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関税・外国為替等審議会 関税分科会(令和5年12月14日開催)議事録

  1. 開会
  2. 関税改正項目③
    -納税環境の整備について
  3. 令和6年度における関税率及び関税制度の改正
  4. 閉会

出席者
関税分科会長 森田 朗 財務省 赤澤財務副大臣
委員 伊藤 恵子 江島関税局長
植田 健一 山崎審議官
河野 真理子 内野審議官
木村 旬 奈良井総務課長
古城 佳子 吉田関税課長
佐藤 基嗣 仲参事官
杉山 晶子 志賀参事官
高橋 裕子 馬場監視課長
田邊 國昭 箭野業務課長
樽井 功 大関調査課長
永沢 裕美子 澤藤事務管理室長
根本 敏則 濵口特殊関税調査室長
和田 照子 坂本原産地規則室長
臨時委員 清水 順子 近田税関調査室長
専門委員 大橋 弘 香川経済連携室長
国松 麻季 伊藤知的財産調査室長兼認定事業者調整官
佐藤 英明 農林水産省 須藤輸出・国際局国際経済課国際交渉官
末冨 純子 経済産業省 中山通商政策局通商機構部通商交渉調整官
藤岡 博
宮島 香澄
村上 秀德

 

午後1時00分開会

森田分科会長 時間も参りましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 委員の皆様方には、御多用中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。「令和6年度関税改正検討項目」のうち、追加的に御審議いただく必要が生じたものとして、「納税環境の整備について」があるとのことでございます。まず、それにつきまして御審議いただいた上で、「令和6年度における関税率及び関税制度の改正」に係る答申案について御意見をいただきたいと存じます。

 それでは、「納税環境の整備について」につきまして御説明をお願いいたします。

吉田関税課長 関税課長の吉田でございます。それでは、お手元の資料1-1に沿いまして御説明を申し上げます。

 納税環境の整備につきましては、内国税の改正に併せて、関税においても同様の改正を行うことについて検討を行うものでございます。

 まず、現行制度の概要を御説明申し上げます。仮装・隠蔽したところに基づき納税申告又は期限後特例申告書の提出等をしていたときは、過少申告加算税又は無申告加算税に代えて、過少申告の場合は35%、無申告の場合は40%の重加算税を賦課することとされています。他方、一旦納税申告を行った後に仮装・隠蔽したところに基づいて更正の請求を行っていた場合につきましては、重加算税を賦課することができないこととなっております。

 改正の必要性でございます。内国税におきましては、納税申告か更正の請求かという税務当局に対する手続の性質の違いにより、仮装・隠蔽行為が行われた場合のペナルティの水準が異なることは、納税義務違反の発生の防止という重加算税の趣旨に照らして適切ではなく、更正の請求に係る仮装・隠蔽行為を未然に抑止する観点から、仮装・隠蔽したところに基づき更正の請求を行った場合につきましても重加算税の賦課の対象に加えることを検討しているところでございます。以上を踏まえ、関税におきましても、内国税と同様、仮装・隠蔽したところに基づき更正の請求を行った場合について、重加算税の賦課の対象に加えることが適当と考えられます。

 このため、改正の方向性といたしましては、内国税の改正の状況を踏まえ、仮装・隠蔽したところに基づき関税の更正の請求を行った場合を重加算税の賦課の対象に加えることが適当ではないかと考えております。以上でございます。

森田分科会長 御説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。オンラインのほうはございませんか。よろしいでしょうか。

 ございませんようでしたら、これまでの御審議の内容を踏まえ、「令和6年度における関税率及び関税制度の改正」につきまして、答申案の審議を行いたいと思います。

 本年10月以降、本日も含めまして4回にわたり本分科会を開催いたしまして、委員の皆様に御審議をいただいてきたところであります。御審議いただいた内容を取りまとめたものが、本日事務局より御説明いたします答申案でございます。

 それでは、事務局より説明を受けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。その後で答申案について御意見などを伺うことにしたいと思います。それでは、吉田関税課長、よろしくお願いします。

吉田関税課長 それでは、お手元の資料2に沿いまして、答申案の概要について御説明をさせていただきます。

 1ページ目を御覧ください。今回の答申案の構成につきましては、大きく分けて、令和6年度関税改正を巡る諸情勢、そして、令和6年度関税改正についての考え方となっております。内容につきまして順次御説明をさせていただきます。

 2ページ目を御覧ください。Ⅰ令和6年度関税改正を巡る諸情勢につきましては、税関を取り巻く環境の変化とそれに伴う課題、次に、財務省及び税関における環境変化への対応等の2つの観点から記述をしております。

 最初に、税関を取り巻く環境の変化とそれに伴う課題につきましては、越境ECの利用拡大に伴い、航空貨物の輸入許可件数は大幅な増加傾向にあり、海上貨物の輸入許可件数も、近隣アジア諸国からの通販貨物の一部が航空貨物から移行したことにより、増加・高止まりしております。また、入国者数は本年10月に新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の水準を超過したところであり、物流・人流ともに増加基調となっている中、来年度以降も大阪・関西万博など大規模な国際イベントが予定されており、迅速な通関を確保しつつ厳格な水際取締りを行うことが必要であるとしております。さらに、ロシア等に対する経済制裁の実効性の確保や経済安全保障上の脅威への対処等のため、輸出面を中心とした水際取締りにも重点的に取り組むことが重要であり、近年、大型のEPAが発効し、我が国の貿易総額に占めるEPA等が発効済の国・地域との貿易額の割合は約8割となっており、EPA等の利用促進等も重要な課題であるとしております。

 次に、財務省及び税関における環境変化への対応等につきましては、環境の変化に的確に対応する観点から、令和4年11月に公表した「スマート税関の実現に向けたアクションプラン2022」に掲げられた施策について、本年6月に公表した工程表に沿って引き続き取り組んでいくことが必要であるとしております。これらに加え、経済・社会の実態等に即した適切な関税率の設定・関税制度の整備等を通じて、税関の使命である「安全・安心な社会の実現」、「適正かつ公平な関税等の賦課・徴収」、「貿易円滑化の推進」の着実な遂行を図る観点から、令和6年度において、次のページから説明させていただく内容の改正を行うことが適当であるとしております。

 3ページ目を御覧ください。Ⅱ令和6年度関税改正についての考え方といたしまして、まず、暫定税率等の適用期限の延長等につきましては、令和6年3月31日に適用期限が到来する412品目に係る暫定税率のうち、ポリ塩化ビニル製使い捨て手袋を除く411品目について、その期限を令和7年3月31日まで延長すること、特別緊急関税制度につきましても、国際交渉の状況等を踏まえ、令和6年3月31日に到来する適用期限を令和7年3月31日まで延長することが適当としております。

 4ページ目を御覧ください。加糖調製品5品目につきましては、調整金の拡大が可能となるよう、令和6年度のCPTPP税率の設定状況等を踏まえ暫定税率を引き下げることが適当とした上で、加糖調製品に係る暫定税率の検討に当たっては、毎年度、加糖調製品と国産の砂糖の価格差及び需給の動向、国内産糖に係る競争力強化の取組状況、暫定税率の引下げによる政策効果について、消費者の視点も踏まえつつ、農林水産省に検証及び報告を求めることが適当としております。その際、食料の安定的な供給等における砂糖及び加糖調製品の位置づけを踏まえた関連制度の今後の在り方及びその実現に向けた具体的取組の進捗等についても明らかにすることが求められるものとしております。

 5ページ目を御覧ください。ボリ塩化ビニル製使い捨て手袋につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による世界的な需給逼迫に伴う調達価格の高騰を受け、関税負担の軽減を図るため、令和3年度から無税の暫定税率を設定していたところですが、需給逼迫・調達価格の高騰は解消されており、無税の暫定税率を維持することは競合関係にあるポリエチレン手袋の国内生産に影響を及ぼす可能性があることから、暫定税率を撤廃することが適当としております。

 次に、沖縄に係る関税制度上の特例措置、いわゆる特定免税店制度でございますが、特定免税店制度につきましては、沖縄の観光振興に一定の効果があること等に鑑み、その適用期限を令和9年3月31日まで3年間延長することが適当としております。

 6ページ目を御覧ください。ルイボスにつきましては、HS委員会における分類決定を受けて分類変更を行う必要がありますが、引き続き国内産業を保護する観点から、移行先において税細分を新設した上で現行と同じ水準の関税率を設定することが適当としております。

 7ページ目を御覧ください。特例輸入者が行う特例申告納期限延長に係る担保につきましては、現行の税関長が必ず提供を求める必要担保から、税関長が関税等の保全のために必要があると認められるときに限り提供を求める保全担保へと緩和することが適当としております。

 8ページ目を御覧ください。納税環境の整備につきましては、内国税の改正の状況を踏まえ、仮装・隠蔽したところに基づき更正の請求を行った場合を重加算税の賦課の対象に加えることが適当としております。

 9ページ目を御覧ください。給食用脱脂粉乳に対する関税軽減措置につきましては、児童福祉法の改正により令和6年4月から同法上の児童福祉施設として新設される里親支援センターについては給食の提供が想定されないことから、本軽減措置の対象から除外することが適当としております。

 また、急増する輸入貨物への対応につきましては、近隣アジア諸国からの通販貨物の一部が航空貨物から海上貨物に移行していることにより、海上貨物の輸入許可件数も増加・高止まりしていることから、一定の要件を満たす海上貨物について、航空貨物と同様に輸入申告項目の一部を省略するなど、簡易な通関手続を整備することが適当としております。私からは以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 ただいま事務局より御説明のありました答申案につきまして、御意見などがございましたら御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 植田委員、どうぞ。

植田委員 取りまとめをどうもありがとうございます。

 私も今年度初めて関税分科会に参加したということで、なかなか勉強不足のところがありながらも参加してまいりました。まだ比較的フレッシュな見方を持った上での参加ということで、その点で、今までも発言してきましたけれども、大きな視点というものがもう少し必要かなと思いまして、それをコメントさせていただきます。大きな視点といいますのは、全体的にこの分科会の何となくの考え方のようなものを聞いておりますと、1つは、貿易のようなところで交渉事があります。したがって、なかなかいろいろと変えていくことは難しいということと、もう1つは、例えば、関税引下げなどをした場合に、それによって損失を被る生産者などがいる場合に補償をしないといけないという考え方があるということで、どちらもある意味で正しいのですけども、私が思いましたのは、それ以外にももう少し大きな視点があるのではないかということでございます。

 それは今までも申し上げましたが、2つあります。1つは、おそらく、日本というのは自由な貿易が世界にあって初めて成り立つような経済ですから、自由で公正な貿易を愛する、信奉する国々との間で、やはり、そういった自由で公正な貿易体制というものをしっかりと強固にしていくのだということのもうちょっと積極的な意味で我々も動かないといけないという視点が1つあるかと思います。それはどういう意味かといいますと、例えば、一部で出ているような、安全保障を考えると、とにかく自国で生産しないといけないというのは、先ほど言ったような、強固な自由で公正な貿易体制を組んで、その中で生きていくとか、それ自体がそもそも、恐らく私は経済安全保障自体にもつながるという見方があると思います。これまでの議論の中で、そういう考え方が少し弱かったような気がいたします。

 もう1点は、我が国の財政も厳しい中で、関税自体も財政の1つの収入でございますので、そういった財政全体の状況を考えながらの見方も必要ではないかということです。前にも言ったかもしれませんけども、例えば、特に砂糖がということではないですが、具体的に砂糖の調整金の話が今回出てきましたので、その例で再び申し上げれば、要は、関税を引き下げて調整金を出すということはどういうことかというと、その関税から得られる一般会計の収入がちょっと減って、それに加えて、歳出のほうでは、いわゆる特別に砂糖の農家さんのほうに支出がひもづけられてしまうということで、ほかのところに回る一般会計歳出の財源がどう考えても減っているという状況でございますので、そういうことをいろんなところでやっていくと、非常に財政運営が難しくなる。そもそも今、難しい状況だと考えておりますので、そういう視点もやはり必要で、それも考えつつ議論を、少なくとも来年度からはやっていければよいのかなと、やっていただきたいなと思う次第でございます。以上です。

森田分科会長 ありがとうございました。貴重な御意見だと思いますが、今回の答申についてはこれでよろしゅうございますか。

植田委員 はい、今回の答申についてはこれで良いです。

森田分科会長 コメントとして、来年度に反映していただくようにお願いいたします。

 それでは、ほかに発言はいかがでございますか。オンラインのほうはございませんか。

 ありがとうございました。特に御意見がないようでございますので、御異議がないということでよろしゅうございますか。

〔異議なし〕

森田分科会長 それでは、「令和6年度における関税率及び関税制度の改正」につきましては、本分科会として答申案どおり決定することといたしまして、これをもって関税・外国為替等審議会としての答申といたしたいと思います。

 それでは、まもなく赤澤財務副大臣がお見えになりますので、しばらくお待ちいただければと思います。

〔プレス入室〕

〔赤澤財務副大臣入室〕

森田分科会長 それでは、赤澤財務副大臣がお見えになりましたので、答申書を提出させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、令和5年4月10日に御諮問いただきました「関税率及び関税制度の改正」につきまして、本審議会の意見を取りまとめましたので、ここに答申書を提出させていただきます。よろしくお願いいたします。

〔答申書手交〕

赤澤財務副大臣 ありがとうございます。

森田分科会長 それでは、赤澤財務副大臣から一言御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

赤澤財務副大臣 失礼いたします。財務副大臣の赤澤でございます。

 森田関税分科会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、本日は御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。

 ただいま「令和6年度における関税率及び関税制度の改正」についての答申を頂戴いたしました。答申では、暫定税率の適用期限の延長、それから、特例申告納期限延長に係る担保の取扱いの緩和などについての御提言をいただいたところです。御提言を十分に尊重し、令和6年度の法令改正作業を進めてまいります。

 最後になりますが、委員の皆様におかれましては、答申の取りまとめにかけて、幾度にわたる御審議等を通じ、多大な御尽力、お時間と手間をいただいたところでございます。深く御礼を申し上げます。今後とも関税政策や税関行政について御指導を賜りますことをお願い申し上げ、最後にちょっと余計なことですが、私は名前が赤澤なものですから、赤いネクタイをされている方には無条件で好意を持つというところがありまして、森田分科会長が赤いネクタイをされたことは大変うれしいことでございました。余計なことを申し上げてすみません。以上をもちまして私の御挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。

森田分科会長 ありがとうございました。大変光栄でございます。

 それでは、プレスの方はここで御退室をお願いいたします。

〔プレス退室〕

森田分科会長 それでは、赤澤財務副大臣もここで御退席ということでございますので、本日はお忙しいところ大変ありがとうございました。

赤澤財務副大臣 ありがとうございます。このいただいた答申をしっかり尊重してやらせていただきます。

〔赤澤財務副大臣退室〕

森田分科会長 財務大臣から諮問を頂戴いたしました「関税率及び関税制度の改正」につきまして、本日、本審議会におきまして答申を取りまとめることができましたのは、ひとえに委員の皆様方の御尽力のおかげでございます。政府におかれましても、答申の内容を的確に令和6年度の関税改正に反映していただきますようお願い申し上げたいと思います。

 それでは、以上をもちまして本日の議事を終了したいと思いますが、本年最後になりますので、ほかに御発言、御意見等はございますでしょうか。オンラインのほうも大丈夫ですか。

 ありがとうございました。

 それでは、ほかに意見がないようでございますので、本日の議事はこれで終了いたします。これまで御審議いただきました委員の皆様方の御支援、御協力に感謝いたしますとともに、重ねて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

午後1時28分閉会