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令和5年度の地方財政対策に係る覚書

国と地方の財政状況、地方交付税法第六条の三第二項等を踏まえ、令和五年度の地方財政対策を講ずるに当たり、別紙一のとおり申し合わせる。

令和四年十二月二十一日

総務大臣松本剛明

財務大臣 鈴木俊一

( 別紙一 )

一、「デジタル田園都市国家構想基本方針」(令和四年六月七日閣議決定)等を踏まえ、地方財政計画の一般行政経費にデジタル田園都市国家構想事業費(仮称)を設けるものとし、その内訳は、次のとおりとする。

(一)地方創生推進費(仮称)を設けるものとし、その金額については、令和五年度は一兆円、令和六年度以降は総務大臣と財務大臣が協議して定める額とする。

これに伴い、まち・ひと・しごと創生事業費は廃止する。

(二)令和五年度から令和七年度に限り、地域デジタル社会推進費を設けるものとし、その金額については、令和五年度及び令和六年度はそれぞれ二、五〇〇億円(うち五〇〇億円はマイナンバーカード利活用特別分とする。)、令和七年度は二、〇〇〇億円とする。地域デジタル社会推進費の令和八年度以降の取扱いについては、総務大臣と財務大臣が協議して定めるものとする。

なお、地域デジタル社会推進費のうちマイナンバーカード利活用特別分五〇〇億円を除く二、〇〇〇億円の財源は、地方公共団体金融機構(以下「機構」という。)の公庫債権金利変動準備金(以下「準備金」という。)の活用を前提としつつ、令和五年度においては、交付税特別会計の既定借入金に係る元金の償還額を第八項に定める額とするとともに、臨時財政対策債の発行を第十項(五)に定める額に縮減するなど特別な財政健全化の措置を講ずることを踏まえ、次項に定めるとおり、準備金の活用額は一、〇〇〇億円とする。令和六年度及び令和七年度における財源の取扱いについては、各年度において、総務大臣と財務大臣が協議して定めるものとする。

二、令和五年度において、前項の地域デジタル社会推進費(マイナンバーカード利活用特別分を除く。)の財源の一部を確保するため、機構の準備金を活用することとし、「地方公共団体金融機構法」(平成十九年法律第六十四号)附則第十四条の規定に基づき、機構の準備金の一部を「公営企業金融公庫法の廃止に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」(平成二十年政令第二百二十六号)第二十七条の規定に基づき財政投融資特別会計投資勘定に帰属させた上で、当該帰属させた額を同勘定から交付税特別会計に繰り入れることとする。これに基づき、準備金の一部を帰属させる額は、一、〇〇〇億円とし、この旨を法令に定める。

三、地方公共団体の施設の光熱費の高騰を踏まえ、令和五年度に限り、地方財政計画の一般行政経費(単独)に七〇〇億円を追加計上する。

四、地域社会再生事業費の金額については、令和五年度は四、二〇〇億円、令和六年度以降は総務大臣と財務大臣が協議して定める額とする。

五、「事務・権限の移譲等に関する見直し方針について」(平成二十五年十二月二十日閣議決定)等に基づく国から地方への事務・権限の移譲に伴い地方が負担することとなる経費を地方財政計画の歳出に計上することとし、その金額については、令和五年度は四三億円とする。

なお、地方財政計画の歳出に計上する令和六年度以降の各年度の金額は、総務大臣と財務大臣が協議して定める額とする。

六、令和二年十二月十七日付け総務・財務両大臣覚書第二項(二)に基づき各年度の地方交付税の総額から減額することとしている額について、令和五年度は四、九二二億円、令和十年度は三六二億四、八五四万円、令和十一年度及び令和十二年度は零、令和十三年度及び令和十四年度は六七五億八、九一二万三千円、令和十五年度から令和十八年度までは六七二億八、九一二万三千円、令和十九年度から令和二十六年度までは九二二億二、〇九四万一千円とし、所要の法律改正を行う。

七、地方交付税法附則第四条の二第三項に基づき加算することとしている額については、令和五年度においては加算しないこととし、令和十年度においては五九九億円、令和十一年度及び令和十二年度においては九六一億円とし、同額を一般会計から交付税特別会計に繰り入れるものとし、この旨を法律に定める。

八、令和三年十二月二十二日付け総務・財務両大臣覚書第六項に基づく交付税特別会計の既定借入金に係る元金の償還については、令和五年度は一兆三、〇〇〇億円、令和三十五年度は八、一二二億九、五四〇万八千円、令和三十六年度は零とし、所要の法律改正を行う。

平成二十二年十二月二十二日付け総務・財務両大臣覚書第三項(二)及び令和三年十二月二十二日付け総務・財務両大臣覚書第六項に基づき加算することとしている額については、令和五年度においては加算しないこととし、令和六年度から令和九年度までの各年度において加算する額については同覚書第六項に基づく別紙二に定める当該各年度の交付税特別会計借入金の償還予定額のうち二分の一相当額とし、令和十年度においては七二四億円とする。

九、国及び地方の厳しい財政状況を勘案し、令和五年度から令和七年度における地方財政の財源不足については、財源不足額のうち従前と同様の例により総務大臣及び財務大臣が協議して定める補塡すべき額がある場合には、これを国と地方が折半してそれぞれ補塡措置を講ずるものとする。この場合、国負担分については、その全額を一般会計から交付税特別会計に繰り入れるものとし、地方負担分については、その全額を臨時財政対策債を発行することとし、この旨を法律に定める。

なお、当該地方債の元利償還金については、毎年度の財源不足額のうち総務大臣及び財務大臣が協議して定める補塡すべき額の算定の基礎としない。

十、令和五年度においては、前項に基づき補塡すべき額が生じないことから、地方財源不足額(一兆九、九〇〇億円)については、次のとおり補塡措置を講ずるものとする。

(一)地方の財源不足を補塡するための建設地方債(七、六〇〇億円)を増発する。

(二)交付税特別会計における剰余金(一、二〇〇億円)を活用することとし、この旨を法律に定める。

(三)第二項に基づき交付税特別会計における機構の準備金(一、〇〇〇億円)を活用することとし、この旨を法律に定める。

(四)地方交付税法附則第四条の二第一項の規定により令和五年度に加算する額(一五四億円)を一般会計から交付税特別会計に繰り入れるものとし、この旨を法律に定める。

(五)令和五年度における臨時財政対策債の元利償還金等の一部に係る財源不足額(令和五年度における臨時財政対策債の元利償還金額(四兆二、〇〇四億円)、令和五年度における交付税特別会計の既定借入金に係る元金の償還額及び交付税特別会計借入金利子の支払額(一兆三、五七二億円)、地方交付税法附則第四条の二第四項に基づき令和五年度において地方交付税の総額から減額することとしている額(二、四六〇億七、七〇八万二千円)並びに第六項に基づき令和五年度において地方交付税の総額から減額することとしている額(四、九二二億円)の合算額から、地方税の実効的な徴収対策を促進する観点から行う地方税の徴収率の見直しに伴う増収額(一、七二八億円)を控除した額の一部(九、九四六億円))を補塡するため臨時財政対策債を発行することとし、この旨を法律に定める。

十一、新型コロナウイルス感染症対策地方税減収補塡特別交付金の令和五年度の額は一二四億円とする。

十二、令和五年度における地方特例交付金の額は、平成二十年十二月十八日付け総務・財務両大臣覚書第四項、平成二十五年一月二十七日付け総務・財務両大臣覚書第二項、平成二十七年一月十二日付け総務・財務両大臣覚書第九項、平成二十八年十二月十九日付け総務・財務両大臣覚書第十一項、平成三十年十二月十八日付け総務・財務両大臣覚書第十一項、令和二年十二月十七日付け総務・財務両大臣覚書第十三項及び令和三年十二月二十二日付け総務・財務両大臣覚書第九項に基づき補塡する額(二、〇四五億円)とする。

十三、「特別会計に関する法律」(平成十九年法律第二十三号)第二百二十二条第二項に規定する復興事業(全国防災事業を除く。)に係る地方負担分等に対応するため、震災復興特別交付税の財源として六二二億円を東日本大震災復興特別会計から交付税特別会計に繰り入れるものとし、この旨を法律に定める。

十四、地方財政計画の総額及び各項目について、地方財政計画における歳入・歳出の適切な計上を図るため、地方財政計画と決算の実質的な乖離の把握に引き続き努め、必要な措置を講ずるものとする。

十五、地方財政計画上の公債費における利払額の計上について、借換えや元利償還等の実態を踏まえ、今後とも定期的に適切な見直しを行うものとする。

十六、交付税特別会計借入金については、金融機関の入札への参加状況を勘案しつつ、民間金融機関からの借入割合を拡大し、資金の円滑な調達を図るものとする。