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関税・外国為替等審議会 関税分科会 議事録(平成23年10月3日開催)

関税・外国為替等審議会関税分科会議事録

本稿は、平成23年10月3日の関税・外国為替等審議会関税分科会の議事録です。

午前9時58分開会

○伊藤分科会長それでは、時間も参りましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

委員の皆様方には、御多用中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。これから数回にわたり、平成24年度の関税改正検討項目につきまして御議論いただくことになります。

それでは、五十嵐財務副大臣より一言御挨拶をいただきたいと思います。五十嵐副大臣、よろしくお願いします。

○五十嵐副大臣おはようございます。関税局担当の五十嵐文彦でございます。

伊藤先生はじめ委員の皆様方には、いつも大変御指導いただきまして、ありがとうございます。当分科会は、経済情勢の変化等に対応し、関税率及び関税制度をいかに改めていくかということについて専門的な知見を頂戴しておりまして、幅広く御審議をいただいているところでございます。心より御礼を申し上げます。

関税は、言うまでもなく、国内産業保護の要請と消費者利益確保の要請を調整するという重要な政策手段でございます。また、税関手続の整備は、適正な税の賦課徴収や国民の安心・安全を確保しつつ貿易の円滑化を図る上で欠かせないものとなっております。

平成24年度関税改正の検討に当たりましては、まず当分科会におかれまして、関税改正の基本的な考え方、改正案の検討に際して必要となる種々の論点、留意事項等をお示しいただきたいと存じます。これを踏まえ財務省として関税改正案を策定し、政府・与党として決定した上で必要な法改正を行ってまいりたいと考えております。率直かつ忌憚のない御意見を賜り24年度関税改正に活かしてまいりたいと思いますので、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

以上でございます。

○伊藤分科会長どうもありがとうございました。

五十嵐副大臣は、公務がございますので、ここで御退席されます。

〔五十嵐副大臣退席〕

○伊藤分科会長それでは、議事に入ります前に、新たに当分科会メンバーとなられました委員の御紹介をさせていただきたいと思います。本日は御都合によりお見えではございませんが、飛田稔章委員と石毛博行委員が新たに当分科会のメンバーになっておられます。

続きまして、事務局に人事異動がございましたので、柴生田関税局長より事務局の御紹介をお願いいたします。

○柴生田関税局長関税局長の柴生田でございます。

本日は、大変御多忙のところ御出席いただき、ありがとうございます。

また、委員の皆様方におかれましては、常日頃から御指導賜っておりますことを改めて心から御礼申し上げます。

それでは、事務局を紹介させていただきます。

皆様方から向かって私の右隣でございますが、関税局担当審議官の塚越でございます。

○塚越審議官塚越でございます。よろしくお願いいたします。

○柴生田関税局長関税課長の岸本でございます。

○岸本関税課長よろしくお願いいたします。

○柴生田関税局長監視課長の菊川でございます。

○菊川監視課長よろしくお願いいたします。

○柴生田関税局長業務課長の臼杵でございます。

○臼杵業務課長よろしくお願いいたします。

○柴生田関税局長調査課長の柴田でございます。

○柴田調査課長よろしくお願いいたします。

○柴生田関税局長事務管理室長の水井でございます。

○水井事務管理室長よろしくお願いします。

○柴生田関税局長税関調査室長の福田でございます。

○福田税関調査室長よろしくお願いします。

○柴生田関税局長続きまして、皆様方から向かって私の左のほう、伊藤先生の左側ですが、関税局担当参事官の長友でございます。

○長友参事官(関税局担当)よろしくお願いします。

○柴生田関税局長総務課長の藤城でございます。

○藤城総務課長よろしくお願いいたします。

○柴生田関税局長国際協力担当参事官の佐藤でございます。

○佐藤参事官(国際協力担当)よろしくお願いします。

○柴生田関税局長国際調査担当参事官の宇野でございます。

○宇野参事官(国際調査担当)よろしくお願いします。

○柴生田関税局長経済連携室長の日置でございます。

○日置経済連携室長よろしくお願いします。

○柴生田関税局長特殊関税調査室長の秋田でございます。

○秋田特殊関税調査室長よろしくお願いします。

○柴生田関税局長また、本日、農林水産省、経済産業省の方々にも御出席いただいております。引き続き皆様方の左の方でございますけれども、農林水産省大臣官房国際部国際経済課、畠山参事官でございます。

○畠山参事官(農林水産省)よろしくお願いいたします。

○柴生田関税局長経済産業省通商政策局通商機構部、西脇通商交渉調整官でございます。

○西脇通商交渉調整官(経済産業省)よろしくお願いいたします。

○柴生田関税局長以上でございます。よろしくお願いいたします。

○伊藤分科会長それでは、本日の議事に入らせていただきたいと存じます。本日の議題は、お手元にお配りしております議事日程のとおりでございます。

まず、最近の税関行政をめぐる諸問題につきまして、塚越審議官より御説明をお願いします。

○塚越審議官塚越でございます。本日は、税関行政につきましてお話しさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。

「最近の税関行政をめぐる諸問題」と題しております、右肩に「資料1」とある資料を御覧いただけますでしょうか。

まず、表紙を繰っていただきまして、我が国の税関行政を考える上でバックグラウンドとなるものといたしまして、世界経済の成長と我が国の輸出入額の推移につきまして示してございます。1990年以降20年間のトレンドでございますが、御覧いただきますと、左の折れ線グラフにありますように、2000年以降、途上国の高い経済成長率が世界経済を牽引している姿が見られます。貿易統計から見ますと、我が国と成長の著しいアジア諸国との輸出入割合が上昇する一方で、米国の輸出入割合は低下しております。こうした中で、右側の我が国の輸出入額の推移でございますが、輸出入額は2002、2003年以降急速に拡大しておりました。それが2008年半ばのリーマンショックによる世界経済の急速な悪化で、2009年には輸出入額ともに大幅に減少しております。それが2010年には回復を示しまして、ピーク時の8割程度の数字に戻っております。

こうした貿易額の推移の中で、私ども税関行政に直接かかわる輸出入申告件数、空港入国者数の推移ということで、次の2ページの資料を用意しております。下の表で実数が出ておりますが、平成22年では輸入申告件数は1,970万件ほど、輸出申告件数は1,450万件ほどございまして、空港入国者数は2,600万人程度という数字になっております。上のグラフは、平成12年を100といたしまして指数化したものでございます。リーマンショック後の世界経済の影響が輸出入申告件数、空港入国者数ともに反映されておりますが、平成22年はそれが輸出入額と同様戻っているという姿になっております。平成15年のところで空港入国者数が若干減っておりますが、これは鳥インフルエンザの影響でございまして、入国者数は経済的要因だけでないものにも影響されて推移するというのが見て取れるところでございます。

それでは、こうしたバックグラウンドの中で私どもの関税政策、税関行政がどうなっているかということでございます。まず、3ページの資料で全体像を俯瞰していただけたらと思います。3ページの資料を御覧いただきますと、3つの柱が立っております。こちらが関税政策、税関行政における大きな3つの使命と考えているところでございます。財務省関税局におきましては、国際情勢の変化、国内の社会的・経済的な要請に応じまして、制度の不断の見直しを行っているところでございますが、他方で、現場である税関ではその遂行に日々努力しているということでございます。

まず1番目の柱でございますが、これは我が国の成長力・競争力に資するための政策ということで、従来より貿易円滑化の促進には最大限努めてきたところでございます。さらに、現下の文脈では、こちらは昨年6月の閣議決定にございます新成長戦略におけるアジアの成長力を取り込むための改革の促進の一環と位置付けられているところでございます。その下の中段には、当面の取組み、今後の課題としてお示ししておりますが、輸出入港湾・空港手続のITシステムについて、さらにAEO制度についても後ほど御説明させていただきます。その中に「輸出貨物にかかるいわゆる保税搬入原則の見直し」とあるところでございますが、こちらは従来、保税地域、例えば港のコンテナヤードといった定められたところに貨物を入れた後に輸出申告をかけることが制度となっていたわけでございますが、今年の10月1日から、コンテナヤードに入れる前に自社の倉庫等での輸出申告を可能とするという制度でございます。また、成田空港、羽田空港の一体的運用による輸出入申告官署の選択性も今年の7月1日から実施しているところでございます。なお、輸出入申告につきましては、社会経済の要請と環境変化に応じまして規制緩和措置を随時導入しているところでございます。しかしながら、この後述べさせていただきますが、不正通関を防止し国際的なサプライチェーンのセキュリティを確保するという観点から、輸出入許可制度自体は実効のあるものとして維持していくことが必要であると考えております。

2番目の柱は、財政面での役割でございます。税関は、消費税などの内国税の徴収機関としても重要でございまして、関税、内国税合わせて全体の約1割を税関で徴収しているところでございます。したがって、公正公平な課税というものは重要な使命であるわけでございます。詳しくは後ほどまた述べさせていただきますが、関税につきましては財政目的というものでは既になくなっておりまして、それ自体は産業保護、さらには途上国支援、環境政策といった政策の要請で関税率が設定されているところでございます。また、関税率やそのほか関税額を決定する上での国際的なルールにつきましては、WTO、WCO、EPAなどによる国際交渉によって決まる側面が大きいということを付言させていただきます。

3番目の使命は、日本国民の安全と健康、さらには財産を脅かすものが国内に持ち込まれることがないようにする、さらには、国際社会の平和と安全の維持に支障となるようなものが国外へ持ち出されることがないようにするといったことが私どもの使命となっているわけでございます。当然とお考えだと思いますが、これを貿易円滑化といかに両立させていくかというのが私どもの使命の中で大きな課題でございます。なお、水際取締りにつきましては、当然のこと、警察、海上保安庁などの関係機関との協力、さらには海外の税関当局との協力が、情報収集という面、それから実際の執行という面でも必要不可欠になっておりまして、密なる連携を図っているところでございます。国民の安全・安心の柱についても後ほど御説明を詳しくさせていただきます。

それでは、それぞれの柱について若干説明させていただきます。11ページの資料、まず貿易円滑化に関わる2つのトピックスについて御説明したいと考えております。

11ページの資料でございますが、AEO制度に係る状況でございます。AEOという名前につきましては、既にお聞き及びのことと思いますが、Authorized Economic Operator、訳しまして認定事業者、これの英文名の頭文字をとりましてAEOと呼んでおります。後でも触れますが、税関・関税当局の国際的な集まりでありますWorld Customs Organization(WCO)の場で採択されました「国際貿易のための安全確保及び円滑化のための基準の枠組み」でも中心的な制度となっております。従来から国際物流の円滑化の要請に加えまして、いかに国際的なサプライチェーンのセキュリティを守っていくかということが課題となっており、特にその要請は2001年の米国同時多発テロの後非常に大きな要請となっているところでございます。

それでは、AEO制度とは何かということでございますが、資料の中ほどに「AEO制度とは?」とございます。税関が、民間事業者のうち、コンプライアンス及びセキュリティ確保を自主的に進め、それが十分であると私ども税関として認められる輸出入者等とパートナーシップを構築いたしまして、国際物流の円滑化とセキュリティの確保の両立を図るものとしております。我が国では、国際標準に則したものといたしまして平成18(2006)年3月に導入し、その後、輸出入者以外の事業者にも順次拡大しております。本年9月末現在で事業者数は455者となっております。国際物流が急速に拡大する中で貿易円滑化を促進しつつ適正な取締りを実現するためには、税関行政の内部から見ますとリスク管理を高度化する必要がますます重要となっております。AEO制度は、コンプライアンス、それからセキュリティの確保を自主的に進め、それが十分であると税関が認める輸出入者等を対象とすると申し上げたところでございますが、税関としましては、こうしたAEO事業者をある意味では別格扱いといたしまして、その一方で、不正輸出入を行うリスクの高い輸出入者、さらにはそういった輸出入者にターゲットを絞るという私ども税関のオペレーションに集中することができるということで、これはリスク管理の一つの手法であるというふうにも考えている次第でございます。

そうしたAEO制度の取組みは諸外国でも進められているところでございまして、相互に満足のいくAEO制度を導入し適切に運用していると認められる国同士でAEO制度の相互承認が進んでいるところでございます。こうしたAEO制度の運用面でも制度面でも十分に発展させている国と連携することは、国際的なサプライチェーンの安全策としても非常に重要だと認められているところでございます。

次に12ページの資料でございます。12ページに我が国の相互承認の状況について御説明しております。我が国は2008年5月にニュージーランドと相互承認を署名いたしまして以降、米国、EU、カナダ、韓国、シンガポールと現在までに6カ国と署名を済ませております。米国・EUも積極的に相互承認を進めているところでございます。濃い青色の矢印で示しておりますのは相互承認が既に終わっているところ、淡いブルーが交渉中でございます。既に相互承認が署名されているということで言えば、米国が5、EUが4でございますので、日本は現在最多の6になっております。AEO相互承認制度では、相手国の制度及び運用が十分に信頼に足るものであることが必要でありまして、相互承認をさらに広げるに際しましては、まずはアジア諸国を中心に制度の研究、構築に対する支援を行っていく必要があると考えております。

同じく貿易円滑化の柱に関しての2番目のトピックスといたしまして、資料の13ページを御覧いただきたいと思います。こちらは、先ほど申しましたように、輸出入・港湾空港手続関連のITシステムの利便性の向上でございます。こちらにNACCSとございますのは、中段の参考1にございますように、英文名のシステムの名前の頭文字をとりましてNACCSと呼んでおります。昭和53年、Air−NACCSが航空貨物に導入されて以来、税関及び関係事業者の間では非常に親しまれている名前でございますので、こちらの名前を使わせていただきます。最近におきまして、平成22年でございますが、Air−NACCS、従来は空と海で物流の流れが違ったものですから別途展開していたシステムを一本化しております。それに併せまして、コンピュータへの1回のアクセスで通関関連手続、それから港湾関連手続を行うことが可能となるシングルウィンドウにつきましても、空と海のシステムを統合しましてシングルウィンドウ化が完成しております。さらに、輸出入・港湾関連手続のシングルウィンドウ化を一層進めるために、関係省庁のシステムをNACCSへ順次統合を進めているところでございます。平成25年10月には、動植物検疫及び食品衛生に係る手続がNACCSに統合されることによりまして、システム統合が完了する見込みとなっております。NACCSは、これまでの実績によりまして利用者から高い信頼を得ております。そうした信頼を確保した上で、国際物流プラットホームとしての利便性を向上させ、さらに海外にも展開することが期待されているところでございます。

それでは、恐縮でございますが、また資料の4ページ目に戻っていただきまして、引き続き御説明をさせていただきます。4ページ目からは、先ほど触れました財政面における私どもの使命を遂行している上での資料でございます。

まず、関税等収納額等の推移でございます。左側のグラフ、下の表を御覧いただきたいのでございますが、平成22年度の税関における収納額は約5兆円となっております。リーマンショック後の世界経済の低迷から平成21年度に前年度比で18.2%落ち込んでおりますが、それが平成22年度には10.8%戻っているということでございます。結果としまして、右上の折れ線グラフにございますように、国税全体の11.4%の収納を税関が行っていることになります。

次に5ページ目でございますが、輸入事後調査に係る状況を5ページ目にお示ししております。輸入事後調査と申しますのは、輸入が許可され、既に貨物が引き取られた後に税務調査を行うということでございます。迅速で円滑な通関の要請から、通関時に時間をかけて審査をすることには限界がございます。したがいまして、適正な通関と円滑な通関を両立させる上で事後調査はますます重要になっていると考えるわけでございます。過少申告・無申告加算税が平成9年に導入されておりますが、平成18年には2つほど制度を改正しております。まず、重加算税を導入しております。2番目に、関税について課税処分を行うことができます国の権利の存続期間(除斥期間)を2年から3年に延長しております。こうしたことから、平成21事務年度では申告漏れがあった輸入者数は4,356者、関税・消費税の追徴額は約145億円で過去最高になっているところでございます。

次に、国民の安全・安心を守るという使命の柱の御説明に移らせていただきたいと思います。資料の6ページを御覧いただきたいと思います。不正薬物取締りに係る状況についてお示ししております。左上のグラフを御覧いただきたいのですが、不正薬物の平成17年以降の押収量の推移を示しております。平成19年までは、青色で示しておりますが、大麻が中心であったわけでございます。それ以降は赤色で示している覚醒剤がその中心になっております。左下のグラフは、エクスタシーという名前で呼ばれておりました幻覚剤、MDMAでございます。平成19年に押収量が急増したのでございますが、その後急減して、平成22年には押収量がゼロになっております。右の円グラフでございますが、平成17年から平成22年の期間で傾向の違いが見られる前半3年と後半3年につきまして、全体の押収量に占める水際での取締り量を見たものでございます。最初が覚醒剤でございますが、直近3年間で急拡大した覚醒剤の押収量は、水際で98%押収しております。他方、真ん中の欄、大麻でございますが、減少傾向にございまして、水際での押収量も大きく減少し、その比率も20%に低下しているところでございます。これには、大麻の栽培が比較的容易であるということで、一部は密かに国内で生産されるようになったのではないかという観測もあるところでございます。いずれにせよ、税関が水際で覚醒剤を止める、不正薬物を止めるという使命は非常に重要なものであるという認識を持っております。

次の7ページ目は、不正薬物のうち、今申しましたように近年急拡大している覚醒剤に焦点を絞り、さらに件数でいくと8割程度が航空機旅客で持ち込まれておりますので、そこに焦点を合わせた説明をさせていただきます。左上の折れ線グラフは覚醒剤の密輸入摘発件数、棒グラフが押収量でございます。平成22年で摘発件数が119件、押収量が235キログラムで、航空機旅客による覚醒剤の密輸入の最高となっております。左下のグラフは、その押収された覚醒剤の主な仕出地域の推移でございまして、ピンクと青の縦縞が中国でございます。これまで中国からの割合が最大だったのでございますが、現在平成22年は、濃いグリーンで示しておりますアフリカ仕出しが急増しているところでございます。右の図は、このアフリカの国ごとの押収量の比較を見たものでございます。赤い棒グラフが平成22年の数字でございますが、従来よりアフリカからの覚醒剤の仕出国として中心だったのは南アフリカだったわけでございますが、これに加えまして平成22年ではベナン、ナイジェリアを中心とする西アフリカ地域からの押収量が急増しているのが見てとれるところでございます。仕出地域はアフリカではございますが、日本へは欧州あるいは中東を経由して、欧州国籍者のいわゆる運び屋を使って密輸を企てるケースが増加しております。その手口も、体内に隠匿する、要は、嚥下して隠すといったような手の込んだものになってございます。このように、密輸ルートが多様化する、運び屋の国籍も多様化する、隠匿手口も巧妙化している、さらに格安航空券による入国者数も今後増加すると予測されるところでございまして、税関としては一層の警戒が必要であるというふうに考えております。

次の8ページ目には知的財産侵害物品に係る状況をお示ししております。これは国民の財産が外から入ってくるものに侵害されるということであり、税関としてもその取締りには力を入れているところでございますが、左の棒グラフの濃い青が件数、薄い青が点数になっております。件数で見ますと、平成19年から22年まで4年連続で2万件を超える水準にございます。なお、件数では全体の95%以上が郵便を使ったものでありまして、1件当たりの差止点数自体は少なくなる傾向がございます。差止件数を仕出地別に見ますと、右の折れ線グラフでございます。赤が中国、青が韓国で、平成18年では両国ほぼ並んでいたわけでございますが、現在は中国来が90%以上ということで、一極化の傾向が見られるところでございます。

次に、9ページ目の資料は、関税局・税関におけるテロ・北朝鮮対策の取組みについて少しくまとめたところでございます。

最初の「北朝鮮対策」でございますが、北朝鮮に対する輸出入の全面禁止措置を受けまして、税関では厳正な通関審査を実施しているところでございます。さらに、北朝鮮向けの現金の持ち出しが昨年には10万円まで、その届出を要する金額が下げられておりますので、こうした現金等の持ち出しについても適正なコントロールをしているところでございます。さらに、昨年には貨物検査法が施行されております。こちらは大量破壊兵器などが北朝鮮との間で移転することを阻止するものでございまして、海上保安庁と適切な連絡、協力体制を敷いているところでございます。

次に、テロあるいは全般的なテロ対策の関係法令の整備について述べてございます。まず、外国貿易船、外国貿易機、外国貿易機は貨物を積んでまいりました一般の旅客機も該当するわけでございますが、こうした積荷の情報を入港前に、日本に入ってくる前に税関に提出するということは平成19年2月以降義務化しております。さらに、より詳しい積荷情報についても入港前に求めることができるとの規定が置かれているところでございます。航空機、船舶の乗組員、乗客のリストにつきましても、入港前に税関に提出することが義務化されております。さらに、本年10月1日からでございますが、航空機旅客の予約記録を求めることができるという規定が置かれております。なお、テロの未然防止策といたしまして、爆発物、火薬、化学兵器製造関連物資、生物テロに使用されるおそれのある病原体などにつきましては、輸入禁制品に追加する旨の法律改正が行われたところでございます。

通関体制の強化・検査機器の整備と述べておりますが、従来より、輸出に関しましても、輸出貿易管理令で規制されている武器、大量破壊兵器が国際社会の平和、安全を脅かすことのないよう取締りを行っているところでございます。さらに、米国同時多発テロ以降、国際的にテロ行為を未然に防止するために、不審物の不正輸出入阻止を目的とした体制が強化されているということでございまして、我が国もその例外たり得ないというふうに考えているところでございます。

最後になりますが、10ページの資料を御覧いただきます。貨物の安全に関する国際的な動きを少しく整理させていただきました。一番上にございますラインはWCO、先ほど申しましたが、各国の関税・税関の当局が集まって、通関などの制度について国際的な協調を図るために、原則、基準、ガイドラインなどを策定している組織でございます。本件、貨物の安全に関する制度につきましては、まず2005年に「国際貿易の安全確保及び貿易円滑化のための基準の枠組み」の整備が始まりまして、累次改訂し、最終版は本年6月に採択されているところでございます。内容といたしましては、事前に貨物情報を税関に提出する制度、AEO制度に係るもの、この2つが中心になっております。こうした基準の枠組みの策定の発端は、申すまでもなく、2001年9月11日の米国同時多発テロであったわけでございますが、米国はいち早く2001年11月にはC−TPATと呼ばれております、AEO制度の先行形態となる制度を導入しております。翌2002年10月には米国向け海上コンテナ貨物について、貨物の情報、積荷情報を外国での船積み24時間前に米国の税関に提供することを義務づけるルールが導入されております。さらに、2009年1月には、船積み24時間前ルールと呼んでおりますが、それを補完するものといたしまして、輸入者からは10項目、船社からも2項目の追加データの提出を義務づけているところでございます。ECにつきましては、2005年にECの関税法を改正しまして、2008年にはAEO制度を導入、本年1月から米国同様の海上コンテナ貨物に関します船積み24時間前ルールを導入しているところでございます。

日本につきましては、既に御説明いたしましたように、AEO制度は2006年3月に導入しております。累次、対象事業者を拡大しているところでございます。他方、積荷事前情報報告につきましては、2007年2月以降義務化しているところでございます。ただ、米国、ECの事前貨物情報制度との違いは何かと申しますと、他の運送形態についてはほぼ同様でございますが、海上コンテナ貨物に関しては、米、ECでは外国の積み出し港において船積みされる、あるいは出港される以前に情報提供を義務づけることとなっているのに対しまして、日本では日本への入港前の情報提供が義務づけられているという点でございます。

最近の動きを見ますと、米国のラインの最後にございますが、ACAS(Air Cargo Advanced Screening)、航空貨物の事前スクリーニングが海上コンテナ貨物の事前情報通報制度に加えて検討されているところでございます。まだ限定的試行段階でございます。ただ、こうした航空貨物についての事前情報の入手のタイミングを早期化しようとする動きは、昨年10月末にイエメン発米国宛の航空貨物の中から爆発物が発見された事件、幸い、爆発物自体は英国及びアラブ首長国連邦の空港で押さえられまして大事に至らなかったわけでございますが、この事件を契機に高まってきており、併せて航空貨物の安全に対する警戒感が欧州、米国の税関当局では航空当局とともに非常に高まっている状況でございます。さらに、国際的にはアル・カイダがアラビア半島、北アフリカ、東南アジアあるいは欧州と分派活動を展開しているという観測がございまして、テロに対する警戒感は依然として強いわけでございます。WCOの場でも航空貨物の事前情報制度のあり方について議論が始まっているというのが昨今の状況でございます。

私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

○伊藤分科会長どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等ございましたらいただきたいと思います。

○野坂委員説明、ありがとうございます。

12ページのAEOについて質問したいと思います。中国と協議・研究中ということですけれども、協議の現状、どこまで進んでいらっしゃるのか、また今後の見通しについて伺えますか。

○塚越審議官御質問いただき、ありがとうございます。

12ページを御覧いただきたいのですが、詳細につきましては国際担当の参事官等から御説明があると思います。現在、中国との枠組みにつきましては、日中韓の関税局長・長官会議の枠組みがございますし、その他いろいろな会議の中で議論されていると認識しております。国内の担当、AEO制度自体を担当する者といたしましての私の認識でございますが、まだまだ情報交換をし、相手国の制度を研究するといった段階であると認識しております。したがいまして、例えばここにマレーシアについては協議・研究中とございますが、マレーシアのようなレベルまではいっていない状況でございます。もし私の認識が間違っているようでございましたら、国際担当の方から訂正していただけたらと思っております。

○日置経済連携室長日中韓のFTAの共同研究を担当しています。私、その税関手続の議論にも参加しておりますが、AEOについては日中韓FTAの枠組みでも将来的にやっていこうという方向で議論しております。日本と韓国との間ではすでにAEOはあるわけですが、中国との間でも、両国が主導的な立場に立って進めていこうということになっております。先ほど審議官からの説明がございましたように、中国との協議の現状についてですが、AEOの導入に当たっては、技術的には、例えばNACCSのようなシステムをきちんと導入しなければいけない。それに加えて、法令をちゃんと執行しなければいけない。それも全国的に統一的な法令を制定しても、現場がしっかりとその法令を執行しなければいけない。いろいろな面で我々も支援をしつつ、かつ執行を担保していくところをかなり重視して、それを確かめながら進めていきましょうということになっております。AEOの相互承認は、目標としてはもちろん掲げていくということでございますけれども、実施できる段階であるかどうか、実態を踏まえながら進めていきたいというふうに思っております。

いずれにしろ、今、日中韓の議論のレベルは共同研究ということでございますので、早く交渉入りできるように、共同研究を進めつつ、交渉に入った段階では、先ほど言いましたように執行の実態的な確認をしつつ、AEOの実現に向けて我々も頑張っていきたいというふうに思っております。

○川島委員2つ質問がございまして、5ページ目の「輸入事後調査に係る状況」で、この棒グラフで、調査を行った輸入者、そのうち申告漏れのあった輸入者というのがあります。この7割ぐらいが申告漏れのあった輸入者となっておりまして、相当の歩留まりといいますか、調査するとこれだけ申告漏れが出てくるということで、この割合についてどのように評価をされているのか。そもそも申告漏れというのが、調査がなければ申告漏れした者が得をするような仕組みになっているのか、そうでなくて、申告自体の制度上何らかの課題があるのかというのを1点教えてください。

もう1つは、8ページ目になります。「知的財産侵害物品に係る状況」ということで、ここでは中国、韓国の例が出ておりまして、構成比の推移、これだけ中国の差止件数が高いということで、中国に重点を置いた何らかの対策などを講じられているのか。あれば、教えていただきたいと思います。

○塚越審議官まず、5ページ目の事後調査に関する資料でございますが、必要とあれば、また担当の者から補足させます。

なぜ、かなり歩留まり率が高いのか。事後調査の手法の詳細については、やや企業上の秘密がございますのでつぶさにはできないわけでございますが、当然ある程度怪しいと思った輸入者を狙っていく、リスク管理的な手法を用いていると言うことができるかと思います。

もう1点、それでは、申告しなかった者が得するような制度になっているかということでございますが、ある意味で御質問は、内国税もそうでございますが、申告納税制度の抜本にかかわる問題でございます。基本的にはそういったことがあり得ないようにする。したがいまして、先ほど申しましたが、昔ですと、貨物を止めて通関時に一々チェックしたものを、今そうしたことは不可能になっているので事後調査という形に落としておりますが、例えば制度面、先ほど申しましたように、重加算税等を導入する、それから除斥期間も広げている。先ほど御紹介いたしませんでしたが、内国税と並びになっておりますので現在まだ国会の方でご承認いただいていないのでございますが、内国税、所得税法等の改正が通りましたら、除斥期間も今の3年からさらに5年に遡れるようになります。そういった意味では制度面の補強。それから先ほど、AEO制度の導入によって、ある程度人員を他のリスクの高いものに回していけると申したわけでございますが、この事後調査には人員の配分も近年増加させております。税関定員が抑えられておりますので急増というのはちょっと無理なのでございますが、人員を張りつけるといったような対応で、先ほど御指摘があったように、申告しなかった者が得することはあり得ないようにしているところでございます。

○柴田調査課長ただいま審議官が申し上げたとおりでございますけれども、税関におきましては、輸入事後調査の実効性を確保する観点から、関税、消費税額の納税が一定額以上ある輸入者の把握に努めておりまして、その総数は約5万者という状況になっております。この把握している輸入者の中から輸出入の取引規模、あるいは過去の申告漏れの実績、新規輸入者であるか否か、さまざまな要素を勘案して選定しており、21年度で申し上げますと約6,000者に対して調査を行ったということであります。限られた人員の中ではございますけれども、できるだけ効率的、効果的な調査に努めているところで、毎年度工夫して調査計画を立てているところでございます。

さらに、21年度、申告漏れのあった輸入者が非常に多かったことについては、1つは、税関サイドの積極的、効率的あるいは効果的な努力、調査というものがあったと思います。また、近年、特に生産の海外委託とか、仲介者の介在とか、国際取引の複雑化、こういった申告すべき内容が複雑化していて申告漏れが生じやすいことも要因の一つになるのではないかというふうに考えております。

○臼杵業務課長知的財産侵害物品の関係で中国の比率が上がってきている事実がございます。先ほども国際的な枠組みの中で説明しましたとおり、日中韓の間では関税局長・長官会議等の枠組みがございまして、その下のワーキンググループ等の場で積極的に情報交換するとともに、知的財産侵害物品取締りの強化を申し入れたり、こういう制度を導入したらいいのではないかなど中国に慫慂して、なるべく知的財産侵害物品に対する中国の中の習熟度を高めるような努力をしているところでございます。

○青山委員 私も5ページに関して、川島先生から御質問していただいたのである程度理解できたのですけども、除斥期間が2年から3年になってかなりの効果が発生しているとすると、3年から5年になればもっと期待ができるということになるのでしょうか。

それから、今御説明いただいてあらかた分かったのですけれども、こういう状況というのは、悪意で申告をしないのか、あるいは過失で、単純にしにくい、分かりにくいということで、悪意でなくて、し損なっているのか、そういう点がお分かりになりますでしょうか。お願いいたします。

○柴田調査課長期間の延長ということに関しましては、そういうのが見込まれる部分もあるというふうに考えております。

また、悪意か否かという点につきましては、先ほど若干説明しましたけれども、近年の国際取引の複雑化で、諸々の申告漏れで、本来申告すべきものを忘れていたとか知らなかったといったものは相当あるのも事実でございます。他方で、先ほど審議官から重加算税制度についても説明がありましたけれども、この重加算税制度の対象というのは、隠ぺいとか、あるいは仮装を装うような悪質な事案に対してペナルティを科すものでございまして、平成17年に導入以来そういう悪質な隠ぺいの事例も見られてきているところではございます。

○塚越審議官1点だけ補足させていただきますと、こちらは御紹介する時間がなかったのですが、事前教示という制度をあらかじめ持っております。例えば関税の場合ですと、どういった品目に分類するかということで関税率が変わってまいります。そういったことについて事前に教示するという制度を入れる。それから、その他課税の評価、この価格をどう考えるかといったことにつきましても事前教示の制度を導入しておりまして、基本的には申告納税制度の下で申告者が自らコンプライアンスを保っていただくことを広めたいというふうに考えているところでございます。

○伊藤分科会長他によろしいですか。

もしございましたらまた後で御発言していただいても結構だと思いますけれども、時間でございますので、続きまして、最近の関税をめぐる国際的諸問題につきまして、長友参事官より御説明をお願いしたいと思います。

○長友参事官では、私から、最近の関税をめぐる国際的諸問題、本日は3点に絞りまして御説明を申し上げたいと思います。「資料2」と書いてあるものでございます。

1ページ目を御覧いただきたいと思いますが、第1点目といたしまして、WTOドーハ・ラウンド交渉の現状について御説明申し上げます。この1ページ目の資料は、これまでのドーハ・ラウンド交渉の経緯を左から右にかけまして時系列的に掲げているものでございます。これを御覧いただくとお分かりのように、2001年11月に開始され、現在も行っておりますドーハ・ラウンド交渉は今年で10年目になります。

資料の3ページ目につけておりますが、農業であるとか、非農産品市場アクセスであるとか、サービスであるとか、こういった8分野を一括受諾することを目指してこれまで交渉が行われてきたわけであります。

最近の動きでございますが、この資料の右の方でございます。昨年11月に横浜で開催されましたAPEC首脳会議あるいはソウルで開催されましたG20サミットにおきまして、ドーハ・ラウンド交渉を2011年までに妥結する目標に向けまして交渉を加速させようということで合意があったわけであります。こうした合意を受けまして、本年に入りましてからもジュネーブにおきまして集中的な協議が行われてきたわけでありますけれども、構図としては、アメリカと中国、インド、ブラジルといった新興国との間の対立を解消するには至らずに、本年4月にはラミーWTO事務局長も「現状では橋渡しできない明確なギャップがある」と指摘するような状況に至っております。今年5月には、ここの一番右側に書いておりますけれども、G8ドービル・サミット等におきましても、交渉の現状に深刻な懸念があるということが各国の共通的な認識になっているわけであります。こうしたサミット等の動きも受けまして、夏休みを挟みまして協議はさらに継続しているわけでありますが、結論から申し上げますと、もはや現段階では本年内のラウンド交渉の妥結は事実上断念せざるを得ない状況になっております。

こうした中で、資料の一番下に書いておりますけれども、今年12月15日から17日、第8回目のWTO閣僚会議がジュネーブで開催される予定になっております。具体的な議題等はまだ定まっていないわけであります。来年は選挙の年といわれ、アメリカも大統領選挙がございますし、自由化交渉を行うには政治的になかなか難しい時期になるわけであります。現在スタックしている感じがございますドーハ・ラウンド交渉をどんな段取りで、どんな日程で、どんな形で進めていくのか、こういったことについても議題になるのではないかと観測されているところであります。

いずれにいたしましても、ドーハ・ラウンド交渉はこういう状況でございますけれども、各国の共通の認識といたしましては、そうはいってもWTOの信頼性を守らなければいけない、あるいはドーハ・ラウンド交渉がこのまま漂流するといった事態は避けなければいけない、そのために何かしなければいけないというような危機感というか、そういった意識では各国おおむね一致していると言ってもいいのではないかと思っております。

以上が第1のテーマのドーハ・ラウンド交渉の現状でございます。

資料の4ページ目を御覧いただきたいと思います。2点目は、EPA交渉の現状について御説明申し上げます。まず、個々のEPA交渉について申し述べる前に、若干のおさらい的なことを申し上げたいと思います。そもそも貿易自由化の道には大きく言いまして2つのルートがあるかと思います。たった今ドーハ・ラウンド交渉について申し上げたところでありますけれども、1つ目はWTOといったマルチの場を通じた貿易自由化でございます。我が国は、伝統的にGATT体制というか、WTO体制というか、こういった形の多国的な自由貿易の場を重視するということでやってまいりました。しかしながら、4ページ目の左の方で「WTO=世界貿易機関」と書いておりますが、何といいましても加盟国が国・地域で153と非常に多くございます。あるいは、その構成も先進国から後発途上国まで非常に幅広い国々が参加していることがありまして、非常に利害の調整が大変でございます。なかんずく、この10年、中国、インド、ブラジルといった新興国のプレゼンスが非常に国際的に高まる中で、なかなか交渉が進展しづらい面があることは先ほど来申し上げましたドーハ・ラウンド交渉の現状が示すとおりであります。

そこで、マルチの場を補完する場として最近注目されておりますのがFTA、EPAでございます。そもそも国際貿易におきましては、WTOルールにおいては、他の全加盟国に対して関税を等しく適用する、最恵国待遇と言っておりますけれども、これが国際貿易の一種の原理原則でございます。しかしながら例外はございまして、構成国間の実質上全ての貿易について妥当な期間内に関税を撤廃する、こういった一定の条件を満たす場合にはFTAが認められるわけでございます。そこで、4ページ目のポンチ絵の右の方でございます。ここには上にFTA、下にEPAと書いております。これは言葉の定義の問題でございますけれども、FTA(自由貿易協定)というのは、現在、国際的に一般的に使われている呼び方でございます。もともと狭い意味でのFTAというのは、名のとおり自由貿易協定でございますので、一部の国・地域の間だけで物とサービスの貿易を自由化する協定でございます。一方、EPA(経済連携協定)は日本が伝統的に使っている用語でございますけれども、これはFTAより若干意味が広うございまして、物・サービスに加えまして投資であるとか、規制緩和であるとか、制度であるとか、人の移動とか政府調達、こういった諸々の幅広い関係もカバーするものをEPAと言っております。

ただし、現在各国で結ばれておりますFTAは、いわゆる物・サービスの貿易以外のエレメントも含むのが通例でございますので、現実問題といたしましては、FTA、EPAはほぼ同義だと考えていただいてよろしいと思います。

なぜFTAか、なぜEPAかというメリットでございますが、3点挙げられると思います。第1点目、FTAのメリットでございますけれども、WTOのドーハ・ラウンドについては、先ほど来申し上げているわけでありますが、153の国・地域という取り組みに比べますと、2国間の場合は交渉相手が1カ国でありますし、交渉相手が非常に少ないわけでありますので、機動的な対応が可能でございます。第2点目といたしましては、WTOでは必ずしもカバーできない分野におけるルールづくりができるということで、カバレッジが広い連携が可能なわけであります。第3点目でございますけれども、限られた数の国あるいは地域の間での協定でございますので、貿易の自由化一つとりましても、両国間の経済関係の実態を考慮いたしました質の高い約束というのでしょうか、レベルの高い約束、深掘りが可能だといったメリットがあります。

こういったようなFTA、EPAのメリットはWTO交渉が非常に難しくなっている現状におきまして非常に有益であると考えられておりまして、我が国といたしましても貿易自由化あるいは経済の活性化を迅速に推進する立場から、このFTAあるいはEPAにつきましてもWTOと同時並行的に推進すべきものという方針に至りまして、資料の5ページ目につけておりますけれども、まずはASEAN加盟国でありますシンガポールと2001年から、NAFTA締約国であるメキシコとは2002年から順次EPAの交渉を行うこととしたわけでございます。

そこで、5ページ目に現状、日本と各国とのEPAの進捗状況について資料をまとめております。ここの資料のインドから上でございますけれども、12の国あるいは地域との間では全て発効済みでございます。それから、ペルーとの間では本年5月に署名を済ませておりまして、現在批准待ちとなっております。それから、韓国以下の部分は、現状、交渉中ないし交渉に先立って行います共同研究といったような一連の準備作業中にあるものでございます。いずれにせよ、仕掛かり品というのが下の国々でございます。これにつきましては後で若干触れたいと思います。

資料の6ページ目を御覧いただきたいと思います。このように、日本といたしましてもこの10年間経済連携の取り組みを強化したわけでございますけれども、やはりこれまで締結している国はASEANの国々が多くございます。また、貿易相手としてはやや小粒の国が多いわけでございます。その一方で、お隣の韓国を見ますと、ここは近年、非常に戦略的に主要国との間でのFTAを積極的に推進しております。例えば、韓EU・FTAは今年7月に暫定発効しております。あるいは、アメリカとの間の韓米FTAも現在批准待ちといった状況まで立ち至っているわけであります。こうした状況を踏まえまして、日本政府も今後のEPAの取組みに関して幾つか基本方針を策定しております。それが6ページ目の上に掲げておるところでございます。

1点目は、昨年11月に閣議決定されました「包括的経済連携に関する基本方針」でございます。ここでは幾つかのことを言っているわけでありますが、ここにサマリーを載せております。1点目は、世界の主要貿易国との間で高いレベルの経済連携を推進しよう。2点目としては、同時に抜本的な国内改革を先行的に推進する必要がある。3点目といたしまして、高いレベルの経済連携の推進と我が国の食料自給率の向上等々を両立させるために、持続可能な力強い農業を育てていこう。4点目といたしましては、TPPに関しましては情報収集を進めながら対応という点でございます。

これが昨年11月の閣議決定でございますが、その後、御承知のように大震災もございまして、今年8月に閣議決定された「政策推進の全体像」の中でやはり経済連携について触れた部分がございます。ただし、ここに掲げている3点でございますけれども、基本的な考え方といたしましては昨年11月のものとそれほど大きく変化はございません。すなわち、高いレベルの経済連携を推進していこう。国と国との絆の強化に関する基本的考え方及び進め方を、大きな被害を受けている農業者、漁業者の心情等に配慮しつつ検討すること。2点目といたしまして、TPPの関係については、ここに書いてあるように、総合的に検討し、できるだけ早期に判断する。3点目といたしまして、農業対策でございますけれども、ここは震災の関係がございまして、当初の工程は若干後ろ倒しになっているわけでございます。6月基本方針、10月行動計画ということはなかなか進め難くなったわけでありますが、新たな工程は日本再生全体のスケジュール等を踏まえて検討するという形になっているわけでございます。これが現状、日本政府のEPA等の取組みに関する基本方針なわけでありますが、足元、幾つか個々のEPA交渉で動きがあるものもございますので、若干御説明いたしたいと思います。

6ページ目の資料の下の方でございます。「EPA交渉等への取組み状況」の中で申し上げたいのは、第1点目が対EUのEPAでございます。これにつきましては、震災後の今年5月でございましたが、日EU定期首脳協議におきまして、交渉のためのプロセスを開始することが合意されているわけであります。具体的にどういうことを今後行うかといいますと、私どもはスコーピング作業と言っておりますが、将来のEPA交渉の範囲というか、スコープを確定させる作業を共同で行うということでございます。これは現実問題といたしまして今週中にも行うわけでありますけれども、EUとしては、このスコーピング協議と並行いたしまして各加盟国から交渉開始入りのマンデートを取りつける作業が行われる見込みでございます。それが対EUでございます。

それから、その1つ下に書いております日中韓FTAに関しましては、昨年5月に第1回目の共同研究会合が開催されております。その後、順次、共同研究会合を重ねてきたわけでありますが、震災後の今年5月の日中韓サミットにおきまして、この共同研究を今年いっぱいに終わらせるということで決定されております。その後、本年8月から9月にかけて第6回目の共同研究会合が開催されまして、現在、12月の最終会合を目指しましていろいろな作業を進めているところでございます。

もう1つ、これは直近の情報だと思いますけれども、コロンビアと書いてあります。野田政権発足後、9月に入りましてコロンビア大統領が訪日されました。その際に日コロンビア間で首脳会議がございました。その場で共同研究の開始について合意がなされておりまして、現在、年内に第1回目の会合を開催する方向で調整中でございます。

3点目、政策協議、NACCSの海外展開につきまして最近の動きを御説明いたしたいと思います。資料の7ページ目でございます。時間の関係で若干端折った説明になると思いますが、お許しいただきたいと思います。本年4月カンボジアで初めての日ASEAN関税局長・長官会合が開催されました。その際に何が決まったか、議長声明のポイントということで掲げております。第1点目は、アジア・カーゴ・ハイウェイ構想を共通目標として2020年までに実現させよう、その構想の実現のために個別目標を達成させようということで、AEOの関係、シングルウィンドウの関係でそれぞれ目標を設定しております。そして、こうした構想を実現するために、議長声明のポイントの下から2番目でございますが、ADB、JICA、WCOが一体となって努力を支援しようという内容になっております。

これをポンチ絵にいたしましたのが8ページ目でございます。「アジア・カーゴ・ハイウェイ構想」と書いております。日本税関・アジア各国の税関を繋ぐわけでございますが、まず第1の目標といたしましてAEO制度をアジア各国に導入しようという取り組みでございます。AEO制度につきましては、先ほど来御説明がありましたので省略いたしますが、ASEAN各国でAEO制度を導入済みの国もありますし、まだ準備中、一応は導入したけれどもまだ非常に未成熟である、あるいは実績が少ないと、国によって様々でございます。1点目は、まずAEO制度のしっかりしたものをアジア各国に導入しよう。2点目は、先ほどもお話が出ました、将来的にはお互いに信頼に足るAEO制度ができた前提で各国と相互承認に持っていきたい。以上がAEO制度の関係でございまして、3番目は各国にシングルウィンドウを構築する。アジア各国で税関業務のIT化、あるいはシングルウィンドウ化の進展は非常にまちまちでございます。各国にしっかりしたシングルウィンドウを導入しようというのが第3点目でございます。その上で第4点目、日本と相手国のシステムを連携して、例えばインボイス情報であるとか、輸出許可情報であるとか等々の電子的な情報交換を行いたいということでございます。こういった施策を通じましてアジアと日本との間での切れ目のない物流の実現を図るのがアジア・カーゴ・ハイウェイ構想でございまして、こういった実現に当たって必要に応じて日本の関税局、JICA、ADB、WCOといった機関が協力いたしまして、各国に対して様々な形で支援を行っていくということでございます。

この支援の中の一つの目玉がNACCSの海外展開でございます。これは9ページ目以降に書いております。NACCSの海外展開の意義は、9ページ目の資料に書いておりますように、相手国にとりましても、貿易環境の改善が図られて海外直接投資が非常に呼び込み易くなるとか、あるいは税関にとっても汚職防止であるとか、行政コストが削減されるとか、取締り効率が向上されるとか、いろいろなメリットもございますが、見逃せないのは、日本にとっても非常にメリットがあるわけです。NACCSというのは、一つのシステムではあるわけですけれども、ここに書いてありますように、貿易手続の内容は、制度も大事でありますが、システムが非常に重要でございます。結局、NACCSを導入するということは、日本的な貿易手続がその国に導入されることでございますので、現地に進出いたします日本企業としては非常にファミリアな貿易手続が可能になるということで、非常にメリットがあると考えております。

ということで、具体的に私どもが今進めておりますのが資料の10ページ、11ページでございますが、ベトナムへのNACCS導入でございます。詳細な御説明は時間の関係で省略いたしますが、昨年来ベトナムとの間ではいろいろ協議を重ねてまいったわけであります。結局、日本のNACCSを基礎とした支援を行うということで、本年8月だったと思いますが、日ベトナム税関の間で合意がなされております。基本的な合意のポイントは11ページ目に書いてあるとおりでございまして、要するに、今後2年以内にNACCS等をベトナムに導入しようということで、そのための人材育成、法制の見直し等々も含めまして包括的な支援パッケージを日本が行っていくこととしております。

以上、最後は大変駆け足の御説明になって恐縮でございますが、私から国際関係の説明は以上でございます。

○伊藤分科会長どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの説明につきまして御質問、御意見がございましたらお願いします。

○鈴木委員日豪EPAとTPPとの関係について御質問したいと思います。日本は既にオーストラリアとはEPAの交渉をやっており、かなりの例外を認めるように交渉している段階でございますが、TPPに参加表明をした場合には、一方で例外は原則認められないという中での交渉になります。そういう状況が並行しますと、同一の国、対オーストラリアに対して、一方では例外をかなり認める交渉をし、一方では例外なしでよいという全くレベルの違う交渉を同時に行うことになりますので、この点をどのように整理しておられるのか。

それに対する対応としては、日豪EPAで例外を認めていただいて、それはそのままTPPに持ち込めるというような対応が可能だという説明もされたりしますが、もし本当にそれが可能であれば、2国間のEPAでできたものがすべてTPPに持ち込めるということで、TPP自体が何者なのかということにもなりますので、そのあたりの考え方について少し御説明いただければありがたいと思います。

○宇野参事官(国際調査担当)ただいまの御質問について、TPP、日豪の関係につきまして御説明申し上げます。

まず、日豪EPAとTPPの関係でございます。TPPの交渉の現状でございますが、現在、私どもは情報収集を進めているところでございますけれども、今、先生がおっしゃったように、例えば、農産品も含めて物品の関税について例外なき撤廃をするのかしないのか、あるいは何か除外を認めるのかどうかということにつきまして、現在まだ交渉中でございます。御案内のとおり、一応交渉に入る前には100%撤廃が原則と言っておるわけでございますけれども、現在の交渉でそうなっているかどうかということは分かりません。ただ、もちろん我が国が参画した場合、日豪とTPP、それぞれ並行してやっていくことになろうと思いますけれども、そこは今後我々としてもTPPで何がとれるのかとか、そういう議論を重ねながら、どういうふうに我々として関税の自由化に取り組んでいくかを検討していくことになろうかと思います。

ちなみに、それと関連して、日豪で例えば例外をとって、それをTPPに持ち込めるのか。これにつきましても現在議論されているところでございますけれども、例えばアメリカと豪州の間にFTAもあるのでございますが、それについては御案内のとおり除外の品目もございますし、さらにステージングが長い品目も幾つかございます。それらについても取扱いがどうなるのかということも我々は現在注目しているところでございます。新聞報道ではいろいろ出ておりますけれども、具体的にそれについて交渉が行われたということはまだ我々として情報はとれていない状況でございます。

したがいまして、TPPあるいは日豪につきましては、少なくともTPPの交渉につきまして現在中身がよく分かっていないところもあります。一方で、御案内のとおり、今年11月に妥結という目標が、現在大まかな輪郭を固めましょうということで若干トーンダウンして、恐らく来年以降も交渉は継続する形でございますので、いずれにしても、交渉の中身についてもまだまだこれから詰まっていくのかなというふうに見通しているところでございます。

○青山委員5ページ目のEPA交渉についてですけれども、韓国とは随分長い間交渉を進めておりますけれども、まだ妥結できていない。これは何がネックでこういう状況になっているのか。あるいは、この後、日中韓が始まっていますけれども、こちらの方にシフトしていってしまうのか。その辺の状況をお聞かせいただければと思います。

○長友参事官確かに御指摘のように、日韓のFTAの交渉が開始されたのは相当古くでございますけれども、私の記憶ではたしか2004年に一応形の上では交渉中断になっております。もちろんその後いろいろな形での実務者間の協議は行っているわけでございますけれども、交渉ということでは2004年以来ストップしている状況でございます。この背景でありますけれども、日韓のFTAということになりますと、産業の競争力という観点から見ましてどうも韓国側がやや不利になりかねないということで、自動車業界を中心に韓国の産業界から大きな支持が得られないこともございます。あるいは、韓国はそうでなくとも相当大きい対日貿易赤字を抱えておりますので、韓国側にとってなかなかメリットがないのではないかというのが韓国側の見方であります。それに加えまして、従来から韓国と日本との間ではいろいろ個別の、細々としたと言ってはあれなのかもわかりませんが、例えば水産物を巡ったり、いろいろ細々とした非関税障壁に関する協議もございまして、韓国側としては、そういった懸案がそれなりに解決して交渉の雰囲気が改善されないとなかなか交渉再開は難しいというのがスタンスでございました。ただ、これも先ほど申し上げましたように、いろいろな形で事務レベルでは韓国側に働きかけを行っておりますので、私どもとしてはなるべく早期に交渉再開にこぎつけたいと考えております。

韓国との関係ではそういうわけでありますが、日中韓の関係に関しましては、直接的な連動は受けていないものだと考えております。これは首脳レベルで、先ほども御説明しましたように、年内いっぱいに共同研究を終わらせて、恐らく来年の然るべき時期に交渉開始を目指すことになろうかと思います。また、このことにつきましては、日本側といたしましても、先ほど御説明は省略いたしましたが、特に日EUの早期交渉開始、それから日中韓FTAの共同研究の年内終了、明年の交渉開始合意を目指すということでこの8月に閣議決定しておりますので、そういったようなタイミングで、日韓の動きにはかかわらず進められていくものだと考えております。

○伊藤分科会長他にいかがですか。

もしよろしければ次の議題に行きたいと思います。次の議題は、平成24年度関税改正につきまして、岸本関税課長より御説明をお願いしたいと思います。

○岸本関税課長資料3を御覧いただきたいと思います。資料3「平成24年度関税改正について」という資料で、本日最後の議題といたしまして、今後の関税改正の審議の進め方について、まず第1に日程、第2に検討項目、この2つを御説明させていただきます。

1ページを御覧いただきたいと思います。今後の日程でございますが、本日第1回の後、現在、本日を含めまして4回の審議をお願いしたいと考えております。第2回としては10月25日(火)、関税改正検討項目について、そして第3回が11月中旬、第4回として11月下旬にお願いしたいと思っておりますが、11月中に論点の整理を取りまとめていただくようにお願いしたいと思っております。また、注にございますが、この間別途10月14日(金)に企画部会貿易円滑化ワーキンググループの開催が予定されておりまして、ここではワーキンググループとしての取りまとめをお願いしたいと考えております。

続きまして、改正検討項目の内容でございます。2ページを御覧いただきたいと思います。例年のごとく、関税率の改正と税関行政手続の改正と両面について御審議いただきたいと思っております。さらに、本年は特別な事情といたしまして、沖縄についての関税制度上の特例措置の期限が切れる年でございますものですから、この点についても御審議いただきたいと思っております。

以下、それぞれについて若干の補足を申し上げますが、詳しくは次回以降の審議で内容も含めて改めて御説明申し上げますので、本日はほんの簡単な概略の説明にとどめさせていただきます。

3ページであります。関税率の改正のうちの1つは個別品目の関税率の見直しでございます。関税率の見直しを国際交渉と離れて国内事情で行うことはなかなか難しい状況があるわけでございますが、本年の御要望として、下の四角にございますように、漢方薬原料についての関税率の引下げ、それからふっ化水素、これは半導体ですとか液晶ですとかの中間材料になるということでございますが、これについての関税率の引下げ、これらの要望が関係省から出されております。その背景といたしましては、昨年御審議いただきました特恵関税制度の見直しがございます。特恵関税制度とは、上の四角の注1にございますが、開発支援の観点から、開発途上国の産品について一般の税率よりも低い特恵税率を適用してあげる制度でございます。これにつきまして昨年見直しをいたしました結果、開発途上国からの産品であっても、国際競争力が高い国の、国際競争力が高い産品については、国、品目を指定してこの制度の対象から外れてもらって、より支援の必要性の高い国の、より支援の必要性の高い産品に機会を譲ってもらうというような改正をしたところでございます。その結果、3,500品目ほどあるうちの500弱の品目がこの対象から外れたということでございますが、他方において、開発支援の観点ではなく、我が国の国内事情として低い関税率で輸入することが国内産業の観点からも望ましいというようなものが幾つかあることが分かったところであります。そういう品目について、昨年も一般の関税率の引下げを幾つか行ったところでございますが、本年もこの2品目について御要望が出されている、そういう背景でございます。

それから、4ページは、暫定関税率、関税率の暫定税率が設定されているものが415品目ございまして、これは1年の期限で設定しているものでございます。来年3月末に期限が到来いたしますので、その後の取扱いについて御審議いただくものでございます。

5ページでございますが、暫定関税率の設定と一体的な措置で、輸入急増時に関税率を臨時に引き上げて輸入の急増に対応するという安全弁の措置として特別緊急関税制度、あるいは牛肉などの関税の緊急措置といったようなものが用意されているわけでございますが、これにつきましても暫定関税率と同様に1年間の期限で設定しております。これについても期限到来後の取扱いについての審議が必要だということでございます。

6ページでありますが、以下は税関行政手続についての見直しでございます。1つは、積荷情報の入手についての早期化・詳細化・電子化でございます。6ページにございますのは、現在の我が国の積荷情報の事前報告制度でございますけれども、船が港に入ってまいります場合に、平成15年度までは入港後に積荷情報を提出していただくという制度でございました。その後累次の改正で、現在では船が港に着きます24時間前までに、ここにマスター積荷情報とございますけれども、船社が把握しております概括的な積荷情報を出していただくというのが義務化されているところでございます。また、平成19年度改正によりまして、ハウス情報、これは船会社と契約している運送事業者が把握している、より詳細な積荷情報でございますが、そういうものについても税関が提出を求めることができるような措置が講じられているところでございます。

7ページですが、これにつきまして、現在の制度は右側に書いてありますような制度で、今申し上げたような制度でございますが、左側にございますように、世界税関機構のガイドラインによりまして、より早い時期に、より詳しい情報を電子的に出してもらうことが記されているところでございます。外国の出発港における船積みの前に運送者、運送者の代理人が、ハウス情報と申しますが、より詳細な積荷情報を電子的に出してもらうということでございます。こういった措置がアメリカを始めとしてカナダ、中国、EUといったところに徐々に広がってきております状況の下で、我が国としてどう対応したらよいかということが審議事項でございます。

8ページは別の議題でございますけれども、外国税関当局との情報交換についてであります。外国税関当局と情報交換をすることは、我が国税関の取締り上も非常に重要なツールの一つであります。現在の法律の枠組みでは、そこにございますように、相互主義――相手国側も日本に対し同様の情報の提供ができること、守秘義務――相手国において日本におけると同様の秘密の保持ができること、目的外使用の禁止――相手国で税関行政目的以外の目的には使用しないことといった縛りをかけた上で情報を提供しているわけでございますが、もう1点、相手国において刑事手続、刑事裁判には使わないことも法律上の縛りとしてかかっているわけでございます。そのはね返りとして、外国からもらう情報も日本において刑事裁判手続には使わないというような縛りをかけた上で提供を受けている状況にございます。この刑事裁判手続に使えないという縛りについて、昨今の新しい立法例などを見ますと、必ずしも法律上の一律の禁止ではない立法例もあるようでございますので、この点を緩めることによって、より情報交換の可能性を広げていくことができないかというのを現在検討しているところでございます。

9ページでございますが、沖縄における関税制度上の特例措置でございます。沖縄につきましては、昭和47年以来10年ごとに計画を立てて沖縄の振興を図ってきているところでございます。現在の振興計画、それから現在の沖縄振興のための法律が来年3月31日に失効いたします。4月以降の沖縄振興策をどのようにするか、内閣府を中心に現在検討が進められているところでございます。関税につきましては、現在存在する措置を基本的に延長する方向で内閣府から御要望をいただいているところでございます。その措置は、四角に囲ったところでございますが、特定免税店制度というのがございまして、これについて延長するとともに、同制度は現在空路での旅客に対して適用されているのですが、フェリーの旅客に対しても適用できるようにして欲しいという御要望がございます。この特定免税店制度は、通常の免税店制度とは異なりまして、国内旅行者が利用する免税店でございます。本州あるいは九州といったところから沖縄に旅行した国内旅行者がまた本州、四国、九州、北海道に帰ってくるとき、沖縄で買い物をしたときに、あたかも外国で買い物をしたかのように関税の免税が受けられる制度でございます。これは、沖縄がかつて米軍の施政下にあって関税法上外国として取り扱われていた経緯や、現下の沖縄の特別な事情などに配慮して設けられている措置でございますが、これについてどういたしましょうかというのが審議事項でございます。また、自由貿易地域というのがございますけれども、それを国際貿易拠点産業集積地域(仮称)という具合に発展させて、国際物流の振興を図る計画を検討されているようでございますが、そこにおいて現在講じられております保税蔵置場等の許可手数料の軽減措置等についても引き続き講ずるように御要望をいただいているところでございます。

以上、簡単でございますが、詳しくは次回、次々回にこれらについて一つ一つ御審議いただきますときに改めて御説明させていただきますので、その際どうぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

説明は以上でございます。

○伊藤分科会長どうもありがとうございました。

ということで、今後審議していただくことについて、今回は頭出しとして、御説明をいただいたわけですけれども、今の時点でもし御質問とか御意見がございましたら、どうぞお願いします。

○鈴木委員5ページの特別緊急関税制度について、来年度の取扱いについては今後の検討ということでございますが、その前に、今起きている状況について1つ確認させていただきたいことがございます。バターの特別緊急関税につきまして、今年度上期に発動基準を上回る輸入量が生じておりますが、本来ならばこの制度に基づいて関税の3分の1が後半には上乗せが行われる状況であるということでございますけれども、これを政令により停止するというふうに聞いております。平成19年度に同じような状況が出て、この場合は発動されておりますし、これまでウルグアイ・ラウンドで関税化された品目について適用を停止したことはなかった状況の中で、今回このような措置をとることになった背景と理由について説明をいただければと思います。

○岸本関税課長御指摘のとおり、資料の5ページでございますが、特別緊急関税と申しまして、あらかじめ一定の数量を基準として定めておいて、その数量を超えて輸入が行われたときには関税率を引き上げるという措置がございます。この場合に関税率を引き上げると申しますのは、関税割当制度を前提とした制度でございますので、関税割り当てを受けた人の税率は変えないで、関税割り当てを受けていない人、いわゆる枠外税率と申しますが、そういう割り当てを受けないで独自に輸入される方の枠外の税率、もともと高い税率を3分の1上乗せするのが特別緊急関税という制度でございます。これは、ウルグアイ・ラウンドのときに例外なき関税化ということで農産物を関税化したときに、輸入急増時の安全弁として設けた措置でございます。

今御指摘がございましたバターにつきましては、8月の輸入量をもちましてあらかじめ設けた枠を超えたということでございます。その場合に、輸入急増時の安全弁ということでございますので、関税暫定措置法の規定に基づきまして、国内の産業に損害を与えるおそれがないと認められるときには、政令を設けることによって、特に関税の上乗せ措置を発動しないことができるという措置が法律上講じられているところでございます。そこで、私どもとしても物資所管省であります農林水産省さんともいろいろ相談したところ、バターについては、現在様々な要因において国内の需給が逼迫していて、そのために国家貿易として新たに何がしかのバターを輸入するという状況の下で、その国家貿易を行った結果この枠を超えたという事情があることを踏まえまして、そのような特別緊急関税を発動しなくても国内産業保護上支障がないと判断いたしまして、今回政令をもってその発動を止めた経緯がございます。それは、放っておきますと本年10月1日から発動されるところだったわけでございますけれども、その発動を止めましたものですから、10月1日以降も引き続き従来と同じ関税率でもって輸入することができるということでございます。

○伊藤分科会長他にどなたか御質問とか、よろしいでしょうか。これは今日というよりも次回以降また詳しく議論していただきたいと思いますから、ぜひ次回以降また御意見あるいはお考えをお聞かせいただければと思います。

もしこれ以外に特に御質問、御意見がございませんようでしたら、以上をもちまして本日の関税分科会を終了したいと思います。

次回の関税分科会につきましては、10月25日(火)午後1時から、本日同様ここ第3特別会議室において開催いたしますので、委員の皆様におかれましては御出席のほどよろしくお願いいたします。

本日は御出席いただきまして、どうもありがとうございました。

午前11時34分閉会
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