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管財関係債権の徴収停止及び履行延期の特約等の上申に関する事務取扱要領について

昭和35年3月16日
蔵管第576


改正昭和39年2月29日蔵管第409号

46年1月7日蔵理第5312号

平成13年3月30日財理第1296号

令和3年6月11日第1932号

5年3月31日第1014号

大蔵省管財局長から各財務局長宛

管財関係債権について、歳入徴収官及び分任歳入徴収官が「国の債権の管理等に関する法律」(昭和 31 年法律第 114 号)第 38 条第1項第1号及び第2号の規定に基づき、あらかじめ財務大臣の承認を受けようとするときの事務取扱要領を別紙のとおり定めたから、これによることとされたい。

別紙

管財関係債権の徴収停止及び履行延期の特約等の上申に関する事務取扱要領

第1通則

この事務取扱要領に基づいて、歳入徴収官財務事務所長並びに分任歳入徴収官財務局出張所長及び財務事務所出張所長が、財務大臣の承認を受けようとするときは、あらかじめ財務局長等(財務(支)局長及び沖縄総合事務局長をいう。以下同じ。)の指示を受け、かつ、財務局長等をも経由するものとする。

なお、この場合に財務事務所出張所長に係るものについては、その所属する財務事務所長を経由するものとする。

この事務取扱要領に基づいて、財務大臣の承認を受けようとする場合において財務大臣あて提出する書類(以下「上申書」という。)は、正副2通とする。

「国の債権の管理等に関する法律」(以下「法」という。)第 21 条第 1 項の措置(以下「徴収停止」という。)及び第24 条第1 項の特約又は処分(以下「履行延期の特約等」という。) は、国の債権の取立事務の停止、債権の内容の変更等を伴うものであるから、債務者の資産等の実状の調査について遺漏のないようにするとともに、調査にあたり関係職員の事故の防止等に十分留意しなければならない。

第2徴収停止

歳入徴収官又は分任歳入徴収官(以下「歳入徴収官」という。)が、その所掌に属する管財関係債権について、徴収停止の承認を受けようとするときは、次に定める上申書によつてこれを行なうものとする。

法第 21 条第 1 項第 1 号関係

(1)上申書 この内容は、次のとおりとする。

債権調査書

当該債権に係る債権管理簿(個人別)写

債務者の定款(財団法人にあつては寄附行為)

最近 3 期の計算書類(財産目録、貸借対照表、損益計算書、営業報告書等)

債務者の登記簿謄本(必要によりまつ消の部分を含む。)

その他参考となる関係書類

(2)債権調査書の記載内容

適用法令

徴収停止をしようとする根拠規定を記載する。

債務者の住所及び名称並びに代表役員名

債権額及び債権の種類

債権の種類が 2 以上にわたるときは、債権の種類ごとに債権額を記載し、その計を付する。

債権の発生(帰属を含む。以下同じ。)原因及び発生年月日

債権の発生が法令に基づくものにあつては、当該法令の写(周知の法令にあつては、当該部分の条項号)、契約又は処分に基づくものにあつては、当該関係書類の写を「その他参考となる関係書類」として添付するものとする。

履行督促の状況

督促日の順に督促の方法及びその際の債務者の応答又は事情を簡単に記述する。

事業休止時の状況

事業休止の原因及びその年月日並びに資産の処分その他の状況等を記述する。

税務官公署の処理状況

滞納額、最近の納付状況及び当該官公署が債務者に対してとつた徴収猶予、換価の猶予、滞納処分の執行停止その他の処理状況について記述する。

現況

実地について、債務者の現在における主要資産の存否、取引銀行の融資及びその償却の状況又は手形の割引状況、従業員の有無又は整理状況並びに同業者等からの事情聴取によつて調整したところを記述する。

事業再開の見込

役員、金融機関、同業者、取引先等からの事情聴取によつて調査したところを記述する。

差押可能財産の有無

差押可能財産があるときは、当該財産の価額と強制執行の費用との関係について記述するとともに、優先債権の有無及びその内容を併記する。

債務引受等

債務引受人、保証人、連帯債務者等があるときは、その者について法第 21 条第1 項第 2 号に掲げる事情があることを証明し、債務引受人等がないときは、役員等に債務引受等をしようようした経過及びなおも引受等をしようとする者がない旨を記述する。

その他参考となる事項

歳入徴収官の意見

以上の調査により、徴収停止をしようとするに至つた結論を簡単に記述する。

(3)計算書類の提出を債務者から求められないものについては、既往のどの決算期のものでもよいから、できるだけ収集に努め、収集できたものを添付し、収集できないときはその調査の経過と事情を説明するものとする。

法第 21 条第 1 項第 2 号関係(「国の債権の管理等に関する法律施行令」第20条関係を含む。)

(1)上申書 この内容は、次のとおりとする。

債権調査書

当該債権に係る債権管理簿(個人別)写

債務者の所在不明(死亡の場合にあつては相続人相続財産)に関する証拠書類

差押可能財産の評価調書

優先債権等調書

その他参考となる関係書類

(2)債権調書の記載内容は、上記第 2.1.(2)のイからホまで、ト及びヌからワまでに準ずるものとする。

(3)債務者の所在不明に関する証拠書類は、近隣者、知人等に対する聞き込み調査、本籍地市町村への照会及び親族関係人に対する調査並びに債務者の住所、居所又は転居先と思われる地域を管轄する官公署への照会文書の写とする。

(4)債務者が死亡した場合における相続人、相続財産に関する証拠書類は、相続人捜索公告文書及びその後も相続人のあることが明らかでないことについての相続財産清算人の証明書並びに相続財産清算人が作成した相続財産状況報告文書の写とする。

なお、「相続人のあることが明らかでない」とは、判明しているすべての相続人が相続の放棄をした場合を含むことに留意すること。

(5)優先債権等調書は、強制執行の費用及び国の債権に対して優先する公租公課、先順位抵当権等の存在を確認した一覧表とする。

法第 21 条第 1 項第 3 号関係

(1)上申書 この内容は、次のとおりとする。

債権調査書

当該債権に係る債権管理簿(個人別)写

その他参考となる関係書類

(2)債権調査書の記載内容は、上記第 2.1.(2)のイからホまで、ヲ及びワを準用するのほか、次の事項を加える(記載順序は上記第 2.1.(2)のホの次に次の事項を加える。)。

取立に要する費用

近隣債務者に関する事項

近隣債務者(同一市町村内にある他の債務者をいう。)の有無及び近隣債務者からの取立てに付随して取り立てることが不可能又は不適当である理由を記述する。

第3履行延期の特約等

歳入徴収官が、その所掌に属する管財関係債権について、履行延期の特約等の承認を受けようとするときは、次に定める上申書によつて行なうものとする。

法第 24 条第 1 項第 1 号関係

(1)上申書 この内容は、次のとおりとする。

債権調査書

当該債権に係る債権管理簿(個人別)写

履行延期申請書写

その他参考となる関係書類

(2)債権調査書の記載内容は、次のとおりとする。

なお、債権調査書に記載される事項の調査については、極力債務者に資料を提出させ、調査を容易にするように債務者を指導するものとする。

適用法令

履行延期の特約等をしようとする根拠規定を記載する。

債務者の住所及び氏名又は名称

法人にあつては、代表者名を併記し、その定款(財団法人にあつては寄附行為) 及び登記簿謄本(必要によりまつ消部分を含む。)を「その他参考となる関係書類」 として添付するものとする。

債権額及び債権の種類

履行延期の特約等をしようとする債権の金額とその債権の種類とを記載し、債権の種類が 2 以上にわたるときは債権の種類ごとに債権額を記載してその計を付する。

債権の発生原因及び発生年月日

債権の発生が法令の規定に基づくものにあつては、当該法令の写(周知の法令にあつては該当部分の条項号)、契約又は処分に基づくものにあつては、当該関係書類の写及び延滞金については、その簡単な計算根拠を「その他参考となる関係書類」として添付するものとする。

履行期限を延長する期間、担保、延納利息及び債務名義

(イ)分割して履行期限を定めるときは、各履行期限及びその期限ごとの履行金額 (履行延期の特約等に係る延納利息を含む。)を一覧表とする。

なお、延滞金及び利息から先に充当することとなつている債権について元本債権、延滞金及び利息を分割して履行させるときは、利息及び延滞金の履行期限を先順位とすること。

(ロ)担保については、当該物件の評価調書又は保証人の保証書及び資力調査書の写を「その他参考となる関係書類」として添付するものとする。

(ハ)担保又は延納利息を付さないときは、その根拠規定及びその理由を明記する。

(ニ)債務名義については、債務名義に関する措置を記述する。

履行督促の状況

督促日の順に督促の方法及びその際の債務者の応答又は事情を簡単に記述する。

債務者の資産状況

(イ)債務者の無資力又はこれに近い状態にあることについての調査結果を記述するものとし、この調査はできるだけ実地について行なうものとする。

なお、この調査は不動産に限らず現金、預金その他動産等についても行なうべきものであることに留意し、給与生活者についてはその支給先、税務署等について確認するとともに債務者が受けている年金等についても調査をすべきことに留意すること。

(ロ)個人である債務者については、当該債務者及びこれと生計を一にする家族の年間総収入の合計額の月割額と生活保護法(昭和25 年法律第114 号)の規定に基づく生活保護基準額との対比状況を、昭和 52 年6月 16 日付蔵理第 2554 号「管財関係債権の免除の上申に関する事務取扱要領について」通達の別紙様式「総収入月額及び生活保護基準額等調査書」により取りまとめ、上申書の「その他参考となる関係書類」として添付するものとする。

(ハ)法人である債務者については、最近 3 期の計算書類を「その他参考となる関係書類」として添付するものとする。

なお、計算書類の調査にあたつては、簿外資産の有無等についても留意するものとする。

債務引受等

履行延期の特約等をする場合は、あらかじめ、できるだけ親族、縁故者等の第三者に重畳的債務の引受け又は連帯保証させるように努めることとし、債務引受等ができない場合にはその事情について説明すること。

その他参考となる事項

歳入徴収官の意見

以上の調査により、履行延期の特約等をしようとするに至つた結論を簡単に記述する。

(3)履行延期申請書は、債務者の自由な意思によつて提出されるものであるが、履行延期の特約等は法令上認められた範囲内で行なわれるものであるから、債務者が履行期限、担保、延納利息等について法令上容認されない事項を単純な希望的意見として記載しないように適宜指導し、また、履行延期申請書と債権調査書との内容がそごしないように留意しなければならない。

法第 24 条第 1 項第 2 号関係

(1)上申書は上記第 3.1.(1)に準ずるものとする。

(2)債権調査書の記載内容は、上記第 3.1.(2)を準用するのほか、次の事項を加える。
(記載順序は上記第3.1.(2)のトの次に次の事項を加える。)

債務者が一時に完全履行を困難とする事情

「債務者の資産状況」を検討して一時に完全履行をすることが困難な事情にあることを記述し、事業をなお継続しているものにあつては、資金計画等を詳細に説明する。

なお、必要があるときは、銀行の貸出証明書の写等を添付する。

履行延期の特約等をすることが徴収上有利であるとする理由

履行延期の特約等をすることによつて、債務者の資力回復等が予見されて将来債権の満足が得られ、これが徴収上有利であるとする等の理由を記述する。

法第 24 条第 1 項第 3 号ないし第 5 号関係

(1)上申書は上記第 3.1.(1)に、債権調査書は上記第 3.1.(2)及び「債務者が一時に完全履行を困難とする事情」については上記第 3.2.(2)イに、それぞれ準ずるのほか、次によるものとする。

(2)第 3 号関係にあつては、災害、盗難、その他の事故の概要及び被害物件、損害見積額、復旧見積額並びにできる限りこれを実地に調査した結果を債権調査書に記載し、これを証する市町村長、警察署長、医師等の証明書の写を「その他参考となる関係書類」として添付するものとする。

(3)第 4 号関係にあつては、公益上著しい支障を及ぼすことと認定した理由を債権調査書に記載し、その資料を「その他参考となる関係書類」として添付するものとする。

なお、ここに公益とは、単に国、地方公共団体、公企業等に関するものであるというだけでは公益といえないことに留意すること。

(4)第 5 号関係にあつては、債務者の誠意があると認めた理由を債権調査書に記述する。

なお、第 5 号において「損害賠償金又は不当利得による返還金に係る債権」とは、国と債務者との間に当該債権に関する債権関係がなく、突発的に生じたものをいい、債権関係が先行するもの(たとえば、既契約上の債務不履行に基づく損害賠償金債権)は、含まれないことに留意すること。

第4書面等の作成・提出の方法

本事務取扱要領に基づき、作成を行う上申書については、電子ファイルにより作成を行うことができるものとする。また、上申書の提出に当たっては、電子メール等の方法により行うことができるものとし、当該方法により提出を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。