関税・外国為替等審議会関税分科会特殊関税部会(平成25年8月2日)議事録
本稿は、平成25年8月2日の関税・外国為替等審議会関税分科会特殊関税部会の議事録です。
○櫻井部会長それでは、まだお揃いでないようですけれども、時間が参りましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会特殊関税部会を開催いたします。
委員の皆様方には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
議事に入ります前に、新たに当部会のメンバーになられました委員の御紹介をさせていただきたいと思います。
中里実委員でございます。
○中里委員中里でございます。よろしくお願いいたします。
○櫻井部会長当部会の委員名簿につきましては、資料の1としてお手元にお配りしてございますので、御確認いただければと思います。
次に、事務局に人事異動がございましたので、宮内関税局長より一言御挨拶をいただきます。
○宮内関税局長関税局長の宮内でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、委員の先生方におかれましては大変御多忙のところ御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。
また、委員の皆様方におかれましては、常日ごろから御指導を賜っておりますことを改めて心から御礼申し上げる次第でございます。どうもありがとうございます。
本日は、米国のバード修正条項に対する報復関税について御審議をいただきたいと思います。本件は、平成17年に発動して以来これまで7回延長してまいりました。今回は、8回目の延長について御審議をいただければと存じます。また、昨年6月に開始いたしましたインドネシア共和国産カットシート紙に係る不当廉売関税の調査結果についても御報告をさせていただきたいと思います。
それでは、事務局を紹介させていただきます。
皆様方から向かいまして、私の右側でございますが、関税局担当審議官の後藤でございます。
○後藤審議官後藤です。よろしくどうぞお願いいたします。
○宮内関税局長関税課長の山名でございます。
○山名関税課長山名でございます。よろしくお願いいたします。
○宮内関税局長特殊関税調査室長の水谷でございます。
○水谷特殊関税調査室長水谷でございます。よろしくお願いいたします。
○宮内関税局長業務課長の高見でございます。
○高見業務課長高見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮内関税局長続きまして、皆様方から向かいまして私の左側でございますが、関税局担当参事官の松村でございます。
○松村参事官松村でございます。
○宮内関税局長総務課長の柴アでございます。
○柴ア総務課長柴アでございます。よろしくお願いします。
○宮内関税局長経済連携室長の金森でございます。
○金森経済連携室長よろしくお願いいたします。
○宮内関税局長また、本日、経済産業省の方々にも御出席をいただいております。引き続き私より紹介をさせていただきます。
左のほうでございますが、通商政策局通商機構部、小野寺参事官でございます。
○小野寺参事官(経済産業省)経済産業省の小野寺と申します。よろしくお願いいたします。
○宮内関税局長貿易経済協力局貿易管理部、太田特殊関税等調査室長でございます。
○太田特殊関税等調査室長(経済産業省)太田でございます。よろしくお願いいたします。
○宮内関税局長製造産業局、渡邊紙業服飾品課長でございます。
○渡邊紙業服飾品課長(経済産業省)よろしくお願いいたします。
○宮内関税局長以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○櫻井部会長ありがとうございました。
それでは、本日の議事に入らせていただきたいと存じます。
本日の議題は、お手元にお配りしてございます議事日程のとおりでございます。
米国におけるバード修正条項に対する報復関税の賦課の継続につきましては、資料2を御覧いただければと思いますが、そちらに書いてございますとおり、財務大臣から当審議会に諮問がなされております。これを受けまして、伊藤会長及び小寺関税分科会長より本件が当部会に付託されておりますので、本日、本件につきまして委員の皆様方に御審議をいただきまして、その後に答申の取りまとめを行いたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず本件につきまして、経済産業省の今御紹介いただきました小野寺参事官より御説明をお願いいたします。
○小野寺参事官(経済産業省)部会長、ありがとうございます。経済産業省通商機構部、小野寺でございます。
それでは、資料3−1に沿って説明をさせていただきます。
1.のところですが、「バード修正条項」、英語名称はContinued Dumping and Subsidy Offset Act of 2000でございますが、バード修正条項とは、米国政府が外国企業から徴収したダンピング防止税及び相殺関税による収入を、アンチダンピング措置等を提訴または提訴を支持した米国内の生産者等に分配するという内容でございます。これはそういう性質のために、俗称「山分け法案」というふうに呼ばれておりました。
同条項には2つ問題がございまして、(a)米国内生産者によるアンチダンピング措置等の提訴や支持が助長されるという点のほか、(b)輸入品に対するアンチダンピング税等の賦課に加え、徴収したアンチダンピング税等の分配により米国内生産者が不当に二重に保護されるといった懸念が存在しました。
そういうことでありまして、同条項について、我が国がEC等10カ国・地域とともにWTOに提訴した結果、2003年1月にWTO協定違反が確定しました。
その内容というのは(注)にございますが、上記@の分配は、ダンピング防止協定第18条1で許容されるダンピング防止措置及び補助金協定第32条1で許容される対補助金措置に該当しない措置として、WTO協定違反になったということでございます。
2.「我が国の報復関税の経緯について」、次に説明をいたします。
@ですが、米国が履行期限内にWTO紛争解決機関の勧告を履行しなかったことを受けて、2005年、我が国、EC、カナダ、メキシコは、バード修正条項の撤廃を促すため、対抗措置として、米国からの輸入品に対して報復関税を賦課することといたしました。
具体的には、我が国は、2005年9月1日より、米国から輸入される玉軸受け等15品目(ベアリング7品目、鉄鋼製品3品目、航空用機器、機械部品、印刷機、フォークリフトトラック、工業用ベルト各1品目)について15%の追加関税を賦課し、2006年9月及び2007年9月に当該措置を延長いたしました。
Bです。2007年度の同条項に基づく分配額が大幅に減少したことに伴い、対抗措置の上限額が減少したため、2008年9月には対象品目及び税率の見直しが必要となりました。対象品目は、当初から追加関税の対象としてきた15品目のうち、同条項による分配額が多いこと、米国以外からの輸入代替が可能であること等の観点からベアリング2品目に絞り込み、同時に税率を10.6%に変更した上で、対抗措置を1年間延長いたしました。
2008年、2009年、2010年の各年度においても、分配額及び対抗措置上限額の減少に伴い、対象品目はベアリング2品目に維持しつつ、2009年9月には税率を9.6%、2010年9月には税率を4.1%、2011年9月には税率を1.7%に変更した上で、対抗措置をそれぞれ1年間延長いたしました。
2011年度は、さらに分配額及び対抗措置上限が減少したことに伴い、ベアリング1品目に絞り、税率を4%に変更した上で、2012年9月に対抗措置を1年間延長いたしました。
ちなみに、(注)にございますが、WTOの仲裁によって、対抗措置の内容というのは明確に決まっておりまして、我が国の対抗措置の上限額は直近の分配額に0.72を乗じた額ということにされております。我が国の対抗措置もそれに沿った形になっております。
3.「米国の動向」です。
@2006年2月8日、米国においてバード修正条項を廃止する旨の規定を含む2005年赤字削減法が成立しました。
しかし、同法には、2007年10月1日より前に通関された産品に係るアンチダンピング税等については、バード修正条項に基づき分配を行う旨の経過規定が定められており、実際には分配が当分継続されることとなっております。
(注)にありますが、米国内の裁判手続等の理由により、通関から分配の実施までにかなりの時間を要する場合もあるということでございまして、いまだに一部残っているわけでございます。
4.「我が国の評価と今後の対応」でございます。
我が国は、ほかの申立国とともに米国政府に対して同条項の撤廃を強く求めてきたところ、同条項の廃止法が成立したことは、我が国の求めに沿った進展であると評価しております。
しかし、上記3.Aのとおり、経過規定によって、徴収されたアンチダンピング税等の分配が今後も当分継続されている点は遺憾であり、我が国は速やかな分配の停止を求めてきたところであります。
Bまた、WTO協定上違反と判断された根拠は、同条項に基づき外国企業から徴収したアンチダンピング税及び相殺関税による収入が米国内の生産者等に分配されることにあり、したがって、形式的にバード修正条項が廃止されたとはいえ、経過措置規定により同条項に基づく分配が続く限り、協定違反の状態が継続していることになると。
Cそのため、我が国としては、報復関税賦課措置を維持することにより、米国に同条項を完全に廃止して分配を停止し、WTO協定違反の状態を速やかに解消するよう、引き続き強く促していく必要があります。
一方、2012年度は、経過措置に基づく分配額に加え、分配適格を裁判で争っていたために、2006年以来「留保」されていた約81.5億円分が分配されたことに伴い、我が国に係る分配額は大幅に増加いたしました。今年度の対抗措置の上限額は約58.6億円と大幅に増加になったことから、現行の報復関税賦課措置の調整が必要となりました。
参考1の表を見ていただければ、2008年、2009年、2010年、2011年と、ずっと日本の分配額のラインについては下がっていることがわかるんですが、2012年だけ2006年ごろの水準にまた戻ったということがお分かりになると思います。
参考2でございます。我が国に係る分配額と対抗措置の上限額の推移も分配額に比例しておりますので、同様に2011年にかけて下がっていたものが2012年に大幅に増加しているという形になっております。
参考3でございます。ほかの報復関税賦課国の対応でございますが、ECは、2013年5月からは我が国と同様に留保分の分配に伴い、前年度からの分配額が大幅に増加したため、前年度の対象3品目に1品目を追加した4品目に対して26%の追加関税を賦課し、措置を継続しております。ちなみに、昨年度は3品目に対して6%の追加関税でございました。したがって、ECも大幅に分配額が増加したため、今年も増加しているという形になっています。
カナダ、メキシコにつきましては、それぞれNAFTAの関係で現在は分配は行っておりません。
以上、説明でございます。
○櫻井部会長ありがとうございました。
引き続きまして、諮問の内容を含め、本件報復関税措置の具体的内容につきまして、山名関税課長より御説明をお願いしたいと思います。
○山名関税課長山名でございます。よろしくお願いします。
まず、お手元の資料2を御覧ください。先ほど櫻井部会長のほうからも御紹介いただきましたが、麻生財務大臣から、関税・外国為替等審議会の伊藤隆敏会長宛ての諮問書でございます。アメリカ合衆国におけるバード修正条項に対して報復関税を課することについて、法令(関税定率法6条1項)に基づき諮問するものでございます。
伊藤会長及び小寺分科会長から当特殊関税部会に付託がなされておりまして、本日、ここに御審議、御答申をお願いするものでございます。
それでは、今回の対抗措置の基本的考え方及び具体的内容につきまして、資料3−2に従って御説明申し上げます。
資料3−2の1ページを御覧ください。まず、基本的考え方でございます。昨年、1年間の継続を決定した米国バード修正条項に対する報復関税に関する政令が、本年8月31日に期限切れとなります。一方、先ほど経済産業省からの説明にもありましたけれども、米国においてバード修正条項の廃止法は成立しているものの、同法の経過措置によりまして、WTO協定違反認定の根拠となった関税収入の分配は引き続き継続しているということでございまして、米国はWTOの勧告を履行する義務を果たしていないという状況でございます。
このような状況の中、バード修正条項による日本産品に係る直近年の分配額は、先ほど経済産業省からの説明にもございましたけれども、過去の留保額から分配された額を含めると大幅に増加するということから、WTOが承認した対抗措置の規模の範囲内で報復関税の内容を見直す必要がございます。
我が国としては、報復関税の課税対象品目及び税率について必要な変更を施した上で、本報復関税を1年延長することが適当と考えているところでございます。
次に、具体的内容でございます。
まず、分配額の推移につきましては資料の3ページ目を御覧ください。上のほうに表と、それから下に折れ線グラフがございますけれども、バード修正条項に基づく分配額の推移をあらわしたものでございます。御覧いただきますように、分配額は年々減少傾向が続いておりましたけれども、2012米国財政年度での分配額は81.5億円と大幅に増加しております。これは、2006から2010米国財政年度に留保されていた金額が一気に分配されたためでございます。
次に、対抗措置の規模でございます。資料の4ページを御覧ください。下のほうに不等式がございますけれども、WTOの仲裁におきまして、右辺にございます我が国の報復関税賦課による米国から我が国への輸入減少推計額が、左辺にありますバード修正条項による分配に伴って生じる我が国から米国への輸出減少推計額を上回らないようにすることとされております。
この左辺の部分は、バード修正条項による我が国産品に係る直近年の分配額に、WTOの仲裁で決定された価格弾性係数0.72を乗じた額とされております。直近年の分配額は81.5億円でございますので、これに0.72を乗じて得られる58.6億円が対抗措置の上限額ということになります。
この対抗措置の規模の拡大に伴いまして、対象品目及び税率の見直しを行う必要がございます。本対抗措置での品目選定の方法につきましては、資料の5ページを御覧ください。課税対象品目は、平成17年の本報復関税発動当初、当部会でお決めいただいた基準に基づいて選定いたしました。具体的には、平成16年にWTO紛争解決機関に承認された371品目の中から、まずバード修正条項によりまして米国の生産者に対して分配がなされた品目を選定し、そのうち米国からの輸入額が1億円未満のもの及び輸入代替可能性がないものを除きましたベアリング、鉄鋼製品の計13品目を対象品目として選定いたしました。
税率の見直しにつきましては、資料の4ページ目にお戻りください。先ほど御覧いただいた不等式の右辺におきまして、選定した13品目の発動前の輸入額が全体で120.1億円になりますけれども、価格弾性係数がありますので、58.6億円という上限額との関係で計算いたしますと、追加関税率は17.4%となるということでございます。
資料の1ページ目にお戻りいただければと思いますが、具体的内容の(1)、(2)、(3)にただいま御説明いたしました対抗措置の規模、課税対象品目及び税率の記載がございます。
次に、(4)の適用期限でございます。本措置は1年間の時限措置とし、平成26年8月31日に期限切れとなるほか、その間、バード修正条項について米国がWTOの勧告を履行した場合には、速やかに本措置を終了するというものでございます。
最後に、資料の2ページでございますけれども、今回の報復関税の課税対象13品目を掲げた表でございます。ベアリング関係が9品目、鉄鋼関係が4品目となっております。
6、7、8ページ目は、関連の国内法、WTO協定の規定を参考添付したものでございます。
説明は以上でございます。よろしく御審議をお願いいたします。
○櫻井部会長ありがとうございました。
ただいまの事務局からの御説明につきまして、御質問、御意見等をいただければと思います。石毛委員、どうぞ。
○石毛委員アメリカで留保した収入額を今の時点でなおかつずっと配り続けているというのは、法律に書いてあるからやるんだよということなんだけれども、その前に、何でそんな法律が残った状態でずっと続いているのか、その背景を教えてください。
○小野寺参事官(経済産業省)それは米国内の話ではございますが、米国も、バード修正条項を廃止した前の時点では、アンチダンピング税を課す措置を始めたときには民間企業が国内措置として提訴してやっているわけですけれども、彼らはバード修正条項に基づいて申請をしていたということであるから、多分米国は国内法的には、そういうふうな申請に基づいてやった人たちに対しては、その分配は残さなきゃいけないというふうに考えたと推測されます。そこまで完全に彼らと話をしたわけではありませんが……。
ただ、我々としては、WTOの仲裁によりますと、前年の分配額に対して対抗措置を打つという形になっておりますし、WTOのパネル及び上級委員会の判断としては、分配のところがアンチダンピング税と併せて二重救済措置になっているところが違法であると言われているということから、このような対抗措置を課すということにしておるものであります。
○櫻井部会長よろしいですか。
○石毛委員よくわからないということがわかりましたという感じですね、正直に言いまして。なぜアメリカが引き続き本当に保護すべき対象の産業としてベアリング業を考えているのかというのは、よくわからないところですね。
○山名関税課長事務局から申し上げるのもあれかもしれませんけれども、アメリカも同じ話がNAFTAのほうで訴えられてやはり負けていまして、カナダ、メキシコに対する分配のほうはその後ゼロになっています。一方、WTOで負けて、日本、EUに係る分配を続けているということはちょっとどうかなと思うようなところもございますけれども、おそらく、国内的にそういう業界との関係の事情があるのではないかと推察されます。
○石毛委員ちなみに、ジュネーブとかそういう場所でしっかり詰めて、一体何でそうなっているんだということをやったことはあるんですか。ただ単にやめろと言うだけじゃなくて、一体なぜそういうことがジャスティファイされるんだと言ったことはあるんでしょうか。
○櫻井部会長いかがですか、小野寺参事官。
○小野寺参事官(経済産業省)ジュネーブのDSB(紛争解決機関)のほうで提起はしておりますが、結局、アメリカとしてはバード修正条項を廃止しただけで完全履行であるというふうに彼らは主張していて、我々は、分配が継続している限りにおいては履行されていないということで、平行線に終わっているという状況でありますので、その状況を受けて、我々としてはこういうふうな対抗措置をとるよということをWTOに報告して、行っているというものであります。
○石毛委員それはすごく変な話であって、アメリカのとっている措置が違反だというふうに我々は思っているし、それが正当化されているからこういう措置をとっているわけでしょう。ということは、アメリカの措置は違反だということなわけでしょう。それをジャスティファイってどうやっているのか、さっぱり理解できないですね。ここで議論することじゃないかもしれませんけれども、もう結構です。
○櫻井部会長わが国の国内行政の場合も、法律の本則だけ変えて、付則で当分の間旧法を適用するというような対応をとる場合があって、激変緩和措置というか、経過措置的なことはそんなふうにやられますよね。アメリカの国内状況ということではそんな感じなんですかね。
○小野寺参事官(経済産業省)あと多分、彼らとしては履行したというふうに言っていて、もちろん彼らとしては、我々のこの措置が違法だと考えるのであれば、我々の対抗措置に対してWTO上の協議要請をするということは可能なんですけれども、そこまではしていないわけです。これは、とどのつまりは、彼らも仕方がないと本当は思っているけれども、立場上、完全履行しているということを言い続けているというふうに理解しております。
○潮田委員日本側がこういうふうな対抗措置をやるのはまことにもっともな話なんですが、まだ大分そのお金というのは残っているんですか。毎年毎年これをやっているのも手間でしようがないなという気がするんですが。
○小野寺参事官(経済産業省)米国CBPが公表している資料から推測すると、今現在では、日本円で42億円ぐらいが残っているということでありまして、今年大幅にどんと出たわけで、この後どうなるかというのは、分配手続のスピードにもよるわけですけれども、長くないうちには分配はなくなるものと期待されております。
○櫻井部会長よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
よろしゅうございましょうか。それでは、さらにございませんようでしたら、これまでの審議の取りまとめを行いたいと存じます。事務局で用意いたしました答申案を配付させていただきます。
○櫻井部会長それでは、山名関税課長より答申案の朗読をお願いいたします。
○山名関税課長
(案)
平成25年8月2日
財務大臣 麻生 太郎 殿
関税・外国為替等審議会会長
伊 藤 隆 敏
答 申 書
平成25年8月2日付財関第831号をもって諮問のあった報復関税の課税について、本審議会の意見を下記のとおり答申する。
記
関税定率法第6条第1項の規定に基づきアメリカ合衆国におけるバード修正条項に対して報復関税を課することについては、諮問どおりに行うことが適当であると認める。
○櫻井部会長ただいまの答申案につきまして、さらに御質問、御意見等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、特にないようですので、当部会といたしまして、本案のとおり決定することとしたいと存じますが、よろしゅうございますか。
○櫻井部会長ありがとうございます。
それでは、御異議ございませんようですので、米国バード修正条項に対する報復関税賦課の継続につきましては、当部会といたしまして、この案のとおり決定することといたします。
なお、関税・外国為替等審議会議事規則第6条及び第7条の規定により、部会に付託された調査審議事項については、部会の議決をもって審議会の議決とするとされておりますので、これにより関税・外国為替等審議会として財務大臣に答申をいたしたいと存じます。
引き続きまして、「インドネシア共和国産カットシート紙に係る不当廉売関税の調査結果について」、水谷特殊関税調査室長より御説明をお願いいたします。
○水谷特殊関税調査室長水谷でございます。
インドネシア共和国産カットシート紙に係る不当廉売関税調査につきましては、昨年7月の当部会におきまして調査開始について御報告いたしましたところですが、本年6月に調査を終了いたしましたので、資料4−1に基づきまして御説明させていただきます。
まず、資料の1ページ目の「調査の経緯」のところでございます。昨年5月10日に、国内の製紙会社からインドネシア産カットシート紙に対する不当廉売関税の課税申請が提出されました。ここで、カットシート紙といいますのは、A4サイズなどにカットされましたコピー用紙などのことでございます。この課税申請の内容に基づきまして調査を開始すべきか否かを検討した結果、6月29日に調査開始を決定し、その旨を告示しております。
その後、7月及び11月に利害関係者等に質問状を送付いたしまして、調査に必要な客観的な証拠・情報を収集し、その回答、価格データを分析した上で、昨年12月から本年3月までの間に、インドネシアなどにおきまして現地調査を実施いたしました。
これらの調査結果を踏まえまして、4月12日にそれまでの調査結果を取りまとめました「決定の基礎となる重要事実」という文書を利害関係者に通知いたしまして、5月10日までの間、利害関係者に重要事実に対して反論を提出する機会を設けました。
その後、利害関係者から提出されました反論、意見について検討した上で、6月26日に不当廉売関税を課さないことを決定し、その旨を告示するとともに、利害関係者に通知し、調査を終了いたしました。
次に、調査結果の概要についてでございますが、3の(1)のところ、改めて申し上げるまでもございませんが、不当廉売関税は、我が国への輸出価格と正常価格(これは輸出国での国内販売価格などのことでございます)を比較いたしまして、輸出価格が正常価格より低い場合には、これを不当廉売としてその差額について関税を賦課しようとするものでございます。
2ページ目の(2)のところでございます。インドネシアには、カットシート紙の生産者といたしまして、APRILグループとAPPグループと2つのグループがございます。それぞれの貨物につきまして、我が国への輸出価格及び正常価格(これはインドネシアにおける国内販売価格のことでございます)につきまして、取引データの精査及び現地調査での証拠書類の確認等を行いました結果、枠の中に記載してありますとおり、不当廉売差額率、これは(注2)のところに計算式が書いてありますが、正常価格から輸出価格を引いた差額を輸出価格で割った割合でございまして、マイナス4.03%とマイナス4.99%と、マイナスとなっております。
すなわち、我が国への輸出価格は正常価格を上回っておりまして、不当廉売の事実は認められないということでございます。また、不当廉売の事実がありませんので、不当廉売された貨物の輸入が本邦の産業に与える実質的な損害等の事実も認められないということになります。
調査により得られた結論といたしまして、以上のように不当廉売の事実及び不当廉売された貨物の輸入が本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が認められませんでしたので、本年6月26日に不当廉売関税を課さないことを決定したものでございます。
なお、詳細な調査報告書は、資料4−2で用意させていただいております。
私からの報告は以上でございます。ありがとうございました。
○櫻井部会長ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御質問、あるいは御意見等がございましたらお願いしたいと思います。鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員今回はこういう形で取り下げということになりましたけれども、世界的に見ますと、日本のアンチダンピングの発動が少ないという事実は非常に大きく存在しているわけでございまして、ということは、日本が全体的に遠慮しているという側面があることはやはり明白なのではないかと思いますので、これでまたさらに慎重になり過ぎてしまうというようなことがないように、むしろどんどん疑わしきものは申請してもらうようにさらに促していただくということが必要じゃないかなと。こういうふうに申請があって、その調査がされたということによっても、相手国が何か疑わしいことをやっているというふうに自らが判断すれば、それによって状況が改善するという効果もあると思われますので、ぜひそのような形で取り組んでいただければなというのが1つ。
計算のことでふと今思ったんですが、厳密に言うと、正常価格として相手国の国内の価格と日本への輸出価格を比べておりますけれども、そういうことはあまりないと思うんですが、もし日本以外の国に、外国に対する輸出価格を非常に高く設定して、それで日本にはダンピングするという形で、そこで調整しているということも可能性としてはあり得るということですね。
規定上はそういうことを調べることにはなっておりませんけれども、例えばオーストラリアとかニュージーランドの乳製品の輸出ですと、韓国には非常に高く売って、日本には非常に安く売るとか、そのような形でダンピングすることで、自国ではなくてほかの国での販売価格に差をつけることでその利益を得るように差別価格を設定しているという場合もありますので、そのようなことについては、そういう形で調べることにはなっていないと思いますけれども、そういう状況の存在についてもちょっと認識しておく必要があるんじゃないかなという点は、今後の検討として一応頭に入れておいていただければということでございます。以上です。
○櫻井部会長水谷室長、いかがですか。
○水谷特殊関税調査室長御意見ありがとうございます。
まず1点目につきましては、委員おっしゃるとおり、この制度は国際ルールに従って適切に運用・活用される限りにおきましては、不公正な貿易取引に対しまして、公正な貿易環境の整備、国内産業の保護、救済を図るということで大変有意義な制度でございますので、当局といたしましても、引き続き関係の業界には制度と実務につきまして御理解を深めていただくように、周知活動など、あるいはホームページでの情報提供などに努めていきたいと思っております。
それから、2点目、ダンピングマージンの計算でございます。委員御指摘のとおり、WTOのルールでは、原則として正常価格は輸出国における国内販売価格でございまして、それとの比較をするということでございますので、今回、インドネシアの件につきましても、インドネシアの国内販売価格と比べたところでございます。ただし、1つ、ケースといたしましては、仮にその商品が輸出国で販売されていないようなものであった場合などには、第三国への輸出、この場合は通常最大の輸出先に幾らで輸出しているかというものを正常価格として、日本への輸出価格と比較するということになりますので、その輸出国で国内販売していないというケースによっては、委員御指摘のような比較もして、不当廉売の事実の確認をすることも可能であると思っております。
○櫻井部会長ほかにいかがでしょうか。末永委員、どうぞ。
○末永委員今、鈴木委員のほうからあったんですが、日本はアンチダンピングが少ないということだったんですけれども、どれぐらいなのか教えていただければと思います。
○水谷特殊関税調査室長日本の場合、不当廉売関税を課した事例はこれまでに4件ございます。簡単に申し上げますと、中国産のフェロシリコマンガン、パキスタン産の綿糸、韓国産・台湾産のポリエステル短繊維、それから、これは現在課税中の件でございますけれども、スペイン産・中国産・南アフリカ産・オーストラリア産の電解二酸化マンガン、これは電池の原材料でございます。こういったものの課税の事例がございます。
○末永委員少ないということだったんですけれども、ほかの国はどれぐらいなんでしょうか。
○水谷特殊関税調査室長これはWTOが公表しております統計から調べてみたものでございます。合計で申し上げますと、WTOが設立された1995年から昨年までの世界の合計は、国別で合計いたしまして約2,700件でございます。年別の推移で見てみますと、2000年前半におきまして200件を超えるような課税もございましたが、最近は100件台の前半ぐらいで推移しておりまして、以前に比べますと世界的な発動は減少しておりますけれども、やはり100件台前半でございますので、世界的に見ればまだまだ不当廉売関税発動の水準は高いものというふうに思っております。
○櫻井部会長よろしいですか。では、相澤先生、どうぞ。
○相澤委員この件については、不当廉売の事実がないということであれば、結論としては問題ないと思います。しかしながらこれによって課税申し立てが抑制されることがないように、関係各署において御留意をいただきたいと思います。なお、ダンピング関税につきましては、WTOのルールに従ってやるということが国際的なルールですので、そのルールに従ってやるべきというのが当然であると思います。
○櫻井部会長御意見ありがとうございます。何かコメントございますか。いいですか。
では、工藤委員、どうぞ。
○工藤委員ちょっとお尋ねしたいんですが、この調査の経緯を拝見いたしますと、申し立てから約1年で結果が出ていますが、大体、調査の早さというのは、規模にもよるんでしょうけれど、このぐらいなんでしょうか。お願いします。
○水谷特殊関税調査室長調査期間については、WTOルールで、原則として1年で終えることとなっていますが、必要があれば延長することができるということで、協定上、最長1年半で結論を出すということが規定されております。過去の日本の例を見てみましても、1年から1年数か月程度で結論を出しております。
先ほど申し上げましたように、客観的な情報、データを収集する必要がございまして、利害関係者の協力を得て詳細な質問状にお答えいただいて、そのデータを精査して、かつ現地に訪問いたしまして、根拠資料との対査を行って裏づけをとるという作業を行っております。さらに、そういった証拠は整理いたしまして、企業の秘密情報でない限り利害関係者の閲覧に供します、閲覧した者はそれについて意見を提出することができるなどさまざまな手続がございますので、1年ぐらいかかってしまうというものでございます。
○櫻井部会長ほかにいかがでしょう。どうぞ石毛委員。
○石毛委員「調査結果報告書」というのを見ますと、2ページに、調査開始時点において、これは(10)のところですか、「不当廉売された貨物の輸入の事実及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実についての十分な証拠」とありますね。ここで「不当廉売された貨物」と書いてあるんですけれども、不当廉売されたかどうかというのは、正式に調査をしてみて初めてそうじゃないということがわかったわけですけれども、調査開始時点では、開始するに当たっての十分な証拠があったというんだけれども、どこまでのものを求めて今は調査を開始しているものなんですか。
○水谷特殊関税調査室長手続といたしましては、まず国内の産業から課税申請が提出されます。その申請書にはさまざまな根拠となるデータが添付されておりまして、調査当局といたしましては、申請書、それからそれに添付されております証拠書類を審査いたしまして、おおむね2カ月で調査を開始するか否かを決定しております。
申請者といたしましては、合理的に入手することができる情報を添付するということが協定で規定されておりまして、通常、申請者の方はどのようにしているかと申し上げますと、外国の生産者から直接その会社のデータを入手することは不可能でございますので、通常、現地の調査会社や業界誌情報を使うなどして調査対象にしたい貨物が幾らぐらいで売られているかということについて市場調査を行います。それから、日本への輸出価格につきましては、通常、貿易統計のデータを使い、あとは費用などさまざまな調整がありますので、物流業者からのヒアリングなどによりまして、必要な費用を求めて、それを控除する形で正常価格と輸出価格を比較するということでございます。したがいまして、調査当局といたしましては、申請が提出されたときに合理的な説明がなされていれば、一応それを受け入れまして調査を開始するということでございます。
一方、調査では、先ほど申し上げましたように、実際の海外の生産者に質問状を送りまして、調査期間──これは1年間でございますけれども、1年間の実際の取引の実データを網羅的に提出していただいております。そのデータに基づいて今回判断したものでございます。したがいまして、制度運用上、おのずと申請者が根拠とするデータの基礎と調査当局の調査によるデータの基礎というものは異なってくるということでございます。
○石毛委員開始するときに、どれぐらいのダンピングマージンありということがここでは言われていたんですか。これは公表されているんでしたか。
○水谷特殊関税調査室長調査開始の際には申請の概要というものを作成いたしまして、報道発表をしております。それによりますと、これは昨年6月29日に調査を開始するということで報道発表させていただきまして、その参考資料といたしまして、申請書の概要というところで、これは申請書のベースでございますけれども、ダンピングマージン率として7.55%から15.78%の不当廉売のおそれがあるというふうに申請されております。
○櫻井部会長よろしいですか。申請時、それだけ7.55%という高いのがあって、結果として調べたらマイナスであるというギャップが生じた理由というのは、どういうところにあると考えたらよろしいんでしょう。
○水谷特殊関税調査室長その点は、先ほど申し上げたことの繰り返しになってしまいますが、一般的には、やはり申請者は海外の生産者の実データを入手することはできませんので、現地の信頼できる調査会社を使うなどして、代表的な商品について市場の調査を行い、そこから工場出荷段階での価格で比較を行いますので、例えば単位重量当たり工場から倉庫まで運ぶのにどのぐらいのコストがかかるか、そういったような見積もりを行いまして、市況データから控除し、工場出荷段階の価格で比較するということでございます。したがいまして、一般論として申請者としてはやはり調査の限界はあると思います。
今回、不当廉売がみとめられるということで申請として受け取って、そこは一定の合理的な資料だというふうに判断いたしまして、調査を開始したものでございます。
○潮田委員昔、アメリカがアンチダンピングを乱発していたころに、日本の鉄だとか何だとかは反論するだけで、あるいはダンピングしていないということを証明するだけでえらく費用がかかったりとか、時間がかかったりして、訴えが出た瞬間に既に正当な商行為ができなくなってしまい、大変なハンディを背負ってしまう。
そういうことで、アメリカの商務省なんかが結構いろいろダンピングを後ろから慫慂して、議会と一緒になってやれというようなことが随分ありましたけれども、そういう観点からすると、ADを日本がどういうふうに使っていくかというのは相当微妙な問題なんじゃないかと思いますので、役所が民間に対して、ADというものがあるんだから、よくよくお考えになってどんどんお使いなさいというのもいかがなものかなという気がするんですが、そこら辺は今どう整理されているんですか。
○櫻井部会長いかがでしょうか。これはどなたに……。室長さんでよろしいですか。
○水谷特殊関税調査室長調査当局といたしましては、やはりWTOルール、関係国内法令に従って、客観的なデータに基づいて調査をするということで、中立かつ公正な立場で調査をして判断するということが基本と思っております。
しかしながら、制度を知らないためにこの制度が利用されないということがあってはなりませんので、機会を捉えて周知の活動を行っているところでございます。具体的には、今年3月に公益財団法人日本関税協会で講演をしたり、昨年には企業法務担当者あるいは法律事務所の方々を対象にした講演会を開催したりしております。
○櫻井部会長よろしいでしょうか。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員今後のために、前も申し上げたかもしれませんが、役所と関連機関、研究所も協力して、普段から正常価格と日本への輸出価格について、いろんな品目についてそれなりに入手可能な範囲でデータを公表することで、どのような形でダンピングの可能性があるかどうかについてアクセスしやすいようなデータベースをつくっていただくと、非常にこういうものがスムーズにできる可能性があるんじゃないかということで、御検討いただければと思います。
○櫻井部会長御意見として承りたいと思いますが、ほかにございますか。
よろしいでしょうか。これを行政調査の一つのサンプルとして見ますと非常によくできていて、日本の行政調査は未開拓の分野なんです。ですので、ちょっとグローバルなほうが進んでいるのかなという感じがしますが、全体として報告書はなかなかエレガントにできているというか、強制的な権限がない中で、よく任意でこういう形で数字が出せているなということで、私自身はこれを一般的な行政調査のお手本にしていいかなというふうに思っております。ただ、特殊関税自体は背後に政治的な話がかかわってくるものなので、そこは完全にテクニカルに中立公正というのともちょっと違う配慮がまた別途要求されるところもあるという感想を持った次第です。
ほかによろしいでしょうか。よろしければ、それでは、本日の議事はこれをもちまして終了させていただきたいと存じます。
事務局より連絡事項がございますので、関税課長よりお願いいたします。
○山名関税課長議事録の取り扱いについて申し述べさせていただきます。
当部会の議事録につきましては、当審議会議事規則第4条によりまして原則公開ということにさせていただいております。それぞれの御発言部分を事前に御覧になりたい委員の方におかれましては、当部会終了後にその旨を事務局に御連絡いただきたいと存じます。御連絡いただきました委員の方には、議事録案がまとまりました段階で事務局から送付させていただきます。またその後、1週間程度の間に御意見などがない場合には、恐縮ですが、御了解いただいたものとさせていただきたいと存じます。
議事録の取り扱いにつきましては、今後ともこういう扱いで進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしたいということでございます。
以上です。
○櫻井部会長以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。
本日は、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。
