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  1. 開会
  2. 大韓民国産炭酸カリウム(炭酸二カリウム)に対する暫定的な不当廉売関税の課税の決定に係る報告
  3. 大韓民国産炭酸カリウム(炭酸二カリウム)に対する不当廉売関税の課税
  4. 閉会

出席者
特殊関税部会長 佐藤 英明 財務省 源新審議官
委員 河野 真理子 小宮審議官
古城 佳子 渡部総務課長
高橋 裕子 中澤関税課長
田村 善之 河西参事官
根本 敏則 加藤参事官
野原 佐和子 福田監視課長
春田 雄一 奈良井業務課長
三石 誠司 米山調査課長
森田 朗 鈴木事務管理室長
専門委員 阿部 克則 加藤特殊関税調査室長
佐々木 伸彦 鈴木税関調査室長
末冨 純子 井田経済連携室長
藤岡 博 経済産業省 三輪田貿易経済協力局貿易管理部特殊関税等調査室長
宮島 香澄 小林製造産業局素材産業課企画調査官
村上 秀德

 

本稿は、令和3年6月8日の関税・外国為替等審議会 関税分科会 特殊関税部会の議事録です。

 

午前10時00分開会

佐藤部会長 ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会特殊関税部会を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ御参加くださり、ありがとうございます。

 なお、本日は私を含めて全員がオンラインでの参加となっております。

 それでは、本日の議事に入らせていただきます。本日の議題は、議事日程のとおりでございます。

 まず、最初の議題である「大韓民国産炭酸二カリウムに対する暫定的な不当廉売関税の課税の決定に係る報告」について申し上げます。この暫定的な課税については、緊急に議決を経る必要がありましたことから、本年2月下旬から3月上旬にかけて持ち回りにより委員の皆様に御審議を頂きました。

 審議の結果、原案のとおり決定することとなりました。

 関税・外国為替等審議会議事規則第3条第2項及び同第8条第2項に基づき、改めて御報告をさせていただきます。

 この持ち回り審議の件につきましては、次の議題とも関連いたしますことから、御質問、御意見等がございますようでしたら、次の議題の説明後に併せてお受けしたいと存じます。

 次に、2番目の議題である「大韓民国産炭酸二カリウムに対する不当廉売関税の課税」に移ります。

 本件につきましては、資料1のとおり、不当廉売関税の課税について財務大臣から当審議会に諮問がなされております。これを受けて、本件が当部会に付託されております。したがいまして、本件につきましては、委員の皆様方に御審議いただいた後に答申の取りまとめを行いたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、炭酸カリウム産業の現状につきまして、経済産業省製造産業局素材産業課、小林企画調査官より御説明をお願いしたいと存じます。

小林製造産業局素材産業課企画調査官(経済産業省) 業界を所管する立場であります経済産業省素材産業課企画調査官の小林でございます。私からは炭酸カリウムという物質について御説明申し上げます。

 まず、資料2-1の1ページを御覧いただきたいと思います。炭酸カリウムは、一般的には、写真にありますように、白い粉末状の固形品とその他、水に溶解させた無色の液体品がございます。基礎的な化学品としまして広範な製品に使用される物質です。

 具体的な用途としましては、資料の下段にございますが、写真にも示した液晶パネル用のガラス基板が挙げられます。これは、ガラス原料に炭酸カリウムを投入いたしまして、溶融性や透明性、光沢性などを高めているもので、高精細な高い品質レベルが要求されるガラス類の製造原料として使用されるものでございます。また、そのほかにも中華麺に添加するかんすいの原料、自動車用ブレーキパッドの原料、衣料品・食器用洗剤の原料などに幅広く使用されております。

 次に、炭酸カリウムの製法について、資料上段にて御説明申し上げます。まず、塩化カリウムを溶解した水を電気分解することにより水酸化カリウムを発生させます。これを炭酸ガスと反応させることにより炭酸カリウムが生産されます。我が国の炭酸カリウムの生産者は2社となっております。

 続いて、炭酸カリウムの産業について、資料2ページにて御説明申し上げます。現状、炭酸カリウムの生産国は、中国、韓国、アメリカなどです。このうち特に韓国は世界最大の輸出国となっております。我が国においても韓国産の輸入量が増加しまして、国内需要量に占める市場占拠率は拡大してきております。炭酸カリウムの国内市場が縮小傾向にある中、韓国産の輸入品が国産品のシェアを奪い、その輸入量を維持したことにより国産品の国内販売量及び市場占拠率は減少傾向にあります。

 前述のとおり、炭酸カリウムは幅広い分野で使用される基礎化学品です。仮に不当廉売された韓国品の輸入が続けば、国内産業に必要な炭酸カリウムを輸入品に大きく依存することになり、輸入品による価格支配が生じるなど川下産業を含めたサプライチェーン全体にも悪影響を及ぼすおそれがございます。

 実際に国内生産者2社は、安価な韓国品の輸入品の影響により、製造費用の増加に見合った価格設定ができず、利潤が著しく悪化するなどの損害を被っております。我が国の幅広い産業において必要とされる炭酸カリウムについて、これ以上の悪影響及び損害を防ぐためにも確定措置の発動による保護の必要があると考えております。

 以上でございます。

佐藤部会長 ありがとうございました。

 引き続き、「大韓民国産炭酸二カリウムに対する不当廉売関税の課税」につきまして、加藤特殊関税調査室長より説明をお願いいたします。

加藤特殊関税調査室長 財務省、特殊関税調査室長の加藤でございます。

 私からは資料2-2「大韓民国産炭酸カリウムに対する不当廉売関税の課税」に基づいて説明をさせていただきます。

 まず1ページ目、こちらは調査の概要等を記載しております。調査対象貨物につきましては、先ほど経済産業省から説明があったとおりでございます。

 確認になりますが、不当廉売関税の課税要件は、不当廉売された貨物の輸入の事実が認められ、当該輸入が本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が認められ、本邦の産業を保護するため必要があると認められることとなっております。

 次に、2ページ目でございます。こちらは調査・課税手続の流れをお示ししております。昨年4月に課税の求めがなされたことを受けまして、昨年6月に調査を開始いたしました。調査を進めまして、本年2月に不当廉売輸入の事実と不当廉売輸入による本邦産業の実質的な損害の事実が推定されるに至りましたので、仮の決定を行いまして、先ほど佐藤部会長から御報告いただきましたとおり、暫定措置の発動について特殊関税部会で持ち回りで御審議、御決定いただいたところでございます。その後、政令の閣議決定・公布を経て、3月25日から暫定的な不当廉売関税の課税が行われているところでございます。

 資料の色つきの部分が前回の特殊関税部会以降の調査の進展となりますが、調査当局は、仮の決定について利害関係者から提出されました反論等を検討した上で、利害関係者に対して最終決定前の重要事実の開示を行いました。こちらにつきましても、利害関係者から提出されました反論等を改めて検討いたしまして、最終的に、資料2-3のとおり、調査結果報告書の取りまとめに至りました。この調査結果を受けまして、暫定措置を確定措置に切り替えることについて本日お諮りさせていただいているところでございます。

 3ページ目を御覧ください。こちらは、仮の決定に対して利害関係者から提出された反論と、それに対する調査当局の見解を整理しております。反論は韓国の供給者からのもので、大きく分けて5点になります。

 1点目は、供給者の特定の製品について、調査対象となっている製品とは異なるものであるとして調査対象から除外することを求める主張ですが、両製品の間には有意な差異を認めることはできず、調査対象から除外すべき理由はないと判断しております。

 2点目は、不当廉売輸入の事実の認定において用いる正常価格に関係した主張となります。まず、韓国国内市場の特殊性に鑑みて、原則的な方法である、韓国国内における販売価格ではなく、韓国から第三国への販売価格を正常価格とすべきという主張がございましたが、調査当局としては、韓国国内の炭酸カリウム市場が供給国内の販売価格を正常価格とするという原則の適用を不適当とするような特殊な状況にあるとは認められないと判断しております。また、正常価格と輸出価格との比較を行う際の製品の区分に関する主張もございましたが、そのような区分を行うほどの差異が認められませんでしたので、正常価格の算出方法、正常価格と輸出価格との比較方法を変更する必要はないと判断しております。

 3点目は、不当廉売輸入による損害の事実の認定における国内販売価格の比較についての主張となりますが、調査当局としては、推計値による比較ということは行っておらず、韓国産については輸入者から得られた実際の国内販売価格、日本産については本邦生産者から得られた実際の国内販売価格を用いて、販売段階をそろえた上で比較を行っており、その旨を報告書に明記しております。したがいまして、この主張も当たらないと判断しております。

 4点目は、不当廉売輸入と国内産業の損害との間の因果関係に関して、国内産業の損害は韓国産品の不当廉売輸入によるものではなく、日本国内における消費パターンの変化によるものではないかという主張ですが、先方が再検討を求めている資料は、本邦生産者のうちの1社が事業構造改革の実施の決定に至る過程で今後の需要見通し等を検討したことが記載されているにすぎないことから、調査対象期間における消費パターンの変化に関する証拠には該当しないと判断しております。

 5点目は、因果関係に関するその他の主張となります。まず、施設の維持・更新費用につきましては、調査当局としては、本邦生産者に対する現地調査での確認結果を基に、設備投資が通常見込まれる範囲内、すなわち生産水準を維持するために必要とされる定期的な設備の維持・更新の範囲内であると判断し、中間報告書においても明示しております。したがいまして、この主張は当たらないと判断しております。また、本邦生産者のうちの1社が事業からの撤退理由において不当廉売輸入に関して言及していないとの主張につきましては、そのような具体的な言及がないことをもって不当廉売輸入と損害との因果関係を否定する証拠とはならないと判断しております。

 以上のとおり、調査当局としては、仮の決定における判断を変更する必要はないと判断し、次の段階の手続であります重要事実の開示を行っております。

 重要事実の開示につきましては、4ページ目になりますが、4月8日に全ての利害関係者に対して、最終決定の基礎となる重要な事実――具体的には、仮の決定において通知した事項に、先ほど御説明した仮の決定に対する反論等、及び、それらに対する調査当局の見解を加えたものを通知いたしまして、改めて反論等の機会を与えております。

 これに対しまして、5ページ目となりますが、韓国の供給者から反論の提出がございましたが、この反論は、先ほどの仮の決定に対する反論と同様の内容のものであり、改めて検討いたしましても、やはり重要事実の内容を変更する必要は認められませんでしたので、不当廉売された貨物の輸入の事実及び不当廉売された貨物の輸入が本邦産業に与える実質的な損害等の事実に関する事実認定が確定されるに至ったところでございます。

 6ページ目を御覧ください。こちらは、前回、暫定措置について御審議、御決定いただいた際の資料と基本的に同じものとなりますが、確認されました不当廉売された貨物の輸入に関する事実をお示ししております。韓国から日本への輸出価格が正常価格であります韓国の国内における販売価格よりも低くなっており、算出された不当廉売差額率は33.29%となっております。

 7ページ目を御覧ください。こちらも前回の資料と基本的に同じものになりますが、確認されました不当廉売輸入によって営業利益の減少といった実質的な損害が本邦産業に生じている事実をお示ししております。

 最後、8ページ目となります。結論といたしまして、調査の結果、不当廉売関税の課税要件を満たしていることが確認されましたので、今般、暫定税率と同率の30.8%の不当廉売関税を確定措置として課すことにつきましてお諮りさせていただくことになりました。

 私からの説明は以上となります。

佐藤部会長 ありがとうございました。

 ただいまの御説明及び持ち回り審議の件につきまして、御意見、御質問を頂戴したいと存じます。御質問等ございましたら、挙手ボタンを押していただいた上で、可能であればチャットに書き込みをお願いいたします。どうぞどなたからでも御発言ください。この2つの件について、御意見、御質問はありませんでしょうか。

 特に御意見、御発言がないということで、よろしゅうございますか。

 それでは、御意見、御質問等ございませんようでしたら、本部会としては本案を御提案のとおりに決定することといたしたいと存じますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

佐藤部会長 ありがとうございます。

(答申案、オンライン画面に表示)

佐藤部会長 御異議がございませんようですので、大韓民国産炭酸二カリウムに対する不当廉売関税の課税につきまして、当部会といたしまして、答申案どおり決定することとし、これをもって関税・外国為替等審議会としての答申といたしたいと存じます。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

佐藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。

 本日は、御多用のところ御参加くださり、本当にありがとうございました。

午前10時16分閉会