関税・外国為替等審議会 関税分科会 議事録(平成24年11月8日開催)
本稿は、平成24年11月8日の関税・外国為替等審議会関税分科会の議事録です。
○伊藤分科会長それでは、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
最初に、大久保財務副大臣より一言ごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○大久保副大臣おはようございます。財務副大臣の大久保でございます。
伊藤会長をはじめ委員の皆様、本分科会での格別な御指導に関しまして御礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。
関税は、国内産業保護の要請と消費者の利益確保の要請を調整する重要な政策手段であり、また、関税手続の整備は国民生活の安全安心の確保や関税等の適正な徴収に努めつつ、我が国の国際競争力の強化や貿易の円滑化を図る上で欠かせないものでございます。本分科会では、平成25年度関税改正における暫定税率等の適用期限の延長や関税評価に係る規定の整備等に係る基本的な考え方や検討に際して必要な論点について幅広い見地から御検討いただき、関税改正の方向性をお示しいただくようお願い申し上げているところでございます。委員の皆様方よりお示しいただきました方向性を踏まえつつ、財務省として関税改正案を策定し、政府・与党と決定した上で、必要な法改正を実施してまいりたいと思います。
本日、活発な御議論をいただきますようお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
○伊藤分科会長 どうもありがとうございました。
大久保副大臣は、公務がございますので、ここで御退席でございます。
〔大久保副大臣退席〕
○伊藤分科会長それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。本日の議題は、お手元にお配りしております議事日程のとおりでございます。
まず、関税評価のあり方に関するワーキンググループ座長とりまとめ報告につきまして、同ワーキンググループの小寺座長より御説明をお願いいたします。
○小寺委員(関税評価のあり方に関するワーキンググループ座長)小寺でございます。関税評価のあり方に関するワーキンググループの座長を務めましたので、ワーキンググループのとりまとめについて御報告を申し上げます。
資料1−1がとりまとめでございまして、そのとりまとめのポイントをまとめたものが、番号はないですけれども、資料として付いております。この座長とりまとめはやや長うございますので、ポイントのほうを御覧いただいて、少し詳し目にお知りになりたい場合はとりまとめのほうを御覧いただくのが効率的かと思います。
関税評価というのは非常に地味な分野でございますが、これは1980年にGATT東京ラウンドが終了した時点で、その協定を受けて法令の改正がなされて以来今日まで改正がなされてこなかったものでございます。御案内のように、1980年から既に30年を経ておりますが、この間の大きな変化としましては、この分科会でも従来何度も議論になっておりますグローバルなサプライチェーンの構築が1つございます。このグローバルなサプライチェーンの構築という結果、独立当事者間ではなくて、特殊関係者間の取引が増加しているということがございます。第2番目に、輸入貨物の製造とサービスが融合し、その結果、輸入貨物の取引に関連して支払われるロイヤルティ等のサービス関係の費用の性質に変化が出てきている。要するに、サービス化の問題でございます。こういう2つの大きな問題に対して何らかの法令上の手当てが必要なのではないかというのが今回のワーキンググループの問題意識でございます。
あわせまして、関税評価については、輸入者からきちっとした資料が出てこないと困るわけでございますけれども、なかなかそれが出てこない、もしくは疑義があるような場合もございます。先ほど申し上げたグローバルサプライチェーンの構築に伴う特殊関係者間取引の増加によってますますこういう問題がクローズアップされてきている、このように御理解いただければと思います。
そこで、今回、法令を改正して、輸入者の予測可能性を向上させると同時に、適正な課税価格の計算を実現・確保する。こういう目的でワーキンググループとして、関税定率法の第4条といった関税評価に関わる規定について見直しをして、今回御提案をさせてもらうということでございます。
幾つかの問題点がございますが、大きくはポイントの2ページから始まる取引形態の複雑化に関わる問題、もう1つは、先ほど少し申し上げました、資料について疑義がある、もしくは資料が十分でない場合の取扱いに関する、この大きな2つのポイントに分けて議論をしたということでございます。2の取引形態の複雑化は、先ほど申し上げた特殊取引者間の取引が増えていることと、生産におけるサービスの割合が増えている。これに対してどういう問題が出てきているかということであります。
まず問題に致しましたのは、「輸入取引」、「買手」及び「売手」というのが関税定率法に書かれているわけでございますけれども、これについては、基本通達においては定義がございますが、法令上の定義はないということであります。特に問題になりますのはここに図でお示ししてありますような例でありまして、生産者がB国にいて、売手はS社でA国にいる。貨物はB国から送られていって、支払いはS社に支払われる。こういう例の場合に、例えば、誰が関税定率法第4条に規定する「売手」なのかという問題があります。当然、「売手」はS社であろうということは間違いないわけでありますが、関税定率法第4条を見ると、B国の生産者であるというように誤解する余地がございます。そこで、そのような点を、従来の基本通達の中身を法令に移して、「売手」、「買手」、そして「輸入取引」の意義を明確化するというのが第1の御提案でございます。
第2番目は、4ページの図にございますように、輸入者が日本にある材料メーカーから調達した材料等を提供し、これを輸入者の委託を受けた者が海外で加工して、そして日本に貨物が送られてくる、こういう形態であります。加工貿易と言われるものであります。この場合に、「輸入取引」というものをどのように理解するのかという問題がございます。特にこの場合、材料等を無償で提供しているというようなことでございます。そこで、この場合も、通達の内容どおりに、現実に貨物が輸入されたときに、ここに「輸入取引」があったとみなして、それに対して関税をかけるということが既に通達に書かれておりますけれども、これを法令に移すことが必要だろうというのが第2番目の問題であります。
第3番目は、「買付手数料」の意義でございます。関税定率法によりますと、この図にございますように、輸入者がA国のT社に対して支払いをする。実際の売買はS社との間で行われている。T社は買付代理人である。こういう場合に、何をもって関税評価の基準となる価格とするのかという問題がございまして、仲介料、その他の手数料は課税価格に含まれるわけでありますが、「買付手数料」は除くというように規定されている。したがって、買手が支払う手数料について「買付手数料」であると言いますと、輸入貨物の課税価格が低くなるわけであります。そこで、「買付手数料」をどのように理解するのかという点が問題になります。通達にありますように、「買付手数料」というのは、買手に代わり業務を行う者に対して買手が支払う手数料をいい、買手に代わり業務を行う者というのは、買手の管理の下で買手の計算と危険負担により業務を行う。こういう要件を備えた場合に初めて「買付手数料」と言えるのだということが通達にあるわけです。これは非常に明確でありますので、この点をやはり法令に書くことによって、奇妙な解釈が通用するような事態を防ごうというのが3番目でございます。
4番目は、8ページにございますように、金型メーカーが金型を外国に提供して、これは無償提供になるわけですが、そこで生産者が生産をし、そしてS社が売手になって売買を日本にする。金型は無償で提供されているのですが、もちろん輸入者が金型代を負担しておるというケースでございます。この場合、売買された貨物、S社から日本に送られているものについては100しか支払われていないわけでありますが、これは、買手が金型を無償提供していることによって初めて100で輸入できることになっております。こういう場合について、きちっと金型の代金を輸入貨物の支払い代金に加えて課税価格を計算することが必要になってくるということです。このような場合における加算額の算定方法が既に基本通達で定めてありまして、その方法を法令において明確にするということでございます。
次が10ページの5でございます。これは、先ほど申し上げました生産のサービス化という点に関わる問題であります。輸入者が日本でありまして、海外から貨物を輸入するわけですが、ライセンス料を別途B国のライセンサーに対して支払っているということであります。売買については確かに100なのですが、ライセンス料20を課税価格の計算上どのようにするのか。買手が売手から買った貨物の価格は100でありますが、その貨物の輸入取引の条件としてライセンス料が支払われている場合には、ライセンス料も合わせて関税評価とするという解釈が基本通達において示されており、この解釈を今回法令において明確化することが必要だろうということでございます。
次が12ページの製造原価に基づく課税価格の決定であります。これも図にありますように、生産者がA国にいて、貨物はA国から輸入者に送られる。しかし、売買はS社との間で行われるわけであります。貨物代金は130払われており、これに輸入港までの運賃等20を加えた150が、通常、課税価格となるわけです。しかし、仮に、製造原価70に、単に利潤及び一般経費30と輸入港までの運賃等20を加えた価格が関税評価において認められると課税価格は120になるわけです。こういう関税評価は当然に認められないところでございまして、その点を法令において明確化する必要があるということでございます。また、製造原価や輸入貨物と同類の貨物の本邦への輸出のための販売に係る通常の利潤及び一般経費をどのように決定するのか。商業帳簿等によってこの製造原価や利潤及び一般経費の額を決定するということについても法令において明確化するというのが第6番目の御提案でございます。
この2番、要するに、グローバルサプライチェーンの展開及び生産のサービス化の御提案について6点あるわけですが、このうち5点までは既に基本通達に規定されているものであります。ただし、基本通達は、内部的な行政規範、内部的な法形式でしかございませんで、外部に対して法規範性を主張することができるものではございませんので、今回は、それぞれの基本通達が国際機関のさまざまな委員会の採択文書等を踏まえてつくられていることをきちっと確認した上で、法令に格上げをして、疑義が生まれないような形にしようという御提案となっております。2−6については、WTOの関税評価協定6条の注釈に基づく規定をつくり、それによって予測可能性と関税評価の適正性を確保しようという趣旨でございます。
次が3からの部分であります。これは十分な資料が提供されない場合における関税評価でございます。先ほどの2にありましたように、取引価格、実際の価格できちっと税関に輸入申告がされている場合であれば何も問題はないわけですけれども、例えば特殊関係者間で取引をする場合には、輸入貨物の取引価格を両者の話し合いによっていかようにでもすることができるわけです。しかし、それでありますと関税がほ脱されるといった問題が生じる場合がございますので、そのような場合に、税関としては、きちっと課税価格を決定できることが必要になってくるわけであります。そこで、関税定率法上の課税価格の決定方法については、14ページの
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、
、
、
の順番で適用することになっているわけですけれども、
から
までのいずれかの方法によって課税価格を計算する場合において、輸入者により提出された資料が不十分であることや資料の真実性に疑義があることなどの理由により、その計算ができない場合がある。例えば、どうも独立した当事者間での取引価格に基づく輸入取引が行われているとは認め難いといった場合があります。そのような場合には、WTO関税評価委員会の決定にも書かれていますように、
により決定しないで
により決定する、また、
によっても決定できない場合には
により決定を行うことを明示するというのが今回のまず第1の提案であります。
この提案は、2番目の、次の16ページに関わってくるわけであります。
、
、
、
で決定できなかったものについては特殊な輸入貨物に係る課税価格の決定ということになりますので、これについては輸入者からさまざまな資料の提供を受けて、それによって合理的に計算できれば、それによって計算する。しかし、それで合理的に計算できない場合には、税関長が輸入者以外の者から入手できた資料に基づき税関長が合理的と認める方法で課税価格を決定するというのが提案になります。この種の問題は別に関税に限りませんで、租税においても既に問題になっておる点でありまして、いわゆる移転価格税制というのがそれであります。このような問題に対応するような形での法整備を今回やることが適正かつ公平な関税の賦課・徴収という観点から必要であるということが3−1及び3−2で御提案申し上げていることでございます。
以上が今回のワーキンググループでとりまとめをした内容でございまして、多くは通達の内容を法令に上げる。つまり、従来は法令を改正せず通達によって対応していたものについて、租税法律主義という観点からも法律によって明示化するということ。もう1つは、輸入者から適切な資料が提供されないような特殊な事情においては、税関長が合理的だと認める方法によって課税価格を決定するということを法令において明確化するのが主な今回のポイントでございます。
以上でございます。
○伊藤分科会長どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、事務局より関税評価に係る規定の整備につきまして御説明をお願いします。
○高見業務課長ワーキンググループの事務局をさせていただきました業務課長の高見と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
小寺委員におかれましては、ワーキンググループのとりまとめに御尽力をいただいたこと、大変御丁寧に説明いただいたことについて心からお礼申し上げたいというふうに思います。
それでは、資料ですが、肩に「1−2」と書いてございます資料と「1−3」と書いてございます資料を両方使っていきたいと思います。
まず1−2を御覧いただきたいと思います。現行制度の概要と背景につきましては、今、小寺委員から御説明していただいたとおりでございますので、そこの説明については省略させていただきまして、1枚めくっていただいた2ページ目の検討のところから御説明したいと思います。今御説明いただいたとおり、ワーキンググループを設置して御議論いただいたところであります。
現行の法令の規定は、今も小寺委員の御説明の中でポイントを御紹介いただきましたけれども、1−3の資料の4ページ目を御覧いただきたいと思います。4ページ目に関税定率法の第4条から第4条の4まで、4枚にわたって抜粋がございます。これを委員の皆様には今一度確認の意味でざっと御覧いただきたいと思うのですけれども、まず、第4条で、課税価格の決定の原則といたしまして、「輸入貨物の課税標準となる価格は、……当該輸入貨物に係る輸入取引がされた時に買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格に、その含まれていない限度において次に掲げる運賃等の額を加えた価格とする。」というふうに書いてございます。これが原則でございまして、この後、1号から5号までに加算する額が掲げられてございます。1号が運賃、保険料、その他、2号が輸入取引に関し買手により負担される手数料又は費用としまして、イが買付手数料を除く仲介料その他の手数料、ロが輸入貨物の容器の費用、ハが包装に要する費用。3号につきまして、買手により無償で又は値引きをして、直接又は間接に提供された物品又は役務に要する費用でございまして、ここに具体的にさらに細かくイ、ロ、ハ、ニで書いてございます。4号で、特許権、意匠権、商標権その他で政令に定めるものの使用に伴う対価で輸入取引の条件として支払われたもの。5号としまして、買手による当該輸入貨物の処分又は使用による収益で直接又は間接に売手に帰属するものとされているもの。これが原則でございます。
次の5ページ目にございます2項で、以下の1号から4号の事情がある場合には、次条ですから、4条の2から4条の4までに定めるところで計算するということでございます。これも小寺委員から関税評価の当てはめについて御説明いただきましたけれども、4条の2で、先ほどの原則で計算できない場合には、同種又は類似の貨物に係る取引価格があるときには、当該輸入貨物の課税価格はその取引価格とする。1枚めくっていただいて、4条の3第1項の国内販売価格に基づく課税価格の決定について、4条の2で計算できない場合には、1項1号で書かせていただいていますとおり、「当該輸入貨物の課税物件確定の時の属する日又はこれに近接する期間内に国内における売手と特殊関係のない買手に対し国内において販売された当該輸入貨物又はこれと同種若しくは類似の貨物に係る国内販売価格」でございまして、それから手数料等の額を控除して得られる価格となっております。さらに、製造原価に基づく課税価格の決定につきましては2項で書いてございまして、輸入貨物の製造原価を確認することができるときは、製造原価に輸入貨物の生産国で生産された当該輸入貨物と同類の貨物の本邦への輸出のための販売に係る通常の利潤及び一般経費並びに輸入貨物の運賃等を加えた価格とする。最後に、4条の4で、今までの3つの条、前3条の規定により課税価格を計算することができない輸入貨物の課税価格は、これらの規定により計算される課税価格に準ずるものとして政令で定める方法により計算された価格を課税価格とするというふうに定められております。
1−2の資料の2ページに戻りますけれども、検討の1つ目に、取引形態の複雑化を踏まえた定率法上の課税要件の明確化でございます。それぞれの論点は御説明いただきましたとおりでございまして、下のほうの
から
まで、おおむねまとめて書かせていただきました。
として、定率法第4条第1項に規定する「輸入取引」、「買手」、「売手」、「買付手数料」及び「輸入取引の条件として、支払われるもの」の意義を法令に規定する。
が定率法第4条第1項第3号のイ、ロ、ハ、ニで規定しております無償又は値引きをして提供する物品及び役務の費用の算定方法について基礎となる事項を法令に規定する。
で、定率法第4条の3第2項の規定を適用できる輸入貨物並びに当該規定に掲げる「製造原価」及び「利潤及び一般経費」の決定方法を法令において規定する。具体的には、輸出国の生産者との間の取引、契約に基づき輸入されるものであること、「製造原価」につきましては、生産者の商業帳簿により確認可能なもの、「利潤及び一般経費」につきましては、輸出国で一般に認められている会計原則に適合する方法で作成された資料に基づくものということをそれぞれ規定することが適当であると考えております。
2番目に、資料につきまして、十分かつ正確な資料の提供がない場合における関税評価の明確化でございます。これにつきましても、
としまして、先ほどの定率法第4条から第4条の3までのいずれかの規定を適用して課税価格を計算する際に、イとしまして、各規定に定める要素(取引の形態、価格、費用、契約上の条件等)を示す資料が輸入者から提出されない場合。ロとしまして、輸入者から提出された資料が不十分であり、各規定に定める方法により課税価格を計算できない場合。ハとしまして、輸入者から提出された課税価格の計算のための資料の真実性又は正確性について税関が有する合理的な疑義が解明されない場合には、当該規定を適用できない旨を法令に明確化すべきであると考えられます。
続いて
としまして、定率法第4条の4に規定する特殊な輸入貨物に係る課税価格の決定につき、この規定に基づき計算される課税価格としましては、関税定率法施行令第1条の11で規定しております。これは資料1−3の8ページに抜粋を載せさせていただいておりますけれども、1条の11としまして、まず1号で、課税価格の決定の原則及びその国内販売価格に基づく課税価格の決定の規定を適用して計算された価格のうち、品質、性能、輸出の時期、その他の事情の差異により生じた当該輸入貨物との価格差を明らかにすることができると認められる貨物がある場合には、当該課税価格にこれらの貨物の価格表による品質又は性能の差異に応ずる価格比、輸出の時期の差異による価格の変動率を乗ずる等、当該課税価格について品質、性能、輸出の時期その他の事情の差異により生じた当該輸入貨物との価格差につき必要な調整を行った後の価格。2号で、前号に該当する場合以外の場合は、先ほども申し上げましたように、WTO評価協定の規定に適合する方法として、税関長が定める方法により計算される価格というのが現在の規定でございます。これにつきましては、資料1−2の3ページ目に戻ります。
のイでございますが、輸入者により税関に提出された資料に基づき、定率法第4条から第4条の3までに規定する方法に準ずる方法により合理的に計算できる場合には、その計算により得られる価格。ロ、上記イによることができない場合であって、輸入者により税関に提出された資料に基づき、税関長が合理的と認める方法により計算できるときは、その計算により得られる価格。ハ、上記のイ、ロによることができない場合は、輸入者以外の者から入手できた価格表その他の資料に基づき、税関長が合理的と認める方法により計算される価格といった価格の決定方式を掲げるとともに、税関長による恣意的な計算の禁止を評価協定第7条の2で掲げておりますが、そういう方法によってはならないということを明確化させていただきたいと考えております。
以上につきまして、ワーキンググループの座長とりまとめを踏まえて、輸入貨物に係る取引形態の複雑化を踏まえた定率法上の課税要件の明確化及び十分かつ正確な資料が提供されない場合における関税評価の明確化を行うことが適当と考えますが、委員の御議論、御意見をいただきたいと考えます。
以上でございます。
○伊藤分科会長どうもありがとうございました。
それでは、今の2つの御説明に関しまして御質問とか御意見がございましたら、いただきたいと思います。
○野坂委員ワーキンググループのとりまとめ、大変御苦労さまでした。このワーキンググループの方向性を基本的に支持したいと思います。課税要件を明確化して輸入業者の予測可能性を高める、この方向性は正しい方向だと私も思います。
その上で質問があります。そもそも通達を法律に格上げするという国際的な整合性があったのだとは思うんですけれども、とりまとめの最後のところに、WTOなどにおいて問題提起をしていく必要性について触れられております。これは、国際的に整合性はとれているけれども、何か積み残しの課題があるということを示唆されているのでしょうか。どういう意味なのか。これは小寺先生に伺うべきなのか事務当局かわかりませんが、教えていただければと思います。
○小寺委員とりまとめのどこでございましたか。
○野坂委員ポイントの最後の19ページ、「おわりに」の3ポツ目にございます。
○小寺委員今回の問題については、通達についてWTO、関税協力理事会等の会議等の結論を踏まえてでき上がった通達、これを法令に直していくということであります。協定があるのですけれども、また新たな問題がいろいろ今回のように出てくる可能性がございまして、そこで、日本から問題だと思っていることがあれば――当面、今回の改正で十分であるというように私は理解しておりますけれども、それ以上にいろいろな問題が出てきた場合は、国内的に措置をしていくだけではなくて、その都度問題提起をして国際的なコンセンサスを得ることが望ましいという趣旨だというふうに私は理解しております。
○高見業務課長小寺委員、ありがとうございます。
事務局から補足させていただきたいと思うのですけれども、現状、WTO協定あるいはWCOの関税評価技術委員会、そういった場で解釈あるいは運用について定期的に議論を行っているところでありますけれども、実際問題として、途上国を中心に、解釈についてやや違った解釈をしていて、かつ、必ずしも言い切れるわけではないですが、若干恣意的とも思われるような執行が途上国の税関において行われているケースもございます。そういったところも踏まえて、今回の改正の趣旨などでまだ世界全体として追いついていないような部分があれば、それはコンメンタール等をきちんと文書の形で各国の理解のもとに残していくべきでありますし、それを必要に応じてさらに上のグレードに格上げするとか、あるいは各国の国内法できちんと整備していただくとか、そういったところも含めて問題提起をしていく必要があると委員の先生方には御意見をいただいたと承っております。
○青山委員小寺先生から御説明いただきまして、租税法律主義という大原則からこの通達をきちんと法律化するのだというお話はよくわかったのですけれども、通達で運用されていた期間、この通達でどのくらいやっていらしたんでしょうか。そして、どういう経緯があって、今回きちんと整備しようということになったのかというのを教えていただきたいのが1点。
それから、資料1−2は、要するに正確な資料を提供しない者に対する課税の問題です。税関長の恣意的なものにならないように努めるのだということが書かれていますけれども、こういったときにこの者に対する弁明の機会みたいなものは用意されているのでしょうか。
その2点を教えていただければと思います。
○高見業務課長御質問、ありがとうございます。
まず1点目につきましてですけれども、とりまとめでも冒頭に書かせていただいたとおり、法令上の規定は昭和55年(1980年)に導入しております。その後は、その解釈につきまして通達に書かせていただきまして、それを随時必要があれば見直しを行ってきたというのがこれまでのやり方でございます。ただ、先ほども小寺座長から御説明いただいたとおり、その解釈をめぐって不服申立てでございますとか、あるいは訴訟といったケースが最近非常に増えてきてございます。そういったものを踏まえて、今回、法令で明確化したほうが、適正な課税という意味でも、輸入者あるいは納税者の予見可能性という面でも望ましかろうということで御提案させていただいているところであります。これが1点目。
2点目につきましては、資料でございますけれども、実務におきましては、税関のそれぞれの官署において申告をされる場合の予備的な審査でございますとか、実際の通関の審査の場で輸入者あるいは通関業者から提出される資料、あるいは実際にその場で考え方について十分お伺いしまして、そこでどういった適用をしていくか、どの条項を適用していくかというところを議論して御納得いただくようにという努力はいたしております。ただ、それでもやはり輸入者のほうで御納得いただけない場合は税関長の更正処分になります。さらに、それに対して不服等があれば、異議申立てですとか審査請求という救済措置ももちろん認められてございます。
○鈴木委員今回の事案とは直接的な関係にないかと思いますけれども、関税評価を複雑化する要因として、最近進んでいるFTAとかEPAの錯綜というか、乱立というものによるrule of originはじめ、関税を含む貿易ルールの錯綜という問題が影響しているのではないかとも思います。そういう意味での行政コストも増えているのではないかと思いますが、実際にEPAの錯綜によって関税をめぐる行政あるいは事務において具体的な問題は生じているのかどうかという点が1点。
そういう中で、先ごろもいろいろ言われていますように、日中韓のFTAやASEAN+6、RCEPあるいはTPP、日豪、日カナダなどを同時並行的にどんどんやればいいのだという意見も政府ではあるようですけれども、そういうふうな方向性はこういう状況の混乱をさらに深めていくのではないかという心配もございます。そういうことについては、そろそろWTO本来の考え方を尊重して、ちょっと踏みとどまって見直すべきときにあるのではないかという気もいたしますが、そのあたりの方向性についてはどのようにお考えか、この機会にお聞かせいただければありがたいと思います。
○高見業務課長まず、執行の現場について最初に鈴木委員から御質問をいただいた点で申し上げたいと思いますけれども、関税評価の面で今御指摘の点について何か現場で混乱が起きているということは、現在のところございません。ただ、その他の点につきましては、税関は事前相談あるいは事前教示という中で、実際に輸入者あるいは通関業者からいただいた情報、御質問に対してはできるだけ丁寧に答えたいというふうに考えております。時々その解釈の違いあるいは理解の違いがあることはございますが、そういったことがないような努力は、現場では、輸入者あるいは通関業者の方には忍耐というか、若干時間がかかったりするところは御容赦いただくようなことになりますけれども、丁寧に対応しているつもりですし、これからもそこら辺について十分な情報提供とかいったことはやらせていただきたいと考えております。
○石原審議官複数のEPAが錯綜してきまして、特に原産地規則が非常に複雑になってきているので、その点について、今、業務課長から申し上げたように、相談体制等の充実を図っているところでございます。さらに、直接、いわゆる輸出入手続に関わっている者だけではなくて、荷主に対してのいろいろな情報提供もこれからやっていかなきゃいかんと考えているところであります。
それから、EPA等々が錯綜して非常に複雑化しているので、この辺で打ち止めというような方向感はないのかというお話でございましたけれども、我が国の企業の生産拠点が、かつては我が国にあって他国との貿易、そういうビジョンで我々は政策を展開してきたわけです。例えば、我が国税関の通関手続の円滑化も、また二国間のEPAも、我が国で物をつくって外国に輸出するという基本的な絵があった中での政策だったと思うんです。そのこと自体は引き続き重要ですけれども、今や生産拠点がアジアを中心とした外国に移ってきて、日本を経由しない、すなわち第三者国間の日本企業の取引が非常に増えてきた。こういった中で日本企業の活動を支援するということであれば、アジア諸国を中心とした複数国間の貿易協定というのは、WTOが現在スタックしている状況の中では非常に重要ではないかと思っております。そういった意味で、制度が輻輳して複雑になるという問題はありますけれども、そこはさまざまな努力で克服して、本邦企業の活動を支援していく方向性には現在のところ変化ないのではないかと理解しております。
○伊藤分科会長ほかに何か御質問とか御意見とかよろしいですか。
もしよろしければ、次の議題に移りたいと思います。次は、指定保税地域の指定対象の拡充につきまして、国土交通省、財務省の順番で説明をお願いしたいと思います。
○河原畑港湾経済課長(国土交通省)国土交通省の港湾局で港湾経済課長をやっております河原畑と申します。
指定保税地域の指定対象の拡充の要望につきまして、資料2−1に沿って御説明させていただきます。資料2−1の1ページ目を御覧ください。我が国の港湾の国際競争力の強化などを図るため、昨年3月に港湾法が改正されたところでございます。具体的には、選択と集中の考えのもとに、港湾の種類に国際戦略港湾及び国際拠点港湾の追加、それから直轄港湾工事の国費負担率の引き上げ、港湾運営会社制度の導入、港湾運営会社に対する無利子貸付制度の創設、こういった改正が行われたところでございます。今般の要望にかかわる港湾運営会社制度に係る規定につきましては、昨年12月15日に施行されたところでございます。
次に、2ページ目を御覧ください。港湾運営会社制度の導入対象である国際戦略港湾、それから国際拠点港湾の位置をお示ししております。全国で国際戦略港湾は5港、国際拠点港湾は18港ございます。
3ページ目を御覧ください。近年、近隣アジア諸国におけるコンテナ取扱貨物量の急増ですとか、コンテナ船の大型化の進展などに伴いまして、北米、欧州航路といった基幹航路が我が国の港湾に寄港する頻度が減少してきております。このような傾向が続いた場合には我が国の経済にも影響を与えることが懸念されるところでありますので、基幹航路の我が国への寄港を維持・拡大しまして、企業の立地環境を向上させ、我が国経済の国際競争力を強化するため、国際コンテナ戦略港湾政策を実施いたしまして、国際戦略港湾であります京浜港、阪神港に国内外の貨物を集約することとしております。
次に、4ページ目を御覧ください。国際拠点港湾の関係でございますが、こちらも、成長著しいアジア諸国などとの間におきまして外貿貨物取扱量の約半分が取り扱われております。また、アジア諸国などとの間で多くの外貿コンテナ航路が就航しているところでございます。このように、国際拠点港湾につきましてもアジア諸国などとの間で国際海上貨物輸送網の拠点となっておりまして、我が国産業が今後も競争力を維持するためには、国際拠点港湾の競争力の強化も必要になっているところでございます。
続きまして、5ページを御覧ください。海外の主要港におきましては港湾の管理と運営を分離しておりまして、競争力強化のため、港湾運営の民営化を推進して戦略的な港湾運営が行われているところがございます。一方で、一番左になりますけれども、日本の港湾におきましては、地方自治体であります港湾管理者によって管理運営が行われてきたところでありますが、海外主要港に伍して競争していくためには、日本におきましても民の視点による効率的な港湾運営を実現させる必要性が出てきているところでございます。このような背景で、今回の港湾法改正によりまして港湾運営会社制度が創設されたところでございます。
6ページ目を御覧ください。港湾運営会社制度をお示ししております。この港湾運営会社制度は、国際戦略港湾、すなわち、京浜、阪神におきましては国土交通大臣、国際拠点港湾におきましてはそれぞれの港湾管理者が、一定の要件を備えました株式会社を港湾運営会社として指定いたしまして、その港湾運営会社が行政財産の貸し付けを受けながら、埠頭群と自ら所有して整備する港湾施設と合わせて一体的に運営することとした制度でございます。港湾法におきましては、港湾運営会社の指定に当たりましては、埠頭群の運営の事業内容につきまして港湾管理者が定める港湾計画への適合性などを確認することとしておりますほか、港湾の公共性を確保する観点から、港湾運営会社に対する監督命令、それから料金変更命令、このような措置を規定しているところでございます。なお、去る10月17日に阪神港の各外貿埠頭会社が特例港湾運営会社として初めて指定されたところでありまして、今後も京浜港、その他の国際拠点港湾におきましても港湾運営会社が指定される見込みとなってございます。
7ページ目を御覧いただければと思います。このように、港湾運営会社は、国又は港湾管理者の指定によりまして、従来は港湾管理者が行っていた港湾運営を効率的に行う主体ということでございますが、港湾運営会社が整備する荷さばき地、それから上屋といったような施設は、既に指定保税地域の指定対象とされております地方公共団体や外貿埠頭会社などが管理運営する施設などと同様に公共性を有しているものであります。したがいまして、我が国港湾の国際競争力の強化を図る観点からも、指定保税地域の指定対象に港湾運営会社を追加していただくことをお願いするものでございます。
よろしく御審議のほどお願いいたします。
○菊川監視課長それでは、続きまして、指定保税地域の指定対象の拡充について、私のほうから御説明させていただきます。
まず、今回の要望の論点をお示しする前に、既に皆様御存じのこととは思いますが、保税地域に係る制度及び指定保税地域について簡単に御説明させていただきたいと思います。保税地域は、輸出入貨物を税関の監督下に置くことにより、秩序ある貿易を維持し、関税及び内国消費税の徴収の確保を図るとともに、貿易の振興及び文化の交流などに役立てることを目的として設置されている地域でございます。保税地域に外国貨物が置かれている間は、その貨物の関税等の徴収が留保されておりますので、保税地域におきましては、このような関税等未納の状態を利用して外国貨物のままで蔵置し、商機を見て必要な都度必要な貨物を国内に引き取ることや、外国貨物を利用して加工・製造を行い、製品を外国に積み戻すことなどが可能となっております。
資料2−3、資料編となっておりますが、これの1ページ目を見ていただければと思います。保税地域には、その機能に応じて5つの種類がございます。このうち指定保税地域は、外国貨物の積卸、運搬又は一時蔵置ができる場所として、財務大臣が指定した保税地域でございます。
次の2ページ目の表にあるとおり、現在56の開港等において88カ所が指定されております。指定保税地域は、税関手続の簡易かつ迅速な処理を図り、ひいては外国貿易の促進に資するという公益的見地から設けられたものでございます。本来、だれでも自由に、しかも安く利用できることを理想としており、そこに外国貨物を長期間にわたって置くことや特定の業者が独占的に使用することは認められておりません。したがいまして、指定保税地域は公共性を有する施設等が指定対象とされており、現在は、国や地方公共団体のほか、港湾管理者等に代わって自ら外貿埠頭を整備し管理運営を行っている埠頭株式会社などが政令で指定され、これらの者が所有又は管理する施設等がその対象となっております。
続きまして、資料2−3の3ページ目を見ていただければと思います。今回要望がございました港湾運営会社が運営する施設等のうち、国又は港湾管理者から貸し付けを受ける施設等は国又は地方公共団体が所有しております。したがいまして、現行法令上も指定保税地域の指定対象とされております。しかしながら、港湾運営会社が自ら施設――この資料で右側の下に「港湾運営会社等 上物」となっている、濃い赤で示した部分でございますが、これを所有、整備した場合は、国又は地方公共団体が所有も管理もしておりませんので、現行の制度では指定保税地域の指定対象にはなりません。したがいまして、港湾運営会社が運営する施設等を指定保税地域の指定対象とするためには関税法施行令を改正する必要がございます。
続きまして、今申し上げた指定保税地域の設置の趣旨や機能等を踏まえまして、今般の改正要望に対する私どもの検討について御説明させていただきます。「指定保税地域の指定対象の拡充について」、資料2−2の3ページ目から検討となってございますが、この検討の中身について簡単に御説明させていただきます。先ほどの国土交通省からの御説明によりますと、港湾運営会社は、国又は港湾管理者から行政財産である港湾施設について貸し付けを受け、自ら所有し、又は整備する港湾施設とともに、これらの施設等を一体的に運営するということでございます。また、その運営は、港湾法の規定に基づき、国又は港湾管理者の指導監督のもと、港湾管理者が定めた港湾計画に基づいて行われるとのことでした。したがいまして、これらの施設等は既存の地方公共団体等が管理運営する施設等と同様、公共性を有しているということができると考えられます。また、港湾運営会社を指定保税地域の指定対象とすることは、税関手続の簡易かつ迅速な処理を図り、ひいては外国貿易の促進に資するという指定保税地域設置の趣旨にも合致するものと考えられます。さらに、これらの施設等が指定保税地域に指定されることは、今般の港湾法改正の目的である港湾運営の民営化及び港湾運営会社による施設等の整備を推進し、もって我が国港湾の国際競争力の強化を図ることにつながるものと考えられます。
最後に、論点でございますが、5ページ目の「4.論点」にございますように、関税法施行令第30条の2を改正し、港湾法第43条の11第1項又は第6項の規定により国土交通大臣又は国際拠点港湾の港湾管理者が指定した者が所有し、又は管理する施設等を新たに指定保税地域の指定対象とすることが適当ではないかということにつきまして御審議賜りたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○伊藤分科会長どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問あるいは御意見がございましたら、御発言いただきたいと思います。
御意見ございませんか。特に御意見とかないということで、もしよろしければ、次の案件に移りたいと思います。続きまして、暫定税率等の適用期限の到来及び特恵関税制度に係る事項につきまして事務局より説明をお願いしたいと思います。
○柴ア関税課長それでは、資料3−1と3−2に基づきまして、暫定税率等の適用期限の到来について御説明し、引き続きまして資料4に基づいて特恵関税制度に係る事項について御説明申し上げます。
まず、資料3−1の1ページをお開きください。暫定税率の取扱いでございますけれども、これにつきましては資料3−2の6ページから10ページに関係する部分の資料をつけてございますので、適宜御参照いただければと思います。この暫定税率の取扱いについての問題の所在でございますけれども、平成25年3月31日に433品目の暫定税率の適用期限が到来いたします。これらにつきましては、近年、単年度ずつ延長されてきたものでございますけれども、この適用期限の到来後の取扱いについて検討する必要があるというものでございます。この制度でございますけれども、基本税率が長期的な観点から内外価格差や真に必要な保護水準を勘案して設定されている税率であるのに対しまして、暫定税率は、一定の政策上の必要性等から期限を定めて基本税率を暫定的に修正する税率でございます。暫定税率は、その水準及び必要性について常に見直しをしていくものとされているものでございます。
検討の(1)延長の適否でございますが、イといたしまして、国内の生産者と消費者等との利益調整に及ぼす影響についてでございます。関税率には、産業保護を求める国内の生産者と安価な供給を求める消費者・需要者との間の利益調整を考慮して設定される面がございます。この水準を変更しようとする場合には、その国内経済への影響を考慮する必要がございます。特に、暫定税率が基本税率等を引き下げる措置となっている現状を踏まえますと、仮にこれを廃止した場合には、関税率を引き上げる結果となり、広く消費者等の負担水準を引き上げることとなる点に留意する必要がございます。
次のロでございます。WTO交渉との関係でございますけれども、ウルグアイ・ラウンド合意を踏まえて暫定税率により枠内税率が設定されております関税割当品目及び国家貿易品目につきましては、一定の数量までその関税率での市場アクセス機会の提供を国際的に約束していることに留意する必要がございます。また、現在設定されている暫定税率に関連する多くの事項がWTOドーハ・ラウンド交渉の対象となっております。同交渉におきまして新たな市場アクセスの枠組みに係るモダリティの合意というのはまとまっておりませんが、今後の同交渉の行方を予断することなく注視していく必要があるということでございます。
ハでございますけれども、関係国との協議結果に基づく税率の引下げ措置の履行に及ぼす影響についてでございます。ウルグアイ・ラウンド合意に際して、関係国との協議の結果に基づき、協定税率からさらに実行税率を引き下げるために暫定税率を設定している牛肉等の品目につきましては、こうした関係国との協議の経緯を考慮する必要がございます。これらの品目につきまして、仮にその暫定税率を廃止しようとすれば、関係国との再協議が必要となるということでございます。
次のニは、国内政策上の必要性についてでございます。国内政策上の要請に応じて暫定税率が設定されている品目につきましては、その時々の政策上の必要性を考慮し、常に見直した上で暫定税率設定の是非を判断する必要がございます。その際、内国税において同様の施策がとられている場合には、それとの関係にも留意する必要があるということでございます。
次に、基本税率化の適否でございます。暫定税率が長年にわたって設定され定着している場合には、これを基本税率化、すなわち暫定税率を廃止して同水準の基本税率を設定することも検討の余地はございます。ただし、その際には、各々の暫定税率として設定されてきた経緯等を考慮する必要があるということでございます。例えば、関税割当制度につきましては、無税又は低関税が適用される輸入数量を限定する国境措置というものでございまして、過度の輸入抑制効果、国内産業の合理化の阻害などの弊害を生じないよう常に見直しを行い、従価税、従量税等の一般税率への移行の可能性を検討すべきものというふうにこれまで関税率審議会の答申等で位置付けられてきたこともございますので、この関税率は暫定税率として設定されてきているところでございます。
(3)適用期限でございますが、暫定税率の適用期限を延長する場合、その時々の政策上の必要性、直近の国際市況に基づいて暫定税率の要否を判断するという趣旨から、従来より延長を1年としてきた経緯を考慮する必要があるということでございます。
最後、論点でございますけれども、以上の考え方を踏まえ、暫定税率について、1年間適用期限を延長する方向で対応することが適当ではないかということで御意見をいただきたいというものでございます。
続きまして、資料3−1の4ページでございます。特別緊急関税制度等の取扱いでございますけれども、これにつきましては3つ論点がございまして、まずその1点目が特別緊急関税制度の取扱いでございます。これにつきましては、資料3−2の11ページから13ページに資料がついてございます。本文のほうでございますけれども、特別緊急関税制度の取扱いの問題の所在でございますが、平成25年3月31日にウルグアイ・ラウンド合意に基づき関税化された農産品、関税割当品目及び国家貿易品目等になりますが、これらに係る特別緊急関税制度の適用期限が到来いたします。これらは、近年、単年度ずつ延長されてきたものでございますけれども、その後の取扱いについて検討する必要があるというものでございます。
この特別緊急関税制度、いわゆるSSGでございますけれども、これはウルグアイ・ラウンド合意に基づいて関税化された農産品について、輸入数量が一定の水準を超えた場合又は課税価格が一定の水準を下回った場合、関税割当及び国家貿易により輸入されるものを除きまして、それぞれの関税率の引き上げを行うものでございます。
検討でございますけれども、特別緊急関税制度は、ウルグアイ・ラウンド合意に基づき関税化された農産品の輸入急増時等の安全弁として、関税化措置と一体として設けられたものであることに留意する必要がございます。また、特別緊急関税制度が関税率の設定と一体として設けられていることを踏まえ、暫定税率と一体的に見直しを行う必要があるということでございます。
論点といたしまして、以上の考え方を踏まえ、特別緊急関税制度について1年間適用期限を延長する方向で対応することが適当ではないかということでございます。
次に、2点目でございますけれども、牛肉及び豚肉に係る関税の緊急措置の取扱いでございます。これも平成25年3月31日に牛肉に係る関税の緊急措置及び豚肉に係る関税の緊急措置の適用期限が到来いたします。これらは、近年、単年度ずつ延長されてきたものでございますけれども、その後の取扱いについて検討する必要があるということでございます。
これらの緊急措置は、暫定税率により、協定税率より低い水準まで引き下げている実行税率を、輸入数量が一定水準を超えた場合に引き上げるというものでございまして、例といたしまして牛肉を掲げてございますが、協定税率50%よりも低い38.5%の暫定税率を設定しています。当該年度の牛肉の累計輸入数量が一定の水準を超えた場合には、関税率を38.5%から50%まで戻すというものでございます。
検討でございますが、牛肉及び豚肉に係る関税の緊急措置は、ウルグアイ・ラウンド合意の際の関係国との協議の結果に基づき、協定税率より低い水準まで実行税率を自主的に引き下げることとした際に、これと一体として、牛肉及び豚肉の輸入急増時の安全弁として設けられたものであることに留意する必要があるということでございまして、牛肉及び豚肉に係る関税の緊急措置が関税率の設定と一体として設けられていることを踏まえて、暫定税率と一体的に見直しを行う必要があるということでございます。
以上の考え方を踏まえて、牛肉及び豚肉に係る関税の緊急措置について、1年間適用期限を延長する方向で対応することが適当ではないかということでございます。
3番目でございますけれども、牛肉に係る関税の緊急措置の発動基準数量の取扱いでございます。これは資料の15ページから16ページに掲げてございます。これにつきましては、牛肉に係る関税の緊急措置の発動基準数量の算出基礎が、ウルグアイ・ラウンド合意の際の関係国との協議の結果、原則として、当該年度の前年度の輸入実績とされているものでございますけれども、平成18年度から24年度までの各年度におきましては、牛肉の輸入数量が米国でのBSE発生前の水準に回復したとは言えないような状況の下で、特例として、発動基準数量の算出基礎について、当該年度の前年度の輸入実績又は平成14年度と15年度の輸入実績の平均値のいずれか大きい方としてきておりまして、これにつきましても今後の取扱いについて検討する必要があるというものでございます。
本年度におきましては、冷凍牛肉の発動基準数量の算出基礎につきましては、平成23年度の輸入実績が14・15年度の平均値を上回ったことから、平成23年度の輸入実績となっている一方、生鮮・冷蔵牛肉につきましては、平成23年度の輸入実績が14・15年度の平均値を下回った平成22年度からさらに若干減少しているということで、発動基準数量の算出基礎は14・15年度の平均値となっているところでございます。したがいまして、まだ牛肉全体の輸入が米国でのBSE発生前の水準に回復したとは断言できないのではないかと考えているところでございます。仮に発動基準数量の算出基礎を前年度の輸入実績のみとする考え方に戻せば、今後の輸入動向によっては、BSE発生前の水準以下の輸入数量であっても緊急措置の発動が生じ得ることになりまして、消費者に過度の負担を課すおそれがあることに留意する必要があるということでございます。
これにつきましては、牛肉に係る関税の緊急措置を延長する場合には、発動基準数量の算出基礎の特例を平成25年度においても継続することが適当ではないかという論点でございまして、農林水産省からも継続の要望をいただいているところでございます。
駆け足で恐縮でございますが、次に資料4でございます。1ページの1で、国別・品目別特恵適用除外措置の対象品目でございます。特恵関税制度は、開発途上国を支援する観点から、開発途上国の産品に対して一般の税率より低い特恵税率を適用する制度でございます。しかし、開発途上国からの産品であっても国際競争力が高いものについては、国及び品目を指定して同制度を適用しないことにしております。これが国別・品目別特恵適用除外措置でございますけれども、その基準は、一の特恵受益国、LDCを除きます、の産品であって、過去3年間の平均輸入額が15億円超、かつ、同一物品の総輸入額の50%超であることとしているところでございます。今年度新たに、下に掲げております品目、中国産のものでございますけれども、これらについて、当該基準に該当したため、平成25年4月から特恵税率の適用除外とし、一般の税率を適用することとしたいと考えております。
そこにございますように、関税率表の項番号では54.03というもの、再生繊維又は半合成繊維の長繊維の糸で、原産国は中国、協定税率、特恵税率はそこに掲げているとおりのものです。もう1つが項番号で96.16、香水用噴霧器その他これに類する化粧用噴霧器及びこれらの頭部並びに化粧用のパフ及びパッドで、原産国は中国、税率につきましてはそこに掲げているとおりでございます。
次のページでございますけれども、特恵受益国からの除外でございます。この特恵関税制度におきましては、世界銀行統計の高所得国、1人当たりの国民総所得で見ますけれども、この高所得国に3年連続して該当した国・地域につきましては特恵関税の適用対象から外すことにしてございます。今年度新たにクロアチアがこの基準に該当することになりましたために、平成25年4月より特恵関税の適用対象から外すこととしたいと考えているところでございます。
以上につきまして、御審議賜ればと存じます。
○伊藤分科会長どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして御質問、御意見をいただければと思います。
○小寺委員全体として賛成なんですが、1点お尋ねしたいのは、暫定税率の取扱いの検討としまして、延長の適否とあって、イ、ロ、ハとあるわけです。イもロもハも適用を1年延長すべきだという要素として考えられると思うのですが、ニの「国内政策上の必要性について」は、「時々の政策上の必要性を考慮し、常に見直した上で暫定税率設定の是非を判断する必要がある。」とお書きになっているわけです。今回、さまざまな物品が対象になっていると思うのですが、国内政策上の必要性によって暫定税率が規定されたものについて、今年において見直す必要がないという御判断ですか。「常に見直した」というのは毎年見直すという意味なのか。そのあたりを御説明いただきたいと思います。
○柴ア関税課長資料3−2の6ページを見ていただければと存じます。「暫定税率設定品目」とございますけれども、その一番下にございます「政策上の必要性を常に見直した上で適用を判断する必要がある品目」となっているところに対応して、今、小寺先生からお話がございました国内政策上の必要性についての常なる見直しというのを掲げているところでございます。この常なる見直しという趣旨でございますけれども、基本的に関税の目的自体は国内生産者保護が大きなものとしてある中で、政策的な必要性がある場合に特例として低い税率、暫定税率を設定しているというのがこれらでございます。これらにつきましては、やはり国内生産者保護と政策上の必要性のバランスを常に検討しなければいけないと考えているところでございまして、物資所管省と私どもの間で毎年しっかり検討して見直しをしているということで、今年度も1年の延長を御提案させていただいているということでございます。
○野坂委員牛肉について伺います。政府では、米国産牛肉の輸入規制の緩和の方向だと聞いておりますけれども、仮に緩和された場合、やはりこれまでの状況と異なって、来年度以降輸入は増えるという可能性があるかと思うのですが、その見通しはどうなのか。
仮に来年度以降輸入が急増した場合に、資料3−1の一番最後の6ページ、(2)検討の最後の「前年度の輸入実績のみとする考え方に戻せば」というところですが、「消費者に過度の負担を課すおそれがあることに留意する必要がある。」、この意味するところは、仮に米国産を含めて輸入牛肉が増えた場合において、単純に暫定税率を見直す、その発動要件に当たると解釈しないというふうに読んでよろしいのでしょうか。説明していただけますか。
○柴ア関税課長以上の点につきましては農林水産省から御説明いただきたいと思います。
○寺村大臣官房参事官(農林水産省)農林水産省でございます。
今、委員の御指摘がございました米国産牛肉の輸入条件緩和の国内への影響についてでございますが、これは先般、厚生労働省で食品安全委員会から答申が出まして、米国産輸入牛肉の月齢制限を30か月に引き上げても人体への健康影響については問題ないということで答申がなされました。これを受けた形で今月6日に厚生労働省薬事・食品衛生審議会で月齢緩和の方針が了承されております。今後、厚生労働省のほうで輸入に関する新たなリスク管理措置をこれから検討していくことになっておりまして、今の段階ではまだ具体的な見直しの内容について明らかとなっておりません。
それから、これはまた別の問題でございますが、国際的な飼料価格の高騰で現地価格が上昇しているという話もございます。したがいまして、輸入条件の緩和がどういうタイミングでどのような形で影響を及ぼしてくるかということについて、今の段階で見通しをしていくのは困難かというふうに見ております。市場の状況を監視しながら考えていくことになろうかと思います。
○伊藤分科会長ほかに御意見とか御質問がございましたら……。よろしいでしょうか。
それでは、最後に、この後に予定されています特殊関税部会につきまして事務局より連絡事項がございますので、柴ア関税課長より御説明をお願いします。
○柴ア関税課長当分科会の終了後に引き続き当会場におきまして特殊関税部会を開催いたします。議題は南アフリカ、中国及びスペイン産の電解二酸化マンガンに係る不当廉売関税の課税期間の延長に関する調査の開始についての報告事項でございます。特殊関税部会の委員におかれましては、そのままお待ちいただきますようお願いいたします。また、特殊関税部会の委員の方以外の方でも御関心がございましたら、そのままお席にお残りいただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。
○伊藤分科会長どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして本日の関税分科会を終了いたします。
次回は11月21日(水曜日)の午前10時から、今度は建物が違いますが、中央合同庁舎4号館の12階共用1208特別会議室にて開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
では、これで終わりにしたいと思います。
