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関税・外国為替等審議会 関税分科会 議事録(平成20年12月2日開催)

関税・外国為替等審議会 関税分科会
議事録

本稿は、平成20年12月2日の関税・外国為替等審議会 関税分科会の議事録です。

午前10時30分開会

○中山分科会長時間でございますので、ただいまから、関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

委員の皆様方には、御多用中のところ御出席を賜りまして、ありがとうございます。

本日の議題は、お手元にお配りしております議事日程のとおり、平成21年度関税改正検討項目でございます。

それでは、「偽造印紙・郵便切手等の取締り対象への追加」につきまして、宮澤調査課長より説明をお願いし、「保税蔵置場等の許可要件の見直し」につきましては、田中監視課長より説明をお願いいたします。

○宮澤調査課長それでは、お手元にございます資料1−1に従いまして説明をさせていただきます。

表紙を開いていただきまして、1ページ目をごらんいただきたいと思います。

まず、現行制度の概要ということでございますけれども、現行の関税法におきましては、第69条の11第1項の各号におきまして、輸入してはならない貨物というのを規定してございます。具体的には、例えば麻薬、覚醒剤、拳銃等のいわゆる社会悪物品、それから、爆発物、火薬類等のテロ関連物資、それから、猥褻物、児童ポルノ、知的財産侵害物品といったものに加えまして、従前より貨幣、紙幣若しくは銀行券又は有価証券の偽造品、変造品及び模造品、それから、偽造クレジットカードといったものについても輸入してはならない貨物というふうにされております。

しかしながら、きょうの議題にあります、国が特定の歳入金又は租税を徴収する手段として発行する金銭上の価値を表象する証券である印紙、それから、郵便料徴収の手段として印紙と同様の機能を営む郵便切手類、こういったものの偽造品、変造品及び模造品につきましては、現状では輸入してはならない貨物というふうにされておりません。したがいまして、これまで仮にこういったものが税関を通って国内に入ってこようとした場合には、例えば旅客、乗組員の手荷物等に隠匿して、正規の手続きを経ないで密輸入されたものに限りまして、無許可輸入罪ということで取り締まる、そういった形で取り締まることしかできないという状況でございました。

ところが、2.背景及び改正の必要性の(1)にございますが、今年5月末に、一部、全国紙等でも報道されたのでございますが、韓国において2億3,000万円分に当たる日本の200円の収入印紙100万枚、それから、50円の郵便切手60万枚を偽造した疑いで、偽造グループのメンバーの韓国人5人が逮捕されるという事件がございました。この事件では、2億1,000万円相当の偽造印紙100万枚と、偽造郵便切手20万枚が、輸入貨物である書籍の間に挟み込むなどの方法で我が国に運ばれたと、そういう報道をされております。

また、この事件との関連性が疑われている国内の事件といたしまして、昨年11月に大阪市内の金券ショップに偽造収入印紙が持ち込まれるという事件が発生しておりまして、この関係で大阪府警が今年4月に大阪在住の日本人を逮捕したという事件がありましたけれども、このときの偽造収入印紙は、暴力団組員に売られた後に2回の転売を経て金券ショップに持ち込まれたという報道もなされております。

従来輸入してはならない貨物とされている偽造貨幣等は、経済秩序を維持し、公信の侵害を防止する観点から、輸入してはならない貨物としているものでございますけれども、今言った事件にありますような偽造印紙等が輸入され、国内に流通することも、経済秩序を乱し、公信を侵害するといった点においては、偽造貨幣等と何ら変わりはないというふうに考えております。

偽造印紙等につきましては、先ほど口頭で申し上げましたけれども、大阪の事件からも懸念されますように、その販売による収益が暴力団の資金源になるおそれもあるということもございます。

それから、先ほど申し上げましたように、偽造貨幣と同様、その輸入、流通は、経済秩序を乱し、公信を侵害するおそれがあるということがございます。

さらに、これは印紙の偽造品、変造品及び模造品の特徴といたしまして、印紙税の課税対象となる契約書、手形、領収書などの文書に偽装印紙が使用されるということになりますと、国の適切な歳入確保、印紙税収入の確保に支障を及ぼすおそれもあります。

こういったことから、偽装貨幣等と同様に、これを輸入してはならない貨物といたしまして、水際において税関職員をして積極的に取り締まらせることが必要であるというふうに考えております。

なお、1ページ目から次のページにかかりますけれども、輸入してはならない貨物と申しますのは、国民生活の安全、社会・経済秩序の維持といった社会公共の利益の観点から、他の法令によりその輸入を実質的に禁止している物品について、税関職員をして積極的に水際取締りの実効を期すことが特に必要と認められるものを対象としております。

偽造印紙等につきましても、3ページの下のほうにありますように、印紙犯罪処罰法等々、その他の法令により、輸入が禁止されているものでございます。

次のページ、3ページでございますけれども、これは、今、御説明した背景、改正の必要性を流れ図で御参考までに示したものでございます。

それから、4ページは、御参考までに、既に取締り対象となっております偽造通貨等、それから偽造クレジットカード等の密輸入事犯の近年の摘発実績をまとめてございます。

偽造印紙等につきましても、こういったものと同様に、輸入してはならない貨物に追加することによりまして、税関では、隠匿して密輸入された無許可輸入罪を適用されるものに限らず、例えば国際郵便物、それから、SP貨物等を利用して本邦に持ち込もうとする場合など、いかなる場合でも取り締まることを可能にして、より厳正な取締りを実施してまいりたいというふうに考えております。

なお、このことによりまして、法定刑が現在、無許可輸入罪では懲役5年以下、罰金500万円以下でございますけれども、これが禁制品輸入罪の懲役7年以下、罰金3,000万円以下に引き上げられることになります。その点においても抑止効果の増大が期待できるものというふうに考えております。

以上、偽造印紙、郵便切手等の取締り対象への追加についての説明を終わらせていただきます。

委員の皆様におかれましては、税関における水際取締りの一層の充実・強化を図る観点から、偽造印紙等を輸入してはならない貨物に追加することについて、御検討、御審議いただきますよう、よろしくお願いいたします。

○田中監視課長続きまして、私のほうからは、お手元の資料1−2に沿いまして、水際取締りの充実・強化策としての保税蔵置場等の許可要件の見直しということについて、御説明をさせていただきます。

見直しの内容でございますが、一言で申し上げますと、保税蔵置場等の許可の要件といたしまして、暴力団等を排除する規定を追加しようというものでございます。

それでは、資料に沿って御説明いたします。

1ページ、最初に現行制度の概要でございますが、保税蔵置場、保税工場、保税展示場又は総合保税地域というものにつきましては、税関長の許可制ということになってございます。

その許可の要件でございますが、(1)から(4)、そのほかございますけれども、そこにございますように、保税蔵置場等の許可を取り消されて3年を経過していない、あるいは、関税法に違反して刑に処せられて3年を経過していない、あるいは、関税法以外の法令に違反して禁錮以上の刑に処せられて2年を経過していない、あるいは、以上に該当する者を役員等として使用している等、これらに該当する場合には、税関長は保税蔵置場等の申請があってもこれを許可しないことができる、そういう規定になっているわけでございます。

次に、背景及び改正の必要性でございますけれども、現行の保税蔵置場等におきましては、許可を受けた者が外国貨物を保税蔵置場に搬入あるいは搬出する場合には、外国貨物についての帳簿を設けまして、搬入、搬出の際に貨物を対査確認の上、その事実を記載する。いわゆる自主管理というのが行われているわけでございます。

一方、税関の基本的使命の一つでございます、国民の安全・安心の確保、その重要課題でございます、覚醒剤、麻薬等の不正薬物等の流入阻止という点に目を向けてみますと、これら不正薬物等の密輸入というものには暴力団が関与しているケースが後を絶たないという状況でございます。このほか、盗難自動車の不正輸出についても同様に暴力団が関与していると言われておりまして、これらはとりもなおさず暴力団の主要な資金源の一つになっていると言われております。

このような状況を考慮いたしますと、暴力団員が保税蔵置場の被許可者になりますと、自主管理のもとで自由に貨物を扱うことができるということを悪用いたしまして、不正薬物等の密輸入等を行う可能性があるため、これを排除する必要があるということでございます。

資料の3ページをごらんいただきますと、これは御参考まででございますが、暴力団員であること等を「許認可等をしない要件」として導入しております法律の例を幾つか列挙してございます。暴力団対策というのは政府を挙げて取り組んでいるところでありまして、近年、こういった暴力団を排除する規定を追加してきている法律が増えてきて、一般的になってきていると言えようかと思われます。

資料の1ページに戻っていただきますと、一番下の、3.検討内容でございますが、今申し上げましたとおり、暴力団員による保税蔵置場等を悪用した不正薬物等の密輸入等を未然に防止するため、申請者が暴力団員であること等を理由にいたしまして、保税蔵置場等の許可をしないことができるように、保税蔵置場の許可要件の見直しを検討する。こういったものでございます。

なお、2ページ目につきましては、今申し上げました内容を整理したものでございますので、説明は割愛させていただきます。

検討内容につきまして、私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○中山分科会長ありがとうございました。

ただいまの説明につきまして、御質問や御意見がございましたら、ちょうだいしたいと思います。

何かございますでしょうか。

○青山委員税関における水際取締りの充実・強化というところで、偽造印紙、郵便切手、これは当然のことで、絶対入れるべきであろうというふうに思いますので、基本的に賛成をさせていただきます

ただ、ちょっとわからなかったのは、偽造印紙等で、明治42年とか昭和22年に輸入を禁止していながら、関税法に入っていないがために、これが水際で取り締まれなかったということなんですね。私たちは当然入っているものというふうに理解をしていたんですけれども、その辺がちょっとわからないものですから教えてください。

それから、2番目の、保税蔵置の点については、これはもう絶対、暴力団等は排除すべきであろうというふうに思いますし、これも大賛成なんですけれども、暴力団であるということを自らが言ってくるわけはないので、そのあたりをどういう形で認定というか、これは暴力団であろうから排除するというふうな、その方法論といいますか、そういうところまで、もしこんな形でということがわかれば教えていただければありがたいです。

以上です。

○宮澤調査課長青山先生からの御質問でございますけれども、まず印紙等についてこれまで水際で取り締まれなかったということにつきましては、輸入してはならない貨物の規定につきましては、先ほど申し上げましたように、ほかの法令で禁止されている、それを前提に今までも逐次追加してきておりまして、例えば麻薬なんかについては古くから輸入してはならない貨物なんですけれども、麻薬以外に覚醒剤等につきましては、大麻、覚醒剤なんかは平成元年に追加されている。それから、拳銃等については平成7年度に追加されている。非常に社会問題化して、単に国内法令で禁止するだけではなくて、税関レベルで関税法違反としても取り締まる必要があるということで、逐次追加されているという状況がございます。

実際に印紙の問題につきましては、先ほど御紹介した韓国で摘発した事例、それから大阪の事例がございましたけれども、それ以前に大きく問題になって、実際に税関で摘発したという事例はございません。ただ、今回こういった韓国あるいは国内で、しかも両方が関連がある、しかも暴力団が介在している疑いがあるということでございますので、この段階で関税法上も違反という形に位置付けて、早めに芽を摘んでいこうというのが今回の趣旨でございます。

○田中監視課長暴力団員というのはどのように確認するのかという方法論でございますが、これは警察公表の資料でございますけれども、平成19年末現在、暴力団員は全国で4万900名いると警察のほうで確認してございます。暴力団員であるかどうかという確認は、なかなか税関だけでできるわけではございませんので、実は関税法の規定の中には官公署又は政府関係機関への協力要請という規定がございます。税関職員が関税法等に規定されている職務を執行するため、必要のあるときは官公署等への協力を要請することができるという規定がございますので、これに基づきまして税関のほうから警察に対しまして暴力団員であるか否かという確認の要請を行いたい。こういうふうに考えております。

○伊藤委員今の御質問の第2点とほぼ似たようなあれなんですけれども、暴力団を取締りの対象とするという趣旨は結構だと思うんですが、実際の運用のときに、先ほどの御説明で、3ページに、他の法令での暴力団の規定の仕方である意味共通性があるのか、それとも単に「暴力団」と裸で書いておいて、単なる役所間の協力でもってやるということなのか。あるいは、外形的に企業舎弟等も含むとか何とか、既にかなり細かく書いてあるのかどうか。その辺の実態はどうなっているのかという点を教えてください。

○田中監視課長他の法令で幾つか暴力団排除規定というのがございますけれども、法律によりまして排除の規定の書き方というのは差異があるのは事実でございます。それで、関税法の中でどうするか。これは本審議会の答申を踏まえて、具体的な法案の策定作業というのが行われると思いますけれども、現在既に暴力団排除規定を設けております例を取りますと、例えば申請者がいわゆる暴力団、暴対法の規定に違反、あるいは刑法、あるいは暴力行為処罰法というものの罪を犯しまして、罰金の刑に処せられ、またその刑の執行があり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から何年を経過していないという規定、さらには、申請者が暴力団員または暴力団員でなくなった日から何年を経過していない、あるいは、暴力団員等が事業の活動を支配するものである場合、そういったものが具体的に法律の中で規定されております。

○犬伏委員全く同じことを私も思っていたんですけれども、人は1億人もいますから、名前を変えてしまうことはいくらでもできるわけです。そうなったとき、どうやって暴力団員を見つけるんだろうという思いがしています。団員ということ以上に、蔵置場、場所の管理の仕方を強化するという方法は取れないのかなというふうに思うんですが、今、悪いことということではなくても、置きっ放しにしてあって何とかという、食に関してでも何でも、私たちの耳に入ってくるものって随分いろいろなものがあるんですね。そういったこともありますので、暴力団員等というところで、蔵置場という場所の管理法というのができたらいいのかなと。入れること自体は構わないんですけれども、もっと有効的にするというのでは、管理の方法を考えていただけないかなというのが一つです。

もう一つ、初めの印紙のほうですが、国内法であって、輸入を禁止と書かれている法律というのは、ここに書かれているだけで4つあるわけですね。国内法で輸入そのものがだめと言われたときには、自動的にという言い方は変なんですけれども、関税をかけるかけないではないですけれども、水際というところで処分する、処理するというところに自動的にいく方法は考えられないんでしょうか。

○田中監視課長最初に、保税蔵置場の取締りの状況でございますが、私ども、保税蔵置場について、先ほど自主管理という説明をいたしましたが、取締りを全くやっていないわけではございませんで、保税蔵置場の取締りにつきましては、例えば輸入の場合を想定いたしますと、船から貨物を取り卸ろしまして、保税蔵置場から搬出するまでといったものにつきまして、関係部門が連携いたしまして、一貫した取締りを行っております。

それから、それ以外にも必要に応じて税関職員が保税蔵置場、保税地域を巡回するというのも実施しておりますし、それから、保税蔵置中の貨物の検査、それから、自主管理と申し上げましたので、保税蔵置場の帳簿の検査、それから、保税蔵置場から貨物を搬出あるいは搬入という行為が行われますので、保税運送をする場合の発送時の確認、あるいは到着時の確認、そういったことも組み合わせながら保税蔵置場の取締りを現在実施しているところでございます。

○犬伏委員こちらではないのかもしれないんですが、先日、事故米というのがございました。厚労省かこちらのあれかよくわかりませんが、水際で、これは食用としては不適と判断されたお米がそもそもありました。この間のは農水のあれですが、そういうものに関して、たぶん一時期はどこかに置かれるんだろうと思うんですが、食用にも、あるいは工業用にもなれるようなものが、これは食用には不適と判断されてどこかに置かれていたものが、行く先がどこだったのか。三笠フーズみたいに食用も兼ねているようなところに直接行くのかどうか。その辺まで見てもらえるところがあったら、ああいうことは起こらなかったのではないかと素人は思ったものですから、その辺の管理というのがあってもいいのかなと思ったんですが。

○岸本業務課長事故米の話がございましたけれども、まず輸入している責任のある官庁であるところの農林水産省とか、あるいは食料品であるということで輸入するということでありますれば、厚生労働省が食品に関する規制をやっておりますものですから、これは食品として輸入するというようなことは、厚生労働省さんが見ていらっしゃるということだと思います。したがって、それが国内に入った後、どういうぐあいにいつまで追いかけていくかということに関して、そもそも農林水産省が責任を持ってやっていらっしゃるので、厚生労働省さんがどこまで追いかけていくかというのはなかなか難しいところもあるのかもしれませんが、そういった官庁がどう考えられるかということなのかなと思っております。

それで、今、保税蔵置場で関税関係法令上どういうことになるのかという、水際での取締りというのは、水際に置いてある時期、そのときにどういうぐあいに考えるかということで、国内に入った後どういうぐあいに転用されるかといったようなことは、税関の領域ではないのかなという気がしております。

○宮澤調査課長今、先生から御質問があった印紙の話に少し付け加えさせていただきますと、これは法的な仕組みなんですけれども、例えば承認許可がなければ輸入してはならないという話でありますと、承認許可がおりているかどうかというのを税関でチェックして、それがだめならということがあるんですけれども、今回のようにそもそも輸入してはいけないという話になりますと、関税法でそれを取り締まる権限が規定されていないと、今、現状ではどうするかというと、例えばこれは国内法で輸入が認められていないのでだめですよということを輸入者に説明して、それは戻してもらうか、さもなければそこで任意放棄してもらうかということ、あるいは、特に悪質な場合はそこに本人を留め置いて警察を呼ぶとか、そういったことがあるんですけれども、税関は直接はそういった程度しかできないという現状でありまして、それを何とか変えたいということで、今回お願いしているところでございます。

○中山分科会長ほかによろしいでしょうか。

それでは、続きまして、絹紡糸及び絹紡紬糸の無税化につきまして、松村関税課長より説明をお願いいたします。

○松村関税課長資料2をお願いいたします。

1ページでございます。まず、絹紡糸、絹紡紬糸という、あまり耳慣れない製品でございますが、絹紡糸というのは、養蚕農家や製糸業者から発生するくず繭ですとか、製糸くずである長さ20cmまでの短い繊維を撚ってつくった糸でございまして、ネクタイやマフラー等に用いられているものでございます。

それから、絹紡紬糸のほうは、絹紡糸をつくる際にまた一定のくずがどうしても発生するものですから、それを再生利用といいますか、利用しまして、短い5cm以下の繊維を原料として紡いだ糸ということで、帯の裏地ですとか、足袋の底等に使われているものでございます。

したがいまして、いずれも絹糸から比べますと光沢の点で相当劣ったり、あるいは手触りの点で劣ったりするわけでございますけれども、そういう製品でございます。

2のところで、現在の税率は、実効税率は関税暫定措置法のほうで、絹紡糸、絹紡紬糸とも7.3%となっております。

背景及び改正の必要性でございますけれども、この絹紡糸、絹紡紬糸につきましては、平成15年に最後の絹紡糸の工場が国内からタイのほうに移転して、完全に撤退をしました。その後も国内に戻ってきたり、あるいは新規投資ということがないかどうかという状況も見ておったわけでございますけれども、生産再開の予定も特に今後ないという確認が取れたところでございまして、そういう意味で国内産業保護の必要性はないという状況でございます。

他方、輸入をする国内需要というのは堅調な需要が依然続いているわけでございまして、地方中小企業が多くを占めます絹製品メーカーの原材料負担を軽減するという観点から、関税の撤廃要望がなされてきたところでございます。

なお、生糸につきましては、昨年度の制度改正におきまして、関税割当制度への移行、そして、それまでございました調整金制度が廃止されております。それによりまして、関割の枠内におきましては、関税その他課徴金の負担がなくて輸入が可能という状況になっております。

それから、絹糸につきましても、既に平成8年度に関税が撤廃されているという状況でございまして、そういう意味で関連の製品についても既に無税になっているといことでございまして、今回、絹紡糸・絹紡紬糸を基本税率として無税化してはどうかということであります。

これによります改正増減収見込みとしては、0.2億円ぐらいを見込んでいるところでございます。

それから、2ページの資料でございますけれども、基本的には今申し上げたことを少し整理して書いてございますが、一点、付け加えますと、左下にございますけれども、実は既に絹紡糸・絹紡紬糸の輸入というのは、特恵関税の対象国からの輸入が9割超になっていて、したがって、実際はほとんど無税で入ってきている。中国やタイ、ベトナム等でございます。

そういう意味では税率として無税にしても実態としてそう大きく変わるわけではございませんけれども、特恵の場合、特恵原産地証明書の発給のコストですとか、それの証明書に向けたいろいろな材料をそろえるためのコストというのは、それなりにかかるというふうに聞いておりますので、そういったものについてもコスト削減が可能になるということかと思います。

私のほうからは以上でございます。

○中山分科会長ありがとうございました。

ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がございましたらお願いいたします。

○林委員細かい部分なので構わないとは思うんですけれども、昨年、タイとのEPAを締結しましたけれども、その段階ではこれは議論にはならなかったんですか。その際、一緒にやっておくという手はなかったのでしょうか。

○松村関税課長昨年、特に大きな議論にはならなかったということでございます。

○林委員その辺はあまりないので。

○松村関税課長そうだろうと思います。実際には無税で入っておりましたので。

○中山分科会長ほかに何かございますじょうか。

特にないようでございますので、次に、「牛肉をめぐる状況」につきまして、農林水産省、渡邊食肉鶏卵課長より説明をお願いいたします。

○渡邊食肉鶏卵課長(農林水産省)牛肉の関税の緊急措置の取り扱いに関連いたしまして、牛肉をめぐる情勢について御説明をいたします。

お手元の資料3に基づいて御説明をさせていただきます。

1枚めくっていただきまして、1ページ目ですけれども、食肉の最近の需給価格動向でございます。我が国の牛肉需給についでございますけれども、米国産牛肉は、米国でのBSE発生によりまして、平成15年12月に輸入が停止されました。米国産牛肉の輸入停止前は、平成14年度をごらんいただきますと、牛肉消費量の約6割を輸入が占めてございまして、その輸入量の約5割弱、全体の消費量の3割程度を米国産が占めていたという状況でございました。

米国産の輸入停止以降は、米国産牛肉の代替として豪州産等の牛肉の輸入量が増加いたしてございます。また、牛肉から豚肉等への需要の代替が進んだということもございまして、全国的な需給逼迫という事態には至らなかったと考えておりますけれども、15年から16年のところを見ていただくとわかりますが、牛肉全体の供給量としては約7万トン程度の減少というふうになったわけでございます。

その後、18年度におきまして、米国産牛肉の輸入手続が再開になりました。この関係で牛肉の輸入量は対前年比2%増となりましたけれども、この年は国産が乳用種の出荷頭数の減少等から若干減少し、全体の供給量としてはほぼ前年と同じという状況になってございます。

また、19年度につきましては、米国産牛肉の輸入が引き続き増加しつつあるわけですけれども、BSE発生前の水準には至っておりません。豪州産につきましては、この年は干ばつによる現地価格の上昇等によりまして、輸入量が前年度に比べて3万トン程度減少したこともありまして、全体の輸入量は前年度とほぼ同じ水準ということでございます。なお、国内生産は4%ほど増加したということでございます。

さて、下半分の直近の状況でございますが、本年度、4月から9月までの統計でございますけれども、国内生産量は昨年同様、増加傾向で推移しております。輸入牛肉につきましては、引き続き米国産牛肉の輸入が漸増傾向にございますが、豪州産につきましては減少傾向ということでございまして、牛肉全体の供給量としては前年同期を若干上回る程度になってございます。

なお、米国産牛肉につきましては、輸入が再開された18年7月以降、米国産牛肉を使用する外食産業、牛丼店だとか焼き肉店でございますけれども、こういうところや量販店の数が徐々に増えつつございまして、直近で統計が出ている本年10月の輸入量は約5,600トンということになってございます。

2ページをごらんください。こちらは豚肉や鶏肉を含めた食肉全体の国内供給量をグラフにあらわしてございます。

16年度につきましては、15年12月の米国産牛肉の輸入停止や、16年1月の海外での高病原性鳥インフルエンザの発生等によりまして、牛肉、鶏肉の輸入量が減っております。その一方で、豚肉の供給量は、主に輸入が増えたわけでございますけれども、約8万トンほど増えまして、全体としてはほぼ平年並みの輸入になってございます。

その後、17年度にはこれらの状況が改善いたしましたので、牛肉や鶏肉の供給が回復傾向にありましたけれども、豚肉の供給が前年度と同じ水準ということでございまして、この年は全体の供給量が伸びてございます。

その後、18、19年度につきましては、豚肉、鶏肉の在庫量が高水準であったというようなことから、それぞれ輸入量が減少いたしまして、全体として17年度を少々下回る水準で推移してございます。

下半分の図でございますけれども、これまた直近の20年度の状況でございますが、これも4月から9月までの統計でございますけれども、豚肉と鶏肉の供給量が特に輸入を中心に増加しておりまして、食肉全体としては19年度を上回る供給量となってございます。

次に、3ページをごらんください。こちらは牛肉の小売価格と枝肉の卸売価格の推移を示したグラフでございます。

上段のグラフは牛肉の小売価格の動向でございますが、15年12月の米国産牛肉の輸入停止前に比べて、現在約1割程度高い水準で推移してございます。

また、グラフにはございませんけれども、こうした牛肉の価格動向もございまして、本年度の牛肉の一人当たりの家庭消費量は、輸入停止前と比べて依然として1割程度少ない水準ということになってございます。

次に、下段のグラフでございますが、こちらは枝肉価格の推移を示してございます。輸入牛肉と品質的に競合する乳用種牛肉につきましては、13年9月の国内のBSE発生後、価格が著しく低下いたしましたけれども、その後の需要回復を加えて、比較的順調に推移しているところでございます。

なお、19年度に入ってからは、在庫の増加、牛肉消費の軟化等の影響によりまして、やや低下傾向で推移してございます。

豪州産牛肉につきましては、国産乳用種牛肉と一定の価格差を保ちながら、おおむね連動した値動きをいたしてございます。

最後に、4ページをごらんください。米国産牛肉の輸入条件をめぐる状況でございます。

基本的には昨年と状況としては変わってございません。平成15年12月に輸入が停止された米国産牛肉につきましては、17年12月に一旦、輸入が再開されましたが、その後、特定危険部位である脊柱の混入が確認されたために、18年1月に再び輸入手続が停止され、18年7月に米国内の食肉処理場の査察を行った上で輸入手続を再開いたしまして、現在に至ってございます。

2番目の、OIE総会につきましては、昨年5月に家畜衛生に関する国際機関であるOIE総会におきまして、米国がBSEステータスとしては「管理されたリスクの国」ということで、3段階あるカテゴリーのうちの2番目のステータスに位置付けられまして、このステータスを得ることによりまして、OIE上は米国産牛肉の貿易に関しましては月齢制限がないということになってございます。

また、米国との間では、輸入手続の再開後、一定期間、対日輸出プログラムの遵守状況を検証するということになってございましたけれども、昨年6月に検証期間を終了いたしまして、これに伴いまして、水際で行っていたすべての荷物を開梱する全箱確認というのを終了してございます。また、これに伴いまして、新たな施設の認定というのも可能になってございます。

また、資料には書いてございませんが、米国との間では年1回、対日輸出施設についての査察を行うということとなっておりまして、本年度も8月に10施設の査察をしておりまして、対日輸出プログラムの遵守に関しまして問題はないということが確認されてございます。

また、4番目でございますけれども、日米間では牛肉の輸入に関しまして技術的な会合というのを昨年6月と8月の2回開催いたしまして、現在、その報告書について取りまとめを行っているという状況でございます。

私のほうからは、牛肉をめぐる情勢の説明は以上でございます。

○中山分科会長ありがとうございました。

ただいまの説明につきまして、御質問、御意見があればちょうだいしたいと思います。

○潮田委員ついでにお尋ねしておきたいんですけれども、OIEのBSEステータスの3つとおっしゃいましたけれども、一番上と一番下はどういうふうなものなのか。例えば日本はどういう位置付けになっているんでしょうか。

○渡邊食肉鶏卵課長(農林水産省)OIEの中では、輸入状況だとか、国内のBSEの発生状況を見まして、3つのカテゴリーに分けてございまして、一番上のリスクが少ない部分については、「無視できるリスクの国」というふうになってございます。真ん中が先ほど御説明した、「管理されたリスクの国」でございまして、一番下は「リスクが不明な国」ということにカテゴライズされてございます。

日本については、OIEのBSEステータスの評価はまだ出てございませんので、いずれにも属していないという状況でございます。

○赤尾委員今の牛肉をめぐる状況自体は非常によく理解できるんですけれども、本日この説明があった理由というのは、毎年3月末に延長しておられるセーフガードをどうするかということの背景説明ということでよろしいでしょうか。

○松村関税課長そのとおりでございまして、次回の会合でこの件を含めまして暫定措置の延長についてお諮りをするものですから、本件につきまして、状況をまず説明いたしまして、次回、あわせてお諮りしようというものでございます。

○中山分科会長ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。

それでは、続きまして、「特殊関税制度に関するワーキンググループ報告」につきまして、同ワーキンググループの小寺座長より説明をお願いいたしまして、続いて松村関税課長より補足説明をお願いいたします。

○小寺座長お手元に、特殊関税手続の見直しということで、資料4−1でございますけれども、これをごらんいただきたいと思います。

本年4月からワーキングの会合を都合6回持ちまして、検討作業を行いました。このワーキングのメンバーは、本日御出席の赤尾委員、伊藤委員、櫻井委員、林委員に御参加いただいて、積極的に御議論をいただいたわけでございます。そして、今般、先ほど申し上げた報告書をまとめたということでございます。

報告書の趣旨について、かいつまんで御説明申し上げます。

2006年のハイニックス社の相殺関税発動によって、特殊関税4類型、ダンピング、セーフガード等でございますが、これについてすべて発動を経験したということを踏まえまして、一つには、特殊関税の濫用防止、規律強化の必要性ということ、それから、もう一つは、今後の我が国における発動手続の効率性、この両方の要素を視野に入れて、国民経済全体の運営に資するように、バランスの取れた制度運営を行っていけるような、そういう特殊関税制度というもの、特にダンピング防止制度というものをつくっていこうということで、具体的な問題点について考え方の整理を行い、今後の立法課題を整理したものでございます。そして、特に平成21年度の改正の方向を検討しております。

今回の検討に当たりましては、調査開始前の手続、調査開始後の手続、それから、発動措置の内容等を決定する基準、この3つに分けまして、調査手続の透明性、予見可能性の向上、それから、調査当局による調査事務を効率化、迅速化するということを基本的な視点に据えて、国益に寄与する、そういう提言となるように心がけた次第でございます。

提言は、後で御説明がございますように、政令やガイドラインの手続の改正を中心としたものでございますが、ウルグァイ・ラウンド妥結に伴う改正以降、初めての特殊関税制度手続における大きな見直しであります。

今回のものは、WTO、GATT協定の締結をきっかけにせず、我が国の現状というものに照らして検討を行ったという点で、大きな特色がございます。こういう改正というのは、私が承知している限り初めてだろうというように思っております。

具体的には、ウルグァイ・ラウンドによって導入した特殊関税制度の骨格を前提といたしまして、その制度を構成するさまざまな要素の改善を行い、制度の効率化を目指すということでございます。後ほど詳しい説明がありますが、調査の端緒となる書類受理手続の簡易化や仮決定の明確化というような点に、このような基本的な視点があらわれていると考えております。

これまで日本の特殊関税制度というのは、敷居が高い、コストがかかるというような印象を国内企業が持っていらっしゃるというように聞いておりますけれども、今回の見直しで調査手続の整理、質問状の標準様式の作成というようなことを行うことで、国内企業も特殊関税制度の活用を、事前に十分見通しを立てて実行できるのではないかというように考えております。そうした点から国内企業にとって評価していただけるというように考えております。

なお、今般の検討がダンピング防止手続等、特殊関税制度について、自由貿易を推進する我が国の国際的な立場に変更を加えたり、また、我が国の現在、WTOのドーハ開発アジェンダで行っております自由貿易推進の国際的な主張を弱めたりするというものではいささかもないということを、最後に強調しておきたいと思います。それは、何よりも今回の検討が、ウルグァイ・ラウンドによって我が国が取り入れた現行制度を前提にして、その中の構成要素についての改善というものを目指すという性格のものであるからであります。

今から、いろいろ御苦労いただきました財務省の事務当局から、報告書について御報告をいただくということにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○松村関税課長それでは、補足的に少し報告書の御紹介をさせていただきたいと思います。

資料4−1と4−2がございまして、4−2のほうは、見直した項目についてのいわば総括表のようになってございますので、最後でまた戻りたいと存じます。

4−1の、目次の3ページのところに、今、小寺座長のほうからお話がございましたワーキングの、御審議いただきました委員の名簿と開催実績を付けてございます。6回ほど審議をいただきました。

内容でございますけれども、本文のほうの4ページ以降でございます。

1.調査開始までの手続ということで、「課税の求め」と「調査開始」時点に求められる証拠につきましてですけれども、国内産業関係者が「課税の求め」を行う場合に、国内法令では十分な証拠を提出してくれということになっているわけですけれども、アンチ・ダンピング協定や補助金・相殺措置協定では、合理的に入手できる情報を出すということになっていて、ここのところが国内法令のほうがやや厳格な要件になっているのではないかと。それによって産業界にとって「課税の求め」がしにくくなっているのではないかという御指摘がなされていたところでございます。

5ページの上のほうでございますけれども、そういう指摘も踏まえまして、課税を求める場合には、合理的に入手可能な情報に基づく証拠を提出するということを、確認的にガイドラインに書くことといたしております。

それから、下のほうの、(2)「課税の求め」から「調査開始」までの手続についてですけれども、従来、調査当局は「課税の求め」に対しまして、「調査開始」の判断を行えるだけの情報なり証拠がそろうまではこれを受理しないで、それまで証拠の補充を求める期間があったということでございます。

6ページの上のほうでございますが、今後は課税を求める方にとっての手続の予見可能性を高めるため、「課税の求め」が提出されたときは、速やかに「調査開始」の是非の検討を開始する。受理するまでの期間が何カ月もかかったりといったことにはせず、そこは証拠の補充等で必要なプロセスではあったわけですけれども、そういったことにはせずに、「調査開始」をするか否かを2カ月程度で判断を下していくということとしたい。その場合、必要ならば相談をしていただく窓口をガイドラインに明記をしておこうということで、「課税の求め」をする側の便宜に資することとしたいと思っております。

それから、7ページの、(3)で、ではどういう証拠を出せばいいのかというところ、そこもできる限り具体化したいと。それによって透明性、予見可能性の向上、それから、我々の側も事務の円滑化、効率化を図りたいということでございまして、具体的項目につきまして、これまでの経験も踏まえて少し例示的に書いていきたいということで、全体といたしまして、座長からもお話がありましたように、当局が調査を開始するに当たって、少し慎重過ぎるのではないかという御指摘があったことなども踏まえまして、そのあたりを少し見直しをしているというところでございます。

それから、9ページ以降は、調査開始以降の手続でございますけれども、11ページの(2)消費者及び産業上の使用者の手続関与ということが議論となったところでございます。

12ページの中ほど、(i)の3行目からでございますけれども、消費者及び産業上の使用者の関与の仕方といたしまして、今回、仮決定、これは後で出てまいりますが、仮決定を新たに明確化しようと考えておりますので、その告示、調査結果の概要を中間報告的に公表するわけですけれども、それに対して消費者団体や産業上の使用者の方々から意見表明を受け付けるという形での関与を考えているわけでございます。

それで、(A)のところにございますが、それによって国内産業保護の必要性を判断する際の考慮要素の一つと考えるということでございます。

それから、15ページでございますが、(4)調査事務の円滑化と調査手続の透明性の向上ということで、これも今、座長からお話がございましたように、(イ)の証拠提出の際の様式記載例等をつくって、事務の効率化を図る。それから、相手方にとっても予見可能性を高める。

それから、(ロ)の、質問状の標準様式等も同様の趣旨でございます。

その後、(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)と並んでおりますけれども、手続的な透明化、あるいは事務の効率化を図る趣旨から、こうした見直しを行ってございます。

18ページで、(チ)でございますが、緊急関税につきましては、公聴会の開催手続、これまで公聴会をやるということは書いているんですけれども、具体的な手続が書いてないものですから、こういったものも具体化しておこうというふうに考えております。

18ページの下で、(5)知ることができた事実(ファクツ・アヴェイラブル)、これは、その下にございますけれども、調査において、調査の対象者が必ずしも協力的ではない、妥当な期間内にちゃんと情報を出してくれないという場合には、調査当局は他の調査対象者等から得た情報でもって決定をすることができるということが、協定上、定められておりますが、その手続につきまして、一つは、(i)でございますけれども、ファクツ・アヴェイラブルというのは、調査対象者が調査を受忍しない場合の一種の対抗的な措置でもございます。それによって調査対象者に結果的には一定の不利益も生じ得るということから、手続の明確化のために、政令にこれを書いておきたいということ。

それから、(A)で、現在もこのファクツ・アヴェイラブルの適用に当たってガイドラインの規定がございますけれども、ややそれが複雑、煩瑣な規定になっていて、当局側としても使いづらいものになっていたということで、そこを少し整理したいということ。

それから、(B)のAでございますが、ファクツ・アヴェイラブルを使うことによって、結果的に非協力的な利害関係者に対して不利な結論となることがあり得るということ。これも確認的にでありますが、ガイドラインに記載しておきたいということでございます。

それから、「仮の決定」、今までこれは国内法令上、必ずしも明確には書いてなかったものでございますが、それを明確化しようというものでございます。「仮の決定」というのは、暫定措置を打つ場合、あるいは約束受諾をする場合の必須の前提条件プロセスになっているわけでございます。

それで、調査プロセスの早い段階で仮決定をしまして、その際の判断内容を事実とともに公開をすることによって、それに対していろいろな利害関係者から反論も出てくるでしょうから、調査当局としても、その出てきた反論を踏まえて、さらに検討をして証拠を固めて最終決定をするということが可能になる。すなわち最終判断の精度を高めることができる。それから、将来、仮にパネルでの争いなどになった場合でも、早いうちから相手の言い分、主張を聞いておくことによって、それに備えることができるといった利点もあるということを踏まえまして、「仮の決定」を国内法令に明記していこうということでございます。

あわせまして、暫定措置を迅速に打っていこうということで、23ページの(8)でございますが、暫定措置をとった場合に、制度的には現金で割増の関税を取るケースと、それから、担保の提供を求める場合と、どちらかを選択的に採ることができるように既になっているわけですけれども、我が国の場合は前回、二酸化マンガンで初めて関税を暫定措置として取ったわけでございます。担保の提供につきましては、(@)、(A)、(B)にございますように、現実の現金納付とならないということから、相手方にとっての経済的な負担ですとか、それから、我々の側にとっても迅速に措置しやすいということ、それから、協定でも現金納付よりは担保のほうが一層望ましいという位置付けになっているということでございまして、今後、担保方式も活用していこうということを書かせていただいております。

24ページ以降は、発動措置の内容を決定するための基準でございまして、ダンピング・マージンの算定方式ですとか、補助金の類型ですとか、そういったものをもう少しきちんと書き込んでいこうというところでございますが、28ページ以下は、WTOのルール交渉で交渉中のもの、レッサー・デューティー・ルールですとか、サンセット・レビューですとか、迂回防止措置といったようなもので、今、御案内のとおり、交渉が7月にとまって、ルール交渉のほうも今とまっている状態でございまして、今後、交渉の推移を見つつ、また検討していくというところでございます。

ただ、(4)サンセット・レビューにつきましては、29ページの中ほどにございますが、交渉の推移を見ながらということではございますけれども、他方でポリエステル短繊維に対する課税期間延長というのを行っておりますので、そのときの経験なりが失われてしまわないうちに、我々としてもそのときの経験を十分踏まえた検討を進めておいて、今後の交渉進展に備えたいというふうに考えてございます。

それから、30ページの、(5)迂回防止措置、これも今、WTOのルール交渉のほうでさまざまな意見が出て、まだどういう進み方になるかわからない状況ではございますけれども、我が国の場合、ウルグァイ・ラウンド交渉のときには、もっぱら発動を受ける立場から、迂回防止措置の導入についても基本的には反対という立場をとってきておったわけですけれども、今回のドーハ・ラウンドのルール交渉におきましては、明確な数値基準を盛り込むなど予見可能性がとれた形での迂回防止措置であれば、これを設けることについても支持していこうというふうに、現在なってきているということでございまして、交渉の推移を見つつ対応すべきものではございますが、そうした数値基準なども盛り込んだ形であれば、我が国の判断として、ルール交渉を待たずして導入することも考えられるのではないか。21年度改正とまではちょっとまいりませんけれども、もう少し準備を進めて、検討を進めていってはどうかということが書かれてございます。

31ページ以下は、4.その他で、やや中期的な検討課題というところでございますけれども、一つは、租税法律主義と特殊関税の関係が御議論でございました。そこの二つ目のパラグラフのほうで、アメリカなどではアンチ・ダンピング関税を、賦課命令、我が国で言うところの訓令に当たるものでやっているというようなこともございますし、上のパラグラフに戻りますけれども、各特殊関税の賦課の性格ですとか、租税法律主義の要請、それから、発動の円滑化・迅速化の要請の見地も踏まえ、それから、今申しましたアメリカの事例なども参考としながら、制度の体系について検討あるいは勉強を続けていってはどうかということを考えているところでございます。

最後に、32ページで、(2)司法救済につきまして、御案内のとおり、近年、行政訴訟などでは処分性を広く解して司法的な解決の道を広げる方向での、判例の進展が見られるところでございます。

特殊関税につきまして、我が国ではまだ訴訟であらわれた事例はございませんので、今後の司法の動向について注視していく必要がございますけれども、今後は司法救済等の事後救済を補完するものとして、いわゆる「事前救済」の手続といいますか、手続面での整備をすることによって、最終決定の精度を高めたり、調査手続の透明性、予見可能性を向上させていくといったことが必要なのではないかということでございます。

あとは、34ページ以下に、附論1で、少し歴史的な背景ということ、それから、附論2で、41ページですが、アンチ・ダンピング関税についての経済学的な分析、これはヒアリングをした際に御説明いただいた分析の簡単な御紹介でございますが、付けております。

大体こういった中身で、資料4−2のほうをちょっとごらんいただきたいと思いますけれども、ただいまざっと御紹介しました見直しの論点を総括表としてまとめたものでございまして、それぞれの項目につきまして、ガイドラインの改正ですとか、政令改正ですとか、それから、WTOの交渉事項ですとか、考え方の整理をして今後の課題としたものなどの分類をいたしております。

これはまだ今現在の心づもりということでございますが、大体こんな形で、基本的には21年度の制度改正を目指して、今後、作業を続けていきたいと思っております。

以上でございます。

○中山分科会長ありがとうございました。

ただいまの説明につきまして、御質問等をちょうだいしたいと思います。

○國井委員手続が非常にスピーディになるということで、国際競争力も高まると思うんですけれど、この改善によってどの程度、例えばアメリカと比較して、より一層いいのか、同程度なのか、国際比較をちょっと教えていただければありがたいんですけれども。

○松村関税課長アメリカとの比較で申しますと、委員もよく御存知かと思いますけれども、調査の仕方や、そもそも調査プロセスの発想が我々とは大変異なっている。アメリカの場合、これはEUともだいぶ違うわけですけれども、「課税の求め」があった場合に、その資料、証拠、それから彼らが文書で質問状などを相手方に投げますけれども、そうしたものを受けて、とりあえず暫定措置として割増関税を打ってしまう。そして、それは往々にして非常に高い。つまり打たれる側にとっては非常に高い割増関税をとりあえず打ってしまって、文句があったら言っていらっしゃいという形で、それをまた聞いて、それから利害関係者の意見を聞いて、そして最終決定になるときにはさまざまな意見を聞いた上での判断になる。したがって、そこは暫定措置の関税率とは相当違うものが最終発動になるというような形でございます。

EUの場合には、そうした形とは違って、利害関係者から十分、証拠収集、情報収集をした上で、現地調査にも行きまして、その上で暫定措置を発動する。

日本の場合、今回の見直しでも我々が考えておりますのも、基本的にはEUのような形で、ただ、その場合にも、今までは我々、発動の件数も少なくて、経験不足ということもあったわけですけれども、そういうEU型の中でも非常に時間がかかっていたということでございますので、そこをできるだけ事務を簡素化・定型化できるところや、標準様式をつくったりという形で、できるだけ迅速にやれるように改善していきたいというところでございます。

ただ、アメリカのような形も、今後の我々のバリエーションとしては、事案によってはあってもいいのかと思いますけれども、とりあえず文書で出された情報、あるいは一方の当事者の言い分でもってぼんと打っておいて、後で相手方の有効な反論が出てきたらぼんと下げるというような形というのは、受け入れられるものかどうかというところ、その辺は事例の積み重ねも見ながらまた考えていきたいところだと思っております。

○櫻井委員私、ワーキングに参加させていただきまして、勉強もさせていただいたんですけれども、少しコメントだけさせていただこうと思うんですが、31ページの、租税法律主義の話と司法制度の話なんですけれども、中期的な課題ということでありましたが、特殊関税みたいな話というのは、いわゆる古典的な租税法律主義には当てはまらないものであって、租税法律主義なんて議会主義の発生とともに発生してきた原理ですから、そんな古典的な話の中に特殊関税なんていうのが出てくるということ自体が本来おかしいんだけれども、法律学者の議論というのは、えてして自分が持っている伝統的な法的ドクマに新しい仕組みを無理やり入れて考えるというのがあるんだけれども、そこを乗り越えないといけないという局面にたぶん入っているんですよね。

そうすると、例えば国民健康保険料の最高裁判決を引用されているんですが、これなんかはむしろ健康保険法の中で保険料方式でいくのか税方式でいくのかという自体を証明しているわけですから、この議論をもっと超えたところに特殊関税というのは、「国境を超える行政」という言い方をしておりましたけれども、もう一段上の話なのであって、だからそこは勉強なんですよね。本当に前人未到のところなので、実務と研究者がちゃんと英知を結集して考えていかないと真っ当な制度はつくれない。そういうことではないかなというふうに思っております。それが第一点です。

それから、司法制度については、これもるる申し上げたところなんですけれども、前の司法制度改革のときも、知財の訴訟改革なんていうのは、知財高裁なんかをつくるのも、私たち法律学者から見ても、子亀というのは親亀の上に乗っているんだろう、当然のことだと思っているのに、親亀がいないのに子亀だけ空中にいるみたいな、そんな仕組みをつくっているわけで、それが驚天動地だったんです。だけど実際にはそういうふうにやって、それなりに現実的な妥当性を得て動いているというのが今の局面なんだろうと思うんですけれども、そうすると、行訴法の改正なんかも全く同じような、行訴法の場合は知財と違いまして非常に遅れているんですが、それでも例えば第9条2項の原告適格の条文なんていうのは、これはよく読むとわかるんですけれども、名宛人が裁判所だというふうになっていて、要するに法律が裁判官に対して法律の解釈の仕方はこういうものなんだよという、とんでもない法律なんですけれども、非常に説教くさい条文でして、こんな条文がなぜ入ったのかというのは、当時の法制局の関係でたまたま入ったというだけのことで、今だったらとてもこういう法律はできないだろうというふうに言われているんですけれども、しかし、そういう禁じ手をどんどんやっていくというか、どんどんタブーを破っていくみたいなのが法律の世界でも遅ればせながら起きておりまして、私、研究者としてはいい時期になったなというふうに思うんですけれども、霞が関の実務は今まで当然の前提だと思っていたことがどんどん通用しなくなっている。そういうところにあるなということを強く感じています。

さっきの保税蔵置場なんかの話も、本当は公安制度みたいな話とも関連して、広い意味での公安制度とか、各種カメン行政分野というのがあるんだけれども、水際行政というのはそこのところをどうするのかというところがずっと大きなエアポケットになっていて、そこが問題になっているという意味でも伝統的な枠を破っているということだと思いますし、暴力団の話も、結局警察はどうするのかという話で、警察に確認してもらえばいいという話でもないので、そこのところというのは単純な縦割り行政ということではなくて、新しい課題を突きつけられているのが関税局のお仕事なのかなということで、課題は山積しておりまして、勉強をされるということでしたので、ぜひ勉強を続けていただきたいということでお願いしたいと思います。

○林委員今のお二方の意見と少し関連するんですけれども、特殊関税の世界というのは規律は大変重要なんだけれども、諸外国に比べて本当に日本の特殊関税というのはやりにくい、利用しにくいというのが、一般的な事業者の見解だったんですが、今回大きな前進が行われたと思っているんですけれども、その中で、各国とのバランスという点を考えると、さっき御説明があったアメリカと比べてものすごく利用しにくい、課税しにくいと。独禁法でもああいう制裁が行われたという議論がこの部会でもありましたし、また、今の国民健康保険料の賦課処分でも、わりあいにこの部分では簡単に賦課して、あと、訴訟はできるわけですけれども、各国のバランス、発動しやすさのバランスというのをぜひ考えていただいて、いろいろ法的には難しいところがあるかもしれませんけれども、日本の事業者だけが特殊な難しい世界に置かれないようにという配慮をぜひ考えていただいて、さらに前進してもらいたい。

特にその中では租税法律主義の関税の賦課の仕方というのは、私も大変気になっているものですから、考え方をできるだけ早く整理していただいて、法制度の形で実現していただけると大変ありがたいと思っています。よろしくお願いします。

○大来委員日本の特殊関税の発動のしやすさを国際的な水準に近付けるということは大変結構なことだと思うんですが、その際に一点、私の感じとして申し上げたいことは、国際的水準自体が、例えばアメリカのように発動があまりにもしやす過ぎるというものも入れた国際水準でないことを、私は望みたいと思うんです。

その関連で、例えば消費者団体及び産業上の使用者からの意見表明が可能となる規定というのがありますけれども、これは今まで全くなかったものなのかどうか。ちょっと勉強不足で知らないので教えていただきたい。

それから、消費者団体及び産業上の使用者からの意見表明を可能にすると、また特殊関税の適用がしにくくなるという問題が起きたり、あるいはその速度が遅くなるという問題が起きたりするということを考えて、消費者団体及び産業上の使用者からの意見表明というのが最終的に残らなくなる、そういう可能性はないのだろうかということを、ちょっと教えていただきたいと思います。

○松村関税課長消費者団体、それから産業上の使用者の手続関与というのは、今回初めてというわけではございませんで、もともとこの調査を開始するときに、いろいろな証拠なり情報を持っている方は出してくださいということで、出していただける形にはなってございます。それが全体として最終判断の中にどういうふうに取り入れられていくかということで、委員がおっしゃるように、あまり時間がかかって、また課税が遅れてということになりますと、動きが悪くなってしまうという部分もございますので、その辺のバランスのところはなかなか難しい問題だとは思っておりますけれども、今回の場合は国内産業保護の必要性を判断する際の考慮要素の一つという形で位置付けてございます。

○原審議官今、アンチ・ダンピング、それから相殺関税と、二つありまして、産業上の使用者、それから消費者団体は、アンチ・ダンピングの場合は情報の提供はできるということになっています。相殺関税の場合は情報提供プラス意見表明というふうになっておりまして、したがって、アンチ・ダンピングについても相殺関税と同様に意見表明の機会を与えようと、こういう趣旨でございます。

○小寺委員座長が言うのも変なんですけれども、一点付け加えさせていただきたいのは、今回のワーキングをやっていたときに常に頭に思っていましたのは、輸入・輸出ということと同時に、消費者の問題というのがあるわけです。

割増関税がかかるわけですから、結局国内に輸入品が入らない、もしくは高くなる、こういう問題がございますので、それゆえにこの制度にはいろいろ複雑な諸要素を勘案して、一体どこで仕切るのかというところが、私、この制度は使い方が非常に難しいと思っています。

難しい理由のもう一つは、ダンピングであれ何であれ、経済学者の先生に聞くとこれはやめるべきだとおっしゃるんですね。つまり制度の正当化の根拠、レジテマシーどこに求めるかという点がなかなか難しい。ゲームのルールには日本はコミットしたんだからという割り切りをするかしないかというような問題ももう一点ございまして、そういう意味で、最後に松村課長から今後の課題というように御提示のあった点は、これはさっき櫻井先生もおっしゃったように、今後、官民でいろいろ知恵を絞って検討していき、ある段階できちんと決断をする。そこまでは一生懸命考える。こういうフェーズに入っていったんだなというように私自身は思っております。

○中山分科会長ありがとうございました。

ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。

御質問もございませんようですので、それでは、「特殊関税税制に関するワーキンググループ報告」につきましては、本分科会といたしまして了承するということにしたいと存じますけれども、よろしゅうございましょうか。

ありがとうございます。それでは、本分科会といたしまして了承するということにいたします。

また、本分科会としての了承をいただきましたので、本分科会終了後、公表することにいたしたいと思います。

それでは、最後に、今後の関税分科会の日程につきまして、松村関税課長より説明をお願いいたします。

○松村関税課長次回の関税分科会でございますが、来週の火曜日、午前10時から1時間程度で、同じ会議室での開催を予定してございます。

それから、次々回につきましては、私どもの心づもりといたしましては、平成21年度関税改正に係る御答申をちょうだいいたしたいと考えておりまして、日程につきましては、来週の金曜日、12日(金)の午後0時から1時間程度ということで、この場所での開催を予定しております。お昼にかかるものですから、お弁当を用意させていただいての開催とできればというふうに思っております。

委員の方々、大変お忙しい中で恐縮でございますが、よろしくお願い申し上げます。

○中山分科会長ただいまの説明につきまして、何か御質問等はございませんでしょうか。

例年なんですけれども、年の終わりにはいつもこの会は立て込んで会議を行いますけれども、お忙しいところ、よろしくお願いいたします。

以上をもちまして、本日の関税分科会を終了いたします。

本日は御多用中のところ御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。

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