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予算決算及び会計令第85条の基準の運用方針等について

 
 
 

予算決算及び会計令第85条の基準の運用方針等について

平成11年 4月 8日 蔵会第 1194号
大臣官房会計課長から各部局長あて

改正:平13.1.9 財会第53号

平13.12.26 財会第2860号

平20.6.27 財会第1498号

平21.6.11 財会第1313号

平23.6.30 財会第1462号

平25.5.23 財会第1141号

平26.6.30 財会第1420号

平27.3.26 財会第895号

平28.3.23 財会第1155号

平29.3.17 財会第1125号

令元.5.13 財会第2125号

令元.5.29 財会第2351号

4.3.9 財会第884号

 

 予算決算及び会計令(以下「予決令」という。)第85条の基準については、平成11年4月8日付蔵会第1193号により通知したところであるが、この基準の運用方針等を下記のように定めたので、これによって取り扱われたい。

 

 

1.基準の運用方針

  基準に定める「契約ごとに10分の7.5から10分の9.2の範囲内で契約担当官等の定める割合」の算定は次によるものとする。

 イ.予定価格算出の基礎となった次に掲げる額の合計額に、当該合計額に予定価格算出の基礎となった消費税及び地方消費税の税率を乗じて得た額を加算した額を予定価格で除して得た割合とする。ただし、その割合が10分の9.2を超える場合にあっては10分の9.2とし、10分の7.5に満たない場合にあっては10分の7.5とする。

  1 直接工事費の額に10分の9.7を乗じて得た額

  2 共通仮設費の額に10分の9を乗じて得た額

  3 現場管理費の額に10分の9を乗じて得た額

  4 一般管理費の額に10分の6.8を乗じて得た額

 ロ.特別なものについては、イ.の算定方法にかかわらず10分の7.5から10分の9.2の範囲内で適宜の割合とする。

(注)用語の定義

 「直接工事費」、「共通仮設費」、「現場管理費」及び「一般管理費」の用語の定義については、原則として、それぞれ下記の要領等の例によるものである。

  1 「土木請負工事工事費積算要領」(昭和42年7月20日付建設省官技第34号)

  2 「公共建築工事積算基準」(平成15年3月31日付国営計第196号)

2.事務手続

(1) 調査基準価格の算出及び予定価格調書への記載

 契約担当官等は、契約ごとに、基準の運用方針に基づき算定した割合又は基準に定める割合を予定価格に乗じて得た額を算出し、当該算出額から当該算出額に係る消費税及び地方消費税の額を減じた金額を予決令第79条の「予定価格を記載した書面(いわゆる予定価格調書)」に「(調査基準価格○○円)」と記載するものとする。

(2) 入札参加者への事前周知

契約担当官等又は入札執行者は、入札参加者に対し事前に次のことを説明するものとする。

 イ.予決令第85条の基準を適用するため、契約担当官等が予め設定した調査基準価格を下回った入札を行った者は、予定価格の範囲内で最低の価格をもって入札を行った者であっても必ずしも落札者とならない場合があること。

  ロ.調査基準価格を下回った入札が行われた場合、入札の結果を留保すること及びその場合の結果の通知方法。

 ハ.調査基準価格を下回った入札を行った者に対しては、予決令第86条第1項の規定による調査を行うこととなるため、事後の事情聴取等に協力すべきこと。

(3) 入札の執行

 入札の結果、調査基準価格を下回る入札が行われた場合、入札執行者は、入札参加者全員に対して最低の価格をもって申込みをした者及びその価格を発表するとともに、「入札の結果を留保します。」と宣言し、予決令第86条第1項の規定による調査を行うため、落札者は後日決定する旨を告げて、入札を終了する。

  なお、落札者の決定に当たっては、遅滞なく、以下の手続を経て決定するものとする。

(4) 調査の実施

 契約担当官等は、調査基準価格を下回る価格で入札を行った者により、その価格によっては当該契約の内容に適合した履行がなされないおそれがあると認められるか否かについては、契約担当官等が必要と認める次のような事項について、入札者からの事情聴取、関係機関への照会等による調査を行うものとする。

 イ  工事の請負契約の場合

  1 その価格により入札した理由

  2 契約対象工事付近における手持工事の状況

  3 契約対象工事に関連する手持工事の状況

  4 契約対象工事個所と入札者の事業所、倉庫等との関連(地理的条件)

  5 手持資材の状況

  6 資材購入先及び購入先と入札者との関係

  7 手持機械数の状況

  8 労務者の具体的供給見通し

  9 過去に施工した公共工事名及び発注者

  10 経営内容

  11 1から10までの事情聴取した結果についての調査検討

  12 9の公共工事の成績状況

  13 経営状況(取引金融機関、保証会社等への照会)

  14 信用状態(建設業法違反の有無、賃金不払の状況、下請代金の支払遅延状況等)

  15 その他必要な事項

 ロ その他の請負契約の場合

  1 その価格により入札した理由、必要に応じ、入札価格の内訳書を徴する。

  2 当該契約の履行体制

  3 当該契約期間中における他の契約請負状況

  4 手持機械等の状況

  5 国及び地方公共団体等から過去において履行した契約件名及び発注者

  6 経営内容

  7 1から6までの事情聴取した結果についての調査検討

  8 信用状態

  9 その他必要な事項

(5) 調査の結果、当該契約内容に適合した履行がなされると認められる場合の措置

 契約担当官等は、調査の結果、最低の価格をもって入札を行った者により当該契約の内容に適合した履行がなされると認め、最低の価格をもって入札を行った者を落札者とした場合は、直ちに、当該落札者に必要な事項を通知し、その他の入札者に対しては、適宜の方法により落札の決定があった旨を通知するものとする。

(6) 調査の結果、当該契約内容に適合した履行がなされないおそれがあると認められる場合の措置

 イ.契約担当官等は、調査の結果、最低の価格をもって入札を行った者により当該契約の内容に適合した履行がなされないおそれがあると認めたときは、調査の結果及び自己の意見を記載した書面を4通作成し、財務省所管会計事務取扱規則第13条の規定に基づき部局長が指定した契約審査委員(3名)に提出し、その意見を求めなければならない。

 なお、各部局長は契約審査委員について、官職指定等の方法により事前に指定しておくものとする。

 ロ.契約審査委員の審査及び意見の表示

 契約審査委員は、契約担当官等から意見を求められたときは、必要な審査を行い、書面によって意見を表示するものとする。この場合の意見は多数決によるものではなく、個別の意見を表示する。

 ハ.契約審査委員の意見に基づく落札者の決定

 (イ) 契約担当官等は、契約審査委員の表示した意見のうち、2名以上の意見が契約担当官等の意見(その価格をもっては契約の内容に適合した履行がなされないおそれがあると認められる意見)と同一であった場合は、予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって入札を行った者を落札者とせずに、予定価格の制限の範囲内の価格をもって入札を行った他の者のうち最低の価格をもって入札を行った者(以下「次順位者」という。)を落札者と決定する。なお、次順位者が調査基準価格を下回る入札者であった場合には、(4)以降と同様の手続を行うものとする。

 (ロ) 契約担当官等は、契約審査委員の表示した意見のうち、2名以上の意見が自己の意見と異なった場合においても、なお、当該契約の内容に適合した履行がなされないおそれがあると認めたことについて合理的な理由があるときは、次順位者を落札者とすることができるものとする。

 ニ.次順位者を落札者とした場合の通知

契約担当官等は、次順位者を落札者とした場合、

  1 当該落札者に対しては、必要な事項

  2 最低の価格をもって入札を行った者で落札者とならなかった者に対しては、落札者とならなかった理由及びその他必要な事項

  3 その他の入札者に対しては、適宜の方法により落札の決定があった旨を直ちに通知するものとする。

(7) 調査対象となった入札についての公表

 上記(5)及び(6)ニ.により通知をした場合には、併せて適宜の方法により落札者の決定があった旨を公表するものとする。

(8) 財務大臣及び会計検査院への書面の提出

 契約担当官等は、次順位者を落札者としたときは、遅滞なく当該競争に関する調書を作成し、調査の結果及び自己の意見を記載した書面並びに契約審査委員の意見を記載した書面の写しを添付し、大臣官房会計課長を経由して財務大臣及び会計検査院に提出するものとする。

(9) 監督及び検査の強化

 調査基準価格を下回った入札を行った者と契約を締結した場合は、当該契約に係る監督及び検査の強化を図るなど、遺漏のないように措置するものとする。