところであります。御意見ありがとうございます。

杉山委員 ありがとうございました。

河野部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでございますか。オンライン参加の先生方もよろしゅうございますでしょうか。

 ほかに特に御質問等ございませんようですので、答申の取りまとめを行わせていただきたいと思います。

〔答申書案配付、オンライン画面に表示〕

河野部会長 お手元の答申案を御覧ください。内容を御確認いただけましたでしょうか。お手元の答申案につきまして、御質問、御意見等はございますでしょうか。

 特に御質問、御意見等がございませんようでしたら、本部会として、本案のとおり決定することとしたいと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。

〔異議なし〕

河野部会長 ありがとうございます。それでは、御異議がございませんようですので、「中華人民共和国産電解二酸化マンガンに対する不当廉売関税の課税期間の延長」につきまして、当部会といたしまして答申案どおり決定することとし、これをもって関税・外国為替等審議会としての答申といたしたいと存じます。

 以上をもちまして、本日の特殊関税部会を終了いたします。本日は御多用のところ御出席を賜りまして、誠にありがとうございました。

午前10時17分閉会