株式会社国際協力銀行法案の概要
平成23年2月
財務省
我が国企業のインフラ分野その他の戦略的海外投融資をより有効に支援するため、日本政策金融公庫の国際部門である国際協力銀行について、機能の強化を行うとともに、その実をあげるため、同公庫から分離し、株式会社国際協力銀行(以下「会社」という。)として設立する。
1.目的
会社の目的として、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、重要資源の開発及び取得の促進、我が国産業の国際競争力の維持及び向上、地球環境保全事業の促進、並びに国際金融秩序の混乱への対処、を規定。
2.組織・会計経理等
※現行の株式会社日本政策金融公庫法の規定を引き継ぐ形で規定。
(1) 株式の政府保有義務
政策上必要な業務を国が責任を持って実施する等の観点から、会社の株式を政府が、常時全額保有する旨の規定を置く。
(2) 役職員
効率的な事業運営の実現と政策上必要な業務の的確な実施の観点から、役員の選解任手続、役員等の欠格事項、役職員の秘密保持義務等の規定を置く。
(3) 会社の信用維持、資金調達の円滑化
会社の信用維持、資金調達の円滑化等の観点から、会社の発行する債券について政府保証を付与できる旨の規定や、政府による会社への資金の貸付けができる旨の規定を置く。
(4) 国庫納付
政府全額出資等の会社の性格を踏まえ、会社の利益については、必要な準備金の積立て以外の部分は全額国庫納付しなければならない旨の規定を置く。
(5) ガバナンス確保のための国の関与
政策上必要な業務を的確に実施する観点から、予算の国会議決、決算の国会提出、金融検査の実施、定款の変更等の国の監督の規定を置く。
3.業務
現行の日本政策金融公庫・国際協力銀行部門の業務を基本としつつ、以下を内容とする機能強化(業務の拡充)を行う。
先進国向け輸出金融
短期の「つなぎ資金」を供与する投資金融
我が国企業(大企業を含む)が外国企業を買収するための資金等を供与する投資金融
中小・中堅企業を含む我が国企業の積極的な海外事業展開支援のためのツーステップローン
通貨スワップに対する保証 等
4.その他
(1) 法律案の施行日
法案成立後、公布の日から施行し(業務における機能強化の一部を含む)、平成24年4月1日に会社を設立する。
(2) 一部業務の先行実施
会社の設立・機能強化を円滑に行う観点から、機能強化のうち、現行の日本政策金融公庫・国際協力銀行部門が実施している業務の延長として先行実施可能なものについて、会社の設立に先立ち、平成23年度中から行う。