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関税・外国為替等審議会 第27回外国為替等分科会議事録

関税・外国為替等審議会
第27回外国為替等分科会議事録

平成27年12月22日(火)

財務省 国際局

於 財務省第3特別会議室

(本庁舎4階)

議事
   1. 最近の国際金融情勢について
   2. 外国為替等分科会の今後の進め方について


午後1時01分開会


○小川分科会長 それでは、ただいまより第27回外国為替等分科会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ御出席いただきましてありがとうございます。
 議事に入ります前に、先日委員の交代がございましたので、私から御紹介申し上げます。竹詰仁委員が、日本労働組合総連合会総合政策局経済政策局長から関東電力関連産業労働組合総連合事務局長に異動されたことに伴い御退任され、日本労働組合総連合会総合政策局経済政策局長に新たに就任されました春田雄一委員が任命されております。
○春田委員 よろしくお願いします。
○小川分科会長 また、藤井眞理子委員がラトビア大使に御就任されたことに伴い御退任されております。
 それでは、本日の議事に入りたいと存じます。
 最初に、事務局より最近の国際金融情勢について御説明をいただき、次に、6月2日の分科会で提出いたしました「通貨政策・制度に関する中間論点整理」を踏まえた今後の分科会の進め方について、私から説明させていただきたいと思います。質疑、自由討議につきましては、議題ごとに時間をおとりしたいと思います。
 それでは、まず第1の議題であります最近の国際金融情勢につきまして、吉田次長、土井審議官、岡村審議官の順に順次御説明をお願いいたします。
○吉田次長 それでは、私から、お手元の「最近の国際金融情勢について」の資料に基づきまして、I、U、V番まで御説明を差し上げたいと思います。
 まず、世界経済の動向については、まずお手元の3ページをお開き下さい。全体的には、実質GDP成長率をご覧いただきますと、先進国が底堅い動きになっているのと対照的に、新興国、途上国では減速傾向にあります。特にブラジル、ロシアの減速傾向が顕著になっているところでございます。
 それから、世界的な傾向としましては、財政収支、特に財政健全化の努力を続けていく中で、先進国は総じて回復傾向にある一方、新興国、途上国については徐々に悪化しているという趨勢が見て取れるところでございます。
 1ページお送りいただきまして、4ページ、5ページになりますけれども、12月に入りまして、マーケット関連で大きなイベントが2つございました。1つは、12月3日にECBの政策理事会が開かれまして、その中で、量的緩和の強化に注目があったわけでございますけれども、基本的には資産買入れプログラムの期限の延長、下から2番目の○のところになりますけれども、政策金利が現行の0.05%に据え置かれると。預金ファシリティの金利がマイナス0.3%に引き下げられたというところが、緩和傾向としては一定の方向性があったのですけれども、市場の受け止め方としてはやや不十分であったというところでございまして、ECBとしては、今後、十分な柔軟性を有することを確認したということで、臨機応変に対応していくというメッセージが出されているところでございます。
 1ページお送りいただきまして、FOMCでございます。12月16日になりますが、これもマーケットの関心を非常に大きく集めたところですけれども、上から3つ目の○ですけれども、全会一致でフェデラル・ファンド金利の誘導目標を0.25%から0.5%という幅に引き上げたということでございます。
 今後の方向性は、一番下になりますけれども、FOMC参加者17名の予想の中央値ということで、2016年末、来年末までには1.375%程度。したがいまして、大体4回程度の金利の引き上げが見込まれているということでございます。
 趨勢的にはそういう状況で、2017年には2.375%、2018年には3.25%の緩やかな、FRBとしてはグラジュアルという言い方をしておりますけれども、緩やかな金利の引き上げを今後、景気動向を見ながら行っていくということでございます。
 その後の市場につきまして、マーケットの動きをチャートでもおつけしておりますが、基本的にはFOMCの動きも事前に織込み済みであったということで、大きな波瀾はございませんでした。
 続きまして、11ページ、12ページをご覧ください。年明け以降の新しいトピックとして、日本がG7の議長国になるということと、中国がG20の議長国であるということについて、簡単な資料をご用意してございます。
 まずG7の方でございますが、財務大臣会合が5月20日から21日にかけて仙台市の秋保地区で開催を決定しており、今後、所要の作業を進めていきます。
 2つ目に、12ページでございますけれども、今後1年間、中国が議長国となってG20でさまざまな検討が行われていきますが、中国が公式に発表している議題案、アジェンダをお示ししております。「世界経済」とは、通常マクロ経済の動向がどうなっているかということを議論するものでございます。もともとG20はそのための場でございましたが、議長国中国は、それに加えて、構造改革についても議論をしたいということで、生産性の向上により潜在成長率を高めていくためにはどのような取り組みが必要なのかについて検討していくということでございます。具体的には、その進捗を図るためにインディケーターを幾つか選んで、それについて議論を行いたいというようなことを言っております。
 3つ目が投資戦略です。従前のトルコが議長国を務めたプロセスにおきましても、投資を促進し、それを経済の将来的な活性化や安定的な成長につなげていくという大きな考え方がありましたが、それを引き継いでいくということでございます。
 4つ目は国際課税です。これも今年のG20プロセスの中で一定の成果が見られましたが、今後BEPSプロジェクトのインプリメンテーションについて議論が行われます。
 5つ目は国際金融アーキテクチャーにつきまして、国際金融機関のIMF、世銀等も含め、ガバナンス改革等についての議論を行っていくものでございます。
 6つ目は金融規制改革でございます。これまでも金融マーケットや金融システムの安定のためにさまざまな規制強化が行われてきておりますが、今後さらにそれらについて検証を進めていくということでございます。新たな論点といたしましては、グリーンファイナンス等についても今後研究をしていこうということになっています。
 続きまして、ページをお送りいただき、ギリシャ問題でございます。やや時宜を失った感じではございますけれども、本事務年度に始まりまして、7月に佳境にあった話でございます。委員の先生方には御説明の機会がございませんでしたので、少し時期的には遅れておりますけれども、この場をお借りして御説明申し上げたいと思っております。
 まず、14ページ目、事の発端が何であったかということですが、2009年の10月までさかのぼりますけれども、パパンドレウ新政権になりまして、そのときに過去における財政統計上の不備というのがありました。御承知のとおり、当然ユーロの参加国としまして、マーストリヒト条約で一定の財政目標の達成が義務づけられているわけですけれども、それについてやや不正のようなものがありました。その後、それに注目して市場で信用不安が起きたということでございます。2010年になりますけれども、第1次のギリシャ支援プログラムが合意されまして、これが1,100億ユーロでした。
 それからちょうど1年たったところで、それまでの改革努力はある程度進んでいたのですけれども、金利の上昇とか、改革による影響もあったのだろうと思いますが、景気後退が生じておりまして、そのため市場への復帰が遅れたりして、さらに問題が表面化してきたということで、ここでまた1,727億ユーロの第2次支援プログラムが合意されたということでございます。
 その後、2012年5月に総選挙が行われまして、連立政権ができました。その際に組閣等の遅れもございまして、財政再建目標の達成が困難になるという事態になり、第2次支援プログラムについて達成期限の延長を行うということが決まったわけでございます。
 そして、第2次支援プログラムの目標ですけれども、一番下の四角にございますが、2020年末に債務残高の対GDP比を117%にする。現在は約180%ですので、相当な改革努力が必要であるということでございます。それから、2014年の基礎的財政収支を対GDP比で4.5%達成するということでございますので、これも相当な改革努力が必要であるということです。少し細かいグラフになってしまいますけれども、財政収支のところの一番左の下の箱ですが、紫色の線で書いてある財政収支の2009年をご覧いただきますと、約▲15%でございますので、今は約▲4.5%、ここまで達成するのは非常な困難を伴うものであったということがわかるかと思います。それ以外の指標を見ていただきますと、改革努力を行っている中で、徐々に回復基調にあったということはここで見て取れると思います。
 1ページおめくりいただきまして、まさにこの夏騒ぎになったその前後、何が起こったかということでございますけれども、今年の初めにまた総選挙が行われまして、チプラス党首が率いる左派連合が選挙に勝ったということでございます。第2次支援プログラムの期限は6月30日でしたけれども、それをちゃんと達成して、新たな支援プログラムに入っていくというのが当時の大きな課題であったところでございます。
 それがまさに期限ぎりぎりになりまして、6月27日に国民投票を実施するということが発表されました。これは、実は新たな支援プログラムについて合意する前に、ヨーロッパ側、ECB側からギリシャ政府に対して一定の改革案が提示され、それをギリシャ政府が拒否したような形になっていたということでございます。国民投票が7月5日に実施されて、これでマーケットの動揺が相当程度あって、資金流出が銀行セクターから起きるというような状況に立ち至ったわけでございます。
 その後、国民投票でチプラス政権は支持を得まして、それで何が起きたかというと、今度はギリシャ側から改革案の提出がございました。これはその前、ヨーロッパ側から提示があったものとほぼ同様で、かなり野心的な改革案の提示を行ったということで、それをきっかけとしてその後交渉が行われるようになって、徐々にマーケットも鎮静化をしていったということでございます。交渉の末、8月20日、第3次の支援プログラムが実施されるに至ったわけでございます。その内容については次のページで御説明いたします。
 15ページの右の一番下のところを、また細かいグラフで恐縮ですけれども、ご覧いただきますと、赤の足のところが銀行セクターからの預金流出になります。2015年の頭から非常に大きなものが続いておりましたが、ちょうど支援プログラムが実施されることによってそれが止まったというような状況が見て取れるかと思います。
 続きまして、16ページでございます。第3次支援プログラムの内容でございますけれども、全体として860億ユーロ、期間は3年で、3回に分けて実施されることになっております。第1回目が260億ユーロで、残額については、その後の支援プログラムの進捗状況を踏まえて、額、内容について決定していくということになっております。
 その中で、中身の内訳としましては、ギリシャ政府の債務返済支援で160億ユーロ、そのうちの150億ユーロについては既に実施されたところでございます。残りの100億ユーロは銀行セクターの資本増強支援という中身になっております。
 主な改革の条件ですけれども、プライマリーバランスの対GDP比のところをご覧いただきますと、2015年が▲0.25%ですが、その後徐々に回復をさせて、2018年には3.5%を達成するということが義務づけられているところでございます。
 これに加えまして、経済の構造改革を進めていくということで民営化プログラムがございまして、国有企業等の民営化を進めていくことによって、500億ユーロ程度の売却益を見込んでいるということでございます。これについては、今後さらに努力を続けていくということでございますけれども、現在のところ、進捗は必ずしも華々しいものはないということでございます。
 今後ですが、この支援プログラムについて年明けの1月に第1次レビューが行われまして、その中でまた新たな目標、860から260を差し引いた600億ユーロの残額の今後の支払い、支援の枠組等について検討することになっておりますが、幾つかそれについての論点がございます。将来的に財政のサステイナビリティがあるかどうかというところが非常に大きな関心になっており、何らかの債務救済が必要ではないかというのがIMFの見立てでございまして、現在、IMFはこのプログラムに参加しておりません。
 昨年の9月20日にこのプログラムの是非を問う形で総選挙が行われまして、現政権が信任を得ていますが、実はその公約の中で、負担を軽減すべくEUの債権団と交渉するようなことをチプラス首相が言っている。
 それから、IMFが何らかの債務救済が必要だと言っておりますが、これについてドイツが強硬に反対しているので、ヨーロッパ内の足並みがどうなるかというところが、年明けにかけての一つの大きな議論になってくるのではと思っているところでございます。
 さらに1ページおめくりいただきまして、17ページでございます。第3次支援プログラムとはどのようなものなのかということで、細かい説明は省略させていただきますけれども、ご覧いただきますとおり、かなり多岐にわたり、しかも野心的な内容が盛り込まれているということでございます。
 ギリシャはこれまでのところ、これを一つ一つ着実に実施に移してきていますので、一定の信頼を寄せていいのだろうと思っております。ですから、これがヨーロッパも含めて、その後、第1次レビューの中でどのように評価されていくかというところを見守っていく必要があるかと思っております。
 ギリシャは以上でございまして、次に「人民元のSDR構成通貨入りについて」ということで、19ページをお開きいただきます。これも、ここ最近非常に耳目を集めた内容でございますけれども、私どもで議論をさせていただいて、いろいろな御意見をお聞きする中で、やや誤解に基づいたところがあるのかなと思っておりまして、それを申し上げようと思います。
 19ページをご覧ください。基本的にSDRは「通貨」ではなく、あるいはそれが幾つかの外貨のコンポジットになっているのではないかというような誤解もございますが、これはただ単に外貨を請求する権利でございます。そして、これをIMFが配分することによって、基本的には各中央銀行等の外貨準備として保有され、一定の外準の積み増しが行われるということでございます。実際使用する段になりますと、それをドル、ユーロ、円といった自由利用可能通貨に交換して使うということでございまして、民間保有もなされておりません。したがって、4つ目のポツになりますけれども、構成通貨入りは象徴的な意味合いであるという以上のものではございません。
 今回何が行われたのかというと、SDRの価値を決めるために今まで使われていた4つの通貨に人民元を新たに加えるという判断と、その通貨ウェイトをどのようにするかということでございます。SDRの1つの役割としてあるのが、いろいろな外貨の中でそれがどういう位置づけになっているのかということを示す一つの価値尺度だということです。それを考えるに当たっては、通貨構成というのは国際的な経済、金融の情勢をバランスよく反映している必要があるということでございます。
 1ページおめくりいただきますと、そういう観点から見たときに、構成通貨の要件は何であるかということは、これはIMFが決めているものでございます。具体的には、2つございまして、要件の1つは、過去5年間の輸出額が最も多い国・地域の発行通貨であるということで、文句なしに人民元は該当するということでございます。
 要件の2つ目が、自由利用可能通貨であること。これは、広範に使用されて、広範に取引されている通貨であるとIMFが認めるものという意味ですので、IMFがこのように決めればいいわけでございます。
 ここでもやや誤解がありますが、例えば、為替が完全にフロートしたとか、資本規制が完全に自由化しているということは要件にはなっていないのでございまして、実態として国際取引として広範に使用され、取引されているということが肝心で、まさにそれによって国際金融情勢をバランスよく反映しているかどうかを見るということでございます。その上で、IMFとして人民元をSDR構成通貨に加えるということを決定したところでございます。
 将来的に期待される効果として我々が考えておりますのが、各国通貨当局がSDRを人民元に換えようとするのであれば、当然人民元の使い勝手がよくないといけないので、中国政府に対して、今後の自由化への取り組みをさらに強化していくことが期待されているところでございます。
 最後になりますけれども、21ページ、今回、SDR構成通貨のウェイトの見直しもあわせて行いまして、それがどういうものだったかということを簡単に御説明申し上げます。従来、輸出額と外準額をただ単に積み上げてウェイトは計算されておりまして、見てみると、輸出と外準の比がおよそ2対1というあまりバランスのとれていない比率となっておりました。
 それでは、2010年の見直しのときにはどうなっていたかと申し上げますと、一番左のコラムをご覧いただきますと、米ドル41.9%、ユーロ37.4%、日本円は9.4%でございました。今回人民元を加えて同じような算出式で計算するとどのようになるかというものが真ん中のコラムですけれども、米ドルは38.90%になっておりますが、一番下のところをご覧いただきますと、人民元が13.65%ということで非常に高いシェアになるというところでございます。
 今回それについては議論があって、どういった形で経済と金融の情勢をバランスよくSDRの通貨ウェイトに反映させることができるかという見直しを行いましたところ、新算出式の右コラムの上の方にありますけれども、輸出を50%として、さらに残りの50%を外準、外為取引高、国際的な銀行債務と国際的な債券残高の合計をそれぞれ3分の1ずつ案分するような算出式にしました。その結果として、米ドルが41.73%、人民元が10.92%、日本円は8.33%で、スターリング・ポンドを抜いて日本円は4番目という状況になったということでございます。
 私からは以上です。
○土井審議官 それでは続きまして、私から、「中国経済の現状」ということで手短に御説明をさせていただきます。
 まず、23ページをご覧いただきたいのですが、中国の実質GDP成長率の推移のグラフですけれども、2011年頃までには10%前後の成長を続けておりましたのが、2012年以降は7%台に低下いたしまして、足許では7%を切る水準まで低下してきているということでございます。このことをもって中国経済は減速してきていると言われておりまして、さも7%前後の成長が低過ぎるかのような言われ方をすることも多いのですが、最初にまず申し上げておきたいのは、中国経済につきましては、このような成長率の低下は極めて自然なことだということでございます。
 その1つの要因が人口動態の変化でございまして、24ページをご覧いただきたいのですが、左のグラフから、中国の生産年齢人口は既に減少過程へ入っていることがわかります。また中国では、これまで農村部の安価で豊富な労働力が都市部に経常的に流入し、生産性の高い工業部門の成長を支えてきたと言われておるわけですけれども、どうやらこれもピークを超えたらしいというのが右側のグラフが示すところでございます。
 つまり、実線で示しております成長率が足許低下してきているにもかかわらず、破線は有効求人倍率ですけれども、これは上昇を続けております。こういったことから、実は従来のような労働力の供給が柔軟に行えなくなってきているのではないかということでして、いわゆるルイスの転換点を迎えたのではないかというようなことを言われております。これらを合わせ考えますと、経済成長の3要素の1つである労働力につきましても、これから余り期待できない。むしろ足を引っ張るような要因になっていくのではないかというふうに見られます。
 次に、3要素のうちの資本の増加という観点からどうかということですが、次の25ページをご覧いただきたいのですけれども、現在の中国経済の抱える大きな構造的課題の1つは過剰設備問題でございまして、特にリーマン・ショック以降の世界経済の減速への対策として中国政府が打ち出しました4兆元対策は、足許の景気拡大には非常に効果があったと言われておりますが、他方で深刻な過剰設備問題を引き起こしたということです。
 右側のグラフにもありますように、中国の主だった重厚長大産業はいずれも設備稼働率が低迷しておるという状況にございまして、中国政府自身が今後5年間は中国経済の構造調整の陣痛期だということで、時間をかけてこのような構造調整を進めていこうということを言っております。つまり、資本という面で見ましても、これまでのような成長のドライバーになるというのはなかなか見込みがたいということです。
 中国の経済成長を寄与度分析したものが次の26ページ目にあるグラフでございますが、今御説明いたしましたように、青い部分で示されている労働投入量につきましては、既にほぼゼロとなっております。また、緑色で示しています生産性の伸びも、2010年頃まではそれなりに高い伸びを示していたのですが、足許ではこれもほぼゼロとなっております。
 生産性につきましてはさまざまな要因が考えられるので、単純に断定するのは非常に危険なのですけれども、1つ考えられますのは、生産性の低い農村部から生産性の高い工業部門に労働力が流入している間は、全体として高い生産性の伸びを確保できていたものが、峠を越えますと、そのような生産性の高い伸びを続けるのは難しいということを反映している可能性もございます。もしそうであれば、このような生産性の動きについても一種構造的なシフトであるかもしれないということでございます。
 最後に、これまでの成長の圧倒的な要因といたしましては、赤色の資本投入量の部分ですけれども、ここも、経済全体で深刻な過剰設備問題を抱えている中でこれを続けるということは、持続可能ではないといった状況です。
 こういった状況でございますので、さまざまな構造的要因において中国経済の潜在成長率はかなり低下してきていると見るべきでして、7%を切るような成長もごく自然な流れでございます。そういう意味では、中国政府もこれをニューノーマルと言っているということだと理解しております。
 今後の技術革新がどのように進むのか、あるいは資本の調整がどのように進むのかということで、中国経済の潜在成長率が今後どの程度になっていくのかということについてはさまざまな見方がございまして、現状とさほど変わらない成長を維持できるのではないかという見方もございますけれども、既に高度成長期は終わりを迎えつつあって、この先は成長がかなり低下するのではないかというような見方もある状況で、その辺りは分かれてくるところでございます。
 こういう中で、次の27ページをご覧になっていただきたいのですが、中国政府も、これまでの輸出と投資主導の経済成長は持続可能でないと判断しておりまして、内需、とりわけ消費中心の成長へと発展モデルを転換しなければいけないということで取り組みを進めている状況です。ただし、これがどこまで進んでいるのかについては我々も正確なところはわかりませんが、まだまだ道半ばといった状況ではないかと思われます。また、今後の成長を続けていくためには生産性を上げていくしかないものですから、政府としても最近、盛んにイノベーションということを強調するようになっているというのが現状でございます。
 次に、マーケットの動きを見ていこうと思います。28ページですけれども、今年の6月から8月にかけまして、中国の株式市場は大きく値を下げました。それに対しまして、中国当局は矢継ぎ早にさまざまな対策を講じてきたところでございます。その対策は28ページの右側に書いてありまして、個々の内容を詳しくは御説明いたしませんが、PKOのような需給対策から、空売りをしている業者に対する公安の取り締まりのような強面の対策まで多岐に行われたようでございます。
 最終的には人民銀行の金融政策による流動性供給のようなことも行われまして、マーケットは小康を得ましたが、市場の果たす役割を重視するというようなことを政府が強調するかたわらで、結果的に株価の関係で政府によるさまざまな市場介入が行われたということで、海外投資家からの信任という面では大きな課題を残した形になっているのではないかと思われます。
 次に、為替ですけれども、29ページをご覧いただきますと、右上のグラフで、今年の8月に中国政府は突如人民元の対ドル仲値の計算方法を変更しました。人民銀行は毎日対ドルで仲値を発表しておりまして、そこから上下2%の変動幅の中での取引を許容しておるわけですけれども、その仲値の計算方法について、前日の対ドルの終値を参考にして計算する方式に変更をしたわけでございます。
 そういった意味では、人民元レートを市場実勢に近づけるための改革というふうに見ることもできるわけですけれども、他方で、当時の人民銀行はそれまで基準値を市場実勢で高めに設定しておりましたので、実質的にワンショットで2%の元の切り下げとなりました。この変更が突然だったこともありまして、市場は一時的に混乱したという状況でございます。
 これは、要は人民元を市場実勢に近づけるための改革だというふうにポジティブに見る見方と、そうではなくて、国内経済が苦しい中で輸出セクターを後押しするための一種の元の切り下げにつなげていく方向なのではないかという見方に分かれたということでございます。このように、マーケットで人民元の先安感が出る中で、急激な元安を阻止するために、人民銀行は相当な規模のドル売り、元買い介入を行ったと見られております。
 同じく29ページの右下のグラフを見ていただきますと、もう少し長期にわたる人民元の動きがわかります。2014年頃までは継続的に元高方向でありましたのが、2014年に入った頃からむしろ元安の方向へ進んでいることがわかります。それに伴いまして、左下のグラフですけれども、中国の保有する外貨準備は2014年6月がピークとなりまして、その後はむしろ減少へと転じている。つまり、継続的にドル売り、元買い介入を行っているのではないかと見られるわけでございます。
 直近の動きとしましては、右上のグラフに戻っていただきたいのですけれども、この右上に細かい字で書いていますが、今月11日に13の外国通貨バスケットに対する人民元指数を人民銀行が公表しました。つまり、これからは元の対ドルレートだけではなく、通貨バスケットに対する元の動きも見てほしいということでございまして、バスケットの中にはかなりアジア通貨も含まれておりますので、最近、元のドルに対する下落局面でも、対バスケットで見るとそこそこ安定している状況に見えるようになっています。
 これにより市場では、このような動きは元の対ドルでのさらなる下落を容認するものではないかという見方も出ておりますが、実際中国政府自身は、バスケット制というのは2005年から採用していますので、そういった意味では特に新しいことでもないということで、今後どうなるのかということにつきましては、当局の運用を見ていくしかないのかなというところでございます。
 次に、不動産の動きですけれども、30ページになります。リーマン・ショックの後、政府の大規模な経済対策がありまして、それを受けてかなり急激な不動産価格の上昇が見られております。当局もバブルを警戒しまして、若干引締め的な政策をとったものですから、昨年はこれが一時軟調となっていたのですが、今年になって再び上昇を始めているという状況でございます。
 不動産価格というのは、中国の場合、地方政府の財政問題にも直結しますので注意を要するわけですが、実は中国の場合、株価の動きと見比べ、あわせ見ますと、不動産の動きというのは非常に興味深い動きを示しておりまして、次の31ページをご覧になっていただきたいのですけれども、一般的には株も不動産もいわばリスクアセットでございますので、市場がリスク・オンの時には価格が上がって、逆になれば両方とも売られるというのが一般的だと思われますが、中国の場合は、少なくとも足許の動きを見ていますと、両者が逆相関の動きを示しているようにも見えるわけです。
 株価が下がっているときには地価が上がり、地価が下がると株価が上がるといった感じでございます。資産価格はさまざまな要因で決まりますので、これを単純化し過ぎることは危険ではあるのですが、市場に供給された大量の流動性が投資先を探して資産市場間を行ったり来たりしているのかもしれないということで、興味深い動きでございます。
 その関連で注目しておりますのは、32ページの最近の社債市場、債券市場の動きでございまして、株価が低迷している中で社債の発行規模は拡大を続けているということでございます。左のグラフを見ていただきますと、国債と社債の間のスプレッドも縮小を続けておりますので、先ほどの考え方の続きでまいりますと、リターンを求める資金が今は社債市場に大量に流れ込んできているのではないか。特にマーケット関係者によれば、株価が大きく調整した後にかなり社債市場に資金が入ってきているのではないかということが世情言われてございます。
 このようないろいろな動きのもととなっている流動性ですけれども、33ページのグラフをご覧になっていただきたいのですが、これは中国経済全体の融資規模の増減を示す社会融資総量の推移を示したグラフでございます。リーマン・ショック以降、急激に社会融資総量が伸びていることがわかります。
 これは、あくまでもフローの増加額を示しているだけですので残高ではないのですけれども、このように毎年のフローの額が伸び続けているという状況であるため、残高ベースでもかなり急激にクレジットが積み上がっている状況だと見られております。急激にクレジットが積み上がった場合は、その後金融が不安定化するケースも国際的には多く見られますので、中国についても今後いろいろな動きを注意して見ていかなければいけないのではないかと思っております。
 私からは以上でございます。
○岡村審議官 開発担当の審議官をしております岡村でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私からは、「質の高いインフラパートナーシップ」についての最近の具体策ということで、資料で申しますと、おめくりいただいて、37ページからの資料を簡単に御説明させていただきたいと思います。
 質の高いインフラパートナーシップ、PQI(Partnership for Quality Infrastructure)は、今年の5月に安倍総理から「アジアの未来」のスピーチという場でオープンにしたイニシアチブでございます。その後、各関係機関との協議を経て、11月の一連の首脳会議のプロセスにおいて現在の進捗状況として本日用意しております資料を公表し、そして、予算事項や法律事項がございますので、今、その具体策の準備を進めている最中でございます。
 中身の御説明でございます。37ページの資料の上の枠のところ、アジアの膨大なインフラ需要に日本の官民の力を総動員して対応していこうということがボトムラインの狙いでございます。数字としては、今後5年間で日本が500億ドル強、ADBが500億ドル強、合わせまして合計約1,100億ドルの規模で質の高いインフラ投資をアジアに提供するということでございまして、これはパブリックセクターの話でございます。その次にある「■」ですが、これを触媒として民間資金を動員、ノウハウを呼び込んで、質・量ともに十分なインフラ投資を実現するということが政策の狙いでございます。
 左側にポンチ絵がございますが、右の中段を見ていただきますと、「質の高いインフラとは」ということで5項目並んでいます。経済性(ライフサイクル・コスト)、維持費といったようなものも考慮に入れた上で、全体としてはコストが安い。要するに、長持ちし、クオリティーが高いという意味での経済性がある。それから、安全性、災害への強靱性、環境・社会への配慮もございます。
 5つ目の項目は「現地の社会経済への貢献」と書いてありますが、これは実際にモノを作ったら、引き揚げて、おしまいということではなく、現地でそのインフラを使いこなせるような人材、そして将来的にはこうした質の高いインフラを現地で形成していけるような人材を育成し、ノウハウを移転していく、という再生産の可能性も含めた項目でございます。
 この5つの項目は普遍的な価値であるとともに、日本及び日本企業の強みであると考えておりまして、こうしたよいものをディセミネートし、開発効果を上げるとともに、インフラ輸出での日本企業による受注の可能性も同時に引き上げていこうということで、官民挙げてのセールスプロジェクトであると私どもは理解しております。
 右下のところに4つの柱が書いてあります。JICA、ADB、JBICといった主体ごとの柱、それからグローバルな展開ということで、左側の図はそれを図示したものとなっております。38ページ以降でこの4つの柱に沿って中身を簡単に御説明させていただきたいと存じます。
 ページをおめくりいただきまして、第1の柱がJICAでございます。支援量の拡大と迅速化ということで何枚かスライドを入れております。1つ目は、実際量が増えているということで、E/Nベースでありますけれども、前年同期と比べますと、時期の関係で5月から10月末までとっておりますけれども、1.5倍の量になっている。大口案件の具体例では、フィリピンの南北通勤鉄道を挙げさせていただいております。
 下の方ですけれども、新設円借款の具体的案件ということで1つの案件の紹介ですが、Equity Back Financeという相手国側の出資金のバックファイナンスを円借款で適用するという新しい制度をつくっておりまして、この6月末にプレッジした1号案件が出ているということでございます。
 ページをおめくりいただきまして、JICAのAですけれども、円借款の迅速化です。今、相手国の事情によって時間がかかるものはともかく、日本側でできる政府関係手続を極力短縮化しようという話でありまして、今、平均的には3年ぐらいかかっているものを重要案件については1年半までと半分にする。それから、それ以外の案件についても最大2年まで、つまり3年のものを2年に1年短縮するといった場合に迅速化をしようとしております。そのための期間の目標を設定して取り組んでいこうというのが1つの点であります。
 次が海外投融資。民間セクター向けのJICAの海外投融資でありますが、こちらも同様に迅速化をするということです。これは、海外投融資を再開したときに、既存の金融機関では支援できない開発効果の高い案件をJICAが扱うこととしているので、実行上はJBICに事前のコンサルテーションをするというプラクティカルなプロセスが置かれております。そのため、JBICがこれをやらない、既存金融機関では対応できませんという返事があるまでの期間、ずっと店ざらしにしておりますと無駄に時間がかかる可能性がありますので、標準回答期間を設置するというのが、ここに書いてある海外投融資の迅速化の具体的な中身でございます。
 それから、下の方にありますのは、特別予備費枠ということで、事業の不確実性が高いような案件や、政治経済情勢が不安定な国に対して、E/Nの時点で既に特別予備費のようなものを入れて、新たな手続きを行うことなく、若干の変動はそこで吸収できるような制度の導入でございます。
 続きましてBでございますが、ページをおめくりいただきまして、JICAの海外投融資の対象拡大、それから次の項目で、海外投融資における他機関の連携強化で、他の民間金融機関との協調融資の制度改正、最後のところは、無償や有償勘定技術支援として、質の高いインフラの展開のための実証・テストマーケティングのような事業を行うということでございます。
 さらにおめくりいただいて、JICAのCになりますけれども、ここからが円借款の魅力向上策ということでリストアップさせていただいております。これは、通常は円借款の制度改善ということで不断に取り組んできているものですけれども、今回取りまとめてここでお示しするということでございます。
 1つ目は、外貨返済型の円借款でございます。今もある制度ですが、対象を中進国以上の国、所得水準の比較的高い国にも外貨返済型の円借款を設けることと致しました。それからドル建て借款の創設、ハイスペック借款の創設です。ハイスペック借款というのは質の高いインフラを推進すると認められるような案件に対して譲許性の高い借款を供与するということでございます。今、ここにある3件はこうした形でお示ししておりますが、具体的なプラクティカルなレベルでの制度設計をこれから詰めていこうという段階でございます。
 次のページはJICAのD、事業運営権対応型の円借款ということで、これも事業運営権を対象としたような支援措置でございます。
 それから、サブ・ソブリンの円借款、これも新しい制度でございます。今までサブ・ソブリン、つまり地方政府とか国営企業などを相手に円借款を提供する場合には、相手国政府のオーナーシップを確保するということから、相手国政府による、つまりソブリン主体による100%の政府保証を例外なく求めておりましたが、今回、相手国の経済の安定性とか、相手国政府の十分なコミットメントなどを確認できる場合には、必ずしも政府による100%政府保証ではないケースもあるだろうということで、閣僚会議でケース・バイ・ケースで決定して、例外的な免除をするという新しい制度をつくっているものでございます。
 最後のところは、有償勘定技術支援で、質の高いインフラを実現するため、プロジェクトの発注者に対して有償勘定の技術支援を行うということでございます。
 43ページからは、第2の柱であるADBとの連携のお話です。簡単に御説明いたしますと、3点新たな連携パッケージを合意しています。1点目がPPPについてでございまして、ADBにJICAが出資をして、信託基金を造成する。ADBのその信託基金とADBの本体勘定で質の高いPPP案件についての協調融資をするというスキームでございます。
 JICAにとってのメリットは、ADBのプライベートセクターについての知見を活用して、JICAがこの点についての能力を強化していくということでございますし、ADBについては、JICAの譲許的資金を使えることでのスケールアップが可能となるというようなメリットがあるということで、ウィン・ウィンの新しいスキームでやっていきましょうというものでございます。
 信託基金経由の規模ですけれども、今後5年間でJICAの信託基金は最大15億ドルでございます。一方、ADBは、左下の出口のところ、合計約60億ドルと言っておりますが、イメージとしてはJICAの15億ドル、ADB本体の15億ドル、民間の30億ドルで、出口5年間で60億ドルというようなイメージでございます。
 次のページが、3つあるADBのうちの2つ目、ソブリンでございます。先ほどのがPPP、2つ目がソブリンでございまして、これが左からADB、右からJICAということで、案件の組成段階からJICA及びADBの日本の信託基金などを協調して、案件の上流段階から技術協力で案件組成に関与し、そして案件実施段階では協調融資をし、質の高い公共インフラ案件を形成していこうということでございます。
 第3点は、政策対話を定期的に実施するということでございます。
 次のページが第3の柱で、JBIC等によるリスクマネーの供給拡大ということです。JBICについて申し上げますと、ここにありますように、日本企業の海外展開をより一層後押しするのが目的でございまして、JBIC法の改正等による機能強化を検討しております。
 機能強化のポイントは、以下3点書いてありますけれども、1つ目の点が中心になるものでございまして、リスクマネーの供給を拡大するために、特別業務をJBICが行うこととし、その特別業務を経理する特別業務勘定を設置するということでございます。
 その特別業務とは何かということですけれども、現行法では案件ごとの償還確実性が要件となっておりますので、それぞれの案件が赤字を出してはいけないということが制約になっておりますので、その点を外すことで、期待収益はあるのだけれども、確率論で場合によってはマイナスになるかもしれない。だけれども、平均して見れば期待収益はプラスであるという案件を支援できるようにしようということでございます。
 資料に書いてありますのは、特別業務勘定については、予算措置とJBICの一般業務勘定からの資本の移転によって必要な財務基盤を確保して、責任財産のバッファーをつくって、全体での収支相償原則は維持しつつも、個別案件ごとの「償還確実性」要件を外すということでございます。
 そのほか2点ですが、1つは現地通貨建ての融資の拡大というふうに書いてあります。実際に検討しておりますのは、JBICの現地通貨の調達方法です。調達において現地金融機関からの長期の借入れができず、短期の借入れしかできないということに法律上なっておりますので、現地の金融機関からの、例えばタイ・バーツなどの現地通貨での借入れを可能とし、調達したタイ・バーツを現地のインフラプロジェクトへ融資をする。つまり、現地通貨建ての調達をできるようにすることによって、結果的に現地通貨建て融資を拡大しようというのが2つ目の改正でございます。
 3つ目が、海外インフラ事業への金融手法の追加ということです。具体的には、「海外のインフラ事業に係る銀行向けツー・ステップ・ローン」とは、現在は、M&Aと中小企業向けというように限定されていますので、そこへ海外インフラ向けを追加して、邦銀経由でのツー・ステップ・ローンという途を開こうというのがこれです。そのほか、プロジェクト・ボンドでありますとか、イスラム金融といった金融手法を追加しようと計画しております。
 リスクマネーの方で次にありますのが46ページ、NEXIで、これもここに書いてあるとおりですけれども、投資保険や融資保険の期間であるとか、カバレッジの範囲を広げて、リスクマネーの供与を保険という手法でも強化しようということでございます。
 あと2つ、新しい官民ファンドであるJOINは、海外交通とか、都市開発等の事業を支援することを目的としたファンドですが、日本の新幹線の導入を前提とした、テキサス州のダラス・ヒューストン間の新幹線への開発段階の出資を行うということが公表されました。2年後を目標にするファイナンシングクローズまで、実施段階に入れるかどうかの準備はこれから始まるということでございます。
 それから、その下のJICTというのは、同じような官民ファンドでございますけれども、通信、放送、あるいは郵便といった分野についての官民ファンドで、今年の11月末に──すみません。「予定」と入っておりますが、設立されております。
 最後のページでございます。これはグローバルに展開するものであり、アジアに限るイニシアチブではないということで、他のMDBsと協調し、それから、日本の技術についての事例集をつくったり、見学していただくような機会を設けたり、最後のところですけれども、各種の国際会議でこうした価値をディセミネートしていこうということで積極的に取り組んでいるところでございます。
 以上です。ありがとうございました。
○小川分科会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対して御質問、御意見をいただきたいと思います。
 時間の都合もありますので、御質問のある方、あるいはコメントのある方から一通りいただいて、まとめてお答えをいただくということにさせていただきたいと思います。御質問、コメントのある方は名札を立てていただければ幸いです。
 伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 伊藤でございます。御説明ありがとうございました。質問の主なところは、最後の方の「質の高いインフラパートナーシップ」というところなのですけれども、まず、質の高いインフラパートナーシップの考え方自体に特に反対という意味ではないのですが、何を質の高いインフラと認定し、何はそうでないと認定するのか。何か基準のようなものがあるのか、どうなっているのでしょうかというのが1つ目の質問です。逆に途上国に不要な、ハイレベル過ぎるようなものを提供してしまう可能性というか、逆に高いものを売り付けてしまうような懸念はないのでしょうかということです。
 もう一つが、最後の方に「『質の高いインフラ投資』の国際的スタンダード化」と書いてあるのですが、何をもって国際的スタンダード化というのかが少しよくわかりませんでしたので、御説明いただければと思います。以上です。
○小川分科会長 続いて、植田委員、お願いいたします。
○植田専門委員 いろいろと大変参考になりました。ありがとうございました。私の質問、コメントはやはり同じく最後の部分で、かなり似ているのですけれども、以前も少し申し上げたかと思うのですが、隠れてはいますけれども、裏にAIIBとか中国による補助金、交付税のようなものがあると思うのです。それで考えてみますと、中国は共産主義国として、国が計画を立てて、国が大量にお金を出して、とにかく何かつくろうという姿勢は彼らの国体のようなものですから、それはわかるのです。
 しかし、日本はやはり資本主義国として、また我々の歴史上でも国鉄問題とかかなり苦しんできたわけですから、それを考えますと、もちろん民間中心というのは今の御説明で非常にわかったのですけれども、まだまだ国主体の事業もあるかと思うのです。そこは、できれば将来的には民営化及びその後の株式上場まで見据えたプランを立てた上で、あくまでも高度に資本主義をもっと発展させていくのだということを明示的に示した上で、日本国としていろいろなプランを提供した方が、これはいわゆる社会主義的な開発とは違うという意味で区別ができると思うのです。それが中国に対して日本の役割であると同時に、そういうことまでできるのはアドバンテージじゃないかと思うのです。
 それから、先ほどのアメリカの例ですが、何でほかの先進国に日本が補助金のようなものをつけるのかという議論は、ある意味で他の国が、これも中国かもしれませんが、補助金とかをつけてくるから、その対抗上ということもあるのかもしれませんが、EU国内であれば、やはり各国が勝手に補助金をつけるというのは競争法違反で、補助金競争になってしまいますので、EU域内であればそういうものをしないようにという指令、トリーティがあるわけですよね。ある意味で将来的なことかもしれませんけれども、WTOなどの場を通じて発展途上国に対して補助金をつけるのはわかるのですけれども、一定のOECD諸国に対して、他国が補助金をつける競争などはやめようといった議論に持っていってはいかがでしょうかというふうに思いました。
○小川分科会長 それでは大野委員、お願いします。
○大野臨時委員 御丁寧な御説明ありがとうございました。私も、質の高いインフラを含めて幾つかあるのですが、最初は12ページの件で、たしかG20の来年の議題案として、構造改革の進展ということから、その進捗を比較するインディケーターを中国が提唱しているということを非常に興味深く思いました。自分自身も途上国の産業開発支援をしているものですから、こういったことがあれば非常に参考になるのかなと思うのですが、どういった指標をもって測ろうとしているのか。あるいは、どういう機関がその辺りの策定に関わっているのか。例えば世界銀行に以前いらっしゃったジャスティン・リンさんとかいろいろいらっしゃると思うのですけれども、そういった方たちが関わっているのかどうか。おわかりの範囲内で教えていただければ幸いです。
 それから、残り2つは質の高いインフラ関係で、37ページあたりですね。1つは、円借款を使って質の高いインフラを出していく点につきまして、最近、フィリピンで2,400億円という話も聞きましたし、インドで合計すると1兆円に、多分輪切りでやっていくとなるだろうという話も聞いていますけれども、こうしたときに、例えばJBICもアンタイド・ローンという仕組みがまだあるのでしょうか。私が前にいたときはありまして、どういったときにアンタイド・ローンを使って、どういったときに円借款でやるかといった議論があったかと記憶しています。
 円借款の場合は、いろいろな開発ニーズが途上国でもあって、例えばアフリカなどではもっと小さい金額、本当に数十億とかだけでも非常に大切な借款の支援だということもある。そういう中で、円借款を供与するときに一発大きいというのは、それはそれで一つあると思うのですけれども、いろいろな意味で資金をどういうふうに配分するのかというのもあるかと思いまして、そのバランスというのですか、その辺りでJBICさんとの関係について教えていただければ幸いです。
 もう1つは40ページですけれども、一番最後のところで、例えばテストマーケティング、実証などで無償資金協力なども使っていく可能性といった話があります。特に無償の場合は生水の一般会計予算なので、非常に希少な予算です。そういったときに、低所得国にはいろいろな意味での社会開発ニーズもあると思いますので、どういった形でどこまでインフラに優先的に充当していくのかにつきましてはいろいろな考え方があると思うのですけれども、その辺りはどう考えていらっしゃるのかということについてお話をいただければと思います。私自身はインフラ自体は重要だと思っていますし、国際社会などでもそういったことは言ってきているのですが、先ほど植田先生もおっしゃったようなことも踏まえて、全体的なバランスをどう考えるのかといったことをお知らせいただければと思います。
 あとは、けさの日経新聞にODAの予算が17年ぶりに増額になったという話が載っていましたので、それは非常にありがたいと思っていますが、引き続きそういった形でよろしくお願いしたいというふうに思っております。
○小川分科会長 奥田委員、お願いします。
○奥田委員 質問が2つあるのですけれども、1つは、SDRに中国の人民元が入ったという話です。日経新聞などによれば、これは象徴的な意味しか持たないということで、先ほどもそういった御説明をいただいたのですけれども、本当に象徴的な意味しか持たないのでしょうか。私は、そこは何となく少し心配になるところがあるのです。
 というのは、実際に東南アジアや中央アジアの国境貿易などでは人民元は結構使われるようになってきていますし、もちろん米国のドルであるとか、EUの通貨のような意味での国際通貨ではないのでしょうけれども、これらの地域では日本の円よりは実際の貿易で使われるようになっていくのではないかという感じもあります。そういうことを考えると、人民元がSDRに入るというのは、象徴的な意味しか持たないのかもしれないけれども、加速効果は結構強いのではないかという気がするのです。私の全く個人的な感想ですけれども、もし御意見があれば教えいただきたいと思います。
 もう1つは質の高いインフラに関連する質問です。JICAが外貨建ての借款をするということは、為替リスクを抱え込むという話になると思うのですけれども、この問題については何か工夫をされているのでしょうか。外貨建てで貸すというのは結構なことだと思うのですけれども、その場合、勘定を別にするとか、資金を別枠にして回転していくとか、そういった仕組みをつくっていかれるのでしょうか。
 それから、JBICも、タイの銀行からバーツを借り入れて転貸するのだという話でございますが、その場合にもやはり為替リスクが発生するのでそれをどのように処理するのでしょうか。
 さらに、1件ごとの収支相償原則は外して資産負債全体としての管理をするのだというのですけれども、これも機関全体で大きなリスクを抱え込むことになるわけです。金融機関にとってはリスクを適切に処理することが利益の源泉なのですけれども、JBICの能力、リスク管理の仕組みというのはできているのかというところが少し気になります。その辺り、もし情報があれば教えていただきたいと思います。
○小川分科会長 それでは、亀坂委員、お願いします。
○亀坂臨時委員 私も、インフラ投資なのですけれども、これだけのことをされても大変なのだと思うのですけれども、一方でアジアのインフラ需要はものすごく潜在需要があるとお伺いしてふと疑問に思っているのが、これで足りないとしたら、もっとさらに資金が要るとしたら、例えばですけれども、財政投融資をもうちょっと海外向けに回すとかを考えられていないのかなという素朴な疑問を感じます。というのは、大手の銀行の方々とお話しすると、収益源はアジアだけれども、リスクをとりにくいということをおっしゃっているので、それだったら、そういった資金を活用できないのかなと思っております。
 もう1点が、全然関係ないかもしれないのですけれども、たまたまアブダビへ行く予定があるので、何かお役に立てることがあったら声をかけていただこうと思って、あまりお役に立てないのでしょうけれども、一応申し上げました。
○小川分科会長 最後に、清水委員から。時間がだんだん迫ってきているので、手短にお願いできますでしょうか。
○清水委員 手短にと言っても、たくさんあるのですけど、まずは、6ページに主要通貨の為替動向がありまして、今回、アメリカの利上げは事前に通告してあったのか。新興国などで事前に利上げをできる国は利上げをして、資本流出を前もって防ぐなど、非常に用意周到な形で9年半のこれまでの新たな利上げの局面に入ったということでは、これまで、一国の中央銀行が金融政策を変更するというときに、国際協調が陰ながらかなり見られたという印象があるのですが、そのことについて、例えばFRBから事前に何か通達があったのかということについてお伺いしたいのが1つです。
 それから、為替のグラフを見ますと、実はかなり微妙なところでとまっていまして、例えばユーロがパリティ割れする直前、あるいは円が125円を抜ける直前。どちらも国際金融とか、為替の中でも非常にすごいポイントの手前でとまっている。今後、日本なり、ユーロなりがもう一度金融緩和をせざるを得なくなった状況において、恐らくパリティ割れが起こり、130円に向けていくとなると、新たなドル、円、ユーロ、3通貨の全く新しい為替の局面に移るということで、パリティ割れ125円抜けを何とか守らなければいけないという何らかの共通認識があるのかどうかということもお伺いしてみたいと思います。
 それから、中国に関して、先ほどさらっと言われていたバスケットの新しい指標の発表というのは、これも利上げの局面で元が安くなったすごくタイミング的に用意周到なところで中国も発表して、2005年のバスケット通貨ペックに移行というときは、あくまでバスケットを参照にしながらといいながら、ウェイトは公表していなかったのに、今回は非常に丁寧にウェイトを公表している。しかも、その中に日本を含めてアジアのウェイトが高かったというのは、非常に研究した結果としてのウェイトではないかと私はとても高く評価しています。
 これが起こったことによって、これまで元ペッグ、ドルペッグと言っていたようなアジア通貨の為替制度が、元ペッグが今度はドルペッグではなくてバスケット通貨ペッグになっていく。だから、中国の一連の動き、SDRもADBも含めて、これはアジア全体がドルペッグからバスケットペッグに移っていくという大きな起点になっているのではないかと感じています。私はその点はとても高く評価しているのですが、先ほどはこういうインデックスを発表しましたというだけで話が終わっていたのですけれども、そういった解釈というのはされているのかどうかということをお伺いしたいです。
 最後に、人民元の国際化については、恐らく今後の議題になっていくのだと思いますが、奥田委員も言われていましたように、元の利用というのが各国で非常に貿易建値通貨で、あるいは決済で広がっていて、恐らく日本企業も随分広めてきているのではないかと思うのですね。そのことに関して、現在、実はクリアリングバンクが置かれていない大きな市場というのは、東京とニューヨークしかなくなってきてしまった。
 今日の新聞にもありましたように、ニューヨークでは、民間のブルームバーグ等が結託して、ニューヨークにもクリアリングバンクを置いてくれというようなメッセージを出したというニュースもありました。ロンドンにつきましても、実はBOEは嫌だったのに、シティ・オブ・ロンドンが積極的に誘致したというような話も聞いております。
 クリアリングバンクがもしニューヨークに設置されて、日本がラストになるというのはあまりにもみっともないかなという気がするのですけれども、もちろん民間に任せればというお話だと思うのですが、例えばロンドンで、民間も含めたシティ・オブ・ロンドンがシティにいる銀行と一緒になってクリアリングバンク設置に貢献したということで、そういう話をちょっと邦銀さんとしたときに、やれと言われたら何でもやりますというお話をされていたこともあります。そういったことについてやはり放っておくということはないと思うのですが、お考えがあればお伺いしたいと思います。
○小川分科会長 どうもありがとうございます。
 残すところ15分で、もう1つ議題があるので、こちらのサイドからまとめてお答えをいただければと思います。
○門間国際局長 すみません。最初に御挨拶すべきだったのですが、7月7日から国際局長を務めております門間です。よろしくお願いいたします。
 大変質の高い、難しい質問をたくさんいただきましてありがとうございました。可能な限りお答えというか、私どもなりの考え方を申し上げたいと思います。
 最初に、伊藤委員からありました質の高いインフラの基準ですとか、あるいは国際的スタンダード化、ハイレベル過ぎるものを売り込んでも、かえって途上国には迷惑ではないかという御指摘は全くおっしゃるとおりでございまして、私どもが意識していますのは、やはり途上国にとって本当に役に立つ援助が大事であり、インフラも役に立つインフラを輸出していくべきということです。何がだめかというと、一見安いのですけれども結局は維持費がいっぱいかかったりして、かえって途上国にとって長期的に負担になる、そういうものを避けなければいけないという問題意識でやってございます。
 国際スタンダード化も、私どもというか、皆様方と一緒に援助のあり方を議論するとき、当然、途上国にとって何が大事であるかが、一番重要だという意味では全く同じであります。ただ、どうしても入札するときに価格だけ重視されていくようなことを何とか是正したいというのが一つの意識でございます。
 その試みというのは、別に我々日本だけではなくて、いろいろな国、あるいは国際機関でもやってございます。最近聞きましたのは、世界銀行の調達ポリシーを変えて、価格だけじゃなくてバリュー・フォー・マネーのような基準でやるという動きもございます。そういった動きをまたほかの国際機関にもぜひ進めていただきたいなと思っております。
 それから、植田委員から、なるべく民間で、かつ最終的には株式上場までというのは全くおっしゃるとおりでございます。ただ、インフラを輸出するだけでは上場までたどり着きませんので、特にアジアの国を含めて金融制度の支援、ミャンマーにおける証券取引所の支援みたいなこともあわせてやっていくべきという御示唆だったと思っていまして、そのように頑張っていきたいと思っております。
 それから、アメリカの新幹線の例を申し上げましたけれども、これはもちろん一切補助金は使いません。JOINというのは官民ファンドで国と民間が一緒に出した金で、それで出資をするというもので、補助金ではありませんし、今後2年間で詳細設計がうまくいった場合に実施段階に入ります。そのときに何が期待されているのかというと、例えばJBICの融資とかが期待されているということで、補助金でやるとか、WTO違反をするというようなことでは全くございません。
 それから、大野委員からインディケーターの話がございましたけれども、実は我々も非常に関心を持っていまして、実際どういうものを今後どうやって、全体としてそれでちゃんと整合性がとれるのかどうかを含めて我々も大変大きな関心があって、時間があれば吉田次長からまた補足説明をさせていただきたいと思っています。
 それから、円借款のバランス、JBICとの関係ですけれども、JBICもアンタイド・ローンがございますが、最近ですと、例えば環境案件の支援を行うGREENとかそういうものを中心に考えておりまして、昨今の質の高いインフラのコンテクストでいきますと、なるべく日本の企業の技術が生かされるような、逆に言うとタイドみたいなもので考えております。
 JICAとJBICのデマケは何かと言われると、やはり民間ベースでリターンがとれて事業をしていけるようなものはJBICの融資だと思っておりまして、そうではなくて、かなりコンセッショナルな資金でないとファイナンス計画が立てられないようなものは円借款ではないかと思っています。
 インドはなぜ円借款かと言われたら、インドの国の乗客から得られる賃金収入等を計算すると、新幹線のような土木工事をやった後でどこまで収益性を立てられるかというと、なかなかJBICの融資では絵が描けないということだろうと思っています。
 それから、小さいものでも大変大事な援助は無償も含めてあるじゃないかということですが、全くおっしゃるとおりでございまして、大きなものが目立ちますけれども、逆に小さい、アフリカを含めていろいろなきめ細やかな援助も効果を上げるためには大事だと思っていまして、その辺りはやはりバランスをとってやっていきたいと思っています。
 ただ、別に中国に対抗してというわけではないのですけれども、成長率が下がっていくときに、新興国を含めてどうしても海外で輸出してもうけたいという国が増えていく中で、日本の企業もある程度後押しできるようにそれなりのリスクはとれるようにしていったらどうかと思っております。テストマーケティングもケース・バイ・ケースだと思います。同じ無償ですので、プライオリティーを考えてうまくやっていかなくてはいけないと思っています。
 それから、ODA予算はなるべく増えるように頑張りたいと思いますが、他方で、財政再建もぜひ御支援いただければありがたいと思っております。
 奥田委員から、SDRは本当に象徴的かどうかという御指摘は、非常によくわかります。実際に中国は国境なり、いろいろなところで人民元が使用できるようにしています。貿易に伴う人民元の支払いのデータは急速に伸びています。そのときにSDRに入るというのは、何らかの意味で後押しになるのではないかと言われれば、そのとおりだと思っております。
 それから、JICAが外貨建てでやったり、JBICもバーツ建てとか、リスク管理は全くおっしゃるとおりで、特にJICAについては、現在は民間向けの海外投融資において一部案件で既にドル建てで貸しております。それはJICAがドルで債券を発行して、そのドルで融資をする。つまり、為替のリスクを負わないような形になっています。これを政府レベルにも増やしていこうというのですけれども、その際に当然リスクというのはちゃんと考えていかなければいけないと思っていますので、その意味で、どこまで大きなところまでやれるか、今後の課題だと思っております。
 JBICも同様にリスク管理というのは極めて大事だと思っていまして、勘定全体で何でそんなリスクがとれるのかといったお話がございましたけれども、確率的に10%ぐらい失敗するかもしれないというものまで全然だめだというのはどうかなと思っています。
 確率的に平均すると収益が上がるものを1つに勘定をまとめて、勘定全体としてはプラスではないか。その意味で、リスクはとりますけれどもマイナスにはならないという試みで、かなり厳しい国際競争をされている日本の民間企業を少しでも後押しできないかという考え方で今回やっていこうと思っております。
 それから、亀坂先生の財投を海外向けに回すというお話は全くおっしゃるとおりで、単に税金だけではなくて、郵貯・簡保資金の預託義務がなくなって、いわば債券を発行して、民間資金と財政資金をうまく混ぜながら、コンセッショナル・ローンを出したりするということで、資金の効率を高めるための努力というのは非常に大事だと思っております。アブダビに行かれるのでしたら、ぜひ日本も質の高いインフラを含めて、海水淡水化とかいろいろな技術でかなり努力しておりますけれども、今後、さらに支援しやすい制度が整いますのでぜひ御要望を下さいとおっしゃっていただければ大変ありがたいと思っております。
 それから、清水先生から、アメリカの利上げについて大変用意周到というような話で、事前に我々に何か通知があったということでは全くありませんが、大分前からいずれあるのではないかと。それから、FRBは年内には利上げをすると他方で言っていて、そういう動きもあり、各国ともかなり準備をよくしていたような気がしております。例えばベトナムですとか、各国の大使館レベルからどういうふうに対応したかという報告が入ってきています。
 メキシコのように一緒に利上げした国もありますし、そうではない国もありますし、大分前からいろいろな国内におけるドルの流通を少し抑えたりとか、あるいはセーフティネットを広げたりといった国があって、そういう意味で、我々もアジア通貨危機以降、レジリエントな金融システムをつくるためにいろいろな努力をしております。 それから、アジア通貨危機のときと比べて、今はどうなっているのかと一度国際局で調べてもらったことがありまして、端的に言うと対外短期債務と外貨準備の比率。かつては対外短期債務の方が外貨準備の何倍もあった国が結構あって通貨危機に見舞われたのですが、今はそういう国はほとんどないということで、いろいろな意味で備えているのではないかと思っております。今後とも危機が起こらないように備えていきたいと思っております。
 それから、パリティを突き抜けたらどうなるか。おっしゃるようなことでございますが、為替通貨当局としてあまり直接にお答えすることは大変難しいと思っております。我々は、やはり為替が安定していくことが、あまり大きく変動しないことが、日本経済、あるいは国際経済にとっていいと思っておりますので、可能な限りその方向で行ってもらいたいと思います。9月のG20その他でも、やはり市場とのコミュニケーション、それから各国政府当局間のコミュニケーションがある意味で大事なのではないかという意見もあって、そういう面でも可能な限り為替の安定に努力していきたいと思っております。
 それから、バスケット通貨は、今回の中国が発表したものについて為市課の方でいろいろ調べてくれました。そうしてみますと、基本的に貿易ウェイトで正確にやっておりますが、例外が2つあります。1つは台湾、韓国が入っていません。前回のバスケットのときは韓国も入っているみたいなことを言って、どのくらいのウェイトか全然発表されなかったのですが、これが何を意味するのかよくわかりません。
 それから、このバスケットがどういう動きをしているかというと、特に今年に入ってから交差していくんですね。それで中国当局が発表しているように、対米ドルでは人民元は安くなっているかもしれないけれども、バスケットに比べるとまだこれでもアプリシエートしているのだというような説明があったと思います。
 それから、8月、中国が為替を切り下げました。それから、今回も動きました。市場参加者では、やはりFRBの動きを予想して、その前にドルにつられて人民元高になるのは嫌だという心理が働いたのではないかとマーケットで言う方が非常に多いので、それも1つの有力な見方かなと思っています。
 アジア通貨もバスケットするかどうか。思い起こしてみますと、1997年のアジア通貨危機の後、関係課でもたしか研究してもらったと思うのですが、一定程度バスケット化が進んでいって、でも、為替が安定していくとまたドルペッグ化に見えていたようなことになっていました。ただ、今後、中国の貿易がますます大きくなって、人民元も使い勝手が本当によくなっていったときにどういうふうになるのかというのは、大変興味深いテーマではないかと思っております。
 大体以上、お答えになるかどうかわかりませんが、私どもの考えでございます。
○吉田次長 インディケーターについては、既存のもので活用できるものをIMF、OECDの知見を得つつ、中国が検討していると承知しております。
○小川分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、時間の関係もありますので、2番目の議題に進みたいと思います。
 外国為替等分科会の今後の進め方ということでありますが、事務局と私との間で相談して、次のように進めていきたいと考えております。
 6月2日にこの分科会でまとめました通貨政策・制度に関する中間論点整理の中からどのトピックを選んでいくかということで、ただいまの議論でも人民元のお話が多かったかと思います。ということで、「人民元の利用拡大を踏まえた通貨政策のあり方」というテーマは欠かすことができないだろうと考えております。
 それから、日系企業のインボイスカレンシーとか、そういう通貨選択の議論というのも、これまでこの分科会でやっておりましたし、非常に重要な問題だと思います。それを踏まえて、例えば資本規制とか、外為規制、為替制度などの点における地域金融協力ということも、ここで議論をしていく必要があるだろうと考えております。
 ということで、テーマとして、中間論点整理にはたくさんのテーマがあるのですが、一応最大公約数的に「人民元の利用拡大を踏まえた通貨政策のあり方」と「企業の通貨選択を踏まえた地域金融協力のあり方」で随分カバーできているのではないかと考えております。
 「人民元の利用拡大を踏まえた通貨政策のあり方」で何をやるかということで、今御議論いただいたことを調査、分析していく必要があるだろうと考えております。まず現状、人民元の利用がどうなっているか。あるいはSDRの話も奥田先生から御質問がありましたが、そういう実態はどうなっているかというところと、それに対してアジア域内で人民元の役割がどういう影響を及ぼすのかといったことを検討していきたいと考えております。
 もう1つの「企業の通貨選択を踏まえた地域金融協力のあり方」につきましては、先ほど申し上げましたが、企業の決済通貨、インボイスカレンシーは、人民元の利用拡大と全く関係ないかというと、十分に関係するところでありますので、人民元の影響も考えながらこのテーマで考えていく。
 そのときに、人民元、中国で考えるということもあるのですが、やはり我々のパートナーとして東南アジアも非常に重要ですので、もう少し広く東南アジアも含めた東アジア全体で考えていく。そのための金融環境の整備をアジア諸国はどういうふうに行っていくべきか、あるいはそのためには日本は何ができるのかということを検討していきたいと考えております。
 以上のように、今後、委員各位からの御議論を踏まえながら、御説明したような進め方でいきたいというふうに考えております。
 以上につきまして、御質問、あるいは御意見ございましたらお願いしたいと思います。
 よろしいでしょうか。特段御質問、御意見がないようですので、時間も過ぎておりますので、これで本日の議事を終了させていただきたいと思います。
 なお、今回の議事録の作成は私に一任いただければと思います。その際、発言部分を事前にご覧になりたい委員の方におかれましては、会合終了後にその旨を事務局に御連絡を頂戴したいと思います。御連絡のございました委員の方には、議事録を案の段階で事務局より送付したいと考えております。その後、1週間程度の間に御意見がない場合には了解いただいたものとして理解させていただきたいと存じます。それでよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 次回の分科会につきましては、2月2日の午前10時から12時の時間を予定しております。出席される委員の皆様におかれましてはよろしくお願いいたします。
 本日は、長い時間にわたり御出席いただきまして、ありがとうございました。

午後2時37分閉会

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